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創作BL小説を書いています。 ヤフーブログから引っ越して参りました。
ヤフーブログ終了でライブドア様に引越しました。今日の夜中更新分からはこちらがメインです!
読者様はいかがお過ごしでしょうか?コメント頂いたり、にほんブログ村・人気ブログランキングポチしてくださったり読んでくださったりでとても嬉しいです。書いていて楽しいので続けていますが色々とお気遣い頂き有難うございます!私はいきなり寒くなったせいで発熱を伴う
祐樹は柳田医師を押さえつける役目をこなしながら当惑の眼差しを向けてくる最愛の人に「座っても大丈夫ですよ」という意味の目配せを送った。内田教授の椅子に最愛の人が茶道の所作のような滑らかな感じで腰かけている。「本来ならば、香川教授や田中先生の貴重なお時間を
慌てている天使のような風情で最愛の人も祐樹の括れをやや冷たい唇で挟んで舌全体を使って舐めてくれた。祐樹の屹立した楔の熱に唇の感触が心地よい。何だか同じ愛の動作をしていると、自分のモノを自らが口淫しているような錯覚を覚えて脳が焼ききれそうなほど良い。物理
「ちょっ!手を放せよっ!」 殺気立った凄い目で睨まれた。ただ、祐樹だってこの件で色々と動き回って時間をコイツらに割かれてしまったという気持ちが有るので睨み返すと怯んだような表情を浮かべて目を逸らしている点が間抜けだ。もともと目力(めぢから)には自信がある。
薄紅色に染まった手で瑞々しい双丘を開いて花園へと指をゆっくりと挿れている。二本の紅に染まった細い指が自らを慰めているような感じで抜き差しをしているのも良い意味で意外過ぎる眺めだった。最愛の人は祐樹が居ないと劣情を催さない人なのは知っている。だから自慰も
厚手のバスローブから匂い立つような素肌が見えている。身じろぎしたせいで露出度がわずかに上がって鎖骨の窪みが健康的な色香をふんだんに振りまいていた。その後もシャンパンやワイン以外は祐樹のナイフやフォークで最愛の人の唇へと運んで、最愛の人も祐樹に食べさせて
長岡先生の個室の廊下も人気(ひとけ)がないのを良いことに全力疾走した。後ろをチラリと振り返ると柏木先生と長岡先生も平気な顔で走っている。……最後尾の久米先生はどうやら走り方を思い出したようで、右足が動くと左手を振っている。程なくして薬品保管室に着いた。「
「キャンドルの炎がとても綺麗だな」 腕に抱えた大輪の百合の花束よりも綺麗な笑みを浮かべた最愛の人がため息混じりに言ってくれた。「どうぞ」 立ち上がって椅子を引いた。彼の昨夜の体調不良がまだ続いているのではないかと案じていたので、早く座って欲しい。「いや、
「女、いや女性の顔は何とか確認出来たな。この画像ではなくて静止画として残しておけないだろうか?」 柏木先生が長岡先生に向かって言っている。柏木先生が予想していた通りの立ちバックの体位で、女性がキスを強請る時に顔が一瞬見えた。ただ、その顔に見覚えはなかった
こんな目を惹くバッチをスーツのフラワーホールに付けていたら絶対に記憶に残っているハズだ。「今までは何となく気が引けて付ける気がしなかったが、祐樹とお揃いになったので心臓外科学会に二人で付けて行こうと思うのだが、どうだろう?」 最愛の人は胸に抱えている白
「そんなお金を出すのは嫌だと判断されたらお別れすることをお勧めします。その恋人さんも奥さんに慰謝料を支払わなければいけない立場なので、今までのようなデートは出来なくなるでしょうし、お子さんがいて、しかも離婚ということになれば養育費を恋人が支払う義務がある
何気なく聞いてみたら、彼には心当たりがあるような笑みで返された。「それは見てのお楽しみということにしよう。多分、祐樹も喜ぶだろうし、それを付けて外科医の前に出れば感心されると思う」 「付ける」ということはトロフィーとか記念の時計などではなさそうだ。時計
「単に相手にお金を遣いたくないからなのでは?言葉は無料(タダ)ですからね。それでいて相手をうっとりさせることが出来るので一石二鳥のような気がしますよ。あとは……私も利用したことがないですが、通りかかったことは有ります、ファッションホテル」 白々しくも真っ赤
天蓋付きのベッドの上で彼らしく几帳面に結ばれたバスローブの紐を解いた。シャワーを浴びたてのしっとりとした艶やかな素肌を露わにさせた。慎ましい桃色の粒がツンと尖っているのもとても綺麗だ。愛の行為が深まるとルビー色に染まっていく、その過程も大好きだ。いつも
「それは今後の久米先生の言動によりますね」 祐樹だって緑色の唐辛子のペーストは作りたくない。それに台所作業をしていたら最愛の人が絶対に「何を作っているのだ?」と聞いてくるだろう。彼に幻滅させることは絶対にしたくない。食べるためではなくて嫌がらせのために料
『それは嬉しいです。あの抗鬱剤は一晩ぐっすりと眠ることが出来ると思いますので、朝になったらきっと精神も回復していると思います。私の診立てが狂っている可能性も勿論あるので、明日の朝の教授が一時的な抑鬱(よくうつ)状態だったら、遠慮なく連絡下さいね』 朗らかで
最愛の人が淹れてくれた世界一美味なコーヒーを向かい合って飲んでいるだけで幸せな気分になる。時間が有れば、彼の仮説を聞いてみたいとは思ったが、あいにくそんな時間の余裕はなかった。ただ、あんな人通りの少ない場所なので、密会場所を鵜(う)の目鷹(たか)の目で探し
「では同じベッドで休むことにします。アドバイス有難うございます」 確かに最愛の人は祐樹の添い寝(?)で精神の安寧を取り戻していたなと思いつつ、呉先生の精神科医としての優れた資質に感心した。患者さんの気持ちに寄り添っている点と見事な投薬には舌を巻いてしまう
「困ったことですか?それは一体何ですか?あ、有難うございます。貴方のこのコーヒーの香りも何時もながら素晴らしいですね。味も最高ですし」 祐樹は食べ終わった松茸尽くしのランチの皿を片付けながら最愛の人に笑みを向けた。彼はくすぐったいような、そして誇らしげな
『はい?何でも仰って下さいね。田中先生も肉体的にも精神的にもお疲れでしょうし、私で役に立てるなら喜んで』 祐樹は疲れているのだろうか?もしも、手術に失敗していたら反省の念や自己嫌悪でいっぱいになって、この客室でどんよりと過ごしてしまうような気がする。最愛
向かいに座っている彼は納得したような、そして静謐な表情を浮かべている。「それには及ばない。LINEで何を書いてもそれは本人の自由だと思っている。要は薬品保管に駆けつけて証人になって貰えるだけで良いから個人的にはスルーしたい。祐樹の考えはどうなのだろう?」
「それはどうだろう?反社会性パーソナリティ障害、個人的には違うと思うな……」 お茶を一滴残らずお湯吞に入れてくれた最愛の人はお箸を取り上げる所作も水が流れるように綺麗だった。祐樹もコンビニなど無料で貰えるお箸などとはまるで別物のようなモノを取り上げて笑み
「省庁縦断で行うという大掛かりなインバウンド効果は個人的にむしろ良いことだとは思っています。しかし、国際公開手術は思いっきりパクリですよね。そういう良いトコ取りというか模倣は個人的に好きではないということです。ま、同居人が仕事として真剣に取り組んでいるの
「今にして思えば蛇よりもその教師の方(ほう)がより嫌いだった女子が多かったのでしょうね……。私の小学校の教卓には児童の机と同じように仕切りというか抽斗(ひきだし)部分の引き口がない仕組みでして、給食前にその教師は潔癖症なのか給食を食べ終わったらその中に常備し
何が起こったのか祐樹の居る場所からは死角になっていて分からないが、また何かやらかしたのだろう……。久米先生が祐樹の視界に入るように身体を動かしたと同時に椅子の背もたれに額(ひたい)を勢い良くぶつけて「痛(いた)っ!」と言っていた。おそらく礼をしようとして頭
「そんなことはお安い御用です。教会の牧師さんとか司祭さんの前で誓ったわけではないですけれども、二人きりで誓約しましたよね?『病める時も健やかなる時も』とか『死が二人を分かつと(・)も(・)』ずっと一緒だと。貴方が眠りの国に入るまで一緒に居ますよ」 最愛の人が
日本では医師が処方箋を書かないと手に入らない程度のことは知っている。ドラックストアで売っているならば呉先生が購入して封筒に入れたということも考えられるが、日本と同様の場合はどうやって入手したのだろうかと気になった。「いや、抑鬱(よくうつ)剤はアルコールと
「香川教授が英語でジョーク混じりのスピーチをなさったとして、遠藤先生などが笑った数秒後とか一分後に笑いが起こるというようなことは避けたいです。英語が堪能な先生方が笑ったから、おべっか的に笑い声を響かせるのは多分教授の意に反します。ですから、皆様の会話力が
日本から持って来たモノでないのはカタカナで薬品名が書いていない点から分かる。祐樹の知る限り、日本の薬には必ずカタカナで薬品名が書いてあった。「そう指摘されたら、確かにそんなような気もする。一時的というか発作のような感じで抑うつ状態になったのかも知れない
「勿論です。香川外科の名誉のために、そして何より香川教授のため精一杯頑張る所存です」 准教授は肩の荷を下ろしたような表情になっている。「田中先生に任せておけば安心ですよ」 栗木准教授は祐樹の肩を肉厚の手で励ますように叩いた後に祐樹が先ほど通って来た廊下を
指輪とかアクセサリーはさほど持っていないのです。特に指輪は、お付き合いしていた人とお別れをしたら、返すか、返却を断られたら処分してしまうのがモットーです!そういえば20代の頃、仕事で夜10時以降に駅前を通っていたのですが「宝石に興味ないですか?」と良く声
事務局長の石頭振りは良く知っている。そして口が良く回ることも。その提案が可決されるのが早いか、それとも当事者を見つけ出すのが早いかの時間勝負になりそうだ。祐樹だって早期解決を望んでいるものの、最愛の人が責任者として倫理委員会で吊るし上げられることは断固
「有りますよ。小学生の頃ですが。いきなり怒る先生が居たのです。授業を騒いで妨害したわけでもなく、指名されて間違った答えを言ったわけでもないのに、です。今思えば職員室で何か叱責されたとか、家庭内で深刻な問題があったのかも知れませんが。私の場合は『教えなくて
「恥ずかしながら私は映画などで誇張されたモノしか知らないのです。確か高校の教師が担当するクラスの全員を殺害しようとするとか。もう正気の沙汰とは思えない映画でした……。しかもその動機が『自分の思い通りのクラスにして、その王様となって君臨したい』とか。そもそ
産婦人科には一ミリも興味がなかった祐樹は学生時代の知識など医師国家試験を受験した後に雲散霧消してしまっている。「そうなのですか……?知らなかったです。女性には全く興味がないので。実際に遭遇したことはないですが、外出中に臨月の妊婦さんが突然産気(さんけ)づ
「田中先生、恋人からの連絡ですか?」 いきなり声を掛けられて慌てて顔を上げた。「黒木准教授、当たりです。ちなみに今カナダに居るようです。准教授は講義お疲れ様です」 真顔で真っ赤な嘘を吐(つ)いた。恋人からのLINEというのは本当だったが、後半は嘘だ。祐樹が
最愛の人はどこか放心したような感じで車を降りて来た。地面に両足を付けてゆっくりと立ち上がるのを、倒れ込んだら即座に手で支えられる状態にして待機する。多分一分にも満たない時間だっただろうが、物凄く長く感じた。幸い祐樹の出番はなくて幾分覚束ない足取りで歩を
「ただ、こうして祐樹の身体に凭れ掛かっていると少しはマシになったような気がする……」 だったら内科的なモノではなくてやはり精神が問題なのだろうか?「それは何よりです。私のこの身体は貴方を寄りかからせるためにあるのですから存分に。仕切り窓を閉めたのでレンフ
「ああ、モルガンスタンレー銀行でしたっけ?その口座に入っているドルの問題ですよね」 遠藤先生の顔がやや明るくなった。「そうなのです。円安が円高になっていますよね?どの時点で円に換えれば良いのかと思い悩んでしまっていまして。しかし、教授にこういった個人的な
「田中先生、おめでとうございます」 執事然としたレンフォードさんが最愛の人を見て微かに表情を変えた。「有難うございます。それよりも、彼の気分が悪くなってしまったみたいです。いつも以上に安全運転でお願いします」 呉先生も心配そうにレンフォードさんが開けたド
「この鍵お返ししますね」 薬品保管室で祐樹のスマホを回収して施錠した後に再び戻った。長岡先生の手に巻いた白い包帯が痛々しい。「お手数をお掛けして申し訳ありません」 鍵を受け取った長岡先生はデスクの上から二番目の抽斗(ひきだし)に鍵を入れていた。……いやせめ
「あのう、香川教授少し休まれた方(ほう)が良いのではないですか?」 次に来る「口撃」を予測してその対応策を頭で考えていると呉先生が案ずるように隣に立っている最愛の人の顔をマジマジと見ながら控え目な感じで口を挟んだ。「え?特に何もないですが?」 最愛の人はむ
「そうなのですね。ただ、その作者の場合、大きさは割といい加減なのです。内田教授や小児科の浜田教授と『難しい話は抜きにしてマンガやアニメを語りましょう』という趣旨の呑み会に二人して参加したのですが、内田教授は、とある登場人物が薬指に着けていた指輪が中指に変
スポットライトを浴びた最愛の人が純白の百合の花束を抱えて満面の笑みを浮かべていた。「本日、急遽参加した先生方や有志の方(かた)からのご寄付で賄(まかな)いました花束です。ご存知ではない先生はいらっしゃらないと思いますが、そんな人が居たら会場を間違えて入って
「はい。田中先生の後ろ姿は良く見えますわ」 おっとりとした口調だった。「そうですか。安心しました。後(あと)は盗聴器ですね。適当に何か話して頂けませんか?」 長岡先生のスマホがピロンと鳴った。「あら、お友達からのLINEですわ。でも珍しい画像も送られてきて
昨夜8時に宅急便が届きました!教授大好き♡様・しょうこ様・雪様(五十音順)いつもいつもありがとうございます!読んで下さったりコメント頂いたりするだけで嬉しいのですが(リコメ出来なくてすみません)誕生日はさほど嬉しい歳ではないのですけど、お心遣いが嬉しいで
本音はともかくとして教授職なら厚労省未認可の薬品を使っていることが露見すれば病院長、そして厚労省が黙っていないだろう。現場の声は「現場の意見を全く無視して朝令暮改を繰り返す厚労省が憎い!」が圧倒的だが。そして最愛の人も厚労省の愚策に反対の立場だ。ネガテ
日本では各々の限界を鑑みた上で呑めるだけは吞むというのがマナーというか常識だ。しかし、レセプション会場などでは異なるらしい。「お教えくださって有難うございます。西洋の方(かた)に比較すると特に日本人はアルコールに弱いので、醜態を見せないためにも有効ですね
「そうなのですね。心して手技を磨きます。患者さんにも、そして私の手技を推薦して下さった医師のためにも恥ずかしくない執刀をしなければならないのですから」 最愛の人は帰国当初から手技の映像を公開していたし、手術見学は医学部生や医師には自由だった。「学会に行っ
久米先生は想定外のことに弱いと思っているのか、それとも性行為に免疫がないと判断しているかの二択だろう。基本的に上品な長岡先生は人に対してネガティブなことを言わない。「ああ、それは大丈夫です。救急救命室に膣痙(ちつけい)で搬送される二人の患者さんの女性の方(
「そうか、それもそうだろうな。それに興奮して居ても立っても居られない外科医が多数ヨーロッパ中から馳せ参じただろう?その先生達が評判を立てるだろうから、そのうち田中先生の手技を慕って大学病院に患者さんを紹介するのではないか?」 ……予想に反して大反響だった
「あ!この共有のアイコンはきっと他のデバイスとも通信可能なのではないでしょうか?試してみましょう」 長岡先生は祐樹が教えた杉田弁護士の連絡先を黒革ならぬ薄紅色の手帳にメモしている。最愛の人と観たドラマ「黒革の手帳」では今は多分バレたら大変なことになると思
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「祐樹……、この二人だけの愛の空間……。本当にこの屋上が最も高いのだな……。祐樹の高校の屋上もこんな感じだったのか?」 キスの合間に紡がれた、艶やかな中にも無垢さを含んだ言葉が紡がれている。最愛の人の高校時代も教室から出ることもなく読書をしているか、定期
いつもご覧いただきありがとうございます。これまでブログの更新はパソコンで行っていたため、スマホでの表示について深く意識していませんでした。ところが先日、珍しくスマホから自分のブログを見てみたところ、うっかり広告をタップしてしまい、まったく興味のない外部
「あ!オレ、いや私までも真殿教授は、とても不本意そうな顔で、『なぜFacebookをしないのか』と言ってきたことがあります。まだ医局にいた頃です。大喧嘩をする前も一触即発といった感じが漂っていたのですが、それでも誘ってくるのですから、イエスマンばかりの医局員は皆F
「――先に答えを言ってしまったら、興が削がれるでしょう?」 最愛の人の薄紅色の唇を祐樹の唇で封印した。そしてサマーセーターを着ていても先ほどピーチフィズを零したせいで可憐に尖った胸を指先で弾いた。愛の交歓の前奏曲としてはちょうどいいだろう。このエレベータ
そういえば、最愛の人も祐樹も「心臓外科」の医師一覧に載っているが、同じような「理知的で誠実な、そして控え目な笑みを浮かべてください」と広報室の人に言われた記憶がある。だからきっと同じ指示が医師全員に行き渡っているのだろう。「私が特定不可能な以上、森技官
確かにその通りだろうなと思った。脳外科のアクアマリン姫こと岡田看護師と付き合ったことで、久米先生はゲームという二次元から普通の恋愛にシフトしていて、以前ほどのめり込んではいない。しかし、顔は清楚なのに胸が異様に大きい美少女のセーラー服を一枚一枚脱がして
「別に私はガンジーのような非暴力主義者ではない。祐樹が久米先生の頭を叩いているのを見た時、その行為を彼自身が喜んでいると判断したので、敢えて干渉しようとは思わなかった。医局員全員も、あれは『愛のあるイジり』だと理解していると柏木先生が言っていた」 柏木先
「ウチの病院のサイトに、精神科所属の医師の顔写真は載っていましたっけ?」 最愛の人が淡い笑みを浮かべて頷いている。誰が聞いているかも分からない職員用の食堂で呉先生を揶揄する医師二人は、たとえ親真殿派ではなくても呉「教授」に反対するはずだ。 二人で暮らして
うっかり布地越しとはいえ、胸の尖りを晒してしまった最愛の人のリアクションも非常に気になった。そういう情事に触れられると、普段の最愛の人は顔を紅色に染めて目を伏せていた。しかし今夜はそうではなかったので内心、意外だった。 祐樹と二人きりの時には、大輪の紅
特筆すべきは最愛の人の麗しい筆跡のみで、祐樹には縁のない名前の羅列に過ぎない。森技官が、あたかも国家機密のように大切に抱えていたその紙を、祐樹はテーブルに広げ、何の演出もなくスマホで撮影し、LINEで清水研修医に送信した。一応「極秘でお願いします」とだ
「また始まった」 呉先生がぼそりと漏らした。諦めと愛情が絶妙なバランスで同居した、乾いた呟きだった。しかし、それ以上何かを言うことなく、呉先生は無言で森技官に視線を向けていた。祐樹もつられて視線を向ける。 森技官が言う「備考欄」には、最愛の人の達筆が静か
最愛の人はどこか誇らしげなセピア色の口調とまなざしだった。杉田弁護士は極上の生クリームを心行くまで舐めたチェシャ猫のような表情だ。何しろ祐樹に「香川教授が今『グレイス』に来ていて、多数の男たちから奢られている」と知らせてくれたのは彼だった。「グレイス」
四個の洋菓子は既に食べてしまっている。呉先生は最愛の人よりも華奢な身体なのにどこに収まったのだろうか?まあ、洋菓子効果で呉先生の決意がさらに固まったなら祐樹としては喜ばしいのでスルーしよう。「――新しいかどうかまでは分からないですよ。ただ、その看護師が
最愛の人も男性器は見慣れているはずだ。といっても大学の講義の一環や医学部生の時にボランティアとして参加していた救急救命室での経験に限られていただろう。身体を重ねた相手は祐樹が二人目で祐樹のソレはともかく初めての相手のはそうまじまじと見ていないような気が
「教授教えて下さって有難うございます。あ!お前が軽躁の入り口に立っているかと思った。本気大道芸だったからな、あれはさ」 森技官は一瞬だけアルマーニがこよなく似合う肩を落とした。恋人の言葉は妙に効くらしい。祐樹に言われたなら、きっと三倍返しで皮肉を返してい
最愛の人の怜悧な声は相変わらず淡々としていて、まるで「地球は丸いのです」という自明すぎることを話しているようだった。その静謐な口調が胸の奥に染み入り、祐樹の心は、まるで水面に沈んでいく光の粒のように最愛の人の言葉に全て吸い込まれていく気がした。ただ、二
最愛の人は固まり、呉先生は呆れ果てたスミレの花といった感じで単に咲いている。祐樹は身体を動かすと笑いの発作が再発しそうで、身じろぎすら出来なかった。 精神的には一時間、実際には五分くらいだろうか?ナゾの空白の時間だけが、ただ過ぎていった。 最愛の人がし
ナツキは一瞬だけスマホに目を落とした。多分、両親の待つ家に帰ろうかと思ったのだろう。しかし、今の祐樹は「グレイス」の常連ではない。 今宵訪れたのは最愛の人とのデートの一環で、こんなに長居をするつもりもなかった。最愛の人も祐樹に誘われたから足を運んだだけ
祐樹が洗面所で顔を拭きながら深呼吸を一つ二つと行い、ようやく笑いの発作を収めてキッチンに戻った瞬間、祐樹は一瞬、時空が歪んだのかと思った。 テレビの中でしか見たことのないはずの――学生運動、アジ演説、安田講堂の熱狂。それなのにそこに居たのは、アルマーニ
彼が祐樹の肩から頭を上げたと同時に自転車のライトと思しき光が近づいて来た。この近くの住民だろう。最愛の人が軽やかに立ち上がって祐樹との距離を友達のパーソナルスペースに戻す。幾ら「多様性」が重視されていると謳われている現代でも男性二人が密着して座っていれ
「サトシ、久しぶりだな?日本に籠り切りで何をしていたのかと思っていたが、年上(・・)の指導をずっとしていたのかい?」 いかにも親しそうに肩を叩いているアメリカ人と思しき人に少しムッとした。アメリカ人のパーソナルスペースは日本よりも近いことは知っていたにも関
一気に買うよりも上策な方法というのは何だろうと疑問に思ったが最愛の人の薄紅色の唇が紡ぐ言葉に聞きほれてしまう。「株式は良さげな銘柄(めいがら)、つまり会社をおいおい選ぶとして……」 三好看護師の同僚兼友達が「銀行でNISA口座を開設してしまったら投資信託
「ウチの田中」と呼んでくれたのはとても嬉しいし何だか新鮮な感じだった。しかも所有権を主張されたような気がする。しかも「出来なくはない」とゴール医師に言っている。「大学病院長兼医学部長の斎藤に貴方の上司から正式な要請のメールか手紙を出して下さるようにお願
「特に不思議に思ったことはないですね。強いて言えば、刃(やいば)の色が初めて握った剣士によって変わるという点でしょうか?『呼吸』の適性が分かるという刀の色は、最終選別を突破して分かるモノですよね。例えば主人公は『水の呼吸』の修行をしていても『滅多に見ない』
「店舗を構えているとなると人件費の問題が出てくるだろう?窓口の女性や営業の人など一店舗で10人以上を配置しなくてはならない。それにオフィスビルの家賃とか光熱費その他諸経費を考えるとそれらを手数料で賄わなければならなくなる」 なるほどと思ってしまう。「最近
「そうなのか?それは少し興味があるな」 若干弾んだ声と艶やかな眼差しが夜の空気に煌めいている。ポケットからスマホを出して検索した。「この旅館ですね」 施設案内という部分をタップした。「本当だ……確かに似ているな」 彼は祐樹との距離を詰めて来てくれるのがと
「麻酔医自身がクローズアップされることだろうか。森さんが日本で面白い催し物を開催予定しているらしいな。田中先生もこうして皆に祝福されたら外科医をしていて良かったとしみじみと思うだろう?麻酔医だって同じだと思う。そういう意味で、日本の催し物で外科医が脇役、
「プラチナや金(ゴールド)は今高価らしいですよね。柏木先生の奥さんが千切れたネックレスとか片方だけになったピアスをリサイクルショップに持って行ったら驚きの価格で買い取ってくれたとホクホクしていましたよ」 柏木看護師は手術室のナースなので手術(オペ)後に雑談す
「仙台結界(コロニー)と言っても、一般人には黒い壁としか認識出来ない物だろう?行ってもいいけれども呪いが見えない私達には単なる道路だろう」 月明かりに照らされた最愛の人の顔は苦い笑みを浮かべている。この人がこういう表情を浮かべるのは珍しいので心の中のシャッ
最愛の人は手術(オペ)を一日二件こなしている上に医局の責任者としての事務仕事を完璧にこなしている。有能な秘書が居るのは確かだが、事務処理能力は祐樹が知る限り最も優れている。森技官の無茶振りで不本意ながら捜査だか調査を二人して頼まれた時に彼の文書作成能力に
「そうなのですか。それは何故ですか?そんなにモルガンスタンレー銀行にお金が有ったら心強いと思いますが?」 思わず背筋を伸ばして彼の複雑そうな表情をまじまじと見詰めた。恋人同士の甘い時間はホテルの客室で過ごすことにして、このバーでは病院関係者の資産運用の話
弁護士の必要性は皆無なような気がするのだけれどもどうもそう単純なモノでもなさそうな表情を最愛の人は浮かべている。「祐樹の場合だと……家で二人きりの時には何の問題も生じないだろうな。いや、嬉しそうな表情で出勤して医局で正直に言った場合は異なるかもしれない
最愛の人は滑らかな白い肌に睫毛の影が綺麗なコントラストを作っている。夜に咲き誇る薄紅色の薔薇のような笑みを浮かべながら祐樹の話を興味深そうに聞いてくれているのも愛おしさが募る。「高価なお酒が呑み放題というのに釣られてしまっていてモトを絶対に取ってやる!
「保険って契約するもので作るものではないと思っていました。ただ、今まで全く気付かなかったのですが、保険商品が山のようにありますから作っている人も居るのでしょうけれども、ね?」 話しを促してみた。「日本人の平均寿命が年々延びているだろう?厚労省や色々な研究
「流石は祐樹のお母さまらしい用心だな。それはともかく若者よりも高齢者の方(ほう)が現金を持っている確率は高い。しかも老後のことを考えてあまり出費はしない傾向にある。例外は子や孫で、それに対して援助しやすいようにと税額が変わるのだ」 すとんと腑に落ちた気がし
「え?どういうことだ……?高専を卒業して第一線で働くことが出来るかという祐樹の質問なのだろうか……」 隣に座った彼は明眸(めいぼう)皓歯(こうし)のお手本のような、瞠った目と和洋折衷菓子を白い歯で挟んで切っている。それはそれで目の保養になっているのだけれど怪
杉田弁護士という知り合いは居るが税理士の知己はいない。確定申告はさして難しいモノではないので専門家に頼まずに自分で確定申告をしている祐樹には税理士の知り合いはいない。 「太陽のたまご」というらしいマンゴーを銀のフォークを使って優雅な動作で魅惑的な微笑み
最愛の人は計ったように二等分、しかもナイフとか正式名称は祐樹も生憎知らないが和菓子の時に使う木の小さなナイフめいた物を使ったかのように切ってあった。スマホのライトに照らされて、皮部分と中央の生クリームと思しき物に挟まれた鮮やかな緑色の色は真珠の中に翡翠
「麻酔医の大切さは良く知っていました。アメリカ時代は当たり前の一手術に一人の麻酔医だったのですが、日本ではそうでないと聞いていたので……私は日本の大学病院に招聘された身の上です。ですから多少の我が儘が効いて専属の麻酔医を指名出来たのですが、あくまで少数派