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星空チョコレート https://hoshizora-chocolate.hatenablog.com

「彼と彼」の恋愛を描いた、せつないお話が好きです。 年下攻め・攻め視点・性描写ありの小説が多め。きれいで温かな感情をお届けしたいと思っています

星空チョコレート
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2019/11/19

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  • 【近況】How to ZOOM・おためし授業

    こんにちは〜 星空チョコレートです♪ またもや、激しくご無沙汰をしてしまいました……涙 皆様ご存知のように、4月17日に、「非常事態宣言」が全国へと拡大されてしまいました。 私が住んでいる北の大地では、いったんは収束のきざしが見えていた「感染者数」なのですが、またじわじわと第二波が来ているようだということもあり、4月20日から5月6日まで、またもや、小学校・中学校・高等学校まで、すべてが休校になってしまいました… そこで困ってしまったのが、私のお仕事(泣)。 私は、自宅でささやかな英語塾を営んでいます。 一対一の個人指導で教えていますので、中1〜高3まで、生徒さんの数は17人。 前回の2月27…

  • #9『にじのかなたに』Epi.4 若い樹木(2)

    『にじのかなたに』もくじ ◀︎Back Next▶︎ 絵を描く人間の常で、ルカの認識はすぐれて視覚的だったが、ときに彼は、他人が見ないものまで見ることがあった。 9歳くらいまで、墓地にある墓標の十字架を見ると、その下に眠る死者が、男女どちらであるのかを識別できた。ことに、幼くして亡くなった子供の墓はそれと知れた。墓標の字を読んだからわかるのではない。墓標を見ることで、彼にはその判別が容易についたのだ。 自分にとってはあまりにも自明のことであったので、他人もそうであると幼い彼は考えていた。が、そういうことを誰しもができるわけではない――というよりむしろ、普通の人間はそんなことができないのだ、と知…

  • ファンタスティックでマァヴェラス

    Q(@東京)「ところでさ(ここまでコロナ関連の愚痴だった)、今期、あなたに見てほしいドラマがあるのよねん」 私(@北の大地)「あら、何? Netflix?」 Q「いえ、TBS。春からの新ドラマですよ」 私「ふむ?」 Q「すごいよ」 私「ほう?」 Q「綾野剛と星野源のW主演でバディもの」 私「ぬ、ぬぁにいぃぃぃ?(大歓喜)」 Q「でしょ?(笑)」 Q「ほい、これ(URLを送信)」 私「おお…(一読して)…」 私「これはまた、ファンタスティック×マァヴェラスな……」 Q「インクレディブル×アン信じラブルな…」 私「笑」 Q「綾野剛に星野源を加えて、そのうえ『バディもの』だからね」 私「そんなに女子…

  • #9【R18】『優しくて、いじわる。』(最終話)

    このページは、全9話中の第9話です。 第1話へ 第2話へ 第3話へ 第4話へ 第5話へ 第6話へ 第7話へ 第8話へ 体をよじって逃げようとしても。 両手と足首を拘束された体は、逃げることなど、最初から無理で、ユーシンの好きなように悪戯される。「も……もう、だめ、だって、ユーシン」 彼が使っているのは、舌と指と、唇だけ。 だけど、いやらしく動いて、信じられないようなことをする。 高められた熱が、出口を求めて、集中していく。 たどられて、くすぐられて。 こらえきれない。 無理。もう無理。「でちゃう、ユーシン……」 執拗な動きをしていた唇が、ふいに、そこで離された。 「まだ、だめだよ」 それだけ短…

  • #8『にじのかなたに』Epi.4 若い樹木(1)

    『にじのかなたに』もくじ ◀︎Back Next▶︎ シャッターを切るつもりがなくても、カメラを持っているときには、オカザキは、ことあるごとにファインダーを覗いた。 自分の目で見たあとに、カメラを通して世界を見る。それはもうオカザキの習い性になっていて、考えたりするより先に、呼吸をするように行ってしまうことだった。 カメラのレンズの向こうには、エドとルカが立ったまま話を続けている。 この二人は年が近いからなのか、よく行動を共にしている。クロアチアの青年が帰路につく前に、仕事を終えたあとの二人が、ロビーで笑い声を交わしている姿を見かけることも多かった。「また、カメラで何かを見ているのね」 背後か…

  • #7『にじのかなたに』Epi.3 ジャーナリストたち(2)

    『にじのかなたに』もくじ ◀︎Back Next▶︎ エドワード・パーカーをこのクルーに抜擢したのはポールだった。 彼は今年で26歳になるが、GBNに入ってからまだ半年ほどしか経たない。大学を出た後、彼は、生まれ育ったカリフォルニア州のサンノゼで、しばらく別の仕事をしていたからだ。 新米の記者として、ポールの部下に配属されたエドは、何事も飲み込みの早い青年だった。確かに遅れて入社したせいで未経験な部分もあったが、彼は、一度言われたことをきちんと記憶し、次に何かが起こったときには過去の経験をすばやくアレンジして対応する。エドの仕事ぶりは、単純なようでいて、なかなか真似できるものではない。 ジャー…

  • 4月のおうち暮らし

    こんにちは〜 星空チョコレートです♪ いや〜、今日から4月になりましたね…… 4月といえば、毎年、新しいものがはじまる、素敵な季節なのですが。 今年はコロナウィルス のせいで、いつもとは異なる不安さを、たくさんの皆さまが感じていらっしゃると思います。 ニュースを見ていると、暗い気持ちや、悲しい気持ちになってしまう情報がどんどんアップデートしていきますし、お仕事やご家庭のさまざまな局面で、困難さや、恐れ、不安などを感じていらっしゃる方も多いですよね。 どうぞ皆さまが、健やかにお過ごしになられますように。 そして、世界が平穏さを取り戻し、また笑顔があふれる世の中になりますように。 私は、北の大地の…

  • #6『にじのかなたに』Epi.3 ジャーナリストたち(1)

    『にじのかなたに』もくじ ◀︎Back Next▶︎ 「なんだか、無意味に大きな体をした男ねえ」 クレアが紅茶のカップに唇をつけながら、ポールに言った。 起きぬけの朝食の席でも、彼女の唇は、いつもどおり魅惑的な薔薇色をしている。 どこへ海外取材に行くにも、クレアは必ず気に入りの紅茶のティーバッグを持っていく。「ブレックファーストには紅茶を飲まないと1日が始まらない」というのが信条なのを、長年の友人であるポールはよく知っている。クレアとは、何度も一緒に戦地取材をこなした仲だからだ。 「無意味に大きいって──誰のことを言ってんだ、クレア?」 「あの通訳の男のこと。ルカ・ミリッチ、だっけ?」 そう言…

  • #8『優しくて、いじわる。』

    このページは、全9話中の第8話です。 第1話へ 第2話へ 第3話へ 第4話へ 第5話へ 第6話へ 第7話へ ……かたん……からん、かしゃ…… ユーシンが、ベッドヘッドのあたりで、何かを、取り出しているらしい気配がした。 目隠しのせいで、見えない。 オートマティックに聴覚が研ぎ澄まされて、彼が次にしようとしていることを、感じ取ろうとする。 何か、軽くて、硬いものがふれあう音がする。 金属……じゃない、木製のものがたてる音でもない。 そうだ。これはさっき、風呂上がりのユーシンが、この部屋に持ってきたものだ。 さっきも、その音の正体がわからなかった。 なんだろう? ユーシン、何を取り出して…… 「─…

  • #7『優しくて、いじわる。』

    このページは、全9話中の第7話です。 第1話へ 第2話へ 第3話へ 第4話へ 第5話へ 第6話へ 縛られてはいるのだけれど、美しい絹の拘束はゆるやかだ。 たぶん、シーツの上の体は、動かせるのだと思う。かなりの範囲で。 本気で逃れようと、強くもがけば。 ──けれど。 クリーム色の闇にとじこめられて、一方的にユーシンの愛撫が与えられる今は。「……紡」 キスの合間に名前を呼んでくれる声は、いつもどおり優しい。「僕にしてほしいこと、ある?」 あまくて艶のあるテノールが、夜の寝室でささやかれる。 ──わかっているくせに。 次に、してほしいこと、なんて。 胸と胸をあわせるかたちで、ユーシンが自分に覆いかぶ…

  • #6『優しくて、いじわる。』

    このページは、全9話中の第6話です。 第1話へ 第2話へ 第3話へ 第4話へ 第5話へ ──ルールを決めよう、と言われた。 「ほんとうにやめてほしいときには、『No, no, no』って3回、言うこと。……それを言われたら、僕は、そのときしていることを、すべてやめる。そして、きみの拘束を解く」 わりと生真面目な顔で告げられた。 なのに、紡のほうは、きょとんとした表情を返してしまったらしい。 「大事なことだから、よく聞いて」と、ユーシンの眉根がひそめられた。 「『ほんとうにやめてほしいとき』の意思表示のしかたを、きちんと覚えておかないと」 ──そう……なのか? そんなルールが、必要なこと……なの…

  • #5『にじのかなたに』Epi.2 アメリカドルの仕事(2)

    ◀︎Back Next▶︎ 報道陣が常駐しているブコバル・ホテルのロビーには、噂には聞いていたが、さまざまな国からの人間がやってきていた。 ルカが話せるのは英語とクロアチア語だけだが、イタリア語やドイツ語やフランス語も聞こえてくる。 さほど広くないロビーにたむろする、たくさんの外国人の顔を見渡して、いったいこのうちの誰が、面接の約束を取りつけたGBNのエドワード・パーカーだろうか、とルカは考えあぐねた。 10時半にこのホテルのロビーで、という約束しか、聞いていなかった。この雑多な外国人たちの群れを目の前にしてしまうと、誰に話しかけていいものやら皆目わからない。 とりあえず、フロントの人間に尋ね…

  • #5『優しくて、いじわる。』

    このページは、全9話中の第5話です。 第1話へ 第2話へ 第3話へ 第4話へ ユーシンの住居は、堅牢なつくりのマンションで、遮音性が高いからか、部屋の物音が筒抜けになる、ということがない(紡の安下宿とは大違いである)。 高層階に位置しているせいで、都心の夜特有のざわめきも、あまり聞こえてこない。 それでも、ユーシンのベッドに横たわって、暗がりの中、彼がシャワーを終えるのを待っている、というこのシチュエイションでは、聴覚は否応なしに研ぎ澄まされる。 バスルームでユーシンが使っているシャワーのごくかすかな音を、紡の過敏な耳はとらえていた。 さあさあ、という静かな雨のような音が、とまった。 バスルー…

  • 【R18】#4『優しくて、いじわる。』

    このページは全9話中の第4話です。 1話へ 2話へ 3話へ[R18] ──言って。きみの、してほしいこと。 教えて。きみが、いじられたいところ。 それらを口にするのは、紡にとって、大きな羞恥をともなうのに。「言えない」とか「わかってるくせに」とか抗議しても、ユーシンは許してくれない。 暗がりの中、甘くて優しい声で、そそのかしてくる。 ──紡が言ってくれたら、してあげるよ。 この前の夜みたいに。 ああ、あのときの紡、すごくかわいかったな。……僕がしてあげたら、感じすぎてわけがわからなくなっちゃったみたいで、僕にしがみついて、つま先まで、びくんびくんって震えさせてさ。…… ──やだ。やだ、そんなこ…

  • #3『優しくて、いじわる。』

    第1話へ 第2話へ このページは全9話中の第3話です。 子ども時代のことを、ユーシンは、あまり語りたがらない。 けれど、ひび割れてしまった陶器のカップの底から、ぽつり、ぽつりと、雫がこぼれるようにして、口にされた言葉のはしばしを。 点と点を結んでいくみたいにつなぎあわせると、かなり特異なユーシンの生育歴が浮かび上がってくる。 ユーシンの父は、(日本で、というよりむしろ、ヨーロッパで)高名な画家である。 彼は、その父が68歳のときの息子である。──香港チャイニーズの名家の一人娘だった母は、父の3番目の妻なのだが、結婚したとき、夫との間に、実に40歳以上の年齢差があったそうだ。 その父が亡くなった…

  • #2『優しくて、いじわる。』

    このお話は、全9話のなかの第2話です。 第1話へ ユーシンは、6歳までを日本で、14歳までを香港で、18歳までをトロントで過ごしている。 最も得意なのが中国語、教育を受けたのは英語、日本語が「一番苦手かも」だそうだ。 ゆえに「大学ぐらいは、日本の学校に通っておこうか」という動機で、紡の通う大学に入学したそうで、もうなんだか、いろいろとすべてが紡とは「ちがう」。 その夜、ケータリングでユーシンが取り寄せてくれた夕食は、オーガニックレストランのハンバーガーとチョップドサラダで、特に豪奢なメニューではないのに、しみじみと美味しかった。 きちんと選び抜かれた新鮮な食材で、プロのシェフがしっかり手間暇か…

  • #1『優しくて、いじわる。』

    「ねえ、紡」 「はい」 「どう思う? これ」 紡の背後に立って、そう尋ねてきたユーシンは。 「この間の土曜日にね、銀座の店で見つけて。たまらなく欲しくなって、買ったんだ」 端正な顔に満面の笑みを浮かべて、やけにうきうきと、嬉しそうなのである。 都心の高層階にある彼のマンションに着くなり、「見せたいものがあるから」と手をつながれてこの寝室に連れてこられた。 週に数回、プロフェッショナルなハウスキーパーによって清掃がなされるユーシンの住居は、いつ、どの部屋に紡が足を踏み入れても、高価なホテルの一室のように、生活感の希薄な(そして、ある種、冷淡な)清潔さで、整えられているのだが。 それでも、彼の最も…

  • 明日からのムフフ(はぁと)

    こんにちは〜♪ 星空チョコレートです♡ さて、『驟雨』の三角関係シリーズの3つめ『夜をつなぐ』の掲載が終わりました。 いかがでしたでしょうか… さて、この一連のお話を『驟雨トライアングル』と命名してみたのですが。 では、この三角関係は、どういう3人で構成されているか、ざっくりまとめてみますと 「兄(大学生・攻)+弟(高校生・攻)+兄の友人(美人・受)」 ……という感じになっております。(むむ、ざっくりすぎ?・笑) 一応、このページでも一挙ご紹介。 【驟雨トライアングル】シリーズ 『驟雨が、はじまる。』1話・2話・3話(2019.11.20〜22) よく知らない兄の友人。その彼と、偶然、驟雨の午…

  • 【短編】#3 『夜をつなぐ』

    このページは、全3話中の3話めです。 1話目へ 2話目へ あの秘密の午後のはじまり。驟雨の直前。 今にも激しい夕立が来そうな空模様に、気づきもしないで、ぼうっとした顔の蓮見優一が、この場所に立ち尽くしていて、そして自分と出くわしたのだ。 ──ほんの二日前の深夜の電話も。 いつものように、槙から一方的にかけた。 『ねえ、槙は、あの彼女とさ、どこで知り合ったの?』 「彼女?」 『ほら、前に、電車のなかで、きみが連れてた、セミロングのきれいな子』 卒業制作の作品の締め切りが近くて、あんまり寝ていない、というわりには、最初のうち、優一はことのほか上機嫌で、いくつかの軽口をたたいた。 それが、どうした加…

  • 【短編】#2『夜をつなぐ』

    ★このページは、全3話のうちの2話めです。 1話目へ 「大学教授って……いや、確かにそうですけど、べつに、うちの中では普通の父親ですよ」 思わず笑い声をあげたが、優一のほうからは、そういうリアクションは返ってこなかった。 「俺と兄貴、子供用の二段ベッドを使ってたんです。で、それを解体して処分して、新しいベッドを二個買って、それぞれの部屋に置いて」 『あ……聞いてみると、結構、たいへんっぽいねえ、それ』 「大変ですよ。机も移動させたし、両親揃って、大人ふたりで、一緒に共同作業しないとって感じ」 『……そっか。そうなんだ』 返されたのは、何か、優一自身の中の深い感情にとらわれてしまったような声だっ…

  • 【短編】#1『夜をつなぐ』

    このお話は、「兄+弟+兄の友達」の三角関係を扱った『驟雨が、はじまる。』『電話ごしに聴くと、彼の声は』の続きにあたっています。 独立して読める作品ですが、よろしければ先行作品をお読みいただいたほうが、お楽しみいただけるのでは、と思っています。 『驟雨が、はじまる。』第1話・第2話・第3話 『電話ごしに聴くと、彼の声は。』第1話・第2話・第3話・第4話 深夜の電話で交わす、たわいのない言葉は、いくつかの点のようだ。 ひとつひとつはあまり意味を持たずに、ただ、夜の中に散らばっているだけ。 けれども、その点と点が、いくつも寄り集まって線になれば。 そして、線が集積して面を成し、その面と面がいくつも合…

  • 複雑なパズル、正しいかたち

    『電話ごしに聴くと、彼の声は。』あとがき こんにちは〜 星空チョコレートです♪ このページは、2020年3月18日〜21日発表の『電話ごしに聴くと、彼の声は。』のあとがきになっています。 この『電話ごし』は、『驟雨が、はじまる。』の続編にあたっています。 この2つは「兄+弟+兄の友人」の三角関係を描いています。 しっかりとネタバレしちゃっていますので、もし、本編をお読みでない方は、そちらからお読みいただけますと、嬉しいです♪ 『電話ごしに聴くと、彼の声は。』は原稿用紙35枚程度のとても短いお話です。 実は、『驟雨』を最初に発表したのは、現在のブログの前身にあたるブログでした。2017年の夏のこ…

  • 【短編】#4『電話ごしに聴くと、彼の声は。』

    ★このページは、全4話のうちの4話目(最終話)です。 第1話へ 第2話へ 第3話へ 『俺。……あなたに会いたいんです、もう一度』 「ふーん?」 『会ってくれますか? いつなら、会えますか?』 「そんな、せっつくなよ、槙くん」 ──深夜、見知らぬ番号から電話がかかってきたところで、普段なら、わざわざ応答することなどしないのだが。 9月最初の土曜日、たまたま優一は、槙からの通話を受けた。 単に暇だったから。 そして、淋しかったから。 「そういえばさ。……いつだったか、俺、電車のなかで、槙くんのこと、見かけたんだけど」 『え? いつ、ですか?』 「うーん、結構まえ、かな。5月ごろだったと思う」 『……

  • 100日目のワニくん

    Q(@東京)「ワニくん!」 Q「しななかった〜〜!」 ──北の大地に住む私のもとへ、東京住まいのQから、そんなラインがやってきたのが7時半ごろ。 「100日後に死ぬワニ」。 皆さまご存知のように、きくちゆうきさんのTwitterに掲載されていた4コマまんがです。 私は約40日目ぐらいから読んでいました。 私「いや、そーか?」 私「あの桜の写真は、ワニくんが最期に撮った写真ってことでしょ」 私「そう思って、私、泣いちゃった」 Q「いや、ワニくん、しんでないよ」 Q「しんでないって」 私「うーん、そうかな……むしろそうであってほしいが」 Q「いや、待って」 Q「『最後に撮った写真』とか言わないでよ…

  • 【短編】#3『電話ごしに聴くと、彼の声は。』

    ★このページは、全4話のうちの3話目にあたっています。 第1話へ 第2話へ ──あの驟雨の午後。 誘惑の方法なら心得ていた。自覚がなくても、同性に性的に惹かれる男なんて、たくさんいる。彼らの好奇心を利用して、その欲求を、自分に惹きつけることなど、優一にはお手の物だった。 思わせぶりに、槙の目の前で、びしょ濡れになった服を、ゆっくりと脱いでいった。 そのときの槙の反応で、「落とせるな」と確信した。 うっとりと、魔法がかけられたような顔で。 槙は優一のことを見ていた。 上半身を脱いだ体を、さらしてやっただけ、なのに。 槙の視線は熱っぽくて、真剣だった。 彼自身が抗えないものの力に、思考と意志の力を…

  • 【短編】#2『電話ごしに聴くと、彼の声は。』

    このページは、全4話中の2話目にあたっています。 第1話へ 紘彦と優一は、中等部と高等部がつながった、私立の名門校の同窓生である。 その高校の中でも、紘彦は、学年で一、二を争うような成績の持ち主だった。 自分の命を削るような勢いの受験勉強の末に、これまた名門大学に入り、そして、大学生の現在も、司法試験を目指して、死に物ぐるいで勉強しているような男なのである。 その彼が、弟のことを話すときには、いつも「とにかく勉強しないんだ」という言辞がくっついていた。 「頭、悪くないんだけどな。……根気がないんだよ」 「ふうん?」 「なんか、勉強よりも、ほかのことが楽しすぎちゃうみたいでなあ」 などと、高校3…

  • 【短編】#1 『電話ごしに聴くと、彼の声は。』

    深夜、見知らぬ番号から電話がかかってきたところで、普段なら、わざわざ応答することなどしないのだが。 9月最初の土曜日、たまたま、優一はその通話を受けた。 単に暇だったからである。 セックスするはずだった相手に、あっさりと予定を反故にされたせいで。 「はい、蓮見ですが」 そう答えると、電話の向こうの相手は、一瞬、息を飲んで(その音がはっきり聞こえた)押し黙った。 まるで、優一がこの電話を取ることを、まったく予期していなかったみたいに。 そっちのほうからかけてきたくせに。 『……槙です』 短い空白ののちに、ぽつりとした答えが寄こされた。 ああ、と思った。 2週間ほど前の、驟雨の午後の記憶が、ひらり…

  • 明日から、新しいお話。

    こんにちは〜♪ 星空チョコレートです。 あり得ないほどご無沙汰してしまいました…… ほんとうにごめんなさい。 なんと、この前の更新は昨年12月のこと。 (ひえ〜〜) 「これから、いろいろとやりたいこと」だけ、ばんばん宣伝して、それでそのまま、こちらのブログの更新を止めてしまったので。 読者の皆さまのなかには 「もしや、この作者、何か良からぬことに巻き込まれたのでは…?」(①) 「ていうかライターズ・ブロック?」(②) 「仕事とかが忙しい? あるいは、たんに怠け癖?」(③) ──などなど、いろいろとご心配くださっていた方も、もしかしたら、いらっしゃったかもしれませんね。 (特に、私は北の大地に住…

  • テーマは、ずばり。

    こんばんは、星空チョコレートです〜 ちょっとだけ、ご無沙汰してしまいました。 予告しておりました「にじのかなたに」の新しいページを更新していなくて、ほんとうにごめんなさい。 (待っててくださった方、いらっしゃいますでしょうか…?) 「にじかな」は、手元では書きあがっていますので、ブログ記事として構成し直して、掲載していけばいいのですが、なかなかその作業時間が取れずにいます… 1週間後に、私が好きなKーPOPのアイドルくんたちのコンサートがあるんです。 それを見に行くために、北の大地を離れまして、4泊5日で小さな旅行に行きます。 (コンサート参戦のための遠征旅行というものです・苦笑) なぜ4泊も…

  • #4『にじのかなたに』Epi.2 アメリカドルの仕事(1)

    『にじのかなたに』もくじ ◀︎Back Next▶︎ ──ルカ! ルカ! 幼い女の子の笑いさざめく声で、ルカの眠りが破られた。 毛布が足元の方からめくられ、まだベッドの中で眠りをむさぼろうとする彼の足裏を、小さな指がいたずらしていく。 ──ルカ! ルカ! 朝よう、起・き・て・よう! 歌うように節をつけた細い声が、彼の名前を呼ぶ。 「うーん、誰だよ……」 わざと不機嫌そうな声を出して、枕につっぷしたルカに、小さな姪っ子は、もう一度楽しげな笑い声をあげた。 気がつくと、寝室の中には、明るい夏の朝の光が差し込んでいた。 「ママがね、お寝坊な叔父ちゃんを、くすぐっちゃえって!」 4歳の誕生日を迎えたば…

  • #3『にじのかなたに』Epi.1 ブコバル(2)

    『にじのかなたに』もくじ ◀︎Back Next▶︎ 「承知してますよ」 ポールがゆっくりと答えた。 僕たちは、戦争というものの深部まで入り込もうとしているんだ──エドは今更のようにそう思った。 パスポートと報道許可証が返された。クレアとオカザキが車に乗り込む。「エド、運転、俺が代わってやろうか? 朝からずっとお前にハンドルを握ってもらってるからな。疲れたろ?」 運転席に戻ろうとするエドに、ポールは親切にそう言ってくれた。「いえ、まだ平気です。右車線の運転には、慣れていますから」「そうか。お前はアメリカ人だったな」 ポールは少し笑って、名残惜しそうに煙草を深々と一服すると、地面に落として踏み消…

  • #9『にじのかなたに』Epi.4 若い樹木(2)

    『にじのかなたに』もくじ ◀︎Back Next▶︎ 絵を描く人間の常で、ルカの認識はすぐれて視覚的だったが、ときに彼は、他人が見ないものまで見ることがあった。 9歳くらいまで、墓地にある墓標の十字架を見ると、その下に眠る死者が、男女どちらであるのかを識別できた。ことに、幼くして亡くなった子供の墓はそれと知れた。墓標の字を読んだからわかるのではない。墓標を見ることで、彼にはその判別が容易についたのだ。 自分にとってはあまりにも自明のことであったので、他人もそうであると幼い彼は考えていた。が、そういうことを誰しもができるわけではない――というよりむしろ、普通の人間はそんなことができないのだ、と知…

  • #2『にじのかなたに』Epi.1 ブコバル(1)

    ◀︎Back 破壊される前、あのビルは、いったい何だったのだろう? 大型のバンを走らせながら、エドワード・パーカーはぼんやりと考える。 行く手に半倒壊したビルがある。建物のほぼ半分は完全な瓦礫と化し、残りの半分は、それが建物だったときのたたずまいを残しているけれど、おそらく上部に砲弾が落とされたらしい。ぽっかりと大きな穴が開いている。 なにかの悪いジョークのようだ。 「エド、もう少し、スピード出して運転しな」 助手席のポールが、ハンドルを握るエドに呼びかけた。道を確認しようとするのか、彼は明るい色の金髪をかきあげて、膝の上に広げた地図を覗きこんだ。 エドよりも8歳年上のこのイギリス人は、戦争報…

  • #1『にじのかなたに』Prologue

    ── Prologue 不思議な写真だった。 若い男性2人と、小さな女の子が1人。 見知らぬ3人が写っているだけなのに、その写真は特別な雰囲気を漂わせていて、なぜか私の目を惹きつけて離さなかった。 アメリカ人は、やたらと家族や友達の写真を飾るのが好きなものだが、ダニエラの学生寮の部屋にも、たくさんのフォトスタンドがある。 私が目を留めたその写真も、そんなふうにして飾られた一枚だった。 大判のノートを広げたほどの大きさ。シンプルな銀のフレームにおさめられている。 「それはね、私の両親の結婚式の日の写真。まんなかで白い服を着ているのは、五歳になる少し前の私よ」 私の注視に気づいたらしく、ダニエラが…

  • 視点のありか、音楽のような言葉。

    こんばんは〜♪ 星空チョコレートです♪ 12月になりました。 クリスマスが近づいてきて、冬の街に出かけると、なんだか、うきうきします♪ 今日はジムに行ってきたのですが、そのジムはショッピングモールの2階に入っていて、1階にベイカリーがあります。 そこのパンがめっぽう美味しい。ジムに行くと、絶対に買っちゃう。 たとえば、本日、買って帰ったのは以下の4品。 ①「激うまカレーパン」 …直球なネーミングですが、「なんとも秀逸」と思わざるを得ないのは、食べてみると、これがまさに「激うま」だから。「ジムに行くなら、あのカレーパン買ってきて」と、家人に必ずリクエストされます。 ②「かぼちゃパン」 …サイコロ…

  • 【短編】【R18】腕に閉じこめて(3)

    ◀︎「腕に閉じこめて」第1話 ◀︎「腕に閉じこめて」第2話 止まっていた時計がふたたび動きだすように。 そむけられていた顔が、ゆっくりと暁彦のほうに向きなおり、縮こまっていた筋肉から、力がぬけていく。 「ごめん、俺、急ぎすぎたな。……もっと、ゆっくりするから」 そう告げると、ぎゅっと閉じられていた春樹の目がひらいた。 くるんとした目で、暁彦を見上げてきた彼は、もう一度生まれてきたみたいな、ひどく素直であどけない顔をしている。 だから視線があわさると、暁彦の顔にも自然に笑みがのぼった。 かわいくて、いとおしくて。 額のうえに前髪が乱れているのを、櫛のかたちにした手で梳かしてやると、うっとりした表…

  • 十人十色。

    こんにちは〜♪ 星空チョコレートです♪ あー、ようやく、待ちに待ったお休みの日です。 いろいろ♪ やりたいこと盛りだくさん! アレもコレもやりたい、見たい、聴きたい、書きたい、読みたい♡……と思っていたのですが、今朝は10時半まで寝てしまいました… あー、すでに午前中がほぼ終わってる… なんでしょう、疲れてるのかな私…(苦笑)…… さて。 私は、自宅でささやかな英語塾をひらいていまして、未来ある中高生諸君に英語を教えるというお仕事をしています。 気づけば、このお仕事も、もう11年目になりました。 最初は「うちの子、全然、英語の授業についていけなくて…」と頼まれて、数人に教えているような感じだっ…

  • 【短編】【R18】腕に閉じこめて(2)

    ◀︎「腕に閉じこめて(1)」へ 「アキ」 ものすごく甘ったれた声で、名前を呼ばれて。 春樹の左手が、泳ぐひとのように、シーツのうえで動かされて、何かを探している。 ああ、俺の手だ、と気づく。 俺の手を探してるんだ。握ってほしくて。 だからその左手をひらかせて、握りしめてやる。 指とゆびを、たがい違いに組みあわせる、恋人どうしの手のつなぎかた。 閉じられていた春樹の目が、うすくひらいた。 視線が合わさると、ふにゃっと笑うから、やっぱり、手をつないでほしかったんだなと、暁彦も嬉しくなる。 光の海に沈みこむように、うっとりとした表情で、彼はすぐにまた、目をつぶって、そして。 そして春樹は、信じられな…

  • 【短編】【R18】腕に閉じこめて(1)

    以下の短編の続編になります。よろしければ、こちらからどうぞ。 腕に閉じこめて、キスからはじめると、とたんに春樹の体は、色がついたようになる。 暗がりでもはっきりわかるほど、体全体が上気したみたいになって、さまざまな場所がうっすらとあかく染まりだす。 赤い果実をつける樹木が、花を咲かせる直前、その木肌を内側からあかく色づかせるように。 頰やまなじり、首すじが。 ちいさく喉仏の突き出た喉や、かたちのいい耳も。 それからたぶん、今はパジャマに覆われて見えない、体じゅうのいろんなところも、きっと。 でも、まだだ、と暁彦は思う。 まだハルの体が、かたい。 緊張とか、怯えとか、不安とか。 そういうさまざま…

  • 右往左往が荒ぶるカタチ

    こんにちは〜♪ 星空チョコレートです♪ 寒くなってきましたねー。 皆さま、いかがお過ごしですか? 私は、北の大地に暮らしているのですが、今年の初雪が私の町に降ったのは、11月7日でした。 例年と比べますと、これはとても遅い。たいてい、10月末のハロウィンの頃に、最初の雪が降りはじめるからです。 11月最終週の今日は、もう街並みは根雪に包まれておりまして、真っ白に変わっています。 そんな寒い雪国に暮らしている星空チョコレートですが、心はぽかぽかと温かく楽しく過ごさせていただいてます♪ 当ブログを始めてから、まだ10日ほどではありますが、ランキングに参加させていただいたおかげで、たくさんの方のお目…

  • 【短編】【R18】はじまりのキスで (2)

    ◀︎「はじまりのキスで」(1)へ 腿に強い手がかかる。ぐっと押しひらかれる。 目をぎゅっと閉じていても、視線が注がれている、それをはっきりと感じる。 「やだ……やだって、俺」 からみつかれる。 温かく濡れた舌、執拗な指とくちびる、それから息。 長いこと友達だった暁彦に、そんなことをされていると思うと、信じられないほど恥ずかしくて、おかしくなりそうなのに。 体は思いきり喜んで、何度もふるえて、あふれさせる。 めちゃくちゃなスピードで、波が高められていく。 溺れるしかなくなる。息もできない。 とけだしていく。追いつめられる。 やりすごせないほど高い波に、体ごと、さらわれる。 何度も。 「やだ。………

  • 【短編】【R18】はじまりのキスで (1)

    はじまりのキスで波を起こすのは、いつも決まって暁彦のほうだ。 同い年の彼のベッドで、腕の中に閉じこめられて、最初のキスから、つよい波を引き起こされる。 ひきずり出されて、からめとられて。 自由を奪われたあげくに、甘やかされる。 急速に引き起こされる波は、あまりに高くてはげしい。 だから、目なんかあけていられない。 あけていられるわけがない。 ぐったりと仰臥して、閉じた春樹のまなうらに、心臓と同じリズムで、オレンジ色の光が明滅しはじめる。 夜の海でぐるぐる回る、遠い灯台のあかりを見ているように。 これから与えられる波の高さを知っているから、心はすこしだけ、最初、怯える。 あまりにも高い波は、自分…

  • 愛する彼と、愛される彼。

    こんばんは〜♪ 星空チョコレートです〜♪ さて、2日前から、「人気ブログランキング」さんの「BL小説カテゴリ」に、登録させていただきました。 そちらから遊びにきてくださった皆さま、はじめまして。 まだ4つの短編しか掲載していないような、始まったばかりのブログですが、これから、いろいろなお話を書いていきたいと思っております。応援してくださると嬉しいです♪ よろしくお願いします♡ ところで。 皆さま、リバって、どう思われます…? (以下、「リバ」に関する、私のヨタ話を書いておりますので、苦手な方は、そっとブラウザバックで……) 苦手な方もいらっしゃるかな、と思って、「繭の中の天国」と「夜に咲く赤い…

  • 【短編】夜に咲く薔薇

    *「繭の中の天国」の続編です。リバを扱っています。 *もしよろしければ、こちらからお読みいただけると嬉しいです。 温かな眠りのなかから、ふっと意識が浮上した。 目をひらくと、淡い暗がりのなかに自分を見つめている櫂の目があって、一瞬、柊一は、ここがどこなのか、わからなかった。 ひからない星のような、ひとつ年下の従弟の瞳。 それを見ているうちに、少しずつ、現在、自分がおかれている状況を思い出していく。 ──ここは、高校時代まで過ごした柊一の部屋のベッドで、昨夜、とても久しぶりに櫂をここに泊めたのだ。 柊一が東京の大学に進学してからは、こんなふうに、ふたりきりで夜を過ごすことが、長い間、なかった。 …

  • 3つのあとがき。(「繭の中」「驟雨」「まばたき」)

    こんにちは♪ 星空チョコレートです♪ 当ブログを立ち上げてから、6日目になりました。 まだまだ「初めまして」とご挨拶しなければならない読者さまが多いのでは…などとドキドキしながら、この記事を書いています。 11月も終わりの日曜日、皆さま、いかがお過ごしですか? 私は、北の大地に暮らしているのですが、私の住んでいる街は、先週ぐらいから雪に包まれて真っ白になりました。 今日はわりあいと暖かくて、日中は、気温がプラス5度ぐらいになるそうなので、「あったかいね、今日」「これじゃ雪も溶けるよね」という会話を、家人と交わしております。 それでは。 当サイトに掲載しました、3つのお話についての「あとがき」的…

  • 【短編】まばたき

    「かわいい。かわいいなあ」 独り言にしては大きすぎる声で、さっきから、何度も。 「かわいい。……ああ、なんでこんなに、かわいいんだろうなあ」 ──たまたま2人しかいない空き教室で、昼食のおにぎりを、むぐむぐむぐ、と食べながら、坂本息吹がそうつぶやくからには。 こいつ、俺に、相槌を求めているんだろうなあ。 そう判断したので、紘彦は、息吹の「独り言」に、いま気づいたような顔を作って応えることにした。 「かわいいかわいいって。さっきから息吹、いったい、なにが?」 そう問うと。 「これ。これだよー、見て見て、紘彦」 心の底からの100パーセントの笑顔で、ほら、と息吹は、非常に熱心に見ていたスマートフォ…

  • 【短編】驟雨が、はじまる。(第3話)【完】

    『驟雨が、はじまる。』第1話へ 『驟雨が、はじまる。』第2話へ 寒いのに、熱い。熱いのに、寒い。 ベッドに寝転がって、裸の胸と胸をぴったりとあわせると、それだけで、体ごと高い場所に押し上げられていくみたいだった。 はげしい雨が、部屋のガラス窓を打っていた。 槙の耳は、それを、遠い音楽のように聞いた。 「そんなに緊張しないで」 白い花みたいな顔が笑っている。 夏の日中、無人だった槙の部屋は、閉め切られていたからむっとしている。 半分だけカーテンのひらかれた室内に、雨の午後の弱い光がぼんやり漂っている。 半端に暗くて、半端に明るい。 「緊張なんか、してないよ」 年下であることをバカにされたように感…

  • 驟雨が、はじまる。第2話【短編】

    ◀︎「驟雨が、はじまる。」第1話へ ああ、雨脚が強い。とても。 走るふたりの体を包みこむように、天の真上から、雨が落ちてくる。 地面にしぶきがあがる。降りそそぐ雨が、周囲の何もかもを遮断する。 手をとりあって走る槙と優一は、今、雨にすべてをさえぎられて、ふたりだけの世界にいる。 そのとき、びっくりするほど近くて大きな雷鳴が、ふたたび空のなかに響きわたった。 「蓮見さん! あとすこしだから!」 年上の彼の手をつないで、走る。駆け抜ける。 息が苦しい。苦しい。心臓だって。 けれど、走らなければ。 濡れてしまう。頭も、服も、身体も、びしょ濡れに。 寒い。でも、熱い。 家にたどりつき、焦った手で槙が鍵…

  • うつくしい光のような感情を。

    こんにちは、星空チョコレートです♪ おととい(2019年11月19日)に、「日本ブログ村」さんの「BL小説ランキング」にどきどきしながら登録させていただきました。 45位からの出発。初日のPV数は「5」でした。 今日(3日目)で、ランキングバナーを押してくださった方のおかげで、17位まで来ました(感涙)。 うわー……ほんとうに嬉しいです。ありがとうございます。 私は自宅(@北の大地)で仕事をしているのですが、そのコアタイムが、だいたい4時半から9時ぐらいなんです。 昨日の午後、このブログに関する整備作業をしていたのですが(バナーを作ったりとか、素材サイトから写真を選んだりとか…)、夕方4時半で…

  • 驟雨が、はじまる。第1話【短編】

    駅の構内から出た瞬間から、見上げた空の雲行きが怪しくて、あ、これは一雨くるな、とすぐに思った。 夏の制服を着た槙の体を、生ぬるく湿気た風がぞわりと撫であげた。 低く垂れこめた濃い灰色の雲、雨の予兆をつよくはらんだ大気。 ──まずい。 きっと、すごい夕立ちが来る。 傘を持っていなかったので(今朝、高校に向かうときには、青く晴れ渡った夏空だったのだ)、家までとにかく急ごうと思った。 駅前のロータリーの人混みを抜けて、信号を渡って。 歩くというより、駆けるほどの速さで。 商店のある通りを過ぎるときに、かなり大きな雷鳴が聞こえた。 そこから少し行くと、戸建ての住宅が整然と並ぶ、書き割りのような住宅街に…

  • 繭の中の天国 【短編】

    ベッドに入ってひとしきりキスをすませると、いつのころからか、ひとつ年上の従兄は、必ずその質問を口にするようになった。 「なあ。櫂、おまえ、今日、どっちがいい?」 柊一からその問いを投げかけられるたびに、櫂は自分で自分の心にたずねてみる。 今夜、おれは、柊ちゃんと。 どっちがしたいんだろう? 3秒くらいは考えるが、すぐに櫂は降参する。 考えて答えを出すのが、あんまり得意じゃない。 それに、子どもだったころと違って、柊一が東京の大学に行ってしまった今は、こんなふうにふたりだけで過ごせる夜は、宝石みたいに貴重ですごく短い。 何もしないまま、1秒だって無駄にしたくないから。 「わからない。……俺は、柊…

  • はじめまして、星空チョコレートです。

    ①名前:星空チョコレート ②住所:北の大地。大学卒業までは、神奈川に住んでいました。 ③性別と星座:蠍座の女。 ④血液型:BLの「B」(笑)。 ⑤好きなもの:チョコレート・星空を見上げること。文房具。 ⑥夢中なもの:海外ドラマを見ること。あと、K-POPの某ボーイズアイドルグループ。 ⑦得意なこと:料理を作るのが速いです。 ⑧苦手なこと:大きな駐車場で、自分が駐車した場所をきちんと記憶しておくこと。 【読んでくださる皆さまへ】 「彼と彼」の恋愛を描いた、せつないお話がとても好きで、自分でもBL小説を書くようになりました 読んでくださった方に、きれいで温かな感情をお届けできるといいな、と願って書…

  • 【短編】星空チョコレート・もくじ

    こちらは、オリジナルBL小説サイト「星空チョコレート」です。 このページは、短編の目次です。それぞれのお話にジャンプできます。 長編「にじのかなたに」のもくじへ 短編 ▼バナーをクリックすると第1話にジャンプします。 1.『繭の中の天国』(2019.11.19)(*リバを扱っています) ふたりきりで抱きあっていると、あたたかな繭の中にいるみたいだ。 ──従兄弟同士の少年の、秘密の夜を描いています。 2.『驟雨が、はじまる。』1話・2話・3話(2019.11.20〜22) 兄の友人・蓮見。きれいで危うい彼と、驟雨の午後、二人きりになった。 ──偶然から始まった三角関係。攻視点(弟)のお話です。 …

  • 星空チョコレートへのメッセージ

    星空チョコレートへのメッセージ・お問い合わせがございましたら、こちらからどうぞ。 *こちらにいただいたメッセージは、非公開にさせていただいております。 *「星チョコ日記」でお返事をさしあげておりますので、ブログでお呼びしてもさしつかえのないお名前を書き添えてくださると助かります。 [FC2メールフォーム]

  • 【長編】『にじのかなたに』もくじ

    1991年、旧ユーゴスラヴィア・クロアチア領、ブコバル。 内紛の戦禍が激しさを増す街で、アメリカ人ジャーナリストのエドが、通訳のルカ・ミリッチに出会う。 ──「彼と彼」の結婚を、真正面から小説にしました。 戦争の街で、2人の青年が出会い、恋をして、たくさんの困難を乗りこえながら、お互いを人生の伴侶として選んでいく過程を真摯に描いています。 BL作品としての甘さ、エンターテイメント性もお楽しみいただける作品です。 にじのかなたに Prologue (2019.12.03) 【Chapter.1 A City in the War ── 戦争の街】 Episode.1 ブコバル(12.04-05)…

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