Q:刀はひっくり返しても抜けませんか? A:はい、抜けません!
刀って、どうやって鞘に固定されているかご存じですか? 現物はなかなか目にする機会はありませんが、皆がよく知っている日本刀。近年ではファン層の裾野がぐっと広がった影響もあり、各地の特別展などで美しい刀を見ることができるようになりました。その一方で、なかなか刀の詳しい構造まではわからず、どういう仕組みになっているのか謎な部分も多いと思います。 そのひとつが、「刀はどうやって鞘に固定されているか?」という問題です。 走ったりひっくり返ったりしたら、いかにも鞘から刀身がすっぽ抜けてしまいそうですが、実はちゃんと固定されているのです。 それでは、その固定の仕組みについて見てみましょう! 鞘の「鯉口」と、鍔元の「鎺(はばき)」 結論からいうと、刀の根元、鍔元の方には「鎺(はばき)」という長さ3㎝ほどの金属部品が刀身を包むように取り付けられています。この鎺は、鞘の入り口である「鯉口」の径よりもやや大きいため、ぐっと押し込むことでテンションがかかって固定されるようになっています。 鍔元の金色部分が「鎺(はばき)」 棟の側から 刃の側から そのトルクは結構なもので、例えば鯉口が正常な状態であれば、刀をひっくり返しても抜け落ちることはありません。 ※安全を確保して撮影しています。決して真似をしないでくださいね 抜刀時には「鯉口を切る」必要がある このように、普段はしっかりと鯉口に締められているため、本来刀はそのまま抜くことは難しいのです。 そこで、抜刀時には左手の親指で鍔を前方に押して、鎺を鯉口から出す必要があります。この動作を「鯉口を切る」といい、武道においてもとても大事な手順となります。 鯉口が緩むと「鞘走り」する恐れがあり、とっても危険! 刀の鯉口。使っているうちに摩耗して緩んでくる 刀が勝手に抜け出ないためにも大事な鯉口ですが、木製であるため何度も抜刀・納刀を繰り返していると、摩耗して徐々に緩んできてしまいます。
2019/05/28 20:39