慢性腎臓病(CKD)は、米国で3,700万人の成人が罹患しており、CKD患者にとって高血圧は腎不全、心血管イベント、死亡などの有害な転帰の主要な危険因子です。コンピュータ化された臨床判断支援(CDS)システムを導入することで、CKD患者の…
現役の薬剤師が論文情報や情報の活用法についてご紹介します.
猫になりたい薬剤師と申します🐈 とっつきにくい論文,しかしその情報は有益であり,日常業務にも活かすことができます. 気軽に,気楽に,論文情報が活用できるよう,要点をご紹介していきます♪ 分からないことがあれば,お気軽にお問合せください.
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2型糖尿病患者における微小血管および心血管疾患の転帰に関して、メトホルミンに追加する一般的な血糖降下薬の比較有効性に関するデータは不足しています。そこで今回は、インスリン、スルホニルウレア(SU)系薬、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬の追加による有効性・安全性について検証したGRADE試験…
COVID-19インフォデミック – 誤情報を見抜くための5つのチェック項目を紹介
米国を含む世界中で、医療関係者と患者は、パンデミックとinfodemic(インフォデミック:不正確な情報の拡散による混乱)の両方に直面しています。前者はSARS-CoV-2によって、後者は誤報と偽情報によって引き起こされています。アネンバーグ パブリック ポリシー センターがソーシャルメディアとレ…
心不全治療におけるポリファーマシーの定義と、その割合はどのくらい?(システマティックレビュー; Heart Fail Rev. 2022)
ポリファーマシーは、ますます一般的になってきている現象で、一人の個人が複数の薬剤を使用することを指しています。ポリファーマシーの普遍的な定義はありませんが、毎日5種類以上の薬を服用するという数値的な定義が一般的です。ポリファーマシーの出現は、人口の高齢化と多疾病(すなわち、複数の疾患の存在)の蔓延…
チカグレロル(商品名:ブリリンタ)はcyclo pentyl triazolo pyrimidine(CPTP)系の薬剤に分類される抗血小板薬です。クロピドグレルやプラスグレルなどのチエノピリジン系の薬剤は血小板のP2Y12受容体に"不可逆的"に結合して血小板凝集作用を阻害するのに対し、チカグレロ…
日本における高血圧妊婦への降圧剤処方傾向の推移は?(後向きコホート研究; Hypertens Res. 2022)
高血圧症は妊婦において、高頻度で認められる疾患の一つです。妊婦を対象としたランダム化比較試験の実施は倫理的側面から困難であり、主にレジストリー研究やコホート研究の結果を参照することになります。妊娠中の降圧薬使用は、胎児への影響があることから、使用できる薬剤は限られており、これまでメチルドパ(商品名…
急性非心臓塞栓性虚血性脳卒中後の脳梗塞や脳出血に対する第XIa因子阻害剤アスンデキサンの効果はどのくらいですか?(BD-RCT; PACIFIC-Stroke試験; Lancet 2022)
第XI因子(FXI)は血栓形成に深く関わっていますが、止血への関与は部分的であることが明らかになっています。したがって、FXIの活性阻害によって、出血リスクを高めずに病的血栓形成を抑制できる可能性が示唆されており、新たな抗凝固薬開発のターゲットになっています。Asundexian(アスンデキサン:…
プロバイオティクス製剤はイリノテカン誘発性の下痢を予防できますか?(DB-RCT; 小規模; Complement Ther Med. 2015)
イリノテカンは、結腸結腸がんの治療に使用される薬剤の一つですが、下痢の高い発生率が課題です。イリノテカン誘発性の下痢は使用患者全体の60〜90%に発生し、重度下痢は20〜40%であることが知られています。イリノテカンによる下痢は、発生時期により、早期性下痢および遅発性下痢の2相に分けることができま…
急性心筋梗塞に対するエンパグリフロジンの効果は?(DB-RCT; EMMY試験; Eur Heart J. 2022)
駆出率低下型慢性心不全(HFrEF)において、ナトリウム・グルコース共輸送体2阻害薬(SGLT2i)は、心不全による入院のリスクを低減し、全死亡および心血管死亡のリスクを低減することが示されています。また、最近のエビデンスでは、急性心不全後の治療開始が有益であることが示されています。さらに、エンパ…
血液透析患者の貧血治療におけるダプロデュスタット週3回投与の効果は?(DB-RCT; ASCEND-TD試験; Clin J Am Soc Nephrol. 2022)
血液透析患者の貧血治療においてダプロデュスタットの週3回投与は有効か?ダプロデュスタットは、慢性腎臓病(CKD)の貧血治療薬として使用されている低酸素誘導因子プロリル水酸化酵素阻害薬(HIF-PHI)です。2022年8月現在、ダプロデュスタ
治療抵抗性高血圧患者における第4降圧薬としてアルドステロン拮抗薬とβ遮断薬、どちらが良いのか?(後向きコホート研究; Hypertension. 2022)
治療抵抗性高血圧患者における降圧薬の第4選択薬は何が良いのか?高血圧治療ガイドライン2019によれば、積極的適応がない場合の高血圧に対しては、最初に投与すべき降圧薬として、Ca拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンギオテンシ
腎機能別のステロイド系ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の有効性・安全性は?(大規模RCTのメタ解析; JACC HF 2022)
ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は、腎機能障害患者において充分に使用されておらず、慢性腎臓病(CKD)患者におけるその有効性は不明です。そこで今回は、腎機能障害患者の各推定糸球体濾過量(eGFR)におけるMRAの有効性・安全性について検証した大規模ランダム化比較試験のメタ解析の結果をご紹…
チョコレート摂取量と認知機能、ノーベル賞受賞者の関係性は?(N Engl J Med. 2012)
植物性食品に豊富に含まれる食物性フラボノイドは、認知機能を改善することが示されています。特に、認知症リスクの減少、いくつかの認知テストの成績向上、軽度障害のある高齢者患者の認知機能の改善は、フラボノイドの定期的な摂取と関連しています。ココア、緑茶、赤ワイン、いくつかの果物に広く含まれるフラバノール…
厳格な血糖コントロールの再検討:血糖降下作用と主要有害心血管イベントの発生に関連性はあるのか?(RCTのSR&MA; Diabetes Obes Metab. 2022)
2型糖尿病の治療は、血糖コントロールですが、これは糖尿病に特徴的な合併症や糖尿病に起こりやすい併発症の発症、増悪を防ぐことで、健康人と変わらない生活の質(quality of life:QOL)を保ち、健康人と変わらない寿命を全うするためです。つまり血糖コントロールは手段であり、目的は健康人と変わ…
アピキサバン、リバーロキサバン、ダビガトランを使用中の心房細動患者におけるフルコナゾール全身投与の影響は?(クロスオーバー試験; Am J Med. 2022)
DOACにフルコナゾールを併用すると出血リスクは増加するのか?アゾール系抗真菌剤の全身投与は、非ビタミンK拮抗型経口抗凝固薬(NOAC、DOAC)投与中の患者において出血のリスクを高めるとされており(PMID: 29562325)、併用投与
ポリファーマシーを有する高齢患者の退院時の服薬確認と情報伝達の強化は初回再入院を減らせますか?(クラスターRCT; J Gen Intern Med. 2022)
ポリファーマシーと不適切な薬剤処方は、薬物有害事象、薬物相互作用、服薬エラー、服薬アドヒアランス低下の主な危険因子であり、多病合併高齢者における罹患率、入院率、コスト、死亡率を増加させます。ポリファーマシーの普及を認識し、各国当局やWHOは、薬害を減らすために不適切な薬剤の処方を控えるよう提唱して…
スタチン治療が筋肉症状に及ぼす影響は少ない?(RCTのメタ解析; Lancet. 2022)
心筋梗塞や虚血性脳卒中を中心とする動脈硬化性心疾患は、2019年の世界の死亡者数約1,800万人を占め、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールは主要な原因危険因子であることが示されています。ランダム化比較試験により、3-ヒドロキシ3-メチルグルタリル-コエンザイムA還元酵素阻害薬(スタチン系…
心筋症患者の除細動器植込み前の単形性心室頻拍に対する早期アブレーションは有効ですか?(RCT; PAUSE-SCD試験; Circulation. 2022)
植え込み型除細動器(ICD)は心室頻拍(VT)や心室細動といった命に関わる重症な不整脈を経験した患者、あるいはその可能性が高いと予測される患者が適応となります。これらの不整脈にはICDの他に薬物治療やカテーテルアブレーションなども行われますが、ICDが最も効果的と言われています。特に、心筋梗塞や心…
長寿者は非長寿者と比較して人生の最後の年の医療費が低い?(奈良県の後向きコホート研究; JAMA Netw Open. 2021)
長寿者は他の年齢層に比べて重症化する期間が短い傾向にあることが研究で示されていますが、人生の最後の年に利用される医療資源の規模を示す指標となりうる長寿者の医療費に着目した研究はほとんどありません。そこで今回は、日本人の長寿者と非長寿者の死亡前1年間の月別医療費を年齢と性別で比較した後向きコホート研…
心血管スクリーニング検査は死亡リスクを低減しない?(RCT; DANCAVAS試験; N Engl J Med. 2022)
死亡リスクに関して、集団ベースの心血管系疾患スクリーニングの有益性を示唆するデータは限られています。心血管系疾患のスクリーニングが有効であるかどうか検証が求められます。そこで今回は、潜在性心血管疾患に対するスクリーニングが死亡リスクを低下できるか検証したランダム化比較試験の結果をご紹介します。本試…
心血管系二次予防における多剤併用(ポリピル)戦略は有効ですか?(RCT; SECURE試験; N Engl J Med. 2022)
心筋梗塞後の心血管死および合併症の二次予防戦略としてのポリピル戦略は有効なのか?心筋梗塞後の心血管死および合併症の二次予防の簡便な方法として、予後改善に関連する主要薬剤(アスピリン、アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、スタチン)を含む
COVID-19ワクチン接種をためらう妊婦は多い?(SR&MA; BMJ Open. 2022)
急性呼吸器感染症であるCOVID-19は世界中に広がり、世界的な公衆衛生上の一大イベントとして知られるようになりました。2019年12月、中国の武漢で新型コロナウイルスが表面化し、その後も近隣諸国に広がり、パンデミックとなりました。それ以降、世界中で幅広い年齢層の人々の間で大規模な流行を引き起こす…
体液過剰を伴う急性代償性心不全におけるループ利尿薬へのアセタゾラミド追加は有効ですか?(DB-RCT; ADVOR試験; N Engl J Med. 2022)
急性代償性心不全の治療は、一般的に入院を必要とすることが多く、酸素吸入や強心薬を使用します。また心浮腫(うっ血)が認められることが多く、ループ利尿薬をはじめとする利尿薬を使用しますが、治療抵抗性となる症例も報告されています。近位尿細管ナトリウム再吸収を抑制する炭酸脱水酵素阻害薬であるアセタゾラミド…
股関節または膝関節形成術後の症候性静脈血栓塞栓症に対するアスピリン vs. エノキサパリン、どちらが良いですか?(クラスターRCT; CRISTAL試験; JAMA. 2022)
米国では、毎年約150万件の人工股関節置換術および人工膝関節置換術が行われています。症候性静脈血栓塞栓症(VTE)は、VTE予防策を講じていても、これらの手術後の患者の約2%に発生します。安価であること、認識されている安全性、投与の容易さ、および観察研究からのエビデンスにより、血栓予防のためのアス…
虚血性左心室機能障害に対する経皮的血行再建術(PCI)の効果はどのくらいですか?(Open-RCT; REVIVED-BCIS2試験; N Engl J Med. 2022)
冠動脈疾患は世界的に最も一般的な心不全の原因です。重度の左室収縮機能障害をもつ患者の一部が冠動脈バイパス術(CABG)後に収縮機能を回復したという観察から、心筋の冬眠(冬眠心筋, myocardial hibernation)という概念が生まれました。冠動脈再灌流による冬眠の回復は、何十年もの間…
リウマチ性心疾患に伴う弁膜症性心房細動に対してリバーロキサバンとビタミンK拮抗薬どちらが良いですか?(PROBE; INVICTUS試験; N Engl J Med. 2022)
リウマチ性心疾患に伴う心房細動心房細動は、左心房のリモデリングを引き起こす様々な病態により発生することがあります。心房細動を有する患者では、左心房内に血栓が形成され、それが塞栓となって脳内循環の枝を閉塞するため、塞栓性脳卒中のリスクが高くな
軽度の駆出率低下または維持された心不全におけるダパグリフロジンの効果はどのくらい?(DB-RCT; DELIVER試験; NEJM 2022)
ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤は、もともと2型糖尿病の治療薬として開発された血糖低下剤であり、2型糖尿病の有無にかかわらず、慢性心不全および左室駆出率低下(40%以下)患者や慢性腎臓病患者の死亡リスクおよびその他の有害事象のリスクを低減します。現在の臨床ガイドラインでは、慢性…
心房細動を有する80歳以上の高齢フレイル患者における超低用量エドキサバンは有効ですか?(コホート研究; ELDERCARE-AF試験; JAMA Netw Open. 2022)
一般的な不整脈である心房細動(AF)の有病率は加齢とともに増加し、虚弱(フレイル)もまた高齢者集団に影響を及ぼす一般的な状態です。虚弱は、加齢に伴う様々な生理的メカニズムにおける予備能や機能の低下に起因する脆弱性の増大と定義され、体重減少、転倒リスク、腎機能低下など様々な有害事象のリスク上昇と関連…
糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)に対する薬物治療として優れているのはどれか?糖尿病性末梢神経障害は、糖尿病患者の約50%が生涯に渡って罹患し、その約半数が神経障害性疼痛を有するとされています(PMID:34050323)。糖尿病性末梢
ベースラインHbレベルが低いことと慢性腎臓病の進行が関係する?(日本の前向きコホート研究; CKD-ROUTE研究の二次解析; BMC Nephrol. 2022)
ベースラインのHbレベルが低いことと慢性腎臓病の進行とは関連するのか?末期腎不全(ESRD)の原因となる慢性腎臓病(CKD)は、世界中で大きな健康問題となっています(PMID: 23877587)。近年、何十億ドルもの費用が国民健康保険制度
メタボ健診は肥満と心血管の予防に対して効果がなさそう?(回帰不連続デザインを用いた後向き研究; BMJ 2022)
メタボリックシンドロームに対する特定健診、特定保健指導は肥満や心血管イベントを低減あるいは予防できるのか?肥満や糖尿病、高血圧などの肥満関連疾患は、多くの国々で疾病負担や医療費増加の主な原因となっています。米国では、肥満、糖尿病、高血圧に関
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慢性腎臓病(CKD)は、米国で3,700万人の成人が罹患しており、CKD患者にとって高血圧は腎不全、心血管イベント、死亡などの有害な転帰の主要な危険因子です。コンピュータ化された臨床判断支援(CDS)システムを導入することで、CKD患者の…
アフリベルセプト高用量製剤(8mg)の有効性・安全性はどのくらいなのか? アフリベルセプトの高用量製剤(8mg)は、標準的な比較対象であるアフリベルセプト2mgよりも注射回数が少なく、糖尿病黄斑浮腫(DMO)の治療成績を改善する可能性があり
グルタミン酸ナトリウムや塩化カリウムなどの食塩の代替は、心血管系の転帰を改善するための単純な戦略ですが、ますます有望視されています。そこで今回は、食塩代替が心血管転帰に及ぼす長期的影響を評価するために実施されたメタ解析の結果をご紹介します…
ナトリウム-グルコース共輸送体2型阻害薬(SGLT2i)は、心血管、腎臓、血清尿酸値低下作用を有する2型糖尿病(T2D)の画期的な治療薬とされています。血清尿酸の低下作用が痛風発作のリスク低減と関連しているのかについては充分に検証されてい…
呼吸器合胞体ウイルス(Respiratory syncytial virus, RSV)感染は高齢者に重篤な呼吸器疾患を引き起こす可能性があります。また、RSV疾患により心臓合併症が引き起こされる可能性がありますが、インフルエンザやSAR…
糖尿病治療に用いられるグルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(GLP-1 RA)であるリキシセナチドは、パーキンソン病モデルマウスにおいて神経保護作用を示しました。しかし、実臨床における検証は充分ではありません。そこで今回は、パーキンソン病…
臨床判断支援システム(Clinical decision support systems, CDSS)は、腎機能障害患者において投与量変更の必要性がある薬剤を特定するために使用されています。ChatGPTは、電子カルテ(electroni…
薬物療法において、目標とする臨床転帰を達成するためには、一定レベルの服薬アドヒアランスが必要です。Haynesの初期の経験的定義によれば、降圧薬の服薬アドヒアランスは80%以上であり、多くの研究者がこの閾値を使ってアドヒアランスのある患者…
ニルマトレルビルとリトナビルの併用は、軽度〜中等度の新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に対する抗ウイルス治療薬です。一方で、重症Covid-19の標準的リスクを有する患者、またはワクチン接種が完了しており重症Covid-19のリ…
糖尿病の負担は世界中で増大しています。糖尿病に関連する費用は、特に低・中所得国において、患者と医療予算に大きな負担をかけています。糖尿病治療薬の価格は糖尿病治療へのアクセスを決定する重要な要因の一つですが、製造コストと現在の市場価格との関…
急性冠症候群に対するステント留置を伴う経皮的冠動脈インターベンション後、国際的な臨床ガイドラインでは、心筋梗塞やステント血栓症を予防するために、アスピリン+P2Y12受容体阻害薬による二重抗血小板療法を12ヵ月間行うことが一般的に推奨され…
急性冠症候群や心臓突然死は、脂質に富むアテローム性動脈硬化プラーク(脆弱プラークと呼ばれる)の破裂や血栓症によって引き起こされることが多く、その多くは非流動制限性(non-flow-limiting)です。脆弱プラークに対する経皮的冠動脈…
妊娠中のアセトアミノフェン(パラセタモール)使用は、小児の神経発達障害のリスクを増加させる可能性があることを示唆する研究がいくつかあります。これが事実であれば、妊娠中の疼痛や発熱の管理に大きな影響を及ぼすことになることから、更なる検証が求…
妊娠中のバルプロ酸塩の母親の使用は、小児の神経発達障害のリスク上昇と関連していることが報告されています。他の抗てんかん薬に関するほとんどの研究では、これらの障害のリスク増加は示されていないものの、母親のトピラマート使用に関連した自閉症スペ…
座っている時間(座位時間)が長いと、血行不良と代謝低下が引き起こされ、死亡率増加や循環器疾患発症と関わることが報告されています。特に座位時間が長くなりやすい高齢者において、心代謝系の健康を改善するための実践的な健康増進戦略が求められていま…
冠動脈性心疾患患者は心血管イベントの発生リスクが高いことから、手術や薬物療法が行われます。一方、酸素消費量、QOL、死亡率に対するさまざまな運動療法の効果については充分に検証されていません。そこで今回は、冠動脈性心疾患を有する成人を対象に…
心筋梗塞後のβ遮断薬治療の有用性を示した試験のほとんどは、大規模心筋梗塞患者を対象としており、現代のバイオマーカーに基づく心筋梗塞診断や経皮的冠動脈インターベンション、抗血栓薬、高強度スタチン、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系拮…
エンパグリフロジンは心不全患者、心血管リスクの高い2型糖尿病患者、慢性腎臓病患者の心血管転帰を改善することが報告されています。しかし、急性心筋梗塞患者におけるエンパグリフロジンの安全性と有効性は不明です。そこで今回は、急性心筋梗塞で入院し…
急性心不全に対するダパグルフロジンの効果はどのくらい? 急性心不全(AHF)入院中の主な目標は、うっ血およびガイドラインに基づいた薬物療法(GDMT)の最適化です。利尿薬や他のGDMTとは異なり、ダパグリフロジンの早期投与はAHFの両目標を
症候性起立性低血圧の患者では、降圧療法の管理は困難であり、降圧療法に関するランダム化比較試験から除外されることが多い集団とされています。起立性低血圧は、転倒や失神などの有害事象の発生に関連することから、降圧効果を検証する臨床試験において交…
高血圧は、世界的に早期死亡の主要な危険因子です。高血圧患者における予後への影響は、降圧の程度に左右されることが示されています。これまで様々な薬剤クラス(薬効群)が販売されていますが、薬効群間の優劣については結論が得られていません。薬剤クラ…
妊娠はホルモンバランスの変化などにより、様々な疾患を合併することがあります。高血圧を発症する場合を妊娠高血圧症候群と呼びますが、これを放置すると母子ともに予後不良であるため、早期治療が求められます。一般的な妊娠高血圧症候群のリスク因子とし…
2型糖尿病と診断された青少年のうち、多くは若年成人期までに微小血管合併症を発症することが報告されています。そのため、早期発見・早期介入が求められますが、小児および青少年の糖尿病予備軍および2型糖尿病のスクリーニングの有益性・有害性について…
不健康行動(運動習慣なし、喫煙、飲酒、朝食抜き、肥満)が不眠症の発症リスクと関連していることは、これまでの報告から明らかです。一方、主要な心血管危険因子の有無によって層別化された個人における不健康行動の蓄積と不眠症の関連は不明です。そこで…
EAST-AFNET 4(Early Treatment of Atrial Fibrillation for Stroke Prevention Trial)のサブ解析では、心房細動で合併症負荷が高い患者において、合併症負荷が低い患者と…
酒に含まれるアルコールの代謝経路は、これまでの研究結果からほぼ明らかとなっています。アルコールは、まずアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに分解されます。 次にアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸に分解され…
食欲不振は進行性悪性腫瘍患者の30~80%にみられ、化学療法により悪化することがあります。オランザピンは、非定型抗精神病薬の一つです。脳内のドパミン2(D2)受容体遮断作用により、ドーパミン神経系の機能亢進により起こる陽性症状をおさえ、さ…
2型糖尿病で微量アルブミン尿または顕性アルブミン尿を有する患者において、アルブミン尿の進行を抑制する治療戦略の確立は重要な課題です。SGLT-2阻害薬やGLP-1受容体作動薬は腎機能に対して保護的に作用することが報告されていますが、単独療…
非ビタミンK系経口抗凝固薬(NOAC)は、腎機能による用量調節が必要です。臨床で採用されている腎機能の推定値は、推定糸球体濾過量(eGFR)が最も一般的ですが、添付文書(product monographs)では、用量調節にCockcro…
メトホルミンは末梢組織における糖取り込みの促進、小腸における糖吸収の抑制等の作用を介して血糖降下作用を示すとされています。仮説として報告されている作用機序は多岐にわたることから、2型糖尿病だけでなく、がんや他の疾患への有用性が期待されてい…
血液透析を行うための穿刺時痛(穿刺時疼痛)は主な課題であり、患者の快適性のために疼痛管理技術を必要とする共通の問題です。この問題に対して、鎮痛薬や麻酔薬を含む貼付薬やスプレーが利用されています。スプレーは、麻酔薬を含む軟膏と比較して即効性…
2型糖尿病患者において、ナトリウム・グルコース共輸送体-2阻害薬(SGLT2i)の使用初期にfirst dipと呼ばれる推定糸球体濾過量(eGFR)の低下が認められます。このeGFR低下とAKIなど腎アウトカムとの関連性、また併用薬による…
医療では、高リスクの患者は治療により最も恩恵を受けるという暗黙の前提のもと、臨床医が個人を治療する 'high-risk approach'(ハイリスクアプローチ)が用いられます。一方、新しい機械学習法を用いて最も高い利益を推定した個人を…
非定型抗精神病薬であるオランザピンは、せん妄抑制に最もよく使用される薬剤の一つです。しかし、重症成人のせん妄抑制に対するオランザピンの有効性と安全性に関する系統的な評価やメタ解析は存在しません。そこで今回は、集中治療室(ICU)に入院中の…
COVID-19で入院した患者は、サイトカインストームに伴う血栓塞栓症の発生率の高さが報告されています。したがって、血栓予防・治療が行われますが、退院後の血栓予防の延長の役割は不明です。そこで今回は、COVID-19入院後の退院患者におい…
敗血症の重症例では、副腎皮質ホルモンでステロイドの一種であるコルチゾールの分泌が不良となり、これを重症関連コルチコステロイド障害(critical illness-related corticosteroid insufficiency,…
高血圧は脳卒中や心筋梗塞などの心血管イベントを引き起こすことから、血圧コントロールが求められます。特に脳卒中の二次予防においては、より集中的に血圧を下げることが、一般的に血圧を下げることよりもどの程度優れているかは明らかにされていません。…
SARS-CoV-2ウイルスに対するmRNAワクチンを接種した際に、心筋炎リスクが増加する可能性が報告されています。しかし、COVID-19に伴う心筋炎との臨床転帰の比較については充分に検証されていません。そこで今回は、mRNAワクチン接…
国際的な重症患者栄養ガイドラインでは、質の低いエビデンスに基づき、様々な量のタンパク質投与を推奨しています。しかし、重症時に高用量タンパク質を投与することの効果については充分に検討されていません。そこで今回は、重症患者に高用量のタンパク質…