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  • 『麒麟狩り』萩尾望都

    2021年 「諸星大二郎デビュー50周年トリビュート」より 今のところこの作品が今回の「萩尾望都マンガ作品読み返し」の最後の作品となります。(wiki記録にて) ほんとうはこの後そして現在も『ポーの一族』シリーズを描かれているのですが記事の書き方としてシリーズものはまとめて記すことにしたので『ポーの一族』シリーズは過去記事としてまとめています。 時期としては2024年10月号掲載の「青のパンドラ」が最後です。(wiki記載に従って書いているだけなので間違いはあるかもしれません) とはいえ今後の発表、というか私の場合は単行本になってからの記事になりますがその場合はこの後に続けて書いていくはずです…

  • 『ガリレオの宇宙』萩尾望都

    2020年「Apple Store」 萩尾望都初の完全デジタルで製作された本作『ガリレオの宇宙』がApple Storeにて公開中(2025年4月30日現在) その詳細はこのサイトに記されています。 www.hagiomoto.net 初完全デジタル作品がガリレオ・ガリレイの物語というのもさすがという感じです。かっこいい。 デジタルはそれまででも活用されてはいるようですが。 しっかしうまいし楽しい。そしてこの 笑ってしまう。色々使えそう。 異端と言われて書くことを禁止されていてもちゃんとこっそり書いてるガリレオ・ガリレイ。 萩尾望都氏は共感するはずだ。 ではその作品にリンクしておこう。 ガリレ…

  • 『バス停まで』萩尾望都

    2018年「週刊モーニング」1月25日号 2011年の東日本大震災後、2012年『なのはな』で福島原発事故後の人々を描き、2013年『AWAY』では世界の破滅への畏怖を描き、7年経ってまた本作を描いた。 やはり萩尾望都の悲憤は福島原発にあるのだ。 ネタバレします。 男がひとり草茫々の中に建つあばら家に向かい傾いだ家の戸をこじ開ける。 頭の中では妹の声が彼を導いていく。 妹の声は男に「汚いし危ないから靴のまま入っていって」というが男は靴のままじゃ上がれないと靴にビニール袋をかぶせて入る。 家の中はすでに荒れ果て泥棒も入っていたようだという。 二階は動物が住み着いていたのか臭いのだという。 「あま…

  • 『由良の門(と)を』萩尾望都/原作:岩明均『寄生獣』より

    2016年「月刊アフタヌーン」5月「ネオ寄生獣」より 残念なことに私が『寄生獣』をまったく読んでいないので原作との照らし合わせなどの面白みを味わえないのですが、その上での感想です。 ネタバレします。 そして本作自体も今回初読みだったのだが原作『寄生獣』を読んでいないのが悔しいほどの名作ではないのか。 私がこれから原作『寄生獣』を読むかどうかは未定だが知らずに本作の感想を持つのは読んでからではできないので原作未読の本作への感想もまた良いのかもしれない。 本作の主人公・由良は病院の中の病室で三歳までを過ごし「ふつうの子」と診断される。 神田夫妻の養女となって神田由良として成長する。 感情表現のない…

  • 『AWAYーアウェイー』萩尾望都 原案:小松左京『お召し』 その2

    ep3から「3月21日」世界が分かれた日です。 ネタバレします。 つまりep2から時間が戻ってAWAY世界では大人たちがどこかに行ってしまったと子どもたちが途方に暮れている。 ここで登場するのが大介が所属するバスケ部の後輩、河津克巳である。 ちょっと昨今のマンガではあまり出てこない個性的容貌の持ち主といえる。 しかも彼はとんでもない活躍を見せる。 それに関わってくるのが次に登場する不思議な笛少女ネネちゃんだ。 場面緘黙症だという説明がされる。 リコーダーを首から下げてピーッと吹くことでなんらかの意思表示をしているようだ。 AWAYでは子どもたちがどうしたらいいのかわからず不安の中で試行錯誤して…

  • 『AWAYーアウェイー』萩尾望都 原案:小松左京『お召し』 その1

    「フラワーズ」2013年6月号~2015年8月号 本作『AWAY』多くの方が評しているように「おもしろいんだけどあまりにも短い」 そしてなにか構成が破綻しているようにも思えます。 いつもやっているようにストーリーを追っていくべきかとも思いましたが、今回はストーリーよりも思ったことを書き記していきます。 ネタバレします。 ある日突然世界が18歳以上とそれ未満の二つに分かれてしまう。 それが「HOME」と「AWAY」 18歳以上の大人世界が「HOME」 未満世界が「AWAY」 「HOME」で赤ん坊が産み落とされたらその子は「AWAY」世界へ飛ばされてしまう。 「AWAY」である子が18歳となったら…

  • 『王妃マルゴ』萩尾望都 その8

    最終巻です。 ネタバレします。 美しく気高いマルゴは最期までアイデンティティを失わなかった。 自我を持ち続けた女性だった。 彼女は母后カトリーヌに厳しく躾けられ母を怖れ続けた女性で、だからこそ萩尾望都はマルゴを描いたと思われるのだが作者自身の成長のためか、マルゴは母を嫌悪しながらも上手く回避し時には逆らって行動していく。 以前の萩尾マンガにおける母親にはなんの対処もできないままの主人公とは大きく違うのが今回読みなおして感じたことだった。 母后は政略に子供たち、むろんマルゴも使っていき場合によっては死へ導く場合もあるのだがマルゴ自身は「そういう人だから」とため息しつつ開き直っている。この強さを萩…

  • 『王妃マルゴ』萩尾望都 その7

    うるわしい『王妃マルゴ』もついに七巻となってしまいました。 ネタバレします。 マルゴはナヴァルのアンリをベアルンに残しひとりフランスに戻る。 そしてサパン、今はジャックと呼ばれている我が子とついに再会する。 ジャックは父親かと思っていたアンリ三世にも失望しマルゴが近寄っても反発するのだった。 マルゴはすべてアンリ三世の仕業だと気づき改めて兄アンリに憎悪を抱く。 がアンリ三世のほうもマルゴに悪態をつきパリから追い出してしまう。 その後もジャック(サパン)を間にして兄アンリとマルゴの確執は続く。 アンリは本当に愛してほしかった人からは愛されないと嘆くが母から溺愛されデュ・ガストという忠実な愛人が長…

  • 『王妃マルゴ』萩尾望都 その6

    さすがに表紙になることはないがやはり歴史的に一番のヒロインはなんといってもカトリーヌ・ド・メディシスでしょう。 彼女の表紙は・・・・無理ですかねえ。 ネタバレします。 シャルルが24歳で死去。 アンジュー公アンリはポーランド女王に言い寄り宝石類をだまし取って(ほんとに?)フランスに逃亡帰国。 そしてフランス国王となる。 コンデ公の妻で身重のマリーを后にしたいと願い出るが(母后のさしがねでか?)マリーは葬り去られる。 (ここにアンリ三世はデュ・ガストを使い手紙を届けさせたためにアンリはデュ・ガストがマリーを毒殺したと疑うこととなる) アンリ三世は悲痛のあまり髑髏の衣服を纏う。 母后に逆らいルイー…

  • 『王妃マルゴ』萩尾望都 その5

    ではマルゴ自身をどう思うのかと言えば強く惹かれます。 一般的な歴史としては派手な男性遍歴と謳われてしまう彼女ですがこうして萩尾望都のマンガとして描かれれば純粋に愛を求めた女性として共感できるし魅了されます。 ネタバレします。 五巻の冒頭は萩尾望都『王妃マルゴ』の中でも圧巻だ。 母后カトリーヌはカトリックの王女マルゴとプロテスタントの王アンリの結婚を契機に一気にユグノーの一掃を企んだ。 この時母后は娘マルゴを夫の寝室へ向かわせる。 幼い頃にも殺戮に怯えて泣いた国王シャルルは自らの命令で虐殺されていくユグノーの死体に奇声をあげながらも狂ったように銃を撃ち続ける。 大虐殺を率いていくのはアンリ・ド・…

  • 『王妃マルゴ』萩尾望都 その4

    アンジュー公アンリ。なんやこいつ。むかつくヤツ。 しかし物語には絶対必要なヤツなんよな。 ネタバレします。 そんなアンリに対しマルゴは嫌悪を激しくぶつける。 マルゴがはっきり文句を言う女性なのが良いのだなあ。 一方、シャルルはコリニーに上手く言いくるめられまたも「父上」と呼んで信頼していく。 マルゴとナヴァルのアンリの結婚はマルゴが嫌がっても着実に母后によって進められていく。 阻むのはアンリの母ジャンヌだったがメディチ家(薬剤師)の生まれであるカトリーヌは彼女を美しい手袋を贈って毒殺する。 国王シャルルは后となったエリザベート・ドートリッシュとも愛妾マリー・トゥシェとも円満に仲良く、アンジュー…

  • 『王妃マルゴ』萩尾望都 その3

    なぜシャルルが一番好きなんだろう。よくわからん。 ネタバレします。 マルゴの美しさは輝くばかりとなっていく。 ギーズとの恋は秘められたものだったがふたりの間でより強くなっていた。 母后カトリーヌへの怖れは変わらないがスペイン語やラテン語が得意なマルゴは母から手伝いを頼まれるようになる。 カトリーヌは商売の大家メディチ家の出身である。政治は戦争だけではなく駆け引きと取引で解決するのが基本だとマルゴに教えるのだった。 アンジュー公アンリは女装をしてマルゴを待ち構えていた。 マルゴは兄アンリに「ギーズが好きなのね」と問う。 しかしアンリは「わたしが好きなのはおまえだ」と言い彼女の処女を奪ってしまう。…

  • 『王妃マルゴ』萩尾望都 その2

    アンリ・ド・ギーズ。 亡き父の仇を討つために自らの顔に向こう傷をつける。 そんな豪放磊落な男にマルゴは強く惹きつけられる。 ネタバレします。 マルゴたちは母后カトリーヌに従いフランス一周の旅に出る。 ところで私はアンリ・ド・ギーズよりシャルルが好きなのだけど皆そうなのだろうか。 そしてアンリ・ド・ギーズより田舎者のナヴァルのアンリのほうが良いと思う。 兄のアンリはなあ、あいつ。 マルゴは14歳となり社交界デビューを果たす。 ますます美しく艶やかになり男たちを魅了していく。 そんなマルゴを国王であり兄であるシャルルは溺愛し修道院に入れて自分だけのものにしたいと言い出す。 性愛に生きたいと本質的に…

  • 『王妃マルゴ』萩尾望都 その1

    「月刊YOU」2012年9月号~2018年11月号→「Cocohana」2019年1月号~2020年2月号 16世紀フランス。 後に王妃マルゴとなるマルグリット・ド・ヴァロワの一生が描かれる。 カソリックとプロテスタントの対立が軸となる。 ネタバレします。 王妃マルゴ。マルグリット・ド・ヴァロワ。 特に西洋歴史を学んだことのない一般日本人としては聞き及ぶこともない名前ではないか。 私はまったく知らなかった。 彼女の母、カトリーヌ・ド・メディシスであればうっすらと聞いてはいた。 それはたぶん彼女の夫であるアンリ2世と彼より18歳年上の愛妾ディアーヌのエピソードで知っていたのだが。 正妻との間に9…

  • 『なのはな -幻想「銀河鉄道の夜」』萩尾望都

    2012年 萩尾望都作品集『なのはな』に描き下ろし 「銀河鉄道の夜」は死んでしまった人が乗る汽車なのだ。 それを思うとほんとうに悲しい。 同様に「ひかりの素足」のお話が語られる。 宮沢賢治の物語の中でも最も怖く痛々しい描写がされるがこの中では救済の部分だけが取り入れられている。 唯一の慰めだ。

  • 『ハルカと彼方』萩尾望都・田中アコ短編集 ゲバラシリーズ

    「月刊アフタヌーン」2010年3月号~4月号 ゲバラと白湯はいわば探偵役のような感じになり表紙に描かれている兄妹ハルカと彼方の物語になります。 ネタバレします。 本作はもう前作の『菱川さんと猫』を上回る不思議話だ。 白湯は小学校で同級だった彼方と偶然再会する。 ほっそりした彼方は美少年を思わせる。 白湯はそのまま彼方の家を訪問する。 そこには驚くほどたくさんの水槽が置かれ様々な海水魚、淡水魚、古代魚などが飼われていた。 それは彼方の兄であるハルカが世話しているものだった。 仲が良すぎるほどの兄妹の話だがだからと言ってふたりがそこに性愛を求めるものでもない。 萩尾氏は「エドガーとメリーベル」とい…

  • 『菱川さんと猫』萩尾望都・田中アコ短編集 ゲバラシリーズ

    「月刊アフタヌーン」 猫シリーズが続く。 レオくんはやんちゃな子供だったけどこちらは落ち着いたおっさん的なかんじで良いです。 ちょっと不思議な本です。 田中アコさんが書かれた原作は全部なのか「菱川さんと猫」だけなのか、よくわかりません。 本にはなぜか目次がありません。 それらも含めて謎の本です。 (あ、カバーの裏表紙に目次的なものがありました) それから読むと絶対泣いてしまうのでご注意ください。 ネタバレします。 「菱川さんと猫」2009年5月号 大森レオくんは学校も会社もうまくやれない未熟猫だったがこちらの菱川ゲバラ氏は会社仕事もそつなくこなしていく。 語り手である高野白湯子は入社二年目の新…

  • 『レオくん』萩尾望都

    「フラワーズ」2008年2月号~2012年6月号 なんといっても表紙が良い。 レオくんと赤い表紙がとても良い。 ネタバレします。 レオくんは実際に萩尾先生が飼われている猫らしい。 幾匹かいる飼い猫の中でも特にお気に入りの猫らしい。 目の上の部分が一直線になるという特徴を持つ。上の画像でもそのように描いてある。 萩尾先生の描く猫は他のマンガ家が描くのと違いどっしりと重さが感じられる。 今回読み返すまで猫のレオくんが学校もお仕事もみんなと同じようにうまくやれなくてなんとなく障害を持つ子どもの置き換えのように感じて「これはいかがなものか」と拒否感を持っていた。 しかし今読んでみるとレオくんはむしろ我…

  • 『バースディ・ケーキ』萩尾望都

    「SF Japan」2007年SUMMER号

  • 『なのはな』その2 萩尾望都 シリーズここではない★どこか

    ネタバレします。 「雨の夜 ーウラノス伯爵ー」 「月刊フラワーズ」2012年2月号 「ウラン」をウラノス伯爵に擬人化してのお話。 「サロメ20✖✖」 「月刊フラワーズ」2012年3月号 「核廃棄物」をサロメとして擬人化した物語。

  • 『なのはな』萩尾望都 シリーズここではない★どこか

    「シリーズここではない★どこか」と記載されているのでそれに従います。 ネタバレします。 「なのはな」 「月刊フラワーズ」2011年8月号 2011年3月11日「東北地方太平洋沖地震」とそれに伴う津波により東京電力の福島第一原子力発電所で原子力事故が発生した。 その時の恐怖は忘れることはできないがそれでも今現在2015年となり14年の年月はその恐怖を薄れさせていく。 本作を再び読むことでその時の焦りのような心情を少し思い出せた気がする。 本作は同年2011年8月号に発表されている。 かなりの速さで描かれたのだ。 物語は事故そのものではなくそこに住む人々特に子供たちに焦点を当て描かれる。 主人公の…

  • 『春の小川』萩尾望都 シリーズここではない★どこか3

    といっても前回「シリーズここではない★どこか」2-2でかなり書いてしまったけど。 ネタバレします。 「花嫁 メッセージⅤ」 「月刊フラワーズ」2010年11月号 メッセージシリーズもⅤとなった。 黒い男の正体は相変わらずよくわからない。 歴史の案内者というところなのだろうか。 そして本作も両親に愛されずいいように利用されていく子供の物語である。 1420年フランスの王女カトリーヌ(キャサリン)とイギリスのヘンリー5世は結婚するがその前夜のお話。 アジャンクールの戦いでイギリスがフランスに大勝しヘンリー5世はフランスの王女カトリーヌ=英語名キャサリンに明日は求婚するということになっていた。 19…

  • 『スフィンクス』萩尾望都 シリーズここではない★どこか2-2

    ネタバレします。 「海の青」 「月刊フラワーズ」2009年7月号 おや前作品とは2年ほどの間があるのだな。 「人魚姫」をモチーフにしてさえない女の子とモテイケメンに置き換えたお話。 おもしろいのはモテイケメンが案外良い奴だったというところかな。 そして現代人魚姫は言いたいことは言って髪を切る。 「スフィンクス メッセージⅣ」 「月刊フラワーズ」2009年10月号 2年前に描かれた「オイディプス」のそれまでの話になる。 予言通りオイディプスは実の父を殺しテバイを訪れる。 しかしテバイではスフィンクスという怪物が夜な夜な出現し赤子を食うため人々は怖れ逃げ出す者もいた。 オイディプスはスフィンクスを…

  • 『スフィンクス』萩尾望都 シリーズここではない★どこか2-1

    ややこしくなりますが「シリーズここではない★どこか」の2巻目『スフィンクス』に入ります。 ネタバレします。 「青いドア」 「月刊フラワーズ」2007年8月号 このお話を「良い話だなあ」と感じるか「なんて嫌な女だ」と感じるかであなたの人生がわかります。 と言いたくなる作品だ。 語り手は「夫」である晴夫さんだ。 眼鏡のいかにも一般サラリーマンといった風情だ。平凡だが心優しく妻を愛している。 その妻の喜代子さんはなかなかの美人で生活力もあるけれどやや行き過ぎている感がある。 我が家をより良くしたいとまずはドアを青く塗ってしまう。 マンガはモノクロなのでわからないがかなり奇抜なのかもしれない。 平凡派…

  • 『山へ行く』萩尾望都 シリーズここではない★どこか 3

    ネタバレします。 「くろいひつじ」 「月刊フラワーズ」2007年1月号 「黒い羊」が「身勝手によって要望や期待から逸脱していることを暗喩する、否定的な意味を持っている」という意味だとは知らずにこの年齢になってしまった。 そうだったのか。 本作では音楽が大好きな一家においてただひとり音楽が苦手でそれゆえに嫌いな男が描かれる。 普通、というか少なくとも萩尾望都的には絶対にこれまでこの役は小さな少年か少女のもので会ったのにここでは「オヤジ」と呼ばれる年配男がそれになる。 冒頭で兄が母のピアノを焼いた、という不穏な情報が呈される。「ピアノを焼く」この恐ろしい行動は特に音楽を愛する人には許されざる暴挙な…

  • 『山へ行く』萩尾望都 シリーズここではない★どこか 2

    ネタバレします。 「ゆれる世界」 「月刊フラワーズ」2006年7月号 この話はどういう意味なのだろうか。パパは言われた通りに従っていたけど娘は自分で考えて行動していた。 パパは驚いたけど娘の説が正しい、というか自分にとっても良い感じだった、ということでいいのだろうか。 萩尾作品にはけっこう横山光輝SFからの発想なのかな、と思うものがある。 本作は横山光輝『ダイモス』を思わせる。 しかし羽があるからといってもなんの超能力にもならないのである。 息子くんがいうとおり邪魔なだけな気もするがそれを良しとしている奥さんが良い人だ。 風通しは確かに気持ちよさそうだと思う。 「メッセージ」 「月刊フラワーズ…

  • 『山へ行く』萩尾望都 シリーズここではない★どこか1

    『シリーズ ここではない★どこか (Anywhere But Here) 』短編集です。 発表順と本の収録順が異なるのですが以前も書いた通り発表順にのっとっていきます。 「月刊フラワーズ」2006年4月号 『残酷な神が支配する』でふっきれたというべきか禊が終わったというのか、他作家に比べれば」ぎこちない感はあれど『午後の日差し』『帰ってくる子』そして『バルバラ異界』になって家族のつながりという題材が描かれるようになった。 本作にいたってはごく普通の家族の在り方と言っていいのではないだろうか。 ネタバレします。 主人公は生方正臣。小説家で大学の臨時講師らしい。 妻と高校生の娘、中学生の息子がいる…

  • 『長靴をはいたシマ猫』『猫本クリニック』萩尾望都

    2006年「講談社MOOK猫本」 「漫画家と猫」vol.1で読みました。 ネタバレします。 萩尾望都氏がイメージしたのが『長靴をはいた猫』なのが嬉しい。 子供の頃からこの童話の挿絵の猫くんが大好きだった。猫なのにきりりと凛々しくて賢い。ちょうどこの表紙のように自尊心の高さを感じられるのだ。 だが本作の猫氏は南南東電力のブレーカーの点検をしている業者さんである。 中上さんの家を訪れる。 主婦のナオちゃんはどう見ても猫にしか見えないその姿に(猫だ)戸惑う。 点検が終わりハンコを求められるがナオちゃんはどうしても猫が仕事をしていることが納得できず、前に飼っていた「タマキチ」ではないか、小学校5年の時…

  • 『天使のはなし』萩尾望都

    1997年「YOU」NO.15掲載 この作品は『あぶな坂HOTEL』の巻末に収録されていたのですがwikiには記載なしだったので1997年の作品だったと知って発表順に記録してきた私としては慌て中ですがやむなくここで記事にします。 「萩尾望都作品目録」には小作品として記載されていたのですが。 ネタバレします。 表紙の天使がユリの花を持っているのはマリアが純潔でありながら受胎したという意味が込められているのだろうか。 表紙まで含めて8pのごく短いお話だ。ドロップアウトした兄貴に代わり期待をかけられた予備校生が妊娠して切迫流産しかけた時に見た夢、という仕組みだろうか。 「どうせ産まないんだもん」とい…

  • 『あぶな坂HOTEL』萩尾望都

    「YOU」2006年第2号~2007年第23号 初読。『あぶな坂』は中島みゆきのファーストアルバムの歌曲からの由来というのが驚きでもありました。 そう言われてみればこの表紙に描かれている本作の主人公というか案内人であり、あぶな坂ホテルのオーナー藤ノ木由良は中島みゆきから造形されている気がします。特にこの表紙は似ています。 ネタバレします。 ところで藤ノ木由良ってなにから来たんだろうと思い検索したら福岡県のJR駅名に藤ノ木から5駅目で由良というのがあったのだけど、まさか福岡県の駅名からとったとか?萩尾氏は福岡生まれなのでありえなくはないが。なぜ??? 「ここはあぶな坂HOTEL この世とあの世の…

  • 『バルバラ異界』萩尾望都 その12

    ネタバレします。 〔その23:ぼくのキリヤをかえしてくれ〕 青羽人形からエズラ=ヨハネのデータチップを受け取ることになった渡会たちは彼の遺言を知る。 大黒先生は叫ぶ「夢は現実になるんだ」そして地下モルグに走り彼の心臓が結晶化しているかを確かめる。さすが科学者こういう時はすばやい。 それをカーラーに見つかり大目玉。 その時菜々実さんが花小金井での火事を報せ続いてパリスから電話がくる。 「キリヤが落ちたんです」 場面が切り替わる。 パリスとキリヤが祭り会場にたどり着く。キリヤは御神楽の衣装と面をつけた。 どうやら「モミジ係」が来なくて用意したモミジを火の見やぐらの上から降らせることができないともめ…

  • 『バルバラ異界』萩尾望都 その11

    ネタバレします。 〔その21:バルバラ崩壊〕 皆が去っていく。キリヤは一足先に東京へ戻った。 渡会は週末には東京へ戻ってキリヤに会いに行くと約束したがパリスは「必ずですよ」と青羽の人形を渡会に預けた。 パリスはキリヤからチップを渡されヨハネの遺言を聞いたので心穏やかではない。 かつてグリーンホームにいた子どもたち、そして老いた三姉妹も皆ヨハネを父とする兄弟だと知ったのだ。 残った渡会と大黒先生はふたりきりで話をした。 大黒先生は渡会に「キリヤはきみの実の子ではない」ということを伝えようとしていた。 だがキリヤが赤ん坊の時明美さんが遺伝子を調べてキリヤが本当に渡会の子供だったことを証明した事実が…

  • 『バルバラ異界』萩尾望都 その10

    第四巻最終巻です。 ネタバレします。 キリヤと青羽は会話する。 「ステキな心臓を用意したからそれを食べて。早くバルバラを完成させましょう」という青羽にキリヤは「オレはひとつになんかなりたくない」と突っぱねる。 翌朝、菜々実は再びマリエンバートになっているのに気づき「嬉しい。渡会さんのために綺麗にならなきゃ」とドレスを着る。 その時ピルケースを見つけそれをエズラに飲ませたいと考えたことを思い出す。 百田氏は行き詰っていた。 青羽をもうこのままにしていた方が良いのではないかと考え始めたのだ。 その時、ボートを漕いでマリエンバートが現れる。 渡会は驚いて近寄りドレス姿の彼女に上衣を着せかけた。 キリ…

  • 『バルバラ異界』萩尾望都 その9

    大事な話があります。 ネタバレします。 〔その17:誰もあなたの名前を知らない〕 ついに明美さんが大黒先生にキリヤの話を打ち明ける。 花小金井保育園に通っていたキリヤは給食に入っていた海老のエッセンスでアレルギーを起こし死んでしまったのだ。 明美さんは死んでしまったキリヤをヨハネに渡した。 ヨハネはキリヤを生き返らせてくれたのである。 ヨハネの息子として。 この話が一気に続けて話されないのでなかなかよくわからないのではないだろうか。 わかる人は超頭が良い。 キリヤは死んでしまった。 そしてヨハネが父親で借り腹で生まれた子どものひとり「タカ」が「キリヤ」となって明美さんのところへやってきたのだろ…

  • 『バルバラ異界』萩尾望都 その8

    「遠軽」というと安彦良和さんですよねえ。 萩尾望都氏と吾妻ひでお氏の対談で「なんで遠軽?」「安彦さんと知り合って」「やっぱそうだと思った」というくだりがありました。 吾妻さんの浦幌町では駄目だったのでしょうか。ちょっと吾妻さんがかわいそうになりました。 「遠軽」という字と響きが良かったのでしょうかねえ。「エンガル」「ウラホロ」どちらもすてきな響きです。 ネタバレします。 〔その15:遠軽への遠い道〕 一行が飛行機で遠軽に向かう。 途中で濃霧が発生し女満別空港に降りる。 「女満別へようこそ」 「ようこそじゃない」「いそいでいるんだ」という罵声が悲しいなあ。(ま、たしかにようこそじゃないかもだけど…

  • 『バルバラ異界』萩尾望都 その7

    渡会時夫が詰まってる表紙です。 ネタバレします。 三巻に入るんだけどこれまでの情報量がたった二巻とは思えない。 萩尾望都の力量を感じるが同時に「もっとだらだら見たい」気もする。わがままな。 〔その13:長い長い遺伝子の物語] カーラー女史。 楽しいキャラである。美女で黒人でバイタリティあってかっこいい。 十条菜々美の二番目の夫氏。良い人そう。 菜々美さんが何故この人と再婚したかというより何故この人が菜々美さんと結婚する気になったか、だが美しい花づくりをしている人だから美人好きだったということだろうか。 青羽はキリヤに遺伝子の物語をする。 いつもキリキリと眉を逆立てているキリヤがこの時は心地良さ…

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