小説のジャンルにもよるものの、戦闘シーンが一つの見せ場になるケースは存外多いように感じています。ファンタジーであったり歴史・時代小説であったりさまざまですが、数多の名手が素晴らしいシーンを描写しておられますね。一口に戦闘といっても刀剣を使う
小説のジャンルにもよるものの、戦闘シーンが一つの見せ場になるケースは存外多いように感じています。ファンタジーであったり歴史・時代小説であったりさまざまですが、数多の名手が素晴らしいシーンを描写しておられますね。一口に戦闘といっても刀剣を使う
食に関わる描写は文章表現でも難しい部類といわれていますが、愛される作品には思わず「おいしそう!」と思わせる食べものシーンが散りばめられているように思います。 本稿ではそんな小説における食べもの描写について重要と思われる、3つのポイントを考察してみました。
さまざまな「下読み」の開示情報と自身の経験をもとに、文学賞でまずは一次選考を通過するために重要となるであろう3つのポイントを考えてみました。
三條すずしろの本『紀伊 零神宮のあやかし文化財レポート』古い神々と諸仏が共存する、紀伊・和歌山。この地にある遺跡・寺社・美術品等の「文化財」の中には、あやかし達への結界として機能しているものも多いのです。そして、そんな結界文化財の保全を密か
ライターとして、ライティングの直接依頼を受けたSNS・サイト・ポートフォリオの3つのWeb窓口を解説します。
「才能」ってつまり何のことだろう「才能がある/才能がない」という言葉は、これまで幾度となく耳にしてきました。特に創作を志して小説を書くことに取り組むようになってから、この「才能」を理由に悩む人や、他者からの評価に度々使われるのを目のあたりに
口コミや前評判を除いてはタイトル、表紙絵、あらすじ、帯書き、あとは書店のポップくらいではないでしょうか。 少ない情報からいかに自身の好きな作品を見つけ出せるかは、読書生活における重要なテーマです。 口コミなどの予備知識がない状態から面白い小説を短時間で選ぶための、自分なりのセオリー5つをご紹介します。
織田信長を「第六天魔王」の異名で呼ぶのはあまりにも有名ですね。イメージにぴったりというかちょっと中二っぽい感じも風情というか、ともかく他に「魔王」とまでの二つ名が付く戦国武将は思いつきません。これはポルトガルの宣教師「ルイス・フロイス」がイ
歴史小説や時代小説において、各時代にどのような暦法が使われていたのかは重要な社会背景になり得ます。 「旧暦」と一口に言ってもそれは明治の太陽暦導入以前に用いられたカレンダーの総称で、歴史上いくつかの暦法が使われてきました。 本記事ではそんな旧暦の概要と、導入された暦法の種類を解説します。
文学賞の受賞作は当日発表のものもあれば、該当者に事前連絡がいく場合もあります。 受賞者が実在するか、あるいは受賞の意志があるか等を確認するためです。 本記事では私が受賞した3つの文学賞について、どのように受賞の連絡があったのかをレポートします。
「三千世界」と聞くただなんとなく「世界のすべて」みたいなニュアンスは伝わるものの、そもそも正確にはどういう意味なのでしょうか。 実は仏教哲学で説明される壮大な宇宙観のことで、最新の科学とも共通性があると考えられているのです。 三千世界の意味を解説します。
現存する(あるいは復元された)30の剣術流派について、成立した時代や演武の動画とともに時系列順の一覧にしました。
日本刀の構造や仕組み、鯉口の切り方や鞘の造りなどに関する記事を時代小説執筆・歴史系創作をされる方の資料としてまとめました。
〜境界を進む船〜船が港を出るとき、3回汽笛を鳴らすのは後進する合図だそうだ。が、いままさに夜の和歌山港を出航するこの貨客船に至っては、もう一つ意味がある。それは音で魔を祓うこと。かつて陰陽師は密教の作法を取り入れ、親指と人差指を弾いて音を出
はい!みなさんごきげんよう!そうです。やっぱり今日も教科書は使わないのです。このクラスでのわたしの授業はこれが最後ですね。今日は紀伊の神域、「熊野三山」についてお話ししましょう。よくご存じの通り、「熊野速玉大社」「熊野那智大社」「熊野本宮大
裏九鬼船団いま、生まれてはじめてクルーザーというものに乗っている。青というよりは銀鼠ぎんねずに横たわる海面をかき分け、白い航跡をひいて船はひたすら南へと下っていた。広大な山地を抱く紀伊は「木の国」と例えられることがあるが、同時に長大な海岸線
「……具合はどうですか?ユラさん」瀬乃神宮ご用達である東堂医院の病室で、わたしはおそるおそる彼女に声をかけた。白い浴衣のような療養着姿のユラさんはベッドに身を起こし、窓の向こうの紀ノ川を眺めている。長い髪を結ばずに垂らした様子は、初めて目に
南葵なんき楽譜と音色の結界「コンサートって……あのコンサート?ですか?」差し出されたチケットを前に、きょとんとしたわたしはまた阿呆のような質問を繰り出す。「そっ。ええですよお。野外で聴くクラシック。紀伊といえば音楽、音楽といえば紀伊やさかい
「ねえユラさん。このお店の名前とその本って、なにか関係あるんですか?」お客さんがはけた午後、わたしは久しぶりにcafe暦を手伝いながら前から気になっていたことを聞いてみた。ユラさんが目を落として指先で紙面をなぞっている、手づくりの和綴じ本。
真白良媛ましららひめ「このお店はね、私のおじいちゃん…橘宗月そうげつが始めたんよ。お神酒の振る舞いはあったけど、世の中があんまり日本酒飲めへんようになってったさかい。カクテルにしたらどうかって」bar暦のカウンターで、ユラさんはぽつぽつと家
〜境界を進む船〜船が港を出るとき、3回汽笛を鳴らすのは後進する合図だそうだ。が、いままさに夜の和歌山港を出航するこの貨客船に至っては、もう一つ意味がある。それは音で魔を祓うこと。かつて陰陽師は密教の作法を取り入れ、親指と人差指を弾いて音を出
はい!みなさんごきげんよう!そうです。やっぱり今日も教科書は使わないのです。このクラスでのわたしの授業はこれが最後ですね。今日は紀伊の神域、「熊野三山」についてお話ししましょう。よくご存じの通り、「熊野速玉大社」「熊野那智大社」「熊野本宮大
裏九鬼船団いま、生まれてはじめてクルーザーというものに乗っている。青というよりは銀鼠ぎんねずに横たわる海面をかき分け、白い航跡をひいて船はひたすら南へと下っていた。広大な山地を抱く紀伊は「木の国」と例えられることがあるが、同時に長大な海岸線
「……具合はどうですか?ユラさん」瀬乃神宮ご用達である東堂医院の病室で、わたしはおそるおそる彼女に声をかけた。白い浴衣のような療養着姿のユラさんはベッドに身を起こし、窓の向こうの紀ノ川を眺めている。長い髪を結ばずに垂らした様子は、初めて目に
南葵なんき楽譜と音色の結界「コンサートって……あのコンサート?ですか?」差し出されたチケットを前に、きょとんとしたわたしはまた阿呆のような質問を繰り出す。「そっ。ええですよお。野外で聴くクラシック。紀伊といえば音楽、音楽といえば紀伊やさかい
「ねえユラさん。このお店の名前とその本って、なにか関係あるんですか?」お客さんがはけた午後、わたしは久しぶりにcafe暦を手伝いながら前から気になっていたことを聞いてみた。ユラさんが目を落として指先で紙面をなぞっている、手づくりの和綴じ本。
真白良媛ましららひめ「このお店はね、私のおじいちゃん…橘宗月そうげつが始めたんよ。お神酒の振る舞いはあったけど、世の中があんまり日本酒飲めへんようになってったさかい。カクテルにしたらどうかって」bar暦のカウンターで、ユラさんはぽつぽつと家
湯船に身を沈めると、ゆるゆると身体が溶け出していくかのようだ。思わずうめき声をもらしそうになるけど、隣のユラさんは傷の痛みに耐えつつ湯に身を浸している。ここは田辺市の“龍神村”。海辺の田辺市街と高野山の中間くらい、大和との境に沿った山中の村
歪な結界「えっ、和歌山にもカッパっているんですか?」実に意外に思って、ユラさんに訪ねた声がつい大きくなる。「ちょっ、あかり先生、声」cafe暦のテラス席で、ユラさんがちょっとあわてて人目を気にするのがなんだかおかしい。まあまあ、これだけ聞か
――はい!皆さんごぶさたしています!久しぶりの授業なのですが、やっぱり教科書は使いません!さて今日は、高野山について少しお話しましょう。和歌山の皆さんにはもしかするととっても身近かもしれませんが、わたしのような遠く離れた土地の者から見ると、
今夜は特別オープンのbar暦に招待を受けている。日数だけでいえばあれからそんなに経っているわけではないのに、めちゃくちゃ久しぶりな気がしてなにやら緊張してしまう。普段は神社のカフェとして営業しているこのお店も、とっぷり日が暮れた後の姿は別の
「伊緒さん。スモークチキンのサンドイッチ、めちゃくちゃおいしかったです!」不動山からの帰りがけ、cafe暦に寄ったわたしはまっさきにお弁当のお礼を言った。「そう。よかった」店長代理の伊緒さんはにっこり笑い、目の前でコーヒーをドリップしてくれ
cafe暦の店長代理ユラさんと天野へ行く少し前のこと。cafe暦を閉めてほしくないばかりに、「ハローワークに求人出して腕のいい職人を探せ」と酔ってくだを巻いたわたしはけっこう責任を感じていた。もちろんユラさん不在の間、マスターの代わりが務ま
特務文化遺産審議会「ユラさんって、オサカベさんのこと嫌いなんですか?」わりと長いこと悩んだ割には、すぱっと核心をついたことを聞いてみた。前からなんだか気になっていたのだ。「ん…?うん」どうしたの、当たり前のこと聞いて。みたいな感じで優しく即
はい。みなさん、ごきげんよう!教科書は――そう、今日も使いません!さてさて、今回は北条時頼とともに紀ノ川の大鯰と戦った、“隅田党”のお話です。和歌山県橋本市の東、奈良県五條市との境あたりにその名も“隅田”という地域があります。在地の武士団を
裏高野なんだか久しぶり、というよりはきっぱりとまだ2回目だ。「bar 暦」のカウンター席に着くのは。なので白いシャツにネクタイ、そしてウエストコートというバーテンダー姿のユラさんを見るのも、これが2回目。まったくあたり前のことなのだけど、初
はい。じゃあみなさん、教科書は閉じてくださいね!今日は和歌山県橋本市の歴史に関わることを、2つ解説してみましょう。まず1つめは「陵山みささぎやま古墳」。そう、庚申さんの使いのお猿さんと、たくさんの鬼たちが戦ったあの場所ですね。円墳としては和
cafe暦と二人の童子和歌山に赴任してきた新米教師のわたしが住んでいるのは、県の最北東端あたりの町だ。大阪府と奈良県に境を接するところで、橋本という古い町の南側、高野山の麓に開かれた小さな住宅地「伊都見台いとみだい」。この和歌山県北東地域の
「りんごをむいてあげましょう」そう言ってわたしは、わりといそいそと支度を始めた。この東堂医院は川のほとりにあり、病室からの眺めはとてもいい。河川敷はすでに葉桜となっているけど、やわらかな緑がなんとも心をなごませてくれる。院長の東堂慈庵先生は
刀とあやかし文化財パトロール本物の日本刀を手入れする様子を見るなんて、もちろん初めてのことだ。刀そのものは、博物館の展示ケース越しには何度も目にしたことがある。けれど遮るものもなく眼前にあるそれは、工芸品というよりむしろ命を宿した何かのよう