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  • 『Marginal/マージナル』萩尾望都 その6

    🚨🇯🇵 JAPAN ON TRACK FOR ‘EXTINCTION’Japan’s birthrate crisis hit red alert, with Tohoku University’s Hiroshi Yoshida warning the country could literally vanish by 2720 - leaving just one child under 14.A 2.3% drop in kids has sped up doomsday projections by 100 years, as… https://t.co/Y8ePkA9cxU pic.…

  • 『Marginal/マージナル』萩尾望都 その5

    さてここから第2巻に入ります。 少し脱線して、この物語が何故男ばかりの世界かというのは誰も別に疑問にはしないかもしれませんがもし女性だけの世界の物語にすればたぶんほとんど問題は起きないからでしょう。 『西遊記』にも「女人国」というのがあったけど女性だけでなら精子だけもらって受胎することが出来れば他に何の不都合もない気がします。 女性だけの国の話は安泰すぎてSFにもならないのかもしれません。 ネタバレします。 ここから先は全体を通してのネタバレをします。 第8話「レクイエム」 この回で重要な開示がされる。 ネズは民俗学者で地球に30年以上いる。ということは彼は年齢が50~60歳だと考えられる。 …

  • 『Marginal/マージナル』萩尾望都 その4

    ネタバレします。 第6話「花柘榴の村」 実の父親でもある村長に氷を上げようと村に来たアシジンたち。 グリンジャがカチャンと物音をたてそれを拾い上げたことで村長は都市での出来事を思い出してしまう。 まなじりに青い刺青をしていることで村長はグリンジャがマザ暗殺の仲間だと確信する。 村長は岩屋に追い出したアシジンの代わりにフェロペを養子として可愛がっていた。 そして村長、フェロペたちは再び都市に行って「都市の長」を殺す計画を立てていたのだ。 それは市長とその息子ミカル、そしてメディカルセンター長官マルグレーヴのメイヤードをだ。 キラはジューシーと村の男たちにからかわれていた。 彼らに問われてもキラは…

  • 『Marginal/マージナル』萩尾望都 その3

    メイヤードかっこいい。 ぜったいロックですね。 ネタバレします。 第4話「漆黒の森」 氷室の中で氷漬けになっていたもうひとりのキラを見て「キラ、キラ!」と叫び続けるキラ。 それを見たグリンジャは「これがキラか?おまえたちは双子か?」と問う。 キラは「これはキラじゃない」と答える。そして「これはぼくだ」と言い出した。 アシジンは「こいつがおまえ?じゃ、おまえは何だ?」と問い詰める。 なにも言えないキラを見てグリンジャは「こいつに訊くな。わからないんだ」と言葉を挟んだ。 アシジンは「氷を切り出して出よう」とその話を切り上げた。 ジューシーは「あの子には魔物が取りついているのかもよ」という。 なにも…

  • 『Marginal/マージナル』萩尾望都 その2

    ネタバレします。 やはりどうしても「マザを殺した」ということがこの作品のすべてのような気がしてしまうのだがそれではいけないので先に進む。 市長は後継者である息子ミカルに新しいマザとなるハレルヤのことを話し「おまえが第一夫となる」と告げる。そしてマザは生まれ変わったりはしないこと、センターの医療技術で長生きするがいつかは死ぬことを話して聞かせた。 そしてその新しいマザにあのチトが内定していた。 そのチトは自分からセンターの話を聞いてグリンジャたちが暗殺を実行したと勘づいていた。 グリンジャが来たと聞き慌てて逃げ出す、がすぐにつかまりグリンジャの手で絞殺される。 メイヤードは市長に告げる。 「こう…

  • 『Marginal/マージナル』萩尾望都 その1

    1985年「プチフラワー」8月号~1987年10月号 わたしは絶対この作品をよくわかっていないので今回もっとゆっくりきっちり読んでいこうと思っています。 ネタバレします。 プロローグ「ホウリ・マザ」 漫画はモノクロなのでよくわからないが、美しい少年(?)が光の中を歩んでいる、かのような姿が描かれる。 (つまりキラが彷徨い歩いている姿なのだろう) 一転して老いた男が怒っている場面となる。 老男はどうやら地方から都市へ談判に来たようだ。 要求は「子どもをよこせ」ということだ。 毎年の税も払っているのに約束の「子供」を何年も「都市」が与えないというのだ。 が、都市の代表である男は冷静に「ホウリ・マザ…

  • 『きみは美しい瞳』萩尾望都

    1985年「ASUKA」8月創刊号 これはまったくの初読でした。 そのせいもあってか読んだ直後は「どういうことなのか」と戸惑いました。 ネタバレします。 何度か読み返して(何しろ短編なので)ようやく少しつかめてきたのですが私には読み取りにくい話だった。 そのわからなさに宮沢賢治の『貝の火』を思い起こしてしまったのだけど『貝の火』とはまた違うのかもしれない。 若き領主ハプトが学友のメールデールを迎える場面から始まる。 メールデールは僧侶となるのだがハプトは婚約者リアよりも美しいと言う。 ハプトはメールデールに夢鳥(夢を見せる能力を持つ)を見せて「つまらぬ夢を見せた時は打って躾をしてやる」と夢鳥を…

  • 『ばらの花びん』萩尾望都

    1985年「プチフラワー」2~3月号 これも読んでないと思っていたらしっかり読んでいた。 一番覚えていたのはどのキャラクターでもなく「ばらの花びん」だった。 なぜかこのばらの花びん(タイトルは覚えていなかったのだが)が印象的だったらしい。 ばらの花びん、というより「小さな花瓶」にまつわる物語というような記憶であった。 不思議だ。 ネタバレします。 美しい弟ミシェルが自慢の不美人の姉セザンヌ。そのミシェルの遊び友達で伊達男のマルス。 そしてミシェルが初めて恋をしたのは美しく若き未亡人ファデットだった。 優雅な恋のドタバタ喜劇という感じで楽しい。 実際にヨーロッパの作家の手による戯曲ではないかと錯…

  • 『スロー・ダウン』萩尾望都

    1985年「プチフラワー」1月号 むむ。 これは前回書いた別のバージョンのやつではないか。 ネタバレします。 つまり『船』の男✖男の子の別バージョンだっておもしろくなる、の例。 女✖男の子、のやつです。 この場合、攻めとか受けとかは関係なしで。 主人公の少年は実験を受けている。 地下の実験室。 照明は薄暗く時計もなく時間はわからない。 少年は何日か目なのかもう解らなくなっている。 これはまるでゆっくりと死んでゆく感じだ、と思う。 耳に蓋がしてあるため音はほとんど聞こえず手袋で指への刺激が少ない。 少年が壁の白いテーブルの側に白いボードがありボタンを押すとパネルが開いて機内食のような食事が提供さ…

  • 『船』萩尾望都

    1984年「プチフラワー」12月号 本作にこそ溺れてしまいます。 ネタバレします。 主人公の少年、定番の親に愛されなかった子どもであり繊細な美しい少年だ。 海辺でひとり何かを探しているがっしりとして無骨な中年男に声をかける。 「なにか、探しているの」 不愛想に答える男は大西洋で難破した船の木切れやらしゃくしやらを拾い上げているという。 少年は手伝おうとして海水に尻もちをつきずぶぬれになる。 男は少年の腕をつかみ「来な」といって浜辺に建つ家に連れて帰る。 もうこの冒頭で悪いことが起きる予感しかしない。 こんな不気味な男に少年は何故すり寄っていってしまったのだろう。 可愛らしい容姿の少年は濡れた服…

  • 『天使の擬態』萩尾望都

    1984年「プチフラワー」11月号 うーむ。 ネタバレします。 これは正直に言ってあまり読みたくない作品です。 主人公次子が家族とうまくいっていないのは定番なのですがそこに自分自身も堕胎してしまうという辛い話が加わるだけでなく、女子大とはいえ学生と教師が異性として行為をもったりキスをしたりということが描かれるのが気持ち良いものに思えない。 次子自体にも好感が持てず教師のシロウも好きになれないという意味で稀有な作品でした。

  • 『ハーバル・ビューティ』萩尾望都

    1984年「ぶ~け」10月号 ラブコメSF。 そして萩尾望都SFで重要な男女の性の物語。 ネタバレします。 とにかく不満だ。こんなに欲求不満になる萩尾作品があるだろうか、いやない。 本作はラブ&コメディのほうを重視しているせいでとても知りたい「夜来香星」の住人のセックスの在り方がよくわからない???? あえてぼかしているのかもしれないがココをよく知りたいではないか!(怒) ルゥは自分のことを「男」だと思っている。 それはルゥに「なにかがないから」なのだ。 それはつまりペニスのことであろうと想像する。(というかそうだろうよ) つまりネオは「ルゥにはペニスがないから女性だ。しかもおっぱいも(小さい…

  • 『偽王』萩尾望都

    1984年「プチフラワー」9月号 すみません、この作品、私は読んだことがあったのでしょうか。 未読だと思い込んでいたのに、読んでしまうと以前に読んだことがあるような気もしてきて、しかしこんな恐ろしい話を一度読んで忘れることがあるのでしょうか。 それともあまりに恐ろしくて記憶から消してしまっていたのが再読で蘇ってきたのでしょうか。 あの偽王の歯の欠けた口を見て「見たことある?」となってしまいしかし読んだ記憶が曖昧なのです。 それではまさに偽王と同じではないですか。 今、恐怖に怯えています。 ネタバレします。 というデジャヴュなのか、読んだのに記憶喪失していたのか、いやそんな馬鹿なこんな話をという…

  • 『エッグ・スタンド』萩尾望都

    1984年「プチフラワー」3月号 この物語がとても好きです。 というかラウルが好きです。 マルシャン、てめえは許さん。 ネタバレします。 といっても私自身もマルシャンなんだろう。 この物語は、というかこの物語もまたとても理屈っぽい話なのだ。 「おとなたちは戦争で多くの人を殺すのになぜ僕が人を殺してはいけないの?」 という子どもの論理をやらかすからだ。 ラウルもまた戦争がなければもしかしたら幸福な人間として過ごせたのかもしれなかった。 戦争でパパが政治犯で処刑されてラウルとママは村八分されそのせいもあってママはラウルを過剰に愛した。 ママを殺すことで生き延びることができたラウルにとって人殺しは生…

  • 『半神』萩尾望都

    1984年「プチフラワー」1月号 現在、萩尾望都作品として最も有名な作品なのではないでしょうか。 萩尾作品を知らない人に勧めるにもわずか16ページを読むだけでいいのですからと言いやすい。 そしてその作品がほぼ萩尾望都の本質に迫っているとも言えます。 ネタバレします。 こうして萩尾作品をずっと追ってきて再読するとますますこの作品は萩尾要素がほぼ含まれていると言える気がする。 何故突然にこんな作品が、ではなく彼女が何度もというよりほぼすべてで繰り返し描いてきたものを凝縮している一篇にしかすぎないのだ。 もっとも似ていると言えるイメージは『メッシュ』3巻「苦手な人種」のルーとポーラだ。 ここでは姉妹…

  • 『城』萩尾望都

    1983年「プチフラワー」9月号 萩尾望都作品リストを見ると1983年はこの作品のみになっている。 それは萩尾氏が1982年の年末にモスクワ郊外で乗っていた観光バスがトラックと衝突したために重傷を負うという事故ゆえだろう。 同行者の証言で「萩尾さんが死ななくてほんとうによかった」と言われていることからも奇跡的な生還だったのではと思われます。 この事故で萩尾先生が死ななくてほんとうによかった。生き延びてくれて本当にうれしい。 なにしろこの後、萩尾氏は名作をどんどん描いていく。いやむしろここから、という気さえする。 読者の身勝手な言い方ですが神様に感謝です。 そしてこの作品。私は未読だと思い込んで…

  • 『花々に住む子供』『さなぎ』萩尾望都

    『花々に住む子供』1979年「月刊プリンセス」1月号 前にも書いた通りwikiに記述されているとおりに作品を追っているのですがこの二つを飛ばしていたのでここで記事にします。 私が持っているのは『銀の船と青い海』に収録されたものです。 ネタバレします。 『花々に住む子供』 「学問を愛する独身主義の私」である中年男(と見えるが萩尾氏作品の例から思うに30代だろう)が11歳の双子の遺子を引き取る羽目になってしまう、というエピソードがイラスト付きで語られる。 萩尾氏作品には常に「親嫌い」の心理が描かれ続けてきたがもうひとつ「こどもはかわいい」の心理もうかがえる。 萩尾氏自身は世代のせいもあってか結婚も…

  • 『モザイク・ラセン』萩尾望都 その3

    ネタバレします。 憧れの少年ラドリがてんで頼りなくて顔だけ可愛いやつなのが良い。 ただし超能力は持つ。ん?これは普通男女逆のやつだ。 ミラはラドリを助け出す。 ドクター院長は早くこの世界から逃げようと提案するが、ダダ王子が黒の王に捕まってしまったのをミラは見捨てておけずこの世界に残る。 黒の王の老いが迫ってきていた。 王は息子と認めたラドリとおてんば姫のスピカを結婚させようとする。黒の王はかつて真実の恋をしたが実らず、その腹いせに権力を得ようとして「ラセンの夢魔」を呼び出し利用していったのだ。 そして邪魔者を次々と殺し王の地位を得たのである。 しかしその命は「食」までだった。食になれば悪夢の力…

  • 『モザイク・ラセン』萩尾望都 その2

    書き忘れたが本作『モザイク・ラセン』私は今まで読めなくていたのですが(中に入れなかった)その一つは異世界転生モノだったからかもしれない。 というか、今回読んで異世界転生モノだと知ったくらいの認知だったのですが異世界転生モノって「なんかユルい」という共通点があるのでしょうか。 しかし今回読み込んでいて異世界転生(正確に言うと違うかもだが)にもそれなりの良さがあるように感じてきた。 ネタバレします。 というか萩尾望都の異世界はやはり独特で気持ちがいい。 いわゆる偽中世ヨーロッパにはほとんど魅力を感じない。 偽中国ものが流行り出したのもあるし今後は様々な偽国風が現れるとよい。 しかし問題はそこだけで…

  • 『モザイク・ラセン』萩尾望都 その1

    1982年「月刊プリンセス」9~12月号 この作品はいわば萩尾望都作ライトノベル。異世界転生モノというカテゴリでしょうか。 アニメ化してくれい。 ネタバレします。 美羅(ミラ)は八歳の時から時折不思議な夢をみてしまう。 夢の中でのミラは白い鳥になって飛び谷間にいる黒い鳥の少年に話しかける。 父母が次第に緑色になっていく。全身緑色になったら次は僕の番だろう。 三か月前の夢の中で彼はそう語りぷつりと夢を見なくなった。 イギリスの寄宿制女学校で生活するミラにはサマティ、ボルダという親友がいる。 ボルダはミラにラドリ・マッキャベリというモデルの写真を見せてくれる。 それはミラの夢の中の少年にそっくりだ…

  • 一角獣シリーズ『AーA´』萩尾望都

    モリとタクトが表紙なんだよな。 ネタバレします。 『AーA´』「月刊プリンセス」1981年8月号 優秀なコンピューター技師であった19歳のアデラド・リーはプロキシマ第5惑星ムンゼルでの事故で死亡した。 その後、クローン再生によって戻ってきたアデラドを仲間たちは大喜びで歓迎するがただひとりレグは「アディではない」とクローンを拒絶する。 ところが戻ってきたアディは三年前の不愛想だった彼女に初期化されており仲間たちは彼女の冷たさに戸惑う。 逆にレグはアディを異性として愛していたために「あれは彼女ではない」と否定しながらもどうしてもその感情は強まっていくのだった。 アディは一角獣種という特殊な存在であ…

  • 『銀の三角』萩尾望都 その5

    ネタバレします。 (五)夢籠 マーリー・2を慰みものとして側に置いたままリザリゾ王は我が子である忌むべき王子を殺し続ける。 そしてそのたび王子は生き返る。 (余談だが『赤影』の阿魔野邪鬼は時空人だったのかも) ふだんは盲いた老婆がふたり王子の世話をしている。そしてお呼びがかかると王子は連れ出される。 マーリー・2は幽霊のような存在でしかなく悲しい目で王子を見つめ時には城下をうろつき旅の楽師を探しては歌を聞きたがる。 王は子どもを殺し続ける。 マーリー・2は王子を助けたいとは思っているが王子、パントーの運命を解き目覚めを誘う歌が見つからず、そのために道を見つけ出せずにいた。 歌わない鳥 流れない…

  • 『銀の三角』萩尾望都 その4

    第三部 (一)交錯 マーリー・2は赤ん坊の王子を抱きながら捕らわれた王子を眺める。 「何度も殺される」という言葉は様々な加害を思わせる。繰り返される性加害、殴打、酷い言葉、食事を与えられない、などの。 子どもが15年間その加害を受け続けそしてそれからもその暴虐から逃れられないと察知したら。 しかもこの王子は動くことさえできず夢を見ることしかできないのだ。 ジェイフは再生されたマーリー・3に会いに行く。 マーリー・3は順調に再生しチェッカーと面会した。マーリー・2が頼りなげだったためチェッカーは3にも「私が恋しくなったか」と問うと3はにべもない態度でチェッカーは今更2のほうが可愛げがあったと気づ…

  • 『銀の三角』萩尾望都 その3

    ネタバレします。 (六)消失と再生 ラグトーリンはマーリーに撃たれるがその途端ラグトーリンの髪を覆っていた布が解け長い黒髪がほどけ舞うようにマーリーの首に巻き付いた。 外で待っていたタカオは異変に気付き中へ入る。 そこには今まで一度もターバンを解いて黒髪を見せてくれなかったラグトーリンがその黒い髪を垂らして立っていた。 そしてその足元には中央からの客マーリーが倒れていた。 タカオはマーリーの遺骸を担ぎ上げ谷に埋める。そして優しくラグトーリンに声をかけた。「心配することはないよ。あしたにでも羊をつれて遊牧に出よう。・・・そのうち子どもが生まれたらいっしょに育てよう」 しかしラグトーリンは寂しげに…

  • 『銀の三角』萩尾望都 その2

    書きたいことはおおよそ書いた気もしますがこの作品から離れるのが寂しいのでもう少し書き足してみたいと思います。 ネタバレします。 本作を読んですぐ思うのは物語を導いていくラグトーリンの容姿に『百億の昼と千億の夜』の阿修羅が重なるというイメージではないだろうか。 黒髪で華奢な肢体をし強い眼差しを持つ少女。 阿修羅もまたかの物語の牽引役だった。 違うのは阿修羅が「戦いの申し子」と呼ばれていたのに対しラグトーリンは楽器を鳴らし歌を歌うこと、だが人の生き死にを操作していく。 男性作家と女性作家の違い、という決めつけはタブーではあるとしても「戦争を知った世代」と「戦争が終わった後の世代」が生んだ作品という…

  • 『銀の三角』萩尾望都

    「SFマガジン」1980年12月号~1982年6月号 初めて読んだ時はその美しさに圧倒されるばかりで「いったい何なのだ」としか思えなかったのですがその後も何度か読み続けてきました。 今回再び読み直してどのくらい読めるのか確かめてみたいものです。 ネタバレします。 この複雑に美しい物語を理解するのは困難なことだろうが私たちは一つの鍵をみつけてはいる。 それは酷く悲しい音のする鍵である。 この作品の核になっているのはリザリゾ王とその「異形の王子」の関係性だ。 王には他にも子がいるが金色の細長い目を持つために「忌むべき者」だとして王によって斥けられ死刑執行人によって殺されるが死なない。何度も何度も殺…

  • 『金曜の夜の集会』萩尾望都

    1980年「SFマガジン」11月臨時増刊号 うわあ。これはまったく初めて読みました。 こういう「最初からずっと追って読んでいく」というのをやることで見つかるものですね。 ネタバレします。 レイ・ブラッドベリ風SFとも言えるのだろうか。 タイトルに『集会』という言葉が使われていることからも感じられる。 どことなく横山光輝SF短編に似通うものがあった。 前記事の荘厳ともいうべき時空の旅とはうって変わってカジュアルなイメージのタイムループものである。 舞台は少し以前の(つまりブラッドベリが舞台としたような)アメリカの田舎町、という感じだろう。 そこに住む普通の少年マーモの周辺に起きる「いつもの日常な…

  • 『酔夢』萩尾望都

    1980年 イラスト集「金銀砂岸」描きおろし 萩尾望都の特色といえる創作古典とSFを織り交ぜた作品のひとつ。 ネタバレします。 創作古典のイメージがヨーロッパともアジアとももしかしたらアフリカ的なものもあるのだろうか。それらが合わさったような美しいイメージだ。 古代の薄い布をまとう美しい少女、少女が憧れる美しく精悍な青年。 が、少女はその青年によって命を断たれふたりの恋は成就しない。 これはかつて今里孝子の原作で描いた『マリーン』のイメージとも重なるように思える。私は『マリーン』という作品自体は好きになれないのだが繰り返される時間の中でもういちど恋を辿る、というイメージはそこで習作されたのかも…

  • 『メッシュ』萩尾望都 その3

    ネタバレします。 「苦手な人種」1982年「プチフラワー」2月号 『メッシュ』で一番おかしく一番無慈悲な作品、かな。 メッシュが壊れた金鎖を修理しようと持って行った店から事件は起きる。 同時に入ってきた男が泥棒だったために仲間と間違えられ金鎖を置いたままメッシュは逃げ出してしまう。 その店には美しくて心優しい姉ポーラとその姉に劣等感を持つ出来の悪い娘ルーそしてやはり神経質でいつもルーの行動に苛立つ母親がいる。 ルーの容姿コンプレックスがいかにうまく解消されていくかの流れとメッシュの金鎖がいったんは嫌なロック歌手に渡ったものの再び綺麗になってメッシュに戻ってくる過程とやんわり絡んでいく。 うまい…

  • 『メッシュ』萩尾望都 その2

    傑作揃いの第二巻。 同時収録「船」も良作です。 ネタバレします。 『メッシュ』2巻 「モンマルトル」1981年「プチフラワー」夏の号 これも変な味の作品でよかった。 ドルーが生きててメッシュがまだミロンと出会っていない頃の話。 メッシュはまたまた悪い奴らに痛めつけられれていた。そこをドルーに引き取られる。 ドルーはメッシュにバーのクジ売りをさせる。一個二十フランでキスをサービスする。 この時メッシュは「キスなんてしたことない」と言い出し学校時代にそばに白樺があってそいつに名前をつけてよくキスしたりしたけど「人間と白樺じゃ違うだろうな」と恥ずかしがるところがとてもよい。 メッシュはそれをやったら…

  • 『メッシュ』萩尾望都 その1

    1980年「プチフラワー」夏の号~1983年5月号 『メッシュ』1980年「プチフラワー」夏の号 当時作者萩尾望都氏は両親との不和もあり創作にもかなり苦闘されていたと書かれていますが何も知らない読者である私は萩尾氏の新たな道の開拓を脳天気に楽しんでいたとしか覚えていません。 ネタバレします。 とはいったものの第一巻は読み直すとやや気が滅入る。 主人公はフランソワーズという女性名を与えられた美しい少年で金と銀の二色の髪をしているためメッシュと呼ばれている。 母はメッシュが幼い時に逃げ出し父からは疎まれ親からの愛情に満たされなかったためにいつも愛情を求めているような不安定な精神を持て余している。 …

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