「八百万(やおよろず)」という言葉があるように、日本では古くから森羅万象に神性を感じ敬ってきました。歳経た樹木や大きな岩など、神が宿る依代として大切にされてきたのも周知のとおりですね。あらゆるものに神様がおられるという観念は列島の基層信仰と
Q:刀はひっくり返しても抜けませんか? A:はい、抜けません!
刀って、どうやって鞘に固定されているかご存じですか? 現物はなかなか目にする機会はありませんが、皆がよく知っている日本刀。近年ではファン層の裾野がぐっと広がった影響もあり、各地の特別展などで美しい刀を見ることができるようになりました。その一方で、なかなか刀の詳しい構造まではわからず、どういう仕組みになっているのか謎な部分も多いと思います。 そのひとつが、「刀はどうやって鞘に固定されているか?」という問題です。 走ったりひっくり返ったりしたら、いかにも鞘から刀身がすっぽ抜けてしまいそうですが、実はちゃんと固定されているのです。 それでは、その固定の仕組みについて見てみましょう! 鞘の「鯉口」と、鍔元の「鎺(はばき)」 結論からいうと、刀の根元、鍔元の方には「鎺(はばき)」という長さ3㎝ほどの金属部品が刀身を包むように取り付けられています。この鎺は、鞘の入り口である「鯉口」の径よりもやや大きいため、ぐっと押し込むことでテンションがかかって固定されるようになっています。 鍔元の金色部分が「鎺(はばき)」 棟の側から 刃の側から そのトルクは結構なもので、例えば鯉口が正常な状態であれば、刀をひっくり返しても抜け落ちることはありません。 ※安全を確保して撮影しています。決して真似をしないでくださいね 抜刀時には「鯉口を切る」必要がある このように、普段はしっかりと鯉口に締められているため、本来刀はそのまま抜くことは難しいのです。 そこで、抜刀時には左手の親指で鍔を前方に押して、鎺を鯉口から出す必要があります。この動作を「鯉口を切る」といい、武道においてもとても大事な手順となります。 鯉口が緩むと「鞘走り」する恐れがあり、とっても危険! 刀の鯉口。使っているうちに摩耗して緩んでくる 刀が勝手に抜け出ないためにも大事な鯉口ですが、木製であるため何度も抜刀・納刀を繰り返していると、摩耗して徐々に緩んできてしまいます。
小説投稿サイトごとに、読者さんのリアクション傾向がある 小説投稿サイトも、とってもバラエティ豊かになりましたね。WEB小説の牙城、といっても過言ではない数々の投稿サイト。これを主な活動拠点としている作家さんも多いのではないでしょうか。ほとんどが無料で読み書きできるサービスで構成されていて、独自の文学賞も開催されています。また、人気作や運営の目に留まったものは紙の本として出版されることもあり、多くのWEB作家が「書籍化作家」としてデビューしています。とても夢のあるシステムで、かつてに比べると作家デビューへのチャンスは格段に広がったといえるでしょう。 そんな群雄割拠の小説投稿サイトですが、一作を複数のサイトに登録している作家さんも多いことと思います。私、三條すずしろも『伊緒さんのお嫁ご飯』を全部で4つのサイトに登録しており、それぞれにたくさんの方に読んでいただき、また温かなコメントを頂戴するなど本当にありがたい限りです。 基本的にはいずれも同様のサービスではありますが、サイトごとに特徴的なシステムをもっていることと、ユーザー層にも一定の傾向があるように感じています。そこで、あくまで私個人の経験ですが、その特徴や傾向について感じたことを記したいと思います。 アルファポリス サイトの特徴・特筆ポイント 老舗のひとつ、アルファポリス。各ジャンルが細かく分かれ、カテゴリーごとの順位に加えて「24hポイント」という独自の数値が表示されます。これは直近24時間で新規投稿をしたり、読まれたり、「お気に入り」に登録されることで加算されていきます。合計1500ポイントを超えると「出版申請」を行うことができ、書籍化を検討してくれるという夢のあるシステムとなっています。もちろん、「検討」であって確約ではないそうなのでその点にはご注意を。 読者側からの評価としては、「いいね」に該当するものがありません。一作に一度の「お気に入り登録」か、ページを開いて読むことそのものがポイントとなります。 一定以上にたまったポイントは、おおむね1スコア=1円で換金することができます。 Amazonギフト券・・・・100円分~iTunesギフト券・・・・・500円分~楽天銀行振り込み・・・・1,000円分~
描画ソフトがなくても、表紙データはwordでつくれる! KDPなどのセルフパブリッシングも、その機能が格段に使いやすくなり、いまや誰でも簡単に電子書籍を出版できるようになりました。近年まではEPUBなどの電子書籍データに変換したり、英文での納税手続きが必要だったりと、少々ハードルが高い部分がありました。 が、現在ではwordファイルから本文をアップロードすることが出来、米国納税者番号を取得せずともマイナンバーでの登録が可能になるなど、以前よりぐっと電子書籍化が楽になったと感じています。 そこで問題となるのが、電子書籍の「表紙」をどう作るかということです。 自分でデザインを起こしたり、イラストも描けるという人であれば問題ありませんが、WEB作家さんの多くは頭を悩ませているのではないでしょうか。専門家に依頼したり、格安でイラストを描いてくれるサービスもありますが、できれば自分で作成したいところ。しかし、描画ソフトや専用の器材が必要なのでは……と、表紙問題は出版時の最後の難関となっています。 でも、簡易的なものであれば、wordでも十分に表紙データを作ることができるのです。普段の文章作成で愛用されている方も多いと思いますので、新たに投資をしなくても、今ある設備+フリーソフトで「雰囲気のある」表紙を作る方法をお伝えします! 基本は文字打ち+画像貼り付け wordにフリー画像+フリーフォント。フリーソフトでjpgに変換 画像は拙作『伊緒さんのお嫁ご飯~番外・手作らず編~』の表紙データです。エブリスタやアルファポリスなど、画像を掲載できる小説投稿サイトのために用意しました。 word上に文字打ちをして背景画像を貼り付け、 画像データに変換しただけのシンプルな構成です。画像はいずれも、商用OKのフリー画像か、あるいは自身で撮影したものを使うことを前提とします。以下に、基本的な手順を記していきましょう。 「ワードアート」または「テキストボックス」を前面にレイアウト ワードアートは多彩な文字効果が可能 文字打ちは「ワードアート」か「テキストボックス」で行います。ワードアートであれば文字の効果が幾通りも用意されているので、うまく使えばイラストレーターなどの描画ソフトを使ったかのような表現も不可能ではありません。
時代劇でおなじみ、親指で鍔を押し出すアレ 時代小説などで剣戟シーンがあると、必ず「鯉口を切る」という動作が出てくるかと思います。よく目にする表現ではありますが、実際のところはどういったものなのでしょう。具体的には、左手で鞘と鍔の境目辺りを握り、親指でぐっと鍔を前に押し出すような動作を指しています。実は、きちんと手入れの行き届いた刀であれば、これをしないと即座に抜くことが出来ないようになっているのです。したがって、抜刀の際には必ず「鯉口を切る」プロセスを経なくてはなりません。 親指を鍔にかけて…… ぐっと押し出して「鯉口を切る」 鯉口はいわば安全装置(セーフティー) 「鯉口」とはそもそも、鞘の入り口のことを指しています。刀は鍔元に、鯉口の径よりやや大きい「鎺(はばき)」という部品が設けられており、この鎺が鯉口にキュッと押し込まれることで、容易には抜けないよう固定されます。いわば安全装置ともいえるものであり、鯉口から鎺を押し出していつでも抜刀できるようにすることを「鯉口を切る」といいます。通常であればしっかりと締まっているため、そのまま刀を鞘から引っこ抜くことは困難です。むしろ簡単に抜けてしまうくらいに鯉口が緩んでいると、とても危険です。予期せぬときに刀が鞘から飛び出たり、敵から容易に自身の刀を奪われる恐れもあるでしょう。したがって、セーフティーとしても重要な機能を担っているのです。 刀身の根元周りにある金具が「鎺(はばき)」。鞘の口より少し径が大きく、テンションをかけて刀を固定 鯉口を切る=戦闘態勢 そんな大切な部分ですので、「鯉口を切る」とはイコール「戦闘態勢」の準備が整ったことを示しています。一触即発の危険な状態でもあり、加えて柄に手掛けをすれば、銃でいうところの「セーフティーを外して撃鉄を下ろし、照準をつけた」ことと同様の意味をもちます。迎撃の技である「居合」でも、相手が鯉口を切る瞬間を見逃さずに応戦することが大事とされ、みだりに行っていい動作ではないことが戒められています。 鯉口を切る方法数種
子供のころ、毎年たけのこ掘りをしていた たけのこ。えもいわれぬその姿 わたしが18歳まで育ったのは、携帯の電波も届かないような山奥の村でした。山菜がたくさんとれて、今思い返すとよかったなあ、と懐かしく感じてしまいます。春に楽しみにしていた恵みのひとつが、「たけのこ」でした。植林のスギ林を竹藪が侵食していくので、それを食い止める意味もあって一生懸命掘ったものです。孟宗竹がほとんどで、地面に埋まったままの朝堀りみたいな上品なものではなく、割と大きくなったものも掘りましたがそれはそれはおいしいものでした。『伊緒さんのお嫁ご飯』にも「たけのこご飯」の回がありますが、新鮮なたけのこって本当にどんな料理にも化けてくれます。 鮮度が大事!糠と煮てアクを抜く 田舎でたけのこを掘ったら、大釜を焚火にかけてたくさんのお湯を沸かし、糠と鷹の爪と一緒にグラグラ煮たてました。たけのこのアクの正体は「シュウ酸」というガラス質の一種で、糠がこのシュウ酸を吸着してくれるそうです。たけのこにはあらかじめ、包丁で縦に切れ目をいれておきます。湯であがったら切れ目から割くように皮をはがし、節の部分に残った甘皮は、皮の一枚をスクレーパー代わりにしてこそげ落としました。あとはどう料理したっておいしいのですが、わたしが好きだったのは鰹のアラと一緒に炊きつけたものでした。「土佐煮」という料理もあるように、たけのこと鰹ってほんとうに相性がいいんですよね。そしてやっぱり、「たけのこご飯」は一番の楽しみでした。 たけのこの煮物を転用、雑穀米で炊き込みご飯に 煮物の残りを再利用。雑穀米がいい味出してます 久々に掘りたてたけのこを頂き、さっそく煮物でいただきました。写真のたけのこご飯は家族の作品で、余ったたけのこ煮を転用し、雑穀米での炊き込みご飯にしてくれました。十分に味の染みたたけのこは、それでも新鮮な香りを失わず、雑穀のぷちぷちした食感と相まってとっても楽しい料理になりました。小説のエピソードのように、春を堪能する一皿でした!
一度はつくった家庭料理にこだわった 『伊緒さんのお嫁ご飯』で登場するメニューは、いずれもごくありふれた家庭料理ばかりです。グルメを描いた作品も大好きなのですが、やはり普段お家で口にするものこそ、一番大切だと思ったからです。メニューを選ぶのにこだわったことは、なるべく「自分自身か家族が一度はつくったことのあるもの」にすることでした。食べるシーンも大事なのですが、つくっている最中の手際やちょっとしたコツなどを描くためには、どうしても実体験が必要でした。小説では実際につくったものから少しアレンジを加えたりしていますが、後に作品中のレシピで現実に料理してみたりと、実生活と相互に補完しあう好例となりました。 18歳~の自炊生活の経験が活かせた わたしは高校を卒業してから一年間、進学費用を貯めるために住み込みで新聞配達をしていました。「新聞奨学生」と呼ばれる制度で、お給料のほかに返済不要の奨学金を新聞社が支給してくれるという、今思い返してもありがたいシステムでした。わたしが配属された店舗は賄いがなく、共用の台所で自炊をしなくてはならない生活でした。毎日のように折り込みチラシで特売品を調べて、なるべく安いお店で食材を調達できるかどうかは、大げさではなく死活問題だったのです。それに、限られた生活費でもやはりなるべくおいしいものを食べたいので、ずいぶんと色々な工夫をしたものです。初めてつくってみた料理がほとんどで、基本的なレシピの多くはこの時期に習得したものです。その時はもちろん、将来お料理をテーマにした小説を書くなどとは、思ってもみなかったものです。 学生時代、下宿でつくった料理がヒントに 一年間の新聞少年勤務を終え、無事に進学費用を貯めたわたしは大学生となりました。下宿先は平日のみ朝・夕の食事を出してくれるところでしたが、夏季と冬季の長期休暇の間はご飯もお休みになりました。ガスコンロと流し台は自由に使えたので、ここぞとばかりに自炊の技を発揮しました。新聞奨学生時代よりも気持ちにゆとりができていたので、少し凝った料理にもチャレンジしてみました。「豚の角煮(煮豚)」 やロシア風水餃子の「ペリメニ」などは、カセットコンロに古い登山調理具の「コッヘル」を使って、友人と一緒につくった思い出の味でもあります。
通勤電車の中、スマホで書いた 『伊緒さんのお嫁ご飯』で、初めてスマホで小説を書くという経験をしました。それまでは机に向かってPCで書く、というのが基本でしたが、これで空き時間の多くを執筆にあてることができるようになりました。フリック入力での執筆、というのに当初抵抗があったのですが、慣れるとむしろ感覚的に文章が生まれる際にレスポンスの速さを快適に感じました。このおかげで、通勤電車が完全に書斎代わりになってくれました。 出社前、喫茶店で書いた わたしは朝、早めに会社の近くに着いて喫茶店で本を読んだり、原稿書きをしたりするのが習慣でした。スマホで小説を書くようになってから、その朝のひと時を執筆にあてられるようになりました。もっとも書く分量がはかどったのが、この時間だったと思います。連作短編として発表していたお嫁ご飯ですが、ほぼ2~3日に一度程度の頻度で更新し続けられたのは、モーニングのおかげともいえるでしょう。 お昼休みや休憩時間にも書いた 会社員ですので、日中はまじめにお仕事をしています。しかし、ふとした拍子にアイディアが浮かんだり、または伊緒さんをはじめとしたキャラクターたちが動き出すのが見えたりします。以前の記事で触れましたが、わたしは「観察者型(オブザーバータイプ)」のようで、予期せぬ時にも目の前で物語が展開されることがよくあります。それを手帳に書き留めたり、覚えておいたりして、お昼休みや休憩時間に鮮明なイメージを保って書いていきました。思えば、書いている間は毎日とても楽しかったものです。 プロットはまったくなかった 『伊緒さんのお嫁ご飯』は全部で72話、20万文字弱の作品になりましたが、プロットは一切書かずに進行しました。1話3
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