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  • 江戸川乱歩妖美劇画館 3巻(『白髪鬼』『闇の顔』)横山光輝 その2「闇の顔」

    購入した本ではモノクロページでした。 なんか期待してしまうえっちな表紙ですね。 「白髪鬼」が読みたくて購入したのですがこちらの「闇の顔」だけでよければ 別バージョンの本もありました 闇の顔 (講談社漫画文庫) 以下ネタバレしますのでご注意を。 昨日書いた「白髪鬼」よりその一年前に描かれた本作のほうがより横山光輝らしい作品といえるだろう。 一応乱歩『白髪鬼』を下敷きにしていると思われるのだがなにしろこちらは男性しか出てこない。 「白髪鬼」では美しいルリ子がなんと言っても目を引くがその役が大田黒という髭のおっさんになっている。これでは一般男子が喜べない。 なぜルリ子がおっさんになってしまうのだろう…

  • 江戸川乱歩妖美劇画館 3巻(『白髪鬼』『闇の顔』)横山光輝

    横山沼にはまりebookでのデジタル作品を購入読み続けてきたのですがさすがに食指が動くものが少なくなってきたと思い涙ぐんでいました。 年末には「まだまだ続く」と書いたばかりなのにとしょげていたら「いやまだたくさんある」ことに気づきました。 世界はすべてデジタル化されているわけではなかったのです。 いやいや今までもいくつか(『長征』とか『狼の星座』とか)読んできたのにうっかりしてました。 横山世界はまだまだ広かった。 とにかく嬉しい(私がうっかり屋なだけですが)さらに沼を潜水していきましょう。 偶然ネットで画像を見て「横山作品こういうのもあったのか」と驚きました。私は横山先生をまだ全然わかってい…

  • 『武田勝頼』横山光輝/原作:新田次郎 その2 読了

    読了しました。 ネタバレしますのでご注意を。 信玄が作り上げた最強の軍団が短期間で恐ろしいほど崩れ落ちていく。 おおよそ9年の間、勝頼27歳から36歳の死亡で壊滅する。 私はほとんど武田家の話を知らないので本作によってのみの感想になるのだけど勝頼の描かれ方が悲しいほど孤独だ。 頼りになるはずの親類衆とは心が通っておらず最も近しいはずの穴山梅雪が最も勝頼を嫌っている。これではうまくいくはずもない。 唯一勝頼を盛り立てようという意志があるのは真田昌幸のみに見える。とはいえ昌幸も勝頼に惚れ込んでというのではなくあくまで武田家への忠義と思える。 信玄の時の山本勘助のような存在は勝頼にはない。事実がどう…

  • 『武田勝頼』横山光輝/原作:新田次郎 その1

    横山光輝歴史もの、読み始めると止まらなくなる。物凄い中毒性ある。 ネタバレしますのでご注意を。 神の如き威力を持った武田信玄の死後の武田軍。信玄の大きな失敗は後継者を明確にしていなかったことだった。 当然跡を継ぐべき嫡男勝頼は今も最強の武田軍の中で采配を振るうことも許されず手をこまねいているしかなかった。 読み始め、さすがに信玄のいない武田軍の物語は味気ないものに思われたが登場人物が次々と「信玄様がいない今」「先代様亡き後」「先代様のご遺言」と言う言葉で物語が進んでいくのだ。 これはなんか『桐島部活やめるってよ』的なものを感じてしまう。 ならばこれはデュ・モーリアの『レベッカ』であり萩尾望都『…

  • 『鉄甲軍団』横山光輝 「闇斬り」「かげろう伝」「隻影」「鉄甲軍団」

    昨日のシリーズは終わってここからはいつもの横山美形シリーズ。 横山先生はやっぱり美形の方が好きだったのかな・・・基本的には。 ネタバレしますのでご注意を。 「闇斬り」(1976年月間少年ジャンプ) 今までの作品の後だからか主人公の左近くんがまばゆいほど美しい。 そしてやはり美形男子は心もまっすぐ、と描かれていく。 伊賀、葉隠れの里(葉隠れは佐賀なんじゃ?)でひとりの忍者がお頭を暗殺する事件が起きる。 が、左近はお頭の受けた傷を見て疑惑を持った。これは別の忍者の仕業だと。左近は裏切者たちを殺すが自らも傷を負い老忍者たちの住む場所に逃げ込む。 左近は経緯を話し茶を飲むがその茶には毒が入れられていた…

  • 『鉄甲軍団ほか八編』横山光輝 「愛執」「蝦蟇」「浅い川」「死者踊り」「笛」

    さてさっそく読んで参りましょうか。 ネタバレしますのでご注意を。 「愛執」(1969年プレイコミック) 極めて端正な美形主人公が多い横山光輝作品の中で珍しい不細工系主人公。 しかも冒頭から「男は見るからに醜男で背も低く風采があがらなかった」と説明されてしまう。 このブ男・作蔵は美しい未亡人志乃が夫を殺害した男を仇討せんと旅をする供をしている。 その旅はもう三年も続いていた。 作蔵は美しい奥様にお仕えすることに異様なほどの喜びを感じている。 ある宿で作蔵は仇討の男を目撃してしまうのだが未亡人志乃には伝えず密かに男を殺害してしまうのだ。 そして作蔵は何もなかったかのように再び愛しい未亡人志乃と共に…

  • 『長征』(上下) 横山光輝

    『長征』1973年(昭和48年)3月~12月「ビッグコミックオリジナル」連載の初単行本(2004年)すでに廃刊になっており古本にて購入しました。 先日書いた『横山光輝超絶レアコレクション』横山光輝 その3「長征」とは違う作品です。(作品の舞台は同じです) 1973年の年表を見れば横山光輝氏が手掛けた『バビル二世』『三国志』『戦国獅子伝』『闇の土鬼』他にも怒涛のように作品名が記されている時期です。その中でこんな壮絶な作品を描いていたとは恐ろしい思いがします。 とはいえこの作品が2004年まで単行本化されなかったのは残念です。私は最近になってやっと氏の作品を読みだした者なので悔しい思いをせず読めた…

  • 『刺客伝』横山光輝

    1974年「少年チャンピオン増刊号」掲載 同じく横山光輝著『史記』7巻の第3話「刺客荊軻」の原型作品、と横山光輝オフィシャルウェブで記されています。 ネタバレしますのでご注意を。 まずは先日読んだ『史記』と絵を比べてみましょう。 『史記』「刺客荊軻」の荊軻 『刺客伝』の荊軻 若い!若くて色気がある!(カラーページと言う意味ではない) 『史記』荊軻 『刺客伝』荊軻 うーむやはり横山光輝若き頃の男性には魅力がほとばしっていますな。 とはいえ真摯な感じは同じ。こういう一途さが横山男子の味と言えます。 では内容は。もちろん同じ話なので本筋は同じですが受ける印象は大きく違うのが面白いです。 『史記』「刺…

  • 『武田信玄』横山光輝/原作:新田次郎 その2

    ついつい一気に読んでしまいました。 マンガで最初勢いよく面白いのにだんだんつまらなくなっていくのはよくあることですが本作は逆で進むごとに面白くなっていきます。 原作ありだからこそかもしれませんが横山先生も後に行くほど面白いと思われての漫画化ではないでしょうか。 ネタバレしますのでご注意を。 というか若い頃の武田晴信より信玄になってからが面白いのでしょうか。 若い頃は女性関係のごたごたが多いのですが横山氏の魅力はどうしてもそこにはないので仕方ない。 とはいえ横山作品としては珍しいほど最後まで女性が活躍するのも面白い。というか日本戦国時代の物語でここまで女性が第一線で活躍するのは稀有ではないでしょ…

  • 『武田信玄』横山光輝/原作:新田次郎 その1

    気になる人物なのに今まで特にその人生を知らずにきた武田信玄。横山光輝氏マンガで読めるなら一挙両得と読んでみました。 ネタバレしますのでご注意を。 先日読んだ山本勘助が勿論出てくる。が、主人公だった時はすごい男前だったのがここでは不細工男として描かれる。そもそも勘助は不器量だったと記されているのでこちらが本来なのだろう。しかも(今のところ)両目がある。そして韓信だ。 『項羽と劉邦』で韓信のキャラデザインをすごく褒めたのだけどもともと山本勘助だったのか。(さらに元ネタがあるのか) 横山氏は家康・信長・秀吉と描かれていてさらに伊達政宗そして武田信玄なのだけど上杉謙信はないようだ。(本作に登場はするが…

  • 『横山光輝超絶レアコレクション』横山光輝 その4 「怪物ーモンスター」

    「小6ホームクラス」1学期号旺文社1970年4月・非売品 横山光輝の描く少年の魅力よ。 表紙の主人公少年だけでも充分すぎるほどなのだが中へ入るともっと凄い少年がいます。 ネタバレしますのでご注意を。 表紙の少年は兄と南アルプスの黒岩岳に登る。 爽快な気分で登山をしていたのだが午後から酷い霧が立ち込める。ふたりは立派な洋館を見つけそこで一休みさせてもらおうと行くのだが。 最初優しそうな女性が出てきて「それはお困りでしょう。でも息子がなんと言いますか」と言ってしばらく待たされる。やっと中に通されると今度は父親らしき男性から「決して息子に逆らわないでください」と忠告される。 よほど怖い男がいるのかと…

  • 『横山光輝超絶レアコレクション』横山光輝 その3「長征」

    資料:岡本隆三『長征』 横山光輝著単行本上下の『長征』というマンガ作品があります。これも現在廃版で古本としてしか購入できない状態です。 本作の中に同タイトルの作品があったので驚いてしまったのですがこれは45pで無論別の内容です。 単行本の方はすでに読了していました。横山沼にはまってからこの『長征』という作品があるのに気づき中国ものに興味がある私としては横山氏が中国近代史をどのように考えておられるのかすぐに読みたくなったのでした。 きっと重苦しく読み難いものだろうと身構えたのですが実は想像したものと全然違ったのです。それはこの45ページの「長征」も同じでした。 ネタバレしますのでご注意を。 単行…

  • 『横山光輝超絶レアコレクション』横山光輝 その2「城と太陽と名探偵」

    さて『横山光輝超絶レアコレクション』の三作目は「城と太陽と名探偵」です。 ネタバレしますのでご注意を。 「城と太陽と名探偵」原作:梶原一騎/高一時代1970年8月号」 解説でみなもと太郎氏が語られるに「本書の中ではこれが珍品中の珍品」 原作が梶原一騎で横山光輝漫画というのは他にないものなのですね。確かにイメージできません。横山氏は描く主人公に明確なこだわりがあるからなあ。 そして本当にこのマンガに登場する男子は他ではあまり見られない感じです。 さらに驚きなのは表紙を見るとわかるのですが「東芝ICアクセス」という新商品のPRを兼ねたものになっていて本作出版のために編集部が東芝に許可を願い出たとこ…

  • 『横山光輝超絶レアコレクション』横山光輝

    すでに絶版になっているようで古本で手に入れましたが今やそれも期待できないようです。 単なる復刻版ではなく長い時間をかけて原画を蘇生する、という労力が注がれた復活本となっています。(と説明がされています) すばらしい作品群なので是非また販売されることを願うばかりです。 (デジタル化されているのかは不明です) ネタバレしますのでご注意を。 みなもと太郎氏による解説が懇切丁寧で重要です。 まず巻頭に「イラストポエム」というのが2pあります。1970年10月号の高1コースに掲載されたもの。 可愛い、というより知的でちょっと勝気そうな綺麗な少女の顔のアップとその少女を想う少年が描かれ恋心が謳われています…

  • 『隻眼の竜』横山光輝

    山本勘助が武田信玄に仕官するまでとその後を描く。 ネタバレしますのでご注意を。 とはいえ物語はほぼ横山氏の創作のようで思う存分氏が望む男性像を描いていると思える。 70年代の作品、横山氏の40代の筆によるものなので勢いと色気を感じさせる。 とにかく主人公山本勘助がかっこよく描かれている。横山氏の特色はこの美形主人公には女性を関わらせたくないところにあるのだがその分相棒の源蔵を女性担当として登場させている。 源蔵はかなり小柄な男として表現されている。「マンガ」なのでデフォルメとしてとらえられるがそのままで見てしまえば小人症とも思えてしまう。そう思ってしまうとどうしても思い起こしてしまうのが『ゲー…

  • 『伊達政宗』原作:山岡荘八/画:横山光輝 その4

    四巻で中断していた『伊達政宗』続きから最終巻(八巻まで)読了しました。 ネタバレしますのでご注意を。 先に山岡荘八原作の『徳川家康』を読んでいたので復習するような形で読め非常におもしろかった。 最後に行くほど政宗の人生には家康の影響が大きくなっていく。 政宗を評して「あと二十年早く生まれていたら天下を取っていた」と言われるが一二年ならまだしも二十年は大きすぎる。 むしろ二十年遅く生まれたからこそ政宗たり得たのではないかとも思うのだが。結局歴史でたらればはあり得ないと思うのだ。 なぜなら歴史は様々な要因が関わってできていくもので単純に計算できるものではないからだ。 深い知性と勇猛さを併せ持つ政宗…

  • 『狼の星座』横山光輝 その4

    ついに最終巻です。ネタバレしますのでご注意を。 章嘉ラマの寺に逃げ込んだ健作。寺と言ってもそこは一国の城のように壮大なものだった。 健作は大僧正に礼を言い自分を救い出すために死んでいった者たちを取り戻し手厚く葬りたいと願い出る。 その為には義兄弟の力が必要だった。彼らを呼び健作は遺体を返さない経棚の知事のいる城へと向かう。 話し合いに応じない知事を健作は自ら仕留める。 そして遺体に手を合わせた後丁重に棺に入れ章嘉ラマの寺まで連れ戻った。 しかしこの一件で健作には政府から通輯令が出てしまったのだ。これによって健作は別の省に逃げても逮捕されるし彼を隠した者も同罪になるというのだ。 これを聞いた健作…

  • 『狼の星座』横山光輝 その3

    ネタバレしますのでご注意を。 部下たちを遊ばせてやろうとした健作は街中で警察に逮捕されてしまう。 部下たちは金貨四千枚の賄賂で健作を救い出した。 外へ出た健作は初雪の夜、山中で凍った河を渡る。 そして谷間を進む千匹以上もいる狼たちの群れを見る。健作は「これだけの狼を引き連れる狼のボスはどんなやつだろう。男ならこれくらいの部下を引き連れる大攬把になってみたいな」とつぶやく。 これは後に横山氏が描いた劉邦を思わせる。 がその直後、健作は行く手を阻む包麻兄弟の縄張りに入り込み銃撃戦となる。 敵はゆうに健作たちの二倍以上いたがこれまで負けたことのない健作は猛然と突き進んだ。しかし劣勢すぎた。「半分以上…

  • 『狼の星座』横山光輝 その2

    『狼の星座』横山光輝 その2 - ガエル記

  • 『狼の星座』横山光輝

    横山光輝『狼の星座』は今現在デジタル化もされておらず古本でしか買えない状態のようでやむなく自分も古本購入。 ネタバレしますのでご注意を。 時は明治末。(ゴールデンカムイと同じ頃か)主人公日向健作は新潟の田舎で生まれたが幼い時に大病を患い生死を彷徨う。村の祈祷師のお祓いで命を長らえたものの「この子はよく言えば人の上に立つ人間、悪く言えば大盗賊になる」とその人相を判じられ「魔除けとして六つになるまで女の子として育てるように」と言われた。 両親は我が子を守りたい一心で言葉通り健作が六つになるまで女の子として育てた。 が、健作は女の子の格好と言葉遣いをしながらも村のガキ大将をやっつけてしまうほどの胆力…

  • 『伊達政宗』原作:山岡荘八/画:横山光輝 その3

    物語というのはそれが小説にしろマンガにしろ映画にしろ魅力的な人物をいかに描いていくかにあると思いますが本作の伊達政宗は確かに秀逸にキャラ立ちしています。 ネタバレしますのでご注意を。 勇猛果敢でありつつ人を食った智謀も持ちしかも容姿端麗なれど独眼であるという傷がよりキャラを強くする。あまりにもマンガのキャラクターすぎる。しかもなぜか実の母親に殺されそうになるほど憎まれてしまう。いったいどうしてこんな話ができたのか。 さらに毒殺されそうになっても「母に罪はない、母を咎めるな」と苦痛の中で訴える政宗に心打たれてしまう。 まあ私としては政宗・小十郎コンビもとい主従が話し合っている場面を見ているだけで…

  • 『伊達政宗』原作:山岡荘八/画:横山光輝 その2

    ネタバレしますのでご注意を。 とにかく伊達政宗をまったく知らなかったのでこんなに面白い人だと思わなかった。 それは幼少期の教師である虎哉禅師による教育の賜物なのだ。虎哉禅師は幼い政宗をみて「素直すぎ繊細過ぎる」と感じる。「武将の条件は豪快さと慈悲を併せ持ち細心でありながら清濁併せ呑む度量を持つこと」として「強情我慢とへその曲げ方」を教えていくのだ。 果たして政宗は虎哉禅師が望んだ以上にへそ曲がりの強情に成長していく。 すでに大物になっていた秀吉や家康を相手にしても怯まない武将となる。 まずは父親の輝宗の度肝を抜いていく。 戦談義において算盤をはじく基信を父・輝宗は叱るが政宗は「算盤の名手だから…

  • 『光る君へ』その1

    久々にNHK大河ドラマを観る気でいます。 自分が観る気になると低視聴率になってばかりなのでとても申し訳ないのですが仕方ない。今まで好きで観たものが『平清盛』『いだてん』と思い切りワーストなのです。 しかし『真田丸』も好きだったので今回なんとかそちらの方へ行ってくれたらと願います。 とはいえそもそも今までにない平安時代舞台で戦争ものではなく女性の人生を描いたものになるであろう。しかもそのヒロインはお姫様ではなく小説家という二重三重の変わり種であります。 しかし『源氏物語』の光源氏ではなくあくまでも紫式部という女性にスポットを当てたという時点でかなり「おっ」と興味を持ち待っていました。 第一話目、…

  • 『伊達政宗』原作:山岡荘八/画:横山光輝 その1

    すみません。ちょっとだけと本作覗き込んだら面白くて止まらなくなりました。 なので急遽こちらを読み進めます。 ネタバレしますのでご注意を。 原作:山岡荘八/画:横山光輝と記されているほどなのでよほどそのままなのだろう。 私の伊達政宗知識は以前に読んだ横山光輝『徳川家康』の最後あたりに出てきたものとかつての大河ドラマでのうっすらとした記憶くらいなので本作がどのくらい伊達政宗かはわからないのだけど物凄い力で引き寄せる魅力がある。 横山マンガはいつも淡々と物語を進めていくのだがそれがとても心地よい。 政宗は早熟に才能を花開かせる人物だが母親からは疎まれるという運命を背負っている。 代わりに父親からはそ…

  • 『三国志』横山光輝 再読その1

    確かにこう切り取ると意味深だ。 『三国志』再読します。まあ最初もかなりじっくり読んだのですが。 横山作品ほぼ長編を読んでしまい、と言ってもまだ『伊賀の影丸』や幾つもの作品があるのですが主作品がなくなってしまった感に襲われ(いわばロス状態なのでしょうか)寂しくなって今ここで『三国志』に戻ってみたくなりました。 ネタバレしますのでご注意を。 一巻、まだ何者でもない劉備玄徳。一仕事を終え久しぶりに会う故郷の母に当時貴重品だったお茶を買い求め大事に持って帰る、というエピソードから始まる。 しかしそのお茶を守るために張飛に助けられお礼に宝剣を渡してしまう。その宝剣は玄徳の由緒を示す大事なものだった。 そ…

  • 『水滸伝』第七部(完結編)まで 横山光輝

    はい、第七部(完結編)まで読了。 第八部は番外編のようです。 ネタバレしますのでご注意を。 なるほどなるほど、と読み終わりました。 腐りきった社会。力なき皇帝を良いことに金儲けと遊興にふける政治家たちのために人々は塗炭の苦しみを味わう。 そしてさまざまな理由で行き場を失った男たちが集まったのが梁山泊だった。最初はただの山賊集団だったのが晁蓋を統領にしてから義侠心に厚い壮士たちの軍団になっていく。 とはいえ主人公は宋江と言われるものの読んでいると林冲・呉学人・鉄牛の活躍の方が印象に残る。 と、この三人後に林冲は劉備、呉学人は孔明、鉄牛は張飛になるのではないかと思われる。 特に鉄牛がやたら活躍して…

  • 『水滸伝』第一部 横山光輝

    『水滸伝』さすがに少しは学生時代に読んだ記憶がある程度だ。 幾人かの人物名は知ってるもののどういう物語なのかはほぼ知らず。なんか梁山泊に悪人どもが集まってる話だよね、というくらい。 さてどんな物語なのか、楽しみである。 出だしはかなりギャグ調だ。 いまからおよそ九百年前大宋国は平和だったがある時疫病が流行る。時の天子仁宗皇帝は竜虎山に住む仙人に病疫退散の祈祷を頼むことに決め使者を送った。 皇帝の使者・洪大将 ご馳走大好きな太っちょだけど「洪大将閣下自ら皇帝の勅書を捧げて登らねば仙人に会えません」と言われ渋々登っていく。めちゃ威張っていたのに「皇帝のために」と言われ虎に出会ったり大蛇に会ったりし…

  • 『地球ナンバーV‐7』横山光輝

    ネタバレしますのでご注意を。 数ある横山作品からこの作品を選んだのは「もしや『スター・レッド』の元ネタなのではないか」と思われるコメントを読んだからなのです。 果たしてどうなのでしょうか。 まずはこの表紙絵。『スター・レッド』のレッド・セイの特徴は赤い目。本作の主人公ディック牧もご覧の通り赤い目で描かれています。 ほほう。それでは中に入っていきましょうか。 冒頭、地球上に生命が生まれ環境に順応し生活に合った体を作り始めた、という説明がなされる。 次に突如飛行機事故が描かれ激しい損壊の中に奇跡的に生き残っていた姉弟がいたという事実が提示される。 時は未来。 地球と火星は戦争になりかねない状態にあ…

  • 『仮面の忍者赤影』『新・仮面の忍者赤影』横山光輝

    実写ドラマをほとんど観ていない私でも『仮面の忍者赤影』はさすがに少しは観た記憶があります。 相当にぶっ飛んだ忍者ドラマで特に凧に乗って飛ぶのが印象的でした。 物凄く二枚目忍者の赤影と生意気な子ども忍者青影と白髪まじりの白影が活躍するのですが私的にはまあまあという感じでそこまではまりはしなかったのでした。 私にとっての忍者ものは『風のフジ丸』『サスケ』『カムイ』という今思えば全部白土三平原作アニメでそのカッコよさにはぞっこんはまり込んでいました。 大人になってからも、というか大人になったらより白土三平作品に傾倒していきます。 と言う私がおそるおそる『仮面の忍者赤影』を初読みしたのですが。 ううむ…

  • 『クイーンフェニックス』横山光輝

    おすすめ機能に現れてちょいと読んだら止められなくなった。 読んだ皆さんが言われてますが横山先生にこんな作品があったとは。 1975年週刊少女コミック掲載作品。 ネタバレしますのでご注意を。 時期的に読んでいても不思議ではなかったのだが、これは全然知らなかった。漫画雑誌を買う人間ではなかったので仕方ない。 男性作者が女性向けを描く時は必ずと言っていいほど「美と若さ」が題材になりがちです。たぶんまあ確かにそれが女性の大問題なのでしょうがここでもそれが語られます。 しかも男性作家の描く男性が女性にそれが重要であることを否定はしないのですからより辛辣ではあります。 それにしても横山先生の描く女性・女子…

  • 『史記列伝/下』横山光輝

    ネタバレしますのでご注意を。 第6話「野心家寧成」 前回の郅都のさらに上を行く恐ろしい酷吏・寧成の物語である。 郅都はただひたすら生真面目で恐ろしかったが寧成に至っては恐怖を与えることを自覚しているのだがそのせいもあってか早めに捕まり投獄され死刑を求刑されるのだがなんとここから投獄して生き延び金もないのに後払いと言う条件で田地を買い込んで億万長者になってしまう。おまけに恩赦が出て死刑が取り消しとなり地方の有力者になってしまうのだが新しい太守が彼を調べ始めたと聞いて逃げ出した、その行方は誰も知らない、と言う終わり方。 なんかよくわからないけど凄い男の人生だった。 第7・8話「冬の月 前編・後編」…

  • 『史記列伝/上』横山光輝 その2

    ネタバレしますのでご注意を。 本作では魯国の朱家について描かれている。 朱家は遊侠の徒として名を馳せたという。 遊侠の徒、とは「約束したことは絶対に守り、なそうとしたことは絶対にやり遂げ、命を懸けても人の窮地を救い、千里の果てにいても信義を守る」ためにはこの世の正義に背を向けることもあるという人々だ。 私は日本の「任侠」は好きになれなかったが中国の「武侠もの」が大好きです。 そこで描かれる「侠」の精神とそれを持つ人への憧れと尊敬がすでに明確に『史記』に記されていたのかと感心しました。 項羽に仕えていたことで追われている季布を朱家がかくまい劉邦の側近である夏侯嬰に目通りを願い「壮士を憎んで敵国に…

  • 『史記列伝/上』横山光輝

    ネタバレしますのでご注意を。 第1話「義に殉ずる」 「刺客列伝」にその名を記された予譲の物語だ。 前五世紀、六人の大夫(家老)が権力闘争を始めた頃、予譲という才能のある男がいた。 が、彼は使い走り程度の役目にしかつけないままでいた。 そんな時、六大夫の中で最も勢力のある智伯が兵を挙げ范氏を討ち中行氏も全滅した。 智伯は権力欲が強く評判の悪い人物であった。 予譲はその智伯に仕官した。ところが智伯は予譲の才能を認め一人の国士として屋敷を与え召使をつけて厚遇した。 智伯は次に趙氏を討つ計画を立てこの計画に予譲を重用し韓氏と魏氏への使者として送り味方につけたのだ。 三氏による趙氏への戦いは三年に渡った…

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