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  • まだら怪人氏

    日ごろから運転に注意しておれば、こんなひどいことにはならなかっただろうに。 不注意により、この人は自分の人生を滅茶苦茶にしてしまった。この人に将来はあるか。 一瞬の油断によって自分の将来を駄目にしてしまった。日頃の思いが彼を破滅へと導いた。 a id="&blogmura_banner" href="//novel.blogmura.com/novel_literary/ranking.html">

  • まだら怪人氏

    「手術は費用が大変でしょう」 「いや、それは会社が全額負担してくれるので心配ないんだ。ただ女房が逃げてしまったので、困っているんだ。どこにいるか分からないんだ。薄情なもんだよ」 そりや、そうだろう。傍にいるだけでこちらの気分は悪くなる。逃げた女房を悪く言うには及ばない。 「女なんか薄情なもんだよ」とまだ…

  • まだら怪人氏の顔

    「樽の中には硫酸が入っているんだぜ。硫酸がどっと流れ出たんだ。道路のアスファルトは溶け出すし、助手は死んでしまうし、あの時自分も死んでしまえば良かった」 「いつ頃ですか?」 「去年の春だよ。こんなことになってしまって。伯母が泣くんだよ。自分が代われるなら代わりたいって」 「顔の色が随分違いますね」 「腕…

  • まだら怪人氏

    「こんな風になってしまって、嫌になってしまうよ。去年までは漬物工場で働いていたんだ。事故にあって」 「どうしてまた?」 「漬物の入った樽をトラックに積んで運んでいたんだ。ところがカーブでハンドルを切り損ねてトラックが横転したんだ。乗せていた樽がひっくり返ったんだ」 「漬物の樽くらいで大火傷するのですか?」 奇異に思って正一郎は質疑した…

  • まだら怪人氏

    8月15日 夕方、お茶を飲みたいと思って家族控室に行くと例のまだら怪人氏が椅子に座って煙草をふかしていた。正一郎はぎくりとした。 全く異様な顔である。これが人間の顔かと、見ているだけで気分が悪くなる。吐き気がしてくる。 右目はつぶれ、額の上の方は白く、鼻の周辺は茶色で頬の部分は褐色で、上の唇と下の唇が腫れ…

  • 病室にて

    これでは田舎の医者の手術と同じではないか。東京の大病院の医者の手術とはとても思えない。しゃくちやになった皮膚は確かになくなっているが、黒っぽくなった手では目立ってしまう。これは失敗だ。 思わず正一郎は唇をかむ。重苦しい気分で正一郎は病室の灰色の天井を見つめる。悲しい気分で一杯である。…

  • 左手を見る

    手術後、初めて包帯をほどいて皮膚移植をして左手を正一郎は見た。これが自分の手かと思うほど色が違う。 移植した皮膚は真黒くなっている。これでは妙だ。かえつて目立ってしまう。これはまずい。 よく見ると小指と薬指のの谷間がなくなっている。プロの医者の手術としてはお粗末である。 もっと細かい配慮が必要だと思うの…

  • 全身麻酔

    意識を失うのは屈辱的なことであって、手術の時に何が行われたのか一切覚えていない。 目を覚ますとベツトの上にいた。左手が猛烈に熱い。まるで燃えているような感じである。お尻も猛烈に熱い。 左手の火傷で皺だらけの手の皮膚がなくなったと思えば喜ぶべきだが、ギブスを外して見ることもできない。 左手とお尻の痛みは強…

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誰も読まなかった幻の小説、「片端者」
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