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小説「闇が滲む朝に」を週刊で連載しています。 小説第1弾「海に沈む空に」を電子書籍として発売。

天野響一
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2018/07/28

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  • 「闇が滲む朝に」🐑章 最終回(第35回)「それでも桜は咲くっさ、負けねでファイト」

    さあようこそ、のど自慢に ヒゲさんの車で徹たちが「もとずろう温泉旅館」に戻ったのは、その日の午後6時前だった。はなえはそのまま温泉に入り、食事をした後は自分の宿泊部屋に入った。 徹は午後7時から宴会ルームで行われる「もとずろう温泉旅館 のど自慢大会」を見ながら酒を飲むことにした。今回はさすがに参加者も少なく6人ほどだという。コロナウイルスの影響で宿泊客は皆無に等しく、徹とはなえの他は地元の人ばかりだった。宴会ルームには空気清浄機を四方に設置し、ずんいちろ社長はこういう時期だからこそ、皆が元気を出すために開こうと決めたのだ。 「やあやあ、ようこそ」 宴会ルームに徹が入ると、マイクテストをしていた…

  • 「闇が滲む朝に」筆🐑章 第34回「なんてこたあ、ねえっさ。ファイト、ファイト」

    なんてこたあ、ねえっさ「のど自慢、大丈夫ですかね」 徹がヒゲさんの顔を見る。 「やるっさ。どんなことがあっても『もとずろう温泉』のずんいちろ社長は、どんな状況になってもやるっさ。この前もあの温泉は完全防備してるから、ウィルスなんか吹き飛ばすって言ってっさ。参加者もずんいちろ社長のこと好きだから、いつも通りやるっさ。なんてこたあ、ねえっさ。フェイトフェイト」「ファイト、でしょ」 京子がヒゲさんの話に口を挟んだ。 「うん。フェイト?。そう。ファイト、ファイトだよ」 ヒゲさんは言いながら笑った。「はなえさんは、あまりご無理さならない方が」 京子がはなえの方を向いた。「私は温泉に入って、食事して寝ます…

  • 「闇が滲む朝に」🐑章 第33回「イノシシと闘ったさ。野良仕事も毎日が命懸けっさ」

    ジョイは綱なしで外に出さねっと「ただいま」 徹たちが京子と話しているところに、ヒゲさんが帰ってきた。「おかえりなさい」 京子は笑顔でヒゲさんを迎えた。「今日は早いわね」 「ああ。お客さん、あんまり待たせちゃいけねっから」「おかえりなさい」 京子からヒゲさんのことを聞いた徹とはなえは改めて見直すように、ヒゲさんに挨拶した。 「すみません。ジョイだけは毎日、朝晩、外に連れていかねっど。運動不足になるっけ。コーシー、持ってきて。それともお茶がいいですか」 ヒゲさんはテーブルの上の、徹の空になったコーヒーカップを眺めた。 クマとかイノシシも出るさ「おかわりがいいですか」 京子が二人に聞く。「いえいえ、…

  • 「闇が滲む朝に」🐑章 第32回「自分が飛んでいる。あの体験が全てを変えた」

    自分がどこかに飛んでいる リングのコーナーポストから飛び降り、相手選手のラブレスタ―めがけて身体をぶつけていった筈のヒゲさんの身体は、悲惨にもマットに全身を打った。そこにラブレスタ―の姿はなかったのだ。ヒゲさんはその時・・・・・・。自分がどこかに飛んでいると感じた。 自分がゆっくり空を飛びながら、やがて見えてきたのは霧の中に浮かぶ川だった。その先にどこかで見た記憶のある人たちがいる。にこやかとはいえないが、確かに手を振ってこちらに来るように促している。ヒゲさんはいい気持ちのまま、川を渡りそちらの方向に行こうとした。しかし、どこからか、「まだ、そこはダメだよ」という声が聞こえてきた。 まだ、そこ…

  • 「闇が滲む朝に」🐑章 第31回「壮絶な空中戦の末にプロレスのマットに沈んだヒゲさん・・・」

    ジョイと「竜乃湖」を目指して走る ヒゲさんは夕闇の林の中を「竜乃湖」を目指して走る。後方からジョイがハアハアと息を切らせながらついてくる。前足と後方の足はリズミカルに動く。 ジョイはヒゲさんの走る間隔には慣れている。もうこの坂道を上り降りし始めて2年半が過ぎた。ジョイがヒゲさんに出会ったのは3年前だ。 ヒゲさんはこの地に引っ越してきてからすぐにペットセンターへ行き、ジョイを見つけてきたのだ。ジョイのような大型犬に手綱をつけずに散歩するのは、都会や人の集まる所では決してできることではないが、幼い頃からこの木々がうっそうとする土地で、厳しく訓練してきたジョイなら大丈夫だという自覚がヒゲにはあった。…

  • 「闇が滲む朝に」🐑章 第30回「ヒゲさんがプロレスラー引退を決意した理由」

    かつてプロレスラーだった男 徹の目の前には1枚の写真が飾られている。それはリング上に立つ2人のレスラーの姿だった。1人は天源一郎、そして、もう1人はヒゲさんだ。今の風貌とは若いが確かにヒゲさんだと分かる。 「ヒゲさん・・・・レスラーだったのか」 徹はソファーのテーブルの方に降り返った。「そうなの・・・そういわれてみれば、何となく分かるわ」 はなえがトロフィーが並べてある応接間の周りを何となく見渡した。「こんなに沢山のトロフィー・・・・凄いわね。ヒゲさん」 はなえが納得するように首を縦に振った。「おまたせしました」 ヒゲさんの奥さんがコーヒーを運んできた。 「奥さん、お気を遣わずに。お名前は・・…

  • 肉親を殺害され人生が暗転した男と、家族が辿った運命とは。小説「海に沈む空のように」

    「海に沈む空のように」(天野響一著、アマゾンkindle版「電子書籍」) 誰もが長い人生では、苦悩と絶望の中で、自分が生きるか死ぬかの戦場にいると実感することがある。 3月8日から小説「海に沈む空のように」がアマゾンkindle版(電子書籍)として発売されました。 ★ストーリー ある日、女性の翻訳家が何者かに殺害される事件が発生します。やがて、警察の捜査で犯人が明らかになりますが、なぜ、彼女は殺害されなければならなかったのか不明のまま・・・。 被害者の兄・志賀昭雄はそれまで大手企業で仕事をし、順風満帆に生活してきましたが、殺人事件が発生してから人生の歯車が狂い始めます。妻や娘とはいつにまにか会…

  • 「闇が滲む朝に」🐑 章 第29回「二人の逃避行 ヒゲさんは一体、何者だったのか」

    ジョイというハスキー犬 ヒゲさんは自宅に着くと徹をはなえを先に降りるようにうながし、車を車庫に入れた。 玄関の横には縦横2メートル程の柵が作られ、中には大型犬が寝そべっている。 「ジョイ」とヒゲさんが呼ぶと、尻尾を振りながら犬が柵ごしに駆け上がってこようとした。ヒゲさんは「よしよし」と柵の隙間から犬の頭をなでた。「ずいぶんと、大きな犬ねえ」 はなえが少し怖そうに言う。 「はい。ジョイです。ハスキー犬ですけ。大丈夫ですよ」 ヒゲさんはうれしそうにジョイの首のあたりをなでながら答えた。「また、あとでな」 ヒゲさんは言いながら自宅の玄関の方に歩くと戸を開けた。「帰ったよお」大きな声で言いながら、「さ…

  • 「闇が滲む朝に」🐑章 第28回「二人の逃避行 龍神のいる森に住むヒゲさんという男」

    龍神様はありがたいから「竜乃湖」でしばらく立ち話をしながら3人は車に戻った。 ヒゲさんはバックミラーを見ながら、ゆっくりと車をバックしユーターンさせた。「どうだ、いいとこだっけ」 ヒゲさんが隣に座る徹に聞く。「ええ。静かでいい所ですね」「ヒゲさんはここで竜を見たことがあるの?」 後方座席に座るはなえが聞いた。 「うん?・・・・まあ、どうかねえ」 ヒゲさんは言葉を濁すとエンジンをかけた。 ランドクルーザーが重厚感のある音を出しながらゆっくりと動き出した。「龍神様はありがたいから・・・・龍神様を祀った神社や温泉も日本各地にあるしね。私も家族の健康と安全を拝んできたよ。今日はコロナウイルスを退治して…

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