(前回からの続き) なぜ年老いた私を残したのですか? 「ああ、どうして。」 彼女は叫びました。 「何故(なぜ)神さまは私を残したのですか? 私は老いぼれで、ずいぶんと年をとっています。 背中は曲がり、目は良く見えなくなって来ています。 私は働くことが出来ません。...
(新しいお話しの始め) 埋葬の準備が始まる カリマは何週間もの間、ずーっと病気でしたが、とうとう亡くなってしまいました(*1)。 友達たちは彼女の周りに集まり、悲しみのあまり、大きな叫び声をあげました。 そして、彼女への優しい思いや、彼女を失った悲しみについて、あれこ...
(前回からの続き) 神官(ロノプハ)が再び警告する それから時が流れて、もはや王の死は、取るに足らぬ事になりました(イ メア オレ)。 そして王が元のように元気になった時、神官は警告をやめることなく、こう言いました。 「貴方はこの死から逃れることが出来ました。 しか...
(前回からの続き) 大きな鳥が空を舞う それからほぼ3週間近く経った後、再びワイピオで騒がしい歓声が上がりました。 素晴らしく美しい羽根が魅力的な、1羽の大きな鳥が現れたのです。 その鳥は雲と雲の間から飛び出すと、コアエケアとカホロクアイワのパリ(断崖絶壁)上で...
(前回からの続き) ロノプハの警告 ミルがその家に移るに際して、ロノプハはミルにこう助言しました(*1)。 「おお、王よ! 貴方(あなた)は定められた期間、完全に平静な状態で、この家に住まなければなりません。 ですから、万一ここで娯楽に興じた人々が、大騒ぎを始めたとし...
(前回からの続き) ミル王の侍医になる ある時ミルは 、腕の立つヒーラーと伝えられる、ロノプハの評判を耳にしました(*1)。 「もしも彼の治療がなかったら、あの病いに苦しむ人たちは、死んでしまったに違いない。」 そこでミルは使者を出して、ロノプハに伝言を送りました。 ...
(前回からの続き) 別々に住んだほうが良い 彼らがそこに着く前に、カマカヌイアハイロノがロノプハに言いました(*1)。 「貴方のヒーリング診療所が成功するように、私達は別々に住んだほうが良いでしょう。 そうです、貴方は何処(どこ)か他(ほか)の地に住むのです。 そう...
(前回からの続き) ヒーリングを学びたい 彼がのんびりと旅をしていると、苦しそうに息をしながら、誰かが後ろから近づいて来ました(*1)。 振り返って見ると、あの首長がいました。 そこで彼は、首長に尋ねました。 「どうしたのですか? ロノさん。 あなたは何処へ行くので...
(前回からの続き) 首長ロノが倒れる カマカヌイアハイロノの所見を聞いた何人かが首長の元へ走り、あの不思議な言葉を伝えました(*1)。 「あの首長は重病人だ。」 これを聞いて、ロノは彼のオオ(掘り棒)を振り上げて言いました。 「私はここだ、ここにいる。病気の兆候など...
(前回からの続き) これまで言われているように、色々な島々を襲った病いは、カマカヌイアハイロノが施した治療により、あたかも伝染病が沈静化するように、治(おさ)まったのでした(*1)。 これは、タヒチから来た旅する人々を追いかけて、彼が行った医療活動の成果であり、 これにより...
(新しいお話しの始め) タヒチから人々がやって来た 正確な年代は知られていませんが、ミル王がハワイ島ワイピオ渓谷で、国を治めていた時のことでした(*1)。 あの何処(いずこ)とも知れぬ異国の地、タヒチから、沢山の人々が妻を連れてこの国にやって来ました。 それはそうと、...
363 民話 ヒクとカウェル;ルア オ ミルの場所(3.天国か地獄か?)
(前回からの続き) 天国か地獄か? 「あの世における幸不幸について、彼らは幾つかのとても不明瞭でわかり難い、概念を持っています(*1)(*2)。 そして人の死後について、こう言います。 『まず最初に、亡霊はワケアが治める地に行く。 ここでワケアとは、彼らの最初の先祖...
362 民話 ヒクとカウェル;ルア オ ミルの場所(2.アケアとミルの王国)
(前回からの続き) このお話しに関連して、アレキサンダー教授は親切にも、以下の情報を提供して下さいました(N.1)(*1)(*2)。 死者の霊はどこへ行く? 「ワイピオ渓谷という場所は、この島の最初の王アケアとミルの居所として、ハワイの歌や伝承に頻繁に取り上げられていま...
361 民話 ヒクとカウェル;ルア オ ミルの場所(1.ワイピオで霊たちが行進)
(新しいお話しの始め) 入口はワイピオ渓谷にある ヒクとカウェルのお話では、ルア オ ミルの入り口はホルアロアの沖で、カイルアの南方約4kmほどの所にあります(*1)。 しかし地元の人々は、通常、こんな風に説明しています。 「ルア オ ミルの入り口は、あの素晴らし...
新年おめでとうございます。 今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
360 旧約聖書の歴史に似た伝説 (26. 伝説の大元は未だ謎)
(前回からの続き) 「悪」とは神への反抗だ ハワイ神話のカナロアは、ある時は堕天使として偉大な神々と対立し、またある時は悪霊やこの世の死者の霊になります。 これと比較するとヘブライの伝説は、悪の原理の存在について、より曖昧(あいまい)で不明確です。 創世記の蛇、ヨブ記...
359 旧約聖書の歴史に似た伝説 (25. マルケサス諸島の伝説)
(前回からの続き) 天地創造と神々 天地創造の説明に関連して、フォルナンダー判事はこう述べています(*1)(*2)。 「ヘブライの伝説では神々、すなわちエロヒムは、混沌と同時に、かつまた混沌から離れて存在した、と推察されます。 一方、ハワイの伝説では3大神、すなわちカ...
358 旧約聖書の歴史に似た伝説 (24. 第二の仮説(その三))
(前回からの続き) ハワイ バージョンの誕生は少し後 伝説ヒイアカ-イ-カ-ポリ-オ-ペレにコメントする中で、フォルナンダー判事は次のように述べています(*1)(*2)。 「 もしも、ヘブライの伝説ヨシュア、もしくはそのクシュ版を基にして、伝説ヒイアカが生まれるの...
357 旧約聖書の歴史に似た伝説 (23. 第二の仮説(その二))
(前回からの続き) 新約聖書の伝説から各地域の伝説が生まれた 他の伝承のコピーであるどころか、それらは実際には、独自のオリジナル版です(*1)(*2)。 すなわち、かつて広く知られた共通の伝説の、1つもしくはシリーズ物を基にして、独自に作られた伝説なのです。 さて、こ...
356 旧約聖書の歴史に似た伝説 (22. 第二の仮説(その一))
(前回からの続き) 第2の仮説 「 もう1方の仮説はこうです(*1)。 それは、はるか昔のある時期のことでした。 散り散りになった古代イスラエル人の一団が、直接、ハワイの島々にやって来ました。 もしくは、『ポリネシア人』が大移動を始める前の、マレーシアにやって来た...
355 旧約聖書の歴史に似た伝説 (21. 第一の仮説と問題点)
(前回からの続き) 第1の仮説 「2つの仮説」、とフォルナンダー判事は言います(*1)(*2)。 「民間伝承のこの顕著な類似性を説明するには、まず2つの仮説を立てるのが良いでしょう。 その第1は16-17世紀、スペインがスパニッシュ メインとマニラの間で、ガレオン貿易...
354 旧約聖書の歴史に似た伝説 (20. ハワイの伝説は古い)
(前回からの続き) 伝説は宣教師の渡来前からあった そしてディブル牧師は彼の歴史書の中で、これらのハワイの伝説について次のように述べています(*1)(*2)。 「これらハワイの伝説は、ハワイの人々から宣教師たちに、口頭で伝えられました。 そしてその時期は、聖書がハワ...
353 旧約聖書の歴史に似た伝説 (19. 主要部分は信頼出来る)
(前回からの続き) 鯨(くじら)に飲み込まれる フォルナンダー判事は、もう1つの伝説でも同じだ、とほのめかしています(*1)。 そうです。次の伝説の中にも、旧約聖書に似た箇所があるのです(N.1)。 「 オアフ島の預言者ナ-ウラ-ア-マイヘアは、オアフ島を出発してカウ...
(前回からの続き) このままでは日が暮れる 「 有名なハワイの伝説ヒイアカ-イ-カ-ポリ-オ-ペレの中に、次のような場面があります(*1)(*2)。 ヒイアカは、姉ペレが愛したロヒアウの体を、回復させ生き還らせるために、カウアイ島にやって来ました。 しかし、カララウ山...
351 旧約聖書の歴史に似た伝説 (17. メネフネの脱出)
(前回からの続き) 迫害から逃れ国を出る フォルナンダー判事は、旧約聖書に酷似したお話しを、もう1つ入手しています(*1)(N.1)。 それは次のようなもので、ケ-アリイ-ワハ-ヌイの伝説の中の1部分です。 「ケ-アリイ-ワハ-ヌイは、ホヌア-イ-ラロ と呼ばれる国の...
350 旧約聖書の歴史に似た伝説 (16. 王国の宰相になる)
(前回からの続き) 囚人たちが夢を見る その夜、囚人たちの中の4人が夢を見ました。 1番目の人は夢の中で、熟したオヒア(山リンゴ)を見て、彼の魂がそれを食べました。 2番目の人は夢の中で、熟したバナナを見て、彼の魂がそれを食べました。 3番目の人は夢の中で...
349 旧約聖書の歴史に似た伝説 (15. ハワイのヨセフ)
(前回からの続き) 10人の兄弟たち シェルドン ディブル牧師は、1843年にラハイナルナで、「サンドイッチ諸島の歴史」を出版しました(*1)(*2)(N.1)。 この著書の中で彼は、ヨセフ物語によく似た伝説、を紹介しています(N.2)。 「ワイケレヌイアイクは、...
348 旧約聖書の歴史に似た伝説 (14. もう一つの伝説)
(前回からの続き) 山に登り生贄を奉げなさい ルア-ヌウについては、上のお話しとは別に、もう一つ伝説があります(*1)(*2)。 そこではカネ神がルア-ヌウに、こう命じました。 『山の上に登りなさい。そして生贄(いけにえ)を奉(ささ)げるのです。』 これに応えてル...
347 旧約聖書の歴史に似た伝説 (13. ルア-ヌウの登場)
(前回からの続き) ヌウからルア-ヌウへ 「ヌウの3人の息子たちは各々、ナル-アケア、ナル-ホオ-フア、そしてナル-マナ-マナ、という名前でした(*1)(*2)。 それから更に時が流れ、ヌウから数えて第10代目に、ルア-ヌウ、もしくはヌウ2世が現れました。 彼は伝説の...
346 旧約聖書の歴史に似た伝説 (12. カネ神への奉納)
(前回からの続き) あの月こそカネに違いない 「その日の夕方、ヌウは船を後にしました。 彼はカネ神への奉納物として、豚、ココナッツ、それからアヴァを、携(たずさ)えていました。 大空を見上げると、そこには月が見えました。 彼はそれが神だと思い、こんな独りごとを言いま...
(前回からの続き) ハワイの島々に伝わる洪水伝説 「ハワイの島々には、洪水の伝説が幾つかあります (*1)(*2) 。 ある伝説ではその洪水について、次のように語っています。 それはヌウ、もしくはナナ-ヌウの時代 のことでした。 (ここで「ナナ」は「ラナ」とも発音さ...
(前回からの続き) 3つの系図 ハワイの伝説によると、最初の人クムホヌアの長男はラカ、次の子はアフでした(*1)(*2)。 そして、ラカは悪い男で、彼の弟アフを殺してしまいました。 「ハワイには3つの相異なる系図があります。 それらは互いにおおよそ一致しながら、最初...
(前回からの続き) カナロアと最初の人 伝説はさらに、こう教えてくれます(*1)(*2)。 カネ、クー、そしてロノが、最初の人を土から創造していた時、カナロアもそこに居ました(N.1)。 彼はカネをまねて、もう一人の人間を土から造ろうとしました。 粘土で形を作り上...
(前回からの続き) 地獄の支配者マヌアとミル ところが他のいくつかの伝説では、「ハワイの地獄を、本当にそして最初に支配した者は、マヌアと呼ばれていた。」としています(*1)(*2)(N.1)。 さらに支配者だけでなく、「地獄」そのものにも、幾つもの呼称がありました。 ...
341 旧約聖書の歴史に似た伝説 (7. 邪悪な天使の反逆)
(前回からの続き) 天使の創造 これらの伝説、すなわちクムホヌアとウェラ-アヒ-ラニには、次のように記されています(*1)(*2)。 「神々が星を創造したその時に、彼らはたくさんの天使たちを(イ キニ アクア)、創造しました(N.1)。 ただし人間の時とは違って、天使...
340 旧約聖書の歴史に似た伝説 (6. 楽園を飾り立てる木々)
(前回からの続き) 楽園を飾り立てる木々 「ポリネシア人の楽園、すなわちカラナ-イ-ハウ-オラは、色々な物で飾り立てられていました(*1)(*2)。 それらの中には、楽園に生育した木々もありました。 例えばウル カプ ア カネ、すなわち、カネを崇拝する人々がタブーとし...
339 旧約聖書の歴史に似た伝説 (5. パリ-ウリは聖なるタブーの地)
(前回からの続き) 人類が初めて姿を現した地 この世で一番最初の地、すなわち、人類が初めて姿を現した素晴らしい地を、ハワイの伝説は、高く称賛しています(*1)。 「その地には、幾つもの名前がつけられ、その意味もさまざまでした。 しかしそれらの中で、最も一般的でかつ一番...
338 旧約聖書の歴史に似た伝説 (4. ウェラ-アヒ-ラニの伝説)
(前回からの続き) 動物の創造 「動物の創造については、それらのチャントは何も触れていません(*1)。 しかし、真正(しんせい)な伝承をベースにして、次のように推察できるでしょう。 『地が創造された時、もしくは、湿気を帯びた混沌から姿を現した時、そこには既に植物や動物...
337 旧約聖書の歴史に似た伝説 (3. 人類の祖先を造る)
(前回からの続き) カネ神をモデルに人を造る 最後に、彼らは人を創造しました(*1)。 それはカネをモデルにして、姿かたちが似ているように造られました。 最初の人体は、赤土と神々の唾液(だえき)で造られました。 --- ここで、赤土をハワイ語で言うと 「レポ ウラ」...
(前回からの続き) 混沌(こんとん)に光が差し込む 「これらの神々は、永遠の過去から、混沌、いやそれ以前から存在しました(*1)(N.1)。 これをハワイ人の言葉で表現し、その和訳をカッコ書きで付せば、こんな感じです。 『マイ カ ポ マイ(N.2) 』 (夜、...
(新しいお話の始め) 旧約聖書に良く似た伝説 詳細な著書「ポリネシア民族」の第1巻で、フォルナンダー判事はハワイの伝説を幾つか紹介しています(*1)(*2)(N.1)(N.2)。 ところが、それらは旧約聖書の歴史と酷似しているのです。 私達はこの偶然の一致を、一体どう...
(前回からの続き) 人間のような「いびき」 ホウは浅瀬に棲(す)む魚です(*1)(N.1)。 物音もせず静まり返った夜に、 松明(たいまつ)を灯(とも)して、漁(りょう)をしているとしましょう。 そんな時、もしもホウが眠っている棲(す)み家に近づけば、彼らのいびきが聞...
333 魚と迷信 (4. ヒルの神話 (2) ヒル-ウリの黒い帯)
(前回からの続き) 大漁に沸(わ)く これを見たヘエイアとカネオヘの人々は、カヌーを漕(こ)いで沖へ出ました(*1)。 するとその赤色の正体は、これまで見たことも聞いたことも無い、魚でした。 魚網(ぎょもう)を取りに岸に戻ると、彼らはその群れを網で囲いま...
332 魚と迷信 (4. ヒルの神話 (1) 魚の姿で旅に出る)
(前回からの続き) はじめに かつてヒルは人間の姿をしていた、と言われています(*1)(N.1)。 しかし、ある不思議な出来事により、その体が魚の形に変わってしまったのでした。 ヒルの祖先や原産地については、、何もわかっていません。 しかし、その物語は知られているの...
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(前回からの続き) 妻たちの水汲みが失敗 二人の若い女性、カレレアルアカの妻たちは、彼女らが言われたように、ヒョウタン水容器の注ぎ口を下に向けました(*1)。 そして、「水が上がって来て容器を満たしますように。」 と、はかない望みをかけて、真昼の太陽光線が頭上に直接降り...
(前回からの続き) また敵が攻めて来た 数日後、再びある使者がやって来て、こう知らせました(*1)。 「反逆者クアリイがクラオカフアの平原で戦いを仕掛けています。」 これを聞いて、カクヒヘワは直ちに兵を招集しました。 そしていつものように、足の不自由な元帥は、あらか...
(前回からの続き) カレレアルアカがプウロアに戻る プウロアに戻ったカレレアルアカは、フェザー・クロークとヘルメットをベッドのマットの下に隠しました。 それから、死んだ大将の耳と小指を、壁にしっかりと結びつけると、横になって寝ました。 しばらくして2人の女性、彼...
(前回からの続き) 注意深く私を見ていなさい この言葉を聞いたカレレアルアカは、足の不自由な男(元帥)をつまみ上げました。そして戦場のマウカ(山側)の丘に彼を降ろしながら、こう言いました。 「あなたはここに残って、私を注意深く見ていなさい。 もしも私がこの戦いで殺され...
(前回からの続き) 敵が攻めてくる こうして彼らが楽しく暮らして、恐らく30日間ほど(ヘ・マウ・アナフル)が過ぎた時、ある使者が到着してこう知らせました(*1)。 「クアリイがモアナルアで戦いを仕掛けています。」 カクヒヘワの兵士たちは素早く出征の準備をしました。そし...
(前回からの続き) カルヘは彼の可愛い友 彼らが海岸地方に到着した時には何もかも準備が整い、人々は彼らを待ち侘(わ)びていました(*1)。 大きな声がこう叫びました。 「さあ、これがあなたの家です、ケイノホオマナワヌイ。」 そこで不潔野郎がすぐさま中に入って見ると...
(前回からの続き) その間、マリウハアイノに導かれた一行は、元帥(げんすい)自身が足が不自由なため、ゆっくりと海岸地方に向かって下っていました(*1)。 カレレアルアカはお清めの儀式から戻ると、この一行のすぐ後ろに舞い降りましたが、それまで彼がいなかったことに、誰一人とし...
新年おめでとうございます。 今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
(前回からの続き) 元帥(げんすい)が迎えに来る 家が完成して何もかも準備が整い、ちょうど今、元帥マリウハアイノが、大志を抱く青年カレレアルアカの家の前に到着したところです(*1)。 元帥が大声で叫びました。 「ケイノホオマナワヌイ、外に出て来い!」 そこで彼は、...
(前回からの続き) わしらの死が迫っている さてその朝、不潔野郎が目を覚まして家の外に出ると、王の所有物である石製の武器(パホア)と長槍が立っていました(*1)。 これを見た彼は家の中に駆け込み、仲間たちに大声で叫びました。 「ああ何ということだ、わしらの望みが王に立...
(前回からの続き) あらゆる賢者らを集める 「ちょっと待て、」と王が言いました(*1)。 「そう急ぐな! その男を死刑にする前に、賢者、神官、魔術師、そして預言者たちを招集することとしよう。 ひょっとすると、『クアリイとの戦いに勝つには、その男が必要だ。』と彼らが言う...
(前回からの続き) 彼らの望みを王が聞いた 実のところ、彼らが語り合い互いに望みを打ち明けていた時、王カクヒヘワは既にそこに到着しており、家の外でずっと、彼らの会話に聞き耳を立てていました。 彼らの会話を聞き終えると、王はカレレアルアカの家の囲いの外で、彼の長槍を地中深...
(前回からの続き) 大胆不敵な望み 「ふん! 何とけち臭(くさ)い望みだ!」 と、カレレアルアカが言いました。 「とは言え、君は現実的な望みを持っている、と思った。 ところで、私には偽りのない真の望みがある。だから聞いてくれ。 カクヒヘワの美しい娘たちが、私の妻...
(前回からの続き) なぜ年老いた私を残したのですか? 「ああ、どうして。」 彼女は叫びました。 「何故(なぜ)神さまは私を残したのですか? 私は老いぼれで、ずいぶんと年をとっています。 背中は曲がり、目は良く見えなくなって来ています。 私は働くことが出来ません。...
(新しいお話しの始め) 埋葬の準備が始まる カリマは何週間もの間、ずーっと病気でしたが、とうとう亡くなってしまいました(*1)。 友達たちは彼女の周りに集まり、悲しみのあまり、大きな叫び声をあげました。 そして、彼女への優しい思いや、彼女を失った悲しみについて、あれこ...
(前回からの続き) 神官(ロノプハ)が再び警告する それから時が流れて、もはや王の死は、取るに足らぬ事になりました(イ メア オレ)。 そして王が元のように元気になった時、神官は警告をやめることなく、こう言いました。 「貴方はこの死から逃れることが出来ました。 しか...
(前回からの続き) 大きな鳥が空を舞う それからほぼ3週間近く経った後、再びワイピオで騒がしい歓声が上がりました。 素晴らしく美しい羽根が魅力的な、1羽の大きな鳥が現れたのです。 その鳥は雲と雲の間から飛び出すと、コアエケアとカホロクアイワのパリ(断崖絶壁)上で...
(前回からの続き) ロノプハの警告 ミルがその家に移るに際して、ロノプハはミルにこう助言しました(*1)。 「おお、王よ! 貴方(あなた)は定められた期間、完全に平静な状態で、この家に住まなければなりません。 ですから、万一ここで娯楽に興じた人々が、大騒ぎを始めたとし...
(前回からの続き) ミル王の侍医になる ある時ミルは 、腕の立つヒーラーと伝えられる、ロノプハの評判を耳にしました(*1)。 「もしも彼の治療がなかったら、あの病いに苦しむ人たちは、死んでしまったに違いない。」 そこでミルは使者を出して、ロノプハに伝言を送りました。 ...
(前回からの続き) 別々に住んだほうが良い 彼らがそこに着く前に、カマカヌイアハイロノがロノプハに言いました(*1)。 「貴方のヒーリング診療所が成功するように、私達は別々に住んだほうが良いでしょう。 そうです、貴方は何処(どこ)か他(ほか)の地に住むのです。 そう...
(前回からの続き) ヒーリングを学びたい 彼がのんびりと旅をしていると、苦しそうに息をしながら、誰かが後ろから近づいて来ました(*1)。 振り返って見ると、あの首長がいました。 そこで彼は、首長に尋ねました。 「どうしたのですか? ロノさん。 あなたは何処へ行くので...
(前回からの続き) 首長ロノが倒れる カマカヌイアハイロノの所見を聞いた何人かが首長の元へ走り、あの不思議な言葉を伝えました(*1)。 「あの首長は重病人だ。」 これを聞いて、ロノは彼のオオ(掘り棒)を振り上げて言いました。 「私はここだ、ここにいる。病気の兆候など...
(前回からの続き) これまで言われているように、色々な島々を襲った病いは、カマカヌイアハイロノが施した治療により、あたかも伝染病が沈静化するように、治(おさ)まったのでした(*1)。 これは、タヒチから来た旅する人々を追いかけて、彼が行った医療活動の成果であり、 これにより...
(新しいお話しの始め) タヒチから人々がやって来た 正確な年代は知られていませんが、ミル王がハワイ島ワイピオ渓谷で、国を治めていた時のことでした(*1)。 あの何処(いずこ)とも知れぬ異国の地、タヒチから、沢山の人々が妻を連れてこの国にやって来ました。 それはそうと、...
(前回からの続き) 天国か地獄か? 「あの世における幸不幸について、彼らは幾つかのとても不明瞭でわかり難い、概念を持っています(*1)(*2)。 そして人の死後について、こう言います。 『まず最初に、亡霊はワケアが治める地に行く。 ここでワケアとは、彼らの最初の先祖...
(前回からの続き) このお話しに関連して、アレキサンダー教授は親切にも、以下の情報を提供して下さいました(N.1)(*1)(*2)。 死者の霊はどこへ行く? 「ワイピオ渓谷という場所は、この島の最初の王アケアとミルの居所として、ハワイの歌や伝承に頻繁に取り上げられていま...
(新しいお話しの始め) 入口はワイピオ渓谷にある ヒクとカウェルのお話では、ルア オ ミルの入り口はホルアロアの沖で、カイルアの南方約4kmほどの所にあります(*1)。 しかし地元の人々は、通常、こんな風に説明しています。 「ルア オ ミルの入り口は、あの素晴らし...
新年おめでとうございます。 今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
(前回からの続き) 「悪」とは神への反抗だ ハワイ神話のカナロアは、ある時は堕天使として偉大な神々と対立し、またある時は悪霊やこの世の死者の霊になります。 これと比較するとヘブライの伝説は、悪の原理の存在について、より曖昧(あいまい)で不明確です。 創世記の蛇、ヨブ記...
(前回からの続き) 天地創造と神々 天地創造の説明に関連して、フォルナンダー判事はこう述べています(*1)(*2)。 「ヘブライの伝説では神々、すなわちエロヒムは、混沌と同時に、かつまた混沌から離れて存在した、と推察されます。 一方、ハワイの伝説では3大神、すなわちカ...
(前回からの続き) ハワイ バージョンの誕生は少し後 伝説ヒイアカ-イ-カ-ポリ-オ-ペレにコメントする中で、フォルナンダー判事は次のように述べています(*1)(*2)。 「 もしも、ヘブライの伝説ヨシュア、もしくはそのクシュ版を基にして、伝説ヒイアカが生まれるの...