妊娠中のアセトアミノフェン(パラセタモール)使用は、小児の神経発達障害のリスクを増加させる可能性があることを示唆する研究がいくつかあります。これが事実であれば、妊娠中の疼痛や発熱の管理に大きな影響を及ぼすことになることから、更なる検証が求…
現役の薬剤師が論文情報や情報の活用法についてご紹介します.
猫になりたい薬剤師と申します🐈 とっつきにくい論文,しかしその情報は有益であり,日常業務にも活かすことができます. 気軽に,気楽に,論文情報が活用できるよう,要点をご紹介していきます♪ 分からないことがあれば,お気軽にお問合せください.
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75歳未満の成人におけるCOVID-19ワクチン接種後の心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓症のリスクはどのくらい?(自己症例対照研究; Ann Intern Med. 2022)
BNT162b2(ファイザー・ビオンテック社製)ワクチンは、75歳以上の高齢者において、重篤な心血管イベント(心筋梗塞、肺塞栓、脳卒中など)のリスクに関して、安全であることが示されています。しかし、他のCOVID-19ワクチンの安全性や若年層における転帰についてはあまり知られていません。そこで今回…
薬局薬剤師の疑義照会による医療費削減効果はどのくらいですか?(全国薬局疑義照会調査; YAKUGAKU ZASSHI 2016)
医薬分業の目的は、医師と薬剤師が独立した専門職の立場で患者の薬物療法の内容を相互に確認することにより、医療における安全性の確保と質の向上につなげることです。しかし、これまで医薬分業の意義や薬局薬剤師の職能に対する議論が起こっています。平成27年3月12日の内閣府による公開ディスカッションでは、「医…
スタチン長期使用と脳内出血リスクとの関連性はどのくらい?(デンマーク症例対照研究; Neurology. 2022)
低コレステロール血症が脳内出血リスクを増加させることが報告されており、これは疑いようのない事実のようです。しかし、スタチン使用によるLDL-C低下療法が脳内出血リスクになる確証はありません。2019年のメタ解析の結果、脳梗塞の既往を有する患者において、スタチンは脳梗塞の発症を有意に増加させず(ただ…
糖尿病患者の年間eGFR減少率においてSGLT2阻害薬間で差はないかもしれない(代用のアウトカム; データベース研究; Kidney Int. 2022)
糖尿病患者は世界的に増加していることが国際糖尿病連合(IDF)から報告されています。この報告(糖尿病アトラス)によれば、世界の糖尿病人口は5億3,700万人。成人の10人に1人(10.5%)が糖尿病に罹患しています。糖尿病アトラスでは、世界を7地域に区分し統計値を出しています。この7地域の中で日本…
高温や猛暑の日は糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群および低血糖による入院リスクと関連する?(日本のデータベース研究; Environ Int. 2022)
近年、地球温暖化に伴い、異常高温現象の増加が報告されています。高温への曝露は、死亡率を含む健康上の有害な結果と関連しています。糖尿病患者は、体温調節の障害や脱水のリスクといった病的な状態にあるため、特に熱への曝露に脆弱です。糖尿病患者における周囲温度に関連した健康影響の報告も増えており、例えば、高…
COVID-19関連咳嗽に対するガバペンチンおよびガバペンチン+モンテルカスト vs. デキストロメトルファン(Open-RCT; Clin Respir J. 2022)
咳が慢性化すると咳嗽反射の感度が増し、カプサイシンのような咳嗽刺激物質に対する過敏性が生じることが報告されています。一方で、慢性咳嗽患者には、咳嗽刺激物質ではないものに起因する咳も認められ、中枢神経の咳嗽反射亢進が形成されていること(中枢性感作)も報告されています。中枢性感作の関与が知られている疾…
心血管疾患患者におけるクロピドグレル単独療法とアスピリン単独療法、どちらが優れていますか?(SR&MA; Thromb Haemost. 2022)
心血管疾患の二次予防において、アスピリンがクロピドグレルより良い転帰を示すかどうか明確なコンセンサスは得られていません。そこで今回は、心血管障害の既往を有する患者において、クロピドグレル単独療法とアスピリン単独療法の有効性・安全性を比較したシステマティックレビュー・メタ解析の結果をご紹介します。本…
2型糖尿病患者の多くは、病状の進行に伴い、HbA1cの治療目標を達成することが困難となっています。2型糖尿病治療薬は多くの選択肢がありますが、なかでもSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬が注目されています。2022年8月25日、厚労省の薬食審・医薬品第一部会にて、「2型糖尿病」を対象疾患とする…
TAVR後の弁尖血栓症および脳血栓塞栓症に対するエドキサバン vs. DAPT、どちらが良さそうですか?(RCT; ADAPT-TAVR試験; Circulation. 2022)
経口直接抗凝固薬(OAC, DOAC)であるエドキサバンが、経カテーテル大動脈弁置換術後の弁尖血栓症(leaflet thrombosis)およびそれに伴う脳血栓塞栓症のリスクを低減できるかどうかは不明です。また、無症候性弁尖血栓症と脳血栓塞栓症や神経・認知機能障害との因果関係も不明なままです。そ…
低カリウム血症を呈する腹膜透析患者における最適なカリウム補給方法は?(Open-RCT; Am J Kidney Dis. 2022)
腹膜透析患者にみられる低カリウム血症に対する最適なカリウム補充方法とは?低カリウム血症は腹膜透析(PD)患者によくみられる電解質異常であり、腹膜炎や死亡のリスク上昇と関連することが指摘されています。しかし、機序は明らかとなっておらず、また、
動脈硬化性疾患および心不全を有する糖尿病患者におけるSGLT2阻害薬へのGLP-1RA追加は有益ですか?(後向きコホート研究; AJC 2022)
SGLT2阻害薬へGLP-1受容体作動薬を追加した場合の有益性は?2型糖尿病(T2DM)は、米国で約2,600万人が罹患しています(PMID: 33501848)。T2DM患者の約35%が動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有し、そのうち3
急性代償性心不全患者におけるエンパグリフロジン早期投与による利尿作用と腎機能への影響は?(小規模・単施設DB-RCT; EMPAG-HF; Circulation. 2022)
急性増悪心不全(ADHF)患者における早期のSGLT2阻害薬の追加は有効か?心不全(HF)は、世界的に罹患率および有病率が増加しており、高い罹患率と死亡率を有しています(PMID: 32087174、PMID: 34447992)。 急性増
欧米におけるH.pylori感染症に対するボノプラザンベースの除菌療法はPPIよりも優れていますか?(RCT; Gastroenterology. 2022)
ヘリコバクター・ピロリは、消化性潰瘍、胃腺がん、胃粘膜関連リンパ組織リンパ腫の主要な原因であり、診療ガイドラインにおいて、ピロリ菌の除菌が推奨されています。米国を含む多くの国で、数十年にわたり、H.pylori感染症の治療は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、クラリスロマイシン、アモキシシリンまたは…
COVID-19入院患者に対するエンソビベップの有効性と安全性は?(DB-RCT; ACTIV-3/TICO試験; Ann Intern Med. 2022)
人類は、SARS-CoV-2による感染症(COVID-19)の脅威にさらされています。Afterコロナ、withコロナ時代と呼ばれる2022年において、依然として感染症治療薬の開発が求められています。Ensovibep(MP0420, エンソビベプ, エンソビベップ)は、SARS-CoV-2感染症…
空腹だと怒りやすくなる、は本当か?(中欧アンケート調査; PLoS One. 2022)
平昌冬季オリンピック期間中、アメリカのスノーボーダー、クロエ・キムが朝食について「朝食のサンドイッチを食べ終えたいと思ったけど、頑なに食べないと決めたので、今は "hangry ハングリー" になっている」とツイートしました。この言葉は、少なくとも英語では一般的な口語表現になっており、多くの人が、…
経口抗凝固薬投与患者の消化管出血に対するプロトンポンプ阻害薬の保護効果は?(SR&MA; Br J Clin Pharmacol. 2022)
経口抗凝固薬(OAC)で治療中の患者において、治療に伴う消化管出血のリスクが伴います。この消化管出血リスクに対して、予防的にプロトンポンプ阻害薬(PPI)が併用投与されます。しかし、消化管出血に対するPPIの予防効果を示す証拠は充分ではありません。そこで今回は、OAC投与患者の消化管出血に対するP…
ミソプロストールを併用するとNSAID誘発性有害事象のリスクを低減できますか?(コホート研究; MICRO試験; Pharmacotherapy. 2022)
ミソプロストール併用はNSAIDsによる心血管イベントの発生を予防できるのか?非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、心血管系有害事象のリスクを高めるにもかかわらず、疼痛に対して最も頻繁に使用される薬剤の一つです。また、NSAIDsは薬剤
ハイリスク2型糖尿病患者におけるペマフィブラート使用は心血管イベントの発生を抑制できますか?(PROMINENT試験; 途中解析で中止された試験)
ペマフィブラート(開発コード:K-877、商品名:パルモディア)2型糖尿病患者は心血管リスクが高いことから、血糖コントロールが求められます。しかし、血糖コントロールだけでは大血管合併症の発症を抑制できないことが報告されています。これには、血
進行した慢性腎臓病を有する高齢者における高用量フルオロキノロン療法と重篤な有害事象の関連性は?(コホート研究; JAMA Netw Open. 2022)
高齢のCKD患者における高用量フルオロキノロンは重篤な有害事象の発生と関連する?フルオロキノロン系抗菌薬は、世界で最もよく処方される広域抗生物質の一つです(PMID: 23570031、PMID: 31067381)。米国では、2018年に
痛風患者における痛風発作とその後の心血管イベントとの関連性はどのくらい?(コホート内症例対照研究 JAMA. 2022)
痛風発作後に心血管イベントの発生はどのくらい増加するのか?痛風は心血管疾患と関連していることが知られていますが、特に痛風発作と心血管イベントとの時間的な関連については調査されていません。そこで今回は、最近の痛風発作後に心血管イベントのリスク
心血管イベントは患者予後を悪化させることから発症予防が重要です。動脈硬化性心疾患(ASCVD)患者では、心血管イベントの発症リスクが高いことから、血圧コントロール、そして脂質コントロールが求められます。治療に際しては、1つの薬剤を増量するよりも、異なる作用機序の薬剤を併用する方が、より高い有効性と…
医療従事者におけるCOVID-19ワクチン4回目接種の効果はどのくらい?(コホート研究; JAMA 2022)
2021年12月、イスラエルで第5次COVID-19流行が始まり、ほとんどがオミクロン変異株によって引き起こされ、ワクチン未接種者とワクチン接種者が影響を受けました。ほとんどの医療従事者を含むイスラエルの成人の90%が、2021年9月までBNT162b2ワクチンの3回接種を受けました。3回目の接種…
オミクロン変異株 BA.2.12.1, BA.4, BA.5に対する抗体薬および抗ウイルス薬の有効性はどのくらい?(in vitro; N Engl J Med. 2022)
2022年6月現在、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(SARS-CoV-2)のB.1.1.529(オムロン)亜型は、5つの異なる亜系統に分類されています。BA.1、BA.2、BA.3、BA.4、BA.5。しかし、BA.2.12.1(BA.2の亜種)、BA.4、BA.5の流行は、世界のいくつか…
臨床判断支援付き医師オーダーエントリーシステムの設定における腎臓専門薬剤師による薬物レビューの有用性とは?(後向き研究; J Clin Pharm Ther. 2022)
腎臓専門薬剤師コンサルティングサービスにより腎臓の薬物関連問題を解消できるのか?入院患者の約20%は、推定糸球体濾過量(eGFR)<60分/分/1.73m2と定義される腎機能障害を有しています(PMID: 22695895、PMID: 20
糖尿病は、世界中で死亡、心血管合併症、医療負担の主要な原因となっています。合併症を引き起こし、医療費負担を増大させています。高血圧を有する2型糖尿病患者は、主要な心血管イベントによる罹患および死亡のリスクが高いとされています。しかし、血圧低下治療の有益性が2型糖尿病患者とそうでない患者で異なるかど…
腎臓病合併の2型糖尿病患者の心血管イベントに対するフィネレノンの効果は?(DB-RCT; FIGARO-DKD; N Engl J Med. 2021)
慢性腎臓病(CKD)は、2型糖尿病に伴う心血管リスクを増悪させることが報告されています。尿中アルブミン/クレアチニン比(アルブミンはmg、クレアチニンはgで測定)が10を超え、推定糸球体濾過量(eGFR)が75ml/min/体表面積1.73m2以下になると心血管イベントおよび新規心不全のリスクが上…
重度の閉経後骨粗鬆症治療におけるロモソズマブ vs. テリパラチド(日本の費用対効果分析; Osteoporos Int. 2021)
少子超高齢化社会の日本において、骨折を予防する戦略の確立は重要な課題の一つです。特に女性においては、閉経後に骨粗鬆症の発症リスク、これに伴う骨折リスクが大きく増加することから、骨折予防のために薬物治療が求められます。骨粗鬆症の治療は、診療ガイドラインの推奨や費用対効果の高さから、ビスホスホネート系…
COVID-19ワクチン接種と急性心筋梗塞および虚血性脳卒中との関連性は?(後向きコホート研究; JAMA. 2022)
COVID-19ワクチンは二次的合併症を予防できるのか?COVID-19感染後の急性心筋梗塞(AMI)や虚血性脳卒中の発症率は、血栓症のリスク上昇と関連していることが示唆されています(PMID: 35132265、PMID: 3517675
COVID-19 mRNAブースターとインフルエンザワクチンの同時接種の安全性は?(後向き研究; JAMA Netw Open. 2022)
COVID-19ワクチン接種は、米国疾病対策予防センター(CDC)により、米国の5歳以上のすべての人に推奨されています。現在の臨床ガイダンスでは、COVID-19ワクチンと他のワクチンの同時投与など、他のワクチンの接種時期を考慮することなく接種することができることが示されています(CDC)。米国食…
鉄欠乏性貧血治療に伴う低リン血症にはイソマルトシド鉄とカルボキシマルトース鉄、どちらが良い?(Open-RCT; JAMA. 202)
鉄の静脈注射は鉄欠乏性貧血の迅速な改善を可能にしますが、ある種の製剤(含糖酸化鉄)は線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor:FGF)23を介した低リン酸血症を誘発することが報告されています。FGF23は骨の特に骨細胞より分泌されるペプチドホルモンで、腎臓近位尿細管に作…
糖尿病黄斑浮腫にアフリベルセプトまたはベバシズマブ先行投与、どちらが良さそうですか? (RCT; N Engl J Med. 2022)
糖尿病黄斑浮腫に対して、アフリベルセプト(商品名:アイリーア)やベバシズマブ(日本では適応外)をはじめとする抗VEGF抗体薬が使用されます。しかし、アフリベルセプト単独投与とベバシズマブ先行投与を比較し、眼の状態が充分に改善しない場合にベバシズマブからアフリベルセプトに切り替える方法(ステップ治療…
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妊娠中のアセトアミノフェン(パラセタモール)使用は、小児の神経発達障害のリスクを増加させる可能性があることを示唆する研究がいくつかあります。これが事実であれば、妊娠中の疼痛や発熱の管理に大きな影響を及ぼすことになることから、更なる検証が求…
妊娠中のバルプロ酸塩の母親の使用は、小児の神経発達障害のリスク上昇と関連していることが報告されています。他の抗てんかん薬に関するほとんどの研究では、これらの障害のリスク増加は示されていないものの、母親のトピラマート使用に関連した自閉症スペ…
座っている時間(座位時間)が長いと、血行不良と代謝低下が引き起こされ、死亡率増加や循環器疾患発症と関わることが報告されています。特に座位時間が長くなりやすい高齢者において、心代謝系の健康を改善するための実践的な健康増進戦略が求められていま…
冠動脈性心疾患患者は心血管イベントの発生リスクが高いことから、手術や薬物療法が行われます。一方、酸素消費量、QOL、死亡率に対するさまざまな運動療法の効果については充分に検証されていません。そこで今回は、冠動脈性心疾患を有する成人を対象に…
心筋梗塞後のβ遮断薬治療の有用性を示した試験のほとんどは、大規模心筋梗塞患者を対象としており、現代のバイオマーカーに基づく心筋梗塞診断や経皮的冠動脈インターベンション、抗血栓薬、高強度スタチン、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系拮…
エンパグリフロジンは心不全患者、心血管リスクの高い2型糖尿病患者、慢性腎臓病患者の心血管転帰を改善することが報告されています。しかし、急性心筋梗塞患者におけるエンパグリフロジンの安全性と有効性は不明です。そこで今回は、急性心筋梗塞で入院し…
急性心不全に対するダパグルフロジンの効果はどのくらい? 急性心不全(AHF)入院中の主な目標は、うっ血およびガイドラインに基づいた薬物療法(GDMT)の最適化です。利尿薬や他のGDMTとは異なり、ダパグリフロジンの早期投与はAHFの両目標を
慢性痛の管理は依然として不充分です。没入型技術(すなわち、バーチャルリアリティ[VR])と神経科学に基づく原理を統合することで、痛みを維持する認知的・情動的神経過程を標的とし、痛みの慢性化や増幅に関連する神経生物学的回路を変化させる可能性…
Los AngelesグレードC/D食道炎は胃食道逆流症の重篤な症状であり、積極的な治療と綿密な経過観察が必要とされています。カリウム競合的アシッドブロッカー(Potassium Competitive Acid Blockers, P-…
高血圧は認知症のリスク増加と関連してい流ことが報告されています。また降圧治療により血圧を下げると認知症のリスクが減少するというエビデンスも存在します。しかし、このエビデンスの一般的な高齢患者に対する一般化可能性は不明です。そこで今回は、降…
左室駆出率(EF)の異なる心不全(HF)入院患者におけるサクビトリル/バルサルタンの有効性と安全性についてはこれまでに報告されていません。そこで今回は、EF40%以下の心不全患者(PIONEER-HF[Comparison of Sacu…
ナイアシンによる心血管リスクはどのくらいなのか? ナイアシンは、ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称であり、ビタミンB₃とも呼ばれています。水溶性ビタミンの1つでありビタミンB複合体に分類されています。糖質・脂質・タンパク質の代謝に不可欠であ
心臓がポンプとして動くためには心臓自身にも酸素や栄養分が必要です。そのため心臓の周りには冠動脈があり、心臓が送り出した血液の一部が冠動脈を通して血液中の酸素や栄養分を心臓へ届けています。虚血性心疾患患者においては、この冠動脈の流れが悪くな…
動脈硬化性心血管病(ASCVD)の一次予防に関するガイドラインでは、主要有害心血管イベント(MACE)の10年リスクを推定するためのリスク推定として、ASCVDリスクスコアが推奨されています。近年、AI、特にディープラーニングによる将来の…
高出血リスク(High bleeding risk, HBR)と急性冠症候群(acute coronary syndrome, ACS)のサブタイプは経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary interv…
広範な感染症と心血管系の転帰との関連は依然として不明です。そこで今回は、広範な感染症に関連する心血管リスクプロファイルを提供し、感染症が寿命を縮める程度を探ることを目的に実施された英国のコホート研究の結果をご紹介します。本研究では、UK …
変形性股関節症および変形性膝関節症は、世界的な身体障害の主な原因のひとつであり、その治療の主な目的のひとつは身体機能を改善することです。治療の主体は鎮痛薬ですが、この鎮痛薬が身体機能を改善するかは不明です。そこで今回は、鎮痛薬が身体機能(…
機能性表示食品のランダム化比較試験の実際の結果と表現に大きな乖離がある? 機能性表示食品市場は著しい成長を遂げ、医薬品開発業務受託機関(CRO)による臨床試験が増加しています。しかし、CROが管理する臨床試験および臨床試験結果の消費者市場へ
アカシジア(akathisia)は静座不能症と訳され、座位の姿勢を保つのが困難となる症状であり、そわそわと動き回るといった特徴があります。アカシジアのほとんどは薬剤誘発性であり、特に抗精神病薬によるアカシジア(Antipsychotic-…
二重抗血小板療法は、一過性脳虚血発作や軽度の脳卒中患者における脳卒中再発の抑制において、単一抗血小板療法よりも優れていることが証明されています。しかし、軽度〜中等度の虚血性脳卒中患者におけるその効果に関する確実なエビデンスは不足しています…
医療では、高リスクの患者は治療により最も恩恵を受けるという暗黙の前提のもと、臨床医が個人を治療する 'high-risk approach'(ハイリスクアプローチ)が用いられます。一方、新しい機械学習法を用いて最も高い利益を推定した個人を…
非定型抗精神病薬であるオランザピンは、せん妄抑制に最もよく使用される薬剤の一つです。しかし、重症成人のせん妄抑制に対するオランザピンの有効性と安全性に関する系統的な評価やメタ解析は存在しません。そこで今回は、集中治療室(ICU)に入院中の…
COVID-19で入院した患者は、サイトカインストームに伴う血栓塞栓症の発生率の高さが報告されています。したがって、血栓予防・治療が行われますが、退院後の血栓予防の延長の役割は不明です。そこで今回は、COVID-19入院後の退院患者におい…
敗血症の重症例では、副腎皮質ホルモンでステロイドの一種であるコルチゾールの分泌が不良となり、これを重症関連コルチコステロイド障害(critical illness-related corticosteroid insufficiency,…
高血圧は脳卒中や心筋梗塞などの心血管イベントを引き起こすことから、血圧コントロールが求められます。特に脳卒中の二次予防においては、より集中的に血圧を下げることが、一般的に血圧を下げることよりもどの程度優れているかは明らかにされていません。…
SARS-CoV-2ウイルスに対するmRNAワクチンを接種した際に、心筋炎リスクが増加する可能性が報告されています。しかし、COVID-19に伴う心筋炎との臨床転帰の比較については充分に検証されていません。そこで今回は、mRNAワクチン接…
国際的な重症患者栄養ガイドラインでは、質の低いエビデンスに基づき、様々な量のタンパク質投与を推奨しています。しかし、重症時に高用量タンパク質を投与することの効果については充分に検討されていません。そこで今回は、重症患者に高用量のタンパク質…
2020年頃から、駆出率の保たれた心不全(HFpEF)の前段階にあたるpre-HFpEFという概念が報告されています。pre-HFpEFの定義は、無症状(心不全の徴候や症状がない)で、左室駆出率(LVEF)が保たれ、心臓の構造異常(HFp…
フレイル(虚弱)症候群の高齢者にとって、ポリファーマシーを減らす "脱処方・減処方" は、安全性を促進する治療法として有用であると考えられます。しかし、脱処方による患者予後への影響については充分に検討されていません。そこで今回は、ポリファ…
AID-ICU試験は、せん妄を伴う集中治療室(ICU)に入院した急性期の成人患者を対象に、ハロペリドールとプラセボの効果を検討したランダム化、盲検化、プラセボ対照の試験でした。本試験の主要評価項目は無作為化後90日目の生存日数と退院日数で…
アジスロマイシンの使用により、予期していない帝王切開分娩の女性における母体感染症が減少することが報告されています。しかし、計画的な経膣分娩の女性に対する効果は不明です。そこで今回は、分娩期におけるアジスロマイシンの経口単回投与により、母体…
近視の早期発症は、その後の強度の近視と関連し、一度発症した近視は不可逆的であることが報告されています。過去の報告で、0.01%濃度のアトロピン点眼により、小児の近視発症を遅らせる可能性が示されていますが、充分に検討されていません。そこで今…
SARS-CoV-2ウイルスにより引き起こされるCOVID-19の患者数は増減を繰り返し、感染終息の兆しが見えないことから、コロナとの共存(withコロナ)を迫られています。COVID-19に対する治療薬や感染予防対策が講じられ、感染者数…
更年期女性の血管運動症状(血管運動神経症状とも:顔のほてり・のぼせ等のホットフラッシュや寝汗、手足の冷え、息切れなど)の治療において、基本的にはホルモン(補充)療法が行われます。しかし、ホルモン療法が実施できない、あるいは実施しない(した…
駆出率が維持された心不全(HFpEF)患者において、標準治療薬にナトリウム・グルコース共輸送体2阻害薬(SGLT2-I)を追加すると、心不全悪化または心血管死亡の複合転帰のリスクが低下することが報告されていますが、米国のHFpEF患者にお…
COVID-19ワクチンの有効性(VE)を国内で評価することは、国のワクチン接種方針を評価・決定する上で極めて重要です。日本におけるワクチンの有効性データは限られています。そこで今回は、国内におけるmRNA COVID-19ワクチンのVE…
COVID-19においてみられる凝固異常(COVID-19-associated coagulopathy: CAC)は、感染や炎症に端を発する炎症性サイトカインの産生、免疫血栓(immunothrombosis)形成、補体の活性化、血管…
高尿酸血症や痛風治療において、尿酸生成抑制薬や尿酸降下薬が用いられます。特に尿酸降下薬が主に使用されていますが、米国において一部の尿酸降下薬による心血管リスク増加が示唆されています。一方、日本においては、尿酸降下薬の使用と心血管イベント発…
脳-腸-微生物軸(以前は腸脳相関)仮説は、無菌マウスを用いた研究結果から提唱されました。本仮説は、腸内細菌がストレス受容や脳の神経系の発達・成長、そして行動に関わる存在であることを示したものです。具体例として、過敏性腸症候群(IBS)が挙…
非弁膜症性心房細動患者の脳卒中予防には、ビタミンK拮抗薬(VKA)に代わって直接経口抗凝固薬(DOAC)が徐々に使用されるようになってきました。VKAと比較して、DOACは出血性合併症の発生が少ないことが報告されています。しかし、その他の…