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  • 『漫画版 徳川家康』横山光輝 原作:山岡荘八 第四巻

    さて さて四巻。 三巻の終わりで武田信玄死亡か?という問題が投げかけられるのだが四巻に入るとそれどころではない事件に突入していき信玄などどうでもよくなる(すまん信玄) というか私が今回『徳川家康』を読み始めた理由はまさにこの四巻に描かれた「築山殿&信康事件」を知りたかったからなのだ。 一応史実として「築山殿と長子である信康に家康が自決を命じる」というものがあるが「果たしてそんな非道なことがあるのだろうか」というのが私の疑問なのだった。 これには同盟しかも向こうが上の立場である信長からの「妻子を自決させよ」という命令があったため仕方のないことだった。悪いのは信長という説明もあったりして何が何だか…

  • 『漫画版 徳川家康』横山光輝 原作:山岡荘八 第三巻 その2

    今更ながら感心してしまうのですが横山光輝マンガの魅力とはなんだろうと考えさせられます。 わかりやすく簡潔な運びなのに味わいがある。人物が低い頭身で描かれているのにすらりと背が高く見える。ユーモアと残酷さも併せ持つのが横山マンガの妙味と思えます。 ネタバレしますのでご注意を。 家康の面白さは信長のような勇猛な鋭さがないところなのだろう。 「一向一揆」の章は大きな戦国物語の中で切り落とされてしまうかもしれないサイドストーリーとも言える一話だが最も大切な一話でもある。 ここで家康は敵国ではなく自国の家臣たちの反逆と戦うことになる。 いわば味方がふたつに分裂され互いに殺し合って力が半減してしまう予測が…

  • 『漫画版 徳川家康』横山光輝 原作:山岡荘八 第三巻

    ネタバレしますのでご注意を。 今川義元は松平元康の忠義心を試すため織田軍に囲まれている「大高城に食糧を運び込め」という命令を下す。 元康には否はない。 12歳の鍋之介の出陣願いに元康は彼を元服し本田平八郎忠勝という名を与える。 元康は十八歳。運命を賭けた出陣であった。 が、元康は敵を罠にはめ被害を出すこともなく食糧を大高城へ運び込んでしまった。 波太郎はこれをおもしろがる。 これで松平元康は今川義元・織田信長の両人から認められる。 元康を味方にした者が東海の覇者になる。 さて問題はこれからだ。義元は上洛の際には間違いなく元康を先陣とする。 今度は信長も必死だろうから松平勢だけでぶつかれば大きな…

  • 『漫画版 徳川家康』横山光輝 原作:山岡荘八 第二巻 その2

    なかなかうつけな信長スタイル。お供は犬千代。後の前田利家。いつも一緒。 読んでいくとますます『三国志』との共通点があってふむうと思ってしまいます。 織田信長はいかにも曹操なのですが母親との関係よりも父親に愛されたのが強調されているのも同じ。 家康はいかにも玄徳でこちらは父親からの愛情が極端にないのに引き換え母親の愛情を受けているのも似てる。ずっと城がなくて放浪してる感じだとか一時期曹操と玄徳が仲間だったように信長と家康も同盟している関係なのとか奇妙に共通点があるのですね。曹操と信長が革新派であるのと玄徳と家康が保守的なのも。 まあ前回も書いたけど孫権がいないから『三国志』にはならないだろうが。…

  • 『漫画版 徳川家康』横山光輝 原作:山岡荘八 第二巻

    家康の幼少期。数えで六歳の竹千代が生まれ育った岡崎城から今川義元の駿府城へ人質として送られていく途中で熊の若宮・波太郎の指揮で奪われ尾張の織田信秀のもとに送られていく場面から始まる。 ここで竹千代を届ける役目をに任じられた金田与左衛門が任務が果たせず切腹するというくだりがある。この考え方が愚かしい。 いわばこの松平家の生き様がいかにも弱者の生き様で忍耐と犠牲なのがあまりにも虚しくてげんなりするのだがそこへ登場してくるのが織田信長で対照的に陰がなく生き様が明確で面白い。 例えば女性に対しての接し方において松平広忠の歪んだ愛情の経緯はおぞましい。信長は濃を愛しているが子供が出来なかったため側室を作…

  • 『漫画版 徳川家康』横山光輝 原作:山岡荘八 第一巻 その2

    ネタバレしますのでご注意を。 竹之内波太郎。クールな美形キャラと見えて実はとても優しい心根の人。 孫堅か孫策か、って感じのこの人、水野信元。逆にヤな感じの人である。 その孫策似の水野信元の弟。水野信近。兄に物申したため疎まれて殺害されそうになるが命拾いし旅人となる。 家康のパパ。体が弱くて神経質なお坊ちゃま。松平広忠。 家康のママ。パパと違ってものすごいしっかり者で美しく賢く強い女性。出来すぎ姫。於大のかた。 大久保新八郎。 たぶんみんなすぐ好きになるはず。 生まれたばかりの竹千代(家康)に年賀言上のために参上する。若様にお伺いも立てずに「お通りを」という乳母を𠮟りつけた。 可愛すぎる(ふたり…

  • 『漫画版 徳川家康』横山光輝 原作:山岡荘八 第一巻

    次に読みたくてうずうずしていたのがこれです。今NHK大河ドラマで放送されているのもありますが(そのドラマはどうしても食指が伸びず観ておりません)なにより徳川家康って何なのかが気になっていてこの機に読むことができるのは幸いなるかなであります。 ネタバレしますのでご注意を。 なにしろ豪快な『三国志』を読んですぐこの物語なのであまりの違いにさすがに戸惑います。 『三国志』が男の世界なら『徳川家康』はきわめて女性的というとなにやら差しさわりがあるかもしれませんが戦国時代と言いながら肉弾戦ではなく誰と誰を番わせるかというような話ばかりしている上になにかと「忍従忍従」と言ってるのも面白くない。 が、まあ読…

  • 『三国志』横山光輝 第六十巻 その2-水涸れー 完結

    ネタバレしますのでご注意を。 郭淮は「蜀軍が動き出した」という報告を受け司馬懿様に伝え自らは出陣した。 五万の兵を引き連れ姜維軍が造ったふたつの城を包囲した。 郭淮は城を眺め笑い出した。その城が高い地形の上に築かれていたからだ。「あれならば城門の水路もたいした水は流れていまい。我らが川上をせき止めてしまえば城はたちまち水に困るだろう。となると城外へ水を求めて出てくる。そこを叩くのだ」 魏軍はただちに川上をせき止めた。案の定城門の水路はたちまち干からびてしまった。 李歆自ら城外に水を求めて出た。 すると川上がせき止められているのを見つける。「魏軍が川を堰き止めていたか」と李歆はせき止めている石を…

  • 『三国志』横山光輝 第六十巻

    姜維、表紙絵二回目。もう最後です。見れば五十巻が初の姜維表紙絵で二回目の姜維が六十巻で最終巻となる。 英雄たちが次々といなくなった最終章でただひとり英雄的な存在の姜維。彼がいなかったら玄徳亡き後のパートはかなりきついものがあったと思っています。 横山先生もすべての英雄の穴埋めにしなきゃいけないとばかり最高に美しく描かれているように見えます。 その姜維の姿もこの巻をもって見納めです。 ネタバレしますのでご注意を。 楊儀は酒びたりの荒れた生活をしていた。 蜀軍を無傷で漢中まで引き揚げさせさらに謀反人魏延を討ったというだけでも大変な手柄なのに丞相を任じられたのは彼ではなく蒋琬であったのだ。 楊儀は蒋…

  • 『三国志』横山光輝 第五十九巻 その2

    ネタバレしますのでご注意を。 孔明は遺書を書き楊儀に「陛下にお届けしてくれ」と頼む。 「それからわしの死後、喪を発してはならぬ。わしが死んだと知ったら仲達は総力をあげて押し寄せるであろう。こんな時のためにわしはふたりの匠にわしの木造を作らせておいた。これを用いて敵味方に孔明なお在りと思わせておくがよい」 「もし仲達が押し寄せて参ったらその木像を陣の前に押し出せ。仲達は驚いて逃げるであろう。それから後陣より一陣ごとゆるゆると退け。おそらく大きな犠牲を出さずに国に帰れるであろう。これでもう何も言い置くことはない。あとはみな心を一つにして国に報じ職分を尽くしてくれい」 そして孔明は四輪車を用意させそ…

  • 『三国志』横山光輝 第五十九巻

    孔明表紙絵12回目。やはりトップですねえ。二位はなぜか張飛の9回なのですが。(ふたりの時は0・5回という計算です)3位は玄徳の6・5回w主人公ではなかったのか。 それにしてもこの表紙の孔明は神格化されているように思えます。 ネタバレしますのでご注意を。 両軍は再びにらみ合ったままとなった。 蜀陣では魏延が葫蘆谷の出来事に対して怒声を放っていた。このことが孔明に知らされ魏延は孔明に呼ばれることとなった。 孔明は魏延に司馬懿を葫蘆谷へおびき出すよう命じた。魏延は孔明の計画を遂行した。司馬懿は葫蘆谷に閉じ込められ仕掛けられた爆薬で焼き殺される予定であった。 がこの時魏延もまた司馬懿と共にその場所にい…

  • 『三国志』横山光輝 第五十八巻 その2ー作戦露見ー

    ネタバレしますのでご注意を。 魏軍兵士に呼び止められた男の襟から出てきた密書は呉の陸遜が孫権にあてたものだった。 密書は戦場にいる魏帝・曹叡のもとに届けられた。 そこには新城を包囲している孫権に兵を後退させ魏軍の退路を断つようにと記されていた。そして前と後ろから一気に攻めれば魏軍を一撃で倒せるということであった。 曹叡は「呉に陸遜あり」と聞いていたがなるほどと確信する思いだった。すぐに伝令を飛ばし孫権の後方部隊の動きに注意せよ、陸遜の動きにも目を離すなと命じた。 呉の陸遜のもとへ諸葛瑾将軍が訪ねてきた。 諸葛瑾は先だっての大敗で負傷者も多くさらにこの暑さで病人が続出しているという。それに引き換…

  • 『三国志』横山光輝 第五十八巻

    司馬懿仲達おっと惜しい0・5回目。魏延二分の一プラス二分の一で一回目。やはりこの数え方は間違っていたかも。今更wこの表紙、欲しがる人はいるのかしらん。(失礼) ネタバレしますのでご注意を。 馬岱が孔明に報告をする。「丞相、いくら挑発しても魏軍は動こうとはしません」 孔明には仲達の腹はわかっている。蜀軍の食糧がそこを突くのを待っているのだ。 「よし明日このあたりの地形をもう一度調べてみよう」 上方谷または葫蘆谷とも呼ばれているという。 孔明は中に入っていった。 「おおっ」中は広く千人は野営できる。 「さらに奥には四五百名は野営できる平地がございます」と兵士が説明した。 孔明はそちらにも入っていく…

  • 『三国志』横山光輝 第五十七巻 その2ー読み比べー

    ネタバレしますのでご注意を。 ますます辛い状況へ突入というかもう幸福など望みえないとしかいえません。 魏帝・曹叡は孔明が三十万の兵を引き連れ祁山に現れたという報を受ける。すぐに司馬懿を呼んだ。 司馬懿もまた天文を観て魏の方に有利蜀の不利と読んでいた。 このような時に兵を起こす孔明は自分の才智に溺れ天に逆らおうとするもの、この戦必ず勝てます、と申し上げた。 そして司馬懿は夏侯淵のせがれ覇・威・恵・和の四人を取り立てたいと願い出、魏帝は承認した。 司馬懿は直ちに長安に向かい兵を召集した。馳せ参じた魏の精鋭四十五万。 両軍は再び渭水をはさんで対峙した。 「そうか。孔明は祁山に五つの陣を構えさらに斜谷…

  • 『三国志』横山光輝 第五十七巻

    孔明表紙絵・・・と横に小さく魏延君があ。というわけで孔明表紙絵11回目。魏延0・5回目となりました。 ネタバレしますのでご注意を。 司馬懿は駆け付けてくれた孫礼に感謝の意を表した。 「孔明を討てると聞き喜び勇んで参りました」 「よし」と司馬懿「そちの連れてきた兵とここの兵を二隊に分け一隊は蜀境の剣閣を攻め、一隊は鹵城を攻める。これで孔明は孤立する」 そして郭淮に「そちも孫礼と共に剣閣へ向かえ」と命じた。 一方、鹵城。 楊儀は魏軍が増加した折に困った事態になりました、と孔明に伝えた。「軍の百日交代の時期になっておりますが」 孔明は「法令化したものは違えてはならに早々にこちらの兵は漢中に戻すのだ」…

  • 『三国志』横山光輝 第五十六巻 その2

    ネタバレしますのでご注意を。 司馬懿軍は引き揚げていく蜀軍の後を追いかけた。 しばらく行くと多数の竈跡があるのを見つける。 しかし「我らの追撃に備えているはずだがさしたる数ではない」と司馬懿は思う。 「このくらいならひともみでございます」とひとりの将が言う。 「それゆえ少し気になるのじゃ。相手は神業のような采配をふるう孔明だからのう」 ともかく様子を見ながら前進じゃと司馬懿は軍を進めた。 斥候がその先にも野営の跡があるのを発見し戻ってきた。 その場に到着した司馬懿は疑問の声を出す。 「最初の野営の跡より竈の数が増えているように思わんか」「そういえば?」 司馬懿は竈の数をかぞえさせた。 二千あま…

  • 『三国志』横山光輝 第五十六巻

    孔明表紙絵10・5回目。ちょっともう泣きそうな気持ちになっています。巻数もあるし物語の内容もいよいよ追い詰められてきた感が大きい。 煌めく星の如き英雄たちは次々と消え去っていく。 その中で孔明だけが必死で火が消えぬようにと働き続けているのが辛い。 ネタバレしますのでご注意を。 曹真の陣に仲達の使者が様子を伺いにとやってきて箕谷では予想通り蜀軍が現れ先鋒の陳式軍四千を討ち取ったと報告した。 曹真はその使者に「ここには蜀軍は一兵も現れん。仲達に伝えい。賭けは余の勝ちじゃと」 曹真は箕谷に蜀軍が来たという報告も怪しいものだと笑った。 そこへ秦良軍が引き揚げてきた。「ご苦労であった」と迎え出た曹真に向…

  • 『三国志』横山光輝 第五十五巻 その2ー進攻問答ー

    ネタバレしますのでご注意を。 曹真は魏帝・曹叡に謁見し体調が良くなったことを伝えた。そして孔明が病に倒れ養生していると話し出し「孔明の動けぬ蜀など恐るるに足りません。今こそ仲達殿と共に漢中に攻め入りとうございます、と申し上げる。 曹叡はなるほどと言いながらも呉の動きが気になるため荊州に行って探っている司馬懿が戻ってから答えようと曹真に伝えた。 その後、曹叡は劉曄に相談した。 「蜀を討つか、それともやめた方がよいか」 劉曄は「蜀を討たずして魏の安泰はありませぬ」と答える。 「するとそなたも曹真と同じ考えか」「はい蜀を射たざれば百年の悔いを残します。今まさにその好機」 曹叡は「よしわかったすぐに準…

  • 『三国志』横山光輝 第五十五巻

    孔明表紙絵9・5回目。これまで単独トップだった張飛を抜きました。なにしろ主人公のはずの劉備玄徳は6・5回でしたのでぶっちぎりトップです。とはいえ仕方ないっていうのもあるのでちょっと泣きそう。 ネタバレしますのでご注意を。 司馬懿仲達は即戦即決を願っているはずの孔明が何故動かないかを探っていた。 すると雍城・郿城からは連絡があったが陰平・武都に向かった使者からは何の連絡もないと伝えられ孔明の意思が読めた。 孔明は我らの目をここに引き付けておいて陰平・武都の両郡を攻めようとしているのだ。 司馬懿は郭淮・孫礼に五千の兵を引き連れて陰平・武都に向かえと命じた。そして蜀軍が両郡に攻め入ったら背後から襲い…

  • 『三国志』横山光輝 第五十四巻 その2ー王双を討つー

    ネタバレしますのでご注意を。 魏延は使者から本軍は漢中に引き揚げたと聞き疑問を口にした。 我が軍勝利を重ね魏軍は青くなって陣に閉じこもっているからだ。 使者は「原因は食糧にございます」と答える。そして孔明から預けられた撤退のお指図を手渡した。 それを見た魏延は「わかった。すぐに撤退しよう」と答え陣中に命じたのだった。 一方王双陣に魏延の撤退の報が告げられる。 「優勢の蜀軍が何故」と王双も信じられないでいる。 が使者が間違いなく繰り返したために王双は「この機を逃してはならぬ。追撃だ」と出陣太鼓を鳴らさせた。 王双は馬にまたがり走り出すと前方に去っていく軍勢が見えた。 「いたぞあれだ」と全速力で追…

  • 『三国志』横山光輝 第五十四巻

    孔明表紙絵8・5回目。もう他には姜維くらいしかいないからなあ。 ネタバレしますのでご注意を。 陣を張って休息しようとする費耀軍を高みから見下ろす孔明は扇を振って合図した。 銅鑼の音とともに馬岱軍が駆け下りていく。 費耀は「一押ししてから退却せよ」と声をかける。「退却ですか」と訝しむ兵士たちに「これは姜維との打ち合わせの行動じゃ」と答えた。どうやら費耀は姜維の手紙を信じる方へ動いたらしい。「我らは退却しその間に姜維が蜀軍の食糧に火をつける。それが合図で反撃し姜維軍と挟み撃ちにするのだ」 「よしかかれ」と号令し「そろそろよかろう」と引き揚げの声をあげた。 馬岱軍はこれを追う。 が火の手がなかなか上…

  • 『三国志』横山光輝 第五十三巻 その2ー後出師表ー

    馬謖があのような働きをしてしまったのは姜維の出現のせいではないかと考えてしまいます。 ネタバレしますのでご注意を。 成都にいる蜀皇帝劉禅のもとに孔明からの書状が届く。出師表であった。また出陣するのかと劉禅は驚く。 が、亡き父は漢朝の復興を孔明に遺託した。孔明は今それを果たそうといたしておるのじゃ、と言って出陣を許可した。 漢中に留まり軍を立て直すこと半年、孔明は再び出陣した。この時孔明四十八歳であった。 司馬懿仲達の読み通り蜀軍は陳倉城へ向かった。すでに真冬。四方の山は白雪に包まれていた。 洛陽の魏帝曹叡は呉軍と蜀軍両方からの攻撃を案じていた。「誰ぞ長安を守るものはおらぬか」の問いに答えたのは…

  • 『三国志』横山光輝 第五十三巻

    孔明表紙絵7・5回目。苦悩だなあ孔明。 ネタバレしますのでご注意を。 蜀の各部隊は剣路を越えて続々と漢中へ引き揚げてきた。どの部隊も困難特選を物語るように疲れ果てていた。 孔明はまだ帰ってきていない趙雲を心配していた。 「それにしても」と孔明は考えずにはいられない。「あの威風堂々の進軍がたった一つの綻びでこんな大敗になってしまうとは。惜しい男だが馬謖の責任は問わずばなるまい」 そこに趙雲が帰ってきたという報が入る。孔明は喜び迎えに出た。 自らしんがりを務めた趙雲こそ真の武士と褒めたたえ孔明は賞金を与えようとした。 が、趙雲は自分だけが恩賞を受けては謗られる因ともなりましょう。それよりもやがて冬…

  • 『三国志』横山光輝 第五十二巻 その2ー断たれた水ー

    跳び起きた馬謖です。 いったい馬謖はどうしようと思っていたのでしょうか。 それとも人間は焦るとこうなってしまうのでしょうか。 ネタバレしますのでご注意を。 魏の大軍は馬謖が陣取る街亭山麓を十重二十重に取り囲み馬謖軍を完全に包囲した。 馬謖陣内の兵士たちは水なしで過ごすことになってしまった。支給される食べ物も水がないために生のままで出される。 水が欲しいと大将の飲み水に手を出した兵士は斬り殺された。 耐え切れず決死隊を組んで水を汲みに行った兵士たちはあっけなく魏軍に見つかり降伏してしまった。 馬謖はその報告を聞いても「必ず救援が駆け付けてくれるはずじゃ」というばかりであった。 再び決死隊が編成さ…

  • 『三国志』横山光輝 第五十二巻

    孔明表紙絵6・5回目。これから孔明の苦悩が始まるのか。 ネタバレしますのでご注意を。 孟達は関羽が呉軍に囲まれ孤立した時援軍を出さずに見殺しにしその責任を問われるのを恐れて魏に逃げ込み今は魏にあって新城太守となり上庸・金城など魏国西南の兵権を任されている身であった。 (孟達、てめえは許さねえ) 孟達は申耽・申儀を呼び出して胸の内を打ち明けた。この度の蜀の快進撃を見、魏の将来に不安を感じている。もともと我らは蜀の人間なのに関羽のことで魏に来てしまった。しかし現在の魏王は我らを軽く扱われている。よってもう一度蜀の人間に戻ろうと決心した、と。 従って我らは兵を挙げて洛陽を落とすのじゃ。 諸葛丞相が外…

  • 『三国志』横山光輝 第五十一巻 その2ー西羌の戦車隊ー

    ネタバレしますのでご注意を。 初戦、蜀軍に手痛い打撃を受けた魏の曹真は陣を後方に下げ軍の再整備をせざるを得なかった。 曹真と郭淮は談義した。 郭淮は西羌王国に力を借りることを提案する。西羌は曹操の時代から交易があり朝廷の名を持っていろいろな爵位を与えていたので恩を感じているのだという。 また西羌王国は他国とも交易しその武器戦法は我らとは違うものである。その西羌の兵に蜀軍の背後を突かせるのです。 この進言は曹真の心を動かし郭淮に使者を送らせた。おびただしい重宝珍器の手土産を持たせたのだった。 当時中国の人はチベット人と蒙古人との混合体により成る一王国を西羌王国と呼んでいたという。西羌王国は欧州ト…

  • 『三国志』横山光輝 第五十一巻

    これは関興くん、かな。表紙絵一回目。 姜維の帰順ーネタバレいいのか。 ネタバレしますのでご注意を。 姜維は城内に向かって語った。 「この姜維は夏侯駙馬のお命を助けんものと蜀に身を売って命乞いをいたした。おのおのがたもあたら命を無益に捨てずに我らとともに蜀に降れ」 これに夏侯楙は「そちは魏の大恩を受けながらなんで蜀に降参した」と叫び返した。 姜維は「夏侯駙馬がこの城にいるとはどういうことだ。駙馬がわしに書面にて蜀に降れば命が助かると申したから蜀に降ったのではないか」 が夏侯楙は「黙れわしは命乞いの手紙など出した覚えはないわ。お前こそ命が惜しくて蜀に降ったのであろう」とまたも叫んだ。 姜維は「許せ…

  • 『三国志』横山光輝 第五十巻 その2ー謀略と策略ー

    ネタバレしますのでご注意を。 崔諒は手はず通り孔明の元へ戻り「夏侯楙を生け捕りにするのは困難だった」と告げる。 「それゆえ我ら合図とともに城門を開きますので丞相じきじきに乗り込まれてはと」 「ふむ」と孔明は「それならば措置と共に我らに降った部下百人を連れて行け」 これは計画とは違う方向となったので崔諒は「丞相はおいでにならぬのでございますか」と問うた。 「いやわしも後で参ろう。その前に我が軍の関興・張苞の二人をそなたの隊に加えてやろう」 これには崔諒、断れば疑われると思い二人を殺してそれから孔明をおびき寄せればと「わかりましてございます」と頭を下げた。 崔諒が退室すると孔明は関興・張苞二人を呼…

  • 『三国志』横山光輝 第五十巻

    姜維!!!!表紙絵一回目。 一番の悲劇のヒーローはこの人ではないかと思う。 ネタバレしますのでご注意を。 魏では孔明が三十万の大軍を率いて漢中より攻め入らんとしている、との報が入る。 曹叡は怯えながら「誰か防ぐ者はおらぬか」と問う。 「それがしが」と声をあげたのは夏侯楙だった。夏侯淵の子である。(史実は夏侯惇の子。ややこしや)曹叡は関西の兵二十万を授けようと喜んだ。 が、これに待ったをかける重臣がいた。夏侯楙は豪族ですが実戦経験がない、と。 夏侯楙はこの言葉に怒り自分は父に軍学を治め兵法に通じている、あなどると許さぬぞと言い返し「陛下、諸葛亮を生け捕るまでは御前に出ませぬ」と誓った。 夏侯楙は…

  • 『三国志』横山光輝 第四十九巻 その2ー檄文ー

    ネタバレしますのでご注意を。 孔明が成都に凱旋してから数か月後。 五虎将軍の一人馬超が病に倒れあっけなく息を引き取った。馬超この時四十五歳であった。 そしてこの年の五月。蜀の建興四年。魏の皇帝曹丕も病に倒れ重体となっていた。 曹丕は曹叡を跡継ぎにと願い曹真、陳群、司馬懿仲達の三人に力を合わせて助けると誓わせた。 大魏皇帝曹丕もあっけない最期であった。在位七年、四十歳だった。 後年クーデターを起こし晋王朝の基礎を築いた司馬懿仲達はこの時驃騎大将軍に任ぜられた。 仲達は皇帝に「西涼の守りをお命じください」と願い出る。西涼は辺境の地であり望んでいく場所ではなかった。 が仲達は「西涼は馬騰・馬超などが…

  • 『三国志』横山光輝 第四十九巻

    孔明表紙絵5・5回目。ちょっと昔を思い出してしんみりしてしまいます。 ヒーローがいなくなってしまったんだなあ。 ネタバレしますのでご注意を。 南の国の雰囲気は良いが孟獲はそれどころではない。 これでは戦にもならぬと祝融の弟帯来に身を寄せて再起を図る場所はないかと尋ねた。 帯来は東南に七百里行くと烏戈国があり国王は兀突骨、藤甲軍という精鋭を抱えている、と答える。 藤甲、というのは山藤の蔓を半年あまり油につけ日に乾かすというのを何度となく繰り返して後鎧を作るからだ。その鎧は水に浮き、さらに矢や刀を通さぬほど強靭だという。 孟獲はその話を聞いて兀突骨に協力を願うことにした。 烏戈国の住民は崖にある洞…

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