こっちは朝早くからがやがやと 掃除に励んでいるというのに、 あっちはなんだってあんなに こっちの物音など気にもとめず まるで他人事みたいに 足を投げだして スマホを見たり本をめくったり ふんぞり返りつづけてんだ。 ふざんけんじゃねーよ。 なんて、 性懲りもなく夫を恨めしく思いながら、 冷蔵庫の下のネジをくるくるまわし、 でっかいそれを恐る恐る引く。 力を入れなくても 冷蔵庫はすーっと移動して、 私は裏側に入り込む。 あちこちにたまった埃を 歯ブラシでかきだす。 プラ製の敷物をはずして、 床と敷物と壁を雑巾で拭き上げると、 なんとも立派な大仕事を ひとつ仕上げた気分になる。 で、また敷物をおき、…
イブの朝も、 おにぎりと味噌汁の朝ごはん。 どのおにぎりの中にも やっぱり卵とマヨネーズ。 いつもと少し違う見た目に 娘は目をぱちくりあけて、 大袈裟なくらいにはしゃぎはじめる。 「ツリーのとこ、もったいなくて食べれない」 なんて言いながら、 ばくばくとたいらげた。 ものすごく喜んでいるふうにみせかけて、 実はそれ以上に 私を喜ばせようとしているのかもしれないな。 ここ半年ほどで著しく成長した 娘の横顔をながめながら、 ふいにそんなことを思う。 学校が大好きな小学2年生は、 毎朝大きく重いランドセルを背負って、 笑顔で家を出ていく。 玄関で 「がんばってね」 と声をかけると、たいてい 「がんば…
「ママ、ママ」 と甘えた声でくっついてきていた娘が 何を思ったのか、どう思い立ったのか、 半月ほど前から私のことを 「おかあさん」 とよぶようになった。 はじめは淋しくて、 気がゆるんだすきに 「ママ」と娘の口からふとこぼれるたび うひゃひゃっ、と喜んでいたのだけど、 そんなふとも もうほぼなくなってしまった。 娘の8歳の誕生日は出社日で 早くに家をでる必要のあった私は、 ひとり先に朝ごはんをたいらげたあとに 娘を起こした。 寝室からのそのそ移動してきた娘と 小部屋からひょこひょこやってきた夫に 味噌汁をよそってから、 マスクをし、いそいそと玄関にむかった。 「わぁ。ちょっとおとうさんこれみて…
「ブログリーダー」を活用して、asaさんをフォローしませんか?