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  • 山本文緒「偏屈」

    ★冬期講座は6日を終え、今日から3日間は開店休業。受験生が自習にやってくるだけ。★頼んでいたおせちを受け取りに行き、近所のスーパーが3日まで開かないのでちょっと買い物をして、教室に掃除機をかける。1年が無事に終わる。★ふと本棚にある山本文緒さんの「ファースト・プライオリティ」(角川文庫)が目についた。31歳の主人公が描かれた掌篇小説集だ。最初の作品「偏屈」を読んだ。★流れのままに大学に進学し、流れのままに就職が決まり、仕事にも慣れた31歳の女性。仕事や勉強は楽しいが、人と調子を合わせたり、群れるのが大の苦手。★付き合いが悪いので、最早誘いの声もかからないが、会社で生きていくには最低限のつきあいは必要になってくる。彼女にとってそれは苦痛以外の何物でもない。★彼女は社会からの隔絶を望んでいるのか。孤高を求めて...山本文緒「偏屈」

  • 冬期講座4日目

    ★年の瀬も迫ってきたが、この時期忙しいのが塾業界。あっという間にクリスマスが去り、あっという間に正月も過ぎていく。今年も31日まで授業があり、元旦から受験生がやって来る。塾経営、創業から46年目に突入します。すっかりライフワークになりました。★合間を縫っての読書。遅々として進まないが、今読んでいる本は、司馬遼太郎「梟の城」(新潮文庫)秀吉の命を狙う伊賀忍者の話。佐藤賢一「日蓮」(新潮文庫)日蓮の生涯はいろいろと描かれているが、佐藤版はどのように描くか。東野圭吾「流星の絆」(講談社文庫)何者かに両親を殺害された兄弟妹の話。面白いが、長い。松岡佳祐「高校事変」(角川文庫)総理大臣が訪れた高校をテロ集団が襲う。面白い。高野和明「ジェノサイド下」(角川文庫)世界規模のハラハラ感。石田衣良「美丘」(角川文庫)ちょっ...冬期講座4日目

  • 映画「大停電の夜に」

    ★高校2年生の塾生に彼女ができたという。メリークリスマス。私はといえば今年も仕事三昧のクリスマス。働けるだけありがたい。★映画「大停電の夜に」(2005年)を観た。あるクリスマスイブの夜、東京が大停電になり、そこで起こる奇跡の数々。★主演は豊川悦司さん。かつてはレコードも出すベーシスト。恋に破れて今は裏通りでバーを営んでいる。彼にあこがれるロウソク屋さんの女性を田畑智子さんが演じている。★見ず知らずの人々が、大停電の夜につながっていく。ロウソクの揺らめく光が心に残る作品だった。★部屋を暗くして観ると良い感じだ。映画「大停電の夜に」

  • 角田光代訳「桐壺」

    ★クリスマスを前にして大寒波が襲来している。小中学生は今日が終業式で、大きな荷物を持って歩く子も。心なしか楽しげだ。★来年のNHK大河ドラマ「光る君へ」。紫式部と藤原道長が恋仲だったというストーリーのようだ。真偽はともかく、この機会に源氏物語を読むことにした。★世界最古の恋愛小説ともいわれる大作。とはいえこの時代では、古文が難解なのと当時の(とりわけ宮中)しきたりがわからないので、原文で全部を読むのは難しい。★高校の古文の授業で「桐壺」や「葵」の一部は学習し、マンガ「あさきゆめにし」やもうちょっと大人向けのエロチックなマンガを垣間見たが、とにかく人物が多彩でこんがらがってくる。★今までも与謝野晶子、谷崎潤一郎、瀬戸内寂聴、田辺聖子などの訳がでているが、角田光代さんの訳が読みやすそうなので、角田版で読むこと...角田光代訳「桐壺」

  • 吉村昭「ジングルベル」

    ★あと10日間で今年も終わる。学校が短縮授業になったので、小学生が昼過ぎから入れ替わりやって来る。子どもたちにとっては楽しいクリスマスにお正月だ。★さて今日は、吉村昭さんの「遠い幻影」(文春文庫)から「ジングルベル」を読んだ。★極北の刑務所に勤める刑務官の話。その日は、軽微な罪で服役中の人々を指揮して、河川敷で砂利を回収していた。★そのとき、ある服役囚がスコップを交換したいといった。確かに壊れかけていたので、近くの工務店の倉庫まで行くことを許可した。★しかしそれから20分、男は帰ってこない。「まさか逃走」と慌てた刑務官たちは男の捜索に向かう。★しばらくして、男は見つかった。彼が逃走を試みた理由とは・・・。★最近はスーパーを歩いていても一時ほどの「ジングルベル」は聞こえない。★「ジングルベル」をBGMに、ツ...吉村昭「ジングルベル」

  • 映画「グレムリン」

    ★物置のそうじをしてたら20年以上前のファービー人形が出てきた。★街がまだ活気にあふれ、確かサティというスーパーがあった時代。開店前から並んで買ったものだ。★珍しかったので、言葉を覚えさせたりしたが、すぐに飽きて、物置にしまったものだ。★電池を゙入れるとしゃべりだしたか、眠いと言ってすぐに寝てしまった。★ふと思い立って、映画「グレムリン」を゙観た。最後は「ET」同様ジンと来る。映画「グレムリン」

  • 山田詠美「サヴァラン夫人」

    ★来年の大河ドラマは紫式部が主人公。「宇治十帖」など縁の深い宇治市民としては、少なくとも最終章ぐらいは読んでおかなくては、と「あさきゆめみし」を探すが、いつか塾生に貸したらしく見つからない。ネットで原文と対訳を読む。★主人公の「薫」とライバル「匂宮」というネーミングが面白い。薫はクールな美男子の上にいい香り(体臭)がしたという。平安時代の人は風呂に入っていたのだろうか。ボディシャンプーなどはなかろうし。ぬか袋では良い香りは程遠い。★体臭は食べたものが影響するともいう。肉食主体の欧米人は結構体臭がきつい。年をとると酸っぱい感じの加齢臭が気になるが。★山田詠美さんの「珠玉の短編」(講談社文庫)から「サヴァラン夫人」を読んだ。主人公のマリが憧れる夏子さんという女性は、精神科医を辞めて占い師になったという。★この...山田詠美「サヴァラン夫人」

  • 宮部みゆき「鬼子母火」

    ★首相の「火の玉」発言。朝日新聞は早速「火だるま」と言い換える。与党税制改革大綱については「減税ずらり増税だんまり」と、政局がらみになると見出しにも気合が入ってくる様子。★さて今日は、先日に続き時代物。宮部みゆきさんの「幻色江戸ごよみ」(新潮文庫)から「鬼子母火」を読んだ。★ある酒屋から小火が出た。神棚のしめ縄が火元のようだ。焼け残ったしめ縄を調べてみると、そこに髪の毛がよりこまれていた。どうやら若い使用人の仕業だ。★彼女に話を聞いてみると、その髪は亡くなった母親のものだという。流行り病で火葬され(彼女の住む所では土葬が行われていた)、貧しさから十分な供養ができなかったから、しめ縄に髪をしのばせ、供養をしてもらおうとしたという。★女中頭の説得で、燃え残った髪の毛は丁重に葬られたが、それから不思議な出来事が...宮部みゆき「鬼子母火」

  • 藤沢周平「約束」

    ★大学の公募制推薦の結果が一段落。塾生9名中、7名の進路が決まった。★さて今日は時代小説。藤沢周平さんの「橋ものがたり」(新潮文庫)から「約束」を読んだ。★幼なじみの少年少女。おぼろげに将来を誓いながら、少年は修業を兼ねて5年間の奉公に、少女も傾いた家業を支えるために料理屋の奉公へ。5年後、小名木川の萬年橋の上で会うと約束を交わして二人は別れる。★それから月日は流れ、いよいよ約束の日。少年は立派な男に成長し、少女は女になった。待ち焦がれた日なのに、二人の心には暗い影が差す。★もはや二人は無垢な少年少女ではない。果たして二人はお互いの過去を乗り越えていけるのだろうか。★江戸の人情噺。藤沢さんの筆が読者を物語に引き込む。藤沢周平「約束」

  • 相場英雄「あたり」

    ★自民党・安倍派の裏金問題、東京地検はどこまで追及できるのか。この問題、安倍派だけに留まるのか。★田中金脈問題の時は三木内閣が、リクルート事件で有力者がこぞって失脚したときは海部内閣が成立した。もはやクリーンなイメージの三木派(河本派、高村派)はないし、どうなりますやら。★さて今日は、相場英雄さんの「ナンバー」(双葉文庫)から「あたり」を読んだ。★贈収賄を扱う警視庁捜査第2課の捜査官が主人公。都庁の幹部が収賄してるとふと耳にした情報から強制捜査に踏み切ろうとした矢先、その人物が自ら命を絶った。捜査チームとしては大失点。★新たなネタを仕入れ、リベンジを図ろうとするのだが。★後輩を釣りに誘い、さりげなくアドバイスを与える退職捜査官が良い感じだ。☆恒例の「今年の漢字」は「税」だという。「増税メガネ」のニックネー...相場英雄「あたり」

  • 伊藤左千夫「守の家」

    ★今年もあと3週間。好天につられて季節を忘れる。冬期講座の準備をしなくては。★現代文ばかり読んでいるので、気分を変えて少し古い作品を読んでみた。伊藤左千夫の「野菊の墓」(新潮文庫)から「守の家」。★「野菊の墓」と言えば、切ない初恋の物語。「守の家」もある意味初恋の物語だった。★とはいえ主人公は数えで5つになろうかという幼児。憧れの相手は自分を守りしてくれる15歳の女性だ。今の時代ならまだ中学生ぐらいだ。★初恋と言うにはあまりに幼いが、この年長の女性へのあこがれは母や年の離れた姉とはまた違った感情のようだ。★「野菊の墓」同様、この女性は縁談に恵まれず、若くして亡くなったとして物語は幕を閉じる。★明治45年の作品だということで、その時代の空気を感じることができた。☆さて、岸田政権はそろそろ末期。まさか指揮権の...伊藤左千夫「守の家」

  • 宮本輝「寝台車」

    ★高校の期末テストは後半戦。それが終われば少しはゆっくりできそうだ。★永田町界隈では最近「差し控える」という言葉が大流行。「控える」はともかく「差し」という言葉は何故付いているのだろうかと気になった。「差し上げる」「差し迫る」「差し出がましい」などと同源なのだろうか。★どうも政変の兆しを感じる。★さて、きな臭い話題はさておき、今日は宮本輝さんの「幻の光」(新潮文庫)から「寝台車」を読んだ。さすがに「うまいなぁ」と感じる。★主人公は大阪にある中小企業のエンジニアだった。会社の都合で配置転換され、経験のない営業畑に回された。それから飛び込み営業でせっせと販路を開拓し、ようやく大きな契約にこぎつけた。そして最終的な打ち合わせのために上京することに。★会社の残務で新幹線の最終に間に合わず、寝台車「銀河」で東京に向...宮本輝「寝台車」

  • 向田邦子「無口な手紙」

    ★12月ももう6日。今年もそろそろ年賀状の準備をしなければいけない。以前は100通ほど送っていたが今では30通程度に減っている。それでも毎年頂いている方へは送らないわけにはいかない。(音信がないと死んだのかと思われる)★最近はラインやメールが主流で、自筆の手紙やはがきなどほとんど書かなくなった。★ハガキと言えば、中学2年生の国語の教科書(東京書籍)に載っている、向田邦子さんの「字のない葉書」が印象的だ。★戦時中、向田さんの妹は疎開した。妹はまだ字が書けなかったので、父親があて名を書いた大量の葉書を渡した。元気ならばマルを書いて投函するようにと。最初書かれれていた大きなマルが、だんだん小さくなり、とうとうバツになり、そして葉書が来なくなった。★母親が迎えに行った時は虱だらけで病床に臥せっていたという。妹が帰...向田邦子「無口な手紙」

  • 原尞「子供を失った男」

    ★今日は朝から高校入試の模擬試験。同時に、高校生が期末試験の勉強でやってきていた。家から1歩も出ることなく1日が終わる。★さて今日は、原尞さんの「天使たちの探偵」(早川書房)から「子供を失った男」を読んだ。疲れた時は込み入ったトリックよりも、ハードボイルドがありがたい。★探偵業・沢崎のもとに今日は韓国籍の男がやってきた。近くの道路で幼い娘を事故で亡くし、今度は見知らぬ男から現金を要求する電話を受けたという。★この男、今では世界的な指揮者だという。ただ彼にも修業時代の苦労があり、その頃彼を支えた女性との別離も経験している。★脅迫者は、この女性がらみのものなのか。そして娘の交通事故と何か関係があるのか。探偵ならではの嗅覚で、沢崎は真相に迫っていく。★ハードボイルドの魅力はセリフのカッコよさかな。☆さて今年もあ...原尞「子供を失った男」

  • 小川糸「ポルクの晩餐」

    ★高校生の期末テスト対策と中学3年生の土曜特訓で1日が終わる。明日は朝から五ツ木の京都模試だ。★忙しかったので昼食は超久しぶりに「ボンカレー」(スーパーで安売りしていたので)を食べる。最近、レトルトのカレーとひきわり納豆を組み合わせたカレーライスにはまっている。夜は「鍋」。3人前作ったので、塾生にもおすそ分け。冬はやっぱり鍋がいい。★料理と言えば、小川糸さんの「あつあつを召し上がれ」(新潮文庫)から「ポルクの晩餐」を読んだ。豚と同棲している男の話。★何があったか心中しようと思い詰め、どうせするなら盛大な晩餐をと花のパリにやってきた。★ずいぶんとぶっ飛んだ話だが、作品の中で次々出てくる料理にうならされる。家庭料理も良いが、やはりここぞというときはプロの料理だ。なじみ深いポトフも、ここでは一味も二味も違う。★...小川糸「ポルクの晩餐」

  • 浅田次郎「ろくでなしのサンタ」

    ★12月に入った。京都の大学では今日、公募制推薦入試の合格発表が多く、うれしい知らせが届いている。少子化の中、広き門がありがたい。★高校入試に向けては、京都府公立高校の希望調査の結果が公表された。中学3年生を対象に毎年11月末に公表されている。最近は私学に押され気味の公立高校。人気の差が歴然としている。ずっと定員割れの高校は市場原理から言えば統廃合だが、そこは政治的な力が働いているようだ。★さて12月ということで、浅田次郎さんの「鉄道員」(集英社文庫)から「ろくでなしのサンタ」を読んだ。★客引きで逮捕された男。警備な罪なので早々に釈放された。その日はクリスマス・イブ。ブタバコで知り合った男の話を聞いて、彼はあることを計画する。★この男、名前を三太といい、どういうわけか、サンタを演じてしてしまった。根はいい...浅田次郎「ろくでなしのサンタ」

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