俺の名は、ティウという。 すこし前までは、俺の名を知っているのは、一緒に住んでいるお祖母さんだけだった。 それがあるとき、ある事件をきっかけに、俺の暮らすこの黄金野一帯に、俺の名は広く知られるようにった。 今日はその話をしようと思う。 とあるカメと、とあるウサギのお話だ。 聞いたことがあるだろう?カメが勝つ話だ。 とあ…
おれは息をひっこめた。 心臓がとまる。 猛禽族。しかもあれは、クマタカ族だ。 旋回している。獲物を探している。 足にぎゅっと緊張が集まる。逃げなきゃ。あれは危ない。 何人もの仲間を連れ去った、空のギャングたち。一羽どころじゃない。家族だろうか、大小何羽もいる。狩場はここではないはずなのに。 おれは、耳と両足に、全神経を集中させた。
おれは、アリんこのお姉さんと一緒に、月見の原っぱに来ていた。 春の空には、やわらかく薄い雲が、清流のように流れている。朝早く、まだ草むらは乾ききらずに、露でキラキラと光っていた。 キリがステージがわりにしていた石の後ろには、日焼けした傘がさしかけてある。その影のなかに、小さなウクレレがひっそりと置いてあった…
「ブログリーダー」を活用して、小石さんをフォローしませんか?