夕方が一日でいちばんいい時間なんだ――カズオ・イシグロ『日の名残り』(土屋政雄訳)

夕方が一日でいちばんいい時間なんだ――カズオ・イシグロ『日の名残り』(土屋政雄訳)

平凡で、真面目で、ロマンチストで…自らの執事としての「品格」を疑うことなく生きてきたスティーブンス。きっと第二次世界大戦以前の、大英帝国がまだ栄華を誇っていた時代であれば、そのまま何の疑問も抱かずに生き抜くことができたのでしょう。でも、戦争の終結とともに社会構造が大きく変わり、変わりゆく時代について