searchカテゴリー選択
chevron_left

カテゴリーを選択しなおす

カテゴリーのご意見・ご要望はこちら
cancel
プロフィール
PROFILE

ネオ稀腐人さんのプロフィール

住所
未設定
出身
未設定

 メインブログでは過去に同人をやっていたエピソードやハマッている作品についての戯言を垂れ流していますが、自作のBL小説に特化したサブブログを立ち上げることにしました。随時披露しますので是非とも御一読ください。

ブログタイトル
Welcome to MOUSOU World!
ブログURL
https://xifuren2020.hatenablog.jp/
ブログ紹介文
メインブログ"灰になるまで腐女子です?"の稀腐人が過去から現在に至るまで創作したオリジナルBL小説を公開するサブブログです。よろしければ感想などお寄せください。お待ちしております。
更新頻度(1年)

92回 / 365日(平均1.8回/週)

ブログ村参加:2020/01/08

本日のランキング(IN)
フォロー

ブログリーダー」を活用して、ネオ稀腐人さんをフォローしませんか?

ハンドル名
ネオ稀腐人さん
ブログタイトル
Welcome to MOUSOU World!
更新頻度
92回 / 365日(平均1.8回/週)
フォロー
Welcome to MOUSOU World!

ネオ稀腐人さんの新着記事

1件〜30件

  • PRECIOUS HEART S-Ver. ②

    第二章 セッション 翌日、火高には断られたと説明すると、叶たちは残念というより、ホッとしたような表情を浮かべた。 「ま、想定内やな」 「期待はしていませんでしたけどね」 「それより颯、大丈夫だったか?」 奨が心配そうに訊くので、オレは「な、何が?」と焦りながら訊き返した。まさかキスされたなんて、口が裂けても言えない。 「いや、ほら、ああいうヤツだろ。いちゃもんつけたり、いきなり暴力振るったりしたんじゃないかって、心配でさ」 「そうそう、みかじめ料よこせとかやな」 「何でそうなるんだよ」 脅されるようなことはなかったと言って、ひとまず皆を安心させたあと、今後について話し合うことで決着し、あとでウ…

  • PRECIOUS HEART S-Ver. ①

    第一章 学園一の問題児 陸が死んだ日。 気力の欠片もない、ふらふらとした足取りで、それでもアコースティックギターの音に誘われるかのように、オレは音楽準備室に向かった。 開け放たれた扉の向こう、ドラム用の椅子に腰かけ、物悲しい音色を奏でている彼の姿が瞳に映る。 窓から差し込む、残り僅かな初春の日差しを受けてオレンジ色に染まる横顔、バラリと下りた、くせのない前髪、弦に触れる白くて長い指…… 悲しみだけが心を覆っていたはずなのに、浮き立つ気持ちが押さえられないのはなぜだろう。不謹慎な自分を責める。 それでもこの瞳に、鮮やかに焼きついた彼の仕草のひとつひとつをオレは今でも間違えることなく思い出せる。 …

  • PRECIOUS HEART S-Ver. 解説

    これまで公開してきた過去作は元原稿がPCやディスクに保管されていたものなので、それを手直しした上でブログ編集画面にコピペするという「簡単なお仕事」をやってきました。さらに、それと並行して新作を書くつもりが何ら手付かずのまま、前作『テンシ~』を以ってとうとう過去作の在庫が尽きるという事態になってしまったわけです。いかん、ブログ更新停止の危機。 とにかく新作を上げねばならぬ。書きかけの作品の中で一番執筆が進んでいるのがこの『PRECIOUS HEART S-Ver.』でして、完結しているわけではないのですが、この際出来ているところまで公開しようと思いまして、順次UPすることにしました。よって、今ま…

  • テンシの誘惑 ⑯(最終章)※18禁2🔞

    第十六章 ハッピー・ウェディング 手配していたホテルの部屋をシングルからツインに変更すると、キーを受け取った総一朗は「五階だよ」と上を示した。 部屋の南側、大きな窓の向こうには紺碧の海に淡い黄色の光が浮かんだ、幻想的な光景が映し出されている。打ち寄せる波の音がかすかに聞こえ、潮の香りがうっすらと漂って、ここがオーシャンビューのリゾートホテルなのだという実感が湧く。 ブルーのカーテンを引く総一朗を後ろから抱きしめると、何かを言いかけた彼を創は強引に、ベッドの上に押し倒した。 「ちょっ、ちょっと、何?」 「だから、もう限界」 「ま、待って。まだ……」 「待てない!」 若い身体をずっともてあましてい…

  • テンシの誘惑 ⑮

    第十五章 悲しみを胸に沈めたら 翌朝、簡単な荷造りをしたリュックを抱えて始発電車に乗り込んだ創は夜が明けきらぬ空を車窓越しに眺めた。 あいつ自身はどうなのか──昨夜、『青柳』のカウンターで扶桑が言い放ったセリフが頭から離れず眠れなくなったせいで、徹夜に近い状態のままの過酷な出発だった。 今回の総一朗の行動は法事のためだけの帰省じゃない、何かある。扶桑はその真相を知っていながら、創に対しては故意に隠しているのだと感じる。 「今すぐにでも会って確認」と言うからには、メールの返事を待って、部屋でじっとしているわけにはいかないと、創は総一朗のあとを追う決意をしたのだった。 昨夜得た情報によって、総一朗…

  • テンシの誘惑 ⑭

    第十四章 激突! 元カレVS今カレ 創が抱いたイヤな予感は的中した。 翌日、開発部へ配達に行くと総一朗の姿はなく、豊田にそれとなく訊いたところ、思いがけない答えが返ってきた。 「ああ、ミスターエンジェルなら、今日は休暇取ってるよ」 「休暇?」 「うん。昨日、部長に有給申請していたのを見たんだ。ずいぶん急だなと思ったけど」 たしかに、前もって何らかの予定が入っていたのだとしたら、いきなり休むのは他の社員にも迷惑になるし、もっと早めに申請するはずだ。 「『急に休むけど、ごめんね。お土産買ってくるから許して』って言われてさ。それで『課長、旅行にでも行くんですか?』って訊いたら『そう。失恋を癒すひとり…

  • テンシの誘惑 ⑬

    第十三章 心乱れて 「……創、早く起きなさい。いつまで寝てるの、学校に遅れるわよ。創ったら」 母の声が慌しげに響く。 「あー、わかってるって」 「わかってないでしょ、私はもう出かけるわよ。食べたら後片付けしておいてね」 「ふぇーい」 温かい味噌汁に焼き魚、卵焼き、炊きたての御飯……懐かしい朝の匂い…… えっ、今見た光景はデ・ジャヴ? それじゃあオレはどこに居るんだろうか…… グレイのカーテンの隙間から差し込む朝陽に目を細めて、創はベッドの上でのろのろと頭を動かした。まどろみから醒めきっていない身体が重い。 ここは? そうだ、昨夜はこの部屋に泊まって、それで……夜明け近くまで狂ったように抱き合っ…

  • テンシの誘惑 ⑫ ※18禁1🔞

    第十二章 寄せて重ねる…… 最新の設備を誇る高級マンションの、玄関のロックを解除したあと、ロビーを抜けてエレベーターの前まで進む。 中へと乗り込む総一朗に続いた創は高鳴る鼓動が聞かれはしないかと、さっきからシャツの胸の部分を押さえていた。 階数を表す黄色のランプが『7』を示す。先に立って歩く総一朗はやがてドアの前で立ち止まった。 「ここだよ。さあ、どうぞ」 灯りをつけると「そこのソファに座って。今コーヒーを淹れるから」と言いながら、総一朗はキッチンへと入っていった。 窓の向こうに繁華街の夜景が広がる2DKのゆったりした室内はカーペットも家具もカーテンもモノトーンで統一された、モダンで落ち着いた…

  • テンシの誘惑 ⑪

    第十一章 小料理屋『青柳』にて 終業のチャイムが響き渡ると、ドッと開放感が溢れる。今週のお仕事、これにて終了だ。 「ねえねえ、今から新しくできたあのお店に寄って行かない?」 「行く行く! ロッカー寄ってくからちょっと待ってて」 「おーい、飲みに行くぞー。遅れたヤツの奢りな」 「マジかよ、まだ片付け終わってねえよ」 「えーっ、デートなの? いいなぁ」 「あー、ちっくしょー、残業決定じゃねえか」 社内のあちらこちらから、社員たちの悲喜こもごもが聞こえてくるようだ。 早々に退社する人々の波に混ざって通用門を抜け、待ち合わせの場所に出向いた創は辺りを恐る恐る見回した。 医務室での出来事──衝動的にキス…

  • テンシの誘惑 ⑩

    第十章 離れ小島の決闘 さて退社時刻まで、あと二時間あまり。 総一朗との約束にすっかり浮かれ、早くアフターファイブにならないかとそわそわしていた創の元に、製造部からの連絡が入った。至急運んでもらいたいものがあるという。 「げー。あそこに行くのはちょっと気乗りしないんだけどなぁ」 浮かれ気分に水を差す展開にゲンナリするが、仕方なく台車を引き連れ、製造部への遠征を開始。気分が一気に重くなった。 総一朗に会えるから、開発部に行くのはもちろん嬉しい。営業部へは滅多に行かないし、システム部も好意的な対応をしてくれるが、製造部だけはどうも…… 工場の中の通路を横切って、その先の事務室まで行くのも難儀だが、…

  • テンシの誘惑 ⑨

    第九章 江崎工業オールスターズ 総一朗が話していた全体会議というのは『二十年後の会社の展望を考える』と銘打った、途方もないテーマの会議である。 当面の細かい議題について論ずるのではなく、十年、二十年という長いスタンスで見た場合、会社が今後も発展していくためには、どのような点を改善、改良すればよいのか。 また、どういった新規の業務に取り組むべきかみんなで話し合いましょうという、一見素晴らしいようでいて、実は無駄な時間の使い方であった。 二十年後を毎年のように語っているのも妙な話だし、その時に今いる社員の何人が働いているというのだ。もっとほかに話し合うことはいくらでもあるだろう。それに、若手はとも…

  • テンシの誘惑 ⑧

    第八章 エーゲ海に惑う 翌朝九時。ちょうど耳元に転がっていた携帯電話がやかましく鳴る音に、創は驚いて飛び起きた。 「なっ、何だぁ?」 まだ寝ぼけているせいか、位置がわからず手探りで電話機を探す。慌てて着信ボタンを押すと、聞こえてきたのは待ちわびていた人の声だった。 「おっはよー。起きてた?」 「……起こされた」 あっけらかんとした言葉が神経を逆撫でてくる、創はブスッとした口調で答えた。 「ごめんね~、ずっと残業続きで予定が立たなくって。今日は何とか休めるって、はっきりわかったのが昨夜も十二時過ぎてからだし、さすがに連絡できなかったのよ」 「あ、そう」 残業だったとしても、メールぐらい送れるだろ…

  • テンシの誘惑 ⑦

    第七章 マジゲイへの道 新しい週が始まった。 親戚に不幸があったとか、それとも、仮病でもつかって休もうか。そんな調子ですっかり出社拒否状態だった先週とは打って変わって、創は意気揚々と一階フロアのドアを開けた。 老人は朝が早いという定説に従っているのか、鈴木課長はとっくに出勤し、彼の朝のお仕事、急須に茶葉を入れていた。 「おはようございます!」 「ああ、おはようございます。ずいぶん張り切ってますね、加瀬サトルくん」 「ハジメなんスけど……」 業者から朝一番に届けられた、山盛りのコピー用紙とトナー、それにシュレッダーボックスを専用の倉庫に運んだのはいいが、その場所のあまりの乱雑ぶりに驚いた創は片づ…

  • テンシの誘惑 ⑥

    第六章 やり切れない想い 再び車を走らせて西に向かった二人は街の中心から少し外れた場所にある、茶懐石の店に到着した。 門をくぐり、笹の葉ずれを耳にしながら、打ち水された石畳の上を歩いて、どっしりとした佇まいの玄関へと辿り着く。 時刻は午後七時。八畳の個室に通されると、そこは茶室を模した造りで、床の間には季節の掛け軸と、野の花を生けた花入が掛かっている。 いかにも和の趣の風情に感心した創はあたりを見回しながら、座布団の上に座った。 予約を入れていたらしく、仲居の女性の手によって、さっそく料理が運ばれてきた。 「ホントは本格的な茶事に連れて行きたかったんだけど、そうそうやってるものじゃないから、こ…

  • テンシの誘惑 ⑤

    第五章 ナイスなミドルでライバル参上 翌土曜日の午後、N市の駅前で待ち合わせをした創が所在なさそうに立っていると、着物姿の総一朗が目の前に現れたために、彼は「ええっ?」と、腰を抜かさんばかりに驚いた。 今日のテーマは『和』だと聞かされていたが、着物まで着てくるとは何たる徹底ぶり。もちろん自分で着付けをしたようだ。 渋い利休鼠色の紬だが、これはあくまでも略装で、正式な場には着用できない等、和装のルールをひとしきり聞かせたあと、彼は創の服装を上から下まで眺めまわした。 「そんな格好じゃ連れて行けないわ」 いきなりのダメ出しである。 「ジーンズで正座はキツイわよ。そのくたびれたTシャツも好感度を下げ…

  • テンシの誘惑 ④

    第四章 ミスターエンジェル Xデーははたしていつやってくるのか。戦々恐々としている創の携帯電話に総一朗からのメールが届いたのは三日後の、木曜の夜だった。 ラブホテルに泊まったあの時、こちらが泥酔し、正体を失くしている間にアドレスを手に入れていたのだろうと思うと、末恐ろしくなる。 『明日の夕食はフレンチのディナーよ。そこでテーブルマナーを勉強しますから、きちんとした格好をしてくるように』 ナイフとフォークの絵文字入りには恐れ入る。今時、絵文字を喜んで使うあたりがオヤジだなと思いつつ、創は返信の文面を入力し始めた。 『きちんとした、っていっても、就活用の普通のスーツしか持っていないけど、どうすんだ…

  • テンシの誘惑 ③

    第三章 イケてる麺 開発部からネコの額ほどの業務課のスペースに戻ってくると、「御苦労さま」と言って創をねぎらう鈴木課長がまたしてもお茶を入れてくれた。 (オレは茶飲みジジイかよって) 「いやはや、来て早々にすいませんねぇ。私がこの腰を痛めなければよかったのですが、どうも」 部下が次々に辞めてしまい、課長自ら重い荷物を運んだところ、ギックリ腰を患った。 このままでは業務課壊滅の危機である。急遽新入社員の一人を、力仕事ができて、それなりに機転のきく若者をまわしてくれと嘆願したとのこと。 そこで創に白羽の矢が当たった。彼は業務課再生の生け贄というわけだった。 たしかに、この非力そうな課長に重い物を運…

  • テンシの誘惑 ②

    第二章 まさかマジかのオカマ課長 江崎工業株式会社は自動車部品の開発と製造、それも主にメーターなどの計器類を扱い、各自動車メーカーにそれらを納める会社である。 自動車メーカー側からすれば下請けのような存在だが、下請けといっても、さらに下請けとなる中小企業を傘下に持つ同社の規模はかなりのもので、一級河川のほとりに広い敷地を所有しており、そこには組立工場と、大半の部署のオフィスが入る、四階建てのビル――本社ビルと呼ばれている――が建設されている。 この本社ビル一階の総務部の片隅に、肩身が狭そうに机を並べているのが業務課だった。業務課というと聞こえはいいが、社内の雑用を一手に引き受けている、単なる便…

  • テンシの誘惑 ①

    第一章 口説いた相手は年増のオカマ? 五月も半ばを過ぎた、金曜日の夜。 『花金』などという、いにしえの死語で表現したくはないが、一週間の仕事を終えた週末の夜は開放感に満ち溢れている。 S駅前の飲み屋街には大勢の勤め人たちが繰り出し、あちらこちらでワイのワイのと、野太い歓声が聞こえており、そんな居酒屋のうちの一軒、そこでの座敷席では、こちらも開放された若いサラリーマンの一団が仲間同士で酒を酌み交わして盛り上がっていた。 真新しいスーツがいまひとつしっくりこない、学生臭さの抜け切らない彼らはS駅を最寄りとする、江崎工業株式会社の大卒新入社員・総勢十名。ちなみに女性は含まれておらず、全員が男性社員で…

  • テンシの誘惑 解説

    このサブブログ1にて、これまで披露してきたオリジナルBL小説の大半はその昔、BL商業誌の新人賞に応募した作品ということはブログ開設当初に述べました。その際に、当時最高位(準入選)の評価を受けた作品がこの『テンシの誘惑』。つまり過去作ナンバーワン。紅白で言えばトリ。満を持して公開いたします。 じつのところ、過去作が今のオリジナルBL界でどれだけ通用するものかとBL小説サイト「fujossy」にて行われていたコンテストに応募してみたんですよ。ま、さすがに一次も通りませんでしたが。今や「オメガバースでなければBLに非ず」の風潮なので所詮無理だったといったところですかね。 ※このサブブログに関する情報…

  • Cancan spitzと呼ばないで ⑨(最終章)※18禁🔞

    第九章 愛しのスピッツ 翌日。 けっきょく堂本は朝まで戻らず、FSSに顔を出すこともなかった。 その次の日、金曜日の朝イチ。 オレは椎名さんに呼びとめられ、奢るから一緒に昼メシを食いに行こうと誘われた。オレのランチ仲間の不破たちには既に話しておいたという用意周到さだ。 そして昼休み。 会社近くのトンカツ屋に入り、席に着いてヒレカツ定食を注文したあと、椎名さんは「ちょっとショッキングな話をするけど、食欲なくして、せっかくのトンカツ食えないなんて言うなよ」と念を押した。 「あ、はい」 いったい何の話なんだろう。湯呑を持つ手が微かに震える。 「彬がさ、関西工場に出張だって」 その瞬間、頭の中が真っ白…

  • Cancan spitzと呼ばないで ⑧

    第八章 扉の向こう 「大丈夫か? おーい、村越くん」 気がつくと、堂本が心配そうな顔で覗き込んでいるのが映った。 そうだ、オレたちはヤのつく自由業風の連中に絡まれて、それで…… 「救急車を呼びましょうか?」 お巡りさんの一人がそう訊いてくれたが、たいした怪我はないからと断った。 大きな騒ぎにしたくないと思ったからで、その考えは堂本も同じとみえ、最寄りの交番で簡単な事情聴取を受けたあと、そのまま帰宅する運びとなった。 「……すいませんでした」 オレの言葉に、堂本は不思議そうに「何が?」と尋ねた。 「いや、ですから、その……オレがあいつらに絡まれなければ……」 堂本の顔には殴られたあとが痣になって…

  • Cancan spitzと呼ばないで ⑦

    第七章 椎名ファミリー 「『ナポリの酒房』って、この前の送別会の二次会で行った店ですよ」 「へー。誰と?」 「富山さんと森下さん、それからいつものメンバー」 「ああ、不破たちか。おまえら四人は研修のときからずっと仲がいいよな。オレの同期は人数少ないし、気の合うヤツなんて来宮ぐらいでさ。あいつも今回の異動で忙しいから、飲みに行こうって誘う暇もないし、おまえらが羨ましいよ」 椎名さんと同期で一番仲のいい相手は来宮さんのようだが、成海との関係は知らないようだ。 彼が社内でそっち系の話ができる仲間としては、堂本一人だったところにオレが加わったけれど、来宮さんのことを知ったら、どう思うだろう。 歓迎する…

  • Cancan spitzと呼ばないで ⑥

    第六章 『ブラッディ・イヤリング』再び 意外とユルい工程表のお蔭で、さっさと仕事を進めろと急かされるでもなく、オレたちのOJTはゆったりと続いていた。 今日は本社勤務とかで堂本の姿はなく、椎名さんも業務課の方へ行ったきり。自然とやる気がなくなる。 傍らの成海が欠伸をこらえたような顔をする。こいつもかなり気を抜いているな。 送別会での来宮さんとの一件を目撃して以来、オレはついつい成海の動向をチェックするようになっていた。だが、職場では相変わらず無表情のスカした野郎で、あの時見せた情熱的な態度が嘘のようだった。 そうだ、以前に露土美咲が口走ったセリフ── 『あら、おとなしそうとか、物静かなタイプっ…

  • Cancan spitzと呼ばないで ⑤

    第五章 無責任な噂話inナポリの酒房 堂本の心配は無用のものになった。 鳳凰の間に戻って五分と経たないうちに、どうやって成海を説得したのかわからないが、来宮さんが戻ってきたのが見えた。 それはいいけど、たちまちお偉方に取り囲まれる来宮さん。オッサンの包囲網なんてイヤだよな。 一方の成海はと見れば、心なしか目が赤い。傲慢不遜で感情を表に出さない、あの成海基が泣いていたというのか。見ているこっちまで胸が痛くなる。 やがて宴席がお開きとなった。 「皆さん、ありがとうございました」 自分の送別会とあって、気遣いの人・来宮さんは周囲の人々にペコペコしていたが、やがてお偉方のオッサンたちに連れ去られてしま…

  • Cancan spitzと呼ばないで ④

    第四章 心の揺らぎ 次の瞬間、いきなり掌で口を塞がれて心臓が止まったかと思うほど驚いた。 まるで油が切れたゼンマイのおもちゃのような、いかにもぎこちない動きでこわごわ後ろを振り返ると、ニヤニヤ笑いを浮かべた堂本がもう片方の手を唇に当てて「静かに」のポーズをとっていた。 にゃろう、脅かしやがって! 怒りを目に含んだオレの反応など無視、堂本は退去せよと合図すると、そのままの格好で後退りを始めた。 音をたてないように、オレたちは細心の注意を払いながら階段までたどり着くと、脱いだ靴を手に提げて三階まで下りた。さすがにここまでくれば大丈夫だろう。 「……ぷはー」 息まで止めていたせいか、堂本は海面に浮上…

  • Cancan spitzと呼ばないで ③

    第三章 キノコちゃんの秘密 送別会兼歓迎会の日。 ただし、来宮さんの場合、本社に栄転するという理由からか、送別会というよりは祝賀会の意味合いが強いので、今回の催しは各開発部単位のささやかなイベントではなく、全社挙げての行事になるらしい。 よって、社長などのお偉方を始めとした全社員が集結。ふだんは披露宴などに使われるホテルの宴会場で行うが、それでも手狭なのか、立食パーティー形式とのこと。 開始時刻は午後六時になっているが、配属されて間もない新入社員はもちろん五時半にさっさと定時退社。 会社から歩いていける距離とあって、オレは不破たちと街ブラしながら、ゆっくりと会場に向かった。 この四人で飲みに行…

  • Cancan spitzと呼ばないで ②

    第二章 同僚の美少年 異動は移動とは違う。 人の場合、こちらからそちらへ物を動かすように、ホイホイと移れるものではない。 本社のプリンタ部統括所属と紹介された堂本だが、これまで向こうで担当していた業務と調整をつけながら──なかなかやっかいな仕事で、簡単には終わらないらしい──引き継ぎを行なうらしく、今日の午前中は川崎市中原区にある本社へ出勤。 ゆえに、南武線乗り換えのため、痴漢オヤジと同じ武蔵小杉で下車したと思われる。それから、午後こちらに来るというスケジュールだったようだ。 今朝の痴漢騒動に関して今のところ、堂本の態度はその件に触れるどころか、まったくの知らん顔だった。 被害者が若い女だった…

  • Cancan spitzと呼ばないで ①

    第一章 おとぼけイケメン参上 あれ、まただ。さっきからもそもそしているコレは何なんだ? 山手線からはるばると、東急東横線を乗り継いで、通勤通学ラッシュのこの時間。満員御礼の車内にて、腰の辺りに奇妙な感触をおぼえたオレはあまりの居心地の悪さに、何とか身体を動かそうとした。 ところが、ガタンゴトンと揺れる車内でも、他人同士のスクラムはビクともせず、ガッチリ阻まれてどうにもならない。 蟻の這い出る隙間もないと形容されるこの状態では自分の腕や足を見ることすら困難を伴う。ましてや、我が臀部がどのような窮地に陥っているかなんて、見えるわけがない。 もそもそを通り越して今はもぞもぞ状態に突入。やっぱり痴漢だ…

  •    Cancan spitzと呼ばないで 解説

    ㈱システムソリューションズを舞台にした作品、三作目(オリジナルBL小説としては十五作目)は『Cancan spitzと呼ばないで』です。前作『Mush~』で登場した新入社員の不破隆・興和義光と共に「お酒大好き四人組」と呼ばれていたうちの一人、村越浩希が主人公で、新人研修終了後の彼が椎名英と同じ第三開発課第一グループに配属されたところからストーリーが始まります。 前作、前々作の解説はこちら☟ xifuren2020.hatenablog.jp xifuren2020.hatenablog.jp グループサブリーダーの英の部下となったのは浩希の他に、前作・来宮高貴のお相手、成海基。さらに、高貴の親…

カテゴリー一覧
商用