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ろうげつ https://blog.goo.ne.jp/hanadankurabu

花より男子&有閑倶楽部の二次小説。CP :あきつく、魅悠メイン。旧ブログ「たゆたふ」の管理人、中将の新しいブログです。

中将
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2020/04/17

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  • 若宗匠の懐刀(総+つく)前篇

    私がお仕えする西門流の若宗匠は、半端なくモテる。想像を絶するほどのモテ具合なのだ。何せ若宗匠は、美形でスタイル抜群で頭脳明晰でお金持ちで家柄も良くて愛想も良い。だから当然、女性陣が放っておかない。ワンナイトラブでもいいからお相手願おうと、女性達が若宗匠の周りをウロウロする。となれば、どうなるかは火を見るより明らか。据え膳食わぬは男の恥とばかりに、アッチへフラフラ、コッチへフラフラとして日に日に女遊びが激しくなっていく。そしてある日の事、ついに若宗匠はやらかしてしまう。大事な茶会を翌日に控え、事もあろうに夜の街へと繰りだしてしまったのだ。流石にこれはマズい。こんな事が家元にバレたら、叱責を浴びるだけではなく三日三晩、説教を喰らう羽目になるだろう。若宗匠も、若宗匠のお目付け役である私も。まあ、それだけで済むのならま...若宗匠の懐刀(総+つく)前篇

  • 本年もお世話になりました

    皆様にとって、どんな一年になりましたか?十人十色ではあるでしょうけど、何事もなく年末を迎えられます様、祈っております。さて、私めの話になりますが、この年の瀬に携帯・・・今はスマホと言うのか。スマホの調子が最悪な状態になっております。機種変更をして間もないのに、これはどうした事か。私が使っている機種は不具合が出るらしいので、お店に行ってみてもらいます。ストックしてある話があるのに・・・。データぶっ飛んだら泣くになけない。年始から話をアップしようと思っていたんですが、それもお釈迦になりそうです。そんな中将ブログですが、来年も宜しくお願い申し上げます。皆様、良いお年を。本年もお世話になりました

  • 時としてドキッとして【魅悠】

    人は時として恋に落ちる。ふとした瞬間に、予想だにしない展開で、思いもよらず突然に。そんなミラクルな状況に陥ってしまったのが、恋とは無縁と思われた悠理である。恋愛よりもケンカや食い物が大好きで、誰よりも色恋沙汰から縁遠く、花より団子だと思われたあの悠理が・・・で、ある。「何だってあたしがこんな事に・・・うがぁ〜!」頭をかきむしり、激しいヘドバンをキメながらそんな事を言われても、誰にも分からない。「何であたしが魅録にドキドキしなきゃなんねーんだ。何で魅録なんかに・・・ぬおぉぉ〜っ!」だから、それは誰にも分からない。魅録とていい迷惑だろう。と言うか、魅録「なんかに」とは失礼ではないのか。「ううっ〜あれこれ言ってても仕方ない。コレを見よう」そう独り言を呟きながら悠理が手にしたものは、恋愛系の雑誌である。誰にもバレない様...時としてドキッとして【魅悠】

  • 紫土に染まる 肆

    紫土に染まりし怒りの焔(ほむら)に、培ってきた全てが焦土と化す。やり場のない感情が、出口を求め暴れだす。鋭い牙が、獲物を求め疼(うず)きだす。一度に天国と地獄を味わった15回目の誕生日を、俺は絶対に忘れない。忘れてなどやるものか。紫土に染まる肆家族に誕生日を祝ってもらい、幸せな気分を味わいながら自室へと戻ろうとした際、「あきら、私の書斎に来なさい」いつになく厳しい表情をのぞかせる親父に引き留められた。柔和で温厚で厳しくも優しい美作肇としてではなく、美作家を束ね導いていかんとする美作家当主としての顔を見せる親父に、自然と俺の気持ちも引き締まる。つくしの親父さんを不慮の死で失った事により、ジワリジワリと邸内に綻びが出始めてきた。有り体に申さば、統率力と団結力が低下し、まとまりがなくなってきた。人畜無害で飄々とし、頼...紫土に染まる肆

  • 久々に更新しました

    皆様、お久しぶりでございます。日々、お変わりなく過ごされてますでしょうか?私目はお陰様にて風邪一つひく事なく、元気に毎日を過ごしております。昨日、久々に話をアップしました。途中まで書き上げ放置していた【六花の軌跡7】を、ない知恵絞って何とかまとめました。内容はまとまってはないですけど・・・。書きながら、やっぱり魅録と悠理のコンビはいいなぁとシミジミ感じました。放置状態はキモチワルイですしね。それなら『放置状態のあきつく、総つくも書きなはれ』というお声も聞こえてきそうですが如何せん、今の私の脳内は・・・有閑>>>花男で、ございます。ま、気まぐれな私の事ですからいつ、花男>>>有閑に、変わるか分かりませんけれども。誰も気にしてはいないでしょうが、ボチボチ書いていこうかと思いますので、気長にお待ち頂けたらと思います。...久々に更新しました

  • 六花の軌跡【魅悠】 7

    「だ、そうですわよ?悠理」「・・・うん」「胸の支(つか)えは取れまして?」「・・・多分」「まぁ!あれだけ魅録に想われてますのに、まだ何か気になる事があるんですの!?」「気になるって言うか、引っ掛かるって言うか・・・」「仰って?悠理」「ん。魅録に大切にされてるのは知ってる。大事にされてるのも分かってる。けど・・・」「けど?」「あたし、魅録から好きだとか愛してるだとかさ、言われた事ないんだよな」告白した時も付き合う時も、誕生日とか記念日とかプロポーズの時も、魅録からそういった言葉をもらった覚えがないんだ。だからと言って、魅録の気持ちを疑った事はないよ。あたしに心が向けられてるのは、ちゃんと肌で感じてるから。でもさ、やっぱり言葉で示して欲しい時もあるじゃん。そう本音を打ち明けたあたしに、野梨子は微笑を浮かべながら言葉...六花の軌跡【魅悠】7

  • 御無沙汰シテオリマス

    ひっそり、こっそり、しれっとご挨拶をば。皆様、2021年をいかがお過ごしでしょうか。体調にお変わりないですか?私は、花粉症に苦しんでいる事以外は元気でございます。ならば何故、何ヶ月も更新しなかったんだ!?そんなお声もあるかと思います。作品を楽しみにされていた方も、10人くらいはいるでしょう・・・多分(笑)それではズバリ言います。何故、中将が全く更新していなかったのかを。それは・・・サボリこの一言に尽きます。更新回数を増やす的な事を書いておきながら、この体たらく。たゆたふブログの時から全く成長しておりません。すみませんスミマセン御免なさい!ピタッと筆が止まったんです。恐ろしい程に。話の続きが浮かばなくて、そうこうしているうちに年末年始を迎え、節分、バレンタインをやり過ごし、あきらの誕生日をスルーしちゃいました。あ...御無沙汰シテオリマス

  • 紫土に染まる 参

    紫土に染まりし血の花びらに、俺の心は沸き上がる。幼き頃より想いを寄せ、生涯の伴侶にと秘かに願う女の花を、自分のこの手で散らした。必死に俺にしがみつき、痛みをこらえつつ受け入れ、羞(は)じらいを見せるその姿に、愛しさが募っていく。愛とは何たるか、詳しく知らぬ身なれど、今のこの感情は間違いなく愛だと断言できる。そんな幸せな気持ちで迎えた15回目の誕生日を、俺は一生忘れない。紫土に染まる(あきつく)参深夜0時、部屋のドアをノックする音が耳に届いた。遠慮がちなその音に、ノックする人物は女性だろうと当たりをつける。最近、女性の使用人達から秋波を送られる機会が増えてきた。多分、俺と関係を持ちたいが為のものだろう。正直、鬱陶しいし煩わしい。そんなメスの目をして物欲しそうに見られても、俺は昔から一人の娘(こ)しか眼中にない。だ...紫土に染まる参

  • 久々の再会

    皆様、ご機嫌いかがでしょうか?日々、お変わりなく過ごされてますか?病に打ち勝てるよう、モリモリ食べて体力つけていきましょうね。さてさて。結構前の話になりますが、Yahoo!ブログ「たゆたふ」の時から何かと励まし、応援してくれる読者さんがおりまして(かなり長いお付き合いとなるトモダチです)、その方と久々の再会を果たして参りました。こちらが恐縮するほどの「もてなし」をして下さり、本当に申し訳なかったです。ま、遠慮せず「もてなし」を受けましたが(笑)昼、夕ご飯をご馳走になり、お土産も下さり、お土産代もさりげなく支払って下さったり・・・て、とんでもなく図々しいな、私。こちらからのお土産が霞んでしまうほどの接待を受け、申し訳なくも有り難い気持ちでいっぱいです。このご恩は、作品で返そうと心に決めた次第であります。コロナの症...久々の再会

  • 紫土に染まる 弐

    ※話の内容に、流血や暴力に関する表現が出て参ります。苦手な方は回避願います。紫土に染まりし絨毯の上で、のたうち回る仇の姿を目の当たりにした時、私の世界は急転した。仇が倒れた周辺は血が点々とし、部屋の調度品が割れてガラスが飛び散っていた。仇の右腕と右足の腱は切れ、顎の骨は砕けていた。そんな日に迎えた14回目の年の瀬を、私は死ぬまで忘れない。紫土に染まる弐美作家の当主には代々、二人の守役が付く。一人は表舞台で活躍する守役で、現在は私の伯父がその任務にあたっている。そしてもう一人、裏舞台で暗躍する守役がいる。その守役は通称『シノブ』と呼ばれ、表舞台には一切姿を見せず淡々と汚れ仕事をこなす。つまり、裏の仕事を厭(いと)わない・・・と、いう事だ。当主の身にふりかかる火の粉を払い、危険を察知し回避する。時として手を血で染め...紫土に染まる弐

  • 紫土に染まる 壱

    ※話の内容に、流血や死に関する表現が出て参ります。苦手な方は回避願います。紫土に染まりし血の海で、突っ伏したままピクリとも動かぬ両親と弟の姿を目の当たりにした時、私の世界は暗転した。二人が倒れた周辺には血溜まりができ、部屋の壁や天井にも血が飛び散っていた。両親の体は鋭利な刃物で切り刻まれ、弟の額と心臓には銃弾が撃ち込まれていた。そんな日に迎えた14回目の誕生日を、私は死ぬまで忘れない。紫土に染まる壱私が生を享(う)けた牧野家は代々、美作家に仕える家柄だ。その歴史を繙(ひもと)くと、平安末期にまで遡(さかのぼ)る。皇籍を離れ、臣籍降下した元親王が美作の庄に土着した。その際、牧野家が元親王の烏帽子親を名乗り出、それ以降ずっと美作家に仕え支えてきたのだ。元親王とは言え生母の身分が低かった為、位階がそれほど高くはない牧...紫土に染まる壱

  • 紫土に染まる(あきつく) はじめに

    新たに作品増やしてどうするって話ですが、それでも増やします。この話は完全にパロディで、少しばかり血生臭い内容になっております。設定も原作からかけ離れてます。パスワード公開にしようかとも思いましたが、基本的に気軽に見てもらいたい派なので、公開作品にしました。当サイトは万人受けする内容ではありませんので、苦手な方は回避願います。ほんの少しだけ設定内容をば。牧野つくし美作家に代々使えてきた牧野家(分家)の長女。美作あきらは初恋の人であり、現在も想いを寄せている。とある悲劇により、運命が大きく変わる。美作あきら美作家の御曹司。牧野つくしは初恋の人であり、生涯を共にすると心に決めている。とある悲劇により、運命の歯車が狂いだし岐路に立たされる。と、ザックリ紹介しました。あまり期待せずお待ち下さいませ。紫土に染まる(あきつく)はじめに

  • うまずたゆまず(あき→つく←総)8

    「母の願望を押し付け申し訳ないとは思います。ですが、総二郎さんには牧野さんと添い遂げてもらいたいのです」「その結果、西門を追い出されても・・・ですか?」「西門は魔境です。そんな恐ろしい世界に、総二郎さんを放り込みたくありません。家元の血が流れているとは言え、お腹を痛めて産んだ可愛い息子に苦悩の道を歩ませるなど耐えられない。ですから、跡を継いでもらいたいとは思いません」何の躊躇いも迷いもなくそう言い放った家元夫人は、照れ隠しの為にそっぽを向く総二郎を、和かな瞳で見つめた。長男の祥一郎は病死した先妻の子、三男の廉三郎は家元が妾に産ませた子なので、家元夫人の実子は総二郎だけである。なので、本来ならば実子に西門流の跡を継がせたいと思うが道理なのだろうが、家元夫人は違っていた。家元夫人として裏方を取り仕切れば取り仕切るほ...うまずたゆまず(あき→つく←総)8

  • 霜月ですね

    皆様、ご機嫌いかがでしょうか?気付けばもう霜月ですね。そして、全く話を更新してないですね。ええ、ハイ。お察しのよろしい方はお分かりでしょう。単なる怠け癖厄介なサボリ癖が、中将に発令された事を(笑)「たゆたふ」の時から恒例となっております。・・・。・・・・・・。・・・・・・・・・。スミマセンスミマセン(;´д`)プロットは頭の中で出来上がってるんです。色々な話も頭の中では出来てるんです。ただ、それを文章にするのが上手くいかないんですよね・・・。ま、スランプとは違うのでご安心を(→誰も心配してないって!?そりゃスミマセン)近々アップ出来るかと思いますので、その際は宜しくお願い致します。毎日遊びに来て下さる方も、生存確認を兼ねて遊びに来て下さる方も、みんなみんなありがとうございます。お互い、体調崩さないように気をつけ...霜月ですね

  • 父さん頑張れ 16

    観光協会に籍を置き、観光案内所の窓口で働く総二郎の1日は、大体決まっている。朝8時半の始業に間に合うよう家を出て、余程の事がない限り、定時である夕方5時には窓口業務が終了する。そして、残務処理を行ってから帰路に着く。そんな日々を、総二郎は送っている。基本的に土日は出勤なのだが、修平の学校行事に合わせて休みを取るなどの融通は利くので、総二郎に不満はない。何より、家族仲良く毎日を過ごせる事が幸せなのだ。西門の家にいた時とは比べ物にならない程、総二郎の心は満たされ、充実した日常を過ごしている。さて、そんな総二郎の留守を狙ったかのように、牧野邸を訪れた人物がいる。一人は道明寺財閥の御曹司である道明寺司で、もう一人は、「つくしぃ~!体の具合はどう!?元気?」「ぐ、ぐえっ・・・ぐ、ぐるじぃ」「おい、滋!牧野が潰れちまうだろ...父さん頑張れ16

  • 遅々として進まず

    皆様、コンバンハ。いかがお過ごしでしょうか。更新頻度が少ないにも関わらず足繁く通って下さり、本当に感謝です。ありがとうございます。何よりの励みになります。さて、父さんシリーズはいかがでしょうか?母さんシリーズとは微妙に設定が変わっておりますので、受け入れられない方もいらっしゃるのではないかと推測しております。その点に関しましては申し訳なく思いますが、総ちゃん&つくし&修平に幸せな家庭を築いてもらいたかったので、こういった話を書く事に決めました。今、続きをチマチマ書いてますので、もう少々お待ち下さいませ。ちなみに次回は、司が出てきます。それでは皆様、体調崩さず日々を乗りきりましょう。遅々として進まず

  • 父さん頑張れ 15

    「牧野にしては、随分と大胆な発言をしたもんだ。私を抱いてくれ~って総二郎に懇願するとはな」「ちょ、ちょっと!」「今更、恥ずかしがるなって。事実だろ?」「ぐぬぬぬぅ」「言われた総二郎も、余裕がなかったんだな。普段のアイツなら、絶対にからかってるぜ?『つくしチャンってば積極的なのね』ってな」それだけ二人とも、追い詰められてたって事か。ま、何はともあれヨカッタじゃん。お互い、腹の内が読めたんだから。これで益々、夫婦の絆が深まるな。めでたい事じゃないのと言いながら、優雅に紅茶を飲む男を、つくしは膨れっ面をしながらじっと見つめた。「図星だったからフテくされてんのか?」「そうじゃないけど・・・何だかなぁ~」「ん?」「何でペラペラ話しちゃったんだろ。そこまで詳しく話すつもりなかったのに」「何でだろうなぁ」「う~ん。多分、雰囲...父さん頑張れ15

  • 父さんシリーズいかがでしょうか

    皆様、こんばんは。中将でございます。体調はいかがでしょうか。栄養あるモン食べて、病魔なんてぶっ飛ばしちまいましょう。話は変わりますが・・・父さん頑張れ、楽しんでもらえてますでしょうか。母さん見てる?とは、微妙に違ってますので、違和感あるかもしれませんが。この父さんシリーズは・・・それ以外の話でも、スマホのメモ帳アプリを使ってチマチマ作成しております。今もそうして作成していたのですが、急に目の奥が痛くなり頭痛が激しくなってきました。頭をギュッと締め付けられる感覚というか、キーンとした痛みというか。目が疲れてるのかもしれません。頭痛のせいで、軽い吐き気も覚えましたしビックリです。よって、今まで以上にチマチマと作成する羽目になりそうで、更新も遅くなります。今までも更新は遅かったんですけどね。楽しみにして下さっている方...父さんシリーズいかがでしょうか

  • 父さん頑張れ 14

    「修平に、弟か妹を作ってあげないのかって聞かれてたでしょ?その時、キッパリと作らないって答えてたよね」「ああ」「どうして?」「どうしてって・・・」「欲しくないの?」「あ~・・・ん~」「何で即答出来ないの!?何で困ってるの!?私との子供はもういらないの!?」「ちょっ!お、落ち着けって」「だって、私に手を出そうとも触れようともしないじゃない。再会してから一度も、私を抱こうとしなかった。同じ布団で寝てるのに、そんな雰囲気も作らないでガーガー寝ちゃうじゃないの。私相手じゃ、そんな気が起こらない!?子供作る気ないから、そういった行為をしないの!?その気にならないくらい、私は魅力ないの!?」「興奮すると心臓に負担がかかる。頼むから落ち着いてくれ」「何でそんなに冷静なの!大好きな人が自分に手を出さない辛さ、惨めさが分かる!?...父さん頑張れ14

  • 父さん頑張れ 13

    「浮かない顔してどうしたの?心配事?」「心配事・・・に、なるんすかねぇ」「ハッキリしないねぇ。折角のハンサム顔が台無しだよ」「ハンサム顔って・・・久々に聞きましたよ」愛妻弁当に箸をつけていた総二郎は、職場の貫禄ある熟女先輩の言葉に思わず苦笑いすると、その手をふと止め軽く息を吐いた。つくしの退院祝いと称し、あきら達が牧野邸に押し掛けてきたのは2ヶ月前の事。多忙を極める三人が一堂に会する事などなきに等しく、それを充分承知しているからこそ、総二郎はつい三人を引き留め夜通し盛り上がってしまった。あきらと類はそうなる事を見越していたのか、翌日の午前中まで休みをとっていたようだが、司はそこまで気が回らなかったらしく、夜明け前に何処からか現れた秘書に叩き起こされると、そのまま連行されてしまった。そして何故か、この日を境に妻で...父さん頑張れ13

  • しおむすび【魅悠】

    シンプルだからこそ難しい。シンプルだからこそ誤魔化しがきかない。美味しい米に美味しい水、そして美味しい塩。それプラスα、ベタではあるが限りない愛情をスパイスに、一生懸命握る。不器用なりに。笑顔で食べてくれるように。美味しいと言ってもらえるように。喜んでもらえるように。一人の男の顔を思い浮かべながら、せっせと握る。「悠理が作ったのか?この握り飯」「う、うん。カタチは少し悪いけどさ」「俺の為に?」「そ、そうだよ!何か文句あんのか」「あるわけねぇだろ。ちょっと驚いただけだ」「野梨子や可憐みたいに上手に握れなかったけど、魅録に美味しく食べてもらいたいなと思って、必死に頑張って握った」「食っていいか?」「うん」「・・・」「ど、どう?」「・・・」「な、何か言えよ」「・・・」「無言で食うなって~。塩が多かったのか?それとも水...しおむすび【魅悠】

  • サチあらん未来へ(あきつく)

    ※若干、後味の悪い話となっております。ですので、読む読まないは自己責任でお願いします。尚、読まれた後の苦情は受け付けませんので、あしからず。私は牧野サチと申します。お気付きかとは思いますが、私の母は牧野つくしです。あ、ご心配なさらなくても、私は貴方様の娘ではございません。それは自信をもって断言致します。私の母は何事にも一生懸命で、悪い事をするとちゃんと叱ってくれて、真正面から受け止めてくれて、温かい心を持ち、ホッとする笑顔を浮かべる人でした。「でしたって・・・過去形じゃないか。過去形って事はつまり───」「心臓は動いています。ただ、生きる屍となった状態だという意味です」「なっ!?」「母は父の作った借金を返す為に、無理をしました。朝早くから夜遅くまで働いて、その合間に私の世話や家事をこなし、手抜きは一切しませんで...サチあらん未来へ(あきつく)

  • 父さん頑張れ 12

    基礎がしっかりしている古民家を改築し、そこを新たなる根城に構えた牧野邸で、つくしの退院祝いが行われた。「「「牧野、退院おめでとう」」」「ありがとう、みんな」「よく頑張ったな」「うん。色々とありがとう」「おかーさん、おかえりなさい」「ただいま、修平」類に無茶ぶりされたあきらと司も無事、夕方に合流し、主役であるつくしや修平、そして総二郎と共に祝い膳を囲む事が出来た。祝い膳と言っても退院したばかりのつくしが拵(こしら)えたものではなく、気遣いと気苦労の人、あきらが前もって仕出し料理屋に連絡し、牧野家まで祝い膳を配達するよう手配したものである。「仕出し料理を手配してくれてありがとう。F4の中で一番、大人で気配り上手な美作さんだけあるね」「よせやい。誉めたって何も出ねぇぞ?」「何だぁ~。誉めて損した」「「あはははは」」顔...父さん頑張れ12

  • 中秋の名月

    皆様、こんばんは。本日は中秋の名月ですね。お住まいの地域からお月様は見えましたか?私は、秋の実りに感謝しながら月を愛でました。芋を片手に(笑)そんな中、ふと頭に浮かぶんですよ。『有閑倶楽部の悠理だったらきっと、花より団子ならぬ〈月より団子〉だろうな。そんな悠理を愛でながら、魅録は月見酒を楽しむんだろうな』とか、『花男のつくしだったら多分、バイト帰りにススキの生えてる場所から月を見て、そんなつくしを数歩後ろからあきらが見守ってるんだろうな』とかね、つい妄想しちゃう訳です。で、短篇書いちゃおうかな~という意欲も沸いたんですが、「父さん頑張れ」の12話を書いてるうちに・・・ええ、まあ、スミマセン。てな訳で、うまくいけば明日にでも「父さん頑張れ」の12話をアップする予定です。相変わらず開店休業状態ですが、そんな中でも遊...中秋の名月

  • (蔵:あきつく)未知なる世界にコンニチワ

    ちょっと下ネタ系になります。そういった類いが苦手な方は、回れ右でお願いします。幸運な事に、好きになった人に『好きだ』と言ってもらえたつくしは、いわゆる異性交遊なるものを始めた。彼氏と動物園やピクニックや買い物に行ったり、レストランやカフェで飲食したりと、夢のような時間を過ごしている。・・・んが!一緒に過ごす時間が増えれば増えるほど、もっと相手の事を知りたいと思うし、もっと近付きたい、触れたいと願う自分がいる。それに気付いてしまったつくしは、アレやコレやと頭を悩ませ中だ。「私から手を繋いでもいいのかな。何か、ガツガツした女だなってドン引きされない!?き、嫌われちゃったりしない!?」本音を言えば、腕を組んで歩きたいし、肩を寄せあいながらベンチに座りたい。もうちょっと踏み込んで言えば、頬や額にチューなんてものもしても...(蔵:あきつく)未知なる世界にコンニチワ

  • うまずたゆまず(あき→つく←総) 7

    「正直に言うと、認めるのが怖いんです」「怖い?それは、牧野さんを好きだと素直に認める事が怖いという意味ですか?」「はい」認めてしまえばきっと、求めてしまう。牧野つくしの心も身体も、そして人生までもを。そうなるときっと、何もかもが欲しくなりワガママになる。だから意図的に、自分の気持ちに目を背けているんだと、総二郎は自嘲気味に話した。「俺にはゼロか100しかないんです。中間がない」「ゼロか100?」「はい。牧野を取れば西門を棄てる事になるし、西門を取れば、牧野を永遠に諦めなければならなくなる。両方得る事など無理だ」「そうですね」「茶道を取り巻く環境は大嫌いだけども、別に茶道が嫌いな訳じゃない。むしろ好きなんです。だから、踏ん切りがつかない」「牧野さんを選ぶという事は、茶道から離れる事と同義ですから当然です。西門を名...うまずたゆまず(あき→つく←総)7

  • うまずたゆまず(あき→つく←総) 6

    「今日も収穫ゼロ・・・か」溜息混じりにそんな言葉を呟いた男は、軽く頭を横に振ってからパソコンの電源を落とすと、落胆した表情を浮かべながらソファに横たわった。牧野つくしが死亡した。当時、そんな報告を受けたのたが、にわかには信じられなかった。いや、厳密に言えば、未だに信じてはいない。何故なら、己の目で亡骸を確かめた訳ではないからだ。「あれから10年も経つのか。ま、何年何十年経とうが、俺は信じやしねぇけどな」左目を失明し、見舞金を持ち逃げして失踪した家族に絶望し、将来を悲観して自ら命を絶った。つくしを荼毘に付した美作夫妻からそう聞かされても、にわかには信じられなかった。赤札による壮絶なイジメを受けても、それを跳ね返して闘い抜くような女だ。そんな女が、自らの命を絶つとは到底思えなかった。だから咄嗟に、美作夫妻が何かを隠...うまずたゆまず(あき→つく←総)6

  • 父さん頑張れ 11

    「おとーさん、きょうだよね?おかーさんがかえってくるの」「ああ。一緒にお母さんを迎えに行こうな」「うん!」「だから、学校帰りに寄り道するんじゃないぞ!?真っ直ぐ帰って来いよ」「わかってるよ。じゃ、いってきます!」「行ってらっしゃい。気をつけてな」ランドセルを背負い、元気いっぱいに手を振りながら登校する息子を、総二郎は微笑を浮かべながら見送った。息子である修平が口にした「おかーさんがかえってくる」というのは言葉通り、母親であるつくしが帰ってくるという意味である。但しそれは、旅行先から帰ってくるという意味ではなく、病院から帰ってくる事を示唆したものだ。実は修平の夏休み期間中に、延ばし延ばしにしていた心臓の手術をつくしは受けている。体力、気力、抵抗力のあるうちに手術をした方が延命率も高い。本来あるべきカタチに収まり、...父さん頑張れ11

  • 暑い日

    皆様、いかがお過ごしでしょうか。暑い日が続いておりますが、体調を整えて乗りきりましょうね。夏好きな私も、この暑さには参っております。そのせいで、創作が進まない進まない。基本的には、紙に書き起こしてから一度推敲し、携帯でポチポチ投稿(非公開)してから再度、推敲して公開するという手順を踏んでおります。・・・が!夏はさすがに紙に書き起こす気力もなく、メモ帳のアプリでチマチマ書き溜めてから投稿するパターンばかりになってます。・・・が!この暑さで集中力が低下するは、メモ帳アプリに文章打ち込んでると、携帯が熱くなってくるはで中々進みません。ええ。皆様お察しの通り、言い訳でございます(笑)そんな中でも「父さん頑張れ」の11話は書き終えましたので、推敲してからアップしますね。・・・近日中に。それでは皆様、ごきげんよう。暑い日

  • 六花の軌跡【魅悠】 6

    「遂に冬眠から目覚めたんだね。そう彼女に言われてやっと、俺は気付いたんだ」「何に気付いたんですの?」「単なるダチじゃなく、一人の女性として悠理を見てたって事にな。しかも、我を見失いそうになるくらいに」無意識のうちに抑えこんでたんだろうな。悠理に対する想いを。有閑倶楽部内での均衡を保つ為に。だから、彼女の言う深意に気付けなかった。しかし───「悠理への想いに気付いた以上、そ知らぬ顔して彼女と付き合う事は出来ねぇ。自分の心を偽ってまで彼女と付き合うってのは、彼女に対して失礼だ」「では、正直に『別れて欲しい』と言いましたの?」「いや。向こうから『別れて欲しい』って切り出してきた」彼女は大の少女漫画好きで、そういう世界に憧れを抱いてたんだと。そんな中、俺との出会いが運命的なものに思えたらしくて、好きになったそうだ。いや...六花の軌跡【魅悠】6

  • 相合傘(あきつく)

    雨の降る日は嫌いだった。だって、辛くて悲しくて苦しかった出来事を、思い出してしまうから。でも、今は───「今日は、鎌倉にあるレストランに行ってみないか?」「鎌倉のレストラン?」「ああ。雨の日に来店して食事をすると、10%割引になるんだってよ」「わぁ!」「つくし、好きだよな?割引」「もちろん大好き!」「よし!じゃ、行くか」「うん!ありがとう、あきらさん」いつだって貴方が傍にいるから。だから私は、雨が降っていても平気。憂鬱な気持ちにはならないの。それに、貴方に告白された日も、初デートの日も、初お泊まりの日も、全て雨の日だったでしょ。だから私は、雨が降っていても大丈夫。そう言えば、告白された日はしとしと雨が降っていたっけ。相合傘をしながら帰路に着く途中、さりげなく『好きだ』と言われたのを、昨日の事のように覚えている。...相合傘(あきつく)

  • うまずたゆまず(あき→つく←総) 5

    「私の人生に関わらないで下さい」そんな思いもよらぬ言葉を投げつけられ、動揺するなと言う方が無理である。現に、取りつく島もないほどつくしに拒絶されたあきらは、驚愕のあまり全身を戦慄(わなな)かせている。おまけに、口の中がカラカラに渇き、まるで舌の根が喉に貼りついたかの様に、言葉が出てこない。そんなあきらの姿を一瞥したつくしは、再度同じ言葉を口にすると、必ず私の望みを叶えてほしいと付け加えた。しかし───「い・・・やだ」「えっ?」「嫌だ。そんな事・・・できな・・・い」やっとこさ絞り出すように声を出したかと思うと、自分の要求を突っぱねてきたあきらに、つくしは眉間にシワを寄せ不快感を露にした。「何故?」「何故って、それは───」「左目だけではあき足らず、右目の視力も奪わないと気がすまない。そういう事ですか?」「バカを言...うまずたゆまず(あき→つく←総)5

  • うまずたゆまず(あき→つく←総) 4

    「何で親父がここに!?」「それはこちらのセリフだ。あきら、何故ここにいる」「何故って・・・牧野に会いに来たんだよ」「牧野さんに会いに?牧野さんに会ってどうするつもりだ」「どうするって、直接会って謝る為に来たんだけど」「それで?」「はっ?」「自己満足の為に謝罪して、それで終わりか?自分が楽になりたい、罪の意識から解放されたいが為の謝罪か?牧野さんの気持ちも考えず自分都合で謝って、その後は知らぬ存ぜぬを通すつもりか?牧野さんの都合はお構い無しか」「親父!」「謝罪した後、どう償うつもりだ。まさか、謝って幕引きするつもりじゃないだろうな!?牧野さんの左目の視力を奪い、人生を狂わせた加害者なんだぞ!?あきらは」「!!俺は───」「・・・入って下さい」「「「えっ?」」」「・・・そこは目立つし他の人に迷惑がかかるから、入って...うまずたゆまず(あき→つく←総)4

  • うまずたゆまず(あき→つく←総) 3

    運命を変える出会いとは、案外こんなものかもしれない。品のある夫婦に連れ出され外出したつくしは、散歩中に偶然、古めかしい寺を見つけた。お世辞にも豪華だとは言えない造りだが、手入れは行き届いていて小綺麗な寺である。豪奢とは真逆の地味な佇まいのその寺に、つくしはひどく惹かれた。「牧野さん、急に立ち止まってどうしたんだい?」「このお寺がどうかしたの?」「えっ?中に入るのかい!?」「ま、待って!?牧野さん」夫婦の言葉も耳に入らない。街中の喧騒も、自然が奏でる音も同じく耳に入らない。まるで魂が吸い寄せられるかの様に、ここに呼ばれているかの様に、つくしは足早に寺の門をくぐり境内へと歩みを進めた。すると、そこに現れた風景は───『祇園精舎の鐘の声諸行無常の響きあり沙羅双樹の花の色盛者必衰の理をあらはす』境内に作られた簡易的な舞...うまずたゆまず(あき→つく←総)3

  • うまずたゆまず(あき→つく←総) 2

    「謝って済む話ではないが、それでも謝らせてほしい。此度の左目失明の件、本当に申し訳ありませんでした。牧野さんに対し、取り返しのつかない事を息子が仕出かしてしまいました。償える罪でないことは重々承知していますが、それでも私達に償わせてほしい」「本当に・・・本当に申し訳ありませんでした。牧野さんの左目が・・・左目の視力が失われた原因を息子が・・・ほ、本当にご、ごめんなさいっ!母親である私からもお詫びさせて下さい」「・・・」完全に心を閉ざしてしまった今、どんな言葉も胸に響かないし、届かない。何も感じないし思わない。喜怒哀楽が抜け落ちたような感じだ。そんなつくしの心情を知ってか知らずか、いかにも上流階級に属するといった風体の夫婦は、彼女を気遣いながら言葉を続けた。「体調の方はどうかな?食事はちゃんと摂れてるかい?」「何...うまずたゆまず(あき→つく←総)2

  • うまずたゆまず(あき→つく←総) 1

    正論を述べたまでの事。いかんせん、述べた相手が悪かった。常識が通じず、自分の思い通りにならないと、暴力でねじ伏せ排除する。そんな圧政者によって、牧野つくしの人生は狂わされた。圧政者から発令されたイジメを指示する赤紙により、つくしの左目は光を失ったのだ。「貴女のご両親にお金を要求されたから、慰謝料として1億円、それとは別に、見舞金として5千万円も併せて支払いました。貴女にその金額分の価値があるとは思えないけど、しつこく付きまとわれるよりはマシですから。それにしても貴女のご両親、下品ね。謝罪よりお金を要求するなんて」これでもう二度と、司とは関わらないでちょうだい。迷惑するから。分かったわね!?蔑むような目でそう言い放った道明寺財閥の鉄の女は、数多の部下を引き連れ病室から立ち去った。ただただ、惨めだった。鉄の女に何一...うまずたゆまず(あき→つく←総)1

  • 黒部屋に話をアップしました

    皆様、いかがお過ごしでしょうか。雨の被害が拡大してますね。決して他人事ではありません。気をつけようにも自然災害に対し、どう気をつければよいのやら。途方に暮れます。今はただ、これ以上被害が広がらない事を願うばかりです。話は変わりますが、黒部屋に話を1本アップしました。今回は(あき→つく)です。あきらをブラックにするのは、やっぱり難しかったです。最初に「る」がきて、最後に「い」がつく名前の人なら、悩む事なくサクサクっとブラックに出来るんですけどね(笑)何だか支離滅裂な内容の話になっちゃいましたが、宜しければ読んでみて下さいね。黒部屋に話をアップしました

  • あきつく&魅悠の妄想話

    自然災害やコロナなど、心が痛む事柄が増えてますね。これから台風シーズンにも入ってきますし、これ以上被害が増えないよう祈るばかりです。こんな大変な時に呑気に話なぞ・・・と、思われるかもしれませんが、どうかご容赦下さいませ。今回は「あきつく」【魅悠】に関する事をダラダラ述べて参ります。興味ない方は回れ右でお願いしますね。中将の中での「あきつく」【魅悠】設定というのがあります。それは、あきらと魅録が親戚だというものです。有閑倶楽部の原作にもありますが、魅録の母親である千秋さんの実家は、和貴泉倶楽部というリゾート開発の会社を経営する元華族です。で。千秋さんの妹が、あきらの母親だと勝手に設定し妄想しています。千秋さんは警視総監の嫁だというのに、(名目上は仕事で)世界中を飛び回り家に不在しがち。元華族のお嬢様なのに遊び人(...あきつく&魅悠の妄想話

  • 沈め屋(花男CPナシ) 説教後篇

    「今夜、ウチに来て。お願い」小首を傾げながらにっこり微笑み、そんな可愛らしい言葉を口にする女を無視する程、この男は出来ちゃいない。むしろ、ホイホイのこのこ下心満載でやって来る。何せ、密かに好意を抱いている女からのお誘いだ。これを受けずして何とする。据え膳食わぬは男の恥。などと、自分に都合の良い言葉を胸の内で羅列しながら足取り軽くやって来たボンボンは、幾分鼻息を荒くしながらインターホンを鳴らした。『はい』「俺だ。開けてくれ」『俺?俺なんて名前の人、知りませんけど』「つくしちゃんをこよなく愛する男です。お誘い頂いたのでやって参りました」『該当者が多すぎて分かんないなぁ』「てめっ・・・そんなにいるのか!?俺以外の男が」『ちょっと!人を淫乱みたく言わないでよ!大体ね、男に捨てられた私が男っ気あるわけないでしょーが』「該...沈め屋(花男CPナシ)説教後篇

  • 沈め屋(花男CPナシ) 説教前篇

    沈め屋とは───金ナシ・家ナシ・男ナシの3ナシづくしの崖っぷち厄年女が、ワケあり物件に住んで、成仏出来ずにこの世をさ迷っている霊をグーパンチ(力ずく)で沈めて成仏させる事を言う。捉え方によっては『家ナシ』ではなく『家アリ』なのだが、霊を浄化させた後は次なる物件へ引っ越し・・・移動するので、ひとつ所に定住出来ないという意味では『家ナシ』で正解である。さて、そんな沈め屋である崖っぷち女、牧野つくしは、新たに住み始めた物件で例の如く霊と対峙していた。が、今回ばかりは勝手が違うのか、つくしも幾分困惑気味だ。『あ、あの!貴女が悩みを解決して成仏させてくれると評判の、牧野さんですか!?』「うえっ!?」『今か今かとお待ちしておりました』「お待ちしておりましたって・・・」『是非、私の話を聞いて欲しいんです。そして、怨みを晴らし...沈め屋(花男CPナシ)説教前篇

  • 秋は夕暮れ【魅悠】

    「夕日の差して山の端いと近うなりたるに、からすの寝所へ行くとて~って言うけどよ、ホントだよな」「はっ?」「山の端に夕日が差した時、二、三羽のカラスが寝所に帰る姿は、確かに趣があるよな」「・・・また枕草子?」「おっ!分かってきたか」「まあな」だから、前から分かってるっての。知らないフリしてるだけだ。しかしさぁ、相変わらず魅録ってばズレてるよな。二、三羽のカラスなら趣あるかもしんないけど、うちらが見てる光景は、どう見ても大群じゃん。しかも、寝所に帰るどころか、都心でメシの在処を探してる集団じゃん。コレのどこに趣を感じるんだよ。マジで魅録の感性が分かんねぇ。「秋の夜長に聞こえる虫の声や風の音も、またいいもんだよな」「うん」あ、それは分かる。秋風にそよぐ音も虫の音も、耳にすると不思議と心落ち着くんだよな。と同時に、ほん...秋は夕暮れ【魅悠】

  • 慕情残火(あきつく) 8

    「決めた!私、告白する」「「「はっ?」」」「このままじゃ、余計に想いが募って自分が苦しくなる。後にも退けず先にも行けず、八方塞がり状態がずっと続く。だったら、玉砕覚悟で美作さんに当たって砕けろ。そう西門さんに指摘されたから・・・って訳じゃないけど、背中を押してもらったからさ。だから、自分の為にも美作さんに告白する!」「方向転換しすぎやろ。振り切れすぎや」「極端すぎるわ」「1か100しかないの?50はないんか?牧野には」ノゾヤ、難波、山科が飽きれ顔でそんな事を言うけど、仕方ないじゃん。これが私の、持って生まれた性格なんだから。ついウジウジ悩んじゃって、自分の気持ちから逃げる為に関西にある大学に進学しちゃったけど、それじゃあ何の解決にもならないよね。薄々自分でも気付いてたけど、みんなに指摘され、西門さんに止めを刺さ...慕情残火(あきつく)8

  • 六花の軌跡【魅悠】 5

    息をしていないのではないかと見紛うくらい、青白い顔で寝ている悠理を目にした俺は、心が千々に乱れそうになるのをグッと堪えながら、その枕元に静かに座した。そして、震える指先で悠理の頬に触れ、生を感じる温もりを実感すると、無意識のうちに安堵の溜息を漏らした。───よかった。ちゃんと息をしている。手の届かぬ所へ召されなくて、本当によかった。心底そう思うと同時に、ここまで悠理を追い詰めてしまった自分に、そこはかとない怒りを覚える。いくら守秘義務を伴う仕事とは言え、コイツをここまで傷付け苦しませる必要があったのか。せめてコイツにだけは、ある程度打ち明けてもよかったのではないか。いや、例え身内にでも極秘捜査の内容は教える訳にはいかない。そんな複雑な思いが交錯する中、俺は悠理の温もりに触れたい一心で、コイツの頭をそっと優しく撫...六花の軌跡【魅悠】5

  • 父さん頑張れ 10

    「・・・おい。何で修平が、類の膝の上に乗ってんだよ。おかしいだろ」「別におかしくないよ。ね?修平君」「うん!」初対面の人間、特に大人に懐く事など皆無な人見知りの修平が、ほんの数十分で類には懐いた。それは類にも言えて、子供など好きではない彼が、修平にはすぐ心を開き可愛がった。これは本当に珍しい光景だ。類はいざ知れず、修平に関しては初めてと言っていいくらいの姿だ。実の父親である総二郎にさえ、しばらくは懐かず距離を置いていた修平が、類には自ら近付きすっかり打ち解けている。当然、総二郎にはそれが面白くない訳で、自然と類に対しても口調がきつくなり、態度も硬化する。「あきらと司はどうしたんだよ。一緒に来たんじゃねーのか」「あきらに司を押しつけて、俺だけ先に来た」「はぁ!?何やってんだよ、お前は」「当然だろ?だって、あきらん...父さん頑張れ10

  • 父さん頑張れ 9

    紆余曲折あれど、総二郎がつくしと結婚し、正式に修平の父親となってから1ヶ月が経過した。初めのうちは修平から「僕の大好きなお母さんを独り占めするオジサン」と警戒されていたものの、今では立派なお父さん子に成長し、総二郎もいたくご満悦の様子だ。さて、そんな仲睦まじい牧野家に本日、来客がやって来るという。「え~!?けんたろーとキャッチボールしたかったのに~」「ゴメンね、修平。健太郎君とはいつでもキャッチボール出来るから、今日は我慢してくれる?」「・・・わかった。じゃあ、がまんするから、おかーさんのハンバーグたべたい」「えっ?」「おかーさんがハンバーグつくってくれたら、がまんするよ、ぼく」「分かったわ。じゃあ、今夜はハンバーグにするね。お父さんと一緒に作るから、楽しみにしててね」「やった~!」「おいっ!?俺も作るのかよ」...父さん頑張れ9

  • 夏は夜【魅悠】

    「雨など降るもをかしって言うけど、まあ納得だな。月明かりは消えちまうけど、夏の夜に降る雨には趣がある。そう思わねぇか?悠理」「何だよソレ」「何だよソレって・・・だから、枕草子だよ」「美味いのか?」「バ~カ!枕草子は食いモンじゃねえっての」そう言いながら魅録は、前回に引き続き今回もあたしの頭を小突いた。バカはどっちだっての。あたしだって、枕草子くらい知ってるわい。わざと知らないフリしてるだけだぞ!?だってさ、もしあたしが「枕草子くらい知ってるわい」って言ったら、「何で知ってんだよ」って絶対聞いてくるだろ?そうしたら、あたしは誤魔化しきれない。大好きな魅録が読んでたから、あたしも必死になって読んだんだって事を。だから言わないんだ。「月が輝く満月だろうと、月が出ない新月だろうと、ホタルが飛んでる光景はいいよな」「・・...夏は夜【魅悠】

  • 父さん頑張れ 8

    溺愛する長男の息子を次期家元に。そんな御家騒動にもなりかねない野望を抱く家元であったが、その野望に真正面から異を唱える者が現れた。それは、「家元夫人だ」総二郎の母親でもある家元夫人だった。「西門さんがいるのに、お兄さんの子供を次期家元にするのはおかしいって言ったの?家元夫人は」「いや、違う」「えっ!?」「兄貴の息子を次期家元にするのではなく、弟の・・・三男に跡を継がせるのが筋だろうって言い出した」「なっ!?何でそんな───」「兄貴が家を出た際、俺が『跡は継がない』ってハッキリ言ったからだ。だから、あの二人には俺が跡を継ぐっていう選択肢は全くなかったんだよ」それに加え、家元夫人は三男を溺愛している。だから余計に、三男に若宗匠を継承してもらいたいのだろう。「例えばの話、俺が若宗匠を継承する腹積もりでいたとしても、あ...父さん頑張れ8

  • 父さん頑張れ 7

    「ありがとう。後は、この部屋に誰も近付けないで下さる?用があれば、こちらから呼びますから」「かしこまりました。では、失礼致します」二人分のお茶とお茶請け、そして追加のお茶請けを運んできた係員にそう指示した夢子は、彼が部屋から立ち去り、その気配が完全に消え去るのを待ってから話を切りだした。「元気そうで何よりね、つくしちゃん」「あ、はい!」「今日は無理言って、時間作らせちゃってごめんなさいね。しゅ・・・子供は大丈夫?」「はい。友達にお願いしました」「そう。色々と話を聞きたいところだけど、時間に限りがあるから早速本題に入──」「あ、あの!その前にいいですか?」本題に入る前に先に話をさせて欲しいと要求するつくしに、話の腰を折られた夢子は嫌な顔一つせず頷いてみせた。「さっきはお見苦しいところをお見せして、本当にすみません...父さん頑張れ7

  • 春はあけぼの【魅悠】

    「紫だちたる雲の~なんて言うけどよ、本当だな。夜空と朝陽が混じった紫色の雲は、最高に綺麗だ。春はやっぱり明け方の空が一番だと思わねぇか?悠理」「何だよソレ」「何だよソレって・・・枕草子だよ」「枕草子?饅頭の商品名か?」「バ~カ!違ぇよ」なんて言いながら、魅録はあたしの頭を軽く小突いた。どうせ、バカなあたしが枕草子を知ってるワケないと思ってんだろ。バカはどっちだっつーの。枕草子くらい知ってるわ。ん?何故、バカなあたしが知ってるのかって?そんなの決まってら。大好きな魅録が、生徒会室で枕草子を読んでたからだよ。やっぱりさ、好きなヤツが読んでるものって知っておきたいじゃん。どんなものに興味を持って、どんなものを好きなのかって。だから必死になって読んだんだよ。少しでも魅録に近付きたい一心で。なんて、魅録はこれっぽっちも気...春はあけぼの【魅悠】

  • 父さん頑張れ 6

    普段口にする事のない高級な茶菓子を食べ、茶で喉を潤したつくしの耳に、この個室に近付く足音が聞こえてきた。「夢子さんが来たのかな・・・ん?夢子さん以外の足音もするけど・・・誰?」軽やかにヒールの踵(かかと)を鳴らし、こちらにやってくるのは夢子だと分かるが、もう一人の靴音が誰のものなのか分からない。靴音からするに、男性であるのは間違いないが、随分と落ち着きのない歩き方をするなとつくしは思った。「さっきの係員さん・・・にしては、せせこましい歩き方よね。こんな落ち着きない歩き方するかなぁ」自分をここに案内してくれた係員さんは、もっと優雅で品のある歩き方をしていた。今、聞こえてくる靴音とは雲泥の差だ。もしかしたら、先程とは違う係員さんが夢子さんをこちらに案内しているのかもしれない。などと、心の中で自己解決したつくしは、夢...父さん頑張れ6

  • 父さん頑張れ 5

    立春も過ぎ、町の空気も何処となくバレンタイン一色に染まりつつある中、つくしの顔色はどこか冴えない。と言うのも、昨年夢子にした相談事が、何一つ解決していないからだ。手術の件もそうだが、何より一人息子である修平の行く末が全くもって決まっていない。それが一番の懸念材料である。「夢子さんにそれとなく聞いても、『心配しないで。あと少しで解決するから大丈夫よ』の繰り返しだし」そもそも、何が解決するの?私の手術の事かしら。それとも、私がこの世から去った後の、修平の今後について?いやいや。もしかしたら、両方いっぺんに解決するって意味かもしれない。などと、頭の中であれこれ考えているうちに目的地に到着したつくしは、先方から指定された場所へと歩みを進めた。実は一週間ほど前、つくしは夢子から電話をもらっている。その内容は、「つくしちゃ...父さん頑張れ5

  • 父さん頑張れ 4

    心臓病を患っていて、手術をしても長生き出来ない。その様な話を聞かされ、平常心でいられるはずがない。少なくとも、つくしと関わりのあった総二郎やあきらには到底無理な話だ。案の定、総二郎は顔を強張らせ固まっているし、あきらもあきらで顔をひきつらせている。そんな二人を交互に見やった肇は、軽く息を吐いてから言葉を続けた。「学生時代からの無理が祟ったのか、心臓が弱くなったそうだ。聞くところによると、相当数のアルバイトをこなしていたそうじゃないか、牧野さんは」「「・・・」」「しゅ・・・子供を産んで、更に体調を崩しやすくなったみたいでね。その辺は、私よりママの方が詳しいんじゃないかな。どうだい?ママ」「・・・そうね。パパよりは知ってるわ」家族がつくしに頼りきっていた事も、そのせいでつくしが馬車馬の様に働かなければならなかった事...父さん頑張れ4

  • 父さん頑張れ 3

    「つくしちゃんと、つくしちゃんの子供を守る為よ」思いもかけぬ言葉を耳にし、総二郎の思考回路は停止した。さもあらん。予想の斜め上をいく返事が返ってきたのだから。つくしの身の上だけではなく、その子供の身の上まで案じ、守っていたと言われたのだから。その衝撃の事実に驚愕したのは、何も総二郎に限った事ではない。隣に座るあきらも同様に、目を大きく見開き固まっている。そんな総二郎とあきらに、「つくしちゃんと、つくしちゃんの子供を守る為、情報を撹乱させたわ」言い含めるかの様に、夢子は静かな口調で告げた。そんな夢子の言葉を耳にし、冷静さを取り戻したのはあきらである。当事者ではない分、頭の切り替えも早かった。「牧野に子供がいるって事は、結婚してんのか?」「牧野さんが結婚してるなら、私達が情報を操作する必要はないだろ?」「・・・」「...父さん頑張れ3

  • 慕情残火(あきつく) 7

    「ところでさ、こんなに大騒ぎしてても誰も様子を見に来ないけど、みんな何処に行ったの?ノゾヤ」「檀家さんが夏野菜を分けてくれるからって、掃除の前に叔父さんと難波、山科がもらいに行ったわ。それを知ったオトンも、そっちに行きよったで」「ちょっと。難波と山科、何をシレッと掃除をサボッてんのよ。ちゃっかりしてるな~」二度も気を失い、西門さんやノゾヤと他愛もない話をして、いたずらに時間を費やした私が言うのもなんだけど。「心配せんでも、あの二人にはちゃんと掃除してもらうから」「へいへい」「私は庭を掃除してくるから、牧野は本堂を頼むな」そう言い残して、ノゾヤは本堂を出て行った。となると、残されるのは私と───「おい。何で俺まで掃除しなきゃなんねーんだ」「ぶつくさ文句言わない!仏様に失礼でしょ」「仏様の前でぶっ倒れたり、大声出し...慕情残火(あきつく)7

  • 父さん頑張れ 2

    美作邸にお邪魔した総二郎が目にしたものは、穏健な人物として名高いあきらの父親である肇と、ふんわりとした空気感を持つあきらの母親、夢子の姿であった。二人は並んでソファに腰掛け、来訪者である総二郎を招き入れた。「急に悪かったね、総二郎君」「いえ、大丈夫です」「あきら、誰にも気付かれなかったかい?」「ああ。その点は、オフクロに念を押されてたから大丈夫だ」「だ、そうだ。安心していいよ、ママ」「・・・そう」あきらの父親である肇は兎も角、母親の夢子のそっけない態度に違和感を覚えた総二郎は、隣に立つあきらに耳打ちした。「なあ。お前のカァチャン、何か機嫌悪くねぇか?」「みたいだな」「何かしたか?俺」「俺が知る訳ないだろ。少なくとも、お前を迎えに行く前までは普通だったぞ」息子のあきらでさえも、母親のこの素っ気ない態度に戸惑いを覚...父さん頑張れ2

  • 父さん頑張れ 1

    忽然と姿を消した彼女の足跡すら追えない事に、総二郎は焦燥し焦心した。いや。厳密に言えば、未だに焦燥し焦心して「いる」のだが。それは、彼女が行方を暗まして7年経った今でも変わらない。何一つ情報が得られず、日に日に苛立ちは募るばかり。どうして突然、彼女は自分の前から姿を消したのか。何でいきなり、彼女は自分に何も告げずいなくなったのか。いくら考えても答えは見つからない。まるで、神隠しに遇ったかの様に、いきなり消えてしまったのだ。何の前触れもなく、ひっそりと。誰にも気付かれる事なく。前日まで会っていたというのに、これっぽっちも彼女の異変に気付けなかった。だから余計に、苛立ち腹立たしくなる。何も見抜けなかった己自身に。しかし、いくら嘆き暮らしていても、彼女が見つかる訳ではない。そう自身を奮い立たせた総二郎は、暗中模索しな...父さん頑張れ1

  • 父さん頑張れ(総つく) 序章

    「お母さん、ただいま!」「おかえりなさい」「あのね、テストで98点とったよ」「すごいじゃない!頑張ったわね」「うん!だからね、お母さんにおねがいがあるんだけど・・・」「あら、なあに?」「けんたろーとキャッチボールしてきていい?」「健太郎君と?」「うん!」「いいわよ。車に気をつけて行ってきなさい。後、暗くなる前に帰ってくるのよ?それから───」「わかってるよ、お母さん。じゃ、いってくる!」「あ、こら!ランドセルをいつもの場所に置いてから───」「お母さんが置いといて」「もう!ちょっと待ちなさい、修平」「なに~?ぼく、早く行きたいのに」「ほら、この飲み物を持って行きなさい。健太郎君の分もあるから、仲良く飲むのよ?」「やった~!お母さん、ありがとう。じゃ、行ってくるね」「いってらっしゃい。気をつけてね」可愛らしい笑顔...父さん頑張れ(総つく)序章

  • 進捗状況について

    皆様こんばんは。中将です。本日も足をお運び頂き、ありがとうございます。突然ですが、現在の進捗状況をば。★慕情残火(あきつく)→8話に取り掛かるところ。7話はストック中。★六花の軌跡【魅悠】→5話執筆中。★こんこんちきLOVER【魅悠】→手付かず。です。遅筆で申し訳ありません。どうか皆様、生暖かい目でお見守り下さいませ。なんて事を言っておきながら、また新作を一つ増やそうとしてます。連載を完結させる気があるのか!?私。新作は(総つく)です。旧ブログで一番の人気作品だった、『母さん見てる?』に、類似した話になります。大まかな骨組みは一緒ですが、総二郎が主点の内容になる予定です。違う視点から書き直してみたいなと、急に思い立って書き始めました。類似したとは言いましたが、『母さん~』の内容やシチュエーションとは違ってきます...進捗状況について

  • 能事いい感じ(CPナシ)

    「本日はお日柄もよく───」「幾久しくお納め下さい──」結納時の口上が、静寂に包まれた高級旅館の一室で響き渡る。豪華な結納品に、厚みのある御袴料。男性が女性の家に婿入りする為、通常の倍以上の御袴料が男性側の家に納められた。「本日は誠にありがとうございました。無事、結納をお納めすることが出来ました。何卒、幾久しく宜しくお願い申し上げます」結びの口上をしたところで、両家の緊張感がふと和らぐ。この様な場は、婿を迎え入れる側は一生に一度の、婿に出す側は初めての経験とあって、やはり常ならぬ緊張感を身にまとっていたようだ。それを証拠に、婿取りをする女性側の両親は、結納の儀を無事に行えたと同時に、安堵の溜息を漏らした。「いやはや。この様な場は初めてでして、いつになく緊張致しました」「本当に。この子が何か仕出かすのではないかと...能事いい感じ(CPナシ)

  • 黒部屋に話をアップしました

    黒部屋に話をアップしました。パスワードがかかってる為か、記事を投稿しても普通に反映されないんですね。前にも記事にしましたが、黒部屋へのパスワードは9696(くろぐろ)です。今日アップした話は、何年か振りのブラック類です。類のイメージを崩したくない方は、回避して頂けると助かります。尚、読まれた後の苦情は受け付け致しません。あしからず。黒部屋に話をアップしました

  • 『総つく』について

    皆様、ご機嫌いかがでしょうか。朝晩の寒暖差で体調崩さない様、お互いに気をつけましょうね。さて、今回は『総つく』について書いていきます。前回の『あきつく』に続き、大した事は書いてませんので、興味のない方は回れ右でお願いします。旧ブログでも総つく話を書いておりましたが、ズバリ申し上げますと・・・総つくを妄想する箇所が、原作本の中にはありませんでした。何だか二人とも、友達以上の感情は抱かないんじゃないかなと思ったんです。仮に恋愛感情を抱いたとしても、つくしが総ちゃんに・・・ならあり得そうなんですが、逆は難しそうだな、なんて思ったりして。ですので、当初は総つく話を書いてなかったんです。あくまで私見で述べてますので、ご容赦下さい。反論もあろうかと思いますが、ぐっと堪えて頂けると幸いです。では何故、そんな私が総つく話に手を...『総つく』について

  • 慕情残火(あきつく) 6

    「器用に二度も気を失うなんて、ホントすげぇな」「ホンマやで。牧野の特技が失神だって聞いても、普通に納得してしまうわ」スミマセンね、二度も気を失ってしまって。別に、好き好んでやってる訳でも、私の特技でも何でもないんですけどね。気を失うって行為は。ただ、あまりにも予想外な事を言われ驚きすぎただけで、意図的に気を失った訳じゃないんですよ、ホント。って言うかさ、あの場面で驚くのは当然じゃね!?むしろ、驚くなって言う方が無理あるわ。だってさ、私が美作さんを好きだって事がバレてたんだよ!?しかも、当の本人である美作さん以外の人間に。そんなの、誰が予想出来るって言うのさ。宝くじで1億円当てるより難しいわ。「いや、宝くじで300円当てるより簡単だぞ?」「ええっ!?」「お前、分かり易すぎ。絶対に女優には向かねぇわ。大根役者にも程...慕情残火(あきつく)6

  • 能事終われり(CPナシ)

    ※司がオリキャラと結婚します。ご注意下さい。人間万事塞翁が馬とはよく言ったもので、本当に人の人生などどう転ぶのか分かったものじゃないと、牧野つくしは常々そう思っている。世間を騒がせた道明寺財閥のお坊っちゃまとの恋も、結局は数年もたずに終止符を打った。原因はいくつか重なったが、最大の原因となったのが遠距離。東京とニューヨークという距離の壁は、庶民の雑草パワーや野獣の破壊力を持ってしても、打ち破る事は出来なかった。ただ「好きだ」という気持ちだけでは、どうにもならない状況がある。本人達だけではどうにもならない、世界情勢の変化というものがある。一つ歳を重ねる度に、周りの環境が変わる。それを肌で感じた。嫌になるくらいに。だから、結果的にニューヨークの野獣と友達関係に戻れたのは、互いにとってベストだったんじゃないか。少なく...能事終われり(CPナシ)

  • 『あきつく』について

    いつも足を運んで下さり、ありがとうございます。拙い作品ばかりで恐縮ですが、少しでも皆様に楽しんでもらえたらと思っております。当サイトは、花男では『あきつく』、有閑では『魅悠』をメインに掲げておりますが、今日はそのうち『あきつく』について書いて参ります。前もって記しておきますが、大して面白くもない事を述べていきますので、興味のない方は回れ右でお願いします。私が『あきつく』もアリじゃないかと思ったキッカケは、花より男子の単行本36巻のプロムの場面。つくしが胸の内で言った、「たぶんF4の中で一番大人」という言葉と、二人がダンスを踊ってる姿が、何だか私的にはツボでした。そして次に「おっ?」と感じた場面は、静の結婚式に参列する為にフランスに行った、単行本37巻でのヒトコマ。銅像と写真を撮りたがるつくしが、あきらを巻き込ん...『あきつく』について

  • 慕情残火(あきつく) 5

    ほんの数分か数秒か、自分ではよく分からなかったけども、兎にも角にも気を失っていたらしい。器用に竹箒を持って、突っ立ったままの状態で。「よくあんな姿勢で気を失えるよな。ある意味、器用すぎるだろ」「ホンマやで。びっくりしたわ」「・・・すんません」気を失った私を本堂まで運んでくれたという西門さんと、そんな私を団扇であおいでくれてたらしいノゾヤの二人に、何と言葉を返せばいいのか分からぬまま、ただひたすら頭を下げた。って言うかさ、あの場面で驚くのは当然じゃね!?むしろ、驚くなって言う方が無理あるわ。だってさ、ノゾヤと西門さんが親戚なんだよ!?そんなの、誰が予想出来るって言うのさ。万馬券を当てるより難しいわ。と、心の中で悪態をついた私は、言い返したい気持ちをぐっと堪えながら、二人の会話に口を挟む事なく耳を傾けた。「しょこチ...慕情残火(あきつく)5

  • 触れたい月 後篇(あきつく)

    一緒に帰ろうなって言ってたけど、そもそも私と美作さん家って逆方向じゃん。だから一緒になんて帰れないよ。無理無理。と、お店の裏口で泣く泣くお断りしたんだけど、「俺ん家に来いよ。みんなでこの和菓子食おうぜ。心配しなくても、帰りは車で送るから」「みんな?」「オヤジがさ、和菓子食いたいって言い出したんだよ。それを聞いたオフクロと妹達も食べたいって言い始めてさ。だったら、牧野がバイトしてる店で買って、牧野も一緒に家で食べればいいんじゃねーかって話になったんだよ」「本当!?嬉し・・・いやいや、こんな時間帯にお邪魔したら迷惑じゃん」「こんな時間帯って、まだ夜の7時過ぎだぞ?」「いや、でも、夜にお邪魔するのは失礼だし」「俺も俺の家族も、迷惑だとも失礼だとも思ってないから。逆にみんな、牧野が来るのを楽しみに待ってる」「う、う~ん...触れたい月後篇(あきつく)

  • 触れたい月 中篇(あきつく)

    団子や饅頭を売りに売りまくってやる。なんて息巻いてたけど、よくよく考えたら、バレンタインデーに和菓子屋にお客さんが殺到する訳ないのよね。来訪するのは常連さんと、お使いで利用する少数のお客さんだけ。売りまくるにしても、限度がある。だから当然、閉店間際になっても売れ残りの商品が出てくる訳で。「牧野さん、好きな商品を持ち帰ってもいいわよ」「えっ?」「売れ残りで悪いけど、私からのバレンタインデーよ」「いいんですか!?ありがとうございます、女将さん」やったー!本当に嬉しい。これはきっと、真面目に働く私にバレンタインの神様が、ご褒美と称してプレゼントしてくれたに違いない。ま、実際にプレゼントしてくれたのは、女将さんなんだけど。バレンタインの神様なんて、いるのかいないのか分かんないけど。「5分ほど早いけど、閉店しようか。もう...触れたい月中篇(あきつく)

  • カテゴリ「黒部屋」について

    まだ作品は置いてませんが、当ブログには黒部屋なるカテゴリがあります。これは、Yahoo!ブログ「たゆたふ」に設置していたカテゴリで、その名の通り「黒い話」ばかりを詰め込んだ部屋になります。過去の黒部屋の主な住人(?)は、花沢さん家の類くんでした。それはもう、黒部屋で大活躍(笑)他所様での類くんは、爽やかで優しくて・・・といった感じのお話が多いだろうと思いますが、当方では全く逆のブラック類くんが登場してました。引っ越し先の「ろうげつ」ブログで、ブラック類を登場させるかはまだ考えてません。仮にブラック類の話を書いたとして、風変わりな作品になるのは必至です。よって、類に対するイメージを壊したくない方にはオススメ出来ません。さて。前置きが長くなりましたが、黒部屋を設置した事をお知らせしました。更にパスワードもつけました...カテゴリ「黒部屋」について

  • 触れたい月 前篇(あきつく)

    好きな男性に、女性からチョコレートを渡すという日本独特のイベント。そう。その名もバレンタインデー。誰にでも平等に与えられる権利だ。最近では「友チョコ」だの「自分へのご褒美チョコ」だの、色々な名目で色々な種類のチョコレートが販売されてるけど、やっぱりバレンタインデーと言えば「本命チョコ」でしょう。「で、手作りされたんですか?」「うん。ほら、甘いものは得意じゃないって前に言ってたじゃない?だから、お弁当を作ったんだ」「手作りのお弁当・・・」「あ、心配しなくても、それなりに値の張る食材を買って作ったから大丈夫。ま、アンタ達みたいなセレブからしたら、大した値段じゃないかもしんないけどさ」それでも私からしたら、清水寺の舞台から飛び降りるくらいの値段だったっつーの。普段行かないような高級スーパーなんかに行っちゃってさ。あー...触れたい月前篇(あきつく)

  • 慕情残火(あきつく) 4

    「私の実家、お寺やねん。静かな田舎にあるんやけど、よかったら泊まりに来ぃへん?」ノゾヤのこの発言により、私達仲良し四人組の夏休み計画が決まった。正に、渡りに舟。金銭的に余裕がない私と難波、そして、比較的余裕のあるノゾヤと山科の間で少し揉めてたんだよね。旅先をどこにするか、予算をどうするのかって。だから、ノゾヤのこの申し出は本当にありがたかった。だって、宿泊費はタダだし、交通費もそれほどかからないし。おまけに、ノゾヤの実家であるお寺は、京都に隣接してると言うし。きっと、それなりの名刹に違いない。京都やその周辺地域には、観光名所となっている寺院が沢山あるのだから。多分、ノゾヤの実家もそうなんだろう。そう勝手に思い込み、期待で胸を膨らませながらノゾヤの実家にお邪魔したんだけども───「・・・えっと、ここ?ノゾヤの実家...慕情残火(あきつく)4

  • ドンジリ 司篇(総+つく)

    「どうせまた、究極の選択でしょ?」「うっ!」「バイトの時間が迫ってるから、早くお題を出してよ」「お題って・・・お前なぁ」「するの?しないの?どっち!」「しますします」「じゃあ、とっとと始めてよ」「へーへー」「で?今回は何なの?」「嫁姑の仲がすこぶる良好、旦那様も優しくいつも一緒で笑顔が絶えない西門家か、嫁姑の仲は険悪、旦那様も粗野で気遣い一つ出来ない多忙な道明寺家。お前ならどちらの家に嫁ぐ!?」「う~ん」「さあさあ、どっちだ!」「道明寺家かなぁ」「何でだよ!」「仕事で行き詰まって旦那に相談したくても、多忙のあまりすれ違いばかり。何の相談も出来ない。そんな中、努力して頑張って自力で解決して、業績上げて結果を出したら、認めてくれそうじゃない?鉄の女って」「・・・」「例え最初は嫁姑の仲が険悪でも、仕事で成果上げたら多...ドンジリ司篇(総+つく)

  • 六花の軌跡【魅悠】 4

    あれだけ真っ直ぐに、ただひたすら魅録を恋ふ悠理に、何の不満があると言うのか。何故、悠理を裏切る様な真似をしましたの!?何故、面やつれさせるほど悠理を苦しめ、悲しませ、追い詰める様な真似をしましたの!?悠理の想いが重かった?負担だった?だから、他の女性と浮気したとでも言うのか。しかも、昔お付き合いされていた女性がお相手だなんて、悠理にとってこれ以上の屈辱はありませんわ。何という酷(むご)い事をなさいますのと気色ばむ私に対し、魅録は涼しげな表情でさらりと聞き流している。そんな姿が余計に私の怒りを煽るとも知らずに。いいえ、魅録の事ですもの。きっと、分かった上で敢えて、そんな態度を示しているのだろう。そう思うと更に、怒りがこみ上げてくる。許せない。あんなひたむきな悠理を傷つけ、平然としている魅録が許せない。誰が何と言お...六花の軌跡【魅悠】4

  • ドンジリ 類篇(総+つく)

    「選ぶならどっち!?」「はっ?」「究極の選択だよ!遠慮なく選べ」「またぁ~!?」「いいから選べ」「はいはい」「彼女が友達と遊びに行っても口出しせず、文句一つ言わない寛大な心を持つ西門総二郎か、彼女の言動を逐一チェックし、何もかもを把握したがる、束縛の強いストーカー気質の花沢類。お前ならどっちを選ぶ?」「はぁ!?」「どっちだ?」「あの面倒くさがりな花沢類が、彼女の言動を逐一チェックするとは思えないんだけど」「そんな細けぇ事はどーでもいいんだよ。いいから選べ。理解のある心の広い俺か、ストーカーチックな花沢類か」「そんなの選ぶまでもなく、花沢類だよ」「何でだよ!」「束縛が強いって事はさ、それだけ彼女に執着してるって事でしょ?滅多に人に心を開かず、他人に無関心なあの花沢類が、そこまで入れ込むだなんて凄いよね。相当、彼女...ドンジリ類篇(総+つく)

  • 六花の軌跡【魅悠】 3

    この数日、ろくに眠れなかったのだろう。泣きながら私にしがみつき、心の澱(おり)を吐き出した悠理は、泣き疲れてそのまま寝てしまった。目の下にクマを作り、頬が少しこけ、どことなく陰があり、頼りなさげな風情を漂わす悠理は、女性の私から見てもドキリとする程の色気を醸(かも)し出している。「食べる事しか興味のなかった悠理が、恋煩いに陥るほど魅録を深く想う日がくるだなんて、あの頃からは想像も出来ませんわ」男と恋愛なんて気持ち悪い。あたしは一生、独身でいるんだと豪語していた悠理が、いつの間にか魅録に恋をし、やがてそれが愛に変わって一人の女性として幸せを掴んだ。想い想われ傍に寄り添い、何の変哲もないまま、順風満帆な日々を過ごしているものだとばかり思っていたのに、まさかこんな事態に陥っていただなんて。「昔、お付き合いをされていた...六花の軌跡【魅悠】3

  • ドンジリ あきら篇(総+つく)

    「選ぶならどっち!?」「はっ?」「究極の選択だよ。遠慮なく選べ」「唐突に何を言い出すのよ」「いいから選べ」「はいはい」「他の女には目もくれず、超絶な愛妻家で家族愛の強い西門総二郎か、浮気ばかりして愛人を何人も作り、家庭を一切省(かえり)みない美作あきら。お前ならどっちを選ぶ?」「はぁ!?」「どっちだ?」「それ、逆じゃない?美作さんの方が家族愛に溢れてそうだけど。」「そんな細けぇ事はどーでもいいんだよ。いいから選べ。妻ひとすじの俺か、愛人まみれの美作あきらか」「そんなの選ぶまでもなく、美作さんだよ」「何でだよ!」「基本的に、情が厚くて深くて優しい人だからさ、美作さんって。きっと、誰に対しても全力投球なんだよ。例え愛人まみれだとしても、妻や子にもそれなりの情は抱いてると思う。あの美作さんが、家庭を省みないって事は考...ドンジリあきら篇(総+つく)

  • 六花の軌跡【魅悠】 2

    「あちらもあちらで、同じ事を感じたのかもしれませんわね」「同じ事?」「ええ。魅録にとって、悠理は唯一無二の存在なんだって事に。誰よりも大事にしている人だって事に。だから、あちらも悠理のお顔を覚えていたのではなくて?」「・・・違うよ。ただ単に、記憶力がいいだけだよ」そんな都合の良い話があるワケない。だってそうだろ?もし唯一無二の存在だって言うのなら、何で魅録はあたしを彼女にしてくれなかったんだ!?おかしいだろ。だから、野梨子の言ってる事は違う。見当違いだよと告げたあたしは、手元にある湯呑みを口につけると、すっかり冷めたお茶を一気に呑み干してから話の先を続けた。「実はさ、手紙を託された時に言われた言葉があるんだ」「言葉?」「ああ。『このままの状態では、駄目になりそうで』って。だから!だからあたしは・・・渡さなかった...六花の軌跡【魅悠】2

  • 六花の軌跡【魅悠】 1

    あたしが犯した1つの罪は、高校時代にまで遡(さかのぼ)る。あれは、いつの頃だったか。チーマーにナンパされ困っていた女を、たまたま近くを通りかかった魅録が目にしたらしい。そして、当然ではあるがナンパしていたチーマーを締め上げ追っ払った魅録は、何かあるといけないからという理由で、その女を家まで送り届けたそうな。まあ、ここまで言えば後は分かるだろ。お察しの通り、これがキッカケとなって、二人は付き合うようになったんだと、あたしは野梨子に簡単に話した。「ドラマの様なお話ですのね」「だろ?笑っちまうよな」これじゃあ、安っぽい三流ドラマみたいだよ。そう言葉を続けたあたしに、野梨子は少し困ったかのような笑みを浮かべた。「突然の出会いなんて、案外その様なものなのかもしれませんわね」「ん・・・そうかもな」「それにしましても、驚きま...六花の軌跡【魅悠】1

  • 慕情残火(あきつく) 3

    自分の想いや考えを三人に話した事により、ほんの少しだけ気持ちが浮上し、軽くなった。美作さんをこれ以上好きにならない様、距離を置いて恋心を鎮静し消散させる。そう決意すればする程、頑なになっていく私の想い。そんな私の石頭を、あの三人は遠慮なくぶっ叩いて壊そうとしてくれた。とは言っても、容易にぶっ壊れはしなかったけども。「牧野が頑固なのは分かってるから」「そうそう。ま、聞く耳も持たない状態じゃなかっただけでも御の字だよ」「意固地なだけって気がするけどなぁ。そんなに片意地張ってると、しんどくなるで!?もっと気軽にいこうや」苦笑いしながらそんな事を口にし、次々に私の背中を叩いて励ましてくれる三人に、心の底から「ありがとう」の言葉を贈った。ずっと一人で抱えこんでいた、行き場のない恋心。その恋心を、理解しようとしてくれるだけ...慕情残火(あきつく)3

  • 【蔵:有閑】心肝から甘美

    心肝から甘美迷コンビ爆誕篇(魅悠)愛だの恋だのそんなモノ、自分の人生には皆無だと信じて疑わなかった。恋?何それ。美味しいの?愛?何それ。どんな味がすんの?本当に、そんなレベルの恋愛偏差値だったのだ。恋愛なんて一生縁がないものだと、生涯独身で過ごすものだと思っていた。男に恋愛感情を抱くなんて、有り得ない事だと思っていた。それなのにある日突然、何の前触れもなく人を好きになってしまうだなんて。しかも、一番仲の良い男友達に。いつでも自分の視界に相手を写していたいのに、目が合うとつい、不自然に逸らしてしまう。いつでも自分の姿を相手に見てもらいたいのに、見られるとつい、不自然な動きになってしまう。相手を見るだけで胸が高鳴る。相手に見られるだけで顔が熱くなる。相手が自分以外の女に優しく接してるのを見るだけで、胸が痛くなる。相...【蔵:有閑】心肝から甘美

  • 慕情残火(あきつく) 2

    F4と距離を置いた大学生活は、正に順風満帆を絵に描いたようなものだった。あまりにも平穏すぎて、高校時代は一体何だったんだと思わず自分にツッコミを入れたくなるくらい、のんびりとした時間を過ごしている。但し、夏休みに入る前まではの話だけども。同じ学部内で気の合う友達を作った私は、夏休みの計画をその友達たちと練っていたんだけど、話を進めるうちに段々と雲行きが怪しくなってきた。と言うのも、友達の一人が放った言葉に私の中のNGワードが含まれていたから。「東京にいる親戚の子が夏休みを利用して、こっちに遊びに来る事になったんだよね」「親戚の子?」「うん。まだ小学校低学年の双子ちゃんなんだけどさ。母親と一緒に来るんだって」「母親と双子って・・・難波ん家ってワンルームマンションでしょ?そんな大人数、無理じゃん」友達のうちの一人、...慕情残火(あきつく)2

  • 慕情残火(あきつく) 1

    暴漢に襲われた事により、私に関する記憶だけ失った道明寺とは綺麗サッパリ別れる事が出来た。本当はもっと、この恋を引きずるんじゃないかと危惧していたのだけど、そんな心配は全くの無用だった。あれだけ私という存在を否定し、威嚇し続け、海ちゃんを傍に置く道明寺を見ていたら、怒りや悲しみよりも諦めといった感情の方が先に走った。いや、諦めというよりは「どうでもいい」という心情に近いのかもしれない。言うなれば無関心。この言葉が一番しっくりくる。だから思いの外、立ち直るのが早かったのかもしれない。それともう一つ。とある人の存在が大きかった。付かず離れず一定の距離を保ちながら常に私を見守り、励まし、寄り添ってくれた心優しき私のヒーロー、美作さん。道明寺への恋や未練を断ち切り、一歩前進できたのは間違いなく美作さんのお陰。だから私は、...慕情残火(あきつく)1

  • 慕情残火(あきつく) はじめに

    こちらの話は、つくしの大学時代がメインとなります。話の構成上、オリキャラがそれなりに登場します。(あきらと総ちゃんも、ちゃんと登場しますよ。類くんは今のところ不明ですが・・・)ですので、オリキャラが苦手な方は回れ右でお願いします。慕情残火(あきつく)はじめに

  • 六花の軌跡【魅悠】 序章

    都心に広がる曇天を見上げ、夜更けには雪になるかなと独り呟く女の瞳は、何かを映している様で、実は何も映していなかった。ビル群から足早に立ち去る人も、お洒落な店で買い物する人も、街のイルミネーションを見やる人も、女の瞳には何一つ残らない。街の喧騒も何一つ耳に残らない。吐く息が白くなる程の寒さも感じない。そんな女の瞳に映るは・・・いや、映じたものは、最愛の伴侶の凛々しい姿であり、耳に残るは伴侶が過去に愛した女の言葉であり、感じたものは己の胸の痛み。過去に犯した一つの罪に怯え、後ろめたさに何も言えず、それをいい事に愛する伴侶の傍に今日(こんにち)まで居続け、幸せを享受してきた報いが今になって襲ってきた。「あの時、本当の事を言ってたら結果は違ってたのかな」最愛の男の妻という座を、射止める事は出来なかっただろうか?ずっと、...六花の軌跡【魅悠】序章

  • 六花の軌跡【魅悠】 はじめに

    倶楽部内でのカップリングは魅録×悠理だけです。他のメンバーは其々、オリキャラや既存キャラと家庭を築いています。ですので、倶楽部内でのカップリングをお好みの方やオリキャラが苦手な方は、回避願います。六花の軌跡【魅悠】はじめに

  • 沈め屋(花男CPナシ) 後篇

    ※この話は、2017/6/20にヤフーブログ「たゆたふ」、2019/4/6「たゆたふ弐」でアップしたものです。浮気した彼氏に詰め寄ったところ、逆上され殺されてしまったという若い女性。その女性が住んでいた部屋で、二ヶ月ほど暮らす事になったつくしであるが早速、初日から怪奇現象の洗礼を浴びる羽目になった。まずは手始めにラップ音が部屋中に響き渡り、次に電気が突然消える。そして日が経つにつれ、閉めたはずの扉や襖(ふすま)が自然と開いたり、洗面所の水がいきなり流れたり、人を引きずる様な音が聞こえてきたりと、不可解な出来事が続いた。さすがのつくしも、これには薄気味悪いものを感じたが、おいそれと逃げ出す訳にもいかず、バイト代を手に入れる為、我慢して住み続けた。そんな中、遂につくしは遭遇してしまう。そう。この部屋で殺された前の住...沈め屋(花男CPナシ)後篇

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