季語は・・・師走尽 師走尽 世はこれすべて 塵芥 【去年の今日】週話§日曜枯寂~2023年大晦日~
季語は・・・冬の虹 六時半の 寝惚け眼に 冬の虹 【去年の今日】終話§霜月十一月が終わるですよ
2年保育の保育園に通っていた。以前も書いたようにプロテスタント系で、朝にお祈り、昼ご飯でお祈りと、訳など何も分からずにむにゅむにゅ唱えていたのだった。 毎朝、そんな保育園へ通っていたわけだが、まずは家からすぐの友だちの家まで迎えに行って一緒にてくてくと歩いて行ったのだ。グーグルマップで調べたら大人の足で約8分だから、もう少し余計にかかっていたかもである。 それにしてもと思うのは、60年前という“のどか”な地方都市で、五歳児が親の目を離れて自分たちの足で通園していたということだ。 もちろん車の通行量など今とは比較になどならなかったから、親たちの認識としても子どもだけで通わせても大丈夫と判断したのだろう。 今時のどこかの県だったら“児童虐待”とやらで通報されるような案件ではなかったかと思ってしまうが、当人たちはどこ吹く風で、時には途中にある町工場でコンクリートブロックを..
今年も残すところ12月一か月だけとなってしまった……嗚呼 そして年末っぽくないと思うのは、11月になっても残暑を引きずりまくってしまったので、明らかに季節感が狂ってしまっている。 そういえば尾瀬では、10月下旬にすべての山小屋が閉じた後も、11月上旬の前半までバス運行が行われていた。下界の陽気が夏日だったりするものだから、尾瀬もそうだろうと考えたのかどうか、公衆トイレも閉じられた尾瀬ヶ原に向かう登山客がいると、某山小屋主が驚いていた。 もちろん、それなりの装備で向かうのであればかまわないが、ちょっとした高原の紅葉狩りみたいなつもりで出かけるのだったら、気軽に過ぎるのではなかろうか。 問題は、山小屋などの有人施設が尾瀬ヶ原や尾瀬沼のすべてで閉鎖されていても、バスが運行されているというのは、いささか整合性を欠いているように思うのだ。 交通機関で行けるとなれば、行こ..
季語は・・・落穂 夕間暮れ 落穂啄(つい)ばむ 群すずめ 【去年の今日】学話§ラグビー練習試合~キヤノン対トヨタ~
3週間ほど前、藤井惣太名人・竜王が王座戦を制し将棋タイトル八冠を…… ……達成したが、そこまでタイトルを自分の手にすると、挑戦と防衛の戦いが毎週やって来る一年がデフォルトな状態となって、まさに頭を使うのも体力であることは間違いなく、そのエネルギーは数日で充填されるものか、時には二つのタイトル戦が並行して行われたり、言わずもがながら自己都合でスケジュールを決められるわけでもなく、自分でできることは、五番勝負であれ七番勝負であれ、負けることなくさっさとストレート勝ちして防衛し少しでも頭を休める時間を作り出すことしかないということだろう。 《つぶやきのトピックス一覧》
勤労感謝の祝日、今年最後のクラシック演奏会に行ってきた。ヤメン・サーディのヴァイオリン・リサイタルである。昨年秋、ウィーン国立歌劇場管弦楽団の新コンサートマスターに就任。現在は正式採用を目指し試用期間中。ピアノは沢木良子。 プーランク:ヴァイオリン・ソナタ FP119 ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番 A-Dur Op.100 **********************休憩********************** フランク:ヴァイオリン・ソナタ A-Dur FWV8 [アンコール] クライスラー:愛の悲しみ ラヴェル:5つのギリシャ民謡から第2曲「むこうの教会へ」 一曲目、プーランクのソナタは、ほとんど初めて聴くような曲だが、曲の形を掴みかねてしまった。プーランクらしいエスプリ、諧謔、ユーモアというものは見当たらず、いささか硬派とでも..
季語は・・・時雨 時雨来て スクランブルの カオスかな 【去年の今日】能話§中村吉右衛門一周忌
2021年11月28日に逝去した二世中村吉右衛門が、今日三回忌を迎えたが…… ……“大看板”の衰えは進み、だが若手の台頭は後れをとって、毎月一回は通っている歌舞伎座の客席も空きが目に立ち、ここ一番が踏ん張りどころではあれど、今だ“芯”となってくれそうな四十代から五十代の役者にさらなる頑張りが求められるが、生きていればそんな大きな核になってくれていたであろう勘三郎や三津五郎の早逝が悔やまれてならない。 《つぶやきのトピックス一覧》
[承前] 神保町三丁目南側で営んでいた神田天丼家が、10月31日を最後に閉店した。前もっての告知はなく、当日閉店のお知らせが張り出されて終わりである。 かねてより、閉店“記念”行列を何だかなあと眺めていたので、唐突なとは思いながらも、いっそ潔いやり方ではなかっただろうか。 元々は、神保町一丁目北側の路地裏で天丼いもやとして店を出していたが、2011年10月、今の場所に移転し“神田天丼家”として再スタートしたのだ。 天丼いもや当時は280円で食べられた天丼も、最後は700円となったが、それでも財布に優しいことに変わりはなく、あの辛口のタレは忘れられない……東京風のそれである。 最後に、今だ“若旦那”という風貌のS店主さんお疲れ様! [続く] 《神保町のトピックス一覧》
季語は・・・短日 四時過ぎて 短日もはや 留まらず 【去年の今日】週話§日曜有閑~掛け時計の修理~
小雪の次候“朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)”である。 澄み切った青空の日々が続いているが、一転して眼を落とすと、散った落葉が砕かれて広がり、寂しい地表である。そして、小雪次候で11月が終わる。 東京の最高気温も15度より上がることはなく、ウールセーターの出番も間もなくではないか。いや、着始めていてもおかしくはない。 日本人的な発想としては、12月へと暦が変われば、新しい年を迎える準備を始めなくてはという気持ちにさせられるようだ。12月という一年の終わりでシャッフルしたくなるという習性があって、時に御都合主義とも思えなくもないが、リセットするおくべきことと、持ち越すべきものとを分けて考えればいいだろう。 今週の終わりは師走十二月である。 《七十二候のトピックス一覧》
現役時代は四代目朝潮太郎として、引退後は若松親方から高砂親方となり、横綱朝青龍を育て上げた……放任主義が祟ったかどうか。朝青龍は不祥事を重ねた結果横綱を引退させられることとなる。 現役時代の朝潮は、突き押しを得意に大関まで登り詰めたが、しばしば引く悪い癖を出して土俵を割る自滅も多く、横綱に届くことはなかった。 そして朝潮の名を飛躍的に高めたのは、四コマ漫画の天才いしいひさいちによって描かれたところの『ワイはアサシオや』の力が大きい。それは同じく阪神タイガースの田淵幸一を戯画化した『がんばれ!!タブチくん!!』と並んで一大スポーツギャグ漫画となったのだ。 その後、高砂親方としては、朝乃山を大関まで昇進させたが、これまた不祥事が発覚して6場所の出場停止処分を受け三段目まで番付を落とした。この一件で、定年退職後再雇用中だった高砂から錦島に名跡変更していた朝潮は責任を問わ..
季語は・・・夜を寒(さむ)み 炊き立ての ご飯の湯気や 夜を寒み 【去年の今日】週話§土曜有閑~来週は師走ですか~
11月が終わりに近づいている。つまり一年が次に来る12月でおしまいということである。ああ……と思うアラ七十なわけで、もう一年が経ってしまう。 何度も書いているように、小学生から中学生くらいまでは時間の速度が遅いと感じていた。なかなか時が進んでくれないのだ。それはも、もどかしいと言えるレベルで、どうして夏休みがなかなかやって来ない、どうして正月になってくれないと、そんなことばかり思っていた。 そうしたら、あーら不思議。人生の半分も過ぎた頃から、坂道を転がるように時間が速くなっていったのだ。 それは、たぶんおそらく三十代の終わり頃が境い目ではなかったか。十代を終えて二十代から四十代あたりまでは、フラットな時の進みかたをしていたのが、ある日気がつくと坂道を下り始めていたのだった。 人生における時間の速度の推移はこうなのだと、しみじみ思い知った昨今のことである。そして生涯の..
季語は・・・冬枯れ 木道は 湾曲しつつ 冬枯れ野 【去年の今日】泡話§ワタシ的バブルの時代
欧米のドラマ映像を見ていて、額の傾きを直すシーンが出てきて、そういうものかと思っていた。 そして今、部屋や廊下、玄関に合わせて十数点の額装した版画類を掛けていると、その気持ちがよくわかるのだ。そして映像を見ていると、何というか頻繁に直していて、そんなに気になることなのかと思ったのだ。 それが自分の身になると、よく理解できる。額を眼にした瞬間に“あれ……傾いてる?”と、そうすると即座に近寄って、水平に正そうと試みるのである。 まずもって傾いていることに気がつくと、落ち着かなくなる自分がいて、それを修正すると、大げさではあるけれど“心の平静”が戻ってくるのだ。 かくして我が家の“常設展示”は常に水平が保たれている……はず。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・暮早し 暮早し ブログアップを 取り急ぎ 【去年の今日】爵話§ジャズはお好き?
テレビのニュースで視聴者が撮った“スクープ映像”が頻繁に使われるようになって久しい。スマホの普及が様々なシーンで起きた映像が録画されて、それがニュースで取り上げられるのだ。 そんな映像を見ていて気になるのは、8割から9割はスマホをそのまま縦位置アングルで撮影していることである。もちろん縦横どちらで撮影しても、それは撮影者の自由だが、テレビ画面やパソコン画面で見るなら、横位置で撮影したほうが、全体に広がりが出るような気がする。 さらに、人間の視界も横仕様になっているから、縦アングルでは窮屈としか感じられない。 スマホの習い性で縦位置そのままで撮ってしまうのだろうが、一手間かけて横位置で撮影してみることをお勧めしたい。是非一度試してみてください。視野が広がると思いますよ。 《テレビのトピックス一覧》
跳ね上げ眼鏡が欲しいのだが、なかなか気に入ったデザインが見つかってくれないでいる。 今の視力がどんな程度なのかというと、自宅ではほとんど眼鏡をかけることなく過ごしている。パソコンを眺めるのも眼鏡は不要で、テレビを観る時にかけるくらい。 車を運転する時は要眼鏡で、昼用と夜用と使い分けているが、最近は少しばかり老眼に振れていっているようで、昼用で夜に運転しても差し支えない。ただ、そんなわけで、裸眼と眼鏡をしている差があるようで、眼鏡をかけて本やパソコン、iPadなどを見ることはできないのだ。 外出していて、電車内でiPadを見る時は、眼鏡を外し頭の上にのせるのだがいちいちするのが煩わしく、なので跳ね上げ眼鏡が便利だろうと思っていて色々と探してみている。 だが、店頭でもネットでも思ったような気に入ったデザインの跳ね上げタイプが見つからない。いい加減、本腰を入れて探さないと..
季語は・・・黄落 黄落や 午後の陽射しの 赫赫と 【去年の今日】危話§山歩きの保険はワンコインで
先月、クレイジーキャッツ7人のメンバーで最後の一人だった犬塚弘が逝去した。 1950年代から60年代と、ギャグバンドとして一世を風靡した7人はもういない。ダークダックスのメンバーも全員鬼籍に入って、我々の“昭和”がいよいよ消えていく。 地味なようで、実は個性的な存在だった犬塚が、終戦後間もなく進駐軍の統計調査をしていたIBMに勤務していたとは、ずいぶん後になって知ったことである。享年九十四 合掌 《追悼のトピックス一覧》
宮仕え時代は、歯科医をしている高校時代の同級生に紹介してもらった歯医者に通っていた。仕事の前に途中下車して出向いても、それほど面倒ではなかったが、定年退職してからの歯医者探しには難儀した。 近いからいいだろうと取れた詰め物を元に戻してもらったら、何か月かして同じところが取れてしまった。ずいぶんと年齢も行きつつある医者で、詰め物の処理以外は期待できないと思っていたが、再度取れてしまうに至ってはもはやこれまでと、医者替え……予約は取りにくくなったが、設備や対応がまあまあよろしく、替えてよかったか。 そんなこんなで、年齢的なこともあって医者に通う頻度も増えてきたので、歯科と内科は遠くないところで固定できることになったが、他の診療科目は車やバスで行くしかない。車を手放したらバスが頼りである。 ちなみに“勝手にかかりつけ医”と決めている内科医は、実に頼りなくて、我が家では“ヤブ”認..
季語は・・・神の留守 社家町は 明神川や 神の留守 【去年の今日】盛話§平成中村座十一月大歌舞伎~宗五郎~
小雪の初候“虹蔵不見(にじかくれてみえず)”である。 夏日の気温になろうかという11月初旬だったが、下旬まで来れば、冬はもう眼の前と見える。 日の出は6時半に近づき、日没は16時半に近づく。5時過ぎに起き出せば、世間はまだまだ暗く、7時近くなってようやく明るくなっていくという……そんな暗い朝が、この先3か月以上は続くのだ。 辛うじての救いのようなものは、12月半ばを過ぎると日没時刻に関しては、少しずつだが遅くなっていってくれるということで、暦が新年に変わる前に春への明るさが戻ってくるのである。 《七十二候のトピックス一覧》
物にも“魂”がある……それは日本人が持ち続けてきた感情なのだろうか。もちろん、物を大切にするのは、日本人に限ったことではないのは言うまでもない。 だが“情”という要素が入ってくるのは日本だけのような気がしないでもなく、何よりも八百万の神々を戴く日本という国ゆえ、様々なものに対する愛着の中に、神道的な要素か混じってきているのではないか。 それゆえに“針供養”とか“刃物供養”といった行事が各地の寺社で行われるのもまたむべなるかななのである。 《日本のトピックス一覧》
季語は・・・律の風 朽ちてなお 鎌倉古道 律の風 【去年の今日】豚話§とんかつには刻みキャベツ!
1978年11月21日、江川卓が読売ジャイアンツと契約。 政治家が絡んでのこの出来事を見ていて、どうしてこんなあからさまとしか思えない“ズル”をするのだろうかと考えていた。あまりにも次元が低すぎるさもしい話でしかなかった。 江川は一歳下で、一浪した自分と同じ年に法政に入学した。六大学野球の対法政戦を2回ほど観に行ったと思うが、とにかくボールが速くて、当時どん底にあった我が大学の野球部は手も足も出なかったのだ。 そんな江川が、どのプロ球団に入るものか、本人は巨人一本の意志が固いことを示していたが、ドラフト次第でしかない。ところが……誰かが悪知恵を働かせて“空白の一日”の間隙を縫って、巨人と契約するという前代未聞の暴挙を為したのである。 結果、様々な軋轢が生じ、現役時代は言うまでもなく、引退して以降も、あの一件でダーティーの烙印を押されて、それを拭い去ることができないま..
[承前] “Memento Mori(メメント・モリ)”……ラテン語で「自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」という意味である。 この世の生きとし生けるもの、そのすべてが生きているということを実感しているだろうが、その先にある“死”について考えるのは人間だけではないかと考えた。 いやそんなことはない、ミジンコだって象だって考えているかもしれないぞと言う人がいるかもしれないが。ごくごく常識的な人の思考構造であれば、しかるべく年齢に行き着いたところで“死”について思いを馳せるのは自然なのである。 まあ、その後どのように自分の中で死というものを解釈、理解していくかは人それぞれだろう。だが、世の中には、理由はわからないけれど“自分は死なない”みたいな根拠なき発想を持っている人がいるようで、そうした人は自分が死に直面した時に、どのようなことを考えるのだろうかと思うのだ。 ..
季語は・・・片時雨 眼の端に 覗く青空 片時雨 【去年の今日】週話§土曜有閑~今年は三の酉~
インターネットのホームページを立ち上げようという提案があったが、個人的には反対であると伝えておいた。 サンプルで作ったページを見ると、OB会の催しの様子であるとか、会員からの近況を伝える、などなどが掲載されていて、会員の顔や実名など個人情報の類が、サンプルの時点でオープンになってしまっているようだ。実際に稼働した時に、こうした情報がオープンになるのは不都合が大きいではないか。 なので「ホームページで公にオープンにするような性質の集まりなのか」と疑問を呈しつつ、現時点で会員限定で参加できるフェイスブックのページがあるので、それだけでは不十分なのかと思ったのである。 というわけで、自分としてはOB会のホームページという存在意義を今のところ見出すことができないと考えているが、会員を見渡すなら、当然ながら六十代から九十代という高齢者集団で、何とかスマホは手にしてはいるが、パソコン..
すべては、超大抜擢の中村芝のぶ務めた鶴妖朶王女(づるようだおうじょ)の主役二人、菊之助と隼人の存在が薄く見えた“陰の主役”に尽きてしまう。 序幕冒頭、神々が話し合う場面は『仮名手本忠臣蔵』の大序を模したものと見ることができたが、このあたりが歌舞伎なのだ。 芝のぶは梨園の育ちではなく、国立劇場歌舞伎俳優研修を修了して歌舞伎界に入ってきて、名題まで昇進したが、この先幹部まで上がることはあるだろうが、大きな役をもらえることなどはまず考えられず、そういう意味では、まさに大抜擢なのである。 さて『マハーバーラタ戦記』は、2017年に歌舞伎座で初演されている。その時も観ているが、今回観ていて“何も覚えていない”ことを白状しなくてはならない。世界三大叙事詩ということだが、歌舞伎のこしらえにインドの人が額につける赤い印“ティーカ”で、言ってしまえば大雑把になぞったに過ぎないという..
季語は・・・熊手 抜け道を 肩に熊手の 鳶頭 【去年の今日】週話§土曜有閑~今年は三の酉~
毎日“一日一句”と称して俳句をひねるようになって、11年が過ぎていた。ざっと四千句を数える。 これはと思える俳句は少なく、時には同居人からけちょんけちょんに評されるほうが多いくらいではあるが、そんなことでめげていたら11年も続くはずなどなく、そこはしぶといのだ。 ところで――内緒だが(ぇ――遅ればせながらカルチャースクールで俳句の通信講座を受講している。 半年単位が2回。一年12回で、毎回2句を提出して添削してもらう……第三者の眼で遠慮なくダメ出しされるのは、いっそ気持ちがいい。 前半6回が終わった時点で、手放しで褒められたのは一句だけ。そこそこの出来だったのが2、3句くらい。 まだ、ダメ出しをされたあれとかこれとかが反映されるようになってきてはいないが、それでも少しずつでいいから形になってくれればと思う。 たぶんおそらく、最後まで習作のままに終わりそう..
季語は・・・忘れ花 ほらそこに ツツジ一輪 忘れ花 【去年の今日】W話§ハムカツの正しい定義
立冬の末候“金盞香(きんせんかさく)”である。 今年は残暑が長かった。一か月前も東京の最高気温は24.4度と夏日に迫るかのようだったし、翌日には25度を超え、さらにその翌日は27度などと、暑さを引きずっていたのだ。 例年であれば、10月中旬の前半には衣類の入れ替えがほぼ完了する段取りとなるのだが、今年は2回、3回とだらだら小出しの入れ替えが続いた。こんな衣替えも珍しいような気がする。 結局、下旬までTシャツを着ていたわけだが、これも例年だったら10月10日あたりをめどに片づけられるのだが、まだ油断はできないと3枚ほどを残しておいたのだが、さすがに20日過ぎまで着るとは思わなかった。 そして、11月も半ばを過ぎ、朝晩の気温もずいぶんと下がってきて、上に羽織る物も少しずつ厚くなってきたようだ。 《七十二候のトピックス一覧》
59年前の東京オリンピックで散々聞かされたのはアメリカ国歌で、気がつけばすっかりメロディーを覚えてしまった。 そして、ラグビワールドカップで覚えたのはニュージーランド国歌である。2019年に日本で開催された時に、2回か3回か聴いたら覚えてしまっていたのである。 初めて聴いた時、どこか懐かしいと感じたのは、何がなしプロテスタントの讃美歌に似ていると感じたからだろう。いかにも“偉そう”としか感じられないウエメセなアメリカ国歌に比べて、謙虚な敬虔さが見えてくるようだ。 というニュージーランド国歌だが、ラグビーの場合は続きがあって、国歌とキックオフの間に、お約束の“ハカ”が行われる流れなのである。 《ラグビーのトピックス一覧》
季語は・・・落葉 木漏れ日や 峠の道に 降る落葉 【去年の今日】連話§ブログの限界・・・・・・ダブる
1871年11月17日、全米ライフル協会設立。 話は単純で、銃の類を所持さえしなければ、少なくとも銃乱射による殺人が起きることはない。 だが、全米ライフル協会なる強力なロビー団体は、憲法を縦にアメリカ人を銃塗れにしているのだ。そして、ライフル協会の権力はいよいよ強大に、そして大量の資金が銃を支持する政治家に流れていくのだ。 もはや、自衛のための銃なる概念は形骸化し、銃を持つべきでない人間たちも簡単に銃を入手して事に及ぶのである。 去年(2022年)、アメリカで起きた銃乱射事件は600件以上、死者は1万5千人を超え、自殺など銃絡みの死者は4万5千人に近づく。ちなみに2022年、日本で銃撃による死者は4人でしかない。いかにアメリカの状況が狂気に満ち満ちているかがわかるであろう。 《歴史のトピックス一覧》
やって来る登山客が安心して歩けるように登山道の整備は欠かすべからざることである。話は尾瀬の登山道についてで、場所によってコンディションが極端に違っているのだ。 尾瀬の入山者のおよそ6割が利用する、鳩待峠から山ノ鼻のルートを見るならば、全長3km余りの登山道は良好に整備されている。木道の耐用年数は、およそ10年だが、メインルートということもあるのかどうか、順調に交換が行われていると感じる。 そうして尾瀬ヶ原についても、山ノ鼻から牛首分岐を経て、龍宮小屋が建つ中田代、群馬と福島県境までは、鳩待峠からの日帰り客が多いこともあって木道はよく整備されていて、本当に歩きやすい。 だが、ガクッと登山客(観光客)が激減する沼尻川の先福島県に入ると、木道の整備は遅々として進んでいない。 上の写真は今年5月のもので、下田代十字路の山小屋群近くまでようやく木道が交..
季語は・・・素秋(そしゅう) 顔見世は 素秋の風の 木挽町 【去年の今日】高話§ジュピター~交響曲を一曲選ぶなら~
[承前] ちょっとショックなニュースである。神保町のすぐ隣、駿河台の高台に建つ老舗の山の上ホテルが2月13日から長期休業するというのだ。 残念ながら宿泊する機会はなかったが、宮仕え時代は会社から遠くないこともあって、頻繁に利用させてもらった。事と次第によっては経費を使えたので、今はなき別館にあったカジュアルなほうのレストランには、ずいぶんとお世話になった。 あとは、本館“半地下”にあるワインバーのモンカーヴ。ただし、あそこは天井高の関係かどうか、話し声が聞き取りにくいという欠点もあったのだ。 客室フロアを歩いたことはないが、本館1階のレセプションあたりは頻繁に歩いていて、そのシックな落ち着きというものに安心感を抱けたのである。 長期休業の間に大規模改修するとのことだが、外観はもちろん、長年親しまれてきた内装もきちんと残してもらえるものか……そのあたりが気になっ..
気がつけば10月の終わりには南アフリカが優勝してラグビワールドカップ2023フランス大会は終わっていた。前回に続く2連覇である。 そして、フィジー(10位)、サモア(15位)、トンガ(16位)と南の島々が侮れない存在となり、今大会に出場したポルトガルが世界ランキング13位と、日本のすぐ下にいる。日本はティア1と認定されてはいるが、その地位に関してははなはだ危ういものがありそうだ。 ところで、個人的には強くなってくれたらおもしろそうだと考えている国がある。ドイツ(32位)やオランダ(27位)といった身体の大きい国がそれだが、まだまだ本大会出場には届かないレベルにある。 サッカーなどは強豪国であるのに、そもそもラグビーに興味がないのかどうかはわからないが、単純に考えて、本気で強化を始めれば、かなりな強豪になる可能性はあるのではないか。 なぜドイツがそれほどラグビーに対す..
季語は・・・七五三 ぐずる子を 煽る姉いて 七五三 【去年の今日】闊話§漫画のキャラクターが勝手に動きだす
ビッグイシュー467号は11月15日から発売されています。お買い求めできる場所はこちらを参照。毎月1日、15日発売。一部450円。230円が販売員の収入に。奈良美智が表紙。 表紙&スペシャルインタビュー 奈良美智 リレーインタビュー 安田レイ(シンガー) 特集 ジェンダーの生物学 「自然界には同性愛があふれている」。そう語るのは、坂口菊恵さん(進化心理学者/大学改革支援・学位授与機構研究開発部教授)だ。 同性愛は自らの子孫を残すには不利なのに、同性愛の性的指向が集団に存続するのはなぜか? 説得力のある研究成果が出ない一方で、近年、ヒト以外の生物で同性間の性行動が広く見られることが認識されつつある。“生物の性行動は異性間で生殖を目指して行われるはず”という前提が、崩れつつあるという。 たとえば、霊長類のボノボの同性間の性行動はよく知られているが、ア..
起きるのはおおよそ4時半から5時半の間。夜番の同居人が起きるまでの間は、北側の“勉強部屋”でパソコンを前にあれこれする時間である。 買い替えて5年が過ぎたパソコンは、起動時間が遅くて、画面が出て動かせるようになるまで15分くらいはかかってしまう……その時間がもどかしい。 ブラウザーを開けて常駐しているSNSに何か入っているかを一通り見回りして、必要であればメッセージを返したりしておく。 そうこうしている間に、天気予報やネットのニュースを斜め読み……まあ、そんなことをしていると一時間くらいはさっさと過ぎ、4時半頃は真っ暗な世間も、徐々に明るくなって、気がつけば始発バスの時間は、とっくの昔に過ぎていた。 4時過ぎくらいに起きてしまうと、さらに時間があるので、ブログのエントリーの一本くらいはまとめることができるのは効率がよろしい。 こうしてネット巡回が一段落する頃に..
季語は・・・熟柿 熟し柿 琥珀色めき 空は碧 【去年の今日】三話§平成中村座十一月大歌舞伎~唐茄子屋~
1690年11月14日、水戸藩の徳川光圀が隠居。 水戸黄門が各地で世直ししたという話が史実でなく、ただの“都市伝説”ですらなかったというのは今さらながらのことである。 どこをどうすれば、そんな話が生まれ出てきたものか……テレビで漫遊記を観ていて、天下の宝刀である印籠を差し出す場面がやって来ると、いきなり平伏することを不思議に思っていた。それほど葵の御紋の威光はさもありなんなのか。そこまで情報が浸透していたのかと考えてしまい「そんな印籠、偽物に違いない!」と決めつけられて、はいそれまでよとなってしまうのではと考えなくもない。 徳川光圀という人は名君の誉れ高く、庶民にも広く知られていたがゆえに、いつの間にかそんな話が生まれて巷間に伝わっていったということだろう。 ただ、光圀時代の1657年に始めた『大日本史』の編纂作業があまりの大事業ゆえ、水戸藩の財政を傾けてしまったと..
歌舞伎座新開場十周年記念吉例顔見世大歌舞伎夜の部に行ってきた。気温が一気に下がった日曜日、歩いている人の服装も冬物へと劇的な変化。そして歌舞伎座正面には顔見世櫓があがっていた。 仁左衛門の松浦侯で、秀山十種の内『松浦の太鼓』に始まり、梅枝の時姫で『鎌倉三代記~絹川村閑居の場~』を、最後に『顔見世季花姿繪』と銘打たれた踊り3つ……春調娘七種、三社祭、教草吉原雀である。 まずもって仁左衛門の松浦鎮信が自在。11月は二世中村吉右衛門が逝去して三回忌にあたり、仁左衛門の吉右衛門リスペクトが色濃く、一瞬だけだが、吉右衛門と重なるような松浦侯がいたような気がした。そうして記憶をたどるなら、仁左衛門で松浦侯の舞台を観るのは初めてなのだった。 松緑の大高源吾……長いこと梅玉で観ていた源吾だが、年齢的なこともありで分別臭いものと感じることが多かった。だが、松緑の源吾は落ちぶ..
季語は・・・吾亦紅(ワレモコウ) 居り尾瀬は 二泊三日や 吾亦紅 【去年の今日】週話§日曜有閑~同居人のシルバーパス~
立冬の次候“地始凍(ちはじめてこおる)”である。 10月下旬になっても夏日の気温を記録していた東京のことゆえ“地始凍”だなどと言われても、何のことやら?でしかない。 最低気温は一けた台を記録するようになったが、最高気温は20度を超えることも珍しくはなく、小春日和の陽気がありがたくもある。 とはいえ、そろそろ心しておかなくてはならないのが結露対策で、我が家では、最低気温が10度を切って5度に近づいてくると、窓ガラスに結露が発生するようになるのだ。 最低気温がそんな予報が出ると、台所の換気扇を最弱で回すことにしていてそうすると、結露を見ることもない。ちなみに去年は11月15日から換気扇を回し始めていた。 《七十二候のトピックス一覧》
宮仕えしていた会社は、社員同士の繋がりが浅めと感じていた、だから、上司から“ノミニュケーション”と称して誘われることはほとんどなかった。 社風というほど大げさなものではないが、個々人を尊重しているというか、仕事が終わってしまえば、それ以上の付き合いをする必要はないというか。 ……そうはいっても、ごくごくたまに、部下を誘って軽く呑みに行くことは数えるほどだが、年に一度とかくらいの頻度でやっていた。 そんな場で、個人的に心掛けていたことといえば、こちらから仕事の話はしないということと、長っ尻はしないということだ。 なので、部下のほうから仕事の話題が出れば、それについては話をするが、こちらから酒の席で仕事の話をしないというだけのことである。だから話題は他愛のない世間話のオンパレードというところか。 そして長っ尻しないというのも大事だと考えていた。基本的に2時間、長く..
季語は・・・紅葉 荒れ土塀 紅葉盛りの 大和路(みち) 【去年の今日】週話§土曜有閑~11月も半ば~
僧帽筋という、背骨と左右の肩甲骨から逆三角形にある筋肉がある。調べるともなく調べていて、たまたま名前の由来を知ったばかりなので備忘録的に書き記しておく。 僧帽とは、カトリックのカプチン会修道士たちがまとっている僧衣に付いているフードのことで、頭に被らず背中に垂らしておくと、その様が逆三角形でちょうど筋肉の位置と重なることから“僧帽筋”と呼ばれるようになったようだ。 そして心臓の僧帽弁の由来についても、合わせてこちらに解説があったのでリンクを貼っておくが、知らないことはまだまだ数限りなく存在している。 《健康のトピックス一覧》
季語は・・・冬の星 チェンバロの 和音ジャランと 冬の星 【去年の今日】会話§歌舞伎の屋号を忘れて思い出すの件
カトリック教会のミサで歌われるグレゴリオ聖歌の存在を知ったのは、大学に入った頃だった。 ハーモニーのない、たゆたうような単旋律の素朴な聖歌を聴いていると、カトリックの修道士たちが、僧衣に身を包み、僧帽を目深に被って尾瀬ヶ原を歩いているかのような錯覚に襲われることがある。 冬、雪が降る直前の冬ざれた光景の中を、彼らが禁欲的に歩いて行くのだ。 そして彼らが俯きながら唱えているのがグレゴリオ聖歌であるとは、妄想が過ぎるかもしれない。 そんな妄想を、季節ごとに、勝手にかつ個人的に感じてしまう自分がいる。 《クラシックのトピックス一覧》
季語は・・・十一月 十一月の 渋谷のカオス 交差点 【去年の今日】無話§尾瀬の落穂ひろい~大丈夫?~
ネット関連の懸案が何件かあるが、腰が重くて上がらない。 1……パソコンの買い替え。今使っているパソコンは2018年に購入して、既に5年が経過した。これまでも5年をめどに買い替えていて、そろそろが近づいてきている。 それは重々わかっているのだが、今一つ踏ん切りがつかないまま年末が迫りつつあるのだ。 買い替える費用も問題だが、買い替えた後の新しいパソコンへの環境設定やデータ移行などなど、そうした作業が面倒でグズグズしている。中途半端にできてしまうものだから、そうした作業を有料のサポに依頼するのもいやなのである。 2……光回線の契約変更。契約している光回線は2007年からのもので、速度が遅いと感じたりしていて、そろそろ見切りをつけようかと考えている。乗り換え先は決めているが、腰が上がらない。 3……ガラケーからスマホへ。今のガラケーが使えるのも、あと2、3年。サポー..
交響曲とは、げに不思議な音楽である。 ソナタ形式の第1楽章、そして入れ替わることもあるが、第2楽章は緩徐、第3楽章はメヌエットかスケルツォ、終楽章はロンド形式……これはまあ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンといった古典派音楽の作曲家たちの約束事で、ロマン派になると徐々に崩れていって、5楽章構成の交響曲も珍しくはない。 さて、作曲家は4つの楽章をどのようなイメージで作曲し、一つの交響曲としてまとめていくのだろう。 もっとも単純なのは、一つのモチーフ――メロディーとかリズムとか――を各楽章に共通して用いることで、これはベートーヴェンの交響曲第5番を聴けば、第1楽章冒頭の“ダダダダーン!”が全楽章を通して使われている。 ベートーヴェンは“運命の動機”をこれでもかとばかり執拗に使い続けて、いやでも我々の脳髄に刻み込まれてしまう……恐るべき手管ではないか。 そして..
季語は・・・立冬 立冬の 入口にある 大欅(ケヤキ) 【去年の今日】麵話§ラーメン屋死屍累々~安易な出店?~
マツタケのシーズンが始まった頃、道の駅に開店前から数十人が並んでいたというニュースを見ていて、そうして並んでまで食べたいものがあるものかと考えたが、どうもそんな食べ物などないことに思い至った。 食い意地が張っているわけでも、何か食べ物に異常なほど執着するわけでもない。普通に食事ができれば、それ以上に何やら不満を感じることなどもない。 もちろん行列に並ぶことがないわけではなく、昼食で“今日はこれ”と決めて、行った店で何人か待ちということはあるが、テレビで話題になったから“それじゃあ食べに行ってみよう!”と、2時間も並ぶようなことなど考えもしないことである。 もちろん、うまいものが食べられれば、それに越したことはないが、それを突き詰めるつもりもないし、だかからまあ、そこそこでもまったく不自由を感じはしないのだ。 テレビのニュースショーが、これでもかとグルメの類を垂れ流す..
火曜日、サントリーホールでファビオ・ルイージ指揮のアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団を聴いた。プログラムは以下の通り。 ウェーバー:オペラ『オべロン』序曲 リスト:ピアノ協奏曲第2番 A-Dur ピアノ/イェフィム・ブロンフマン [アンコール] ショパン:ノクターン第8番 Des-Dur Op.27-2 **********************休憩********************** チャイコフスキー:交響曲第5番 e-moll Op.64 [アンコール] チャイコフスキー:オペラ『エフゲニー・オネーギン』よりポロネーズ 音色感、ダイナミックレンジ、レスポンス……そのすべてを兼ね備えた、とにかくスーパー・オーケストラである。 “軽い手慣らしの”オベロンから、すべての楽器がよく鳴って、音楽を聴く喜びに心が躍る(月並 ..
季語は・・・秋愁 レンチンの チキンカレーや 秋愁ひ 【去年の今日】咖話§無印の3種の唐辛子とチキンカレー
立冬の初候“山茶始開(つばきはじめてひらく)”である。 さても立冬でありますが、先月の東京は半ばを過ぎても、なお夏日を記録する……異常ともいえる天気模様なのである。 外出する時も、日中であれば軽いジャンパーで十分、本格的な冬支度はまだ一か月近く先の話だろう。 とはいえ、日の出ていない早朝に起きれば冷え込んでいるのはもちろんで、カーディガンやオーバーソックスで寒くないように過ごすのだ。日の出は、とっくに6時を過ぎてしまっている。 《七十二候のトピックス一覧》
コロナ禍は以前継続中だが、歌舞伎座は通常の昼夜二部興行に戻っている。 昼の部開演は11時と決まっている。平日のそんな時間に勤め人が芝居を観るなどできようはずもなく、もちろん宮仕え時代は土曜か日曜の歌舞伎見物に限られて、チケットの確保には苦労した。 我が家を朝9時前には出て、電車を乗り継ぎ東銀座は木挽町の歌舞伎座へと向かう。途中、デパ地下で昼食の弁当を買い込んで行く。歌舞伎座に通い始めた頃は、地下にあった食堂や階段横のカレー屋、奥の蕎麦屋で食べたりしていたが、今はすっかりデパ地下の弁当類に落ち着いたのだ。 昼の部がはねるのは15時半前後……頃合いもよしで、意見が一致すれば、夕食などを楽しんでみるも佳き。そのあたり土日に観劇していた時は融通できた。今は求めやすい平日に出かけることもあって、そうすると勤め人の出勤時間と帰宅時間にぶつかってしまう。高齢者には、込み合う時間帯は辛い..
季語は・・・枯木立 枯木立 はぐれ烏の やさぐれて 【去年の今日】列話§勝手にリヒテンシュタイン
尾瀬でアルバイトをしていた大学生時代、それでも写真を撮ってみようと、しょぼい機能しか付いていない一眼レフのカメラを手に、いそいそと尾瀬に入っていた。 もちろん当時はフィルム・カメラなわけである。予算が限られていたから、何本も何本も潤沢に持って行けるわけではなかった。だから買ったのは36枚撮りを10本だけである。2か月のバイト期間の間に360枚しか撮れないのだ。 デジタルカメラであれば、メモリーカードの容量にもよるが、数百枚単位で撮影できるのが今の時代である。 そんな限られたフィルムなので、それは大事に撮るしかない。さらに、装填する時、ギリギリに入れると36枚プラスもう一枚撮れる“裏ワザ”を使ったりもした。 というわけで撮影する時も慎重に構えていたから、構図を決めてシャッターを押すまで、けっこう時間をかけていたという記憶だ。 そんな慎重さがデジカメになっ..
1984年に運転免許を取得してから、これまでに車を4台買い替えている。およそ10年ごとの買い替えということになるだろうか。 最初の車は8年使った。走行距離はおよそ8万kmで、実にマメに運転していたことがわかる。住んでいた場所がいささか交通不便という環境だったということもあって、とにかく土日の休みになると何だかんだと乗り回していたのだ。 その後、比較的交通至便な場所に引っ越したら、2台目以降の走行距離は激減してしまった。そうはいっても、何くれとなく運転する必要があるので、維持費には目をつぶって3台、4台と買い替えていったのである。 今の車は2013年に購入したので、今年で丸10年。あと3年で自動車税が上がることになるが、車の所有はこれで最後……なので、あと数年は乗り続けて乗り潰すつもり。 運転免許を取ったのはちょうど30歳の時で、実はうるまを運転しようなどとは考えてお..
季語は・・・小夜時雨(さよしぐれ) 小夜時雨 小腹空かして 町中華 【去年の今日】週話§日曜有閑~結露の頃~
11月3日、4日……半袖ポロシャツで外出した。いくら記憶をたどっても、11月に半袖を着たことなどない。 あまつさえ4日は東京で26.2度の夏日。夏日日数141日の最多記録更新した。そんな中を外出したわけだが、電車の中はエアコンが入っていたし、外に出れば、照りつける太陽で汗ばむほどの陽気である。5月から夏に入っていたと考えるなら、ひょっとして半年くらいは“夏”だったのではないか! これはもう異常としか思えない。こうして季節の流れが大きく変化するなら生態系にも大きな影響を及ぼすのは間違いないだろう。 繰り返すが、まさか11月に半袖を着るとは思わなかった。先月には冬物衣類との入れ替えを完了して、クリアケース送りになっていた半袖ポロシャツを慌てて引っ張り出して事なきを得たのだった。 その昔、初めての海外旅行は12月末のウィーンだったが、Tシャツで街の中心部を歩いているアメリ..
応援よろしくお願いします! ……多くのスポーツ選手がインタビューの最後にお約束のごとく発する言葉である。 少なからぬ人が、この言葉に違和感を感じている。それは、いつの間にか、応援を依願されるようになったということだ。だが、応援は頼まれてやるものなのか? 応援は、我々観る側が自然発生の自発的に応援を行うものではなかったか。だから、そんな選手の言葉に違和感を抱くのであろう。 イチローの言葉を引用しておく……これからも応援よろしくお願いします、とは絶対に言わない。そして応援していただけるような選手であるために、やらなければならないことを続けていくと約束する これが正しい態度ではないだろうか。観ている我々が応援したくなる、それこそが大事なことではないか。 そういえば、Jリーグは組織として“応援お願いします”をNGワードにしている節があって、試合後のインタビューで..
季語は・・・晩秋 晩秋の 堺町筋 灯ともして 【去年の今日】週話§土曜有閑~今はもう秋~
こんなツイートを見かけたので、改めて我が体験をまとめておく。 還暦になった年の大晦日の朝、それまでに体験したことのない不快な痛みが左脇腹あたりに発生。2時間ほど我慢していたが、我が家近くのかかりつけが大晦日でも診療しているというので、よろよろと出向いた。 その頃には、痛みは下腹部へと下降。日頃から優柔不断な医師ゆえ、診断をつきかねて黙考。ふっと思い立って「先生、石じゃないですか?」と言えば石もとい医師「あなたもそう思う?」とは、これいかに? じゃあ尿検査だと紙コップ持ってトイレへ。出すことしばし……●ん●んの先っぽがチクンとして痛みが消えていったのだ。 おそらくは肉眼で判別できない、砂粒よりも極小な微細粒だったので、さほど痛むことなく排出されたのではと推測。その後、一度も石に悪戯をされずここまで来たのである。 《私事のトピックス一覧》
季語は・・・秋惜しむ 見上げれば 顔見世櫓 秋惜しむ 【去年の今日】楽話§原チャリに乗っていた頃
我が家の朝は1杯のコーヒーから始まる。 “朝食”は、簡単なものでトーストかシリアルにバナナミルクを。同居人は朝については、バナナミルクとカフェ・オ・レだけで固形物は食べない。 コーヒーは、もう30年近く同じコーヒー豆専門店で買っている。毎回まとめて1kgを焙煎してもらう。あらかじめ電話をして、頃合いを見て車で引き取りに行ってくる。 その都度コーヒーミルで挽くのだが、電動ミルに替えてから、味が一定に出てくれるようになったようだ。以前、手回しで挽いていた時は、本当に味が揃ってくれなかったので、それについてはありがたい。 電動ミルは7段階だったか粗めから細かめまで調節できるので、考えた結果やや細かい設定で挽いているのだが、そのおかげでコーヒーの味が出てくれるようだ。 自宅でコーヒーを飲むのは朝の1杯だけ。その後、同居人は日本茶を飲む。おやつの時間については、和菓子だ..
季語は・・・秋深し においやか 原酒馥郁 秋深し 【去年の今日】楽話§原チャリに乗っていた頃
霜降の末候“楓蔦黄(もみじつたきばむ)”である。 去年の10月下旬、冬枯れの尾瀬に入った。山小屋も間もなく小屋閉めというタイミングだった。 紅葉の季節は過ぎて、尾瀬ヶ原は冬枯れの野原。そして朝は真っ白な大霜に覆われて、冬が始まるぞと告げていたかのようだったのである。 尾瀬の季節は、山小屋が営業している半年間を大雑把に三つに分けて、5月と6月が春、7月と8月が夏、9月と10月が秋で、小屋が閉まっている半年が冬と言ってもいいだろう。 下界では一つの季節が3か月ほどのところを、尾瀬ではグッ!と凝縮した季節が展開していくように思われる。 そうして、季節季節の移ろいの中に、去年の大霜のような貴重な瞬間が出現してくれるのだ。 尾瀬は既に無人の世界が始まっていて、ほどなく純白の雪が降り始める。 《七十二候のトピックス一覧》
日々せっせとブログを書き綴っているが、これは……“文章を書いている”のである。各テーマが決まれば、それにまつわるデータを揃えたりしていけば、あとはそれらをまとめていけばよく、多少中身が前後したとしても、文章全体に影響を及ぼすことはない。 だが、ストーリーを綴っていく小説となると話はまったく別である。何よりまず粗筋を設定し、そして登場人物の性格を形成してやらなくてはならず、そこから話を膨らませ展開していくことになる。 雑文を書くのと何もかも段取りが違ってしまうのだ。そのことに思い至って自分にストーリー性のある文章が綴れない理由がわかったのだった。 まずもって人物描写ができない。登場人物が5、6人出てくるとして、それぞれにどのような役割や性格を与えるべきなのか……話の筋から導き出していけば、善人的なるものと悪人的なるものが書き分けられそうなものだが、残念ながらそうした人物の性..
季語は・・・小六月 のぞみ来て 旅のはじめや 小六月 【去年の今日】神話§2022年10月の天気模様を振り返る
2023年10月の東京の天気がどうであったのか、振り返っておこうと思う。 このリンクの日付をクリックすることで、各々の日のアメダスが確認でき、より詳細な気象状況をチェックできる。 20日に27.1度という真夏日をうかがうような気温になってしまった。今年の秋は短いようで、樹々の葉もあっという間に秋色へと変わっていったのだ。 この一か月、各地で大気不安定に伴う。突風や大量の雹が降ったり、時ならぬ雷が発生した。 そういう意味では“らしからぬ”10月で、下旬になるまでTシャツで過ごしたというのもあまり記憶になく、おかげで衣更えが切れ切れになってしまったのも記憶に残るだろう。 《天気のトピックス一覧》
20年近くドイツやオーストリアでレンタカーを走らせてきた。アウトバーンも毎回必ず数百kmは走っていて、ちょっとだけ日本よりスピードを出しては楽しんでいる……もちろん緊張もしたが。 アウトバーンを走っている時、現地の人間もスピード狂は掃いて捨てるほど存在していて、ポルシェであったり、時にはフェラーリといったスポーツタイプの車に出くわすことも珍しくない。 そして彼らが、伸び伸びと信じられないスピードで追い抜き去っていくのを眼にしては呆れ返っていた。とにかく半端ないスピードでやってくるのだ。 速度の遅いトラックを2台ほど追い抜こうとして、十分に後続を確認して車線変更をし、速やかに追い抜いて走行車線に戻ろうとするのだが、気がつくと、けっこうなスピードでピタリと背後にいる。140、150km/h程度でタラタラ走ってるんじゃねーよという声が聞こえてくるかのようで、もちろんさっさと走行..
季語は・・・秋終わり 遠来の 客をもてなす 秋終わり 【去年の今日】霜話§2022年11月の予定あれこれ
ビッグイシュー466号は11月1日から発売されています。お買い求めできる場所はこちらを参照。毎月1日、15日発売。一部450円。230円が販売員の収入に。美弥るりかが表紙。 表紙&スペシャルインタビュー 美弥るりか リレーインタビュー RIhwa(シンガー&ソングライター) 特集 スポーツを文化にする 今もなお、スポーツには「厳しい練習に耐えて、勝利を勝ち取る」という固定概念がある。その背景には、1964年の東京五輪の“勝利至上主義”があるのではないか? 多様な人とスポーツを楽しめる喜びと、社会にしなやかな力を生むスポーツの価値を今、見直すことが必要だと山口香さん(筑波大学教授/柔道家)は言う。平尾剛さん(神戸親和大学教授/元ラグビー選手)は、根性一辺倒の「スポーツ1・0」と科学的データ依拠の「スポーツ2・0」をこえた「スポーツ3・0」の実現を考える..
月初めにつき、東京の一か月間の日の出&日没時刻を。 11月1日の日の出は6時1分で日没は16時50分、月末の日の出は6時29分で日没は16時32分。毎年のことながら、一番に日没が早い時期にあたる。そして、あっという間に日が暮れてしまうのだ。 今月のお楽しみとしては、まず我が家付近でダイヤモンド富士が見られるということがある。気象状況さえ良好であってくれれば、ありがたく拝むことができるのだが。 今月はクラシックの演奏会が2つ。まずファビオ・ルイージがロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を振ってのコンサート。それとウィーン・フィルの新しいコンサートマスターであるヤメン・サーディのリサイタルに行く。 歌舞伎は吉例顔見世大歌舞伎で昼の部が極付印度伝『マハーバーラタ戦記』の再演、夜の部は仁左衛門で『松浦の太鼓』と時蔵の『鎌倉三代記』他で、昼夜出かけることにしている。 ..
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季語は・・・師走尽 師走尽 世はこれすべて 塵芥 【去年の今日】週話§日曜枯寂~2023年大晦日~
冬至の末候“雪下出麦(ゆきわたりてむぎいずる)”である。 一年最後の候である。閏年だと大晦日だが、通常年は元旦が冬至の末候だ。 毎年書いていることだが、冬至以前から日没時刻が少しずつ遅くなって、一年が終わる頃には明るい夕方になりつつあって、それは春の兆候として喜ばしいと、冬の寒さが厳しくなるのと裏腹に感じるのである。 冬至以降の候名を見れば、時節よりも先の春を予感させるような名前が並んでいることに、今さらながら気がつくのだった。 《七十二候のトピックス一覧》
古稀となった2024年が終わる。そして新たな年がやって来て、我々の営みはなおも続いていく。いよいよ世界は混沌の度合いが顕著に色濃くなってきたと感じる。人生の終わり近くにこのような世界情勢になっていくことには、大きな懸念を抱いてしまうのだ。 卑小なところでは、2019年にウェブリブログから移転継続していたSSブログが来年の3月末で終了。拙ブログは、明けて1月1日からSeesaaブログへと転居する。 オワコンであることは否定できないブログという存在だが、流行り廃りとは関係なく、表現手段として使っている人は少なくなく、そもそもオワコンとかいう言葉を使われること自体が迷惑なのだ。それこそブログをやってすらいない人間から言われたくなどはない。 だがしかし、かくして我がブログは流浪の旅を繰り返していくことだろう。 それではみなさん、よいお年をお迎えください。 《年末年始の..
季語は・・・行く年 行く年や 饂飩半玉 気ぜわしく 【去年の今日】週話§土曜枯寂~とうとう来てしまった~
コンサートや歌舞伎、スポーツ観戦で通路側の座席に座ることがあって…… ↓ご覧のとおり(バイロイト音楽祭HPより) ……それで観察していると、そのほとんどで内側の席の人たちのほうが、なぜか来るのが遅く、我々が席に座っていたら彼らを通すのに立たねばならないか、もしくは立ったまま待っていることになるが、平土間で間に通路のないバイロイト祝祭劇場は、そうして遅れて中のほうに入っていく客のために全員が立ったままで待つことになるのである。 《つぶやきのトピックス一覧》
観客は8,169人で1万人に達せず。年末で行きにくかったか、渋い客の入り。と思っていたら、北関東は熊谷で行われたワイルドナイツ対スピアーズの試合は1万人超えをしていたので、動員力不足があったかもしれない。 という客入り状況はこれくらいにしておいて、後半は手に汗握る試合展開となった。結果は33対32と1点差でブラックラムズが辛うじて逃げ切り勝ち。前節のホンダヒート戦で終了間際に逆転負けを喫したショックを引きずることがなく、今シーズンの1勝目となった。 特に推しチームの対戦ではないのに秩父宮まで足を運んだのは、リーグワンに“戻って”きたTJ・ペレナラのプレイを見たかったからである。2021年ワンシーズンだけレッドハリケーンズでプレイしたが、その時は一度も彼を見ることができず、テレビでプレイぶりを見て、是非に見ておかなくてはと思ったのである。 前節はあま..
季語は・・・数へ日 数へ日や 夫の寝言 聞く夜明け 【去年の今日】療話§診察券の束なりき
どん詰まりに来た……あと2日で2024年が終わる(ほとんどコピペ 今年は自分の身体を見直す年になってしまったということだろうか。特に、足の血管の問題をメインとした、循環器系の問題を棚卸しして改善の道筋をつけることができそうだ。歯医者に半年以上通って、かなりメンテナンスができたのではと思っている。 70歳という年齢での見直しは、いささか遅まきながらではあるが、やらないよりはやっておけば、少しでも日々の生活が快適になってくれるはずなのはまあ、間違いないと思いたい。 というわけで、来年の目標は“一病息災”である。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・大根(だいこ)焚き 行列や 最後尾ここ 大根焚き 【去年の今日】懐話§昭和三十年代~貸本屋~
どん詰まりに来た……あと3日で2024年が終わる。 何度目の大晦日、そして何度目の元旦だろうか。もちろん今さら数えるつもりなどはない。 70年生きたということは2万6千日近くをこの世で過ごしたことになり、そのすべてが記憶の中にあるわけでもなく、間違いなく9割以上は忘却の彼方に消えて行ってしまったのだろう。 それが人生だなどと、したり顔でいうつもりもないし、思い出にすがりついて時間を戻そうなどとも思わない。すべては時の流れの中に沈められて、いずこかへと去っていくのである。 でもまあ、少しは人生でいいことがあったよなとは思っているのだけれど。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・年歩む 老い先は いずこ?の日々や 年歩む 【去年の今日】連話§ワタシの酒肴[177]メンチカツ
内緒の話だが―内緒になどなっていないが―一浪して予備校通いで下宿暮らしを始めた時に酒を呑み始めた。19歳だったから完全にフライングである。 下宿の三畳間には暖房の設備など何もないまま冬がやって来た。夜、受験勉強を終えて、口にしたのは安いウィスキー。それをお湯で薄めに割りホットウィスキーで身体を温めて布団に潜り込んだのだった。 そのあたりが酒の呑みはじめだったのだが、だからといって毎日毎日呑んでいたわけではない。そもそもそこまで自由に使える仕送りなどもらってはいなかったから、ごくたまに意を決してビールを買うとかそんな程度である。 だから、酔っ払ったという記憶がないのは、大した量を呑んでいなかったということと、酒の何たるかがわかっていなかったことは間違いない。 その後、大学に入っても酒量が増えるどころか、下宿で酒を呑むことはほとんどなかった。いわば大学時代は酒の空白期だ..
こんな映画があったことを覚えている、あるいは実際に観たことがある人は七十代以上ということだ。 東宝映画『ミスター・ジャイアンツ 勝利の旗』というタイトルで1964年に封切りされた。何と!映画に登場するのは当時巨人でプレイしていた選手たちと川上監督、さらに西鉄ライオンズの中西太まで出演していた。そこに東宝の俳優が加わっていたのである。 1963年、三冠王を狙っていた長嶋茂雄を主役に、ペナントレースの様子を描いたドキュメンタリー・ドラマとでも言えばいいのか……何とも不思議な映画を観たような記憶が微かに残っている。 もちろん芝居素人ゆえ、演技云々については眼を瞑っていたとは思うが、それでも生々しいと思ったのは、三冠王に向かって突き進んでいた長嶋に阪神の投手バッキーがデッドボールを投げて、指の裂傷を負ったというところの映像で、長嶋茂雄渾身の演技ではなかっただろうか。 ..
季語は・・・年惜しむ 入院 二泊三日なり 年惜しむ 【去年の今日】現話§漢字の使用はほどほどにしています
冬至の次候“麋角解(さわしかのつのおちる)”である。 あと5日で2024年も終わり。自分にとってはいい年であったのだろうか……11月から12月にかけて、小さからぬ怪我をしたし、二泊三日でカテーテル手術もした。まあ、自分の身体の状態を顧みたということになるだろうか。 たぶん、自分が考える以上に様々な状況に振り回されたのかもしれない。 2025年……そして、これも我々のような考え方を持つ人間たちにとっては、さらに期待が萎み続けていく年になるのは間違いない。そして最低でも4年は臥薪嘗胆の日々を送るはずである。 いや、別に復讐がしたいわけではない。ごく普通の常識が普通に通用することを実現してほしいだけで、それ以上は何も望むことなどないのだ。 《七十二候のトピックス一覧》
一か月に一度くらいだろか、我が団地にも救急車が入ってくることがある。世帯の高齢化が進んでいることが大きいか。 以前は入って来てもサイレンを鳴らしっぱなしだったのが、最近は入り口で止めて入ってくるようになった。 見えるところに停まって、救急隊員が向かっていく様子が我が家からも見下ろせて、ストレッチャーを出したりとルーチンの仕事をてきぱきと進めていくのだ。 ところが、それからが長いことがあって、要請したお宅に入って30分以上も出てこないことがある。容態を調べているのか、あるいは一番考えられるのは受け入れてくれる救急病院を探しているのかということだろうか。そしてようやく救急車が出て行き、緊張感も去っていった。 ある時、頻繁に救急車が入ってきたことがあった。しかも呼んだのは同じお宅と思われたのだ。数回もそんなことがあった後は、パタリと来なくなったのだが、あれは何だったのだろ..
季語は・・・日向ぼこ 老い独り 優先席の 日向ぼこ 【去年の今日】槍話§十二月大歌舞伎~爪王~
六十代半ば頃から処方薬を毎日服用する生活が続くようになった。 つまり高齢化とはそういうことなのだと改めて実感しているところだが、夫だけでなく、同居人も同様に毎日薬を服用している老夫婦なのだ。 もっぱら、高血圧改善とか血管を拡げるとかの循環器系で、通院している内科は“ヤブ”に近いのだけれど、ありがたくも院内処方して薬を出してくれるので、いちいち処方薬局に赴かなくてもいい。 そんな薬の日々が、この先延々と続いていくのだろうかと思う。若い頃は、そんな日々がやってくるなどとは想像すらしていなかったが、いざ自分がそんな境遇になると“そういうことだったのか”と実感させられる。 世間でも高齢者の医療問題は切実なわけで、先々誰もが当事者になっていく運命にあるのだから、財政面も含めたいい知恵を出しあっていくしかない。医者に通わずに済むなら、それに越したことはないのはもちろんの..
ドイツ語で無賃乗車をする人は“Schwarzfahrer(黒い乗客)”と呼ぶ。 ドイツやオーストリアの鉄道には改札口がなく、人は駅に入ったらそのまま電車に乗ることができるのだ。そして当然ながら、無賃乗車をする輩も少なくはないはずである。 そんな交通機関には“車内検札官”が巡回していて、移動中の車内で身分証明書を提示しながら、切符の有無を確認するのだ。 そんな車内検札官に一度だけ遭遇したことがあった。10年前、ベルリン滞在していた時である。地下鉄に乗っていたら、本当に普通の姿の検札官が、乗客に切符を提示するよう求めたのだった。 我々夫婦は3日間チケットを持っていて、検札官が登場した瞬間に“来た”と即座に反応しチケット提示したのである。そうしてチェックしつつ、一人の男性のチケットを見て「これはだめ」みたいなことを言って、次の駅で連れ降ろしていったのだ。 そ..
季語は・・・クリスマス クリスマスや ワインの栓を 抜き損ね 【去年の今日】週話§日曜枯寂~あと一週間~
スイスを旅行したのは実に少ない。というか数回程度のことだったし、ほとんどオーストリアから車を走らせての日帰り旅行だった。スイスで宿泊したのは、帰国前日にチューリヒ近郊で一泊しただけである。 だからスイスは、アルプスの有名どころなどに行ったことはない。マッターホルンもアイガーも、モンブランも見たことはないのだ。 車で走ったのはボーデン湖の南岸だったり、オーストリア西端の国境を越えて、チューリヒ近郊のヴィンタートゥアまでアウトバーンを走らせて、オスカー・ラインハルト美術館を4度ほど訪ねてみたり、それに加えると、やはりスイス東部の町ザンクト・ガレンの修道院に付属している世界遺産の図書館を見に行ったくらいで、文化面メインだが自然のほうは見ないままのスイス旅行となってしまった。 ああ、そういえばドイツ側のフリードリヒスハーフェンから“国際航路”のフェリーに乗ってスイ..
季語は・・・虎が雨 虎が雨 意地張るへぼや 千日手 【去年の今日】石話§六月大歌舞伎昼の部~壱太郎のおとく~
夏至の次候“菖蒲華(あやめはなさく)”である。 尾瀬は水芭蕉の季節が過ぎて、百花斉放に入っていく。湿原には様々の花が咲いて木道を歩く人たちの目を楽しませてくれるのだ。代表的なのは、言うまでもなくニッコウキスゲだが、紫のヒオウギアヤメもまた目に立つ存在なのだ。 今年は雪が少なく、雪融け水も豊富とは言えなかったから、この先の花の季節のためには、梅雨の雨ができるだけ多く降ってほしいと望むのだが。 そういえば、アルバイトをしていた半世紀前の木道は、今のようにがっちり組み上げられていたわけではなく、丸太を半割りにして置いていただけなので、ちょっと大雨が降ると、浮き上がってしまったり、流されてしまったりして、元に戻すのが大変なのだった。 《七十二候のトピックス一覧》
結婚して暮らし始めた多摩丘陵のマンションは交通が不便だった。最寄駅からは緩い坂道を上がって15分ちょっと。さらにスーパーマーケットをはじめとした商店街までは歩いて10分。当時は共稼ぎだったので、買い物には本当に難儀した。 2年我慢した……よくもまあ2年も我慢したものだと思うが、そこで運転免許を取ろうと決心したのだ。自動車の運転にさほど興味があったわけではなかったが、背に腹は代えられぬ。 そして1984年10月、無事に運転免許を手にして車を購入した。厳密に言うと免許を取るより早い10月上旬、フライング気味にホンダのディーラーに赴いて、かねてより“これ!”と決めていた赤のワンダーシビックの納車をお願いした。 免許を手にして10日後くらいだから11月に入っていたと思うが、我が家に赤いシビックがやって来た。ルイ・アームストロングが歌う『ワンダフルワールド』のコマーシャルを..
季語は・・・青時雨 ざわざわと 乳房榎や 青時雨 【去年の今日】週話§日曜枯寂~貧乏暮らしのこと~
たまに過去エントリーを俯瞰していると、どうもあちこちダブりが散見…… ……してきていることに、やはり自分の中でネタ切れを起こしつつあるかとちょっとがっかりしつつ本文を見れば、エントリーのタイトルは同じようであっても、中身については違う切り口だったりしていることに安心しながらも、もう少し心してかからなくてはと反省するのだった。 《つぶやきのトピックス一覧》
萬屋の襲名興行昼の部を観てきた。獅童と菊之助の『上州土産百両首』から『義経千本桜~所作事時鳥花有里~』があって、最後に時蔵襲名披露狂言の『妹背山婦女庭訓~三笠山御殿~』まで。萬屋と播磨屋勢揃いである。 まずは獅童と菊之助の百両首。1時間半と長い芝居だったが、雰囲気を感じさせる舞台。獅童と菊之助はそれぞれの持ち味を出していたが、菊之助にはもう少し喜劇風味を盛ってほしい。 義経千本桜の“時鳥花有里”は、2回ほど観ていたようだが、舞台が華やかという印象しかなく、今回も同じだった。 そして、梅枝改め時蔵の襲名披露狂言『妹背山婦女庭訓~三笠山御殿~』である。やや面長で古風な顔立ちの時蔵は、将来の立女形として期待されているのは間違いなく、襲名披露狂言でもその実力を如何なく発揮してくれたと思う。劇中で行われた襲名披露口上は、仁左衛門の豆腐買おむらを芯に、右に新時蔵、左に新梅枝と..
季語は・・・夏館 銅版画 掛け替え並べ 夏館 【去年の今日】週話§土曜枯寂~6月最終土曜日~
1948年6月24日、ベルリン封鎖始まる。 第二次世界大戦後、ドイツは米英仏ソの4か国に分割統治された。さらにベ ルリンも4か国に分割されてしまった。 そしてベルリンの一括統治を目論むソ連は、米英仏3か国が統治する西ベルリン地区を封鎖して“兵糧攻め”を試みたのである。それに対して3か国は“空の架け橋(Berliner Luftbrücke)”作戦で物資の空輸を開始したのだ。 輸送作戦は功を奏し、封鎖は翌年4月に解除され、東西ベルリンの行き来が自由にできるようになった。ベルリン封鎖は失敗に終わったのである。 その後、1961年8月にソ連は“ベルリンの壁”を構築し、西ベルリンを陸の孤島化させ、ソ連からの揺さぶりは執拗に続いたのだった。 そんな孤島化が終わったのは1989年11月の事である。 《歴史のトピックス一覧》
試合前までの、イングランド23人のキャップ総数は848、対する日本は259。初キャップはイングランド1、日本8。そしてこの日の観客は44,029人……5万はいくのではと思っていたのだが。 ↓ゴールのサイドバー中央にカメラが設置されていた 結果は17対52……イングランドの快勝である。経験と実力差はいかんともしがたく、ヘッドコーチであるエディ・ジョーンズ掲げる“超速ラグビー”など影も形もなかった。 さて、このメンバーでしばらくテストマッチを続けていこうというつもりであるのか、若手の育成とベテランの活用というバランスをどうコントロールしていこうとしているのか、何を言っても“エディ・ジャパン”の初戦なので、様子を掴みかねていたのだ。 先々を考えれば、若手にチャンスと経験を与えなくてはどうにもならないことは明白なのだが、この日のゲームを観る限りでは、..
季語は・・・夏嶺 夏嶺や 大休憩の 水温し 【去年の今日】稽話§ゲネプロに潜り込んだ件
元より大食いというわけではなかった。男性としては、まあまあ普通の食欲は持ち合わせていた……そんなレベルだった。 食欲がいさかか希薄になってきたと感じるようになったのは、五十代半ばを過ぎた頃ではなかったか。晩ご飯の時、大きめのご飯茶碗で食べていたが、それは250gくらいあったと思うが、最近はというと、その三分の二の180g程度で満足できてしまう。 神保町界隈に君臨していた“いもや”のとんかつ定食を食べさせてくれる店のとんかつは200g近くあったような気はするが、今はもはや120gくらいでアップアップしているのだ。 言うまでもないことだが、古稀になろうとする人間の基礎代謝は順調に少なくなっていっているわけだから、この期に及んで大喰らいをすること自体が自殺行為である。 晩酌で、酒を呑みながら食べるつまみも少しく減っていて、気がつけば皿も小さくなっていたりした。 《私..
季語は・・・夏至 夏至の日や 「おつかれさま」と LINE来る 【去年の今日】歌話§赤い鳥とハイファイセット
国が国民に対して“サービス”をしなくなったと感じる。政府そのものが、あっちこっちで劣化していて、政治家だけでなく官僚たちもそうした発想を持っていないような気がする。 税金を払っているのは国民である。それは国からいくばくかのサービスを受け取るためなのに、そのリターンがほとんどないと感じるのだ。 前々任者が政治をいい加減な地位へと貶め、権力を自分たちに都合よく運用した結果が、今や政権党が内部崩壊を起こして機能しなくなっていることではないか。 そして政治は“ズル”をしてもいいのだと勝手に解釈し、方向性を完全に見失ったのが今である。何を為すべきかわからぬまま“見てるだけ”しかできなくなって、気がつけば我々が立たされているすぐ目の前は崖っ縁である。 我々は、自民党という泥船になど乗りたくもない。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・夏暖簾 ひんやりと 麻の肌目や 夏暖簾 【去年の今日】美話§おいしい物はそれぞれの消費地へ
夏至の初候“乃東枯(なつかれくさかる)”である。 夏至ですね。今日の日の出は4時24分、日没は19時3分。 いよいよ暑さの夏の本番がやってくる。我が家の場合、睡眠大事を大基本にしているゆえにエアコンを使うメインは夜から朝にかけての就寝中なのだ。 夫婦して暑がりだからかどうか、ともかくも寝ている時に暑苦しいのは勘弁してほしく、そんなエアコン運営になっている。もちろん暑い日中にも適宜稼働させてやるのは言うまでもない。 そして心配なのは電気料金の支払いである。電気・ガス料金補助は5月で終了。だからこの夏の電気料金請求がいかほどになるか、戦々恐々としているのである。 本当に、今の政府は“何もしない”としか思えない。あれほどの円安をそのまま「注視している」というのみで、単に“見ている”だけなのだ。一か月前にドイツ人の知り合いと会って話をしたのだが、それほど政治あれこれに..
[承前] 所用あって、京王線の特急通過駅に通っている。駅前には駅にへばりつくように商店街が展開していて、昔ながらの肉屋に行けば、コロッケやハムカツといった総菜揚げ物が並んでいて、思わず「ください!」と言ってしまう。 そんな店が並んでいるのを見ると、新しく開発された地域に住んでいる身にとっては羨ましいと感じるのだ。 環境良好であることで大きな不満もなく40年以上住み続けているが、そんな下世話な商業施設の存在については羨望を覚えるのである。 当然ながら、チェーン系でない居酒屋の類も点々とあって、こんな場所に住んでしまったら、帰宅前にあちこちと寄り道するのは言うまでもなかろう。 とはいえ、そんなごちゃごちゃ感を鬱陶しいとも思う自分がいて、なかなか微妙な感情を抱いているのだ。 そんな駅前商店街だが、目下高架工事がたけなわとなっていて、ところどころシャッターが閉め..
季語は・・・昼顔 昼顔や 違法駐車の 高級車 【去年の今日】表話§尾瀬で写真を撮ること
普通においしい・・・・・・ いつ頃から使われるようになったのか、気がついたら“普通においしい”という不思議な表現が独り歩きをしていた。 何と言うか、違和感満載である。個人的に使ったことはないと思う。むしろ“安定のうまさ”みたいなものは使っているけれど。 つまり要するに“普通”であり“どうってことない”味ということなのか、たぶんおそらく“まあまあおいしい”と言うところ、普通の味だという表現が、どこかで普通においしいという表現が生まれ出てしまったということなのだろうか。 いずれにしても、何か婉曲的な言い回しをしようとしている中で生まれ出た“妙”な物言いであることは間違いないだろう。 《日常のトピックス一覧》
先月だったか、電子マネーの決済が一時的にできなくなったというニュースを見た。少なからぬ人が現金を持っていなくて難儀したとは、何とまあなことかと思ったのだ。 電子マネーは交通系のパスモと普段使いスーパーマーケットの支払い用しか持っていない。たまにパスモをコンビニで支払いする時に使うことはある。 だが、古い世代であるからなのか、支払いは基本現金でやっている。万単位の支払いの時にはクレジットカードを使うと決めているが、それほど不都合を感じたことはない。 ↓じゃいーです~ 最近はどうなっているものかわからないが、町中の商店街で小商いをしている店では、現金のみだったりするのも珍しくはないのではないか。世の中はそれほど都合よくできているわけではないのだ。 それゆえ現状は、現金主体で電子マネーは交通機関とスーパーマーケットに限られ、高額決済はクレジットカードでという使い..