カテチンが解除され 点滴が解除され 無課金ノーマル状態へと近づいていく私。 残すは腕付近の血管から繋がれている 血抜きドレーンと呼ばれる物のみだった。 4日目の朝。 朝食を終え もう一眠りしようとした時だった。 ゴゴゴゴ… カーテン越しに感じるただならぬ戦闘力。 シャーッ 後光ピカーッ 「どうも ニコッ」 やはり 院長だった。 実は私の担当医は院長であり 手術を薦めてくれたのも他ならぬ院長だった。 院長自らが血抜きドレーンを抜きに来て下さったのだ。 「痛かったら遠慮なく叫んで下さいね ニコッ」 また痛いのか… 「では…フンッ!」 ッッ! 「おや?声が出ませんねぇ ガッカリ」 フフフ…
忍者とは忍び耐える者の事なんだよ- 漫画NARUTOの台詞である。 たぶん。 NARUTO―ナルト― モノクロ版【期間限定無料】 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:岸本斉史 集英社 Amazon 無限尿道カテーテル編に突入してからと言うもの オチンメンは完全に忍び耐えていた。 ご飯→戦→お茶→戦→おやつ→戦→お茶→戦→… 度重なる排尿戦争により幾多の細胞が星になった。 そして カテーテルを抜いてから24時間を過ぎた夜 ようやく痛みが鎮まった。 激しい戦いを乗り越えたオチンメンを眺め よく頑張ったなと微笑む私。 オチンメン「いいってばよ」 入院前は下忍だったオチンメンは 立派な中忍…
丑三つ時に手術した腕の麻酔が切れ ドクドクと脈打つような痛みが出てきた。 手術当日の夜はかなり痛むと噂で聞いていた。 確かに痛い。 しかしそれよりもチンロンの痛みの方が深刻だった。 結局ろくに眠れず3日目の朝を迎えた。 朝ごはんが運ばれる。 写真はセピア色に加工しているわけではない。 元からシックな装いなのだ。 通常であればガッカリしそうな見た目なのだが 私はヨダレだらだら状態であった。 それもそのはず 普段 1日3,000キロカロリーくらい接種している私が 手術前日から絶食を強いられており これが36時間振りのご飯なのである。 慣れない左手を使い獣のように食らう。 うまっ! おかかのフリカケ…
全身麻酔下で手術の時間が2時間を越える場合 導尿カテーテルと言う尿をコントロールする管が オチンロンに挿入されたりするらしい。 風の噂でそのような話も聞いてはいたが まさか目が覚めても挿入中だとは思わなかった。 カテーテルを装備したカテチン状態は 青春を思わせるツンとした痛みと ロマンスグレーを思わせる残尿感をmixした 非常に気持ち悪いものだったので ナースに頼んで予定より早めに抜いてもらう事にした。 「痛いですよー」 ゴクリ… 「抜きますよー」 プギャァァァァァァ… 湘南に響く私の断末魔。 間違いなくここ数年で一番痛かった。 そのまま うずくまって寝てしまいたかったのだが まだ変な尿…
「そろそろ行きましょうか」 コクリ 世界がおやつを楽しむ15時過ぎ 私は手術室に移動した。 ドラマや映画で見るような手術室そのままだ。 筋肉質な上半身をさらけ出しベッドに横たわる。 … あれ? … この感情は…? … き、恐怖? … パワー系 強キャラな見た目とは裏腹に 心は気弱な子羊モードへと陥っていた。 手術室に入った瞬間 急に色々想像して怖くなる。 手術あるあるなのだろうか。 恐怖に怯えているのも束の間 準備は着々と進み 酸素マスクを装着させられる。 「それではだんだん眠くなりますよー」 先生の手品師のような台詞と共に 私の恐怖はより加速する! 麻酔が効かなかったらどうしよう!! 途中で…
とある病院のとある病室。 4人部屋 窓側のベッド。 私は今 咽び泣きながらそこにいる。 手術を控えた私は 前日より入院するよう指示を受け 手術前日14時過ぎにチェックインした。 病室を案内され 色々説明を受けた後に 「おタバコ吸われます?」 コクリ 「当病院は禁煙です」 コクリ 「外に出て吸うのも禁止です」 !? 「もしタバコ吸ったら強制退去ですから!」 ギャァァァ というやり取りがあり 想定外の禁煙生活がはじまった。 外に出れば喫煙出来ると思っていた私。 入院開始30分で心が折れそうだった。 そんな私の事など気にも止めず シャーッとカーテンが開かれ別のナースが現れた。 SF映画レベルに飛沫…
手術を決めた事により しばらくクライミングから離れる事になった。 復帰までなんとなく半年くらいを想像しているが 手術が終わってみないと何とも分からない。 というわけで 私はさよならクライミングの儀式を行うべく 手術前最後となるクライミングジムに行った。 … 本来であれば今回は クライミングへの溢れる想いを綴り 涙なくしては読めない神回となる予定だったのだが 残念ながらジムの後に10数年振りに行った 居酒屋一休の記憶しかない。 本当に○○かった。 最後の方は何を食べたいのかではなく 何なら○○くないのかで注文をしていた。 さすがに大丈夫だろうと思って頼んだピザですら ○○かった。 生地がほぼ紙粘…
手術を決めた事によって 手術が可能か確認する為の検査がはじまった。 血液検査や肺機能の検査等を終え 向かったのは人生初のMRIだった。 寝てれば終わるくらいのイメージだったのだが 現実は違った。 右腕を中心とした不可解なポーズを取らされた後 クッションやら何やらで体が動かないよう固定された。 そして 音がうるさいとの理由でヘッドフォンを装着された。 … なぜかうっすらエンヤが流れていた。 エンヤ~オールタイム・ベスト アーティスト:エンヤ ワーナーミュージックジャパン Amazon 幻聴かとも思ったが やはりうっすらエンヤが流れている。 MRIがある部屋の天井は青空模様が描かれており エンヤを…
受傷から12日目。 仕事が忙しかったが半日休暇なら取れそうだったので 半休を取り紹介先の病院へ。 正直自分の心は 9割くらい手術しない方向で決まっていた。 このままポパイとしてホウレン草ロードを歩む事への 最後の確信を得るつもりで病院に向かった。 「手術しなくても8割程度力は戻るので大丈夫ですよ」 「プロでもない限り手術しませんよ」 「えぇ!?手術!? 大袈裟だねー!クスクス」 そんな言葉を想像していたのだが 受診を終え 先生が言った言葉は 「手術を推奨します キリッ」 であった。 「手術すれば以前のように二頭筋を使えるようになる」 「逆にやらない理由は何かあります?」 手術しないでもそれなり…
断裂から1週間が経った。 日常生活においては全く支障はなく クライミングをしていなければ 手術するかどうか悩む事はないように思えた。 ただ手術しなければForeverポパイなので ボディービルダーになりたい! と急に思う時が来たら 美的観点から 手術しとけば良かったと後悔しそうなくらいである。 また懲りずにジムに行きクライミングをしてみたが 基本的には前回と変わらない感じだった。 inuinc.hatenablog.com ただ恐怖心が減ってきたのと 筋肉の異様な張りにも慣れてきたので 少しだけ難しい課題も登れたりした。 Google先生で調べた所 力が80%程度に低下すると言う記事をいくつか…
貴重な有給を使い近所の大きい病院へ。手術するかそのままにするか ジャッジを下すべく私の戦闘力は高まっていた。腕を見せ前回のエコー検査による結果を伝える。inuinc.hatenablog.com 「なるほど…ふむふむ」 「ふむっ」 「ふむー」 「ち…ちょっと分からないですね…」 !?「ちょっと文献を読んだのですけどゴニョゴニョ」 !? 何と言う事でしょう!こちらの先生 長頭腱断裂ヴァージンであった! 私がGoogleで調べた事と全く同じ事を仰る! 結局何一つ進展はしなかったのだが 近所の評判の良い病院を教えてもらい 紹介状を書いていただいた。 有給をほぼ無駄にした悔しさで泣きながら紹介状を握り…
整形外科受診から2日後 私はクライミングジムにいた。 驚くほど痛みがないので軽くクライミングしてみて 様子を見たかったのである。 まだ安静にしてろと思うかも知れないが 痛くないのだからしょうがない。 簡単なコースから徐々に色々さわってみた所 基本的には問題なくクライミング出来るのだが 特定の形になった時に筋肉の異様な張りを感じた。 特定の形とは 腕が伸びきるわけでもなく曲がりきるわけでもない 中途半端な曲がり方になる時だった。 クライミングはまずホールドを掴み 掴んだ手で体を引き上げて次のホールドを掴む動作が基本となる。 知らないけど。 つまり全ての動作で腕が伸びた状態から曲げる事になるので中…
男子、食べて寝れば治る- 週刊少年ジャンプからそう教えられた私であったが 友人が病院での受診を推奨してきたので最寄りの整形外科へ行く事にした。 受傷したのが土曜日の夜であったため 予約なし状態で日曜日に営業している整形外科へ。 貴重な休日をなるべく病院に使いたくなかった為 受付開始30分前の朝8時に整形外科に到着。 出来る大人は違う… 自画自賛しながら朝の爽やかな空気を楽しむ私。 いざ 院内へ。 !! 何と言う事でしょう! 爺! 婆! 爺爺!婆! 婆婆婆婆爺婆婆! 幼き頃 来るぞ来るぞと言われていた 高齢化社会の現実がそこには広がっていた。 結局4時間ほど死んだように待ち運命の診察へ。 一通り…
ブチッ!…っと音がするでもなく 生まれてから30と数年 苦楽を共にしたベストフレンド 私の上腕二頭筋長頭腱は断裂した。 秋の訪れを感じる柔らかい風が吹いていた のかも知れないとある土曜日。趣味でやっているボルダリング中の出来事だった。 飛び付いてアンダー向きのホールドを止めた瞬間 右肩付近に違和感を感じ落下した。 「何か今変な感じがしたわー」 笑いながら友人に近寄る私。 そんな私を見た友人は膝から崩れ落ちた。「え?」 歯をガクガク言わせ怯えた表情で私を見る。 「何?どうしたの?」 「ポ…ポパイ…」 私は恐る恐る自身の右腕に目を向けた。 ギャァァァァァァ 私の右腕は 腕立てを1日100回休む事…
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