今年印象に残っているのは新型コロナと差別。様々なところで差別が叫ばれた。と同時に、平等という言葉が一層叫ばれた気がする。 平等という言葉は好きでは無い。何故なら、人間生まれながらにして不平等だからだ。 即ち、人類は平等という社会には成りっこ無いと言う事だ。 しかし、公平なら...
やがて日が落ち、暗闇の中、拓海は一人ベンチに居座る。 すると、そんな拓海に近づく人影が。 「きみ、ここで何してるんだ?」 俯いて焦燥しきっている拓海に、突然声が掛けられた。振り向くと制服を着たお巡りさんが二人立っていた。 「別に・・・」 拓海は狼狽する。 「怪しい男...
悲しい別れ 翌日。朝食時に、再び拓海が智子に話し掛ける。 「菜実さんが居なくなった」 ぶっきらぼうに呟く。 「えっ、本当に? 電話したの?」 「昨日から何回も掛けている。でも、電源切っているのか全く出てくれない」 「土曜日、日曜日と会っていないの?」 智子が不安そう...
拓海は朝シャワーを浴びてバイトに出掛ける。大概朝食を済ませた後だ。そしてその時、彼はスマホをキッチンテーブルに置く場合が多い。 智子は、拓海のスマホを覗き見ようとする。しかし、拓海のスマホはパターン認証で解除が必要だった。 智子のスマホも同じパターン認証。遣り方は分か...
問題勃発 根草家に拓海の彼女・菜実が訪れて数週間が過ぎたある日。 何時ものように智子は拓海に朝食を出す。智子も向かい合って食べるのだが、お替わりとか、拓海の要望に応じ適時に椅子を立つなど、彼女はゆっくり落ち着いては食べられない。 最も、智子が世話焼きなのであって、...
実は・・・ 我が息子が昨夜お泊まりした。無断外泊は初めての事。そして未だ帰らず。 一応、警察やその他からの連絡が無いので、その辺は安心はしている。 我がストーリーを地で行ってるのか? 勿論シチュエーションは全く違うが。 このコロナの時期、止めて欲しい忘年会に参加しただけかと...
根草大介と沢登智子はもんじゃ焼き店に入る。 「食事に連れてってくれると言うからどんな食べ物屋に行くのかと思ったら、これなのね」 智子はもんじゃを頬張りながら言う。 「色々な食べ物を食べた方が良いんじゃ無いかって思ってね」 「う~ん? さては、結菜が大ちゃんに告げ口したな...
翌週、約束通り拓海は菜実の部屋に遊びに行く。暫くゲームや会話で時間を過ごす。 「お腹空いたね。何か買いに行こうか?」 二人はスーパーで弁当とか果物、お菓子を大量に買う。 「これ、全部食べるの?」 「弁当以外は明日の分も買った」 一人暮らしだと、ちょくちょく出掛けて買い...
再び声を潜めた内緒話が始まった。 「どうするの。子供が出来たと言ってきたら?」 「まさか。創造できないよ。仮にそうなったとしても、それはそれで良いんじゃ無い?」 「どうして? 若しかしたら、此処の家の財産目当てと言うことも考えられるじゃ無い」 「大丈夫だよ。不動産までは泥...
以前、甘柿の種から成長した柿の木の実が、「何故渋いのか不思議」と言ったことがある。 誰も教えてくれないので、自分なりに考察した。 現在販売している甘柿の苗木。全てと言って良いくらい接ぎ木してある。その台木にしているのは渋柿だ。何故なら、渋柿木は甘柿木より丈夫だからだ。 つま...
ベランダで、天気のハッキリしない蒸し暑さの中、一人佇む智子。 「そうだ」 彼女はうっかりしていたことを思い出す。 拓海が、初のアルバイト代でプレゼントしてくれたエプロン。そのエプロンのポケットに彼女は手を差し入れ、スマホを取り出す。 「もしもし、私だけど。大変なのよ。...
あるサイトに、丹精込めた農作物を食べにイノシシが出現して困っていると。 これは社会的な問題でもある。とは言え、駆除には苦慮する。 そこで小生が頭を熱くして考えてみた。 ごきぶりホイホイ。鼠捕りシート。これは紙とか段ボールに粘着剤を塗布した物。実にシンプル。 これを利用でき...
数日後。 拓海が朝食を食べにキッチンに現れる。最近は智子と一緒に食べる機会が多くなっている。智子は同居メンバーの中で一番早く起きる。三重に住んでいた頃からの習慣だ。 早く起きたのに遅く食べる朝食。でも、彼女の場合は調理しながら味見と称して適度につまみ食いしているので、...
机を挟んで、結菜が大介の真ん前の席に腰を下ろす。すると、大介は飲み干したコーヒーカップをテーブルの真ん中に置いた。 「ごめん。もう一杯コーヒーが飲みたくなった。結ちゃん、お願いできるかな?」 大介は、結菜の要求を安易に受けて良い物かどうかの考える時間が欲しかった。 と、...
何はともあれ、根草家の共同生活は順調に船出する。 それもこれも沢登智子のお陰とばかりに、根草大介は彼女を食事に誘う。料理の得意な智子を招待するのだから、生半可な店では折り合いが付かない。 大介は、奮発して高価な料理店に智子を連れて行く。 智子は、出される料理の一つ一...
船出 午後一時頃、拓海が昼食を食べにキッチンに遣って来た。いつものサイクルだ。 智子は、既に料理をテーブルに並べている。 「あのさ、俺、来週からアルバイトするから」 食事をしながら拓海が言う。 「あら、そうなの。良い事じゃない。どういう所で働くの?」 「トンカツ屋」...
ある日、結菜の友達が根草家に遣って来た。親友の朝焼七海である。 結菜の案内で2階に上がる。 階段は折り返すように上がって行く。上がりきった右手が拓海の部屋。ドアは少し進んだ先に位置してる。 七海はそのドアの前で止まり、しきりにドアを指さす。まるで「この部屋が噂の拓海の...
新生活 根草家の春。出足は危惧していたより遙かに順調に滑り出す。その、最も大きな要因は、拓海の定時制高校に通い始めた事だった。 智子は拓海に、定時制高校に拘って勧めた訳では無い。拓海が色々ある選択肢から、自ら選んだもの。それ故に、彼は嫌がらずに学校に通う。 そうなる...
沢登智子は、大介の息子・拓海を部屋から出すことに成功した。最も、部屋に閉じ籠もっていたのは大介や智子が居た時だけ。大介が会社に行ってしまえば、彼は伸び伸びと過ごしていた。 入浴やシャワー浴びも自由勝手に振る舞っているし、外出もしていた。 智子が成功したと言えるのは、家...
揺れる 沢(さわ)登(と)結(ゆい)菜(な)にとって、今は天国。人生イベントの中の一つ、高校受験に受かり、胃の痛くなるような不安や苛立ちから解き放された瞬間。 こんな状況で、更に勉強をしたいなんて若者がいたら、祭り上げたいくらいだ。 学校側も、自習や時間短縮等が増え...
Yahooの何とか会員とかに、知らないうちに登録されていた。 勿論、会員登録した覚えは全く無い。低額だが毎月カードで落とされていた。 不思議なのは、楽天カードをYahoo関係で使用したことがないのにどの様にしてカード番号を知ったかだ。 一度だけ、息子が参考書を買うために我が...
自分は最近、物語登場人物の名前付けに苦労を感じなくなった。ただし、姓名には未だ苦しんでいるが。 最近のマンガやコミックなどの登場人物は考えられない名前を与えている。元祖はドラゴンボールではないかと、個人的には思っている。 ビビデ バビデ ブー ナッパ ・・・後は・・・思い出...
何時もなら、根草大介が車で沢登母娘が住むアパートまで送るのだが、今夜の大介はアルコールが入っている。なので、智子達はタクシーを拾って帰宅する。 車中で、智子が娘の結菜に話し掛ける。 「拓海君と何かあったの?」 「別に」 「拓海君の大きな声が聞こえたけど、嫌な事言われたの...
二の矢 根草大介は結菜の受験合格を祝いたいと、沢登母娘に電話で提案する。 「嬉しいけど、結菜が喜んでくれるかどうか?」 「ウチで料理を沢山作り、パーティーをしようよ。智ちゃんの料理美味しいから、材料一杯仕入れてさ。智ちゃんは大変だろうけど、俺も及ばず乍ら手伝うからさ。特...
今までのストーリーでは、未だ拓海と結菜は出会っていません。果たして、二人が出会うとどうなるのか? 自分としては楽しみですね。 描き方一つで大きくストーリーが変わっていく。これが執筆する醍醐味です。 また、大介の企ては、果たして進むのでしょうか? 簡単に「思うつぼ」とはさせた...
結菜の「拓海の部屋出し作戦」と名付けた作戦が動き出す。結菜が目出度く志望校に受かった後だった。 「拓海君。今日から少しの間、この家の家事手伝いをすることになった智子。もうこの件はお父さんから聞いているでしょ。宜しくね」 以前と同じく、拓海の部屋からは物音一つ聞こえない。...
引っ張りだし作戦 沢登智子が、根草拓海を部屋から出す為に2階に上がる。 智子が、2階の拓海の部屋に行く姿を見て、大介が結菜に話題を振る。 「高校の志望校は何処なの?」 結菜は志望校を上げる。それを聞いた大介は、幸運に喜ぶ。 「その高校、ウチからの方が近いかも知れない...
後日、智子から連絡があった。気乗りしないが遣ってみると答えた。 「やったぜ。先ずは切っ掛けを作れた。しかしこの電話番号、変わって無いじゃないか。智め、俺と近づくのが嫌だったという事か」 智子に嫌われては居ないようだが、避けられているのは確かなようだ。 「まあ、そんなこ...
根草大介は沢登智子に携帯番号を聞こうとする。 「これ、俺の名刺。裏にスマホ番号書いてある。智ちゃんの携帯番号も教えてくれる? 拓海の件で相談に乗って欲しいので」 「来週にでも番号変える積リなのよ。なんかね、義母が電話掛けてくるんで面倒で。どうも、次男三男の嫁さんと上手く行...
大介の筋書き 「やあ、久しぶり。元気そうだね」 根草大介はいとこの沢登智子に話し掛ける。 「うん。貴方もね。所で名前、何て言ったっけ?」 「大介」 「そうそう、大ちゃんだった」 智子は、愛想笑いを浮かべ応える。 「旦那さんの葬儀に行けなくてゴメンね」 二年ほど前に、...
少し田舎の知人の家。古い建物の所為かネズミが遠慮せずに出入りしていると。 そこで、昔ながらの鼠捕りを仕掛けたそうだ。 確かに捕まった。一匹だけ。 その後再び設置して置いたが、二度と捕まえることが出来なかったと。 知人曰わく、恐らく前に捕まったネズミの痕跡が残って居るからでは...
儚い喜び 保来信次郎の母・ユキがまた上京して来た。 「何しに来たん?」 「何しには無いでしょ。あなたの母親よ。息子の顔を見に来て何が悪いの?」 「そうだけど。本当は美音の顔を見に来たんだろ。今は寝ているよ」 「あらそう。時間はたっぷりあるから、別に急がないよ」 母親の...
その日の夕方。客船の乗客一人行方不明とのニュースが流れた。夜遅くには、行方不明となった人物は、空き工場跡地で死亡した江波幹也社長と親戚であり、会社の重役でもある大隅道久と判明する。 警察は、事件の関連性を調べていると。 「あーあ、やはり死を選んでしまった」 保来信次郎...
翌日。大隅道久は、竹芝から出る三宅島八丈島方面の客船に乗っていた。 後2時間ほどで三宅島に到着する頃、雑魚寝から目覚めた道久は、新鮮な空気を吸うために甲板に出た。 冷たい空気が頬を撫でる中、道久は甲板に寝転び天空を眺める。無数の小さな光の粒が漆黒の闇の中に広がる。 ...
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