季語は・・・余花 行きつけに 傘を忘れて 余花の雨 【去年の今日】握話§昨今の“高級”寿司屋は・・・・・・
季語は・・・晦日蕎麦 そそくさと 伸びかけ手繰る 晦日蕎麦 【去年の今日】亥話§2019年ありがとうございました
冬至の末候“雪下出麦(ゆきわたりてむぎいずる)”である。 大晦日が冬至の末候となった。 コロナ禍が席巻した2020年……ニュースはと見れば、どの新聞も、どのテレビチャンネルも“コロナ、コロナ、コロナ”ばかりで、それが日本国内だけではなく、海外のニュースもまたトップニュースはコロナ関連が続いたのである。 12月上旬が終わる頃、イギリスでコロナウイルスのワクチン接種が始まったが、2020年度中に日本での接種開始となるかはわからず、早くて初夏5月、6月頃からということになりそうだ。 要するに、我々は、この先半年以上もコロナウイルスに対してさらなる用心を続けなくてはならないのである。 月に2回か3回か、細々と都心往復をしているが、用心したつもりにはなれども、それが対策として正しいのかどうか、見当違いのことをしているのではないかと、この先もなお戦々兢々は続くのだ。 ..
気がつけば、2020年も12月31日大晦日となりにけるかも。 そして、気分を一新してSSブログに本拠地を移して一年が経ってしまった。 というわけで来年も拙きブログですが、よろしくお願いします。 みなさま、コロナ禍に巻き込まれることなく、よい新年をお迎えください。 《年末年始のトピックス一覧》
季語は・・・年深し あと二日 背中押さるる 年深く 【去年の今日】連話§ワタシの酒肴[142]ビールは揚げ物
1884年12月30日、ブルックナーの交響曲第7番初演。 ブルックナー……苦手である。まともに聞いた交響曲は4番、8番、そして7番くらいか。 ワーグナーの楽劇よりも長いとすら感じてしまう。やたら御託が長かったり結論がはるか遠くにあるとしか思えず、歯痒い思いをすることになるのだ。 だがまあ、そんな中にあって7番は辛うじて“聴ける部類(個人の感想)”の音楽で、ちなみに実演で初めて聴いたブルックナーが7番だったりする。 初演の地はドイツのライプツィヒ。ブルックナーの交響曲では初めて初演で好評だったとのこと。確かに今聴いても、特に第3楽章のスケルツォと、快活で軽快な終楽章は親しみやすかったかもしれない。 ところで、ウィキペディアの7番作曲の経緯を読むと、ワーグナーが危篤中に云々とあるのだが、1883年2月13日に、旅行中のヴェネツィアで心臓発作を起こして突然の死去だっ..
2020年も、今日と明日の二日間となってしまった。 会社で仕事を始めた頃ではなかったかと記憶しているが、12月に入ったあたりから、背中を押されるような感じがして、年末年始が壁の如くに立っていて、その壁に押しつけられそうになるように感じていたのだ。 それが年末まで続くが、年明けて元旦になると、背中の押され感はすっかりなくなって、何がなし肩も軽くなってくれるのである。だが、ここ数年は、そんな圧力も弱まってきたようで、仕事をしていたがゆえのプレッシャーであったのかと思う。 この年末は、2週目にキッチンと浴室のクリーニングをしてもらい、3週目にはカーテンのクリーニングを済ませと、大掃除を小分けに進めたので、年寄りには優しかったのではなかろうか。 そして、冬至の頃に書いたとおりで、年末近くになると日の暮れるのが少しばかり遅くなって、世間に明るさが残ってくれるような気がするので..
季語は・・・数え日 数え日に 一期(いちご)残りを 数えけり 【去年の今日】週話§日曜諸相~正月の準備~
六十代になる頃から髪の毛の伸びが遅くなって、床屋に切りに行くのも…… ……3か月に一度などという間隔になったと思ったら、このところ、毛髪が何がなし細くなって、腰もなくなってきたと感じ、はてさて十年一日の生活を送っているのに、何が悲しゅうてと考えるも、齢は四捨五入で七十と、見事な老境であることを首肯するしかないのである。 《つぶやきのトピックス一覧》
コロナ禍の一年、チケットを買って出かけた最初で最後の演奏会がこれ……年末の恒例行事に参入するのも久しぶりのこと。今年はベートーヴェン生誕250年で、年の最後に辛うじて間に合ったのである。 ピリオド楽器の演奏で第九を聴くのは始めてではないだろうか。第一楽章の冒頭から何やら不思議な響きで始まり、テンポよくキビキビと締まった演奏に、耳が洗われたようだった。 メンバー表を見やれば、ホルンがN響首席の福川伸陽。彼が吹くナチュラルホルンをを聴くのは初めて。特に第三楽章のソロパートは、モダン楽器とは違って滑らかなものではなく音が出たり引っ込んだり……ベートーヴェンも無茶な演奏を要求したものだと改めて。 そして第4楽章……合唱は全パートで40人足らず。アルト8人のうち3人の男声が加わって厚みを持たせた。 バスソロを務めた加耒徹は、若々しく伸びやかな声で聴かせてくれたが、..
季語は・・・大根(だいこ)焚 疫病には 勝てず千本 大根焚 ↓2012年の大根焚風景 【去年の今日】週話§土曜諸相~あっという間~
1963年12月28日、旧国鉄通勤型電車の主力だった、103系デビュー。 東京に出てきたのは1973年、その頃は既に、山手線の緑、中央線快速のオレンジ、中央・総武緩行線の黄、京浜東北線の青と、103系の同型電車の色分けが進んでいた。 それだけ運行が頻繁で、だから地方からぽっと出てきた人間でも、どれに乗ればいいのか、迷わなくて済むようになっていたのだ。 その後、103系から205系を経て、現在はE231系に統一されている。ただし、車体全身が同じ色ではなく、それぞれの路線の“シンボルカラー”的位置付けのようになったのは、すっきりしていることは否定できないけれど、少しばかり物足りなくもある。 東京生活が長くなっているから、新宿駅にいても、迷いはしなくなってはいるが、東京に出てきたばかりの人たちが、あの程度の色分けで迷わずに済んでいるものか……まあ今時は、スマホがあったりす..
流行の類に目敏くて、そうした品物を速攻で持ち歩いている人を見かける。だが、自分はといえばそうした流行あれこれには疎くて……というよりも、流行そのものに興味を持てないらしく、世間が賑やかになったところで、ようやく気がつくような体たらくなのだ。 ただし、この30年ほどのワープロからパソコンでインターネットをどうこうすることに関しては、他人様よりはいくぶんか早くスタートを切っていたのではなかろうか。 ではあるのだが、いざインターネットが活発に動き出すと、その中身についていけなくなるという、ソフト類の活用が不器用になってしまうのである。 それでは、せっかくスタートが早かったのに、それほど意味がないのではと思うが、本人はそのあたりが恬淡としているように見えるのだ。 まあ、流行に敏くても、すぐ醒めてしまうような輩もいるが、そのあたりは違っていて、流行と無関係な態度でいるのは、褒..
季語は・・・温め酒 あら珍し 主の気まぐれ 温め酒 【去年の今日】想話§今年の歌舞伎を回顧する
今日はベートーヴェンの第九を聴きに行ってくる。生誕二百五十周年に辛うじて間に合った。 実質、今年第一回目の演奏会だ。11月はじめに弦楽四重奏を聴く機会がありはしたが、招待券をいただいて行った演奏会だから、金を払っていくのは、今回が最初で最後だ……ベートーヴェンの交響曲をピリオド楽器で聴くのは初めてではなかろうか。 終演後は、初台から新宿に出て、我が家の忘年会をしようというつもり。デパートのポイントが貯まっているので、それを使っていつもの年末と同じく天麩羅で締めようと考えている……せめてもの年末行事ということである。 《クラシックのトピックス一覧》
季語は・・・冬ざれ 冬ざれて トックリバチの 巣のあはれ 【去年の今日】卓話§蝙蝠の安さん~国立劇場~
冬至の次候“麋角解(さわしかのつのおちる)”である。 10日前から太陽は北上を始めた。最も早い日没時刻から既に数分遅くなってきている。 何度も書いていることだが、大晦日が近づくにつれて、世間が暗くなるのが遅くなってきていると強く感じるのだ。 今日の日没は16時35分、日の出は6時49分となり、翌日から2週間ほどは、一番遅い6時50分が日の出時刻で、6時半を過ぎても世間はまだまだ暗い。 そして寒さの底は、あと一か月以上先のことである。 《七十二候のトピックス一覧》
無為な時間ほど速く過ぎるものかどうか……2020年も残りわずかである。 今から一年前、我々の頭の上には新型コロナウイルスの“ウ”の字もなく、呑気な日常を送っていた。だが、2020年が明けて一か月もしないうちに、コロナウイルスが大きな懸念となってしまったのだ。 我々にとって辛うじてラッキーだったことは、ラグビワールドカップ日本大会が、コロナに影響されることなく2019年11月はじめに全日程を終わらせられたことである。 ただし、せっかく盛り上がったラグビー人気が、年明けのトップリーグ開催ができなくなってしまったのは、残念以外の何ものでもない。 コロナウイルスのワクチン接種がイギリスで始まったのは12月8日。一か月か二か月もすれば、効果が表れてくることを期待する。 そうして2020年という年は、人類の歴史の中でも混乱と困惑に満ち、無為で空白の一年として記憶されること..
季語は・・・時雨 忘れ傘 棚に一本 夕時雨 【去年の今日】想話§ラグビワールドカップを回顧する
パソコンを動かすようになって30年になろうとしているが、自分自身のパソコンに関する知識や、どれほどパソコンを活用しているか、比べてみたことがないので、今だにわからない。 まあ、甘めに考えて、中の中レベルあたりではなかろうか。買ってきたパソコンを前に、最初は設定に四苦八苦していたが、三代目あたりからは、それほど苦にすることもなく自力でできるようになっていた。インターネットへの接続設定も問題なくできる。 パソコン初心者だったら、購入する時に各種設定を業者に依頼してとかなるところを、その必要もなく最後までできてしまう。 加えて、ワードやエクセルといったオフィス・アプリも基本的な操作はこなしているつもり。 だが、上級者に比べれば“おままごと”レベルであるのは間違いなく、彼らがやっているあれこれを、眼の前で見せられても何をしているのかさっぱりわからない。 今の自分がやっ..
12月上旬の時点で、日本国内の稼働中原子力発電所は、九州電力玄海発電所4号炉1基のみである。言うまでもないが、3・11東日本大震災以降、東日本で稼働した原発は1基もない。3・11から来年で10年となるが、およそ10年の間に東京及び関東地方には、原発由来の電気が供給されたことはない。 再生可能エネルギーも国際標準からは遅れをとってはいるものの、その比率は上がり続けていて、脱原発の素地は、とっくに固まっているのである。 ところが、電力会社は今だ老朽原発を再稼働させようと、あの手この手を駆使してくるのだ。その中には40年を超えた東海第二のような原発もあって、何ともはやなのは、例えば40年超の車を運転している人間がどれほどいるものか……よほど大事な車で、日々動かしてメンテナンスも欠かさないようなマニアックな人を別にすれば、20年すら乗り続ける人はいないはずだ。 事は安全に関わるこ..
季語は・・・冬至風呂 柚子一つ 吝(しわ)く浮かんで 冬至風呂 【去年の今日】想話§今年の海外旅行を空から回顧する
動画は横位置で撮りましょう スマホで動画を撮影する人の多くが、デフォルトの縦位置構図で撮影しているようだが、どうしても画角が狭いと感じてしまう。 テレビも映画も……再生装置のほとんどは横位置でもあるのだから、ここは一番、90度倒しての横位置撮影を心掛けていただければと考えるのである。 《日常のトピックス一覧》
クリスマス・イヴである。 元より“部外者”であるから、何か特別なことをするわけではない。当然ながら、七面鳥もなければクリスマスケーキもない。せいぜいが、季節行事という認識の中で、ちょっとしたクリスマス飾りをテーブルに置く程度のことだ。 例年であれば、さぞ賑やかな便乗あれこれが繰り広げられることだろうが、このコロナ禍の中では、繁華街にも自粛ムードが蔓延していることだろう。 日本においては初詣のほうが、より重要な位置付けとされて、老若男女が寺や神社に赴くわけだが、この御時世につき、分散参拝が勧められて、いわく“幸先詣”なんだそうである。 我が家の心づもりは、毎年歩いてすぐの地元の小さな神社に行くことは決めている。そこは、三が日でも参拝客が疎らにしかやって来ないので、三密の心配はない。 いつもの年だったら、その後に地元で一番の神社に向かうのだが、参拝まで30分は列を..
季語は・・・山眠る 乳飲み児の 如く山々 眠りをり 【去年の今日】想話§今年の尾瀬を回顧する
1958年12月23日、東京タワー完工式。 東京の芝に東京タワーが完成した時は4歳だった。だが、かなり鮮明に記憶しているのは、完成の翌年に保育園の同級生が東京タワーに行ってきて、お土産をもらったのだった。 その時以来、東京といえば東京タワーという刷り込みのようなものができてしまったようで、それが長じて東京に出ていくという結果となったことは、間違いのないことである。 その後、初めて東京タワーに上がったのは1973年か74年のこと。幼時の夢とは違って、ようやく東京に“来た”といったような感慨は薄れていた。 東京タワーの今はといえば、都心の高層ビルのすっかり埋もれて、すっくと孤高の如く聳え立っていた面影はないが、そうなったらなったで、赤い塗装の華奢な姿を認めるのもまた心をときめかせてくれるようだ。 《歴史のトピックス一覧》
12月21日……木星と土星が超接近した。約400年ぶりのことだそうである。 澄み切った空となる日本の冬のおかげで、超接近した様子の一端をカメラに収めることができた。 下のやや大きい丸が木星で右斜め上が土星だが、この程度の望遠レンズでは木星の衛星群や土星の環までは見えるはずもない。 できるだけ拡大してみたが、やはり結果は同じ。木星と土星は何とからしく撮影できているが、右斜め下の旅客機の光跡がブレているのは1/15秒というシャッタースピードのゆえであろう。 そして次回の超接近は、およそ60年後とのこと。四十代以降の人間にとって今回が“最初で最後のチャンス”だったのである。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・冬木立 サッカーの ボールや午後の 冬木立 【去年の今日】週話§日曜諸相~お休肝日のこと~
世の中に“教養”なるものを馬鹿にする人間が少なからず存在している。それが、4年間アメリカの大統領職にあった人間だったりすると、背筋が寒くなる思いがする。 科学を侮り、科学者の警告を無視した結果、コロナウイルス対策がおざなりになったことで、アメリカの今がこうなのだ。 自分自身が全知全能であると思い込んでの狼藉が、自分だけに降りかかるのであれば、それもいいだろうが、その無教養が3億3千万のアメリカ人に累を及ぼすとなったら冗談では済まされない。 そして何より我々が、世界で一番の民主主義を標榜していると奉っているはずのアメリカの今を見ると、ポピュリズムも極まれりな人間によって、ありもしないフェイクを吹き込まれ、その呪縛から逃れられない人間が、かくも多いことに驚かされる……まあ、我が国の状況も変わるわけではないが。 そうして分断を煽っておいた末を、どのように描いていたものか。..
[承前] ドイツには“ラードラー”という呑み物がある。ビールとレモネードを半分ずつ割ったもので、ラードラーは自転車乗りという意味である。アルコール分も3%足らずだからということから、サイクリングのついでに寄ったビアガルテンで喉を潤すのに最適ということのようだ。 かつて、一度だけ試したことはあったが、それ以降呑んだことはない。まずもって甘いということと、ビールらしくないというのが理由である。 そんなわけで、ビールを何かで割って呑むようなことはまったくしない……世にビールカクテルなるものが各種存在してはいるが、そそられるようなことはなく、試したこともない。 カクテルにするとか、そうした呑み方を考えたこともなく、ビールの苦味を楽しんできた。 偏見というわけではないと自分では思っているが、ビール本来の味を和らげてという発想が違っているような気がしてならない。ビールはビ..
季語は・・・冬至 急かされて 買い出しに出る 冬至かな 【去年の今日】週話§土曜諸相~我が家の忘年会は近い~
冬至の初候“乃東生(なつかれくさしょうず)”である。 今日、南中していた太陽は最も南まで下がり、明日からは夏至に向かって北上を続けるのである。 もっとも、10日ほど前から日没時刻は遅くなり始めているので、既に世間の夕方は、少しずつ明るさを取り戻しつつあるのだ。 そう……春は近い。あと3か月もすれば桜が咲き始めるではないか。 《七十二候のトピックス一覧》
12月1日……ストーブを出した。我が家は結婚以来ガスストーブをメインの暖房として使っている。今のストーブは二代目だ。 夫婦二人して風が吹きつけてくるファンヒーターの類は苦手なので、ガスストーブ派である。 キッチンの壁にガス配管されているので、そこにホースを接続して居間を暖めていて、それほど大熱量ではないが、十分に暖かい。 ガスストーブ以外の暖房設備はというと、北側の勉強部屋のデスク下に夫婦それぞれ足温器を使っているのと、寝る時はベッドの中に電子レンジで温める“湯たんぽ”を愛用している。築40年近くのマンションは、隙間から少しばかり冷気が入ってこないでもないが、まだまだ何とかなってくれている。 12月3日……この日の天気予報は快晴との御託宣だったが“大外れ”で、一日中どんよりと厚い雲に覆われて過ぎてしまった。ここまで豪快に天気予報が外れたのはさすがに珍しい。 洗..
季語は・・・焚き火 焚き火爆ぜ 児等跳び退(しさ)る こと二尺 【去年の今日】技話§十二月大歌舞伎~たぬきと阿古屋~
2020年も今日を入れてあと12日となった。 定年退職者とはいえ、かくも無為な一年などあっただろうかと記憶を遡ってみるが、いくらなんでも、これほど長い時間を自宅で籠り続けた年などあるはずもない。夫婦二人で都心に出ていったのは20回もあったかどうかだ。 さて、12月も半ばを過ぎ、朝も5時過ぎに起きれば、世間は日の出前の闇の中。6時を過ぎてもまだ暗く、6時半前になってようやく明るくなる頃には既に一番のバスは過ぎ去ってしまっている。 そうか、勤め人の中には始発バスに乗って出勤していく人もいるのだなと、むしろ日の出の頃に仕事場から帰宅したことも珍しくなかった人間は考えるのだ。 そして、二番バスから三番バスへと、通勤や通学する乗客は増えていって、変わらぬ日常が動き出しているのを見届けるのである。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・師走 角打ちで 帰宅を急ぐ 師走かな 【去年の今日】節話§冬至の日没時刻~アナレンマ曲線~
いや、ふと、何気なくそう思っただけで他意はない。 最後にカツカレーを食べたのはいつのことだったか、はるか記憶の外のこと のようだ。37年半の年月を神保町で過ごした身にしてみれば、あの町は常に 平均年齢が若いということを痛感する……食いもの屋で出てくる食事の量が 多めなのだ。 それゆえに、年齢を経るごとに注文することを諦めたメニューが死屍累々と なっていったのであった。例えば、いもやのとんかつ定食がそうだったし、 キッチン南海のカツカレーもまたそうだった。どちらも五十代に入って食べ てはいないのではないか。 五十代のある日、ふと思い立ってキッチン南海に入ったことはある。そして カツカレーを注文しようかどうしようかと逡巡した揚句、カレーライスを注 文したのだった。しかも“ご飯軽めに”とお願いしてである。 こと食事に関する限り、神保町は若者が基準となってい..
季語は・・・冬座敷 来客の 去りて西陽や 冬座敷 【去年の今日】石話§いまだにガラケー持ちである
毎朝、蜂蜜を嘗めている。もう20年は経っているはずだ。特段の健康法とかそういうつもりではないが、蜂蜜と聞けば、何となく身体によさそうではないかと考えてのことである。 何より、朝起きてすぐに糖分を摂取するのは、身体にとってはいいことだ。 蜂蜜にも様々な種類があると知らされたのはやはり20年くらい前のことで、以来様々な種類の花の蜜を試してきた。さらさらとあっさりした蜜から濃厚な蜜まで多種多様。 そんな中で選んだのは、例えば“蕎麦の花”のようなもので、色は真っ黒に近く、味わいもまた曲者である。こいつを嘗めてしまったら最後、スーパーマーケットに並んでいる何ちゃらな蜂蜜が、ただの水飴としか感じられなくなってしまう。 以前は渋谷のデパ地下にあった専門店で買い求めていたが、ここのところは東北地方の蜂蜜業者が製造している蜜を、一度に2種類ほど選んで取り寄せている。値段は少しばかり張..
12月の中旬も終わりに近づいた。今年も何通かの喪中欠礼はがきを受け取ることとなったが、文面を見てしみじみ感じることがある。 逝去した人の年齢を見ると、軒並み八十代から九十代だったりするのだ。まさに日本が長寿社会であることを象徴しているようではないか。 そしてさらに、彼らが矍鑠として一生を終えているように思われることで、もちろん寝たきりで最期を迎える人がいないわけではないにしても、こうした年齢まで生き永らえる時代になったのだと思う。 自分が物心つくかつかないかの年齢の頃、親類の男性の臨終間近の床の傍らにいたことがあったが、その時彼は確か六十代半ば過ぎだったと記憶していて、その時の彼は皴だらけの老人そのもので、今の自分とほぼ同い年だとは考えられなかった。 以前にも書いたことだが、半世紀以上前の人間と比べると“年齢八掛け”ではないかと思っていて、今の70歳なら、かつての五..
季語は・・・冬ごもり 冬ごもり スマホ&パソコン 友として 【去年の今日】謎話§“話§”のこと
かつて宮仕え時代の仕事柄、ブログをまとめるにあたっての誤字脱字は…… ……“極力”ないようにないようにと心がけているつもりでいるが、過去のエントリーを引っ繰り返していると、しばしば「げっ!」という誤字脱字に出くわしてうろたえることも珍しくはなく、仕事では複数の人間の眼を通してチェックが行われるわけで、それを一人で行うことは無謀でしかなく、だから拙ブログを読んでいる数少ない“読者”のみなさんにも遠慮なく指摘してほしいとは常々のお願いだが、いつぞや将棋の話を書いたら、その直後「定石は囲碁で、将棋は定跡です」とありがたいコメントをいただき、即座に訂正したことを思い出す。 《つぶやきのトピックス一覧》
国の税制度の中には不可解というか理不尽というか、そんなものはいくらでもありそうだが、自分自身に降りかかってきたのが自動車税が所有13年超で増額されるということである。 今乗っているのは1100ccなので、年間34,500円だが13年を超えると40,000円まではね上がるのだ。 新車購入促進が目的であるとか何とか、意味不明な理由をくっつけているということらしいが、21世紀の御時世という今、車の性能は格段に上がって、大事に乗れば20年くらいは軽々であろうに……まあ、今時は二酸化炭素がどうだとかこうだとか、そんな理屈も付きそうだが。 実は一度、2000年に購入した車を乗り続けて、2013年に支払う自動車税が上がったことで、そんな税制があると知ったわけで、まあ、乗ろうと思えば乗り続けることもできたのだが、3ナンバーの2000cc車は、我が家には大きくなってきたので、潮時と考えて今..
季語は・・・冬座敷 冬座敷 冬の時間の 速きこと 【去年の今日】困話§ブログのページデザインに悩む件
大雪の末候“鱖魚群(さけのうおむらがる)”である。 大雪も末候……次は冬至で、冬が本格的なものになっていく。今年一年間の外出度は超が付くほど低くて、季節の移り変わりは北側“勉強部屋”の窓からの風景が主なものだった。 例年であれば、外出度はもう少し高く、表に出ることで気がつく時の流れのようなものがあるのだが、今年は家籠りの日々のゆえに、季節の移ろいを時間差で後から気がつくような状況だったのである。 一番に顕著だったのは日没時刻が日に日に早まっていくことをなかなか自覚できなかったことで、夏の頃の18時過ぎまで明るい世間が続いているように感じていたら、17時過ぎには暗くなってしまっていて、自分でも迂闊などと思いながら、家中のカーテンを閉じて回ったりしたのだ。 《七十二候のトピックス一覧》
日曜日午後、第二部と第三部を観てきた。第三部の『傾城反魂香』から書こうと思う。 第三部は『傾城反魂香』で、勘九郎の浮世又平と猿之助の女房おとく。二人の『傾城反魂香』は、2008年1月の新春浅草歌舞伎、まだ勘太郎と亀治郎時代に一度観ている。当然ながら12年の時を経て、密度の濃い舞台が繰り広げられたのだ。 又平の苦悩と女房おとくの細やかな情愛が舞台を支配して、味わい深い一幕を堪能した。 手水鉢の表に絵が抜けた奇跡の後、勘九郎の又平の晴れ晴れとした軽やかさもまた楽しく佳き哉である。 市蔵の土佐将監光信、梅花の北の方、團子の雅楽之助、鶴松の修理之助。 戻って第二部『心中月夜星野屋』は、落語の『星野屋』を歌舞伎化した軽い喜劇。狂言心中話から騙して騙されてという展開。 七之助のおたか、中車の星野屋照蔵、猿弥の母お熊、片岡亀蔵の和泉屋藤助と、芸達者が揃った中に..
季語は・・・冬凪 犬二匹 じゃれ戯れて 冬の凪 【去年の今日】週話§日曜諸相~時の過ぎゆくまま~
ビッグイシュー397号は12月15日から発売されています。お買い求めできる場所はこちらを参照。毎月1日、15日発売。一部450円。230円が販売員の収入に。スヌーピーが表紙。 表紙&スペシャル企画 PEANUTS 70周年 スヌーピーと仲間たち リレーインタビュー 西加奈子(作家) 特集 こんにちは! 絶不調 静かに、けれども激しく動いた2020年も終わりに近づきました。 年に1回、いや数回、つらいことがあって落ち込むことや、理由ははっきりしないのにどうにもならない“絶不調”の時があったりしませんか? コロナ禍の影響もあって今年はそんなことが多かったかもしれません。あなたはそんな時、どう過ごしていらっしゃいますか? じっと耐え、嵐が通り過ぎるのを待つ? ひたすら好きなことや熱中できることをして過ごす? 何かしら気晴らしの術を持っている? ..
1963年12月15日、力道山死去。 1950年代から60年代のスポーツ・ヒーローといえば、プロ野球は長嶋茂雄、大相撲なら若乃花&栃錦、そしてプロレスだったら力道山である。 若い頃の父親は血の気が多かったのかどうか、格闘技を見るのが好きだったようで、金曜夜20時から放送されていたプロレス中継は欠かさず見ていた。 その時の主役は言うまでもなく力道山で、外国人レスラーをヒールに仕立てて、反則の限りを尽くして力道山を苦しめるが、クライマックスが近づくと一転、力道山の華麗な反撃が始まり“空手チョップ”の連打で相手をマットに沈めるのだ。 まあ、そんな他愛のないプロレスの一大ヒーローであった力道山だが、日頃の行状は紳士とは言えず、あちこちでトラブルを起こしていたのだった。 力道山が赤坂のナイトクラブで暴力団の構成員に刺されたのは、一週間前の12月8日のことで、手術もうまく..
季語は・・・日向ぼこ 一服の 煎茶苦くて 日向ぼこ 【去年の今日】週話§土曜諸相~とりあえず2週間~
相当に錆びついているのは間違いない我が英語力である。何度も何度も繰り返し書いているように、中学3年間の英語さえきちんと身に着けておけば、海外旅行で困ることはない。 自慢するほどのことでもないが、結果的に我が身がそれを実践していて、3年間の蓄積をベースに、会話の経験を重ねたことで“ルーチン”らしきものが出来上がったような気がする。 つまり、会話している状況下で、どのような会話が行われるのかが前もって経験則でわかっているから、あわてることも頓珍漢な反応をすることなどもなく済んでいるのだ。 たぶん多くの人がそうであるのと同じようにヒアリングは苦手で、半分も聞き取れていないように思われるのは、テレビで英語のニュースを見ていても大まかな内容は何とかなってもディテールが把握できているわけではない。 ルーチンで思い出したのは、飛行機のパイロットと地上の管制官がやり取りしている航空..
昔がよかったというのは、年寄りの繰り言である。例えば野球の名選手……やれ、澤村榮治は速かった、いや金田正一のほうがなどと喧しいやり取りが繰り広げられるのだ。 もちろんスピードガンなど存在していないから、彼らがどれほどの球速を記録していたのかはわからず、目撃談のみでしかない。だが、球速が年ごとに速くなっているのは疑いようのない事実といえるのではないか。 体格だけでも、大リーグに移籍した大谷翔平を見れば歴然としていて、彼が160km/h超の速球を投げられるのも当然と考えてしまう。 野球だけでないことは、陸上競技しかり、男子100m走で10秒ジャストを記録したのは60年前の1960年のことで、10秒の壁を切ったのは1968年だった。そして9秒半ばに達したのは2009年のことである。 我が眼の黒いうちには無理だろうが、いずれ9秒を切る可能性だってあるかもしれない。 人..
季語は・・・雑炊 雑炊に 落とす卵は 豪奢かな 【去年の今日】通話§中学英語で十分だと思う件
月に一度の会社OB会の打ち合わせで神保町に行くのと、8月に再開した歌舞伎座に出ていくのが、コロナウイルスこのかたの都心通いの頻度である。11月は歌舞伎座に行かなかったので、神保町だけだった。 さすがにそれだけで自宅待機を続けていると煮詰まってしまうので、一週おきくらいに、車で10分ちょっとのところの地元一番のショッピングセンターまで買い物に行く。 ほぼ毎日のあれこれは近くのスーパーマーケットで事足りるが、そこに行かなければ買えないものも多いので、ストレス解消がてらということである。 日用品の補充、衣類の購入に、ちょっとうまいものでも買って食卓に並べるとか、行ったら行ったでしどころは多い。 バスで行き来することもできるが、大きなトートバッグ2つの荷物になってしまうので、さすがに車で行くほうが気楽なのだ。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・枯野 洟(はなみず)を 啜り往きけり 大枯野 【去年の今日】街話§神保巷塵[67]ランチョン創業百十周年
昨日、東京の日没時刻は16時28分。一年で一番早かったが、今日は16時29分と1分早まる……冬至より10日ほど早いけれど春が近づいてくれた。 毎年12月、この日がやって来ると、何がなしすっきり晴れやかな気分になるのだ。11月半ば頃から昨日あたりまで、世間はあっという間に暗くなって、ちょっとばかり気が滅入りそうになりかねず、だから今日が来ることを待ち望んでいたのだ。 これで一緒に日の出の時刻も早まってくれればと思うが、夜明けが速くなるのは、およそ一か月後の1月10日。ここまでたどり着けば、やれやれ冬が明けつつあるぞと思うのだが、寒さの底はここからが本番で、世間が明るくなるにつれて冬の寒さが厳しくなっていくのである。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・冬ざれ 冬ざれて 餌奪い合う 烏かな 【去年の今日】調話§運転するのは~広い道か狭い道か~
大雪の次候“熊蟄穴(くまあなにこもる)”である。 国内で熊が増えている。山の食料が不足しているからか、人里に下りてきて餌を漁っているところを目撃されたとか、襲われたとか、そんなニュースが目に付いたのが、この秋だった。 我が尾瀬でも熊の目撃が頻繁にあって、尾瀬ヶ原でも至仏山に近い上田代での遭遇度が高い。なのでシーズン中は、地元の人やレンジャーなどが出没地のあたりを見回って、木道に近づくことのないように追い払いに精を出していたのだ。 そうして、木道沿いには写真のように熊に注意を促す鐘が設置されていたりハイカーも各々“熊鈴”を携帯し、顔を合わせないように用心は怠らない。 熊のほうから無闇に襲ってくるわけではないが、出くわさなければそれに越したことはない。既に尾瀬は雪の中……熊もまた冬眠の最中で穴の中。 《七十二候のトピックス一覧》
ベッドの角に脛をぶつけて痛い思いをすることは珍しくない。そのあたりを通り過ぎる時、大雑把に見当をつけて、ぶつからないだろうと思いながら、真下を見ることなく歩いてはぶつけてしまうのである。 微妙な距離感とか何とか、そんなやつだが、あてにはならないことのほうがはるかに少ないはずなのだけれど、微妙な距離感がはずれてしまった時の無念さのほうがはるかに大きいものだったりする。 そんな“失敗”の類は、日常生活の中にいくらでも存在していて、それゆえ思ってもみなかったことで食器を割ることになったりするのだ。 我々は一生の間にどれほど“微妙な距離感”で痛い目に遭うのだろうか……遭った直後は後悔の念に苛まれるけれど、一晩寝てしまえば、そんな距離感など、どこかに吹っ飛んでしまうのである。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・虎落笛(もがりぶえ) 夜更け過ぎ 北関東の 虎落笛 【去年の今日】教話§九月入学を考える
1968年12月10日、府中で三億円強奪事件発生。 府中刑務所北側の学園通りで、日本信託銀行の現金輸送車が強奪され、運んでいた約3億円(2億9430万7500円)が跡形もなく消え去ってしまった。 その当時、中学2年だったが騒ぎの様子は鮮明に記憶に残っている。テレビでは“3億円あったら……”みたいな企画が林立して、何だかなあと思いはしたが、そんな自分も似たようなことを想像していたのだ。 当時の定期預金程度でも利率5%で運用されていたから、利息だけで悠々と暮らせるようなとんでもない金額だったのである。 そうして、警視庁が公開した犯人のモンタージュ写真のおかげで、府中市周辺に居住する同じような年齢の男性たちが、容疑者扱いされたり、任意の聴取を受けたりして、その人数はかなりなものだったと聞く。 ちなみに強奪された3億円は、府中刑務所から府中街道を挟んだ向かいの、東芝府..
[承前] ドイツやオーストリアを旅行するから、さぞやソーセージを食べているのではと思われるかもしれないが、2週間旅行するとしても食べるのはせいぜい一回くらいで、一度も食べずに旅行を終えることも珍しくはない。 嫌いなわけではなく、むしろ焼きソーセージは大好物なのだが……オーストリア・アルプスの中には、気楽に食べさせてくれるソーセージ・スタンドのようなものが存在していなかったりする。 それが街中であったら、ちょっと小腹が空いた時にでも気軽に食べられるスタンドがあって、丸パンに挟んで2オイロ(約250円)は何ともありがたい。 というわけで、ビアホールに行っても肉の塊を食べる気は毛頭なく、ゆえにレバーケーゼだったり、小ぶりなニュルンベルガーの6本も食べれば十分だが、その程度であってもヨーロッパの加工肉のうまさは、さすが歴史の賜物だと感じさせてくれる。餃子&ビールと同様、ソー..
季語は・・・冬木立 迷い犬 途方に暮れて 冬木立 【去年の今日】麥話§ビールについて少しばかり
マンションの大規模修繕なるものがある。築10年頃から始まって、10年間隔程度で、建物の不具合を直したりしてやるのだ。 我が団地も築40年近くとなって、もう何度か大規模修繕を実施した。第一にご苦労されるのが、管理組合理事会が委嘱する大規模修繕委員会のメンバー諸氏である。 百世帯を超える団地住人の中には、建築関係の仕事に携わる人もいれば、経理事務や見積もり仕事に長けた人と、何だかんだ人材は揃っているので、そうした人たちの知恵に頼ることになるのだ。 幸か不幸か……我が身はといえば、そうした仕事の類とは無縁なので、お声などかかるはずもなく、そうした人たちの苦労に感謝するしかない。ほんの雀の涙程度の謝礼で、週末の会合に忙殺されてしまう。 そうして何年も苦労して作成した大規模修繕原案を住民総会に諮ると、そんな苦労などどこ吹く風と、言いたいことを言いまくるだけの輩が存在するのであ..
早寝早起きが常態化して既に10年以上が経過した。毎晩21時前後にはベッドに入り、5時半前後には起き出している。 だが、その間に一度はトイレ起床が入って眠りが中断する。何時頃に起きているのか時計を見ないのでわからない。というか、時計を見ると何となくだが、その先に二度寝しようという意欲が失われるような気がするのだ。 真夜中にトイレに行くのは、老化のゆえと割り切っていて、問題はその後の二度寝ができるかどうかである。出すものを出して落ち着いたところで、再びベッドにもぐり込んで二度目を試みる。 だが、週に二回くらいは寝床で30分近く経過しても、寝つけそうにもないことがあって、こらえ切れずに起き出すことになるが、そこで時計を見ると、5時から5時半あたりを指していて、睡眠時間としては十分なのだと苦笑いするのだ。 二度寝に成功する時は感覚で何となく“眠りに入りつつある”とわかって、..
季語は・・・冬の浪 冬の浪 賭するマグロや 大間沖 【去年の今日】週話§日曜諸相~マイバッグ~
11月19日……我が家の外気温が24.9度と夏日直前を記録した。この日の府中アメダスの最高気温は24.3度だったので、まるで夏のようだったのである。 そんな暑さが続いた3日目、室内ひととおりに電気掃除機をかけた。20分ほどで終わった時には、うっすらと汗ばむほどで、室内の気温は24度ほど。外気温はそれほどでもなく20度くらいだったのだが。 11月21日……政府がGoToキャンペーンの見直しを表明。ここまでぐずぐずと一時停止を引き伸ばした理由がわからない。翌日からは三連休というタイミングで、しかもこの週の日本列島は、4日連続して感染者数が最多を記録し続けた。 政府が優柔不断であることが、感染者の増加を招いたことは間違いなく、多くの人間を旅行させたり、食事に出かけさせたり、何というか異様なまでにバランスを欠いた愚策のおかげで、その先に待つものは医療への過大な圧迫であることは間違..
日常にチーズを食べるようになったのは、この20年足らずのことである。 オーストリア・アルプスの端っこを旅行するようになって覚えたのは、旅行しているエリアがオーストリアで一番チーズがうまいということで、最初の何年かはそんなことも知らず、能天気にうろついていたのだった。 そうしているうち、うっすらと状況が見えてきたところで、よっこらしょとチーズに注意を向けるようになった。欧米におけるチーズの位置付けがどういうものであるのかは、昔から何となく知っていたことだ。要するにメインが終わった後のデザートと同じようにチーズを食べて腹を落ち着けるのだ。 だが、そういう食事のやり方に慣れていないので、結局は日本人的に酒肴のひとつとして最初から食卓に顔を出すこととなった。 そして、旅行の最終日直前には、どの村に必ず一軒はあるチーズ屋に出かけて“爆買い”をするのだ。店の奥に行くと、日本にあ..
季語は・・・冬の空 マスクする 日々の憂いや 冬の空 【去年の今日】週話§土曜諸相~ブログ移転一週間~
大雪の初候“閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)”である。 大雪の初候だが、12月のうちに関東地方でけっこうな積雪があったか記憶をたどってみたが、薄っすら程度だったらともかく、電車の運行ができなくなるほど降ったことは、少なくともこの40年ほどの間にはなかったはずだ。 二十四節気に新暦とのズレを感じるのはこんな時で、時に歯がゆさを感じないでもないが、それじゃあと大移動させてみようものだったら、それはそれでえらいことになりかねない。 今の我々にしすれば、3月~5月を春、6月~8月を夏、9月~11月を秋、そして12月~2月を冬だと大雑把に考えているので、やはり一か月くらいはずれがあるように思われるが、二十四節気のそれは“兆し”を知ろしめているのだくらいに考えてやるのだ。 《七十二候のトピックス一覧》
[承前] これまた何度も書いていることだが“泡の酒”が好物である。ビールは言うまでもなく、とにかく発泡ワインの類が好きである。 残念ながらシャンパンは昨今すっかり高嶺の花となってしまって、口にする機会などはない。だから呑むのはもっぱら、気軽に買えるゼクト(ドイツ)、スプマンテ(イタリア)、ヴァン・ムスー(フランス)、カヴァ(スペイン)などの安い発泡ワインばかりなのだ。 これらの発泡ワインは我が家近くのスーパーマーケットでも売られていて、1000円凸凹、時には1コインで買えてしまうのもあるが、そんな発泡酒でもそれなりの泡立ちがあって、まあまあ満足させてくれる。 買う時にはラベルを眺めて“辛口”と表示のあるやつを買うように注意している。間違って甘口を買おうものなら「三ツ矢サイダーかよ、うへ!」と、その先さらに呑み続ける意欲が失せてしまうのもあるからだ。 ちなみに発..
季語は・・・木枯し 木枯しに 下弦の月の 俯きて 【去年の今日】呟話§一言つぶやき~反社会的勢力~
時折だが、ブログのネタに詰まる時がある。まあ、月に3回かそんな程度のことだが。 土日のエントリーは軽めの身辺雑記のようなものだから、それほど困るようなことはないのだが、珍しくも書くネタを思い浮かべることができずにいるのだ。そうすると、このような逃げ口上をまとめ始めるというのがいつもの安易な解決法だったりして、やり過ごしてしまうのである。 この時期、我がしがない団地では年末恒例の餅搗きなどの行事があるのだが言わずと知れたコロナ禍ゆえ、先月半ばに早々と中止が決まってしまった。 10年も前だったら、力及ばずながらも杵を取って、搗きこそしないけれど、蒸し上がった糯米をこねるという前段階くらいは手を貸していたのだ。 だが、団地も高齢化の一途にて、長いこと搗き手不足状態が続いている。あれこれ考えるなら、年末の恒例行事も終焉へと向かいつつあるかもしれぬ。 《日常のトピックス..
季語は・・・今日の冬 焼酎を 熱湯で割る 今日の冬 【去年の今日】惜話§十八世中村勘三郎の命日
築40年も間もなくという、我が中古マンションのメインとなる屋内暖房は、居間に置かれたガスストーブである。居間隣のキッチン壁にガスの配管設備があるのを幸いに、ホースを引っ張ってストーブと繋げている。 今使っているストーブは二代目。初代は四半世紀以上使って、二代目と交換した。構造が単純なので長持ちしてくれたようだ。 だが、あれこれ検索してみるとガス燃焼式のストーブの種類が少なくなっていることに気づかされる。しかも、現時点で都市ガス対応は、一社でしか製造されていない。 我が家は夫婦して温風が吹き出てくる暖房機が苦手なので、エアコンの暖房機能も使ったことがなく、先々もガスストーブを使い続けたいと思っているが、ガスストーブの将来は明るくなさそうである。 というわけで、本日は十八代目中村勘三郎(2012年)の命日。合わせてヴォル フガング・アマデウス・モーツァルト(1791年..
季語は・・・時雨 冬時雨 抜けてその先 冬時雨 【去年の今日】街話§神保巷塵[66]こんなのだめ!
日本という国の“お国柄”というやつかどうかはわからないが、唯物信仰が今だ顕著に根強いと感じるのである。 例えば……欧米においてCDという存在は既に終わりを迎えていて、音源はネット配信されたり、ハードディスクにダウンロードしたものを、スマートフォンに落とし、自宅だけでなく、カーオーディオも同様に聴くのだ。実際ドイツで借りたレンタカーからCDプレイヤーや消えたのは2018年のこと。運転席のあちこちを探したが存在していないと確認し、ならばとiPadを接続して事無きを得たのだった。 だが、日本では相変わらずCDそのものが売れ続けているという不思議。 それと同様かどうか……日本人には根強い現金信仰もあるようで、これに関しても欧米に大きく後れを取っているように思うのだ。 そのことを強烈に思い知ったのは、2017年にオランダのアムステルダムを初めて訪れた時のことで、到着した翌朝、..
明日はヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト没して229年の命日だ。 今のドイツやオーストリアと呼ばれる地域が、どれほどの作曲家を輩出したか。バッハからヘンデル、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、ブラームス、ワーグナー……もちろん彼らだけが作曲家ではない。そんな中にあってモーツァルトの存在を何にたとえようかと考えるが、なかなかうまいこと思いついてくれない。 そんなことを考えるより、彼の音楽を聴けばそれで済むことなのだ。何でもいい、ピアノ・ソナタでも、弦楽四重奏曲でも、オペラでも……とにかく、聴けば“ああ、モーツァルト”と独り言をつぶやくであろう。 というわけで、クラリネット五重奏曲を聴いてみよう。1789年、彼の晩年近くに作曲された穏やかな音楽は、初冬の今頃に聴くととりわけ心に沁みる。 モーツァルトがこの音楽を作曲していたのは三十代前半、そんな彼の視線の先..
季語は・・・褞袍(どてら) もっさりと 下宿三畳 褞袍着て 【去年の今日】霜話§2019年11月の天気模様を振り返る
サッカーの“神”ディエゴ・マラドーナが11月25日に死去した。 上の映像は、11月28日にオーストラリアで行われた、三か国対抗戦のニュージーランド対アルゼンチンの試合キックオフ前のハカに先立って、オールブラックス主将のサム・ケインがハーフウェイラインに歩み出て、背番号10にマラドーナと書かれたオールブラックスのジャージを静かに置き、追悼の意を表したのだった。 黙禱くらいはするのではと思っていたが、もっと形ある、なかなかに感動的な追悼の表現で、加えるなら直後のハカ“カパ・オ・パンゴ”がいつも以上の気迫と感じられたのである。享年六十 合掌 《追悼のトピックス一覧》
あれこれ酒に凝る趣味はなかったからか、もう40年このかた、家で呑むのはまずビールである。何はさておいてもビール。最近は日本酒や焼酎をビールの後に呑むようになったが、10年くらい前まではビールばかり呑んでいたのだ。 元より、酒の味などわかりようがないので、日本酒の純米とか吟醸がどうとか、ワインのヴィンテージがどうたらこうたらとか、最初から放棄のゆえ、夏でも冬でもビールぐびぐび!という飲酒傾向になってしまったのである。 もちろん外呑みであれば、ビールは最初の1杯に留めて、和食屋であったら日本酒や焼酎に進み、中華の店なら紹興酒、洋らしき店ならワインを注文するくらいの頭を持っていないわけでもない。 そのような嗜好であったからかどうか、海外旅行の目的地がビールの故郷である南ドイツ中心になってしまって、もう長い。 下戸の同居人に付き合わせるのも申し訳ないと思いつつ、旅行中にはさ..
季語は・・・山茶花 山茶花や 帰りそびれて 日暮れ時 【去年の今日】師話§2019年12月の予定あれこれ
小雪の末候“橘始黄(たちばなはじめてきばむ)”である。 寒がりではなけれども、このような季節に入ってくると、それなりの防寒仕様で臨んでいる。 起きる時間の5時から6時頃は、まだ窓の外は暗く、外気温によっては霜も降りるような世間なので、まず先月半ばあたりから室内用のソックスをはいて、ウールのカーディガンを羽織り、さらに寒かったら膝掛けの世話にもなるのだ。 そして最終的には足温器を足元に置いて完了となる。この先、3月の声を聞くまでは、朝方の防寒は必須で、6時過ぎまでは暗い窓の外を、時折車が走り過ぎていくの眺めたりするが、明るさが早まるのは1月中旬以降のこと。 《七十二候のトピックス一覧》
2020年11月の東京の天気がどうであったのか、振り返っておこうと思う。 このリンクの日付をクリックすることで、各々の日のアメダスが確認でき、より詳細な気象状況をチェックできる。 晩秋らしい日が続いた11月だった。晴れと曇りが二日三日交替でやってきて気温も高くなく低くなく……下旬近くなっても夏日を窺うような日もあったりはしたが。 10月から打って変わり、雨マークが付いたのは4日しかなかった。下旬ともなれば、晩秋の様相を色濃く呈して、冬へ冬へと駆け足で向かっていったのである。 かくして今年も、残すところ一か月を切ることとなったのだ。 《天気のトピックス一覧》
季語は・・・湯豆腐 湯豆腐は 熱く師走の 初めかな 【去年の今日】週話§日曜諸相~はじめまして!~
ビッグイシュー396号は12月1日から発売されています。お買い求めできる場所はこちらを参照。毎月1日、15日発売。一部450円。230円が販売員の収入に。宮本亞門が表紙。 表紙&スペシャルインタビュー 宮本亞門 リレーインタビュー 村田沙耶香(小説家) 特集 クラウドファンディング、その先へ これまで、どれぐらい多くの人が“先立つもの”がないことで、自分のアイディアをあきらめてきたことか。 「クラウドファンディング」は、そんなあなたの夢や問題解決のための新しいアイディアを実現する方法だ。 インターネット上でプロジェクトを発表し、不特定多数の人からお金を集めるクラウドファンディングは「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を組み合わせた言葉。 “担保”が必要な金融機関に対し、アイディアのおもしろさ、意外さが社会に波紋を広げ、お金..
月初めにつき、東京の一か月間の日の出&日没時刻を。 12月1日の日の出は6時32分で日没は16時28分、月末の日の出は6時50分で日没は16時38分……12月半ばまでは日没時刻が一番に早い時期である。前月30日から12月11日までの日没が一年で最も早く、その後夏至の頃に向かってようやく遅くなっていく。冬至の21日の日の出は6時46分、日没16時32分。 四部制で興行を続けている歌舞伎座だが十二月大歌舞伎の第二部と第三部を観に行くことにしている。 12月もクラシックの演奏会はなし……かと思っていたら、ぎりぎりで鈴木雅明が振るバッハ・コレギウム・ジャパンの第九のチケットが取れた。辛うじてベートーヴェン生誕二百五十周年に間に合ったが、チケットを買って聴くクラシックの演奏会は、今年これが最初で最後だ。 そしてSSブログ一周年である。昨日までにアップしたエント..
「ブログリーダー」を活用して、HIDAMARIさんをフォローしませんか?
季語は・・・余花 行きつけに 傘を忘れて 余花の雨 【去年の今日】握話§昨今の“高級”寿司屋は・・・・・・
今週のはじめだっただろうか。アクセスが若干だが好調に転じていることに気がついたのは。 青息吐息で3ケタに届く一日のアクセスが、日によって200とか300とかを記録するようになっていた。特定のテーマを持つことなく、徒然に思いついたことを淡々と書いてアップしているだけなので、元より固定客もいないし、どどーん!とアクセスが増えるようなこともなかった。 何とも不思議なことだなあと思っていて、それで管理ページを眺めたら…… ……ブログのランキング(ブログテーマ:blog)が18位になっていて驚いた。ランキングページに掲載されるのは1位から25位までである。当然ながら、手が届くとはとても思えないランキング上位である。長いこと4ケタだったSSブログ全体では3ケタの758位まで上がっていたのだ。 いくらブログというコンテンツがオワコンの類で、ブロガーの数も間違いなく減ってい..
我が大相撲事始めは、たぶん保育園に通っていた頃、テレビはなかったのでラジオからの音声中継を聴いていた。それは栃若時代の末期のことで、すぐに柏鵬時代が到来するタイミングなのだった。 我が家で聴いていた以外に記憶にあるのは、すぐ近くの銭湯に行くと番台の上にあるラジオから、決まって大相撲中継が流れていたことである。銭湯で相撲や野球のナイター中継を聴くのは当時のお約束のようなものだったのである。 小学校に入った年に大鵬と柏戸が横綱に同時昇進、その翌年には我が家にもテレビがやって来て、国技館(当時は蔵前)3場所に加えて、大阪、名古屋、九州の年6場所の興行が確立していたのだ。 一か月おき、小学校から帰ってくればテレビにかじりついて大相撲中継を観ることが日課のようなもので、それはもうせっせと観ていたのだった。 それが途絶えたのは、中学に入って放課後の部活をやっていた頃で、帰宅する..
季語は・・・春窮(しゅんきゅう) 満腹の 吾や春窮の 語彙を知り 【去年の今日】知話§“観光旅行”はやめようか
穀雨の次候“霜止出苗(しもやんでなえいずる)”である。 さて、ゴールデンウィークである……といっても年金生活者には何の関係もない。そして毎度ながらそんな休みの間に外出するなど考えもしないのだ。 もっとも、宮仕えしていた時でも、無用な外出をすることはなかった。そもそも混雑が嫌いな性分なのである。 ゴールデンウィークに出かけたのは数えるほど。宮仕えになって2年後くらいだったか、小屋開けのタイミングで尾瀬に入った時だった。 4月末の尾瀬沼はまだまだ凍結していて、尾瀬沼畔の山小屋まで氷と雪に覆われた沼の上を歩いていったのだ。小屋には一週間ほど居候して、雪かきを手伝ったり、クロスカントリースキーを借りて尾瀬ヶ原の山小屋まで届け物をしたりと……まあ遊ばせてもらったようなものだが。 というわけで、ゴールデンウィークは自宅周辺をうろうろして、混雑する観光地とか渋滞の高..
エクセルを使っているといっても、簡単な表組で中に数字を入れるとか、その程度で、そこにあれやこれやを仕込んで作業をする……というところまで自分としては必要がなかったのである。 ところが、会社OB会でエクセルを使った名簿等管理の後を引き継ぐことになったのは数年前。引き継ごうとしたところで、前任者が急病で倒れ、何も引継作業をしないまま、全部任されてしまった……事務局の自分より高齢者の人間たちはパソコンに手を出すことができないのだ。 まあ、何とかなるだろうと作業を始めたら、前任者がエクセルの表組に様々な仕掛けを入れ込んでいて、そのたびに調べて修正することになった。 原形を尊重してそのまま使っていくことを大原則にしているものだから、時に頭を抱えるような事態が起きたりして、だから思ったこととしては、あまり“技”は使わずにプレーンなスタイルで推移していくほうが、先々に人が変わってもスム..
季語は・・・土筆(つくし) 菩提寺の 土手に土筆の 日の盛り 【去年の今日】費話§電化製品の買い替え
物心ついた頃から“狂信”とは無縁な中で生きてきた。それはおそらく、自分の中に、確固とした価値観を持ち合わせていなかったからではないか……もしも中途半端に持ってしまってしたら、あるいは引きずられかねないと考えたからかもしれない。 自分に自信がないゆえに身についた自己防衛なのかもしれない。そう思って見ていると、むしろ自信を持ち合わせている人のほうが狂信に陥りやすいのではないかという、そんな節が見受けられるような気がする。 改めて狂信とは何なのだろう?そして狂信が生み出すものは、決まって破滅という結末ではないだろうか。おそらく“狂信”はわかりやすく、耳にも優しく響いて聞こえるのだろう。そしていつしか気がつかないうちに取り込まれてしまうのだろう。 70年に及ぶ人生の中で、そうした狂信に巻き込まれなかったのは、不思議な危険回避能力があったからだろうか。最初に書いたように、自分自身の..
去年が上京して五十周年だった。 何の意味もなく、漠然と東京へ東京へと目指すことになったのは、いかなる内的理由があったものかと今さらながら思うのであるが、おそらくは小学校高学年になっていたであろうかつての自分に聞いてみたいものである。 そしてたぶん“東京には何かがある”と、何の確証もなく言い張ったことは間違いない。 結果として我が意志は貫かれて、東京で学び、職を得て、同居人と暮らし、定年を迎え、いずれ遠くないいつかお迎えがやって来る。今、東京に行こうと思い定めた小学生の自分に問うてみたい……君が思い描いていた東京での日々はこういうことだったのか?と。 幼い発想しかなかったにしても、その当時既に、東京にあって地方にはないあれやこれやを敏感に感じとっていたのかもしれないが……。 中央集権の象徴のような東京という都会のメリットを自分なりに享受した。特に文化面においては..
季語は・・・花冷え 花冷えて 読みかけのまま 深夜二時 【去年の今日】週話§日曜枯寂~ビール純粋令五百七周年!~
五百周年から毎年書いているが、ドイツのビール純粋令発布記念日である。 このお触れのおかげで、21世紀の我々もおいしいビールをいただくことができるのだ。 もちろん基本的にはビールの原材料には、麦芽、ホップ、水だけでなくてはならないという制約はなく、ドイツでビール純粋令を発布したのは、制約を施さなければ、どんどん品質が落ちていう状況が起きていたであろうことは想像に難くない。 ベルギーでは、ビールに果実を入れたり、日本で醸造されるビールの多くは米やコーンスターチを混ぜ込んでいて、それらが愛飲されているのが現状である。 まあ、それほどビール純粋令に拘っているわけではないが、日頃から自宅で呑むのはヱビスビールで、神保町のランチョンで呑むのはアサヒのマルエフ生。それらは言わずもがなながら、ビール純粋令とは無関係にきちんとしたビールなのだ。 さて、古稀を前にして、す..
すっかり桜も散って、今年の我が家周辺は花水木(ハナミズキ)が期待外れの咲き具合。という4月下旬が始まったところで歌舞伎座に行ってきた。四月大歌舞伎夜の部である。 お目当ては2018年、2021年に続いて三度目となる仁左衛門&玉三郎コンビによる『於染久松色読販』と『神田祭』の二本立て。 もう、何も言うことはなく、仁左玉が持てる魅力を振り撒き尽くした贅沢な時間だった。とにかく仁左衛門の“悪”の凄みは比類なく、それが玉三郎と共演することで魅力が二倍にも三倍にも膨らんでいく。脇を固めた橘太郎の久作、錦之助の清兵衛、彦三郎の太郎七などなど、手堅くまとまっていた。 そして“お口直し”に置かれた『神田祭』の贅沢なこと。二人が“じゃらつく”様子は、まさに恋仲の二人の濃密さで、ほぼ満員の客席の喜ぶまいことか。 1970年に始まった孝玉から仁左玉へと、半世紀以上続いた稀有なコン..
季語は・・・菜の花 菜の花や 終着駅は 閑散と 【去年の今日】週話§土曜枯寂~ラグビーシーズン終了~
[承前] そして、この同期が外せない。ここから4日間に及ぶ奮闘が始まった。自分の手には負えそうにないと、まずはODのサポートセンターにメイル。状況を説明して対処法のアドバイスを求めた。 担当者は実に人柄がよく、丁寧なアドバイスを指示してくれた。だが、手順どおりに進めても、OD内部の問題なのかどうか、一向に事態が好転しない。 何度かサポセンとやり取りをした結果、金曜日に導かれた結論は“もう一度最初から式年遷宮”をやり直すということだった。前週の半ばあたりには、そうするしかないと考えていて、サポセンに具体的な対処方法を教えてもらい、[再]式年遷宮を始めたのは土曜日早朝のこと。 まず、これだけはしっかりしなければと、新しパソコンからODをアンインストールし、それを確認したところで、再度引っ越しソフトを立ち上げて、作業開始、と思ったら「新しいパソコンのハードディスク容量が足..
さても、これまでで最も手間暇がかかったパソコンの引っ越しだった。以下はその顛末。 前週月曜日、9時過ぎには到着してくれた新しいパソコン。午前中は荷解きと設置をした。既報のとおり、梱包していた段ボールの処理だけでもけっこうな手間だった。荷解きから設置まで一時間以上はかかったのではないか。 そうして午後から式年遷宮に取りかかる。新旧2台のパソコンを立ち上げ、引っ越しソフトの取説を“簡単”にチェックしてソフト起動。そこからは、お任せで“遷宮”を見守るだけである。 睡眠中も遷宮は進み、夜明け近く12時間半を要し、翌朝、古いパソコンから新しいパソコンへとデータ移行が完了。さあ、新しいパソコンで快適に過ごしましょうと思ったら何やらデスクトップ上のファイルの様子がおかしい。 ↓いやもう、参ったの何の ご覧のように、ファイル名の前に赤丸×印や、矢印が丸く上下に重なっている..
季語は・・・かぎろひ かぎろひて 手のすぐ先や ユーラシア 【去年の今日】熱話§温泉と鉱泉と
またぞろ選挙だそうだ。補選とやらがたけなわのようである。候補者が乱立している中に“有名人”と思しき姿も見える。 だが、有名人だからと安易に投票するのは愚の骨頂でしかないと、これは選挙権を手にした半世紀前から変わっていない、自分への戒めなのだ。こと選挙に関して、有名人を選ぶというのは、単なる数合わせに加担する以外の何物でもない。 それは正しい投票行動などでも何でもなく、ただのイメージに眼を眩まされているだけの話ではないか。 きちんと見渡してみれば、有名人を隠れ蓑にして、過去の行状が何とも疑わしい人間がゴロゴロ現れてくるのだ。今回だってその例に漏れてはいない。 昔から言われている当たり前のこととして、選挙は“人気投票”などではないということを、もう一度頭に刻み込んで、投票券を手に投票所に足を運ぶことこそが重要なのである。 《日本のトピックス一覧》
季語は・・・日永 ひょっこりと 鼬(イタチ)現るる 日永かな 【去年の今日】貪話§欲望と節制と
昨年12月9日に開幕したジャパンラグビーリーグワンのシーズンも、今週を入れて残り三節となってしまった。 今季は最終節まで合わせて12試合(同居人は+1)と、クロスボーダーを2試合観ていて、なかなかの精勤ぶりである。しかも、川崎の等々力陸上競技場や東大阪の花園ラグビー場と初見参&遠征したところが2か所あって、存分にラグビーを満喫したと言えるだろう。 残念なことは、推しチームの成績がなかなか上がってくれず、芳しいものではなかったことで、これはチームのメンバーのほうがより切実に感じているのは言うまでもない。 リーグが終われば、6月から10月にかけて代表戦が行われる。今年は、代表4試合とJAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)2試合が予定されているので2試合くらいは観に行ければいいのだが。 そして来年は、ラグビー観戦歴50年を迎える。最初に観たのは、1975年9..
季語は・・・陽炎(かげろう) 陽炎や ゆらりゆらりと 幸の神 【去年の今日】払話§現金と銀行振込と電子マネー
実は夜の部を“もう一丁!”してしまっていたのだ。高齢者である仁左衛門のことゆえ、何があってもおかしくなく……現実に5日から三日間休演をしちゃったし。念の為、前半後半のチケットを保険として用意していたのだ。 ↓前回より舞台近くに席を 千秋楽前日で雨の平日にもかかわらず、ほぼ満席のお運び。やはり、観たいものは観ておきたいというお客さんの熱気が感じられた。 おそらく玉三郎&仁左衛門のお富与三郎はこれが最後であろうと思われるが一回目に観たとおり、まさに水の如く“あるがまま”のお富さんと与三郎が自然体でそこに在ったのである。 芝居するべき多くの要素が、さり気ない動きの一つ一つに込められていて、こういう境地まで達することができるのかという感慨を覚えたのだ。 ところで、ふと三世瀬川如皐の手になる台本に、ちょっと首を傾げる場面があって、それは源氏店幕切れ近く、和泉..
季語は・・・若葉 浴室の 窓そよめかせ 若葉風 【去年の今日】環話§室温15度では肌寒い
2005年4月27日、トゥールーズでエアバスA380が初飛行。 エアバスA380に乗ったのは確か3回か4回。2010年から2013年頃くらいで、成田からの行きには一度も乗らず……ミュンヘン直行便はA380の運行ではなく、フランクフルトからの帰国便に乗ったのである。 実物を初めて見たのは2008年の成田で、日本で最初に就航したシンガポール航空機だった。 ↓2008年、成田での初対面 総2階建てのぼってりした様子は、さすがにでかいと驚かされたし、これが本当に飛ぶのかいなとも思ったのだ。 それから何年かして、ルフトハンザが日本便運航を始めて、フランクフルトから成田への帰国便に乗ることになった。写真で見ればわかるように、搭乗するためのフィンガーは上に1基、下に2基。機体の大きさもさることながら、そうした周辺のあれやこれやも半端ないものがある ↓フランクフルト..
昔々、少年漫画週刊誌に短編SFが連載されていたことがある。小学生にもわかりやすく書かれていて、漫画の合間の佳き読み物になってくれていた。 そんなSF小説の中に“色のない世界”をテーマにした一作があって、これはなかなかによくできていた作品だったと思う。 ある日、我々の世界から色が消滅して、何もかも真っ白になってしまったというストーリーだが、その中で強調されていたのが食べ物に関する記述で、何もかもが白いがゆえに“食べ物の味が感じられない”とあって、子ども心に「そりゃそうかもしれない」と納得したのだ。 それこそ、真っ白い海苔、真っ白い(当たり前だ)ご飯、真っ白いマグロの鉄火巻ってどうよ?ではないか、そして醤油も白いときたもんだ。そして……真っ白いほうれん草のお浸しだったり、真っ白いさくらんぼやブルーベリーなどなど、ちょっと想像をするのが難しくなっていった記憶がある。 現実..
季語は・・・ふらここ(ブランコ) ふらここや 独りで乗ると 言い張る子 【去年の今日】飽話§食べ歩きの旅は・・・・・・
身長は171cmあるのに、足のサイズは24cmなのだ。 靴を探す時にはけっこう難儀する。スニーカーの多くは25cmからしかなく、辛うじて24.5cmからというのがあって、今は24.5cmをもっぱら履いている。 靴下はもっと悲惨で、24cmというのは完全に空白状態にあり、25~27cmからしか店には並んでいない。よほど探して回らないと24cmは見つからない。 それほど足のサイズが24cmに満たない人は少ないものなのだろうか。そんなはずはないだろうと思うので、そのサイズを設定しないのは、メーカーがネグっているからとしか考えられない。 そういえばと思い出したのは、海外旅行中に靴を探してみた時のことで、ドイツあたりだと「24cm?何それ?」でけんもほろろ状態だったのが、あーら不思議……イタリアはヴェローナの靴屋に入ったら、24cmサイズがいくらでも選び放題で置かれていること..
久しく回らない寿司屋の暖簾をくぐっていない。数年前、こんな田舎に……という稀な寿司屋が閉店してこのかたである。 本当にいいネタが使われて、しかも値段はリーズナブルというものだった。おまかせもあったが、もっぱらお好みでマグロや穴子をつまみにビールと日本酒をいただいて、最後に握り数貫と巻物をもらっておしまい。好き勝手で楽しませてもらった。 それが、世間で言うところの“高級”と思われる、とても恐ろしくて暖簾をくぐることなどできない店はというと、これほとんどすべてが、お決まりのコースで供されているようだ。 作る店の側にしてみれば、お決まりの寿司を出すのは“楽”なことかもしれない。だが、客のことを考えているかといえば、店の都合であるとしか思えないと考えるのは僻目であろうか。 そういえばフレンチやイタリアンなどでも、コースで出されるよりは、アラカルトをいただきたいと思うのだが、..
季語は・・・余花 余花落花 烏諍(いさか)う 日の盛り 【去年の今日】酔話§チェーン系の居酒屋考
穀雨の次候“霜止出苗(しもやんでなえいずる)”である。 気持ちのいい気候である。表に出て行くのがまったく苦にならない、一年のうちでもそんな時季にあたっている。 4月のはじめ、桜の盛りが終わるのと入れ替わりに吹き出した若い新緑も、あっという間に緑の濃さを増してきた。 若い芽が出てきた頃は、桜にかまけてしまっていて、そんな隙にほんの数日ほどで木々に新緑が出そろった時には、自然の営みのスピードに舌を巻いたのだ。 老境の身には、そんな様子が何とも慌ただしいと感じられ……「そんなに急ぐことはないだろう」と呟くしかなかったのである。 それにしても今年の緑のスピードは速いと感じる。例年であれば、もう少しじわじわと2週間くらいかけて樹々の緑が出揃うのだが、それはもう温暖化のゆえということだろうか。 《七十二候のトピックス一覧》
その場所を旅行するのは一回限りというのであれば、外から著名建造物の類ばかり見て回るのは、ある意味しかたないと言えるかもしれない。 だが、同じ場所に複数回通っても、相変わらずそんな観光旅行でお茶を濁すのであれば、それはやめておいたほうがいいだろうし、よく飽きないものだとも思う。 もちろん、それなりに由来については調べての上だとは思うけれど、表からだけ見物してはいおしまいというのは、天麩羅やフライの衣だけ食べているような気がしないでもない。 よもや、美術館の建物の外観だけを見てそれでよしとする人はさすがにいないとは思うが、旅行記みたいなブログの中に、オペラハウスのガイドツアーに行ってきた様子を書いている人がいて……いや、それだったら、やっぱりオペラやバレエの公演を観てほしいのだ。 我々が何度も何度も繰り返して同じところばかりに行くのは、そこで行われているオペラやコンサー..
季語は・・・春の風邪 長寝の朝 老いの微熱や 春の風邪 【去年の今日】週話§日曜有閑~他人様に金は貸さない~
そろそろパソコンの買い替え時期が近づいている。前回は2018年のことで、その一つ前のパソコンが2年ほどでお釈迦さまになってしまい、データ救出に苦労しつつ、買い替えを余儀なくされたのだ。 これまでのローテーションであれば、5年をめどに買い替えていて、だからそろそろなのである。 もうとっくに、電源を入れてからパソコンが使えるようになるまで10分以上を要していて、その遅さにはほとほと閉口している。そして、買い替えするには“資金”が必要になるし、買い換えたら買い替えたで、新しいパソコンの設定あれこれ、データ移行などが実に煩わしい。 かつては、淡々と作業をこなしていたが、寄る年波には勝てず、そうした作業が面倒と感じてしまった。いずれは買い替えるのだからとは思いつつも、その時が来たら渋々ながらでもやるしかないのは決まっているのだが……。 というわけで、パソコンの5年使用はまだま..
ちょっと不思議(変)なゲームを観たような……ジャパンラグビーリーグワン最終節、えどりく(江戸川陸上競技場)14時キックオフで行われたスピアーズ対サンゴリアスの一戦。観客は5,651人、芝生席も盛況の入りだった。 前半はまだよかった……堅調というか、もう少し点が入ってもよかったかという印象だったが、後半は蛇口がぶっ壊れたかのようなトライ大放出大会となってしまったのである。しかも、両チームそれぞれ2人ずつシンビンを出すという賑やかさ。 シーズン順位も決定した、いわゆる“消化試合”であるはずだったのだが、それが最後は壮絶な打ち合いになろうとは……である。 まあ、観ている側からすればちょっと笑ってしまうような試合展開だったがそれ以上に試合時間の長さが半端ないものだった。休憩を挟んで、ノーサイドの笛が鳴ったのは16時5分。通常であれば2時間超えすることはなく..
季語は・・・日永 ぐびぐびり ビール寿ぐ 日永かな 【去年の今日】週話§土曜有閑~ビール純粋令五百六周年!~
2016年の五百周年の記念年以来、この日が来るたびにビール純粋令を寿いでいるが、それも8年目となった。 ドイツ・ミュンヘンあたりを旅行している日々は、至福の時を過ごしていたが、ワタシ的にはこれすべてビールのおかげである。 食べ物の持ち込みが自由なミュンヘンのビアガルテンに日本そのままのつまみである、枝豆や葱チャーシュー、そして締めの巻き寿司を持ち込んだのは2008年のことだった、以来数回ほどミュンヘン中央駅近くのビアガルテンであるアウグスティナーケラーで“寿司パーティー”を行った。 ↓日独混在之圖 まあ、大げさに言えば“本懐を遂げた”だろうか。そして彼の国の人たちが日本人のように何かをつまみつまみ呑むなどとはせず、ひたすらちびりちびりとジョッキを傾けていたのだ。 ↓ビール純粋令が発布されたインゴルシュタットの記念マグ 旅行することで、常に..
季語は・・・陽炎(かげろう) 陽炎や 裏浅草の 人力車 【去年の今日】復話§尾瀬のシーズン始まる
かつて、大学ラグビーと社会人ラグビーが日本選手権を戦っていた時、日本のラグビーシーズンは1月で終わっていたのである。 今のリーグワンのシーズンは12月に始まり、4月までリーグ戦が争われて、5月にプレーオフの準決勝と決勝が行われるから、およそ半年近いシーズンとなった。 それゆえ日本選手権も消滅し、大学ラグビーとの接点もなくなってしまったのだ。もっとも、日本選手権の運営形態も変化して、社会人1位と大学1位が選手権を争ったのは1996年まで。 1997年からは、社会人3位までと大学2位までの5チームでトーナメントを行うようになったが、さらに運営形態はだらだらと紆余曲折が続いたのだ。 リーグワンが軌道にのってくれれば、この状態がそれなりに続いてくれるとは思うが、まだまだ試行錯誤も続きそうではある。 そして、リーグワンは今週の第16節でリーグ戦が終了し、5月半ばに上位4..
季語は・・・春風 春風や 金剛杖の 減り具合 【去年の今日】面話§地続きのヨーロッパ
一般的に“天下り”とは、公務員が出世レースから外れたことで、関連外郭団体や民間企業に職を得てというものである。 もちろん好ましいものなどではなく、体のいい食い扶持探しなのは言うまでもないことだが、つい最近もそうした天下りをゴリ押しするような事例が発生した……国交省の元次官が、航空会社に対して人事を押し付けたのだ。 こうした事例は珍しいことではないかもしれないが、明らかにお上意識に基づく権力の濫用ではないだろうか。 そうして結果的に、民間企業や関連団体が官僚の手に落ちることになるのである。 自分について振り返ってみるなら、定年退職後は65歳まで会社に嘱託として残って、別セクションで仕事をすることもできたが、高校同期の人間からの頼まれ仕事を引き受けることに決めた。ところがその彼が急死してしまい、先々続けることを断念したのだ。 その時、先々の生活がどうなるかと考えた..
温泉法なる法律があって、水温25度以下の冷泉を鉱泉と呼ぶようになっていたが、もう最近は湧き出ているものであれば、これすべて温泉と呼んでいるようだ。 とすると、鉱泉は火力を使い一定の湯温まで沸かさなくてはならず、それはそれで燃料代が必要となり、温泉と比べたら割高ではないかと感じるのだがいかがなものか。 かつては、温泉と鉱泉の表示がきちんと分けられていたので、選ぶにしても自分なりの基準で選べたが、今はそのあたりの線引きが曖昧なのである。 二十代前半の一時期、山奥にある鄙びた温泉に行くことを楽しんでいたが、その時も鉱泉の沸かし湯などは選ばず、温泉であることを確認して出かけていた。もっとも、山奥の山小屋同然の旅館に湯を沸かすような費用がかさむ設備など置けるはずもないが。 中には湯温が40度を少し切るような温湯に出くわすこともあったが、その手の温泉は、長時間じっくり入っている..