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2019/10/02

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  • 高丘親王航海記 原作 澁澤龍彦 漫画 近藤ようこ 感想

    高丘親王航海記原作:澁澤龍彦 漫画:近藤ようこKADOKAWAビームコミックス発売日:2020/9/12全4巻 貞観7年(865年)。 平安時代ですな。 高丘親王は広州から船で天竺へ向かいました。 澁澤龍彦が1985年から雑誌「文学界」で連載した幻想小説を、近藤ようこがコミカライズした作品でして。 あたしは漫画を読んだ後に原作を読んでみたんですが、澁澤龍彦を読んだのは初めてですが、こういうファンタジーっていうか不思議な話は受け付けない症候群だから、もう他の作品は残念ながら読まないと思います。 でもけっこう面白かったし、近藤さんの漫画は原作に忠実に描かれているのがわかりました。 親王は67才です…

  • 天幕のジャードゥーガル 5巻 感想

    天幕のジャードゥーガル5巻著者:トマトスープ秋田書店ボニータコミックス発売日:2025/4/16 舞台は13世紀のモンゴルでして、故国イランのテュースにモンゴルが襲来し捕虜となった少女が、知恵と知識を武器に第2代モンゴル皇帝オゴタイの第6夫人(何人いるんだー)ドレゲネと組んで、モンゴル帝国に復讐しようとする話です。 どうもモンゴル帝国というと「アンゴルモア元寇合戦記」のような残虐で野蛮なイメージですが、これはまた違う視点で描かれていまして、結構ビックリシタナモーな内容なんですよ。 絵柄は手塚治虫的な丸っこい可愛い絵で、モンゴルと言えば馬ですが馬もなんかめっちゃ可愛い。 怖い内容に合わない絵柄が…

  • 本なら売るほど 児島青 感想

    「ハルタ」で連載されている「本なら売るほど」のコミックス②巻が刊行されたので、そこはかとなく感想をしたためておきます。 「本なら売るほど」は脱サラして古書店「十月堂」を営むちょっと風変わりな青年が主人公でして、本をめぐる様々な人間模様が一話完結で描かれています。 読書が好きなあたしは一時期増えすぎた本に悩んだのですが、今はできるだけ電子書籍で読むようにしています。 それでもやっぱ自分は紙派だと思ってきました。 なんか読書家は紙の方がいいとつい言いがちじゃないですか。 書店も助かるし。なんつって。 そんな思い込みがえぐられたのは市川沙央の「ハンチバック」を読んだ時で、主人公は先天性ミオパチーとい…

  • 空色心経 こうの史代 感想

    前に「あんのこと」という邦画を観たのですが、その時は「アカン!こんな悲しい話があるかっ!」とやり切れない気持ちになってしまったものです。 主人公のあんは周りの人たちに助けられ自立できそうだったのにコロナ禍で孤立を余儀なくされまして、話はなんとも不幸な方向へ行ってしまうのです。 河合優実の暗い目が忘れられませぬ。 コロナによって引き起こされた災禍は、今思えばあまりに過剰反応した行政やメディアに乗せられて社会は多くの不都合や弊害がもたらされました。 なのに何の検証もせずにこのまま忘れていく流れ。 これじゃ再び同じことが繰り返されるかもしれんぞおと思う、今日この頃であります。 この漫画の主人公の女性…

  • メッシュ プレミアムエディション 萩尾望都

    世はまさに満開の桜です。 ブログを続けるのに最も難しい事はモチベーションの維持だと思う。 だからコンスタントにブログを更新出来てる人ってすごい。 俺なんか、仕事で疲れてるとか時間がないとかネタがないとかアドセンスのポリシー違反またきたよとか、そもそもこんなブログ誰が読むんだよとか自虐的になって、なんかもうめんどくさくなってやめよっかな~とか結構いつも考えている。しょうもねえ まあ、こちとら趣味でやってんだからと、昔先輩ブロガーの人に言われた「休めばいいのよ、やめさえしなければいいのよ」という言葉を思い出しては自分を甘やかす事で生き延びてる次第でございます。 さて、偉大なる萩尾望都先生の画業50…

  • インハンド第6巻 朱戸アオ 感想 4年振りのシリーズ最新作

    3月は体調不良でちっともブログが更新できず、なんかもういいかと投げやりになってたらあっという間に4月ですよ。 ところで朱戸アオ先生の「インハンド」完結したと思ってたら4年振りに最新作が出てて驚きましたわ。 まあ大喜びで購入し即読んだのですが、非常に面白く読みました。 「インハンド」は寄生虫がご専門の天才科学者・紐倉哲とその助手で医師の高家春馬が難事件を解決していく、いわゆる医療ミステリー系漫画なんです。 医療だけでなく生物科学系の専門知識も豊富に盛り込まれてまして、緻密なストーリー展開で読み応えがあるんです。 かつ、自己チューで支離滅裂な変わり者キャラの紐倉博士に振り回される相棒の高家とのやり…

  • ひらやすみ 第8巻 真造圭伍 (ネタバレ)感想 ひらやすみが描く飾らない日々の美しさ

    「ひらやすみ」は続きが気になる漫画のひとつです。 阿佐ヶ谷の古い一軒家でのスローライフを描いた日常系の漫画ですが、「ひらやすみ」とは平屋で暮らすのんびりとした毎日みたいな意味の作者の造語でしょうか。 8巻が出てたのにまだ読んでなかった~ ひん;; 遅ればせながら「ひらやすみ」8巻の感想をしたためる次第です。 「ひらやすみ」はどんな話かと申しますと、主人公のヒロト(29才フリーター)は若い女性は苦手だけど老人からは愛される性格でしてね、ひょんなことから意気投合したハナエ婆ちゃん(83才年金暮らし)からよく飯をご馳走になってたんですが、ある日婆ちゃんが急死してしまい遺言で身寄りのない彼女の家を貰う…

  • アポロの歌 手塚治虫 感想 さまざまな愛の形

    「アポロの歌」は手塚治虫が1970年に発表した漫画作品です。 主人公の近石昭吾は小動物を虐殺しては警察沙汰になりこのままでは殺人もしかねないと精神科に連れてこられた少年です。 暗いクソガキですが、まあ子どもが問題行動をする背景には理由があるもんです。 彼は親の愛を知らず、母親は男出入りの絶えない女で自分の父親が誰なのかも昭吾は知りませぬ。 男が変わる度に母親からパパと呼べと命じられ、なんでこんなにパパが大勢いるんだと混乱してたある日、昭吾幼児は母親と男が裸になってえっちなことしてるのを見てしまいまして、激昂した母親から暴力を振るわれ「ぼくはどうして生まれたの?ママはぼくを生まなきゃよかったのに…

  • 映画アイヌプリ 今を生きるアイヌのドキュメンタリー

    春はもうすぐですね。 映画「アイヌプリ」を観ました。 福永壮志監督の2020年の「アイヌモシㇼ」が面白かったのが記憶にあります。 「アイヌモシㇼ」は北海道阿寒湖のアイヌコタンで暮らす少年が主人公でしてね、自然に育まれたアイヌの精神や文化を教えようとする大人や、もう長い間行われてない熊送りの儀式イオマンテをやろうとする物語です。 以前書いた感想を貼っておきますぜ。 www.akirainhope.com 2作品とも今の時代を生きるアイヌの話ですが、前作はフィクションだったけど本作は北海道白糠町で暮らすアイヌの家族に密着したドキュメンタリーでございます。 アイヌプリとはアイヌ式という意味らしいざん…

  • みちかとまり 第3巻 感想 田島列島 おれがあいつであいつがおれで

    「みちかとまり」の3巻が発売しましたが、これは奇妙奇天烈摩訶不思議な話でしてね、8才のまりが竹やぶで出会ったみちかは人ではないんですよ。 みちかったら、不思議な力でまりと入れ替わったり、人間の目玉をえぐり取ったりするんです(けっこう好きですが)。 まりはいじめっ子の石崎の目玉を取ったみちかに衝撃を受け、8才なりの善悪への理解と判断で「これは犯罪じゃないか!?」「逮捕されるんではないか!?」と恐れおののきます(ここは笑う所)。 実はみちかが奪った目玉は石崎のセーブデータ的なものでして、目そのものは何もなってないんですが、石崎は記憶を失くしおとなしい別人28号になってしまったのです。 「ざまあ」と…

  • どくだみの花咲くころ 第2巻 感想 城戸志保 面白いだけじゃなくさりげなく優しい世界

    信楽(しがらき)くんは学年に1人くらいはいる変な子で、癇癪持ちで落ち着きがなくてちょっとした事でパニックになったり怒り出しだりするっていう、まあ流行りの発達障害ですかしら。 一方の清水(きよみず)くんは成績優秀で足も速い(小学生の時は足が速い男子がモテるざんす)なんでも出来すぎるんで毎日が退屈だと思ったりする優等生。家庭も裕福なんです。 みんなが難しがる問題も清水には簡単なのですが周囲に合わせてたまにわざと間違えたりします。 それは清水のマインドが「俺は人から妬まれたり、嫌われるのが一番怖い」と過度に危惧してるからでしてね。信楽の事も「自覚なく傷つけてしまうだろう」から彼とかかわるのを意識的に…

  • ダーウィン事変 ますます面白い第8巻(ネタバレ) うめざわしゅん

    マンガや本がどんどん増えてしまうので、最近はなるべくならkindleで買うようにしているのだが、マンガは紙派主義からどうにも抜けなくて困る。書店などで見かけてつい購入してしまう。しかし大抵はすぐに読まないので、そんなのが机に積み上がったまま放置されてるわけですが、そんな風情が割と好きなあたしです。 ってなわけでして、「ダーウィン事変」8巻(11月21日に発売してた)を買ったままで失念しておりましたので、遅ればせながら感想をしたためる次第です。 冒頭からテキトーかつツマラナイ文章ですいませんねぇ。 さて7巻のラストでは、ルーシー(チャーリーの彼女・ヒト)がオメラス(チャーリーの弟・ヒューマンジー…

  • ムカデ戦旗 感想 森秀樹 こんなに面白いのに

    金掘り衆は武田領内で金山の経営を行う山師でした。 甲斐の国は多くの金山があり、戦国最強と謳われた武田軍の軍資金を産出していました。 信玄は彼らに金山を操業させるだけでなく、その鉱山技術を戦術としても利用したと言われています。 敵の城を攻める場合、正攻法で攻める力攻めの他、兵糧攻めや水攻めとか城の攻略法は様々あるのですが、坑道掘りを得意とする金掘り衆が地下にトンネルを掘って城内に侵入する道を作るなどという、なんか映画みたいなトンデモ戦法が本当にあったらしいんです。 そんな悠長な!と思いますが、これが金掘り衆の優れた掘削技術にかかると、城内の井戸に向かってトンネルを掘って井戸水を抜く事に成功し城を…

  • 乙嫁語り 森薫 しみじみと味わい深い15巻(ネタバレ)

    乙嫁とは「おつよめ」ではなく「おとよめ」と読み、美しい嫁というニュアンスだそうでして、「乙嫁語り」は19世紀の中央アジアに生きる様々な嫁を描いた物語です。 今は自由な時代ですから結婚するかしないかは自分が決める事ですが、かつての日本もそうだったように、ここに登場する女性たちの人生には結婚しか選択肢がありません。 だから彼女たちにとって結婚は大変重要な意味を持つのです。 自由恋愛なんてものはありませんから、読んでて首をかしげたくなるような場面もありましてね、ウーム、こんなんで幸せなのかなー?などと思ったりもするのですが、彼女たちの結婚に対する夢だとか心の持ちようだとかがとっても可憐で健気なんだよ…

  • バッドベイビーは泣かない 第1巻 感想 不穏な背後にどんな真実が? 鳥飼茜

    まずは手はじめに夜の新宿の街をスニーカーで走る少女であります。 怪しげな男のヤサに駆け込むなり、どこで盗って来たのやら手には幾枚かの札を握りしめておりまして、これであの薬を売ってくれと言うんです。 あの薬というのが、経口中絶薬である事は読んでてすぐにわかるわけですが、こんな中国人風の男からそんなもの買おうとするなんて。あぶねーあぶねー。老婆心ながら、もっと自分の体を大事にしようよお嬢さん。などと思ってしまうあたくし。 てへっ 週刊モーニングで連載してる新作はそんな前口上から始まりますが、全作の「サターンリターン」とはいささか趣を変えて明るいタッチで勢いよく展開していくラブコメのようです。 やっ…

  • みっしょん!!入江喜和 感想 新作もオバサンが主人公

    「テレビドラマ化されたから読む!」 「手塚治虫文化賞のマンガ大賞取ったから読む!」 なんてのはアタイの中にはなくて、ただもう入江喜和先生描くところのオバサン主人公が面白くて好きなんです。 かなり見た目はくたびれ劣化してるけど、いまだ心には乙女が残っております。 ときめいたり傷ついたり、時に泣きたくなっても、こんないい年したオバサンに泣かれたとてアータも困るだろと涙をこらえ、若い娘なら悲劇になってもオバサンになるとなんでか悲劇は喜劇となってしまう。 そんな絶妙なペンさばきで読む者を笑わせ、ちょっぴり悲しくさせたり、応援したくなるような。 オバサンの心の綾を語る巧者、入江喜和の新作「みっしょん!!…

  • ビジャの女王 森秀樹 感想 蒙古帝国の侵攻とインド墨家による小都市ビジャの防衛

    ご存知のように、13世紀初め、チンギス・ハーンの蒙古帝国は急速にその勢力を伸ばしまして、13世紀後半までにはユーラシア大陸の東西に及ぶ、世界で最も広大な領土を持つ帝国となりました。 この物語の舞台はペルシャ高原の小都市ビジャです。現在のイランの辺りかしらね。 1258年、ビジャはペルシャに侵攻した蒙古の一隊に包囲され、蒙古軍2万に対しビジャの人口は5千人ですから、これはもう陥落は目に見えております。 しかもビジャのハマダン王は病気療養中につき不在、城を守るのは王の16才の娘オッド(もちろん美形)ってんだから心許ないわねえ。 気丈な姫は危険を恐れず前線に立ち兵士を鼓舞しますが、なんてったって先様…

  • だんドーン 久坂玄瑞が水も滴る美少年なので思わず吹いた第5巻 感想 泰三子

    漫画に限らず小説でもドラマでも、歴史物は話を面白くする為に史実にオリジナルの創作を足すわけです。 しかるにやり過ぎれば歴史を知らないと侮られる事もありますので、これはさじ加減が難しい所です。 面白い資料だけ股に掛けるのも浅薄に見えてよくありません。 歴史を知らない人も興味をそそられるように「今で言えば○○!」みたいな現代風なたとえで笑わせたりギャグや下ネタを取っ掛かりにしたりBLっぽさを匂わせてみたり、創意工夫を感じるものの、ちょっと上滑りな気がしましてね、俺いつまでついて行けるかな?と危惧しています。 しかしまあ、歴史へのリスペクトもありつつ既存のイメージに縛られないオリジナリティーに溢れた…

  • さよならミニスカート 第3巻 5年振りの新刊 牧野あおい 感想

    もう出ないんじゃないかと思ったくらい休載期間が長かった「さよならミニスカート」の第3巻が出ました。 作者さま体調不良との事で5年ぶりの新刊なんですと。 この作品は集英社の少女漫画雑誌「りぼん」の連載でして。 「りぼん」の読者層ってのは小学校高学年の女の子と言われてますから、なんかもう絵柄が可愛いいのよ。目とかパッチリで。オホホ 内容はと言いますと・・・・まあ握手会の会場でイカれたファンから切り付けられた事件をきっかけにアイドル歌手を引退した少女の話なんですがね。 彼女は神山仁那(にな)という本名に戻り、キラキラのアイドル時代とは別人の姿(ショートカットで男子の制服を着ている)で過去を隠し暗い目…

  • 竜馬がゆく 第9巻 感想(ネタバレ)丸亀から長州へ竜馬の旅は人との出会いと己を知る旅 原作司馬遼太郎 漫画鈴ノ木ユウ

    武市半平太が構想する土佐郷士三百人で作る「土佐勤王党」。 そこから土佐の藩論を勤王倒幕へまとめたい武市ですが、目の上のたんこぶは藩の重鎮でありバキバキの佐幕派「吉田東洋」ざんす。 前巻の感想はコチラです↓ www.akirainhope.com 「吉田東洋を斬る」!! と、土佐郷士・那須信吾は思いつめた顔で告りましたな。 武市や竜馬とは違い那須は貧乏郷士であり、才もなく、だがしかし、この土佐の国を想う心なら誰にも負けないと言うんです。 東洋が藩政の首座にいるかぎり土佐藩はどうにもならぬ!どげんかせんといかん! 那須さん、熱いっす。 熱いけど、竜馬にはそれが狂気のようにも感じられてしまうのです。…

  • 風の抄 柳生秘帖 感想 谷口ジロー 原作古山寛 柳生十兵衛の孤高な挑戦

    あてくしコロナに罹り8月はずっと体調不良だったざんす。(;´д`)トホホ ようやく癒えて来たので久々にマイブログを開きまして、とりあえずはリハビリがてら今kindle unlimitedで読める、谷口ジローさんの「風の抄 柳生秘帖」の感想でも書いてみるべ。 それにしてもコロナはヤバイのお。 もう1ヶ月もたつのにまだ咳が治まらぬ。 二度と罹りたくないので外出はマスク必須ですがな。 さて、「風の抄」。別題は「柳生秘帖」。 単行本のタイトルは版によって異同があり、いずれも「風の抄」と「柳生秘帖」を併せて用いているものの、順序が異なったりしている。「ヤングチャンピオン」(秋田書店)にて、1992年No…

  • 七夕の国 岩明均 感想(ネタバレ)七夕の国という異世界の恐怖

    5年振りに「ヒストリエ」の新刊が発売しましたが、岩明先生は長期休載に入ってしまったんですね。 ちなみに「ヒストリエ」12巻の感想はコチラです。 お暇がありましたらお読みくださいませ。 www.akirainhope.com さて「七夕の国」は「寄生獣」の後に描かれた作品なんですが、「寄生獣」人気の影に埋もれてしまったのか、作品自体はそこはかとなく控えめな印象ですよね。 この度、実写ドラマ化されたので(まだ見てませんが)読み直したんですが、ウーム、これがまた面白いのよー。 なんか読み返す度に気づきがあるし、アタリメのように味わい深い逸品なんですがな。 舞台となる七夕の国とは、商店街を一歩抜ければ…

  • ヒストリエ 12巻 感想(ネタバレ)岩明均 フィリッポス王の暗殺

    2003年から月刊アフタヌーンで連載している岩明均の「ヒストリエ」は世界史の超有名人「アレクサンドロス大王」の、書記官のエウメネス(知ってる?)の波乱万丈な人生を描く歴史漫画でありまして。 チョー遅筆ゆえに絶対完結しないと巷で言われてる「ヒストリエ」12巻が出ました。めでたい。 思えば11巻が発売したのは2019年7月でしたから、ほぼ5年振りか~(遠い目) ちなみに11巻までのザックリしたあらすじと感想はコチラです↓ www.akirainhope.com さて、何と言っても今巻の見所はフィリッポス王の暗殺ですよ。 東方世界と西方世界を一つに繋げる大帝国をわずか10年チョットで築いた英雄アレク…

  • 映画/碁盤斬り 感想 時代劇愛好者の悲喜交々

    柳田格之進(草彅剛) 浪人。囲碁の名人 お絹(清原果那) 格之進の娘 萬屋源兵衛(國村隼) 大店の旦那 弥吉(中川大志) 顔がいいだけの萬屋の手代 身に覚えのない罪を着せられ故郷の彦根藩を追われた柳田格之進は江戸で浪人となり、娘のお絹と2人絵に描いたような貧乏長屋で暮らしています。 あたしはなかなかに時代劇が好きなのですが、黒沢映画や漫画原作物を抜かして好きな時代劇映画は「たそがれ清兵衛」(真田広之の伝説的殺陣がスゴイ名作)と「必死剣鳥刺し」(「隠し剣鬼の爪」より好き)です。 奇しくも両者藤沢周平原作ですが、「碁盤斬り」はこの系譜に入れてもいいかもしれませぬが、原作は古典落語みたいですがよく知…

  • 竜馬がゆく 第8巻 感想(ネタバレ) 土佐は故郷と呼ぶには冷たすぎる 原作 司馬遼太郎 漫画 鈴ノ木ユウ

    司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を鈴ノ木ユウ氏がコミカライズしてて「週刊文春」で連載してるのですが、8巻が出ましたので感想をしたためる次第です。 坂本竜馬って大器晩成な人ですよね。 子ども時代の話はひ弱でいつも泣いて帰って来たとか、12才までおねしょをしていたとか、塾に入れても全然勉強が出来ないんで先生が「この子には教えられん」と家まで断りに来たとか、序盤は愚童エピソードで仰天です。 でも竜馬が幸運だったのは、家庭が裕福だったんです。 坂本家は郷士(下級武士)ですが、土佐の豪商才谷屋の分家なのでリッチで雰囲気も良いのです。 父も兄も「早くに母親を亡くして竜馬は不憫や」という温かな目線で終始竜馬を見守…

  • 劇光仮面 第5巻 山口貴由 感想(ネタバレ)人龍とは何だったのか?哀愁漂う怪人の物語

    「 劇光仮面」5巻の感想です。 主人公・実相寺二矢(じっそうじおとや)が劇光する「空気軍神ミカドヴェヒター」ですが、4巻でフォームチェンジっぽいのが登場しましたねえ。 ミカドヴェヒター「漆黒」 ミカドヴェヒターの夜間迷彩仕様。 日本兵がモチーフのミカドヴェヒターですが、黒になったらスタイリッシュでいいやん。ダースベイダーに近づいたかな。 俺はいわゆるガワの中の人の体形が気になる方なので、実相寺がガリガリ瘠せすぎなのは好み。 昔の円谷っぽい目次も良きかな。 ついでに過去記事も貼っておきますね。 www.akirainhope.com さて、これまでの話をざっとしますと、実相寺二矢は現在29才。ア…

  • だんドーン 第3巻 泰三子 感想 (ネタバレ) 薩摩の謎とコメディと歴史の融合

    薩摩のへんな風習が可笑しい(&下ネタがひどい)「だんドーン」なんですが、俺的にはコメディ路線が鼻につくんだよねー。 なんぞと思うていましたが、だんだん面白くなってきまして、心嬉しい限りですよ。 薩摩藩は幕末から明治維新まで常に中心にあって倒幕でも重要な役割を果たしましたが、なぜそんな存在に成り得たのか?なぜこんな特殊な藩なんだろう?などという疑問へ笑いの中で教えられる気がします。 あと薩摩藩と言えば西郷隆盛ですが、作中の西郷は実は単なるド天然で何も考えてないという設定でチョット影が薄いのです。 主人公である川路利良の謀りごとや小松帯刀の政治的工作によって西郷の器が大きく見えてるって描き方がされ…

  • 元寇と鎌倉武士

    元寇は鎌倉時代の1274年及び1281年に、2度に渡り行われたモンゴル帝国の日本侵攻だ。 1度目を文永の役、2度目を弘安の役というが、漫画「アンゴルモア元寇合戦記」と続編である「 博多編」で描かれているのが文永の役である。 文永11年(1274年)10月。 元軍は続国である高麗軍と合わせ3万数千人もの軍勢を900艘もの大船団で日本に向けて出航し、10月5日対馬に襲来したが、対馬守護代・宗資国以下の対馬勢は圧倒的な兵力差で敗れてしまう。 この対馬で巻き起こった蒙古襲来事件を題材にしたのが「アンゴルモア元寇合戦記」でして、とても面白いのでアニメ化もされている。 次に、元軍は壱岐、肥前沿岸に襲来し、…

  • アンゴルモア元寇合戦記 博多編 第9巻 神風はなかったけど鎌倉武士は奮闘した

    皆さま、どうも。 ご無沙汰しております。 しばらく留守にしておりましたが、久し振りにはてなブログを開きましたよ。 3月26日に発売した、あたくしの大好きな漫画「アンゴルモア元寇合戦記博多編」9巻の感想をそこはかとなく書いておきますので、よろしく哀愁。 さて、世界最強蒙古軍団が日本に襲来した文永の役も終盤。 博多に押し寄せた蒙古軍2万を相手に、鎌倉武士よくぞ戦ったものです。 博多を打ち捨てた日本軍は、九州の最重要拠点・大宰府を死守するために大宰府の防壁を担う水城(みずき)に退却しました。 (アンゴルモア元寇合戦記博多編8巻より) 水城は全長1.2キロのただの土手なんです。 それも大昔に異国の敵を…

  • 漫画/好きな場面 きのう何食べた? よしながふみ 涙涙の実家訪問

    シロさんこと筧史郎とケンジこと矢吹賢二は、一緒に暮らすゲイ・カップルである。 ゲイである事を隠し弁護士として働く史郎は、スーツの似合うシュッとしたイケメンで、ゲイには見えないし年よりもずっと若く見えるから女性にはモテる。 仕事に生きがいは求めてないから、さっさと定時で帰宅し2人分の夕食を作るのが史郎の楽しみ。 2LDKに住まう2人の生活は史郎が倹約家なため質素で、2人分の食費は月3万円(昨今の物価高もあって現在は4万円)に収めるのが必達目標だ。 男性のゲーム感覚かと思いきや、安い食材を購入するためにスーパーのチラシをチェックしたり(底値とかちゃんと知ってる)几帳面に家計簿も付けてて、どことなく…

  • 漫画/好きな場面 ゴールデンカムイ 野田サトル 青い瞳と紡がれた運命

    北海道の北にある樺太は、おもに島の南側にアイヌが、北側にはニヴフやウイルタといった別の民族が住んでいた。 北方領土の国後島や択捉島から点々と連なった千島列島にもアイヌは住んでいた。 樺太は1975年の千島樺太交換条約によって当時のロシア領となり、一部の樺太アイヌは北海道に移住をしたが、伝染病の流行などもあり、1905年に樺太の南側が日本領になると帰還してきた。 でも1945年に日本が戦争で負けると樺太は再びロシア領となったので、また北海道へ移住し、その後彼らはちりじりになっていってしまったのである。 アシㇼパの父ウイルクはこの樺太アイヌを母に持ち、父親はポーランド系なので青い瞳を持っている。 …

  • 漫画/「離婚しない男」大竹玲二 ネタバレ

    妻の不倫を知り離婚したいけど娘の親権は欲しい夫。 しかし現実は「父親が子どもの親権を勝ち取れるのは1割!」と、親権を男親が取るのはほぼ不可能。 浮気された男が娘の親権を得るために戦う、親権争いコメディ。 (大竹玲二「離婚しない男」既刊3巻講談社ヤンマガKC) あたしは結婚生活とか子育てとか不倫とかを扱った漫画は守備範囲になく、正直言って食指が動かないのですが、テレビドラマ化されてたので読んでみた次第です。 さて大手新聞社に勤務する岡谷渉は、これまで築いたキャリアを捨て在宅ワークに切り替え突如イクメンとなったのですが。 ひとり娘の心寧(3才)のために慣れない弁当を作り、幼稚園に送り迎えをし、一見…

  • 漫画/「クジャクのダンス、誰が見た?」浅見理都 4巻(ネタバレ)

    元警察官の父を殺した犯人が逮捕され事件は解決したかに見えた。 しかし父の残した手紙には、この犯人は冤罪だと書かれていて・・・? じゃあ父を殺した犯人は誰? 「KISS」(講談社)で連載中のサスペンス漫画「クジャクのダンス、誰が見た?」4巻の感想を書いときますので粋でよろしく。 (浅見理都「クジャクのダンス、誰が見た?」4巻講談社KCKISS) ラーメン屋のおじさん染田の死と松風弁護士が推薦されたわけと「東賀山事件」の被害者林川家と松風弁護士の生い立ちと さてこれまでのあらすじをざっと書きますと、山下心麦(21才)は警察を定年退職した父の春生と2人で暮らしていたのですが、自宅が放火され父が殺され…

  • 漫画/「アンダーニンジャ」12巻 花沢健吾(ネタバレ)

    「アンダーニンジャ」は週刊ヤングマガジン(講談社)にて連載中。 現代日本で秘密裏に暗躍する忍者の死闘とユルユルの日常描写とシュールなギャグが素敵なアクション漫画。 2023年にアニメ化。コミックス12巻が発売しました。 (花沢健吾「アンダーニンジャ」12巻 講談社ヤンマガKC) アニメの最終回、漫画では8巻ですが、主人公の九郎がアッサリとKILLされてしまうんですが、それまで読者に「九郎ってきっと強いんだろうな」「これから大活躍するんだろうな」となんとなく思わせといて、そいつがたいした活躍もないまま急に死んでしまうんですから「ええー!?」と誰もが驚きかつ拍子抜けしますわな。 その後10、11、…

  • 漫画/「狼の娘」小玉ユキ (ネタバレ)

    ある違和感を、ずっと抱えていた高校生の月菜 彼女は実は灰色狼 新たな出会いに導かれ、未知の世界に踏み出す青春ファンタジー 「月刊flowers」で連載中の「狼の娘」3巻が発売しました (小玉ユキ「狼の娘」既刊3巻 小学館フラワーコミックス) 小玉ユキさんが描く女性キャラは気立てのいい美しさを持つ人が多いのですが、それはそれとしましても、悩めるヒロインの前に現れる2人のイケメンの恋のさや当てが、いやもうね、ケンカをやめて2人を止めて私のために争わないで状態でして、なんだろうもう、キュンしかないよ~(/ω\)イヤン 月菜は受験を控えた女子高生でしてね、抜群の身体能力を持つ彼女は、陸上部では高跳びの…

  • 漫画/「デリシャス・アンダーグラウンド~国際人材バンクより」原作 石井光太 漫画 杉本亜未(ネタバレ)

    月刊コミックバンチ(新潮社)で2023年に連載された「デリシャス・アンダーグラウンド」 日本で働く外国人が増加する一方、外国人労働者トラブルも後を絶たない。 身近にいるのにあまり知らない外国人労働者問題を知恵と勇気と美味で解決する漫画。 (原作石井光太/漫画杉本亜未「デリシャス・アンダーグラウンド」既刊2巻) 入管の漫画なんて読むの初めてだから期待してたら打ち切りになりました まずはあらすじ。 物語は主人公の砂原中也が、川崎の外国人専門の人材派遣会社「国際人材バンク」に就職が決まる所から始まりますねん。 「人の役に立つ仕事がしたい」と漠然と考えていた砂原でしたが、会社はプレハブだし社長の金村は…

  • 漫画/「お別れホスピタル」11巻 沖田✕華 感想

    終末期病棟の看護師の目を通して、人の死とは何かを問いかける「お別れホスピタル」。 11巻が出ましたので、しみじみと感想をしたためる次第です。 (沖田✖花「お別れホスピタル」小学館ビックコミックス) 主人公の辺見が勤務するのは病院の別館にある終末期病棟なんざんすが、ここにやって来るのはもう手の施しようのない回復の見込めない患者です。 言うなれば多忙な一般病棟の医療システムからは見捨てられた存在ですから、陰で「ゴミ捨て場」などという隠語で呼ばれてるわけでして。 ドイヒーな話だとご立腹される諸兄諸姉もございましょうが、まあそんなものですよ。 しかしながら回復して退院するってことは絶対ナッシングな特殊…

  • 漫画/「だんドーン」2巻 泰三子 (ネタバレ)

    川路正之進、後に「日本警察の父」と呼ばれた川路利長を主人公にした幕末コメディ。 「だんドーン」第2巻が出ましたよー! (泰三子「だんドーン」2巻 講談社モーニングKC) 表紙は薩摩藩の小松帯刀ですね。 小松帯刀は島津斉彬の急死後、27才にして薩摩藩家老に抜擢され、幕末から明治維新にかけて活躍しました。 2巻は頭脳明晰なエリート小松と西郷が急接近、そして我らが斉彬公の突然の死と「戊午の密勅」に絡んだすったもんだです。 1巻では斉彬についてお国入りした川路と西郷でしたが、丁度同じ頃、薩摩に単身潜入したのが斉彬の政敵である井伊直弼の忍び集団「多賀者」の頭、人呼んで「怪物タカ」でして。 前巻の感想はコ…

  • 漫画/「松かげに憩う」4巻 雨瀬シオリ (ネタバレ)

    幕末が舞台の「松かげに憩う」は吉田松陰と松下村塾の門下生たちの生き様を描いた歴史漫画。 松陰の死後、彼らは倒幕という巨大な目標に向かい、次々と歴史の波に身を投じていった。 (天瀬シオリ「松かげに憩う」4巻秋田書店ヤングチャンピオンコミックス) 高杉晋作と並び「松下村塾の双璧」と謳われた久坂玄瑞 この漫画のキモは「狂」なんですよね。 松陰の決めゼリフは「諸君、狂いたまえ」なんですが、松陰の言う「狂」とは変革に対する行動と気概です。 幕末は現代人には考えられない激動の時代です。 議論では幕府は倒れません。 旧時代の厚い壁を破壊するには、自らを「狂」に駆り立て、狂人にでもならなければ革命など成し得な…

  • 「前髪の惣三郎」新選組の男色騒動 /司馬遼太郎 新選組血風録より

    「新選組血風録」は司馬遼太郎が60年代に書いた傑作で、新選組を題材にした短編集です。 各話は、新選組に実在した人物あるいは架空の人物を主人公にした群像劇となっており、隊内に巻き起こるドラマに定番キャラの土方歳三や沖田総司が絡んでくる構成です。 司馬作品には土方歳三を主人公にした「燃えよ剣」という長編もありますが、「新撰組血風録」もまた面白いのです。 なかでも「前髪の惣三郎」は隊内で起こった男色騒動を描いていて、新選組ものとしてはちょっと異色です。 (司馬遼太郎「新選組血風録」) さて、出だしはこんな感じです。 堀川屯営のころ、何度目かの隊士募集があり、諸国の剣客二十数人が、屯営構内の新築道場に…

  • 漫画/「菌と鉄」5巻 片山あやか(ネタバレ)

    「菌と鉄」は別冊少年マガジン(講談社)にて、2021年から連載中。 人類の脳がキノコに寄生されたディストピアを舞台にした作品。 (片山あやか「菌と鉄」5巻 講談社コミックス) 表紙はラミ・バルガ。 (バルガ一族は殺人を好み殺人技術の高い遺伝子を持って生まれて来るため、「アミガサ」ではハンターとして飼われ研究対象にもなっていた) 「菌と鉄」第5巻が発売しましたのでそこはかとなく感想をしたためる次第です。 この漫画は世界を支配する政府「アミガサ」に反逆組織「エーテル」が闘いを挑む物語ですが、もうね、キノコめっちゃ強い。世界の食物連鎖の頂点に立ってるのはキノコなんで、キノコめっちゃ強いんです。ひん;…

  • 漫画/「お別れホスピタル」沖田✕華 感想

    「お別れホスピタル」はビックコミックスピリッツ(小学館)にて、2018年から月イチ連載。既刊10巻。 終末期病棟で働く看護師・辺見の目を通して人の死とは何かを問いかける作品。 (沖田✕華「お別れホスピタル」既刊10巻 小学館ビックコミックス) 誰にでも訪れる死を見守る終末期病棟 「人生100才時代」などと言われる日本人の平均寿命は、男性81,05才で女性87,09才です。 でも、亡くなるその日までピンピンしててコロリと逝けるなんてのは幻想です。 たとえヨボヨボしていても日常生活が問題なく送れていればオッケーですが(これを健康寿命と言う)健康寿命は男性72,68才、女性75,38才でして、亡くな…

  • 漫画/「ファミレス行こ。」上巻 和山やま(ネタバレ)

    「ファミレス行こ。」は、実写映画化もされた「カラオケ行こ!」の続編。 2020年より「月刊コミックビーム」(KADOKAWA)にて不定期連載中。 「カラオケ行こ!」では中3だった岡聡美が上京して大学生になっている。 (和山やま「ファミレス行こ。」上巻 KADOKAWAビームコミックス) ご挨拶 皆さま 旧年中はたいへんお世話になりました 2024年も どうぞよろしくお願い申し上げます そして此度の地震で被災された皆様には 心よりお見舞い申し上げます それでは・・・・ あ、その前に「カラオケ行こ!」の感想はコチラです↓ www.akirainhope.com 「カラオケ行こ!」では、歌が上手くな…

  • 漫画/「ダーウィン事変」6巻 うめざわしゅん ネタバレ

    半分ヒトで半分チンパンジーのチャーリ― 唯一無二のヒューマンジーと思いきや謎だらけの弟オメラスの登場で事態は激変 すべてはヒューマンジーの生みの親グロスマン博士に繋がっている かつて共同研究者だったサラ・ユアン博士から情報を聞き出す為ニューヨークへ向かう (うめざわしゅん「ダーウィン事変」6巻 講談社アフタヌーンKC) グロスマン博士なぜあなたはヒューマンジーを生みだしたのですか? ニューヨークの人の多さと物価の高さに目の玉が飛び出そうなルーシーと顔バレせぬよう変装したチャーリーがサラ・ユァン博士が投宿するホテルを見張ります。 気の置けない両人ながら「こんな事聞いてごめん」と前置きしつつ、ルー…

  • 漫画/「エロスの種子」8巻 もんでんあきこ 感想

    「エロスの種子」は2017年から連載中。コミックスは8巻まで刊行。 (もんでんあきこ「エロスの種子」8巻 集英社ヤングジャンプコミックス) 極北の地である稚内の防波堤の行き止まりでその青年は夜明けを待っている様子でしたが、カメラを携えた通りすがりの男から「朝日を撮るのに邪魔だからどいてくれ」と言われるや、先様は何を考えていたのか突如として夜明け前の海に飛び込んだのであります。 いいんだ、どうせ死ぬつもりだったから いや、アカンがなー!!自殺志願の青年は幼い頃から吃音のせいで両親から疎まれ(事に父親から厳しく責められ)長らく引きこもっていたのですが、死ぬ前に誰かと抱き合いたいと手っ取り早く風俗に…

  • 漫画/「とつくにとうか 幕末通訳 森山栄之助」川合円 感想

    月刊「goodアフタヌーン」で連載中の「とつくにとうか幕末通訳森山栄之助」は、江戸時代に活躍した通詞(つうじ)森山栄之助の物語。 通詞とは、鎖国時代の日本の通訳者でございます。 (川合円「とつくにとうか幕末通訳森山栄之助」講談社アフタヌーンKC) 江戸時代の通訳「通詞」とは? 長崎に生まれた森山の家は代々オランダ通詞を務めていました。 鎖国時代の日本人にとって外国語と言えばオランダ語オンリーでしたが、幕末になってオランダ語では通じない異人がいる事にようやく気付き、英語が必要不可欠になって来たわけです。 黒船より以前から、日本の沿岸には多くの異国船の出没が激増してましてね。 森山栄之助が登場する…

  • 漫画/「未来の想い出」藤子・F・不二雄 感想

    「藤子・F・不二雄生誕90周年記念出版」と銘打って、1991年に「ビックコミック」で連載されたSFファンタジーが新装版で発売されました (藤子・F・不二雄「未来の想い出」小学館ビックコミックスペシャル) 「未来の想い出」読みました! アットホームな雰囲気のギャグ漫画で、殺伐とした要素は皆無で、家族で安心して見られるのが藤子不二雄作品。 その代表作は何と言っても「ドラえもん」(79年)ですが、一大ブームの1989年、藤子不二雄はコンビを解消し、「藤子・F・不二雄」と「藤子不二雄Ⓐ」として別々に活動することになりました。 その前年に「F」が体調不良となったのが一因ですが、ここでは関係ないので触れま…

  • 漫画/最近読んだ漫画の感想まとめ(箇条書き)

    月末は最近読んだ漫画の感想まとめを更新するということで、気になった漫画やおススメを新刊中心に雑ながら書き残しておきます。 ところで、気づいたら当ブログも5年が過ぎ来月から6年目に突入するのでした。 いくら趣味で気まぐれで書いてるんだよつっても、ここまで続けられたのは読んでくれる皆さまがいたからで、本当にいつもこんな弱小ブログを読んでくださりありがとうございます。(´;ω;`)ウゥゥ せっかく6年目に突入するのだから、何か代わり映えのする事をしたいもんですが、ううむ、難しいので考えておきます。今後ともよろしくお願いいたします。 「シェアーズ」2巻 つゆきゆるこ おじさまと男子高校生の世代間交流 …

  • 漫画/「だんドーン」1巻 泰三子 感想(ネタバレ)

    「ハコヅメ」の作者が「日本警察の父」川路利良を描く幕末史コメディ。 講談社「モーニング」にて2023年6月より連載中。 1巻読みました! (泰三子「だんドーン」1巻 講談社モーニングKC) 「日本警察の父」厳格なイメージの川路利良がコメディ漫画になるかな? 確か、司馬遼太郎の「翔ぶが如く」は川路利良のパリ留学から始まるんですよね。 有名な(有名かどうか知らんけど)うんこ投擲事件も笑うと言うよりか、呆れる感じでした。 西郷隆盛の引き立てで渡仏して警察制度を視察し、警察こそが文明をけん引するんだという信念で、西南戦争では徹底して西郷軍と対立した川路。 1ミリも笑えそうにない川路をコメディ漫画化とは…

  • 漫画/「ヴラド・ドラクラ」7巻 大窪晶与 感想(ネタバレ)

    亡命時代を共に過ごした、ヴラドの盟友・シュテファン三世。 小国・モルダヴィアを率いる若き王がヴラドを救い出すために、大国ハンガリーと対峙する。 第7巻読みました! (大窪晶与「ヴラド・ドラクラ」7巻 ハルタコミックス) 今回はシュテファンが大活躍大成長の感動編です ワラキア公国は現在のルーマニア南部、トランシルヴァニア山脈とドナウ川に挟まれた盆地です。 モルタヴィア公国は、ワラキアの北方に位置する同じルーマニア人が作った国。 この二つは、ハンガリー、オスマン帝国といった列強からの干渉を受け度々君主が入れ替わってきた弱小国です。 7年前(1448年)ヴラドは父兄が暗殺されたため一度ワラキア公とな…

  • 漫画/「羆風」戸川幸夫・作 矢口高雄・画 感想

    1915年(大正4年)12月9日から14日にかけて、北海道苫前群苫前村三毛別六線沢で開拓民をヒグマが襲った「三毛別羆事件」を戸川幸夫が小説化。 その物語を「釣りキチ三平」の矢口高雄が漫画化した作品。 (野生伝説 羆風 戸川幸夫・矢口高雄 ヤマケイ文庫) 人も熊も破ってはならない!大自然にはルールがある 以前、吉村昭の「羆嵐」(くまあらし)を読んだのですが、戸川幸夫のは「羆風」(ひぐまかぜ)でして、なんか紛らわしいですな。 「三毛別羆事件」が起きた場所は、大正時代の電気もない北海道の開拓地で、当時は情報網も発達してませんから、大惨事にもかかわらずそれほど大きく報道されなかったようです。 昭和36…

  • 映画/「男はつらいよ 寅次郎相合傘」懐かし映画感想

    日本中を旅して巡る寅さんは、東北のとある田舎町にて蒸発してきた中年男と出会った。 心配した寅さんはさくらに男の家族に連絡するよう命じつつ、男と共に旅を続ける。 ある日、函館で偶然リリーと再会。 ドサ周りの歌手に戻ったリリーを加え3人は楽しい旅を重ねた。 (山田洋二監督/1975年/91分) 面白いと思ったらシリーズ最高傑作と言われてました 寅さんの面白さを最近になって知った俺。 Netflixで全シリーズ観れるんで観始めたのですが、全部で49作もあるのです。 すごいんだね~ 現在17作まで観ましたので、そこはかとなく感想をしたためておく次第です。 寅さんと言えば喜劇映画ですが、最も興味深いのは…

  • 漫画/「神聖ローマ帝国 三十年戦争」1巻 宮下英樹 感想

    「センゴク」シリーズの宮下英樹が、ヨーロッパの戦国を描く歴史漫画。 「歴史群像」連載中の作品が単行本化。 1618年、ドイツのキリスト教新旧両派の対立から始まった「三十年戦争」がテーマ。 (宮下英樹「神聖ローマ帝国三十年戦争」ワン・パブリッシング歴史群像コミックス) 「神聖ローマ帝国 三十年戦争」1巻読みました! 「歴史群像」はほとんど買いませんからコミックスになって良かったなあ~ 最初にお断りしておきますと、今回のブログは学校で世界史を勉強してるような、面白くもなんともない出来になってます。 なぜなら西洋史の中でもマイナーな「三十年戦争」は、身も蓋もない言い方をすればまるで面白みを感じません…

  • 漫画/最近読んだ漫画の感想まとめ(箇条書き)

    ちょっと恒例にしております「最近読んだ漫画の感想(箇条書き)」。 今日はハローウィーンパーティーもありませんし、カボチャのデザートも食べませんが、備忘録としてなんとなく残しておくので、しばしおつきあいくださいませ。 「血の轍」第17集 押見修造 ついに完結!凄まじい作品でしたねー ・連載が終了した時、コミックスが発売した時、何度も感想を書こうと思ったのだが、感想を書くためにはあたしの場合もう一度1巻から読み返さないといけないわけでして、でももう一度読む気力がわかなくて(この作品を読むと非常に気が滅入るのです)書けなかったな。6年に渡る連載。マジで壮絶な物語だった。 ・作者の後書きに「この物語は…

  • 漫画/「環と周」よしながふみ 感想(ネタバレ)

    「環と周」(たまきとあまね)は、「ココハナ」(集英社)にて連載された漫画作品 「大奥」「きのう何食べた?」などのヒット作を持つ、よしながふみの最新作 (よしながふみ「環と周」集英社マーガレットコミックス) 「環と周」読みました! 「きのう何食べた?」の新刊22巻と同日に発売されてまして、これは両方購入するでしょう。( ゚д゚)ウム 内容は様々な時代に生きた、「環」と「周」という名の2人の人物の愛の物語を綴ったオムニバスですな。 短編5話とエピローグからなり、読みやすいです。 様々な時代というのは、江戸時代から現代までありましてね、環と周はある時は男と女ですし、ある時は女同士だったり男同士だった…

  • 本/「池田理代子 第一歌集 寂しき骨」池田理代子

    2022年に刊行された「ベルサイユのばら」の作者が短歌とエッセイで綴る、私的で普遍的な11のテーマによる歌集「寂しき骨」 (「池田理代子第一歌集 寂しき骨」集英社) 戦争に行った父、最後の恋、老いと向き合う 池田理代子さんと言えば、1972年に「週刊マーガレット」で連載され一世を風靡した「ベルサイユのばら」だ。 他にも「オルフェウスの窓」(1975年)とか好きな作品はたくさんある。 華やかなイメージの「ベルサイユのばら」も連載当時は「少女漫画で歴史物は当たらない。女や子どもに歴史なんてわかるわけがない」などと言われたのを(失礼しちゃうわね~)見事に大ヒットさせた。 そんな作者が、90年代になっ…

  • 読んだ本の感想まとめ(箇条書き)

    最近の読書傾向ですが、ちょっと何を読んだっけか?ちっとも思い出せない。 今は読書メーターとか使ってないし、何も書き残してなかったので、読んだはずの本の題名はもうすっかり忘却の彼方でして、けっこうヤバイ。 とりあえずkindleのライブラリと購入した本を見ればいいわけですが、kindleはともかく、紙の本はもう本棚に入りきらずあたかも天に満ち地に満てるがごとき充満し、要するにあたしの部屋は漫画と本だらけのちょっとしたゴミ屋敷なので探すのが大変。ってか、めんどくさいなーもー。 っちゅーことで、最近読んだはずの本の感想をまとめておきます。ほとんど自分用ですけどね。 「ハンチバック」市川沙央 第169…

  • 漫画/「死役所」24巻 あずみきし 感想(ネタバレ)

    「死役所」は「月刊コミックバンチ」(新潮社)にて2013年から連載中。 あの世とこの世の境目にある、市役所ならぬ「死役所」は死後に自分の死の手続きをする場所。 自殺、他殺、病死、事故死・・・「死役所」には色んな死者が訪れる。 (あずみきし「死役所」24巻 新潮社バンチコミックス) 「死役所」24巻読みました! 今月は何かと野暮用が多くなかなかブログが更新できないわ。 「死役所」は1~2話で完結する短編漫画なので、最初から読まなくても、途中から読み出しても大丈夫。どの巻も面白いしハズレがないです。 人は死んだら死役所へ行き、四十九日以内に成仏するか、もしくは冥途の道を彷徨うかを選択します。 成仏…

  • 漫画/「火の鳥 望郷編」手塚治虫 (ネタバレ)

    言わずと知れた手塚治虫の有名漫画作品。 その血を飲めば永遠の命を手に入れられるという「火の鳥」を巡って、ちっぽけな人間たちがすったもんだする壮大な物語なの。 望郷編は「火の鳥」の第8章で、ロミという一人の女性の一生と惑星エデン17の盛衰が描かれたSFですのよ。 (手塚治虫著「火の鳥」全16巻kindle版) なぜ今「望郷編」がアニメ化? 「火の鳥」を読みたいと思った時にまずわからなくなるのが、種類が多すぎて「どれを読めばいいのか?」ですねん。 複数の出版社から出ているのだが、それぞれに手塚治虫による加筆修正がなされていて中身が一緒じゃないのよさ。アッチョンブリケー 特に「望郷編」はご本人により…

  • 今月読んだ漫画感想(箇条書き)

    やっと少しづつですが秋の訪れを感じるようになりました。 皆さま、いかがお過ごしでしょうか。 今月読んだ漫画感想を箇条書きにまとめましたので、しばしおつきあいくださいませ。 (「夏目友人帳」30巻 緑川ゆき 白泉社 花とゆめコミックス ) 夏目友人帳 30巻 緑川ゆき いつも癒しをありがとう ・「友人帳」とは、夏目氏の交友録ではなく、祖母・夏目レイコが勝負を挑み、負かした妖怪たちの名前が書いてある契約書の束。「友人帳」に名のある妖怪たちを統べることができるブツなのだが、主人公・夏目貴志は妖たちに名前を返していこうとする奇特な高校生。 ・故箱崎氏の孫・紅子から祖父の屋敷に幽霊がいるのではないかと相…

  • 映画/「アジョシ」懐かし映画感想

    「アジョシ」は2010年の韓国興行収入1位を記録した韓国映画。 主演は当時の韓流ブームの立役者「韓流四天王」の1人ウォンビン。 (「愛の不時着」のヒョンビンとは全くの別人よ) ちなみにアジョシとは韓国語でおじさんの事。 (「アジョシ」イ・ジョンボム監督/119分/2010年/韓国) ウォンビン演じるテシクは世間に背を向けて孤独に生きる男なのよ。 それはなぜなのか? 彼が細々と営む質屋によくやって来るのが、隣に住む少女ソミ(キム・セロン)でしてね、この少女がとっても薄幸なのです。 ソミはダンサーでジャンキーの母親と2人暮らしで、母親からも誰からも相手にされない子です。 キム・セロンは見るからに幸…

  • 漫画/「ダーウィンクラブ」6巻 朱戸アオ 感想(ネタバレ)

    CEOと従業員の経済格差が広がるGAFA的巨大企業に、次々とテロを仕掛ける謎の組織「ダーウィンクラブ」をめぐるクライムサスペンス。 クラブに潜入した石井大良(たいら)は、復讐を果たせるのか!? 「ダーウィンクラブ」6巻読みました。 (「ダーウィンクラブ」朱戸アオ 6巻 講談社モーニングKC) いよいよ、とうとう、ついに完結!! どうもこの頃「ダーウィンクラブ」とか「ダーウィン事変」とか「ダーウィンなんちゃら」とか紛らわしくって、世はまさにダーウィンブームですかね?ちょっとダーウィン食傷気味じゃないかしら? あ~、いよいよ最終巻~ 新刊が出る度に読むのが楽しかったし、作者の人が一生懸命に描いてる…

  • 漫画/「綿の国星」大島弓子 もう一度読みたい名作漫画

    「綿の国星」は1978年から1987年にかけて白泉社「LaLa」にて連載。 擬人化された白い子猫「チビ猫」を主人公とした短編連作集。 (「綿の国星」全4巻 大島弓子 白泉社文庫) 人間にとって猫とは? 大島弓子の代表作と言えば「綿の国星」だと思うんだが、何度読んでも面白いのよ。 昔の漫画なのに今読んでもちっとも古びていない。 大島弓子の作風はどうにもチマチマした感じのコマに、花やらリボンやら何かフワフワした可愛くて繊細なもので溢れている。 優しく幸福感に満ちた世界に読者を連れて行き、時折泣きたくなるような切なさで一杯にしたり、「なんかよくわからんけど深いっ」と思わせたりする。 そうして「綿の国…

  • 漫画/「アンダーニンジャ」11巻 花沢健吾 感想(ネタバレ)

    実は忍者は今でも存在していて秘密裡に暗躍している。 現代に生きる忍者奇譚「アンダーニンジャ」は週刊ヤングマガジンにて2018年から連載中。 (「アンダーニンジャ」11巻 花沢健吾 講談社ヤンマガKC) アニメ化だなんて、あのシーンはどうするのかしら? 主人公が8巻で死んでしまった、とんでもない漫画「アンダーニンジャ」です。 死んだと見せかけて実は生きてるんだろうと思ってたけど、どうやらコレが本当に死んだっぽい。 九郎だけにクローンだったという笑えない冗談みたいな成り行きで、雲隠兄弟がワラワラと登場してきましてね。 この後どうなっちゃうんだろうと混乱してたら、シレっと主人公が十郎に入れ替わってま…

  • 漫画/「不滅のあなたへ」⑳ 大今良時 感想(ネタバレ)

    「不滅のあなたへ」は「週刊少年マガジン」にて2016年から連載中。 不死身の体を持ち、どんな姿にもなれ、どんな物でも作り出す不思議な力を持った存在「フシ」の物語。 第一部「前世編」第二部「現世編」に続き、第三部「来世編」が始まったのよ。 (「不滅のあなたへ」20巻 大今良時 講談社コミックス) 今度は「来世編」か~ あたしは基本的に「永遠の時を生き続ける美しきバンパネラの物語」とか愛してるんで、不死身の美少年の物語も好みではありますが。 最初の「前世編」が非常に面白かっただけに期待し過ぎたのか、「現世編」は正直言ってあまり面白くなかったです。 いい場面も勿論あったんですが、あたし的には「壮大過…

  • 最近読んだ漫画感想箇条書き

    「暑すぎる!」とぼやいてばかりいたら、もう8月も終わりじゃないですかー! とりあえず恒例化しようと思ってる「最近読んだ漫画感想箇条書き」をまとめてみたのでおつき合い下さいませ。 ちったあ涼しくなってくれよー (「メイドインアビス」12巻 つくしあきひと 竹書房バンブーコミックス) メイドインアビス⑫ つくしあきひと 深海七層 最果ての渦 ・大穴アビスに挑む、愛くるしい子供たちが情け容赦もない目にあう度し難いダークファンタジー。 ・アニメ2期で描かれた成れ果て村編が終り、奈落の底を目指し深界六層のさらに奥へと進む、リコとレグとナナチとファプタの4人そす。 ・出会った探窟隊「呪詛船団」の団長・神秘…

  • 漫画/「ここは今から倫理です。」➇ 天瀬シオリ 感想(ネタバレ)

    「ここは今から倫理です。」は2016年より「グランドジャンプPREMIUM」→「グランドジャンプむちゃ」で連載中。 高校で倫理を教える高柳先生が、今時の高校生たちのお悩みに独特のスタンスで向かい合う教師物語。 倫理とは何か? 倫理とは「あるべき姿」。 だもんで、人によって沢山の答えが出るのよ。 (集英社「ここは今から倫理です。」8巻 天瀬シオリ) 高柳先生、新しい学校へ転任す! 酷暑でございます。 自分がどんどんアホになってく気がする。 頭が働かんのよー! まあ十万年も前になるが、学校嫌いだった俺は夏休みが終わりに近づくと「あー学校行きたくねえな~」と憂うつだったのを思い出すよ。 学校は出会い…

  • 漫画/「ドリフターズ」⑦ 平野耕太 感想(ネタバレ)

    「ドリフターズ」は少年画報社「ヤングキングアワーズ」にて2009年から連載中の漫画 歴史上の人物がファンタジー世界に転移して戦う異世界トリップもの ちなみに「ドリフターズ」とは全員集合ではなく、英語で「漂流者、放浪者」などの意味よ(一応) (平野耕太「ドリフターズ」7巻) ああなんかねやっと新刊出たんですよね 5年振りじゃないかしらん。 お久しぶり過ぎて内容を忘れたので、まずは1巻から読み直しましたわ。 作者さま大病なさったようですがお大事になさってくださいませ。 もともと新刊なかなか出ない人だから気にしてません。 というわけで、マモン間原サルサデカダンで行われた「漂流者」と「廃棄物」の決戦。…

  • 漫画/「宮本から君へ」新井秀樹 感想

    「宮本から君へ」は講談社モーニングにて1990年~1994年にかけて連載 1992年に第38回小学館漫画賞青年一般部門を受賞した 文具メーカーの新入社員で仕事にも恋にも不器用な男・宮本浩が営業マンとして成長していく青春ストーリー (新井秀樹「宮本から君へ」全12巻) その時代の人に最も嫌われた漫画!? 前回は8月という事もあり佐藤秀峰の「特攻の島」について書いたのだが、今回は新井秀樹の「宮本から君へ」について書くよ。 なにやら同じ匂いがするからね。 この作品が連載されたのはバブル期なのだが、なんでも「その時代の人に最も嫌われた漫画」という珍奇な称号を持ってるらしい。 んな~? どういうこってす…

  • 漫画/「特攻の島」佐藤秀峰 感想

    佐藤秀峰は「海猿」や「ブラックジャックによろしく」などヒューマンな漫画作品で有名な人 「特攻の島」は芳文社「週刊漫画TIMES」にて2004年から2017年まで不定期連載された 太平洋戦争末期の「回天特別攻撃隊」を描いた戦争漫画の傑作よ (佐藤秀峰「特攻の島」全9巻) 前回は「黒い雨」という戦争映画について書いたんだけど、今回も戦争漫画なんだよね 暗くて気が重くなるかもしれんが、諸兄諸姉よ。 8月くらいは、あの戦争について考えるのも良かろう。 と俺は思ってるんだが、回天特攻隊って知ってる? ええ、知らないの~? じゃ、そこはかとなくあらすじを書いとくね。 (作品の舞台になった山口県周南市大津島…

  • 映画/「黒い雨」懐かし映画感想

    映画「黒い雨」は1989年公開の日本映画 原作は井伏鱒二の同名小説 放射能の二次被爆の恐ろしさや被爆者への差別などを、声高に訴えるでもなく、モノクロ映像で淡々と見せる (「黒い雨」1989年/今村昌平監督/123分) ピンぼけ写真でごめんなさいね 被爆後遺症に苦しむ人々の姿(泣)「正義の戦争より不正義の平和の方がまだまし」(同感) 昭和20年8月6日の朝、広島市に原爆が投下された。 閑間重松(北村和夫)は駅で被爆し、顔に軽い傷を負って原爆病だと診断されたが、妻のシゲ子(市原悦子)は自宅にいたため怪我もなく、姪の矢須子(田中好子)も爆心地からは離れた場所にいたので特に異常はなかった。 矢須子は重…

  • 芸術新潮8月号「青池保子騒がしき男たちとマンガの冒険」

    7月25日発売の「芸術新潮」8月号を表紙に惹かれて買っちゃった。 「エロイカより愛をこめて」の伯爵と少佐。 特集は「青池保子騒がしき男たちとマンガの冒険」。 70年代の大人気作「エロイカより愛をこめて」あるいは80年代の「アルカサル-王城-」を描いた青池保子氏は、今年でデビュー60年だそうだ。 今でも現役だなんてスゴイですわね。 (新潮社「芸術新潮」2023年8月号) 青池保子と言えば、何と言っても「エロイカより愛をこめて」だよね! 「エロイカより愛をこめて」(ビバプリンセス/76年)は、同時代に活躍した、たとえば萩尾望都や竹宮恵子などのいわゆる美少年が出てくる漫画とは一線を画していて、少女漫…

  • 漫画/「艮(うしとら)」山岸凉子 感想(ネタバレ)

    「艮」は今月発売の四つの短編からなる山岸凉子ホラー作品集。 【収録作】 「艮」講談社モーニング2014年2・3合併号~6号 「死神」幻冬舎comicスピカ2014年5月・6月号 「時計草」小学館ビッグコミック2018年12号 「ドラゴンメイド」講談社モーニング2021年46号 単行本初収録作品集。 (山岸凉子「艮」) 酷暑続きの毎日にコレを読めば冷房効果バッチリです この夏のあまりの暑さにこちらを読んで涼み給えとばかりに、山岸凉子傑作ホラー作品集が電子と紙で同時発売しているんだな。 山岸凉子作品にはホラー漫画も数多いが、クオリティの高さは圧倒的でして、本当にとっても怖いのだ。 あたしは以前「天…

  • 漫画/「蘇州夜曲」森川久美 もう一度読みたい名作漫画

    水の蘇州の花散る春を惜しむか柳がすすり泣く 昭和初年。 広大な中国大陸を後ろにひかえ国際都市として繁栄する上海。 そこは各国スパイが暗躍し犯罪シンジケートがしのぎを削る、東洋の魔都であった。 (森川久美「蘇州夜曲」) あたしは70~80年代の古い少女漫画を読むのが好きで集めてもいたが、実家の押し入れにしまい込むという保存状態の悪さからか本の劣化が進み、ある日、紙の黄ばみやシミを通り越し砂と化していた。 本が好きな割にちっとも大事にしない、とんだうつけである。 いかにもサバイバーなこの漫画本は、ちょっとAmazonで検索してみたら中古本が「2980円」の値がついていて、ビックリシタナモーである。…

  • 漫画/「波よ聞いてくれ」⑩(ネタバレ)感想

    4月発売のコミックス⑩巻の今さら感想。購入したまま感想書くのを失念しておりました。 2014年に連載が始まった「波よ聞いてくれ」えーもう⑩巻なのですねー 今回は酔いどれ女2人が雪の北海道で朋輩を救出しに行く話。 クマも冬眠中の極寒の2月、のはずが、冬眠しないヒグマ現る! そして鳴り物入りで始まった「バレンタイン・ラジオ」とかいうイベントはどうした? (沙村弘明「波よ聞いてくれ」10巻) 前巻の➈巻発売から1年3か月ほど経過してますな。 ➈巻の感想コチラ↓ www.akirainhope.com 今日も今日とて藻岩山ラジオ。 「バレンタイン・ラジオ」とかいうビックイベントらしきものの開催前夜に、…

  • 最近読んだ漫画感想箇条書き

    とりあえず、最近読んだ漫画の感想を箇条書きでしたためるナリ。 (芥見下々「呪術廻戦」23巻) 呪術廻戦㉓巻 芥見下々 ・ジャンプを引っ張る人気作品。アニメ2期も開始 ・九十九由基は4人しか存在しない特級呪術師のひとりで天元を狙い薨星宮(こうせいぐう)に現れた羂索(けんじゃく)と戦う。姐さんガンバ ・難しい漢字が多くてパソコンで出すの大変なんですけど ・みんな死にたがりだあ ・2018年9月にアメリカ政府と接触した羂索は「呪術師」をわかりやすく超能力者と説明。ちなみに呪術師って日本人しかいない ・呪力は人類史上最もクリーンなエネルギーで五条悟ひとりで一国の電力を賄えるとかのぶったま発言に乗ったア…

  • 映画/「天城越え」懐かし映画感想

    1983年(昭和58年)の松本清張の短編小説が原作のサスペンス映画。 (1983年/99分/三村晴彦監督) あなたと越えたい天城越え 静岡で印刷屋を営む小野寺(平幹二郎)のもとへ田島と名乗る老人(渡瀬恒彦)が訪れ、ある印刷を依頼するがそれは「天城山の土工殺し事件」に関する物だった。 なぜか小野寺は激しく動揺し、そこから30年前の回想が始まるのだ。 昭和15年夏、下田。 14才だった小野寺少年(伊藤洋一)は母と叔父の情事を目撃し亡き父を裏切った母が許せず、静岡にいる兄の所へ行こうと下田から天城峠を越えた。 鬱蒼とした山の中を出会った旅の呉服屋と同道したが、男と別れると寂しい山中にひとりとなり日も…

  • 漫画/「後ハッピーマニア」④ 安野モヨコ 感想(ネタバレ)

    いやもう愛とか不倫とか共感できるのは加齢しかないけど面白い かつて90年代を席巻した伝説の漫画「ハッピーマニア」の続編。 15年後のシゲタカヨコは45才でフクちゃんは51才である。 いやいや誰でも年は取りますよ。 問題は「結婚=ハッピーじゃなかった」ってことでして、第④巻のネタバレかつ感想をそこはかとなく書いとく事にする。 (安野モヨコ「後ハッピーマニア」④巻) まずはザックリあらすじをば。 自分にぞっこんだったはずのタカハシから、よもやまさかの離婚を突きつけられ別れることになってしまったカヨコ。 ➂巻の感想はコチラ↓ www.akirainhope.com 結婚というのは向いてる人と向いてな…

  • 漫画/「みちかとまり」田島列島 感想(ネタバレ)

    (田島列島「みちかとまり」既刊1巻) 田島列島最新作!この帯だけでもう売れそう まずは、ザックリとあらすじをば。 長閑な田舎に暮らす8才のまりが、竹やぶで出会った不思議な少女がみちかちゃんだ。 みちかちゃんは竹やぶに落ちていた。 ってか、もう人間が「落ちていた」って言い草からしてけったいな話でして、通りがかったおばちゃんによれば「ここの竹やぶには時々子どもが生えてくる」と言うのである。 ほーん、タケノコ?あるいはかぐや姫だろか? みちかちゃんは学校へも行かず「あの子は学校へ行かなくていいんだよ」とおばちゃんが言うのを聞き「そんなルールがあるのか!どうしたら学校へ行かなくてすむんだろう」と、まり…

  • ディアギレフとニジンスキー

    天才ダンサーの裏切りを許さなかったパトロン 1890年、ヴァーツラフ・ニジンスキーはロシア帝国キエフ(現ウクライナ)に生まれた。 両親はポーランド人でドサ回りのダンサー。 3人兄妹の真ん中で、幼い頃に父親は若い愛人と出奔してしまった。 9才でサンクトペテルブルクのロシア帝室マリインスキー劇場付属舞踊学校に入学すると、めきめき頭角を現したニジンスキーはその輝かしい才能で「もはや何も教えるものはない」と言われるほどでして、卒業後はマリインスキー劇場の主役に抜擢。 ただどうも多動っぽい子どもだったらしい。 (「薔薇の精」1911年) たくましい肉体と中性的な身のこなし、なにより卓抜した技術は跳躍力で…

  • 映画/「さらば、わが愛 覇王別姫」感想

    7月に4K版が全国で順次公開!スクリーンでレスリーに会わねば 幼い頃から京劇養成所で厳しい訓練を受けながら兄弟のように育った2人。 しかし子どもを京劇役者として育てしかも至難の芸を身につけさせるというのはまさに極限の行為である。 過酷な指導は子どもの自殺者が出るほどで現代なら虐待と批判されるレベルだ。 成長した2人は立役者の段小樓と女形の程蝶衣としてコンビを組み「覇王別姫」の演目で当たりを取る。 蝶衣は小樓に思いを寄せているが、小樓は娼婦の菊仙と結婚してしまうというね。 とまあ、そんな内容なのだが、蝶衣を演じているのは香港の大スターだったレスリー・チャンでして、豪華な舞台衣装に身を包んだレスリ…

  • 漫画/「大乱 関ヶ原」宮下英樹

    4月に①巻が刊行されてて感想を書くつもりだったのに失念しておりました 「センゴク」の宮下英樹の新作。 これは「センゴク」外伝とかではなく、新たな物語としての「関ヶ原の戦い」を描くつもりらしいです。 とはいえ、キャラは全く「センゴク」でございますがな。 (宮下英樹「大乱関ヶ原」既刊1巻) 「関ヶ原の戦い」は、1600年徳川家康を中心とした東軍と石田三成を中心とした西軍が美濃の国(現在の岐阜県)関ヶ原で行った戦いで、家康が勝ちを収め江戸幕府を成立させた云々は誰でも知っています。 天下分け目の戦いと言われてるのに実際は半日でけりがついたのは、家康が老獪な政治力でもって開戦前から入念な調略工作や周到な…

  • 漫画/「光が死んだ夏」感想

    (モクモクれん「光が死んだ夏」既刊3巻) 「光が死んだ夏」なんだか陳腐な青春漫画みたいなタイトルだね などと思いながら、あたくし開いたのですが衝撃の滑り出し。 冒頭いきなり黒髪の少年が蝉しぐれの中でアイスを食べながら 「お前やっぱ光ちゃうやろ」ともう1人の少年に言うわけです。 するとその子はたいそう驚いた表情で 「完璧に模倣したはずやのに・・・」 とつぶやくと顔が半分溶けだしてしまうんです。 わーなんだこれー! 「寄生獣」みたいな話だったのー? もう前菜も食べずいきなりメインを出されたみたいな気分でして、最初からめっぽう面白いです。 2人の少年はとある村の集落で暮らす高校生のよしきと光という幼…

  • 漫画/「セシルの女王」こざき亜衣 感想

    先月イギリスでは国王チャールズ3世の戴冠式が行われ歴史と伝統を感じさせる豪華絢爛な儀式でしたね。 自分には関係ありませんがイギリス国民からの人気はどうなんですかね? お母さんのエリザベス2世は敬愛されてる様子でしたが。 ところでエリザベスと言えば、やっぱ英国史上有名なのはエリザベス1世でございますよ。 「セシルの女王」の女王とはエリザベス1世でして、セシルとは女子の名ではなくエリザベス1世の忠臣ウイリアム・セシルの物語です。 (こざき亜衣「セシルの女王」既刊4巻) 16世紀のテューダー朝イングランドでは「ジェントリ」と呼ばれる新勢力が絶対王政を支えました。 いまや地主として地域に大きな力を持つ…

  • 映画/「必死剣鳥刺し」死んだと見えた主人公が一瞬で繰り出す鳥刺しがかなりのスゴ技

    仕掛人・藤枝梅安役がハマってた豊川悦司さん主演の2010年の映画作品。 原作は藤沢周平の隠し剣シリーズの一篇「必死剣鳥刺し」。 江戸時代の東北の小藩・海坂藩が舞台です。 (「必死剣鳥刺し」2010年/114分/平山秀幸監督) これがまた、いきなり豊川さん演ずる兼見三左エ門が藩主・右京太夫(村上淳)の愛妾・連子(関めぐみ)を刺殺する、という大それた事件を起こす場面から始まります。 連子は美貌で才気のある女性ではあるのですが、殿の寵愛をいいことに政治に口を出し過ぎるため藩政は混乱に陥っています。 まあ、一番悪いのは側室に入れあげるバカ殿なんですがね。 典型的なバカ殿と悪女に家臣が苦労させられて見て…

  • 梅安乱れ雲 仕掛人・藤枝梅安 (五) 池波正太郎

    (池波正太郎「梅安乱れ雲」仕掛人・藤枝梅安⑤) なんといってもシリーズ最大の悪役は白子屋菊右衛門です。 菊右衛門は大阪から京にかけて一大勢力を持つ香具師の元締めでして、江戸進出を企み音羽の半右衛門と対立しています。 かつては梅安と相互信頼を築いていまして、牛堀道場の跡目事件でお尋ね者になってしまった剣客・小杉十五郎を一時預かってもらったんですがね。 小杉十五朗はそうとうな剣の使い手ですが根は律儀ないい青年なので、彼を仕掛人になどしたくなかった梅安は約束をたがえて小杉を仕掛人として使った菊右衛門と全面対立。 「ああんソッチがそのつもりなら今まで面倒みてやったのに可愛さ余って憎さ百倍!」とばかりに…

  • 漫画/「ダーウィンクラブ」➄ 朱戸アオ(ネタバレ)ダーウィンクラブのルールが怖すぎた!

    朱戸アオさんの新刊が出たら必ず買うんですが、現在連載中の「ダーウィンクラブ」ついに➄巻が出ましてもうチョー面白いです。(なんて頭の悪そうな感想) まずこれまでの話をざっと書いておきますと、世界中に経済格差が広がった現代でGAFA的な巨大企業が次々とテロで狙われていくんです。 これを仕掛けた犯罪組織の中に、子どもの頃父親を殺害した犯人を発見した元警察官・石井大良(たいら)は、「ダーウィンクラブ」という謎の組織を突き止め潜入をします。 このクラブは秘密結社のような体で「正しい事をしろ」とか「他人を助けてやれ」とかめっちゃまともな教えを垂れながら、同時にテロを起こし人を殺してるわけでして。 なんか独…

  • 漫画/「平和の国の島崎へ」原作 濱田轟天・画 瀬下猛 感想

    日本は平和ぼけな国だと言うんですが、それは重大な問題だと思い始めたのよ。 「北朝鮮からミサイルが飛来するからただちに避難しろ」って言われてもアータ!いったいどこにウクライナのような身を守れるシェルターがあるのかな。 避難所はあってもそこはシェルターではないわけで。 中国や北朝鮮からミサイル攻撃を受けた場合、あたしゃどこへ逃げたらいいのさ(;´д`)トホホ せいぜい地下鉄とかデパ地下とか身を隠せる場所に逃げ込むくらいですよね。 これが日本の避難システムの現状だと思うとなんかお粗末じゃないですか。 戦後78年だっけ?日本はずっと戦争がなかったから、もちろんそれはとても素晴らしい事なのですが、この平…

  • 義満と世阿弥

    京都駅からバスで10分弱の「今熊野」バス停で下車したら、南の方角に森のように見える一画が平安時代末期に後白河法皇によって創建された新熊野神社です。 永和元年(1375)この場所で劇的な出来事がありました。 時の将軍足利義満と観阿弥・世阿弥父子の出会いです。 足利義満と言えば、言わずと知れた室町幕府第3代将軍でして、室町幕府歴代将軍の中でも一番お馴染みな方じゃないですか。 源氏の名門に生まれた義満はわずか11才で征夷大将軍になり、南北朝合一を果たし足利政権を確立したやり手です。 また世界遺産の金閣寺を建立するなど北山文化を開花させ、室町時代の政治、経済、文化の最盛期を築きました。 この義満が愛し…

  • 映画/「ベニスに死す」感想

    (「ベニスに死す」1971年/ルキノ・ヴィスコンティ監督/130分) 仄暗い夜明け前の海を蒸気船は黒い煙を吐きながら静かに進んでいきます。 マーラーの交響曲第5番第4楽章Adagiettoが厳かに流れる1911年のベニスです。 映画の代名詞のようになったこの名曲は、映画の冒頭と最後にまた主人公アッシェンバッハの心の揺れや追憶の場面で流れます。 アッシェンバッハは著名な作曲家指揮者ですが、仕事に行き詰まり健康もすぐれないため休暇を取り一人この水の都にやって来たのです。 身も心も疲弊した彼の表情はバカンスなどとは程遠い物憂さで、蒸気船の中で見た化粧をした男に嫌悪感を覚えるわ乗り換えたゴンドラでは船…

  • 漫画/「これ描いて死ね」③(ネタバレ)感想

    「マンガ大賞2023」受賞ということで4月発売の3巻の感想をなんとなく書いときます。 (とよ田みのる「これ描いて死ね」3巻) ゆうてこの絵柄を見ただけで普段なら絶対買わんと思ふね。 舞台は伊豆王島という東京の離島でしてね、主人公の安海相(やすみあい)は漫画が大好きな女子高生で漫画に夢中なんですが、もうね冒頭から「エ~?コロコロかよ~」と見まがうばかりの古い感じの絵とか子供っぽいキャラとか主人公としゃべるタヌキとか恐怖しかなく、あたくし最後まで読み切れるだろうかと不安になりました。 さらに「漫画なんてすべて嘘です!」と相にダメ出しで全否定する手島先生に「今時こんな教師いるかね?」と痛さ倍増。 と…

  • 漫画/「昭和天皇物語」⑫ 能條純一 感想

    1936年(昭和11年)2月26日、日本を揺るがす未曽有のクーデター未遂事件「二・二六事件」が勃発しました。 陸軍の「皇道派」に属する青年将校22人が約1500人の部隊を率いて武力蜂起したのです。 (能條純一「昭和天皇物語」12巻) 二・二六事件の背景にあったのは陸軍内の統制派と皇道派の派閥抗争でした。 イヤだイヤだ。軍人のくだらない勢力争い。 事件の前は統制派有利の状況でして、統制派は陸軍中枢の高官が中心で陸大卒のエリートなんですね。 皇道派の人は陸大出身者はほとんどいません。 当時の日本は世界恐慌による深刻な不景気で都市部では失業者があふれ地方の農村では娘を売る家も出るほどの窮状でした。 …

  • 漫画/「恋じゃねえから」渡辺ペコ 感想

    ある日土屋茜(40才・主婦)は、中学時代の学習塾の講師だった今井先生が彫刻家になってることを知ります。 彼が発表した「少女像」という作品は中学時代の親友・川瀬紫(ゆかり)にそっくりでした。 26年も前の紫の姿と苦い記憶が茜の脳裏に蘇ります。 (渡辺ペコ「恋じゃねえから」既刊2巻) 時はゆっくりと、だが確実に過ぎるものです。 まだ子どもだった中学時代の、束の間だけど現実にいた絶対に取り戻せない唯一の友達紫のことは、40才になっても茜の心の奥に深く刻まれていました。 ひとり娘は中学生となり夫は元同僚で出産を機に会社を辞めた茜は今はフリーで翻訳の仕事をしています。 そんな決して悪くない今の境遇も茜に…

  • オスカー・ワイルドの話

    ご存知のようにイングランドで同性愛が合法化されたのは1967年と割と最近です。 映画「モーリス」では、主人公モーリス(ジェームズ・ウィルビー)と愛し合うクライヴ(ヒュー・グラント)が、学生時代の友人が同性愛者として逮捕されたのを知り愕然とするシーンがありました。 同性愛が罪というのは道徳的にけしからんというレベルではなく、本当に犯罪者として投獄されてしまうんです。 「モーリス」は「君の名前で僕を呼んで」の脚本のジェームズ・アイヴォリーが1987年に監督したイギリス映画でございます。 20世紀の初め英国のケンブリッジを舞台にモーリスとクライヴは愛し合いますが、クライヴは世間体を守る為にモーリスへ…

  • 漫画/「ダーウィン事変」➄(ネタバレ)感想

    好むと好まざるとに関わらず、半分ヒトで半分チンパンジーの「ヒューマンジー」チャーリーは動物の権利を求めるヴィーガンテロリスト集団「動物解放同盟(ALA)」との戦いに巻き込まれてゆくわけです。 アニマルライツ(動物の権利)とは、動物には人間からの苦痛を被ることなく動物らしく生きる権利があるということです。 でもたとえば肉食や動物実験など動物を利用することを人間の社会からなくすなんてできるでしょうか? そしてチャーリーの生物学上の父であるグロスマン博士はなぜ「ヒューマンジー」を作ったのでしょう? (うめざわしゅん「ダーウィン事変」5巻) チャーリーの母であるチンパンジーのエヴァが前巻で亡くなったの…

  • 漫画/「ばるぼら」手塚治虫 感想

    手塚治虫が70年代に描いた「ばるぼら」はインモラルな匂いのする大人の漫画です。 主人公の美倉洋介がバルボラと出会う書き出しからして良いのだ。 都会が何千万という人間を飲み込んで消化し、 垂れ流した排泄物のような女 それがバルボラ 私が彼女に遭ったのは新宿駅 群集から少しはなれて、 柱のかげにうずくまった彼女を見て、 気分でも悪いのかと医務室へ連れてったのが最初である と、来たもんだ。 (手塚治虫「ばるぼら」全2巻) 当時はフーテンと言ったらしいですが、これはまあどう見ても薄汚れたホームレスの若い女です。 新宿駅で行き倒れになりながらヴェルレーヌの詩を口ずさんでいるという変わり者ですが、美倉はバ…

  • ランボーとヴェルレーヌの話

    日本でも馴染みの深いフランスの象徴派詩人ポール・ヴェルレーヌは、1844年ドイツに隣接したメスの裕福な家庭に生まれ、21才で処女詩集「サテュルニアン詩集」を刊行します。 25才で結婚し長男も生まれますが、ヴェルレーヌは少年時代から自分がホモセクシュアルである事に気づき悩んでいましたから結婚することで自分を変えたかったのです。 そんなヴェルレーヌの前に、まるで運命のように現れたアルチュール・ランボーは弱冠17才の美貌の少年です。 ランボーは1854年にシャルルビルで生まれ、父は軍人でしたが後に両親は離別しています。 地元では神童と言われ15才から詩作を始めましたが、親も地元も嫌いだったランボーは…

  • 漫画/「消えたママ友」野原広子 感想

    仲良くしてたママ友の有紀ちゃんがある日突然いなくなってしまったのです。 子供が同じ保育園に通うママ友の4人は、春ちゃん、ヨリちゃん、友ちゃん、有紀ちゃんと呼び合う仲良しグループでしたが思いもかけない事件が勃発。 失踪か。家出か。息子のツバサ君を残していったことから男と逃げたんじゃないか?と悪い噂は保育園のママたちの間に瞬く間に広がります。 (野原広子「消えたママ友」) 「有紀ちゃんはそんな人じゃない!」と必死に味方する春ちゃんは常日頃元気のいい息子コー君の育児を奮闘中です。元気が良すぎて謝ってばかりですが決してコー君は意地悪な子ではありません。そう言ってかばってくれたのは有紀ちゃんだったのに。…

  • 漫画/「ヘウレーカ」岩明均 感想

    今回ご紹介しますのは、岩明均が「ヒストリエ」に先がけて2001年から2002年に描いた歴史漫画「ヘウレーカ」です。 さて「ヘウレーカ」とは、シチリア島シラクサのヒエロン2世から金の王冠の純度を調べるよう命じられたアルキメデスが、風呂に入って湯が溢れるのを見てアルキメデスの原理のヒントを発見したという故事がありますが・・・その時叫んだ言葉が「ヘウレーカ(わかったぞ)!」だと言われています。 (岩明均「ヘウレーカ」全1巻) 舞台は第二次ポエニ戦争中の紀元前214年から212年にかけて発生したシラクサ包囲戦です。シラクサはシチリア島の大都市でローマと同盟を結んでいましたがそれを破棄してカルタゴと結ん…

  • 漫画/「昭和天皇物語」能條純一 感想

    2017年にこの漫画の連載がビックコミックオリジナルで始まった時、正直あまり読む気持ちが起こらなかったものです。 天皇が主人公の漫画って画期的な気もするけど学校の教科書みたいな内容だったり単なる伝記だったらつまらないなと思いました。 しかし能條純一先生であった。 「哭きの竜」の。 しかも原作は半藤一利の「昭和史」なのである。(なんか最強の布陣) これがまた読み始めると面白くて、昭和天皇の人生を知ることは昭和の歴史を知ることでした。 (能條純一「昭和天皇物語」既刊11巻) 当然ながら昭和天皇が生まれた当時の皇室は現代とはまったく違います。 子供は生まれると里子に出すしきたりで親子は一緒に暮らしま…

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