時計は、静かで凍りついたような空間に、大きく、振動を響かせていた。 午後一時。 窓のない部屋は、壁の時計と、白い電灯に照らされた三人の、小さな呼吸の音だけを、密やかに閉じ込めていた。 三人はそれぞれ、赤、白、黒のシンプルなワンピースに身を包み、狭い部屋の中央に置かれた、木でできた丸い机に、向き合って座っていた。 アイドルのような整った顔立ちに、セミロングの黒髪。三人は似たような白い顔に、何の表...
不思議な展開をみせる、オリジナル小説、ほんのり奇妙な短編・ショートショートや、中編小説を書いています。
不思議な展開をみせる、オリジナル小説、 ほんのり奇妙な短編・ショートショートや、 中編小説を書いています。 ◆小説一覧リスト https://riemiblog.blog.fc2.com/blog-entry-2.html コメント、メッセージなど、 一言でもいいので、ご感想をお待ちしています。
◆月のライン 現代ドラマ(全34話) ノエル(クリスマス)の夜に、 煌めく町と、光る花。 美しい町並みに交差する、人々の想い。 月に何度も沈む島で起きる、一つの事件。 自身初の連載小説。 ▽目次(クリックで展開) 1章 1-1 1-2 1-3 1-4 2章 2-1 2-2 2-3 2-4 3章 3-1 3-2 3-3 3-4 4章 4-1 4-2 4-3 4-4 5章 5-1 ...
~ お知らせ ~ ・「雨の降る街」完結 ・「扉の中のトリニティ」Up ・「アパルトマンで見る夢は」完結◆人生の散髪屋ファンタジー (読了時間・約6分)変わりたいという人のために――この散髪屋でカットすると、まったく違う自分になれる――♪ 人生の散髪屋【朗読ver.】 ◆スランプの怪物SF (読了時間・約4分)「そんな、まさか、信じられない……」ある日、スランプに陥った作家の前に、謎の怪物が現れた。その怪物は、恐ろしい...
~ お知らせ ~ ・「雨の降る街」完結 ・「扉の中のトリニティ」Up ・「アパルトマンで見る夢は」完結◆人生の散髪屋ファンタジー (読了時間・約6分)変わりたいという人のために――この散髪屋でカットすると、まったく違う自分になれる――♪ 人生の散髪屋【朗読ver.】 ◆スランプの怪物SF (読了時間・約4分)「そんな、まさか、信じられない……」ある日、スランプに陥った作家の前に、謎の怪物が現れた。その怪物は、恐ろしい...
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時計は、静かで凍りついたような空間に、大きく、振動を響かせていた。 午後一時。 窓のない部屋は、壁の時計と、白い電灯に照らされた三人の、小さな呼吸の音だけを、密やかに閉じ込めていた。 三人はそれぞれ、赤、白、黒のシンプルなワンピースに身を包み、狭い部屋の中央に置かれた、木でできた丸い机に、向き合って座っていた。 アイドルのような整った顔立ちに、セミロングの黒髪。三人は似たような白い顔に、何の表...
◆アパルトマンで見る夢は 現代ドラマ(全15話) 諦めることは簡単だ。それでも前を向く。 もう一度、夢の続きを見たいから……。 仕事に行き詰まりを感じた女優、舞花。 逃げるように来た引っ越し先で、 どこか不思議な絵描きと出会う。 ▽目次(クリックで展開) 1 椅子 2 スーツケース 3 ベッド 4 リンゴ 5 ギター 6 カーテン 7 階段 8 エクレア 9 手紙 10 グラス 11 傘 12 鏡 13...
◆稲妻トリップ ファンタジー(全15話) 明日もちゃんと生きていく。 心の中に、抱え込んだ思い。 そして過ぎてゆく、昨日、今日、明日。 三人の視点で綴る、 生きる世界と、その時間。 ▽目次(クリックで展開) 1 さっき…… 2 アオムラ 3 りゅうの 4 AKIYOSHI 5 溶ける時計 6 今日のこと 7 十年前 8 特別な人 9 スパーク 10 ビー玉 11 世界 12 白い光 13 音 14 明日 15 ...
◆ソレイユの森 SF(全15話) 「守っています。命令は、絶対です」 数奇な運命をたどる命と、一人のロボット。 時の流れの中で、大きな展開をみせる、 この世界。 ▽目次(クリックで展開) 1 シュー教授 2 温室栽培 3 訪問販売 4 マネキン 5 日光浴 6 目覚め 7 約束 8 命令 9 傍観者 10 蜘蛛の巣 11 カナユワテ 12 送受信 13 0 14 光の中 15 森 1 シュー教授 ...
◆月のライン 現代ドラマ(全34話) ノエル(クリスマス)の夜に、 煌めく町と、光る花。 美しい町並みに交差する、人々の想い。 月に何度も沈む島で起きる、一つの事件。 自身初の連載小説。 ▽目次(クリックで展開) 1章 1-1 1-2 1-3 1-4 2章 2-1 2-2 2-3 2-4 3章 3-1 3-2 3-3 3-4 4章 4-1 4-2 4-3 4-4 5章 5-1 ...
~ お知らせ ~ ・「雨の降る街」完結 ・「扉の中のトリニティ」Up ・「アパルトマンで見る夢は」完結◆人生の散髪屋ファンタジー (読了時間・約6分)変わりたいという人のために――この散髪屋でカットすると、まったく違う自分になれる――♪ 人生の散髪屋【朗読ver.】 ◆スランプの怪物SF (読了時間・約4分)「そんな、まさか、信じられない……」ある日、スランプに陥った作家の前に、謎の怪物が現れた。その怪物は、恐ろしい...
~ お知らせ ~ ・「雨の降る街」完結 ・「扉の中のトリニティ」Up ・「アパルトマンで見る夢は」完結◆人生の散髪屋ファンタジー (読了時間・約6分)変わりたいという人のために――この散髪屋でカットすると、まったく違う自分になれる――♪ 人生の散髪屋【朗読ver.】 ◆スランプの怪物SF (読了時間・約4分)「そんな、まさか、信じられない……」ある日、スランプに陥った作家の前に、謎の怪物が現れた。その怪物は、恐ろしい...
その国は昔から、幾度の争いにも勝利し、長らく繁栄を保ってきた。 国王の裏には、偉大な力を持つとされる予言者が一人いて、どうすれば他の国に負けず、大国を維持できるか、国王に指示しているという。 国王は自分では何もせず、すべてはその予言者の指示にかかっている。 そうと知った他国の軍が、予言者をさらってしまおうと考えた。 しかし、考えただけで、その意思は予言者の脳裏に行き届いてしまう。 これにより、...
大きなヘビが現れた。 地面の中から現れた。 はじめ、体長2メートル程だったが、動物園のオリの中で、徐々に伸びだした。 すぐ、オリはいっぱいになり、ヘビは別の場所に移されることとなった。 郵送トラックに詰まれたケージ内で、ヘビは頭に麻袋を被せられ、自分がどこへゆくのか分からないまま、静かな眠りについていた。 寝る子はよく育った。 運転手がケージを見た時、ケージははち切れんばかりに歪み、ヘビの皮膚...
あるところに、ひとりのおじいさんがいました。 おじいさんは、どこにでもいる普通のおじいさんです。 そのおじいさんは、そこに住んでいたのではありません。 ただ、そこにいただけでした。 どこにでもいるそのおじいさんに、白羽の矢が立ったのは、単なる偶然でした。 天の国で天使を務めているビーちゃんは、「次の天国人を決めなさい」と、大天使様に言われ、地上に降りて、そのおじいさんに狙いをつけたのでした。 ...
――その病院から出てきた者は、皆さわやかになる―― 最近鬱ぎみのしー君は、その宣伝に惹かれて、さわやか病院に行くことにした。 精神科の先生が、いい腕なのだろうか。 しー君は病院内に足を入れた。 その瞬間、この世とは思えないほどの、異臭がした。 なんだか照明も薄暗く、壁のあちこちに、血の痕のような飛び散りが見える。「本当にこんなところで、さわやかになれるのだろうか……」 しー君は戸惑いながら、とにかく...
子は、小さな頃から母に聞いていた。 私たちは、光の方向へ進んで生きているの。 光がなくては生きられないのよ。 子は最近、強烈な光を見つけ、何度もそこへ向かおうと考えていた。 でもね……と母。 強すぎる光は、その分刺激的よ。 でも、命を落としてもしまうのよ。 あなたの父は、光に長く当たりすぎたのね。 最後にはビリビリになって、体を溶かしてしまったのよ。 子は疑問に思う。 ぼくらは、光を夢見ることを...
UFO研究家の博士は、頑固な性格で有名だった。 人々の誰もが「ありもしない」と、UFOや宇宙人の存在を否定しても、博士だけは「存在する!」と言い張っていた。 博士は若い頃から、UFOが空から降りてきて、宇宙人が自分と握手する光景を、何度も夢に見ていた。 宇宙人が悪者であるわけがないと、博士は思っていた。 宇宙人は友好を築く為、いつの日か必ず地球にやってきてくれる、と信じて疑わなかった。 博士は...
飲食店の片すみに、いつも一人のお爺さんが座っていた。 店の店長は、もうその光景にはすっかり慣れていたので、毎日お爺さんに、料理を多めに出していた。常連客へのサービスだ。 店長は、手が暇になると、お爺さんのそばへ行き、他愛もない会話を楽しむ。 毎日そうしているうちに、お爺さんは、自分の身の上話を語り始めた。 それによると、こうだ。 お爺さんは絵描きだった。 手にスケッチブックを持って、外を散歩す...
私は走ることが好きだ。 走り続けることで、生きていることを実感できる。 とりわけ、雨の日が好きだ。 体を潤おし、乾いた心に染み渡る。 だから私は、雨の日でも走る。 ある日、私は、友達と賭けをした。 私がよく走るので、一年のうちに、この世界を一周できるか、賭けようというのだ。 体力には自信があったので、私はこれから一年間、走ってきて、必ず戻ると約束した。 友達は、もし私が勝ったら、豪華ディナーを...
目が覚めると、いつの間にか新人がやってきていた。「やぁ、おはよう。初めまして」「初めまして。ところで……ここはどこだい?」「ここは監獄だよ。入れられた者は、二度と外には出られない」「そんなぁ……」「ほら、あそこに机と椅子が見えるだろう? 看守がいてね、そいつが夜になると、決まってそこに座るんだ。そして僕らを、オリごしに眺める。何か、晩ご飯を持参してくるよ」「僕たちのご飯はいつだい?」「何のん気なこ...
お笑いピン芸人の鈴木は、最近、悩んでいた。 自分のギャグがヒットしなくなったのだ。 しかも、新人の芸人がどんどん出てくる。 若手に客を持っていかれ、TV出演もほとんどなくなってしまった。 最近では、山田とかいう二十歳そこそこのピン芸人が、ブームらしい。 お笑いのくせにルックスもよく、女子のファンも多い。 下積み時代も浅く、芸歴十年の鈴木にとっては、とんでもない強敵となった。 バラエティ番組のプ...
俺は退屈していた。 特に頭が良いでも悪いでもないし、ルックスだって良くも悪くもない。 特別運動神経にすぐれているというわけでもなく、いわゆるどこにでもいるような、いたって普通のつまらない人間である。 そんなつまらない人間は、やっぱり大きくも小さくもない中小企業の事務員として入社して、早くも3年の月日が経とうとしていた。 毎日の仕事といえば、上司から言われたことを地道にこなし、時には電話でのクレ...
あるところにSF作家がいた。 彼はスランプに陥っていた。 そんな中、突然彼の前に、大きな怪物が現れた。「な、なんだお前は!!」「俺はあんたの産物さ」 と怪物は言った。「あんたが困った時に、あんたの脳みそを通して出てくる仕組みになっている。言ってみりゃ、俺を喋らせているのは、あんたの考えによるってもんだよ」「そんな、まさか、信じられない……」 作家は困って、近くの人に呼びかけた。「誰か、この怪物が...
――この散髪屋でカットすると、まったく違う自分になれる―― 最近、彼氏に振られたデコちゃんは、外見から変わりたいと思い、その散髪屋へ入った。 古ぼけた建物はこじんまりとして、店内の鏡も錆びついていた。 何か怪しいな、とは思うものの、デコちゃんは店の主人に、自分のなりたい髪型を口で伝えた。 主人は50歳くらいのおじさんで、頭が寂しい。 デコちゃんの髪の毛をしばらく見つめて、「本当にいいんだね?」と確認...
大学の研究室で教授を務めていたしゅういちは、漢字で「周一」と書く。 同僚や教え子たちは、親しみを込めて「いち」を伸ばす発音にし、「シュー教授」と呼ぶことにしていた。 歳は四十過ぎ。毛量は多いけれど、白髪を染めないので老けて見える。 しかし性格は明るく、人当たりも優しかった。 生徒の勉強を、その子が解かるまで親身になって指導していた。 親身になり過ぎたのかもしれない……。 あとになって、シュー教授...
◆雨の降る街 現代ドラマ(全7話) 泣きたくなったら、ここへおいで。 その街は、毎日雨が降る街だった。 少年は、ある一つの仕事について知る。 それは街の人々にとって、必要なシステム。 たぶんきっと、あなたにも……。 ▽目次(クリックで展開) 1 昨夜 2 配管 3 蛙堂 4 社長 5 睡蓮 6 雲海 7 翌日 1 昨夜 少年は、眠れない夜に考え事をするのは、よくないことだと分かっていた。 考えは...