chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • 『バルバラ異界』萩男望都 その6

    ここの話をよく理解していなかったと気づきました。 だからわからない。 ネタバレします。 〔その11:お誕生日は同じ10月1日] キリヤの教室に突然現れたパリス=パインはキリヤを「タカ」と呼んで親し気に話し出す。 つまりパインの話によるとキリヤはキリヤではなくタカなのだという。 パインはずば抜けた記憶力があるので間違いないというのだ。 そしてもう二人の男の子もいた彼ら四人は「ベビーダックス」と呼ばれた。 里親用児童待機施設グリーン・ホームで育てられた彼らは一般タイプの体外受精卵で4人の代理母によって出産された。 同じ10月1日に生まれたのである。 彼ら4人はいつも一緒にくっつきあって動き回ったの…

  • 『バルバラ異界』萩尾望都 その5

    今日も続けます。 ネタバレします。 〔その9:火星の海で泳いでいた] キリヤの前に突如あらわれた少女人形、それはキリカとマシロからのサプライズプレゼントだった。 「帰れよ。いらない」と払いのける(「いたァい」と話す人形)キリヤにすねるライカは人形を抱えて立ち去ろうとした。 二階から飛び降りてキリヤはライカから人形を受け取った。 「すきよ、キリヤ」と話す人形。 その時、どこからか紐状のものが飛んできて人形の首に絡まるや人形を奪い取ってしまう。 キリヤはその人物を見て「青羽の夢の中のパイン?」となる。 ところが”パイン”が人形を持ち去るともう一人同じ容姿の少年がいた。 「・・・これはチガウ・・・」…

  • 『バルバラ異界』萩尾望都 その4

    二巻へと参ります。 本作は実写映画化やりやすいと思うのに何故やらないのだ? ネタバレします。 〔その7:きみに肩車してあげた] 渡会と百田氏は「胡蝶の夢」(我が蝶か、蝶が我か)と言う論議をする。 渡会は話さないがキリヤがイメージしただけのバルバラが現実に瀬戸内海に出没していることが現実となってしまったら、と問う。 「そうなれば我々の方が非現実となってしまう」 「ぼくたちのこの世界が夢になる、誰かの夢に」 「もしも青羽が目覚めてしまったら?」と渡会は問う。 両親の死とその心臓を自分が食べてしまったという事実を知ることになる。 しかし味方になってくれる者はいない。十条菜々美は最大の敵となる。 ・・…

  • 『バルバラ異界』萩尾望都 その3

    ネタバレします。 本作で萩尾望都は子供を愛しているのに愛してはもらえないといういつもと逆転した父親を描くというチャレンジをしているが他にもちょこちょこ「いつもと違うテスト」をやっているようだ。 例えば30代の十条菜々美が10歳も若いエズラと恋をして結婚するというような設定は今では驚くほどのことではないが萩尾マンガではこれまでなかったことに思える。 そもそも萩尾キャラクターはわりに老けていてやや未来の話とは言え80代女性をあそこまで若く描くのも珍しい。 だが一番の「これまでにない」感は主人公の渡会時夫の「おたおた感」だ。 30代男性の主人公がいつもおたおたしながら不安げに進んでいくのが面白い。 …

  • 『バルバラ異界』萩尾望都 その2

    萩尾望都の後期作品の一筋縄ではいかない感じがたまらない。 いったいどうしてこんな話がどこから生まれてくるのと頭をひねくり回してしまうのです。 そして今回気がついたけど本作はわりと目の描き方があっさりしているのですよ。 私は実を言うと萩尾氏の描く目がきつく感じてしまうので目が軽い本作は必然的に好きなのだ、と今更認識しました。 ネタバレします。 [その3:公園で剣舞を舞ってはならない] もうね、キャラクターがひとりひとり魅力ありすぎでワクワクしてしまうんんだよなあ。 少年らしい繊細さと過激さを持つキリヤ、対照的におっとりとしているがおどおどしている渡会時夫と言う父子をはじめ、なんとなくエキセントリ…

  • 『バルバラ異界』萩尾望都 その1

    2002年9月号~2005年8月号「フラワーズ」 この『バルバラ異界』は以前も書いたことがあるのでより細かく書いてみたいと思います。 私にとって萩尾望都作品で最も好きな作品です。 ネタバレします。 これが中表紙。なんと平和な幸福な場面だろう。 年齢のせいでこういうので涙が溜まる。ダメすぎる。 [その1:世界の中心であるわたし] 冒頭は右下の女の子、青羽のおばちゃんマーちゃんの呼び声から始まる。 そして青羽のモノローグ 「あたしはバルバラが世界の中心だと思っていた」 ヤギ小屋で昼寝する三人の子どもたちが示すようにのどかでやさしい世界が描かれる。 朝はマーちゃんが焼くパンケーキをヤギの乳で食べ、青…

  • 『帰ってくる子』萩尾望都

    1998年「チャイルド 異形コレクション7」に描きおろし ネタバレします。 ユウにいちばん帰ってきてほしかったのはぼくだったかもしれない・・・ 『アロイス』を思い出してしまうお話でした。

  • 『学校へ行くクスリ』萩尾望都

    1994年「ビッグゴールド ビッグコミック増刊」16号 一見、SFファンタジー風味の不思議ラブストーリー、だがその正体は。 ネタバレします。 世の中は自分が見たいように見える。 逆に言えば見たいようにしか見えない。 つまりほんとうのものは見えていない。 見たくないものは見ない。 という作品だ。 よく好きな人が好きなアイドルに似ている、と思うのもその一つである。 他人が見るとまったく似ていないのに補正をかけて「似ている」と思ってしまうのだ。 特に若い時は思い込みが激しく強い。 だからある人を激しく好きになり尊敬してしまう。 そしてその人が「そうではなかった」と知ると激しく幻滅してしまうのだ。 「…

  • 『午後の日差し』萩尾望都

    1994年「ビッグゴールド ビッグコミック増刊」14号 萩尾作品定番の親と子の確執問題ものではあるが初めての(かな?)主人公が母親で母親側からの目線で描かれた確執であります。 ネタバレします。 主人公の賞子は42歳(この時萩尾先生は45歳くらいだから同年齢女性を描いたといえる)娘と息子を一人ずつ持つ(もちろん夫は一人)専業主婦である。 学生時代からの友人とトリオを組んでいて料理教室に通ってはおしゃべりをするのが楽しみというような感じのおっとりした中年女性なのである。 さてこの賞子の価値観は萩尾氏の持つ本質的なものだとしていいのか。 この時代の一般的中年女性と考えるべきなのか。 1990年代の4…

  • 『あぶない丘の家』萩尾望都 その2

    ネタバレします。 高校・文化祭でマヒコの1年1組は「シンデレラ」の芝居をやることに。 シンデレラはマヒコ、王子様は律子、という配役だ。 そんな時、マヒコの隣家に金太郎という青年がやってくる。隣家にはおばあちゃんが住んでおりその孫なのだがなぜかマヒコにはあたりが強く。 その金太郎は両親から「おまえがおばあちゃんの養子になればお金を貸してもらえるのよ」という無体な身売りをしろと言われて良い子ぶっていたのだった。 おばあちゃんが一時危篤状態になり両親は遺産が入ると大喜びするがおばあちゃんは奇跡の生還をしたのだった。 しかしおばあちゃんが金を貸してくれるとなって一段落。 金太郎も自由の身となって美大を…

  • 『あぶない丘の家』萩尾望都 その1

    「ASUKA増刊ファンタジー」DX」1992年夏の号・秋の号~1994年10月号」 本作再読して驚きました。 これはもうひとつの『残酷な神が支配する』ではありませんか。 ネタバレします。 黒髪の可愛い顔の弟と白髪のイケメン兄という設定はまったく同じ。 しかもこのようにイケメン兄アズが可愛い弟マヒコをいつも襲うという設定(チガウ) 両作品の執筆はほぼ同時期に始まっているのでこの設定自体は並行して考えられたはずだ。 しかもふたりの両親は自動車事故で死亡してふたりきりで暮らすというのも同じ。 (まあ『残酷な』は金持ち過ぎて単純なふたり暮らしにならないが) 違うのはあちらがドシリアスなのにこちらはかな…

  • 『残酷な神が支配する』萩尾望都 その10

    最後の巻になってしまいました。 ネタバレします。 年末年始をずっとベッドで過ごすジェルミとイアン。 気づくと1月4日になっていてやっとふたりはベッドから出て動き出す。 早く日常に戻って勉強を始めようとするイアンの前にまたジェルミが現れて彼の心を振り回す。 かつてこの記事で「萩尾マンガでは美しい少女が男子を振り回すのが定番」と書いたが美少年も同じであった。 そうした関係性が好きなのだろう。 しかもジェルミはそれを気づかず「ぼくはいつもイアンの言う通りにしてきたのに一度くらい言うことを聞いてくれたっていいじゃないか」と涙しイアンは途方に暮れるのだ。仕方ない。惚れた弱みというやつだ。 ジェルミはペン…

  • 『残酷な神が支配する』萩尾望都 その9

    夢中で追いかけてもう9巻となりました。 今度は終わりそうなのが悲しいです。 ネタバレします。 ジェルミはエリックとその妻ポピーと共にバレンタインに会うためスエーデンへと向かう。 ところがエリックに抱きつかれた途端バレンタインは逃げ出し二階の窓から飛び降りようとした。 必死でそれを抱きとめたジェルミ。 この時、怪我の功名で今まで声が出なかったバレンタインがわめき声をあげたのだ。 どちらが辛い話か、という比較をしてもしょうがないが自分自身が女性のためか、ジェルミの物語よりもバレンタインの話が辛い。 双子の兄との間にできてしまった子供を殺してしまうバレンタインの苦悩と悲しみを思うととても辛い。 ジェ…

  • 『残酷な神が支配する』萩尾望都 その8

    どうしてもどうしても闇の奥から抜け出ることができないジェルミとイアン。 ますます複雑な迷路に侵入していくようです。 ネタバレします。 なんども繰り返されるジェルミとイアンの戦い。 シャロンによってふたりはリン・フォレストにいるナターシャと再会する。 ナターシャはジェルミに謝罪するがジェルミはそんなものは必要ないと答える。 どうしてもジェルミを捕まえられないイアンはあの鞭打ちの写真をもう一度リンドンに作ってくれるように頼み今度はジェルミとふたりでその写真を見ながら真実を聞いていく、という荒療治をし始める。 テーブルを挟んで向かい合うジェルミとイアンはまるでこれから戦うボクサーのようだ。 ふたりの…

  • 『残酷な神が支配する』萩尾望都 その7

    ますます迷走していくイアンの物語です。 ネタバレします。 セックスは仕事でしかないというジェルミ。 ジェルミに金を払って彼の身体を抱くイアン。 そのイアンは「愛しているのはナディア」だという。 ナディアという女性もグレッグの最初の妻リリヤを思わせる。美しいが頼りなく愛だけを求めている女性だ。 つまりナディアはイアンの母親に似ているという構図になっている。 もう逃げない、ジェルミに向き合おう、ジェルミと正しい関係性を持とうと決意したイアンだったがリンドンが心配した通り事態はそんなに思ったようには進まない。 イアンはますますジェルミとの関係がおかしくなりそれゆえにナディアとの関係も不自然なものにな…

  • 『残酷な神が支配する』萩尾望都 その6

    萩尾望都マンガは脇役も生きてるしちゃんと描いてくれるのでとても好きだ。 表紙の猫も良い。もちろんリンドンさんも。 ネタバレします。 イアンは大切なテストも放り出し今度こそはジェルミを救おうとアメリカボストンまでやってきた。 イアンの周囲の人々は彼を心配するがイアンにとってジェルミを見捨てることはできなかった。 この行動は多くの物語で行われないものだ。 たいがいは大切な人が失われ「あの時ぼくが追っていれば」という後悔の言葉によって締めくくられるのだが本作でイアンは後悔をしない行動をとる。 だがその行動はそう簡単には達せられない。 リンドンが言う通りイアンはジェルミが彼を必要とした時に何度も裏切っ…

  • 『残酷な神が支配する』萩尾望都 その5

    さて我々はイアンの苦しみ悲しみを見ていくことになります。 その父親と同じように尊大で美貌で有能で彼自身揺るぎない自信を持っている彼が「おまえは何も知らない馬鹿な人間にすぎない」と打ちのめされるのです。 ネタバレします。 告白すると約束したボート小屋に来て「もうグレッグとはセックスしたくなかった。だから殺したんだ」と告げてすぐに風雨の夜出て行ったジェルミをイアンとリンドンは追いかけるが姿が見えない。 ふたりはボート小屋周囲の水面を探し回る。 ジェルミの服を見つけたイアンは飛び込みジェルミを抱えあげた。 リンドンはふたりをすぐに小屋のなかへと運び入れる。 イアンとリンドンは手早くジェルミの服を脱が…

  • 『残酷な神が支配する』萩尾望都 その4

    「その4」じゃなくて4巻で良さそうだけど実は少しずつずれているのでそのままで行きます。 ネタバレします。 ついに4巻。 この4巻から主人公ジェルミは生きているグレッグに襲われることはなくなるが代わりに亡霊グレッグに苦しめられていく。 そしてイアンはこれまでの何も考えていないハンサムくんから深く考え怒り怖れ戸惑い悲しみ泣き苦しむ青年へと変貌していく。 最初は何故ジェルミの苦悩のパートナーにグレッグに生き写しと言えるイアンにしたのか、例えばマットではなくなぜイアンなのか、他の誰かでもなく、と思ったのだが本作のテーマとしてその相手はイアンでなくてはならないのだと気づく。 イアンはその容姿(長身で美貌…

  • 『残酷な神が支配する』萩尾望都 その3

    恐ろしく鬱陶しい物語なのですが主人公ジェルミがあきらめずなんとかできないか、と最初から行動し続けているために読むことができるのだと気づきました。 他の誰かに助けられるのを待つのではなく自分自身んで探求していくのです。 しかしそれでも精神が破壊されて行ってしまうのですが。 ネタバレします。 実際、グレッグのこの行動を止める方法はなかったのかと考えてみた。 しかし結局ジェルミにとっての問題はグレッグではなく母親のサンドラなのだ。 グレッグとの結婚が破棄されてしまうと弱い母は死んでしまうのではないかというブレーキがジェルミの行動をすべて封じ込めてしまうのだ。 ジェルミは売春宿街へ行ってディジーから話…

  • 『残酷な神が支配する』萩尾望都 その2

    萩尾望都氏はあちこちで「グレッグを描いていて辛くありませんでしたか?」という質問をされそのたびに「それが楽しくて仕方なかったんですよ」と答えるのを繰り返しています。 むろん萩尾氏は自分自身の辛かった時期を重ねて本作を創作したはずですがこれまでと違って親側に感情移入してしまったということでしょうか。 夏目漱石は小説を書くことで自浄作用があった、と『「坊っちゃん」の時代』に描かれていましたが萩尾氏も本作を描くことで何らかの自浄作用があった、ということなのでしょうか。 ネタバレします。 確かに、執拗にグレッグのジェルミへの性暴力は繰り返し描かれていく。 他のこういった作品であれば衝撃的な描写の後では…

  • 『残酷な神が支配する』萩尾望都 その1

    「プチフラワー」1992年7月号~2001年7月号 ついに萩尾望都最長編にたどり着きました。(『ポーの一族』のシリーズものは除外して) なのに私は本作が苦手でまったく好きとは言えません。とても内容が辛いからです。 嫌いと思うのが正しい気がします。 しかしこの作品をスルーしてしまう、もしくは一回で軽く話すことはとてもできないと思います。 本作で主人公は苦しみ続けたのです。 私も彼の心に寄り添って苦しみを少し舐めてみましょう。 ネタバレします。 とはいえ幾度か読み返した作品でもある。 順に追っていくのではなくできるだけ全体を通じて語りたいと思う。 どうなるかわからないが始めよう。 本作が最大の長編…

  • 『イグアナの娘』萩尾望都

    1992年「プチフラワー」5月号 萩尾望都を知る上でおすすめの作品は?と問われれば今では本作と『半神』と答えられるのではないでしょうか。 ネタバレします。 この恐ろしい心の内面をここまで面白おかしく描けてしまう才能に圧倒される。 私の好みとしてはあまり読みたい話ではないのは確かなのだけどやはり凄いと感心してしまうのだ。 そして萩尾さんがSF好きであったことが何より救いであったのではないかと勝手に思ったりしてしまう。 なのでこの凄い名作についてはあまり語ることがない。 どえらい作品であるということとおすすめ作品であるのは確かである。

  • 『カタルシス』萩尾望都

    1991年「プチフラワー」11月号 この萩尾望都感想シリーズはウィキペディアと「萩尾望都作品目録」に従って順に追っているのですがここにきて戸惑ってしまいました。 が、ある方の「カタルシスはイグアナの娘の後に描かれていますが」という文を見て「はて?」となったのです。 年表では本作が先で半年後に『イグアナの娘』となっているのですが手持ちの本(『イグアナの娘』)の本作の最後頁に確かに「1992年5月号」そして「イグアナの娘」の最後頁に「1991年11月号」と記載されています。 本が間違っているのか、wikiと作品目録が間違っているのか? ネットユーザーも本で確かめた方とwiki及び目録で調べた方とで…

  • 『感謝知らずの男』萩尾望都

    1991年「プチフラワー」5月号~1992年3月号 萩尾望都バレエシリーズのあちこちに出演しているレヴィ。 ちらりとしか出なくても高いバレエ能力を持ち飄々としたカッコよさの彼です。 そんなレヴィが主人公となった作品です。 ネタバレします。 主人公となったレヴィはまだ17歳の未熟な悩める少年として登場する。 見た目の綺麗さはそのままだが大人になって見せる落ち着きはこの頃にはまだなく思い通りにならない自分自身と他人との関係性にいつも戸惑い苛立っている。 痩せっぽちのレヴィの夢は強くがっちりとした身体と精神を持つことだ。 本作で我々はそんなレヴィの理想を求めて苦しむ様を見ることができるのだ。 不眠症…

  • 『ジュリエットの恋人』萩尾望都

    1991年「プチフラワー」3月号 これもなにこれえ? のラブストーリーです。 ネタバレします。 要するに最初から最後まで相思相愛で終わると言う。 確かにこれは『ロミオとジュリエット』である。 愛することを「家」に邪魔されたのではなく自分自身に邪魔されているロミオとジュリエットである。 バレエの技術も最高で何の問題もないのに自分たちだけで自分たちの邪魔をしている。 (ロミオがというべきかもだけど) バレエシーンも美しい。

  • 『ロットバルト』萩尾望都

    1991年「プチフラワー」1月号 なんだろこれ。今回初読みです。 ネタバレします。 独特の味すぎる。 殺人まである恐ろしい話なのにコメディなのだ。 た、たしかに。 今はどうかわからないが昔はよく映画でも人殺しコメディなのがよくあった。 こうしたドタバタ展開ギャグラブコメは萩尾望都の得意とするものだったけど今現在は「殺人コメディ」って許されないものかもしれない。あったっけ? これはほんとに山岸凉子バレエマンガではありえない? でも萩尾先生も山岸バレエマンガ少しは参考にされているような気もする、ポーズなど。 誰が殺した? スリルとサスペンスそして恋愛とバレエ。しかも白鳥の湖。 ワクワクドキドキの殺…

  • 『真夏の夜の惑星』萩尾望都

    1990年「プチフラワー」11月号 タイトルからしてシェイクスピア『真夏の夜の夢』からきていることは確かなのだがその中身はぼんやりとしか知らない私が読みました。 ネタバレします。 なのでこの作品と『真夏の夜の夢』がどのように関係するのかはわからないがなんとなくそれほど重なってはいないのではないか。 萩尾望都持ち味の古典とSFを組み合わせるという試みのひとつなのかもしれない。 やはりオークが見どころか。

  • 『ローマへの道』萩尾望都

    1990年「プチフラワー」1・3・5・7・9月号 この作品がとても好きで読み返してしまいます。 かなり苦い味わいではあるのですが。 ネタバレします。 主人公のマリオ・キリコは憧れのバレエ団ドミ・ド・リールに入団する。 上昇志向の高いマリオは周囲のダンサーたちが皆劣っているように思え自分こそスターになれると意気込むがドミ・ド・リールが選ぶのは自分ではなかった。 マリオの葛藤が細やかに描かれていく。 自分が一番うまいはずなのに何故選ばれないのか。 マリオは養父母に育てられたがそのことに悩みはなかった。 だが養母が死んだことで実の母の話を聞く。実母が夫(マリオの実父)を殴り殺して7年間服役し今も生き…

  • 『海のアリア』萩尾望都

    「ASUKA」1989年8月号~1991年5月号 初読みです。 これはまた不可思議なSFを。 以前の『モザイク・ラセン』を思わせます。 異世界と音楽と共鳴というものが萩尾ファンタジーの基盤でしょうか。 ネタバレします。 冒頭に家族との確執が描かれますが、それはごく上面部分のみで後はもうほとんど出てこないのはよかった。 いやいやそれより冒頭で語りて的な主人公と思われた十里くんがすっかり出てこなくなってしまうのが謎すぎる。 これはあまり構成を考えずに描き出した、というやつなのかな。それともそういう風にあえて描いたのか。 しかし読んでいくとそんなことはもうどうでもいいとのめり込んでいく。 アベルが全…

  • 『青い鳥』萩尾望都

    1989年「プチフラワー」11月号 どうも私は頭が悪いらしいです。今頃わかったか、という感じですが、この話も最初読んだ時、よくわからなくて「なにこれ??」と理解できないでいました。 今となると何故理解できないでいたのかのほうが不思議ですが、目が滑ってしまっていたとしか言いようがありません。 ネタバレします。 萩尾望都が中国系の人物を描いたのは他にあっただろうか? ど忘れしているだけかもしれないけど無い気がする。 そのせいもあってヤンという中国風の少年の造形描写に違和感を感じてしまったのかもしれない。 ところが読み返してみるとそんな違和感はまったくのお門違いだったと気づいた。 それどころかすばら…

  • 『海賊と姫君』萩尾望都

    1989年「プチフラワー」9月号 これまた奇妙な味わいの作品です。 バレエと恋愛をシンクロさせていくのはもう無論巧みだがキャラクターの癖が強く生半可に共感などできない気がします。 これを読んでハッと気づいた。 以前はいつも「おなじみの美しく奔放な少女と振り回される少年」と書き続けていたのにしばらくそれを書かないでいたら本作は単純なそういう構図ではなくなっている。 少女はやはり美しくて奔放ではあるが内心とても揺れ動いているし少年、ではなく30男(29歳)は振り回されているが美しく傲慢でもある。 本作を初めて読んだ時は「あまり面白くないように感じてしまった」のだけれど読み返すうちにこの不思議な味に…

  • 『フラワー・フェスティバル』萩尾望都

    1988年「プチフラワー」7月号~1989年1・3・5・7月号 独特の味わいのバレエマンガです。 ネタバレします。 バレエマンガと言えば私にとっては山岸凉子で他にない、というくらいなのだが萩尾望都の本作を読んで山岸凉子とはまったく違う描き方に驚いた。 まず私はミドリが嫌いだ。 嫌いなんだけど読んでしまう。 これ一番まずいパターンの奴。一番引きずり込まれる奴なんだ。 というか。 本作の家族物語&恋愛編はちょっと苦手なんだけどバレエパートは本当に好きだ。 特にサンダーの「ほんとうに美しいバレエを踊れる女性と踊りたい」という思い入れが当然とはいえ惹かれてしまう。 そしてこのサンダー君が前回言った甲斐…

  • 『完全犯罪』萩尾望都/All songs written by KAI YOSHIHIRO

    この本を持っておりまして再読しました。 甲斐バンドと甲斐よしひろのアルバムから選曲してマンガとして描いたという作品。 この時期の萩尾望都にこんな試みをさせるのは本人が希望しなければとてもできないものでしょうが、萩尾望都自身が甲斐よしひろに惚れ込んで描いたのだから当然と言えば当然だ。 この本の巻末に「アルバム紹介のおしゃべり」という文がありますがこれを読むと萩尾望都がどんなふうにこの作品を作っていったかがわかる。 萩尾望都と甲斐よしひろという組み合わせはぱっと見まったく違うものにも思えるかもしれないが実は非常にシンクロしているのかもしれない。 事実私はその両方が好きなのだからわかる気がする。 両…

  • 『友人K』萩尾望都

    1985年「グレープフルーツ」21号 またこれがよくわからない話です。 どういうことなのですか。 ネタバレします。 語りてはオレ。ワルガキで秀才、リーダーで足も速く数学は一位というオレに比べKはやせたチビとしか思えないのにオレより足が速く数学一位を譲ってしまう。 それにもかかわらず交通事故に会いそうになった奴をオレは心配してやったのに無視していってしまったことに苛立つ。 そんな時誰かがKの家庭の事情をばらしオレはそれでKをからかった。 いきなりKはオレの胸ぐらをつかんで怒鳴りつけてきた。 オレは動けなかった。 そしてKは口をきかないまま卒業していく。 四年後Kと目が合うことがあったがそのまま別…

  • 『Marginal/マージナル』萩尾望都 その11 完結

    最終回です(たぶん) ネタバレします。 エピローグ「ホウリ・ナイト」 モノドール都市からみるみる水が引いていく。 (ドクンドクンという鼓動とともに) そして誰もいないはずの海岸線に一人の姿があった。 それはヒョロヒョロに痩せ切ったセンザイマスターだったのだ。 地下にいたメイヤードとアシジンは救助されたがメイヤードは死亡した。 アシジンとグリンジャ、ゴー博士はセンザイマスターを訪ねキラの行方を問う。 「死んだよ」 もうおしまいだと青くなるゴーにマスターは「なんの。これから始まるんじゃ」と答える。 「キラが洪水を止めたのか」と訊くグリンジャ。 「聞こえないか?」とセンザイマスター「まだ体に残ってい…

  • 『Marginal/マージナル』萩尾望都 その10

    ネタバレします。 第21話「洪水」 突然の新マザの死にミカルはキラこそマザだと叫ぶ。 (この時のミカルは(というかこの世界の男はだけど)出産をどのように考えているのか?「みんなの子供を産んでくれる」と何のためらいもなく叫ぶのが恐ろしい。「蜜蜂のようなもの、と思っているとすればキラの腹が巨大化すると考えているのか?) ここでアシジンだけがまったくキラの心配などせず自分の毒消しのことしか考えていないのがおもしろい。 ミカルは叫ぶ「きみは誰の子供を産むんだ?」 この時爆破のスイッチが入った。 それが暗示の言葉だったのだ。 七つの塔が次々に爆破されていく。 聖者たちは唱える。 「我々は都市と共に沈む。…

  • 『Marginal/マージナル』萩尾望都 その9

    ミカル主人公バージョンも読みたいんだよな。 ネタバレします。 ミカルが新市長になる時が来た。 センターの不思議な場所で作り出されたマザ・ハレルヤの衣を受け取り儀式を終えた。 アシジンはセンザイマスターの指示でメイヤードから偽の毒薬を飲まされ解毒剤を飲まないと死ぬと告げられる。 解毒の条件はキラをつれてくることだった。 アシジンはヘビの宿を訪れるがそこにいたのはグリンジャだけだった。 ゴー博士はヘビ男をつれネズを訪ねていた。 キラはマーゴのアジトで念力でスイッチを入れる暗示にかけられ実験をくりかえしていた。キラの超能力は確実だった。 そこへアシジン・グリンジャが来てキラは喜びアシジンに抱き着くが…

  • 『Marginal/マージナル』萩尾望都 その8

    最終巻です。 この内容が3巻で終わっているとはなあ。 本音を言うと「図書の家」の話とかもう少しやってほしかった。あの雰囲気がとても好きだ。エメラダとエドモスの話も。 ミカルの話とか・・・こっちから描くバージョンもありなんだよなあ。 ネタバレします。 第16話「えもの」 波乱の前だが奇妙に穏やかな時間が描かれる。 とはいえエドモスはもう帰らないエメラダを思って怒っている。 以前よりアシジンに心開いて話をするようになったキラだがひとりグリンジャを探しに出る。 しかしそこをセンザイマスターの念力に襲われてしまう。 救けを呼ぶとそこにグリンジャが現れセンザイマスターの方がはじきとばされてしまう。 アシ…

  • 『Marginal/マージナル』萩尾望都 その7

    ネタバレします。 第13話「ヘビじじいとヘビ男」 アシジン、マーゴはヘビじじいの家でエドモスと会い地下道の地図を渡される。 その時、奇妙な揺れが起きる。 メイヤードはこれをキラの超能力だと判断した。都市のどこかにいると。 「キラを狩りださねば」というメイヤードの言葉にゴーが怒りだす。 ナースタースは「アーリンが子供のことをなんと言ってるか見せて」と指示した。 アーリンの映像がこれまでのことを語る。 キラが生まれて16年。4人で同じ一個の人格を共有していた。一人は赤ん坊のままで3人は普通に成長していった。 赤ん坊が4人の脳や心の中心で他は手足だとイワンは説明した。 ひとりの教えると他のふたりも覚…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、ガエルさんをフォローしませんか?

ハンドル名
ガエルさん
ブログタイトル
ガエル記
フォロー
ガエル記

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用