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  • 知られたくないから 最終話

              久しぶりの母とのキッチン、夕飯の支度。宿のおかみとして働く母はいつも忙しく、こうした二人の時間も久しぶり。  「おかあさんあのね、今更だけ…

  • 知られたくないから 7話

            試験の前だったり、いやなレクリエーションの日だったり。良かれ悪かれ「特別な日」というのは、なんとなく予感がする。  普段通りの登校、「おはよ」…

  • 知られたくないから 6話

              気まずさが飽和してるタクシーの車内。バンパーも出遅れる横殴りの雨。 膝に手を置いて、煙る窓の外を見ている山口さんの横顔。  大雨で帰れなく…

  • 知られたくないから 5話

              「夕方から夜にかけて、今年最後で最大の台風が伊勢湾を渡って上陸する模様です。」 お店のテレビニュースを見て、事務室の窓から外を見下ろした。…

  • 知られたくないから 4話

              私がビクトリアで働くことになったのは、去年の夏休み明けだった。    コロナ渦も落ち着いて、学校がスタートした2年生の7月。授業中に貧血で…

  • 知られたくないから 3話

             お店近くのファミマで、菓子パンと紙パックの野菜ジュースを買った。バイトの日、事務室での朝食のローテーション。大通り沿いの雑居ビルの3F。カバ…

  • 知られたくないから 2話

              大倉山の輪郭が縁どられる夜明け。 朝5時半のヘッドライトが、バス停で待つ私を照らした。小型トランクとメンズリュックサック。ちょっと重装備な…

  • 知られたくないから 1話

           知られたくないから、私は発信しない。 そんな私は多分、すっからかんのカラッポな人間だ。   「私はこういう人間です」とか。「私の友達はこんなに素…

  • 命の石NEXT 13話

             「到着まであと5分です。」  機械の声が機内に流れ、クレムトたちは着陸準備に。 慌ただしくなる機内。テーブル上のホログラフに映し出されたのは…

  • 命の石NEXT 12話

            今日が多分、スージーと過ごす最後の夜。 明日はきっと、迎えの飛行船が来る。私はセレクシオとしてパラディソへ。 再びここへ戻って来れたとしても、…

  • 命の石NEXT 11話

               「。。一体、どういうことだ・・?」  私のポケットの中で鳴り続ける着信音。繋がるはずのないスマホの音を耳に、唖然としたクリムトが呟いた。…

  • 命の石NEXT 10話

               波の高い今朝の海岸。風に煽られるマスクを直すと、ケイトは灰色の空を見上げている。  そこは待ち合わせの場所。大雑把な指定だったが、他に人…

  • 命の石NEXT 9話

                  スージーは最近元気がない。食事の量も減って夜通しせき込む声が聞こえる時もある。 心配する私に「私ももう歳だしね。」と、小さく笑う。…

  • 命の石NEXT 8話

          「今日は。。。ないんだね?」  よく聞こえなかったけど、頭を撫でるサクラの仕草でわかった。   枕元に置いたスマホが震えてるのに気づいて目が覚めた…

  • 命の石NEXT 7話

           夏の涼しい夜明け前、私はスージーを起こさないようこっそりと家を出た。  アパートの下、薄暗い路上に用意された2台の自転車。そこにはケイトが待って…

  • 命の石NEXT 6話

               「深海に住む。。いのち・・?」  頭が理解しようとしないのはケイトも同じ。小さく聞こえたその答えに、ただ戸惑うばかり。  真っ暗な…

  • 命の石NEXT 5話

               私とスージーが暮らすアパート。その1階に、一人で暮らす女の子がいる。  彼女はケイト。小さなころからの私の友達。 ケイトのお母さんはちょ…

  • 命の石NEXT 4話

                  私たちが暮らす深い海の底。光のないこの世界を、ほのかに照らす蒼い朧げな光。  私たちが「ヴィーダ」と呼ぶ、その光る石。  その石に…

  • 命の石NEXT 3話

            かつての都会、高層ビル街。戦火に焼け落ちたのは100年前、いまだに崩れたままの瓦礫の山。  まだ朝早いせいか人の姿はない。それでも誰に見られる…

  • 命の石NEXT 2話

          その場所は 太陽の光も届かない 深い深い海の底  そもそも「太陽」という存在も知らず 生きている命がある  朧な碧を放ち発光する石 その暉(ひかり…

  • 命の石NEXT 1話

       「せかい」っていうものは、多分どこにでもあって  それはちっぽけなものであって 時に誰の目にも見えなくて きっと想像もつかない色をしていたりして   私…

  • またね

        またね   黄色い屋根の自動車整備の工場は、去年卒業した先輩の実家。こっそりと、私の好きだった人。  傾いた西日が黄色い屋根をくぐって、その向こうの茜…

  • さらば剣崎!(かっぱのななこスピンオフ短編)

          さらば剣崎!      ここは港区芝浦.,通りの街灯が点る夕方。ななこさんの暮らすマンション。時間は17時、そろそろ夕飯の支度ですか? おやおや?…

  • ななみは恵比寿に帰りたいのっ!! 最終話

                ん?          ここは・・・、どこ?  あれ?わたし。。。  ???    ここ、・・。。恵比寿駅だ。。。   ん?  なんで…

  • ななみは恵比寿に帰りたいのっ!! 5話

             よりこちゃんも もうじき8つときこゆ いわけなしとしはすぎ まもなくわれのすがたもみえず げにかなしき おさなきわがすがた おとなにはみえず…

  • ななみは恵比寿に帰りたいのっ!! 4話

              ななこの予想は見事に的中した。あれほど逸れると予測されていた台風は、勢力を強めて日本列島に上陸。 ひっきりなしの緊急警報でwebニュースが…

  • ななみは恵比寿に帰りたいのっ!! 3話

                    賑やかで大騒ぎが大好き、根っからのパリピのななこ。それでいてツンデレなとこあるから素直には喜ばなかったけど、私にはわかるんだな…

  • ななみは恵比寿に帰りたいのっ!! 2話

             今日の私の仕事は、朝早くからの納戸の片づけ。 ななこは珍しく帽子をかぶって、屋根の修理に精を出している。指先を使う大工仕事は、人の手のほうが…

  • ななみは恵比寿に帰りたいのっ!! 1話

                2020年9月。   賑やかさを取り戻しつつある渋谷。スクランブル交差点を行き交うマスクの人々。 マスク同様に慣れつつあるのは、今日の…

  • 【9月26日連載スタートします】

     みなさん、こんにちは、東京のGoToトラベルを強く望むcrollです。 9月26日より連載スタートいたします!     好評いただいている「かっぱのななこ」…

  • 花火のない夏

                 僕らの会話は、LINEそのまんま。 講釈は省かれ、ただ簡潔で。大概は忘れちゃうくらい、どうでもいい話。    傾く日差しがカーテンの…

  • 【わたしのいない あなたのあしたに】

     いつもネット小説「works」をご覧いただきありがとうございます、作者のcrollです。今回はYouTube作品を掲載します。タイトルは「わたしのいない あ…

  • あいみょんになりたかったのに、なに私ベース買ってんだ? 最終話

             きっかけはなんだったっけ? あぁ、そうだ。あいみょん歌って、お姉ちゃんに褒めてもらいたかったんだ、私。 それすら今じゃ忘れてしまってんだから…

  • あいみょんになりたかったのに、なに私ベース買ってんだ? 5話

          「だからぁ!AメロのリフからBメロ行く時のフィルが違うんだって!」 「だからぁ!もっと分かりやすく言って!リフ?フィル?何よそれ?」 「だからぁ!…

  • あいみょんになりたかったのに、なに私ベース買ってんだ? 4話

               今時CDーRで渡された、村上遥からの莫大なベース課題曲。古い洋楽中心なのは、おそらく彼女の趣味。  見かけによらず渋い音楽ばっかだな。。…

  • あいみょんになりたかったのに、なに私ベース買ってんだ? 3話

                村上遥の家はすぐに分かった。 海沿いのこの町がまるっと見渡せる丘。そこにポツンと建つ、昔からの誰かの別荘跡。   もう10年くらい前か…

  • あいみょんになりたかったのに、なに私ベース買ってんだ? 2話

              バスに乗る前に、お店に戻ることもできたはず。 「実は私、ギター買いに来たんです」と、ペコリ謝って。 そこに悪い印象なんか持たれることもない…

  • あいみょんになりたかったのに、なに私ベース買ってんだ? 1話

                6月。 夏日が続く中、ようやくの夏服。・・にも関わらず、容赦ない雨降りって・・なんで? しらんけど。。 今朝の気温は15℃。一体せかい…

  • 新作予告です。

    今度の土曜、5月30日より小説「あいみょんになりたかったのに、なに私ベース買ってんだ?」を連載いたしますm(__)m。お姉ちゃんが大好き!16歳のシスコン美咲…

  • かっぱのななこファンページのお知らせ

    連載終わって今更ですが(笑)、かっぱのななこのFacebookファンページがございます。https://www.facebook.com/nanakokapp…

  • 雨が似合う

    雨が似合う雨が似合うね とあなたが言ったそれは私のこと?私 ばかだからその意味がわからなくて「あ、はい」 だって(笑) そんな 間抜けな答えはあなたに聞こえな…

  • いとでんわ

    いとでんわきみの家のポストの上にこっそり 置いていくよ風に飛ばされる前に 気づいてくれるかな?  もしもし    聞こえますか わかってくれるかな? 耳…

  • ななこから、ご愛読ありがとうなのだ!

    「かっぱのななこリターンズ」、お付き合いいただきありがとうなのだ。「終わって残念」っていう応援ももらって、私も嬉しいのだ。本当は目黒川のこの写真、今の時期なら…

  • かっぱのななこリターンズ 最終話

              せっちゃん。 けっこうご無沙汰してしまったのだ。まずは近況からだな。  もえはトニーとイタリアへ行ったのだ。新婚旅行を兼ねて、向こうの家に…

  • かっぱのななこリターンズ 第十五話

             WELCOME!     奈々未と二人して、クレヨンで作ったプラカード。長テーブルの前に貼り付けて飾った。 7月の晴れた日曜日、来客を待つ私…

  • かっぱのななこリターンズ 第十四話

           野郎ラーメン恵比寿西口店。 場違いな女子二人が並んだカウンター席での報告会。  私は「豚野郎ラーメン」。奈々未は「豚骨豚カレー」。 ブヒブヒ話し…

  • かっぱのななこリターンズ 第十三話

               恵比寿から代官山へ向かう、緩い坂の途中。 4件並んだテナントの一つ。とっくに閉店した店に、忘れ物のような灯りが灯る。  レディースの古着…

  • かっぱのななこリターンズ 第十二話

           「もえさん、素敵な方ですね~。ダメですよ、ななこさん!家出してあんなに優しい人を困らせちゃ!」   キッチンで食器を洗うオーナーのなんてことない…

  • かっぱのななこリターンズ 第十一話

           去年より早い開花予想の発表。目黒川沿いの桜並木、そのつぼみが膨らみ始める2月の終わり。   「Pizzaカッパリ」開店30分前。トニーは恨めしそ…

  • かっぱのななこリターンズ 第十話

           某大学の研究室。  ステンレスのテーブルに、ずらりと並べられた試験管、シャーレ、ビーカー。グラフと共にコンピューターの画面に不規則に並ぶ、AとC…

  • かっぱのななこリターンズ 第九話

             もう18年前。  通り過ぎた台風の余波なのか、見下ろす海はまだ騒がしかった。   丘の上の家。結界のように囲う白と黒の鯨幕が、強い風にバサバ…

  • かっぱのななこリターンズ 第八話

           「そう、よかったぁ、ただの貧血で。・・うんうん、お店?大丈夫!今は心配しないでゆっくりしなさい。」   ほんと真面目ちゃん!長くなりそうな電話を…

  • かっぱのななこリターンズ 第七話

           「なんかさ・・、重いんだよね。もう別れよ。」      それはおとといのこと。 恵比寿アトレ3F神戸屋キッチンで、2カ月付き合った彼氏にばっさり…

  • かっぱのななこリターンズ 第六話

            みなさま、覚えてらっしゃいますでしょうか?     私の名前は山田誠、52歳。  そうです。 一話後半にてちょっと登場しさせていただいた、剣崎…

  • かっぱのななこリターンズ 第五話

               「えっ!ななこがバイト!?」    もえはえらく驚いて、箸につまんでいた鳥の唐揚げを床に落とした。今日は我ながら、カリッ&ジュワーと上手…

  • かっぱのななこリターンズ 第四話

             Oh,My God!!      慌ただしい開店準備の最中、ただならぬオニーの声が響いた。  バイト初日。続々届くお店の荷物を解いては並べと…

  • かっぱのななこリターンズ 第三話

               Felice Anno Nuovo!!    にほんのみなさ~ん、あけましておめでとうございます!    私の名前は「トニー・ムッシーノ…

  • かっぱのななこリターンズ 第二話

             うす!!!     あっ、さーせん!声、でかかったすか?さーせん!    自分はぁ! T大学4年! 相撲部主将! 吉田卓三!!  実…

  • かっぱのななこリターンズ 第一話

            「2020 TOKYO」  世界的イベントの開催を、誇らしげに貼り付けた黒いタクシー。カウントダウンされた年の瀬。 東京都文京区本郷。春日通り…

  • かっぱのななこ第3章、はじまります!

     12月21日より「かっぱのななこ」の第3章、「かっぱのななこリターンズ」を連載します。 舞台は2020年の東京。河童の女の子「ななこ」と、その周りの仲間、友…

  • 「命の石」、ご愛読ありがとうございました。

             最終話にて、パプアンが新しい命につけた名前。 「」の中が空白になっていますが、決して書き忘れとかではありません。 他にも「」の中が書かれてい…

  • 命の石 最終話

                白いサンゴの墓場、ピアノの音色。 サオラ姉さんが奏でるサティの「ジュ・トゥ・ヴ」。   「かわいいなぁ。。。」  砂に寝っ転がったパプ…

  • 命の石 第六話

            墜落した戦闘機が、海の底へ沈んでいく。抱いていた泡と油を吐き出しながら。  コックピットのガラスが、ひび割れて砕ける。両翼に括られた爆弾が、水…

  • 命の石 第五話

              下駄箱に靴がなかったので、上履きで帰った木曜日。もうすぐ降り出しそうに垂れた灰色の空。  女子野球部がグラウンドで練習してる。フェンスを超…

  • 命の石 第四話

             ヴィーダの光が、緩やかな影を揺らす。長い髪の影で、それがサオラ姉さんだとすぐに分かる。  「コルパタ、どうしたの?怪我でもしたの?」  気づ…

  • 命の石 第三話

             サオラ姉さんにはお気に入りの場所がある。   そこは、白く枯れ果てたサンゴの墓場。 とっくに崩れ落ちた白い粉が、深く積もっただけの彩りのない…

  • 命の石 第二話

             まんまるのヴィーダの石。 それは、闇を照らす淡い光。  私達のひっそり暮らす岩影で、ぼんやりとした銀色の灯を常に燈している。   どこかから…

  • 命の石 第一話

                  だれかの願いが    …

  • 「命の石」4月20日よりはじめます。

    新作書きました。4月20日より毎週土曜0時公開、全7話となります。深海に住む3人の女の子のお話。3人を簡単に紹介いたします。コルパタ末っ子の怖がり。この物語の…

  • 原子力発電所

               ほんとのこと いうはずないじゃない たとえば  一時間後 この町は沈みます だなんて  ほんとのこと いうはずないじゃない 混乱なく …

  • 続かっぱのななこ 最終話

                 もえの故郷、神奈川県の海辺の町。東京とは違う、ピリピリした深い潮の匂いが運ばれる。  葬儀場に隣接する、小さな池のある公園。  庭石…

  • 続かっぱのななこ 20話

             イチョウの木陰。真上から降る木漏れ日の日だまり。 「とおりゃんせ」でひとしきり、いろんなジャンルの汗をかいた私達。剣崎も眼鏡を直し、人の姿に…

  • 続かっぱのななこ 19話

         とおりゃんせ とおりゃんせ  ここはどこの ほそみちじゃてんじんさまの ほそみちじゃ  ちっととおして くだしゃんせごようのないもの とおしゃせぬ…

  • 続かっぱのななこ 18話

          温かなイチョウのやまぶき色。 そして 燃え盛るモミジの紅。   混ぜられて色づいた秋の並木道。まだ尖っている朝の光が、木洩れ日となって私達に降り指…

  • 続かっぱのななこ 17話

         肌寒い霧雨が、皇居のお堀に無数の波紋を作ってる。 日比谷通りは傘を持つ人、持たぬ人が半々に行き交う。  東京メトロ日比谷駅。B6出口前の小さなフラワ…

  • 続かっぱのななこ 16話

       空に浮かんだ2本のレールが、なめらかな孤を描いている。雲一つない秋晴れの空を渡る、東京臨海新交通臨海線「ゆりかもめ」。 新橋駅から乗った私達。空色のシー…

  • 続かっぱのななこ 15話

           なぜか今、我が家のリビングに剣崎が座ってるのだ。  そしてなぜか私は、キッチンで挽肉をこねているのだ。 冷凍うどんの予定だった晩御飯が、急遽ハン…

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