chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
SHE http://shexxx.blog.fc2.com/

ホミンのみ 甘いのが多め

BL・GL・TLブログ / 二次BL小説

※ランキングに参加していません

ニカ
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2019/01/26

arrow_drop_down
  • はじめに

    最初にお読み下さい。ご覧いただきありがとうございます。SHE管理人のニカと申します╰(*´︶`*)╯♡このブログでは2人のお名前を借りた妄想小説を書いております。ご本人様及び関係者様とは一切関係がございません。ホミンちゃんのお話しか書きません。あくまでも個人の妄想であり、苦情は受け付けておりませんので、ご了承の上お読みください。コメントのお返事は、コメントいただいた記事にてさせていただいております。Twitter▶︎ @...

  • 君のこころは僕のなか

    「チャンミン、ちょっと待てって!」「そんなこと言ってたらパレード始まっちゃうよ」「まだあと30分はあるだろ」「そんなのすぐだよ!」「あーもう、ちょっと休憩しよう。ほら」早く、ユノ。もっと急いでよ。そう言って先を歩くチャンミンに追いついて、手のひらにねじ込むようにしてペットボトルを握らせた。チャンミンは驚いたように振り向いて、それからすぐに片方の頬っぺたをぷくっと膨らませる。どうやら不服だったみたいだ...

  • 最後に

    これが本当に最後の挨拶になるかと思います。前回の記事でコメントをくださった方、拍手をくださった方、本当に本当にありがとうございます。ひとつひとつ、大切に読みました。個別でお返事をしたいところなのですが、こちらで感謝の気持ちを伝えさせていただきます。ありがたいことに、このブログを残しておいて欲しいとのコメントがありましたので、ブログ自体はこのまま残しておくことにします。ただ、お話を更新しない以上ラン...

  • 閉鎖のお知らせ

    皆さまお久しぶりです、ニカです。突然ですが、この度、ブログを閉鎖することにしました。閉鎖する気はないと皆さまにもお伝えしましたし私自身まだまだ書きたいお話や設定などがあったのですが、気持ちの問題でこれ以上このブログを続けていくことが困難だと判断した結果です。完結していない中途半端なお話ばかりで、それでも楽しみに待ってくださっている方を裏切るような形での閉鎖になってしまい申し訳ありません。私にはもう...

  • 教えてあげる

    付き合うなら、何にもできない人がいい。そう、たとえるなら。「うわー!チャンミン、俺の靴下知らない?」「どれですか?黒のライン入ってるやつ?」「そう!」「それなら引き出しの2段目に入ってますよ」「あ、本当だ!ありがとー!」ユノさんみたいな、自分の身の回りのことが何にもできない人。決して馬鹿にしているわけじゃない。ユノさんは仕事はバリバリできるのだが、生活能力がちょっぴり低いのだ。料理はできないし掃除...

  • 更新について

    御無沙汰しております。更新が滞ってしまい申し訳ないです。最初は仕事の疲労でなかなか時間が取れない状況だったのですが、時間が経つにつれて気持ちが沈んできてしまったというか何と言いますか。(本来こんなことを書くべきではないと分かっているのですが、今の更新状況で察していただけると思いますので書かせていただきます)本来おめでたいことですから「その選択が間違っている」と批判はしたくないのですが、でもやっぱり...

  • 夏が来る 2

    「90点」「俺は88」「俺83点だった……ユノは?」「はちじゅう……いち」「よっしゃー!勝ったー!」「はいユノの負けー!」「あーもう、まじかよー!」今日返却される数学の小テストで、俺は友達と賭けをしていた。一番点数の低かった奴が、罰ゲーム。その罰ゲームの内容は………。「ユノ、忘れてないよな?」「うん」「ちゃんとやれよ?」「……まじで言ってる?」「あったりまえだろ!ユノもそれいいじゃんって言ってただろ!」「...

  • 夏が来る 1

    まだ6月だと言うのにこの暑さなら、僕は真夏になったら溶けてしまうんじゃないだろうか。じりじりと肌を刺すように照りつける太陽に、首筋にじんわりと汗がにじむ。最近衣替えをして半袖になったシャツの隙間から時折風が通り抜けるけれど、涼しいと思えるのもほんの一瞬だけだ。「シム・チャンミン」「……はい」目の前に立っている僕と同じクラスのチョン・ユンホは僕とは正反対に汗なんかこれっぽっちもかいていないような涼しい...

  • 少し時間をください

    ここに来てくださる皆様に、ご報告と言うほどでもないのですが少しお知らせを。チャンミンから報告があって一週間近く経ちましたね。報道があってすぐは、自分はファンを辞めないしそれでも彼のことが好きだと思っていたのですが、その自信が揺らいでしまったと言うか、ここに来て自分が彼に対して何を思っているのか分からない状態になってしまいました。あまりマイナスなことを書くのは良くないと思うので簡潔に申し上げますと、...

  • 君が幸せになる話

    地雷になってしまう方が多数いらっしゃるかと思いますので閲覧注意です。今回は「事実がこうであって欲しい」という願望で書いたわけではないので、一つのお話として読んでいただければと思います。↓僕には秘密がある。誰にも言ったことがない、僕だけの秘密。もちろんこれからだって、誰にも言うつもりはない。*ジーンズのポケットに入れていた携帯が小さく震えた。それはメッセージの受信を知らせるもので、携帯の画面から発せ...

  • 夜中に長々と

    こんばんは、ニカです。約2カ月間休みになってしまっていた仕事が先日やっとこさ再開し、久し振りにえっちらおっちらと働いている間に世の中は大変なことになってしまいました、ね……。電車の中でたまたま知り、そのままなんだか夢のような気持ちで家に帰って来たのですが、ひとりになって冷静に考えてみても、自分の気持ちはよく分からないままです。それでもどうしても、今のうちに書いておかないといけないような気がして。正直...

  • ありふれたロマンス 3

    「僕、プロポーズしたんですよぉ、5年付き合ってた彼女に!そうしたら断られたんです!なんて言われたと思いますか!?」ダンッ。彼は握りしめた拳をテーブルに勢いよく叩きつけた。大きな音に周りにいたお客さんの視線が集まる。どうせまた酔っ払いが騒いでいるのだろうと、みんなも酔っているから特に気にしないようで、すぐにまた店内には喧騒が戻る。静かにしていたからてっきり酔っていないのだと思っていたけれど、彼もしっ...

  • ありふれたロマンス 2

    彼は瞼が完全に開ききっておらず、焦点も定まっていないようだった。しばらくうつろな目でぼんやりと宙を仰ぎ、それでもまだ状況が飲み込めていないようで、おじさんを視界に捉えると眉をひそめて小首を傾げた。寝ていたのに起こされ、しかも目の前に見知らぬおじさんが立っているのだから無理もない。「ちょっとユノ、これ預かっといて」「あっ」「ええっ」おじさんは綺麗にラッピングされた薔薇の花束をひょいと持ち上げると「す...

  • ありふれたロマンス 1

    たぶん100本…いや、プロポーズのときは108本が良いんだっけ?とにかくそれくらいはあるのだろう赤い薔薇の花束を、まさか現実で見る日が来ようとは。きっと彼はドラマの見過ぎなのだろう。最近テレビを付けていたらたまたま映っていたドラマでも、こんな光景があった。ビジネススーツとはまた少し違うような、濃いグレーにシャドーストライプのスーツをかっちりと着こなした彼が来店してきたのは、お店がオープンしてからそ...

  • 君のこころは僕のなか 26

    ちょっとマイナス思考になっただけで、まるで自分の感情とリンクするように足首にじわじわと痛みが広がっていくような気がするから不思議だ。こういうのは良くない。気持ちを切り替えようと顔を上げたら、それと同時にトランペットの大きな音が聞こえてきた。パレードが始まる。俺はハッとした。シムも、わあっ、と喜びの声を上げる。さっきまでがやがやしていたのに気が付けば辺りは静かになっていて、周りにいたはずのお客さんは...

  • 君のこころは僕のなか 25

    「い……ってえ!」「ユノ!?」突然座りこんだ俺に、近くで練習をしていたサークルの仲間たちが慌てて近寄ってきた。左の足首がずきずきと痛む。着地したときに重心がずれて、足首を捻ってしまったみたいだ。痛むところをさすってみるが、その痛みが和らぐことはない。「大丈夫か?」「うん。ちょっと捻っただけ」「冷やす?氷とか、どこかから借りられないかな」「いや、いいよ」「でも……」「そんなに酷くないからさ。ちょっと踊り...

  • Beyond the T 感想

    皆さまこんばんは!Beyond the Tについてどうしても一つだけホミンペンの皆さまと共有したいことがありましたのでこちらに書かせていただきます。SNSでみんな書いてるけど私も書きたかったんです……。ユノの前髪がおでこに貼りついちゃって、チャンミンが直してあげたところあるじゃないですか。あの瞬間、私の中で何かが爆発しまして!!!皆さまもそうでしたよね?ライブ会場だったらとんでもなく絶叫していたことでしょう。(い...

  • 先生と生徒。

    体育教師ユノ×生徒チャンミン授業ぐ始まってから、もうすぐ30分が経とうという頃だった。「先生、保健室に行って来てもいいでしょうか」「どこか悪いのか?」「ちょっと、気持ちが悪くて」今日はチームを組んでバスケをしている。対戦中のチームの審判をしていると、少し離れたところで練習をしていたはずのチャンミンがおずおずと俺のところまでやって来た。「一人で行けるか?」と顔を覗き込んで聞くと、近くにいたキュヒョン...

  • 生徒と先生。

    生徒ユノ×数学教師チャンミン「チョン・ユンホ君。放課後、僕のところまで来てください」終了のチャイムと同時に友達と教室を出ようとするユノ君の肩をむんずと掴めば、振り返った彼はまるで僕がそう言うのを分かっていたように「はあい」と笑顔で返事をした。放課後、チョン君は言われたとおりに職員室にやって来た。来るのがだいぶ遅かったので「遅かったですね」とはっきり言えば「友達に呼び止められちゃって」と悪びれる様子...

  • 君のこころは僕のなか 24

    ダンスの大会が近付くにつれて、俺の生活は段々と目まぐるしくなっていく。平日はほぼ毎日、講義が終わり次第サークルに向かう。土日はテーマパークの営業時間に合わせてバイトをして、帰ったら自主練。もちろん講義で出される課題もあるから、やらなきゃいけないことばかりであっという間に一日が終わってしまう。電気を付けたままうっかり寝てしまって気が付けば朝になっている、なんてことも増えた。疲労が溜まっているというの...

  • 追記と、せっかくなので雑談

    先程更新した「身分違いの恋」の最後に、力尽きたと書きましたが、私自身が疲れてるとか落ち込んでいるとかそう意味ではないので、誤解してしまった方がいらっしゃったらすみません…!もともとこちらはリクエストをいただいて書いたお話でして、時代劇モノを書くのが初めてでなおかつ長編を書くとなるとそれなりの知識が必要になってくるため、私が書ける限界のところでストップさせていただいた次第でした。お話を考えるにあたり...

  • 身分違いの恋 7

    「俺は週に一度、村の中を散策しているんだ。その時にすれ違って」「それで一目惚れしたんですか?」「ああ。向こうは急いでいるようだったから、ほんの一瞬だった。でも目がぱっちりしていて、印象的だったんだ」「つまり……可愛い系ってことですか?」「うーん、説明しづらいな。背は俺と同じくらいあったから可愛いと言っていいのかどうか……。美人というか……でもどこか可愛らしさもあるような……」ユノから詳しく話を聞いたヨンフ...

  • 身分違いの恋 6

    自分より年上のはずなのに、近くで見れば見るほど、この人は可愛い顔立ちをしている。チャンミンに依頼をしにやって来たイ・ヨンファは、何でもないような素振りをしながらチャンミンの顔を観察し、心の中で歓びの悲鳴を上げていた。まさしく、理想。むしろ理想を超えてる。隙間から差し込んだ西日が、チャンミンのつるんとした頬にまつ毛の影を作る。……まるで一つの芸術作品みたいだわ。ヨンファはその美しい光景に、チャンミンに...

  • 身分違いの恋 5

    「あ、あれ多分僕たちのです。ちょっと行ってきますね」向こうからスンジャおばあちゃんが料理を運んでくるのが見えて、チャンミンは立ち上がった。時々腰が痛いと言うおばあちゃんへの配慮だ。チャンミンはビビンバの乗ったおぼんをおばあちゃんから受け取りユノの前に置くと、続いて自分の分も置いた。「悪いねえ」と言ったおばあちゃんは、一旦奥に戻ったかと思えば今度はおぼんに沢山の小鉢を乗せ、チャンミン達のテーブルまで...

  • 身分違いの恋 4

    「村にはたまに息抜きをしに来るが……どこかで食べたことはないな」美味しいご飯屋さん知ってるか、とユノが聞く。チャンミンは、そうですねえ、と言いながら頭を悩ませていた。毎日豪華な宮廷料理を食べているユノさんの口に合うものなんて……。高級食材を扱っているところなら、あるにはある。でも、僕がお金を払うには無理がある。あまり高いところには行けない……。そうなると、僕の馴染みの食堂くらいしか選択肢がないのだ。「ユ...

  • 身分違いの恋 3

    2人の間に、しばしの沈黙が流れる。チャンミンは何を話せば良いのか分からずにいた。何でも屋なんてやっているが、根は人見知りが激しく大人しい性格であるチャンミン。ちゃんとした人物設定があれば役に成りきれるのだが、ヨンファから特にそういったことは教えてもらっていないため、素のチャンミンの状態で挑むしかなかったのだ。ユノはユノで、待っている間に話したいことは沢山考えていたのだが、どれから話せばいいのか悩ん...

  • 身分違いの恋 2

    ヨンファは約束の日の前日にやって来て、待ち合わせの場所と時間だけを簡潔に述べた。「それじゃあチャンミンさん、よろしくお願いね」「え、それだけですか」もっとこう……アドバイスみたいなものは。手紙でこういうやり取りをしたとか、趣味とか好きな食べ物とか。何も知らない状態で会って、会話に食い違いが生じるのはまずいんじゃないのか。チャンミンに引き留められ、ヨンファは片眉をぴくりと上げた。「私は男のふりをしてい...

  • 身分違いの恋 1

    2万拍手の時にいただいたリクエストの小説です。時代劇ホミンちゃん(のつもり)なのですが、細かいことは気にせず、どうか、ニュアンスで楽しんでください。リクエストくださった方、大変遅くなってしまった上に設定も予定と変わってしまい、何から何まで申し訳ないです…!少しでも楽しんでいただければ幸いです。...「それはさすがに無理ですね」チャンミンがそう言うと、先ほど仕事を依頼しにやって来た女性…イ・ヨンファが、...

  • 君のこころは僕のなか 23

    久し振りに、ドンヘと休憩が被った。シムは1時間前くらいにテーマパークにやって来て、パレードの時間になると「この前みたいに踊って!」と言い携帯のカメラを俺に向け、ムービーを撮り終わるとご機嫌な様子で帰って行った。何も報告はなかったが、ジュニとは無事に仲直り(?)できたらしい。そんなわけで今日も俺は汗だく。でも、はしゃぐシムの姿が可愛かったから結果オーライだ。最近暖かくなってきたからか、淡いピンク色の...

  • 君のこころは僕のなか 22

    遠くから流れてくる明るくポップな音楽は、パレードの最初を飾るのにふさわしい、お客さんからも一番人気のある曲だ。シムは俺を見て、これから何が始まるのだろうと落ち着きなくそわそわしている。そのまま少し待っていると曲の中盤に差し掛かり、キャラクターたちが「さあ、みんなも踊って!」と声を上げる。……よし、今だ。その合図で、俺は腕を横に大きく広げた。「わあ……っ」音楽に合わせて踊り始めた俺に、シムは両手で口を覆...

  • 触れてもいいですか。 21

    せっかく綺麗に詰めたのに残念な見た目になってしまったお弁当。味は変わらないと思うし胃の中に入ってしまえば何でも同じなんだろうけど。「文句があっても心の中に留めておいてくださいよ」料理は見た目も大事だって言うし、自分で食べる分には問題ないけど、他の誰かから美味しくないなんて言われたらさすがに傷付く。リスのように口いっぱいにご飯を詰め込んだユノさんにそう言えば、彼はきょとんと目を見開いた。「あ、ちゃん...

  • 触れてもいいですか。 20

    つまり、だ。チャンミンは俺にお弁当を渡すために営業部まで来たけれど、俺が彼女からお弁当を貰ったのだと勘違いして、だから渡せなくて自分で食べようとしてたってこと?「それ誤解!誤解だから!全然、そういうのじゃないから!」「だからこれはユノさんのじゃないですって。そういうのって、どういうのですか」営業部に来たことは否定しないけど、お弁当のことは頑なに否定するチャンミン。「あの子営業部に彼氏がいて、その人...

  • 触れてもいいですか。19

    てっきり文化系だと思っていたチャンミンの足は、めちゃくちゃ速かった。お弁当を腕に抱えたまま走るチャンミンを、どこに向かっているのかも分からないままがむしゃらに追いかけ、疲れてきたのかスピードが落ち始めたところでようやく捕まえることができた。息が上がりながらも名前を呼んで腕を掴むと、振り払われはしなかったものの、硬直して怯えた小動物のような瞳を向けられたから慌てて手を離した。ごめん、と謝るとチャンミ...

  • 触れてもいいですか。 18

    中身がまったく同じ2つのお弁当をテーブルの上に広げて、僕はやるせない気持ちになった。冷静になって考えてみれば男が男にお弁当を作るのもヘンな話だと思うし、作る前にそれに気付かなかった僕はどうかしている。毎日のようにユノさんにおかずをあげていたから、感覚が麻痺してしまったんだ。おかずを一口あげるのと、お弁当を作ってくるのとじゃ、気持ちの重さが全然違う。「そんなつもりじゃなかった」なんてユノさんに言われ...

  • 触れてもいいですか。 17

    僕はかれこれ十数分ほど前から、ソファに座ってレシピ本と睨めっこをしていた。本棚から数冊引っ張り出して来たそれらは、ずいぶん前、僕が料理を始めた頃に買ったものだ。昨日ユノさんが傘を貸してくれたから……そのお礼に、お弁当を作るのが良いんじゃないかと思って。ユノさんはいつも、食堂の定食ばかり食べているから。ただ、僕は彼の好きな物や嫌いな物を知らない。今日の休憩の時に聞き出すつもりだったのに、運悪く営業部の...

  • 触れてもいいですか。 16

    次の日いつものようにチャンミンの向かいの席に座ると、チャンミンは鞄の中からビニール袋を取り出して俺に渡した。「これ、昨日借りた傘です。ありがとうございました」「ああ。大丈夫だった?」「はい、おかげさまで」「それなら良かった」受け取った袋を膝の上に置き、さあご飯を食べようと「いただきます」と手を合わせた時だった。「それで、あの……」会話は終わったのだと思っていたら、チャンミンが何か言いたそうに唇をむに...

  • 触れてもいいですか。 15

    残っていた仕事はチャンミンのおかげかさくさく進み、思っていたよりも早く片付いた。荷物を鞄に詰め込んで帰ろうと席を立ったところで、どこかへ行っていたのか手に資料を抱えたカン部長が現れた。「おお、ユノ。悪いな、残業させちゃって」「いや、俺は全然……。カン部長こそ、お疲れ様です」「良かったら食べます?」とジャケットのポケットに入れていたチョコを渡すと、カン部長は「ユノって本当に甘いもの好きだよな」と笑って...

  • 触れてもいいですか。 14

    プロジェクトが終わるまでの期間だけれど用意してもらった俺のデスクは、ものの数日でまるで鞄をひっくり返したような汚さになってしまっていた。書類やファイルは乱雑に端っこに追いやられ、確認済みの事項が書かれたメモはパソコンの隅に貼りっぱなし。おまけに出勤する時に買ったアイスコーヒーのカップも飲みかけのまま置きっぱなし。カオスだ。残っていたコーヒーを飲み干しカップをゴミ箱に捨てて、俺は散らかったデスクの周...

  • 触れてもいいですか。 13

    雨は苦手だ。歩いているだけでスーツの裾に水滴が跳ねる。電車の床が雨で濡れているのを見るだけでゾッとするし、近くに立つ人の濡れた傘がぶつかろうものなら、僕はもう電車から降りたくなる。とにかく苦手。苦手と言うか、最早嫌いなレベル。「……さいあくだ」見上げた空はどんよりと暗く、大粒の雨が落ちては地面を濡らす。もはや日常化しつつあるチョン・ユンホとの食事を終え、午後の仕事に取りかかってすぐあたりから怪しいな...

  • 君のこころは僕のなか 21

    シムはすっかり落ち込んでしまっていた。もともと華奢な肩がさらに小さく見える。ベンチに座ったまま項垂れているシムを、抱きしめてあげたい。けど、いくら着ぐるみを着ているからと言って、好きな子を抱きしめるのはちょっと緊張する。テオとか、他の男友達なら、簡単にできるんだけどな……。両手を宙に上げたまま動くことができずにいたけれど、シムの瞳からぽろっと涙が一粒落ちるのが見えた瞬間、俺は考えるのをやめた。ええい...

  • 君のこころは僕のなか 20

    てっきり、子供がぶつかって来たのかと思った。「ポッピー……」けれどその声は紛れもなく俺が待っていたシムで。ぽすん、と弱々しく背中に抱きついてきたシムに、俺は逆に驚いた。いつもなら大きな声で名前を呼んで勢いよく飛びかかってくるのに。俺が振り返ると離れて、シムはもじもじしながらショルダーバッグのヒモをぎゅっと握りしめた。俯いているから、俺からはくるんとカールした前髪しか見えない。何か良くないことがあった...

  • 君のこころは僕のなか 19

    『シール、ありがとうございます。嬉しかったです。また何か作ったら持ってくるので、良かったら食べてください』下駄箱に入っていた小さく折りたたまれたメモを、俺は3度見した。急いで書いてくれたのか、右端に書いてある名前だけが走り書きのようになっている。メモ帳までキャラクターものなのが、なんともシムらしい。せっかくだからと、昨日シムの下駄箱にシールを入れて帰った。正直、返事はあまり期待していなかっただけに...

  • 触れてもいいですか。 12

    どちらかと言えば部外者はチョン・ユンホのはずなのに、なんでこんなにも上から目線なんだろう。「……僕の同期ですけど」不穏な空気の中そう告げると、チョン・ユンホは眉を吊り上げて同期に食ってかかった。「同期だと!?なんでチャンミンに触ろうとしてるんだ!」「い、いや。一緒にご飯食べてるって言うから、どうやって仲良くなったのかって聞いてただけで」だから、一緒に食べてるわけじゃないんだってば。チョン・ユンホの鬼...

  • ずっといっしょに

    俺の父が再婚したのは、俺が中学3年生の時だった。新緑がきらきらと輝く5月の、初めの土曜日。あの日のことは、よく覚えている。仕事が忙しく家をあけがちな父が珍しく「少し出掛けないか」と俺を車に乗せて向かった先は、見知らぬマンションだった。慣れた様子で中に入り、一つの部屋の前で立ち止まる。「チャンミンくん、こんにちは」扉が開いて中から出てきた男の子に、父は聞いたことのないような柔らかい声でそう言った。男...

  • 触れてもいいですか。 11

    賑やかな食堂も一歩外に出ればしんと静まり返っていて、頭を冷やすのには丁度いい。つい感情的になって逃げるように食堂を出てきてしまったから、時間にはまだ余裕がある。僕は誰かと一緒に居ることが向いていない人種なんだ。そういう、人種。潔癖症だろうとなかろうと、他人に振り回されるのはまっぴらごめんだ。今度チョン・ユンホが僕の前の席に座ろうとしたら、追い返してやる。「お、シムじゃん」「……ああ、お疲れ様」ゆっく...

  • 触れてもいいですか。 10

    視線を上げた先に立っていたのは、僕と同じ総務課の女の子だった。綺麗にくるくると巻かれた栗色のロングヘアを揺らし、チョン・ユンホに向かって微笑んでいる。人形のようにぱっちりとした大きな瞳。ぷっくりと赤く染まる唇。つるんと柔らかそうな白い肌。女の子らしさを終結させたような彼女と、一度でいいから付き合いたいと言う男性社員は沢山いる、らしい。僕はそう思ったことはないが、そういった話はよく聞こえてくる。だい...

  • 触れてもいいですか。 9

    「あ、嫌そうな顔してる」チョン・ユンホがにやりと笑った。どうやら感情が表に出てしまっていたらしい。「……唐揚げ食べてるじゃないですか。それでいいでしょ」「だってチャンミンが作ったやつ、美味しそうなんだもん」当たり前だ。僕は伊達に何年も自炊生活を送っていない。そこら辺の男や、下手すれば女の子より、うんと美味しいご飯を作れる自信はある。彼は拗ねたように唇を尖らせた。僕には幼い子供のようにしか見えないけれ...

  • 触れてもいいですか。 8

    フライパンに卵を流し入れたときの、じゅうっという音が、僕は好きだ。徐々に固まっていく様子を見るのも好き。固まりきる前にくるくると手前に巻いて、それを3回くらい繰り返せば、ふわふわの卵焼きの完成。いつもより綺麗に焼けたような気がして、それだけで僕の気分は幾分か良くなる。今日も食堂は賑わっていた。お昼休みに突入するとすぐに人で埋まってしまうから、僕はこの時間を密かに闘いだと思っている。できるだけ、静か...

  • 君のこころは僕のなか 18

    「これ……」このシール、知ってる。お菓子のおまけだ。でも、僕が知らない絵柄。端っこにポッピーがいる。それに何だか、きらきらしている。なんでこれが、僕の下駄箱に。「あれ?それって、あのキャラクターだよね?」「う、うん」ジュニくんが隣に立って、僕の手元を覗き込む。僕の好きな物を知っているのなんて、ジュニくんか……。「……ジュニくんが置いたんじゃないよね?」「僕?置いてないよ」持ってたとしたら直接渡すよ、とジ...

  • 君のこころは僕のなか 17

    人のことはとやかく言えないが、ジュニくんは変わり者だと思う。違う学部である彼が僕のことを知っていることも驚きだったけれど、友達になって欲しいと言われたのはもっと驚きだ。可愛いものが好きで、お菓子を作るのも好きで、毎週テーマパークに通い詰めている、まるで女の子みたいな趣味を持つ僕。それに加えて人見知りが激しいから、同じ学部の人とだってまともに会話したことがない。だから、「友達になってくれない?」なん...

  • 君のこころは僕のなか 16

    「だ、誰だよ、ジュニって……」足を踏み出したままの状態で、俺は固まった。シムが笑顔を向けた先は、俺がいる場所とは反対の方向。木と木の間の細い道から、インテリ系のひょろっとした細身の男が現れた。どこかで見かけたことがあるような、ないような。思い出せない。ジュニと呼ばれたそいつは胸の前で手を振りながらシムに近寄って、あろうことか、当然のようにシムの隣に腰を下ろした。なっ、なんだって?これは一体、どういう...

  • 君のこころは僕のなか 15

    週が明けた月曜日、俺はシムに会いに行くことを決めていた。この間の、お菓子のお礼だ。せっかく作ってくれたのだから、めちゃくちゃ美味しかったと伝えなくては。何事も、言葉にすることが大切。あわよくば、シムと仲良くなるチャンス。今はまだ知り合いに毛が生えたような関係だから、どうにかステップアップしたい。俺は張り切っていた。準備はバッチリだ。ストラップを探したお礼にしてはシムからもらったお菓子が多すぎるから...

  • 君のこころは僕のなか 14

    目にかかるくらいの黒髪に、細い黒縁の眼鏡。優等生の見本のような彼に、僕は見覚えがなかった。けれど確実に、彼は僕のことを知っている。人違いだと言って誤魔化すか。正直に話して秘密にしてもらうか。2つの選択肢が、頭の中をぐるぐると駆け巡っている。どっちが正解なんだろう。いずれにしても、僕は早くこの場から立ち去りたかった。だってこれは秘密だから。隠しておきたい、僕の秘密。可愛いものが好きなことも、あのテー...

  • 触れてもいいですか。 7

    食堂の一番隅っこの席に、チャンミンは居た。あまりにもひっそりと座っているものだから、空いている席を探すために3回ほど辺りを見渡してからようやく気が付いた。チャンミンは箸を持ったまま、外のサクラ並木を眺めていた。これが咲いたらあたりはピンク一色になりそうだけれど、今はまだ蕾も不揃いで茶色しか見えない。咲いていないサクラの木を見て何が楽しいんだろう。疑問に思ったけれど、窓から差し込む柔らかな日差しに照...

  • 触れてもいいですか。 6

    チャンミンと一緒に帰った日から、3日が経とうとしている。あれ以来チャンミンとは何の進展もない。というか会ってすらいない。部署が違うだけでこうも会わないものなのだろうか。確かに、チャンミンは営業部とはあんまり関わらないって言ってた。それにしても、だ。もしかして俺、避けられてる?……いや、それは無いか。無い無い。さすがにそんなことは。考えを打ち消すように、俺は首を横に振った。だって他の総務課の女の子たち...

  • 君のこころは僕のなか 13

    着ぐるみのバイトにも慣れてきた。手を振れば振り返してくれる子どもも、徐々にではあるけれど増えてきた。ポッピーに対する知名度はいまいちだけれど。それでも頑張りたいと思えるのは、毎週土曜日になるとシムが来るから。これは2人だけのヒミツだ。シムはポッピーの正体を知らないから、俺が勝手にそう思っているだけなんだけど。「ポッピー!」ほら、来た。もう声だけで分かる。シムが来たんだって。シムはいつもお腹じゃなく...

  • 君のこころは僕のなか 12

    「えー、ユノ帰んねーの?」「うん、ごめん。ちょっと用事があって」「用事って?」「え?えーと……」こてん、と友達のテオが首を傾げる。「ちょっと課題をやろうかな?なあんて」「課題?ユノ、学校で課題なんてやったことねーじゃん」「うっ」確かにそうだ。なかなか 痛いところを突いてくるじゃないか。俺は言葉に詰まった。テオとは履修している授業もほぼ同じ。家の方向も同じ。普段一緒に帰ることが多いから、疑問に思うのも...

  • My Sweet… 〜Happy White day〜

    最近、チョンさんの行動が怪しい。テレビでやっているホワイトデー特集を食いいるように見たり、見慣れないファッション雑誌がリビングに置いてあったり、仕事ではないのにパソコンを開いては何かを一生懸命検索している様子。僕は考えた。チョンさんには気になっている人か、彼女が出来たんじゃないかって。そうじゃなきゃ、今まで仕事ばかりしていたチョンさんが、仕事以外のことであんなに悩んでいる顔をするはずがない。もうす...

  • 君のこころは僕のなか 11

    3限目が終わってすぐに下駄箱に向かったけれど、チョン・ユンホの姿はなかった。彼は目立つから、居たらすぐに分かるはずだ。まだ来てないだけ?それとも帰っちゃった?待てども待てども一向に来る気配はない。そのうち人通りもなくなり、廊下はしんと静まり返る。時間を確認すれば4限目の始まりから10分ほど経っていた。……もしかしたら授業を受けているのかも知れない。僕は図書館で時間を潰すことにした。この時間の図書館は...

  • ハジメテのふたり。 おまけ 後編

    事件はある日突然起きた。なんと、シムが前髪を切って登校してきたのだ。今まで隠していたぐりぐりの大きな瞳を惜しげもなく晒し、校内でも大きな話題となった。地味で根暗だと思っていた男が一夜にして美少年になっていた。まるでシンデレラストーリーだ。シムに一体何が起きたのだと皆が気になっていたけれど、今までの態度が態度だっただけにどうにも話しかけられずにモヤモヤしている、そんな状態。ユノが中庭に現れるようにな...

  • ハジメテのふたり。 おまけ 前編

    俺の名前はパク・ドンヒョン。勉強は苦手だし性格も短気だし、自慢できることと言えば体格が周りの奴らよりもちょっといいことくらい。小学生の時についたあだ名が「大将」で、俺はガキの頃からそれはそれはやんちゃだった、らしい。らしい、と言うのは小さい頃の記憶なんてほとんどないから。俺は記憶力もなければ物を覚えるのも苦手なんだ。そんな俺にも、好きな奴がいる。「………あのさ」「何?」「お前さ、その、あのさ……ええっ...

  • ハジメテのふたり。 6

    ※微R18ぎち、という音がしそうなのは、やっぱりそこが本来なにかを入れるような場所ではないから。この間より痛みはないけれど、内臓を押し上げるような圧迫感に、僕は目をぎゅっと瞑った。お互いの息遣いが鮮明に聞こえる。少し苦しいけれど今はユノを受け入れたい気持ちの方が強くて、不安はない。ユノが僕のことを好きだって、もっと触れたいって、そう言ってくれたから。「チャンミン……全部入ったよ」一瞬だったかも知れないし...

  • My Sweet… 28

    スーパーから戻ってきて部屋を覗くと、チョンさんはすうすうと寝息を立てて眠っていた。「早く帰って来い」とは言われていたけど、わざわざ起こす必要もないだろうと思って部屋には入らないまま、静かに扉を閉めてキッチンに向かう。そうして30分後。完成したたまご粥とカットしたフルーツ、スポーツドリンク。あとは薬を飲むためのお水。それらをトレーに乗せて部屋に入り、テーブルの上に一旦置いた。僕のベットの上で眠るチョン...

  • あとがき

    皆さんこんにちは。やっとBlueシリーズ、最終話を迎えました。予定よりだいぶ長くなってしまったのですが、お付き合いいただきありがとうございました!実は書いている最中、違うシナリオも思いついておりました。彼女と別れてユノと結ばれたチャンミン。腹いせに彼女からユノとの仲をリークすると脅され、事務所からも釘を刺されてしまい、二人は一度別れる。↓結局チャンミンがすべて責任を負う形になり、彼女と付き合っていたこ...

  • ivory 8

  • ivory 7

  • ivory 6

  • ivory 5

  • My Sweet… 27

    久しぶりに風邪を引いた。以前引いたのはいつだっただろう。シムが俺の家で働くようになってからは体調を崩した覚えはないから、それより前だ。以前の俺の生活と比べたら、だいぶマシになったと思う。仕事が忙しいときは、食事を抜くことなんてざらにあった。コンビニの菓子パンやおにぎり一個で済ますことも。食の好みは勿論あるけれど、自炊はできないし、何が食べたいとかこれじゃないとダメだとか、こだわりも特にない。お腹が...

  • 触れてもいいですか。 5

    ………しまった。僕は吊り革を直接触ることはできないから、いつもハンカチで掴むようにしている。電車に乗る時に手に持っておくのだ。けれど今日はチョン・ユンホが一緒だったし、やたら話しかけてくるから用意しておくのをすっかり忘れていた。鞄の中に入っているけれど、この満員電車の中で身動きを取るのは難しそう。左手に持っている鞄は、すでに人と人との間に押し潰されている。僕としたことが、かなりの失態である。せめてま...

  • 触れてもいいですか。 4

    「チャンミンは一人暮らし?」「……そうですけど」「俺もなんだよねー。チャンミンはお昼ってどうしてる?やっぱり食堂?」「………いえ」「外で食べてるの?あの辺で美味しいご飯屋さんある?」さっきからずっと、こんな調子。質問、質問、質問ばっかり。電車が発車してすぐ、僕はチョン・ユンホと一緒に帰ったことを後悔した。部署も違うし、今日さえ乗り切れば……と百歩譲った結果だったけれど、それにしたって彼はよく喋る。とにか...

  • 触れてもいいですか。 3

    最悪最悪最悪最悪さいっあく!!!僕はチョン・ユンホにキスされた唇を、水で念入りに洗っていた。スーツの袖が濡れているけれど、今はそんなことを気にしている場合じゃない。動揺のあまり彼を突き飛ばして、トイレまで走って逃げてきてしまった。だから結局、案内も何もしていない。追っては来ないみたいだし、あの場に取り残された彼がその後どうしたかだなんて、もはや僕が知るところではない。社内で迷って、困ってしまえばい...

  • 触れてもいいですか。 2

    「……総務課のシム・チャンミンと申します」「チョン・ユンホです」「よろしく」と僕の目の前でニコニコと笑顔を振りまくこの男。エントランスで少しの間待っていたらやって来た彼を見て、うちの会社の人間じゃないとすぐに分かった。顔はやたら小さいし、背も高くてすらっとしている。おまけに脚も長い。非の打ち所がないようなイケメン。黒髪なのにどこかチャラチャラして見えるのが、いかにも営業部という感じだ。……いや、これは...

  • 触れてもいいですか。 1

    昨日の空港写真を見て歓喜した結果の産物です。「お前昨日の合コン、どうだったんだよ」「んーまあ顔は微妙だったんだけどさあ、スタイル良い子がいたからお持ち帰りした」「うわ、マジかよ。ほんと節操ねえな」社員食堂の隅っこで、下品な会話にゲラゲラと笑う他の部署の知らない奴ら。1つ席を空けて、その隣に座る僕。……お願いだから、こっちに唾は飛ばすなよ。そう念じながら、僕は空になったお弁当箱をハンカチできっちりと包...

  • ハジメテのふたり。5

  • 君に花束を 後編

    僕の視線の先に、ユノさんがいる。僕と同じように真っ白のタキシードを着て。僕に向かって微笑んでいる。ここにいるのはユノさんと僕の2人だけ。まるで世界に2人きりみたい……なんて思うのは、僕がドラマの観過ぎ?「チャンミン、おいで。ここまで来てくれる?」ユノさんが僕を呼ぶ。落ち着いた、優しい声で。「ユノさん、これって……」どういうこと?聞きたいけど、頭が混乱している。さっきから心臓の音がうるさい。ユノさんは仕...

  • STAY GOLD

    チャンミンのバースデー小説どうしようと漁ってたら去年書いたやつが出てきたのでちょこっと修正して再upします(手抜きしたわけじゃないです…笑)可愛い可愛い恋人とその愛犬の写真を前にして、俺の気持ちは複雑だった。今日は2月18日、つまりは恋人の誕生日。日付が変わったと同時に、普段大事なところで甘えてこない恋人に愛を伝えて目一杯甘やかす予定だったのに。その前日になって実家に帰るから夜しか会えない、なんて言われ...

  • 小ネタ詰め合わせ

    会話文のみ小ネタ◎Happy Birthday「シム、これ」「なんですか、その箱」「さて何でしょう」「…?え、ケーキ?」「あたり〜」「なんで……」「何でって、誕生日だからだろ」「知ってたんですか」「そりゃあ可愛い後輩の誕生日だもん」「………あの、チョンさん」「ん、なに?」「大変申し上げにくいのですが、僕の誕生日は明日です」「え?」「明日です」「まじか」「まじです」「…あっ、じゃあこれからシムの家行っていい?」「はっ?」...

  • もうすぐ5万拍手なので!

    こんにちは、管理人のニカです(⌒▽⌒)明後日にチャンミンの誕生日を控え、お話をどうしようかな〜と悩んでいるところなのですが…。それとともに、当ブログは大変ありがたいことにもうすぐ5万拍手を迎えようというところでして……。2万拍手の時にもやりましたが、またリクエストを受け付けようかな、と思っております。大まかでもいいですし、細かい設定があってもいいですし、このお話の続きが読みたい、でも何でも大丈夫です〜!お名...

  • more more 2

    以前、いつか連載したいと思って書いたmore moreの続きです。設定が少し特殊?です。楽しんでいただければ幸いです…。「パネル展、行ってきました……っと」カメラロールから写真を選んで、コメントを打ち込む。タグも付けて確認をしてから、投稿ボタンを押した。その一連の動作は、もう手馴れたもの。この間、僕の大好きなアーティスト、ユノユノのアルバムが発売された。雑誌や音楽番組への出演情報も続々と流れてきたところに、さ...

  • My Sweet… 〜Happy valentine〜

    「チョンさん、行ってらっしゃい」「……ああ、行ってくる」お弁当を渡して、チョンさんを見送る。いつも通りの光景……だけど、今日はちょっと違うんだ。なんて言ったって、今日はバレンタインデーだから。昨日のお昼。チョンさんが仕事に行っている間に準備をした。直接渡すのも恥ずかしいから、お昼の休憩中にでも食べてもらおうと思って。何日も前から考えて、ブラウニーを作ることに決めた。あのチョンさんのことだ。今までに色ん...

  • 君に花束を 中編

    「チャンミンさん肌すべすべ!」「睫毛長い~!」あっという間に土曜日になって、あれよあれよとユノさんに式場に連れられ、メイクルームだと案内された部屋。ユノさんは一緒に入らずどこかへ行ってしまって、代わりに僕を待ち受けていたのは、ユノさんのお店のスタッフだという女性2人。僕の顔を見るなり何やらきゃっきゃとはしゃぎ始めたから、僕は緊張する暇さえなくなってしまった。頰にファンデーションを塗りたくられ、それ...

  • ハジメテのふたり。 4

    前髪を、ヒチョルとか言うあのコスプレ喫茶の店長に切ってもらったらしいチャンミン。いつも隠れていた大きな瞳は、もう遮るものがなくなってはっきりと見える。………俺だけのものだったのに。チャンミンが前髪を伸ばしていた原因は俺にある。俺が小さい頃に女の子だと勘違いしていたせいで、チャンミンは自分の顔があまり好きではないのだと言う。それについての誤解も解いたし、気持ちが通じ合ってからはあまり気にしなくなったよ...

  • 君に花束を 前編

    花笑みのふたりです。ユノさんは忙しい。ここ数ヶ月の間、ずっと。今まで働いていた美容室を辞めて、独立するための準備をしているから。物件を探すところから始めて、内装の打ち合わせをしたり器材を揃えたり、集客のための広告をどうするか考えたり。さらにはユノさんの代わりに新しく店長になる人への引き継ぎ業務もやらなければならないと言うのだから、ユノさんの最近の忙しさは僕には到底計り知れないものだった。だから帰り...

  • ハジメテのふたり。 3

    前編、中編表記から数字表記に変えました。(また失敗した…)「ヒチョルさん、僕の前髪を切ってください」裏口からお店に入り事務所にいたヒチョルさんにそう声を掛ければ、彼は「待ってました」と言わんばかりにニヤリと笑った。ホールで働く子たちが、コスプレ衣装に着替える時に使っているロッカールーム。そこに大きな鏡がある。ヒチョルさんが事務所にあった椅子を持って来て、下に新聞紙を敷いてから、その鏡の前に僕を座ら...

  • ハジメテのふたり。 中編

    あの日から、ユノとは何だか気まずい。あの日、というのは、つまりユノと僕が初めて……そういう、恋人同士の行為をしようとした日のことだ。相変わらず、学校の帰りにはどちらかの家に寄る。テレビを観たりゲームをしたり、お菓子を食べながら雑談をしたり。いつもと変わらない。けれど、あの日以降ユノは、僕に気を遣っているというか。どう接していいのか躊躇っているというか。そんな雰囲気が伝わってくるのだ。毎日していたキス...

  • ivory 4

  • Baby I love you 後編

    研修の帰りはちょうど帰宅ラッシュの時間にはまってしまって、俺は心身ともに疲れ切っていた。修了式での俺の挨拶は大成功に終わった、と思う。チャンミンに会いたい気持ちを必死に堪えて作った、無駄な表現を一切省いた原稿。それを人が聞き取れる程度に早口で読み上げた結果、予定より5分早く式が終わった。たかが5分、されど5分。チャンミンと過ごせる時間が300秒も延びたんだ。よく頑張った、俺。しかも電車の乗り換えも...

  • Baby I love you 前編

    Bitter Chocolate Cakeの2人です。どこにでもあるような、安っぽいビジネスホテルの一室。申し訳程度に隅っこに置いてある机の上に、俺は乱雑に書類を広げていた。「あー会いたい。まじで無理。耐えらんない」机に頭がぶつかりそうなほどの勢いで項垂れれば、そのうちの何枚かがひらひらと床に落ちる。「え、何事?」俺の様子に、テレビを観ていた同僚がぎょっと目を見開く。「彼女?」「うん、そう。恋人」「ユノがそんなにハマ...

  • Sweet afternoon 後編

    「ちょっとユノ、あんなこと言ったらシウォニヒョンに怪しまれるでしょ…!」「わざとだよ」「何でっ」「いいだろ別に。実際、付き合ってるんだし」「そうだけど……!」屋上へと続く階段を上りながら、ぺしぺしと俺の腕を叩くチャンミン。振り返れば、恨めしそうに俺を睨む大きな瞳と目が合った。最近、ようやく俺と話すのに緊張しなくなってきたらしい。……チャンミンいわく「緊張して素っ気ない態度になってしまった」らしい、あの...

  • Sweet afternoon 前編

    Blissful morningの続編です。普段あまり来ることのない場所だから落ち着かないのか、営業部の入り口の周りを行ったり来たり、そわそわしている俺の恋人。昼食を一緒に食べるために屋上で待ち合わせようと言ったはずなのに、こうしてわざわざ迎えに来てくれたのであろう彼に、つい口元が緩んでしまう。きょろきょろとを辺りを見渡しながら俺を待っている姿が可愛いからもう少し見ていたくて、わざとすぐには席を立たずにその様子を...

  • My Sweet... 26

    勝手に部屋に入るのは躊躇われたから、とりあえずチョンさんを僕の部屋に連れて行く。本当なら、チョンさんの部屋の方が看病するのには楽なんだけど。こういう時面倒だなあと思うけれど、チョンさんの部屋には会社の書類やら何やらが置いてあって、入るなと言われているのだから仕方ない。スウェットに着替えてもらってベッドに横にさせれば、チョンさんは電池が切れたようにすぐに寝てしまった。風邪以前の問題で、チョンさんには...

  • 君が眠るまで。 後編

    ーあ、来た。始発駅だから、しばらく停車している電車。中に乗り込むなり、きょろっと辺りを見渡して、俺のところで視線を止める彼。2週間くらい前から、俺の隣に座るようになった高校生。もちろん、彼とは知り合いではない。彼も彼で、何をするわけでもなく、いつもリュックを抱えて寝ているだけ。けれど俺が降りる駅の2つ前の駅に着くと、ちゃんと起きて何事もなかったように降りていくのだ。だいぶ、不思議な奴である。着てい...

  • 君が眠るまで。 前編

    ーあ、いた。帰りの電車。4両目の1番ドア。入ってすぐ左側、端っこの席。いつもイヤホンを付けて、動画を見ているか音楽を聴いている彼。その隣の席が空いていたらラッキー。そうしたら、僕は少しの間だけ眠ることができるから。『ストレスからくる不眠症ですね』1ヶ月くらい前から、僕は眠りが浅かったりなかなか寝付けない日が続いていた。心配になって病院に行った結果、お医者さんからそう診断された。大学の受験を控えてい...

  • Ivory 3

  • 秘密の逢瀬 3

    ここは高級なホテルじゃないから、多少フランクな接客をしてもお客さんからクレームが来ることはない。とにかく安く泊まれさえすればという人がほとんどで、そこに質は求めていないからだ。むしろ、そういう接客の方が意外とウケが良かったりする。「お帰りなさい。はい、どうぞ」にこり、と。作った笑顔を浮かべて、お客さんに鍵を渡す。これくらいの接客なら、とりあえず愛想の良い笑顔を振りまいておけば大抵のことは許される。...

  • 秘密の逢瀬 2

    光州の駅から歩いて数分。建物は古いし決して綺麗とは言えないけれど、立地の良さの割にはリーズナブルな価格で宿泊費を安く済ませたい旅行客にはうってつけの小さなホテル。そこで俺は働いている。性別も国籍も問わず人の出入りが激しいこのホテル。接客という接客もチェックインの時の説明くらいだし、必要以上に人との関わりを持ちたくない俺にはちょうどいい職場だ。 「さっきの女の人、見た?」キャスターが付いた椅子をくる...

  • Ivory 中編

    どうせ叶わないのなら。どんなに願ったって、誰かのものになってしまうのなら。いっそ嫌いになってくれた方が、この気持ちにも踏ん切りがつく。そうしたらきっと、チャンミンのことを諦められる。『ユノヒョンの世話をできるのなんて、僕くらいしかいませんよ』なんて。自分は彼女を作ったくせに?もう、俺の方を振り向くことはないのに?無責任なことを言うチャンミンに苛々して……だからキスをした。これで2人が積み上げてきたも...

  • Ivory 前編

    Blackの続き。あの日…ユノヒョンからキスをされた日から、もう一週間が経とうとしている。次の日も2人一緒の仕事の打ち合わせがあって、でもそこに現れたユノヒョンはいつもと変わりなかった。周りのスタッフ達と笑顔で会話をしているヒョンを見て、あれは夢だったんじゃないか……なんて思ったりしたけど、確かに現実で。『俺のこと嫌いになれよ』こびりつくように、はっきりと耳の奥に残っているその言葉。苦しそうなユノヒョンの...

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、ニカさんをフォローしませんか?

ハンドル名
ニカさん
ブログタイトル
SHE
フォロー
SHE

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用