2024-09-29, 2024-10-06では、pHとAl(OH)3の溶解度の関係について調べました。今回はAl(NO3)3にNaOHを加えたときのNaOHの添加濃度と溶解度の関係を求めます。 <<ソルバーを用いた溶解度の算出>>濃度Calmol/Lの硝酸アルミニウム溶液に、水酸化ナトリウムを添加
酸塩基反応、沈殿反応、錯生成反応などの溶液内イオン平衡についてエクセル(EXCEL)を用いて理論的に解析し、滴定曲線の作成や溶解度の計算などをしていきたいと思います。
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2024-09-29, 2024-10-06では、pHとAl(OH)3の溶解度の関係について調べました。今回はAl(NO3)3にNaOHを加えたときのNaOHの添加濃度と溶解度の関係を求めます。 <<ソルバーを用いた溶解度の算出>>濃度Calmol/Lの硝酸アルミニウム溶液に、水酸化ナトリウムを添加
これまでも述べてきたように(例えば、2023-03-26)、濃度平衡定数はイオン強度に影響されます。今回は、水酸化アルミニウムに関して溶解度積、錯生成定数および溶解度に及ぼすイオン強度の影響を調べます。また、アルミニウムイオンは単核の水酸化物錯体とともに多核の水酸化
Al(NO3)3溶液にNaOH溶液を加えていくと、最初Al(OH)3の白色沈殿が生成し、さらに過剰に加えるとアルミン酸イオン(Al(OH)4-)を生じて沈殿は溶解します。またアルミン酸イオン含む溶液に酸を加えるとAl(OH)3の白色沈殿が生成します。このような反応について、与えられた平衡定
様々な銀化合物の溶解平衡について、いくつかのトピックスを取りあげます。①AgCl, AgBr, AgIのアンモニア水に対する溶解度の差 ②AgIのチオ硫酸ナトリウム溶液に対する溶解度 ③AgNO3にNH3を加えて生じるAg2Oの溶解度 <<AgCl, AgBr, AgIのアンモニア水に対する溶
PbCl2の沈殿平衡については、(2024-08-11)において取り上げましたが、しかしこのときはイオン強度による影響を考慮しませんでした。今回は、PbCl2の溶解度に対するHCl濃度の影響について、イオン強度による影響も含めて解析します。 <<Pb-Cl系の関係式>>様々なイオン
AgClの溶解度に対する塩酸の影響については、(2024-08-18)および(2024-08-25)で取り上げましたが、このときはイオン強度の影響を無視しました。今回はイオン強度別の平衡定数データを基に、イオン強度の影響も含めて、AgClの溶解度に及ぼすHCl濃度の影響について詳細に調べま
銀イオンに塩化物イオンを加えると塩化銀AgClの沈殿が生成します(2024-08-18,2024-08-25)。このAgCl沈殿にアンモニア水を加えると、塩化銀の沈殿は溶解します。AgClの沈殿生成時には沈殿平衡および錯生成平衡が成立しますが、沈殿が無くなったあとは錯生成平衡のみとなります
二つの溶液を混合して塩を沈殿させる場合を考えます。ここでは硝酸銀溶液と塩酸の混合によってAgClを生成させる例を取りあげます。もし二溶液を互いに過不足なく当量比で混合した場合は共通イオン効果を生じないのですが、そうでない場合は、共通イオン効果によって塩の溶解
共通イオン効果だけを考えるならば、沈殿剤を加えれば加えるほど金属イオンの溶解度は小さくなります。しかし、沈殿剤をあまり過剰に加えると、金属イオンと沈殿剤が錯体を生成して逆に溶解度が増加する場合があります。前回(2024-08-11)はPbCl2の溶解度について言及しました
沈殿反応に錯生成反応や酸塩基反応が関与すると溶解度の算出は複雑になります。このような場合、副反応係数の考えを導入すると計算が楽になります。 <<副反応の寄与>>沈殿反応は次のように表されます。MaLb(固体) ⇄ aM + bL ………①Ksp = [M]^a[L]^bここで注
ものが溶解したり沈殿したりという現象は、実験室のみならず、家庭や工場や自然界など様々な場所において普通に見出すことができます。沈殿生成・溶解反応は人々の目を引き、非常に興味深い現象です。また分析や分離において重要な役割を担っています。この沈殿生成・溶解反
アルミニウムは、加水分解して多核錯体を作りやすくまたEDTAとの反応速度が遅いなど、EDTA滴定にはあまり適さない元素であり、EDTA滴定を用いるにあたってはいくつかの困難回避策を考える必要があります。今回は、標準Zn溶液による逆滴定およびフッ化物によるAlのマスキング
滴定を妨害する金属イオンが試料溶液中に含まれる場合、妨害の回避策として、pHの調節、金属イオンの分離(沈殿、イオン交換等)、別の選択的キレート試薬の使用などのやり方もありますが、簡便かつ汎用的なのはマスキング剤を使用する方法です。このとき、妨害イオンに対する
ニッケルとEDTAの錯生成反応は生成速度が遅いので、直接滴定をする場合は、溶液を加温してゆっくり滴定する等の工夫が必要です(2024-07-7)。今回は、EDTAを過剰に加えてNi-EDTA錯体を十分に生成させたあと、XOを指示薬として過剰のEDTAを標準Zn溶液で滴定する逆滴定法につい
ニッケルとEDTAの錯生成定数は大きいのですが、生成速度が遅いので、直接に滴定する場合は溶液を加温してゆっくり滴定する等の工夫が必要です。今回は、Cu-PANを指示薬に用いて、Ni2+をEDTAで直接に滴定する場合について考えます。 <<Cu-PANとは>>PAN(1-ピリジルアゾ
前回(2024-06-23)は、エリオクロムブッラックTを指示薬とした弱塩基性でのZn-EDTA滴定について考えました。今回は酢酸-アンモニア緩衝液によってpHを弱酸性に調整したあと、キシレノールオレンジを指示薬としてZn-EDTA滴定をする場合について考えます。 <<キシレノー
亜鉛のEDTA滴定法を考えるにあたって最低限必要な条件は、(1)水酸化物(Zn(OH)2)が沈殿しない、(2)Zn-EDTAの条件生成定数が十分大きい、(3)適切な終点検出法がある、ことです。この滴定条件について考え、適切な条件下で滴定曲線を描きます。 <<滴定可能な条件>><補
EDTA滴定の重要な応用分野として水の硬度測定があります。水の硬度を求めるためには、CaおよびMgの定量が必要です。今回はEDTA滴定によるCa, Mgの分別定量について考察します。 水試料中のCa, Mgの定量法としてJISに採用されている方法を調べます。JIS K-0101, -0102
これまで述べてきたように、pHなどの滴定条件によって滴定曲線のジャンプの程度は変化します。今回はカルシウムのEDTA滴定を例にとって、与えられた滴定条件における適切な指示薬の選定について考察します。 <<Ca-EDTA滴定が定量的となる条件>>金属イオンMをEDTAで滴
滴定では当量点を実際に検出することが必要です。このために何らかの化学的、物理的な検出手段が用いられ、こうして実際に求められた当量点を終点と言います。(理論的)当量点と(実験的)終点のあいだには幾分かの誤差が生じます。今回は金属指示薬を用いたときのEDTA滴定の滴
前回(2023-10-08)に引き続き、ジプロトン酸のナトリウム正塩(Na2A)溶液のpHの求め方について述べます。今回はエクセルの利用を考えます。 <<Na2A塩溶液のpH>>エクセルを利用してジプロトン酸(H2A)の正塩(Na2A)溶液のpHを求める方法について説明します。Na2A塩の代表
これまで、ジプロトン酸塩基自身のpHの求め方を説明してきました。これからはそれらが中和してできた塩のpHの求め方について述べます。 <<Na2A塩溶液のpH>>ジプロトン酸(H2A)の2個のプロトンがすべてNaOHで中和された正塩(Na2A)溶液のpHについて考えます。Na2A塩の代
モノプロトン酸塩基のところでも述べたように(2023-05-14)、pHと化学種濃度の対数の関係を表したグラフは対数濃度図と呼ばれます。対数濃度図を作成すれば系全体を一目で見渡すことができます。そして、この図から溶液のおおよそのpHを求めることができ、またあるpHにおける
前回(2023-09-17)は近似式を用いてジプロトン酸塩基のpHを求めました。近似法は、「ケースごとに仮定を立てて近似式を作成し、結果を算出して仮定の妥当性を確認する」といった手順を踏む必要があり、面倒です。今回は表計算ソフト(エクセル)を利用して「二分法」および「ソ
これまではモノプロトン酸塩基の平衡について見てきました。これからは供与または受容できるプロトンが2個以上のポリプロトン酸塩基の平衡について取り扱います。ポリプロトン酸塩基についても、モノプロトン酸塩基の場合と同様に平衡の系統的解析法(2023-04-02)が基本です
前回(2023/09/03)は、終点検出法に原理的に伴う滴定誤差について考察しました。終点の検出にはpHメータや電導率計なども用いられますが、機器を使わない簡便な方法として指示薬による目視法が広く用いられています。今回は指示薬とそれに伴う滴定誤差について考察します。
酸塩基滴定の滴定誤差について考えます。滴定誤差は滴定で実験的に求めた終点が理論的な当量点に一致しないためにおこる誤差です。実際の滴定誤差は、ビュレットやメスフラスコなど測容器の不正確さ、試薬の純度、滴定溶液の変質、滴定操作の不手際など様々な要因による誤差
ある特定のpH値の緩衝液を実際に調製する場合、Ka値を用いて理論的な計算で必要濃度を求めるにはいくつかの困難が伴います。たとえば、Ka値は温度やイオン強度(活量係数)によって変動しますが、それらのデータがすべてあるとは限りません。したがって、実際の緩衝液の調製は
前回(2023-08-13)はヘンダーソン-ハッセルバルヒ式を用いて緩衝液のpHの計算をしました。今回は緩衝液の緩衝作用の大きさについて定量的に考えます。 <<緩衝液に少量の酸・塩基を加えたときのpH>>前回は、例題4においてヘンダーソン-ハッセルバルヒ式(近似式)を用い
溶液に少量の酸や塩基を加えても、pHの値をほぼ一定に保つ働きを緩衝作用といい、そのような作用を持つ溶液を緩衝液といいます。緩衝液として弱酸(または弱塩基)とその塩の混合溶液があげられます。今回はこの緩衝液の性質について調べます。 水溶液が関与する化学反
これまでモノプロトン酸・塩基の滴定曲線の描き方について説明してきました。今回はこのようにして作成した滴定曲線について、その特徴と濃度、酸解離定数の影響について調べます。 <<滴定曲線の特徴>>典型的な例として、0.1 mol/Lの硝酸(HNO3) 20 mLあるいは0.1 mol
これまで、弱酸を強塩基で滴定するときの理論的滴定曲線について考えてきました。今回は、弱塩基を強酸で滴定する場合について考えます。この場合も理論的滴定曲線の作成方法は弱酸の場合と基本的には同じです。ここでは、アンモニアを塩酸で滴定する場合について考えます。
これまで、近似法・二分法・MIN法による酸塩基滴定曲線の描き方について述べてきました。これらの方法はすべて、滴下量(T)を与えて被滴定溶液のpHを求める方法でした。今回は「pHを与えて滴下量(T)を求める方法」(レビ法)について説明します。 <<レビ法について>>理論
前回(2023-07-09)は、二分法を用いて弱酸の滴定曲線を描く方法について説明しました。今回は、MIN法を用いる方法について説明します。 <<MIN法について>>(2023-05-07)これまでも述べてきたように平衡定数式、物質バランス式、電荷バランス式から、NaOHによる弱酸の滴
前回(2023-07-02)は、近似法を用いて弱酸の滴定曲線を描く方法について述べました。今回は、二分法を用いる方法について説明します。 <<二分法について>>(2023-04-30)単調関数f(x)において、f(a)とf(b)とで符号が異なるような区間a, bを定めると、その区間内でf(x)=0
弱モノプロトン酸(HA)を強塩基(NaOH)で滴定するときの理論的滴定曲線の描き方を説明します。滴定曲線を描くにはいくつかのやり方がありますが、今回は近似式による方法を取りあげます。 <<理論的滴定曲線>><酸塩基滴定における平衡>酸塩基滴定における滴定曲線は
未知量の酸(または塩基)を含む試料溶液に濃度既知の塩基(または酸)溶液(=滴定液)を滴下すると当量点の前後でpHが急激に変化します。この当量点を化学的あるいは物理的方法で検知してこれを終点とし、終点における滴定液の量から未知量の酸(または塩基)の量を求める方法を酸塩
滴定操作や緩衝液の作成などにおいて、酸塩基混合溶液のpHを理論的に推定することは重要なことです。今回は1価の酸および塩基についてそれらを任意の割合で混合した溶液のpHを求めます。 <<酸と塩基の混合溶液>><強酸+強塩基>強酸である塩酸(HCl)と強塩基である
実験室や工場などにおいて種々の酸や塩基を様々に混合した溶液がよく用いられ、しばしばこの混合溶液のpHを推定することが必要となります。今回は1価の酸同士または塩基同士の混合溶液について、近似式あるいはソルバーを用いて、そのpHを求めます。 <<2種類の酸の
前回(2023-05-28)は、近似法を用いて1価の弱酸-弱塩基の塩(たとえば酢酸アンモニウム)溶液のpHを求める方法を述べました。今回はエクセルを利用する方法について述べます。エクセルを用いると、どのような条件においても同一の操作で自動的に答を得ることができ、計算が非常