見えない性能と、見える美しさのあいだで家づくりの話をするとき、「デザインが得意な建築家なんですね」と言われることがあります。もちろん、それは嬉しい言葉です。でも実は――僕が最も力を注いでいるのは、「見えない部分」かもしれません。■ 構造計算と省エネ計算建物の安全性と快適性に、裏付けがないと自信が持てません。全棟において許容応力度計算による構造設計を行い、耐震等級3を取得しています。これは単なる「申請上の数字」ではなく、未来の地震に耐えるための備えそのもの。同時に、省エネ計算による設計を通して**低炭素認定住宅(ZEH水準)**を実現し、環境と家計への配慮も欠かしません。こうした土台があるからこそ、本当に住まい手のためになる設計が可能になると考えています。■ タイルに宿る、風景の記憶今回、ヴィラで設計したリビングの壁に、青いヘキサゴンタイルを使用しました。タイル一枚一枚の色柄を職人が選び抜き、手で貼り分け、見る角度や光によってまるで“波のように”表情を変える、静かなアートをつくりあげました。その配置はランダムではなく――実は、窓から見える函館市内の地形を抽象的に表現したものです。地元を愛