映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』感想&あらすじ/おすすめ度★★★☆☆
「アベンジャーズ/エンドゲーム」後の世界を描いた、マーベルのクロスオーバー作品。 ジェイク・ギレンホールが見たくて劇場へ行きましたが、ジェイクの見ごたえとしては十分ありました。 【チラシ付き、映画パンフレット】 スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム 特別版 あらすじ ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)とマリアは、土のゴーレムのような怪人に遭遇し、緑の閃光を放つ異次元の男に救われる。 そのころピーター(トム・ホランド/スパイダーマン)はヨーロッパへの研修旅行で思いを寄せるMJに告白することを決める。しかし旅行先のヴェネツィアで、水のモンスターに遭遇。そこへまたあの緑の閃光を放つ「ミステリオ」(ジェイク・ギレンホール)が現れ、モンスターを制圧する・・。 感想 マーベルの映画は、ぜったいに面白くないということは無いですね。娯楽映画の必要な要素がすべて詰まっています。 しかも「アベンジャーズ/エンドゲーム」の後の世界ということで、ピーターは元気してるかな、と気にもなってちょっと見に行ってしまいました。もちろん主な目的はジェイク・ギレンホール。 偶然にもこの人の映画をあまり見る機会がありませんでした。しかし「ブロークバック・マウンテン」の演技とハンサムぶりを見て、これは見ておかなくては、と。 年齢的にはもう中年になってしまいましたが、演技力の抜群さは増しており、安定のセリフの上手さで場を盛り上げています。また、見かけ通りのプレイボーイ(もう死語?)のようで、私生活でマスコミを賑わせているようです。 若いトム・ホランドも若くて魅力的で大人気ですね。今後スパイダーマンがどう進化するのか、マーベル・シネマティック・ユニバースがどうなっていくのか、とりあえず興味があります。
映画『マイマイ新子と千年の魔法』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★★
驚きました。題から想像した内容の何倍も面白くて、しかも感動しました。遠い昔、はじめてジブリのアニメに感動した時のあの感覚を思い出しました。 マイマイ新子と千年の魔法 「この世界の片隅に」の片淵須直監督の、1つ前の作品です。高樹のぶ子の自伝的小説「マイマイ新子」が原作。 あらすじ おでこにつむじ(マイマイ)を持っている新子は、空想好きで活発な小学生。昔、周防の国と呼ばれた山口県の町で、麦畑の中で毎日「ここには大昔にどんな人が通ったのか」と空想して過ごしていた。 あるとき都会から転校生の貴伊子がやってきた。なかなか学校に馴染めない貴伊子を新子は気にかけているうちに2人はとても仲良くなっていった。 学校の仲間たちと小川にダムを造って遊んだり、見慣れない綺麗な金魚を池で飼ったり、小さな事件がいろいろあって楽しい毎日なのだった・・。 感想 あらすじを書いていると、ほんとに何でもない話なんだなあと気づきます。でもこのアニメは、生き生きとして、ワクワクがあふれていて、そして新しい感動があり、懐かしくもありました。 まずは、音楽が素晴らしい。若者受けを狙ってない。世界のどこでも通用しそうな、でも斬新な音楽。 人物の作画が凝り過ぎず、シンプル過ぎず、ちょうどいい。 新子の吹替の女優さんがよくあるアニメ声でないところがいい。 原作には無い、1000年前のお姫様の逸話が同時進行で挿入されているのが洒落ている。出会うことは絶対に無いが、時空を超えて、色紙の切れ端が小川に流れてくる・・「なんやこれ、きれい・・」 そういう随所のしつらえが、あの名作「この世界の片隅に」にイメージが繋がります。 ラストシーンが終わった後、大作映画を見終わったような満足感と感動が残りました。
どうしても、書かずにはいられなくなりました。 心の中で手を合わせていましたが、ニュースを見るたびに悲しくて泣けてしまうのです。 京都アニメーションの作品、私は「聲の形」をスクリーンで見たことがあるだけでしたが、あの年、「君の名は。」よりも感動した、という人が何人もいました。 息子もアニメが好きで、「涼宮ハルヒの憂鬱」のDVDがいっぱい部屋にありましたが、今回のことはかなりショックだったようです。 世界中のたくさんの人が、悲しんでします。そして哀悼の気持ちが広がり、支援の輪になっています。でも、亡くなった方は帰ってこないのです。 アニメーションは、素晴らしい芸術です。人々を感動させ、励まし、勇気を与えてくれます。その作り手の方たちが、なぜあのようなことにならなくてはいけなかったのか。 この理不尽な事件の悔しさをどこに持っていたらいいのかわかりません。 ただただ、ニュースを見ると涙が出ます。あの日の1日前に戻れたら、とご家族の方がおっしゃっていましたが、まったく同じ気持ちです。それ以外に言いようがないです。合掌するだけです。
政治とか新聞とかって難しい話だから・・と敬遠されがちなテーマ。だけどこの映画で表現されているのは人間としてどう生きるのかという問いかけ。新聞記者 (角川新書) 松坂桃李とシム・ウンギョンが向き合う「大きな」ものに私たちも向き合えるだろうか。とうてい無理だな。「大きな」ものは怖いから。 シム・ウンギョンの演技はほんとうに引き込まれます。うまいです。セリフは片言なのに、そんなことは関係なく伝わるものなのだと知らされました。 それから松坂桃李の上司を演じた、田中哲司さん、熱演でした。 あらすじ 東都新聞の若い女性記者吉岡エリカ(シム・ウンギョン)はジャーナリストの父を誤報による自殺で亡くしていた。エリカは官邸への辛辣な質問で異端視されるほど、人一倍正義感が強かった。 あるとき東都新聞に匿名でFAXが送られる。それは大学新設計画の文書だった。 そのころ内閣情報調査室の杉原(松坂桃李)は、ある政治家の不祥事のことで、被害者を中傷する情報をSNSに流し、世論を操作する任務についていた。謎の多いその部署では、室長の多田の指示で、さまざまな情報コントロールが行われていた。 その後FAXの送り主と思われる人物が、ビルから転落自殺する。それは杉原の元上司の神崎だった。神崎の死に疑問を持った杉原は、神崎の葬儀で記者の吉岡エリカと知り合い、神崎の死の真相に迫っていく・・。 感想 力作です。最後の最後まで、主人公の二人の演技が凄いです。ストーリーはそれほど複雑ではなく、ありがちと言っては語弊がありますが、奇想天外な仕掛けがあるわけではありません。 しかしこの人間ドラマは、人間が何のためにどのように生きるのかを問いかけるものになっていて、官邸などに行くことも無い一般の私たちでさえも、こんなとき私なら・・と選択を考えてしまいます。 たぶん私は保身にまわるだろうな。しかも「へへっ」ていう顔でふつうに自分を守るだろうな。 しかしこの映画の中の二人は、私たちの良心の象徴かもしれません。心の中で、がんばれくじけるなと叫びながら、ラストシーンを見入っている自分がいました。 地味な作品ながら、観客動員数をだんだん伸ばしていったそうです。たしかに劇場は混み合っていました。作り手の熱意はちゃんと伝わるのですね。
もう一度見たくなる映画、とでも言いましょうか。あの曲たちが流れ、心地よい雨の音が流れる空間に、もう一度身を置きたくなります。新海誠監督作品 天気の子 公式ビジュアルガイド 前作の「君の名は。」は社会現象になるほどブレイクしましたが、そのあとの作品をどうするんだろうと心配していました。ほんとうに監督の作りたいものが作れているんだろうか、とちょっとどきどきしながら、映画館に行きました。 あらすじ 神津島に住む高校1年生の少年・帆高(ほだか)は家出して東京に着いた。どうしても島から出たかったのだ。 しかし16歳ではなかなか仕事も見つからず、船の中で知り合ったライターの須賀を頼って住み込みで取材を手伝うようになる。 この年、東京は数か月にわたって雨が降るという異常気象だった。ある時知り合った陽菜(ひな)という少女が100%の晴女だと知り、天気を晴れにするネットビジネスを始めることになった。 順調に晴れの天気にしていく陽菜だったが、次第に陽菜は自分の体が薄く透明になっていくのに気づいた・・。 感想 ネット世界の評判は、何故かあまり良くありません。「君の名は。」の存在が大きすぎるのでしょうか。私はクライマックスでとても感動し、涙が止まらないぐらいだったのですが。 「天気の子」は新開監督の今の心情をそのまま表した作品ではないかと思っています。大雨というリスキーな設定を使ってでも表現したかったこと。 大人の世界、大人の事情はいろいろある。だからまっすぐに突き進もうとすると邪魔される。だけど、僕は、もう一度会いたかっただけなんだ! 何かに邪魔される土砂降り雨の中の新開監督。それでも僕はこのことをみんなに伝えたいんだ~!と言っているように私には聞こえました。 これからご覧になる方、どうか気持ちをニュートラルにして、作品を鑑賞してほしいです。
「雷神(なるかみ)の少し響(とよ)みて降らずとも我は留らむ妹し留めば」 雨の新宿御苑のベンチで二人は出会いました。雨が降ればあなたを留めておくのに、という歌に対して詠まれた返し歌の意味は、雨なんて降らなくてもあなたが引き留めるならここにいます、というもの。万葉の詩歌がこんなにしっくりくるなんて。 あらすじ 雨の日は1時間目をサボって、庭園のベンチにいる高校1年生のタカオ。そこで朝からビールを飲んでいる、ユキノに出会った。 ユキノは心に傷を持ち、味覚障害にもなっており、仕事にも行くことができなくなっていた。しかし、このベンチでのひとときや、タカオのつくるお弁当で、ユキノの気持ちはだんだんほぐれてきていた。 靴職人になることを夢見ているタカオに、ユキノは靴づくりの本をプレゼントする。タカオはユキノのために靴をつくることにした・・。 感想 美しい画像ここに極まれり、といった感じです。「ほしのこえ」から新開監督の作品を見てきましたが、「秒速5センチメートル」からさらに進化した、としか言えません。 人物の描き方が、新開監督らしくシンプルなのですが、それがまた実に清々しく好感が持てると思いました。声優さんも2人とも素晴らしく、ああプロの声優さんはいいなあと感じました。 「君の名は。」ではさらに進化して結実した、といったところでしょうが、部分的にはちょっと進化しすぎかな、と思わなくもありません。 まったくシンプルなストーリーの「言の葉の庭」。大人の女性の複雑な感情と、ピュアな思春期の男の子の恋愛。それがほんとうに成り立つのかどうか、2人の語らいや、その刹那の感情を、情景描写ともに表現しながら、結論についてはまた新開監督は私たちの想像にゆだねています。 あなたなら、どう感じるか?と。 エンドロールに流れる「RAIN」・・こんなにいい曲だったんだ。秦基博はすこぶる上手い方ですが、私はオリジナルの大江千里のほうが良かったんじゃないかなあと思います。 7月の雨の日に見る映画としては、最高におすすめです。
映画『ブロークバック・マウンテン』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★★
一生に一度の大切な人に出会うことができたのに、それはとてつもなく切ないことだった。出会わなければよかったかもしれないほどに。 ブロークバック・マウンテン (字幕版) 2005年 アン・リー監督。アカデミー監督賞などを受賞しましたが、作品賞は逃しました。男性同士の恋愛を扱った作品だから、とアン・リー監督は保守的なアカデミーを批判したそうですが、作品賞の「クラッシュ」も素晴らしいですので、それだけが理由とは思えません。 あらすじ 1963年アメリカ中西部のブロークバック・マウンテンで羊の放牧を行う季節労働者として、イニスとジャックは出会った。 最初はぎくしゃくしていたが、ひと夏を過ごすうちに2人にはかけがえの無い友情が芽生えた。そしてあるとき2人は一線を越えてしまう。 だがこの時代には同性愛者は社会的に認められた存在ではなく、放牧の仕事が終わると、それぞれの町へ帰って行った。別れ際に次の約束をしないまま、そして心のすれ違いから殴り合ってしまいその傷を残したまま・・。 それぞれは結婚し、子供もできた。あるときジャックからイニスに手紙が届く。2人の心は少しも離れていなかった。かけがいのない大切な存在だったのだ・・。 感想 イニスを演じたヒース・レジャーの演技は絶賛されました。20歳から40歳までの20年間を、少しのメイクと話し方で演じ分けた。内気だけれど心に深くしまわれた想いを実にうまく表現しています。 そしてジャックを演じたジェイク・ギレンホール。青年のジェイクは美しく、確かに愛してしまいそうだ・・と思わせる。深い瞳の演技も素晴らしいものでした。 同性愛、という一言では括れない、人間として彼らは深く愛し合っていました。しかし、ブロークバック・マウンテンの自然の中で過ごす、年に2~3度の時間のなかでしか許されないことでした。 イニスは特に厳しい父親に育てられ、生まれ育った町を出たことが無いため、どこか遠いところに行く、ということもできなかった。しかし心にはずっと迷いがあり、家族を大切にしていても、どこか違うところを見ていました。 そんなイニスをそのものだったヒース・レジャー。この映画のあと、「ダークナイト」でジョーカーを演じ、アカデミー助演男優賞を受賞しました。
映画『秒速5センチメートル』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆
新海誠監督の2007年の作品。3部作のオムニバスで、それぞれ独立した物語が連作で描かれています。「ほしのこえ」のような悲しいテーマだな、と思いました。 秒速5センチメートル あらすじ 「ねえ、秒速5センチなんだって。桜の花の落ちるスピード。秒速5センチメートル」そう言った明里の声がいつも貴樹の中に残っている。 桜花抄 小学校6年生の貴樹と明里は、互いに似たところもあり、心が通じ合っていた。 明里が転校することになり、貴樹は冷たい態度をとるがそのことをずっと後悔していた。 中学1年の冬、明里から手紙が届き、貴樹は会いに行くことになった。しかしその日はたまたま大雪となり、貴樹の乗った電車は途中で何時間も停車することに・・。 コスモナウト 中学の時に種子島に転向した貴樹は、高校3年生になっていた。同じクラスの花苗は貴樹にずっと片思いをしていた。東京の大学を受験するという貴樹に、今度こそ思いを打ち明けようと決心する花苗。しかし宇宙ロケットが打ちあがったその日、ロケットの尾を引く雲をみながら、貴樹が自分のことを全く見ていないということに気付いてしまった・・。 秒速5センチメートル 大人になった貴樹は、仕事に打ち込む毎日だった。ただひたすら仕事に追われ、疲弊していく毎日。3年間付き合った彼女からは、「1000回メールしても、心は1センチくらいしか近づけなかった」とメールで告げられる。 あるときふと気持ちが切れてしまい貴樹は会社を辞めた。貴樹はあの中学1年の雪の夜から、ずっと明里のことが心の中から消えないでいた・・。 感想 まさに新開ワールドの美しい画像。人物画も前作より進化し、背景はすでに芸術の域です。せつなくて胸が痛くなるようなストーリーですが、私はまだ、この作品は完成形ではないという印象を持ちました。 第3話の「秒速5センチメートル」は途中で終わった感があり、未消化な思いが心に残ってしまいます。完全なる完成形の「君の名は。」と比べてしまうので、よりいっそうそう思ってしまうのかもしれません。 しかし、「桜花抄」は素晴らしい。この感性はどこからくるのか。見た人の誰の心も揺らすでしょう。 中学1年というのがまたいい。子供ではなくなった年齢、大人としての記憶が始まる年齢、という気がします。
映画『未来を花束にして』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★★
こういう映画を紹介するためにこのブログを立ち上げたと言っても過言ではありません。 2015年公開 イギリス映画。原題:Suffragette 1910年代に婦人参政権を求めて戦った女性たちの物語です。Suffragette(サフラジェット)とは、婦人参政権論者のことです。 未来を花束にして(字幕版) あらすじ モードは幼い息子ジョージと夫と3人で暮らし、昼間は12歳の頃から働いている洗濯工場に勤めていた。当時の女性には選挙権もなく、職場でも男性よりもとても低い賃金、今で言うセクハラは横行し、酷い環境の中で生きていた。 あるときモードは街でショーウィンドウに石を投げる過激な活動家と遭遇する。たまたま同じ職場にもサフラジェットの活動に参加する同僚がいた。 最初は無関心だったモードだが、あるとき「別の生き方があるかもしれない」ということに目覚め、次第に運動に参加するようになってく・・。 感想 日本ではまったく話題にならなかった映画です。しかし本当にいい映画。ほんとうに映画を見たなあ、という思いに満たされる。キャリー・マリガンという女優さんがまた、顔がかわいいのですが、それに反しセリフがとてもドスが聞いていて素晴らしいです。 婦人参政権運動、というと女性が虐げられていて暗いつらい映画なのかな、と思っていましたが、物語の展開にメリハリがあり、クライマックスに火を使っていたり、虐げられる洗濯会社の映像が明るい、主人公の貧しい洋服がそれでもデザインが素敵、など暗い要素がほとんどない仕上がりになっています。 こういう無名の良質の映画を紹介するために、私はこのブログを作ったのかな・・と気づかせられた、そんな1作でありました。 Suffragetteという題を「未来を花束にして」に変更したのは、大人の事情だったのでしょうけど、Suffragetteの連帯を示す「花」を邦題に入れたのは、こだわりの選択でしたね。 モードは英国王に直訴しようとダービー会場に仲間と紛れ込みます。そのときにかぶっていた帽子には、可憐な青紫のサフランが飾られていました。サフランは、種子をつけない花です。 国華園 夏植え球根 サフラン 10球【※発送が国華園アマゾン店からの場合のみ正規品です】
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