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書に耽る猿たち https://honzaru.hatenablog.com/

本と猿をこよなく愛する。本を読んでいる時間が一番happy。読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる色々な話をしていきます。世に、書に耽る猿が増えますように。

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2020/02/09

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  • 『百年の子』古内一絵|小学館の矜持

    『百年の子』古内一絵 小学館 2023.9.25読了 この本の出版元である小学館を舞台にした100年に渡る大河小説である。書き下ろし作品だしなんとなく小学館なんだろうなという予想はしていが、猫型ロボットに触れられている箇所で「あぁ、やっぱり小学館だ!」となる。しかしドラさんというよりも、この作品は『小学一年生』などの学年誌を扱う編集部が舞台だ。そういえば確かに学年別になってるそんな雑誌あったよな~と思い出した。紙の本や雑誌やらは減る一方、どうやら小学校一年生の雑誌だけは今も残っているらしい。 明日花(あすか)は若い女性をターゲットにしたファッション誌「ブリリアント」の編集部にいたが、「学年誌創…

  • 『琥珀の夏』辻村深月|大人の理想と子どもの期待

    『琥珀の夏』辻村深月 文藝春秋[文春文庫] 2023.9.24読了 子どもの頃は自分の周りだけが世界の全てだ。小学生のほとんどは、家族と学校だけでそれ以外の世界は知らない。その小さな世界で自分がどう思われているか、一人ぼっちになったら、嫌われたら、親から愛を感じなかったら。そんな不安を誰しもが抱える。しかもその想いをうまく言葉に出来ないから誰かに伝えることもできない。そんな痛いほどの気持ちを辻村さんは繊細かつ深く書く。彼女は私とほぼ同世代なのに、どうしてこんなにも子どもの頃の気持ちがわかるんだろう。 自己啓発セミナー、はてはカルト宗教団体のような〈ミライの学校〉という学び舎で起きた子どもたちの…

  • 『フリアとシナリオライター』マリオ・バルガス=リョサ|大人が青春を懐かしみながら読むコメディタッチの物語

    『フリアとシナリオライター』マリオ・バルガス=リョサ 野谷文昭/訳 ★ 河出書房新社[河出文庫] 2023.9.21読了 これがリョサの作品だとは思えないほどポップな青春ものだった。どうやら半自伝的小説とのことで、主人公の名もマリオ(リョサ自身)そのもの。フリアというのは義理の叔母であり恋に落ちた相手。そしてもう1人、ペドロ・ガマーチョという名うてのラジオ作家がいる。 はじめは、マリオのパートと、もう一つ別の人物の物語が同時進行となり交互に描かれているのかと思っていた。しかし、章の終わりも不思議な感じで何かがおかしい。実は〈もう一つの〉というのは、ペドロが創作したシナリオ、つまりラジオ劇場なの…

  • 『未見坂』堀江敏幸|心が和みある種の懐かしさを感じる

    『未見坂』堀江敏幸 新潮社[新潮文庫] 2023.9.18読了 ふとした時に読みたくなる作家の一人が堀江敏幸さんである。心が落ち着く時間、それだけをただ欲して堀江さんの奏でる小説世界に足を踏み入れる。 この本は『雪沼とその周辺』に連なる連作短編集であり、ある架空の土地に住む人々の他愛もない日々の営みが書かれている。『雪沼と〜』といえば私が堀江さんの作品に触れるきっかけとなった本であり、かつ彼の作品群の中で一番好きな小説である。 表題作を含めて9つの短編が収められている。どの作品もほっと心が和み、ある種の懐かしさを感じる。『苦い手』では45歳になる太っちょで不器用な肥田さん(名前も体格を表してい…

  • 『グレート・サークル』マギー・シプステッド|壮大な愛の物語

    『グレート・サークル』マギー・シプステッド 北田絵里子/訳 ★ 早川書房 2023.9.16読了 飯嶋和一さんの作品に、江戸時代に初めて飛行機を飛ばした人を描いた『始祖鳥記』という小説がある。大空を自由のまま鳥のように飛びまわりたいという願い。この『グレート・サークル』を読む前にその作品が頭に思い浮かんだ。あぁ、これは同じように空を飛ぶことに魅入られた人の話だろうなと。 タイトルからして壮大な世界が思い浮かぶ。800頁超えの単行本で鈍器本に近いと言っても差し支えないほど。ブッカー賞候補作とのことで期待をしていたが、それに違わずこの物語世界に、マリアンらの生き方に虜になる。 1950年、1人の女…

  • 『失われたものたちの本』ジョン・コナリー|子どもの心に戻り夢中になれるファンタジー

    『失われたものたちの本』ジョン・コナリー 田内志文/訳 ★★ 東京創元社[創元推理文庫] 2023.9.10読了 プラスチックゴミ削減のために、スーパーやコンビニのビニール袋が有料になってから結構経つが、最近は削減のためというよりも、節約しようという思いが先にきて本来の目的を忘れている。まぁ、それでも結果削減になれば良いという国の思惑は間違っていない。でも、便乗して紙袋や割り箸、スプーンなんかも有料になっているのはなんだかなぁと思う。 この前、5,000円以上購入すれば紙袋が無料で貰えるという書店にいた。あと300円ほどだったので「どうせならあと1冊何か買うか」とレジの近くにあったこの本(宮崎…

  • 『湖の女たち』吉田修一|異質だと思っていたものがそうではなくなる

    『湖の女たち』吉田修一 新潮社[新潮文庫] 2023.9.5読了 吉田修一さんの小説を読むのは久しぶりだったけれど、やはり文章もストーリーも淀みなく上手いなぁという印象だ。作品としては『悪人』や『怒り』には到底及ばないがさすがの筆致で読ませるものがある。 介護療養施設「もみじ園」で100歳の寝たきりの男性が亡くなった。人工呼吸器停止による不審死事件である。一体誰が何のために。施設に勤める豊田佳代と、事件を追う刑事濱中圭介をメインにして現代社会がはらむ様々な問題を提起していく。 佳代の年齢や顔かたちが何故か全く想像できなかった。一見真面目でおとなしそうな人物描写だったのに、佳代の変貌に驚く。圭介…

  • 『八月の御所グラウンド』万城目学|青春香る成長譚、大人にこそ読んでほしい

    『八月の御所グラウンド』万城目学 文藝春秋 2023.9.3読了 まだまだ猛暑が続いているから9月に入ったとは到底思えない。今日は台風の影響で関東地方は比較的ひんやりとしている。本当は8月中に読もうとしていたのにうっかりしていた。万城目さん自身もきっと8月に合わせて刊行したんだろうに。 京都を舞台にした青春スポ根小説なのかなと思っていたが、スポーツ根性!とまでは言えない。どちらかというと、青春香る成長譚だ。表題作の中編小説ともう一つ『十二月の都大路上下ル(カケル)』という、女子高校生の駅伝の物語が収められている。主人公坂東(さかとう)の方向音痴ぶりがおもしろく、またある歴史上の人物が出てきて「…

  • 『恐るべき太陽』ミシェル・ビュッシ|騙された!を味わいたかった

    『恐るべき太陽』ミシェル・ビュッシ 平岡敦/訳 集英社[集英社文庫] 2023.9.1読了 クリスティーへの挑戦作なんて帯に書かれていたら、クリスティー好き、英国ミステリ好きとしては放っておけなくなる(これはフランス人作家の作品だけれど)。表紙のイラストも気になり手に取ってみた。 私はポール・ゴーギャンの絵画が大好きだ。ゴッホよりも好き。晩年タヒチに移り住んだ彼の描くその土地のふくよかな女性を描いた絵画を観ていると、なんとも言えない哀愁と朗らかさに包まれる。そして情熱が半端ない。この作品の舞台がその南国タヒチの島である。 フランスのベストセラー作家が、島の創作アトリエに募った作家志望の5人の参…

  • 『魯肉飯のさえずり』温又柔|心が繋がっていれば、言葉が通じなくてもわかりあえる

    『魯肉飯(ロバプン)のさえずり』温又柔(おん・ゆうじゅう) 中央公論新社[中公文庫] 2023.8.29読了 あれ、魯肉飯って「ルーロンハン」って読むんじゃなかったかな。日本には台湾料理店も多く魯肉飯は結構浸透していてルーロンハンで通ってる。「ロバプン」と振ってあるけど、これは台湾読みなのか?いや、「ロバプン」が漢字をそのまま読んだ日本語読みで母国の読み方が「ルーロンハン」だろうか?そして、鳥じゃないのにご飯が「さえずる」って?タイトルを見てあれこれ思っちゃう。 台湾人の母親と日本人の父を親に持つ桃嘉(ももか)と、台湾で出逢った日本人と結婚して日本に住む台湾人の母雪穂(ゆきほ)の視点が交互にな…

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