【短編】【R18】腕に閉じこめて(2)
◀︎「腕に閉じこめて(1)」へ 「アキ」 ものすごく甘ったれた声で、名前を呼ばれて。 春樹の左手が、泳ぐひとのように、シーツのうえで動かされて、何かを探している。 ああ、俺の手だ、と気づく。 俺の手を探してるんだ。握ってほしくて。 だからその左手をひらかせて、握りしめてやる。 指とゆびを、たがい違いに組みあわせる、恋人どうしの手のつなぎかた。 閉じられていた春樹の目が、うすくひらいた。 視線が合わさると、ふにゃっと笑うから、やっぱり、手をつないでほしかったんだなと、暁彦も嬉しくなる。 光の海に沈みこむように、うっとりとした表情で、彼はすぐにまた、目をつぶって、そして。 そして春樹は、信じられな…
2019/11/30 22:43