私は福祉事務所のスタッフです。時折、訪れる独り住まいの病持ちの老人の家での出来事です。孤独な彼は、訪問看護の職員に、夜中でもしばしば電話をかけてきて、職員もその応対に困惑する日々が続いていました。ところが、その連絡がある日、プツリと途絶えました。それから一週間ほどして、私はその人のアパートを夜に尋ねることにしました。ドアをノックしてあけてみると、そこに見知らぬ女性がいました。彼女はちょうど食事の支度を終えるところでした。私に気づいているはずなのにこちらを振り返ろうとしません。一方、当の本人に目をやると、炬燵に寝転がって、ナイターの中継を見ているではありませんか。私に気づいているはずなのに、私を無視している態度なんです。卓上には2人分の食事が並んでいました。それを見て、一瞬、私はその女性がヘルパーさんではな...不思議なできごと