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  • EPISODE-37 新章「外側上顆炎」

    手術から9ヶ月弱の月日が流れた。 クライミング能力は完全に復活。 身体の違和感も皆無となっていた。 ちょっと前に手術をした事やこのブログの事などすっかり忘れ 快適な日々を送っていた。 そんなある日の事。 いつも通りクライミングをしていると前腕から肘にかけて少し痛みを感じた。 何をしたわけでもなく それほど強い痛みではなかったので 深くは考えずその後も数時間クライミングを続けた。 翌日。 前腕が凝っているような感じと それほど強くはないが肘(外側)付近に痛みがあった。 ただ日が経つと その症状は緩やかに改善されていったので あまり気にせずまたジムに行った。 とりあえず登ってみると 親指を立てるよ…

  • EPISODE-36 手術からもうすぐ半年

    早いもので後少しで手術から半年が経つ。 手術前 何となく復活まで半年くらいかかると思っていたけれど ある意味では合ってるし ある意味では間違っているように思う。 今後手術をされる未来のポパイ達への参考までに とりあえずクライミングが出来ると言う意味では 3ヶ月かからないくらいで復帰出来る。たぶん。 元の実力にもよるけど 3グレードくらいの下の課題であれば とりあえずは取り組めると思われる。 (普段取り組んでいたのが初段なら3級くらい) 厄介なのは2級くらいの課題を登れたりすると もう誰も怪我人としては扱ってくれない事だ。 平気でランジする課題とか誘われる。 ただ 長いのはそこからで クライミン…

  • EPISODE-35 浮身

    クライミングの調子は日に日に良くなっていた。 しかし来る日も来る日も 6mmで離陸出来る事はなかった。 指皮が薄いのが原因なのかと思い 指皮が比較的ある時にチャレンジするもダメ。 ある程度登ってから触っているのが良くないのかと思い ジム到着後 すぐにチャレンジするもダメ。 本当に断裂前は浮けていたのだろうか。 時が経ち 木が劣化してBeast makerが 6mmより薄くなっているのではないだろうか。 か弱き自分を受け止められず 現実逃避ばかりを頭に思い浮かべていた。 そんなある日。 ジムで体重を計っている人がいたので 流れで自分も体重計に乗ってみた。 そう言えばしばらく体重を計っていなかった…

  • EPISODE-34 6mm

    正式に運動OKと言われてから それまでは遠慮していた負荷の高そうな動きも 少しずつ行うようになった。 ジムに行く度に日に日に登れるようになっている そんな気がしていたとある日。 ふとジムに設置されている Beast makerのMicrosが目に入った。 ちなみに断裂前は 10mm=余裕で浮ける 8mm=まあ余裕で浮ける 6mm=死ぬ程本気で10秒くらい浮ける 4mm=来世に期待 と言った感じだった。 結構登れるようになってきてるし むしろクライミング休んでたから指の調子も良いはず。 前と変わらないくらいにはぶら下がれるだろう。 そんな事を思いながら そっと6mmに指をかけた。 … まだ足は地…

  • EPISODE-33 卒業試験

    「もう大丈夫そうですね」 「何かあったらまた来て下さい」 久し振りの診察 そして結果 特に問題がなかった事から この日が最後の診察となった。 最後の診察は手術から81日目だった。 別れ際に先生が絵を描きながら 改めて今回どういう手術をしたのか説明してくれた。 ふむふむ なるほど。(理解してない) 思えばこの先生に出会わなければ 手術をすると言う選択をしていなかったかも知れない。 大げさかも知れないが自分にとっては 後の人生を ポパイとして生きるか元ポパイとして生きるかを決めた 重要な出会いであったように思う。 何度かの診察等を経て 冗談を言い合えるような関係となっていたので 最後はお互い涙を流…

  • EPISODE-32 ピーチジョン

    医者的に全力で運動して良いよ宣言が勧告される予定の 手術後13週目まで後1週間を切った。 年末からジムにはちょこちょこ通っており 無理をしない程度のクライミングをしながら 本格的にクライミングのリハビリを開始する予定の 13週目からに向けて少しずつ指の皮を厚くしている。 そんな指皮の現在の進捗がこちらである。 そう。 むしろ削れて薄くなっているのだ。 そこまで登ってないのに 指先桃色片想い状態なのである。 ただホールドを触っているだけあって クライミング自体は少しずつ登れるような雰囲気だけ 出始めている。 復活の日はそう遠くないのかも知れない。(願望)

  • EPISODE-31 66日

    クローゼットの中 クライミング用のズボンを探す。 いつも取り出しやすい場所を陣取っていた クライミング用のズボンは奥へと追いやられていた。 鞄にクライミングシューズとチョークバックを入れる。 ジムまでの通い慣れた道に少しの懐かしさを感じながら ジムへと向かう。 袖からはみ出した指が少しかじかむ。 最後にクライミングをした時から季節は変わり すっかり冬になっていた。 私は66日ぶりにクライミングジムに訪れた。 久しぶりに会うジムの人々と談笑しながら ストーブでクライミングシューズを温める。 目的はあくまでも懸垂だったのだが 今クライミングをしたらどんな感じなのか知りたくて 一番簡単なアルファベッ…

  • EPISODE-30 心残り

    週末。 年内最後のプール&懸垂10回チャレンジをすべく 気持ちは昂っていた。 来るべき戦いに備えエネルギーが必要と考えた私は とりあえず菓子パンを買いに行こうと 玄関のドアを開けた。 さむっ 私はそっ…とドアを閉め すっ…と布団に避難した。 そして 心地よいまどろみの中 私の週末は終わった。 プールのおじいちゃんおばあちゃん並びにお子様方 良いお年を。 さて プールに行けなかったのは別に良いのだが 懸垂10回チャレンジだけは年内に行いたかった。 仕事中 隠れてグーグルアースを起動し 近所に懸垂出来そうな場所を探すが見当たらない。 懸垂出来そうな場所… はっ…! クライミングジムがあるじゃないか…

  • EPISODE-29 懸垂

    週1程度でプールに通っている。 泳ぐ事が特別に楽しいわけではないが 初心者あるあるで少しずつ上達していく感じは楽しい。 通っているプールは駅から遠く 近くまでバスで行きそこから歩いているのだけど ある日の帰り道 バス停に向かう途中で ふと公園を発見した。 バスが来るまで時間に余裕があったので寄ってみると その公園は高齢の方向けの遊具が充実しており 中には補助付きの鉄棒のような物もあった。 …これはやるしかないのだろう。 恐る恐る慎重にぶら下がってみる。 腕に重力を預けるのは久しぶりだ。 ぶら下がってみた所 多少の違和感はあるものの嫌な傷みは感じない。 10秒程ぶら下がった所でゆっくりと懸垂をし…

  • EPISODE-28 久しぶりの診察

    術後6週が経過したと言う事で久しぶりの診察だった。 対面するや否や 両腕の力こぶを見せてくれ と言う先生。 久しぶりの再会に興奮しているようだ。 …いいだろう。 上着を脱ぎ深呼吸。 本意気のフロントダブルバイセップスの型を取るっ! パワー! … はーい、大丈夫です。 薄いリアクションに恥ずかしくなる私。 本来長頭腱が繋がっている場所よりは やや下部に腱を固定しているので 若干ポパイの名残があるものの問題はないとの事。 次の診察は1ヶ月後となった。 その後 久しぶりのリハビリを受ける。 一通り状態を確認した後 初めて500グラムの鉄アレイを渡され 腕の屈伸をするよう指示を受ける。 か…軽い。 ほ…

  • EPISODE-27 師走チャンス

    師走である。 師走とは僧侶のような落ち着いた人でも 走り回るように忙しい月であると言う意味から 生まれた言葉だと言う話を聞いた事がある。 確かに12月は 例年あっと言う間に過ぎ去っているような気がする。 手術後6週が経った。 体感では3ヶ月くらい前の出来事に感じるのに まだ6週しか経っていないのか と言うのが正直な気持ちである。 しかし 師走である。 あっと言う間に12月が過ぎ去ってくれれば その時点で10週目に突入する。 ガチ筋トレ開始の目安は13週目からと言われており ガチ筋トレさえ始まってしまえば クライミングへの復帰も近いと勝手に思ってる。 上手く師走の波に乗り 12月をハイスピードで…

  • EPISODE-26 思い立ったが吉日

    とある休日の昼下がり。 家でゴロゴロしていた私は 何か今出来そうな運動はないかと思考を巡らせていた。 … … …はっ!! 数時間後 私は市営プールにいた。 ピタピタ水着 キツキツ帽子 食い込みゴーグル 施設を利用する為の3種の神器を現地で購入し 何年ぶりになるのか水中にその身を投じた。 まずはウォーキングコースに入り 人生のクライマックスを間近に控えた 諸先輩方の後に続き水中を歩いてみる。 想像していたより体感する負荷は低い。 水中を歩いているだけで運動になると言う話を聞くが どこか物足りない。 ある程度歩いて体が暖まったのを確認した私は 片道25mの泳ぐコースへと移った。 … 何となく泳ぐコ…

  • EPISODE-25 TUBE

    前回の診察の後 私は100円ショップダイソーに訪れていた。 リハビリで使うようなトレーニングチューブが ダイソーに売っていると言う情報を得た為だ。 店内を探すと 売れているのかそもそも在庫が少ないのか ソフト・ミドル・ハードの3種類のチューブが それぞれ1点だけ置いてあった。 どれにしようかと30秒程迷った結果 100円だし別にいっか…と言う ダイソーの思うツボパターンで3種類全部買った。 帰宅後とりあえず一番弱いソフトレベルのチューブを 開封してみる。 思っていたより短い。 そして短いのでソフトでもそれなりの強度を感じる。 むむ… ちょっとだけやってみたい… リハビリの先生からは 負荷をかけ…

  • EPISODE-24 リハビリ1-4

    術後3週間ちょっと。 退院後2回目の診察だった。 経過は順調との事。 先生との関係も少しずつ友達みたいになってきており 笑いの数も増えてきた。 最後の診察時に X JAPANのForever Loveが流れる中 「痛みに耐えてよく頑張った!感動した!」 「ありがとうございます!」 と抱き合う難易度Eのエンディングルートに 入ったのかも知れない。 Forever LoveX JAPANロック¥204provided courtesy of iTunes そしてついに三角巾が解除された。 会社で人に会うたびに 「いつ取れるの?ニヤニヤ」 「3週間後です(もう!興味ないくせにっ…!)」 と言うやり取…

  • EPISODE-23 ぷに

    先ほどお風呂に入ってる時に ふと自分の右腕の力こぶを触ってみた。 クライミング上級者の腕は引き締まっている事が多いが 無駄な力を使ってクライミングをしていたのであろう 手術前の私の腕はただただ無意味に太かった。 見た目はまだ変わらず太いままである現在の私の腕。 そっと指で触ってみる。 ぷに えっ…? ぷににっ なんとその触り心地は 赤ちゃんのお尻のようにぷについていた。 はっきり言って気持ち良い。 予定だとガチ筋トレを開始出来るのは13週目から。 軽い筋トレを開始出来るのもまだ先だ。 それまで更に柔らかくなるのかと思うと 楽しみで仕方ない。

  • EPISODE-22 リハビリ1-3

    リハビリだった。 内容は変わらず てもみん状態。 経過は順調らしい。 勝手にストレッチをやっているおかげか 実は可動域はかなり改善されており クライミングに使う範囲くらいには既に腕が動く。 但し 「動く」と言うよりは「動かせる」と言った方が正しく 筋肉の固さは勿論感じるし腕もかなり重たい。 まだ2週間程度なので当たり前なのだけど。 今一番の問題は夜間痛だ。 なぜだか夜寝る時になるとズキズキと腕が痛む。 眠れない程痛いわけではないが起きるくらいには痛い。 ちょうどこのニュアンスくらいの痛み。 眠れない程痛いわけではないが 起きるくらいには痛いのだ。

  • EPISODE-21 明日で術後2週間

    明日で手術をしてから2週間が経つ。 まだ絶賛固定期間なのだが 秘かに腱を使わない範囲で勝手にメニューを考え 3日前から軽い動的ストレッチを開始した。 メニューと言っても大した事ではなく お風呂で湯船に浸かり 体が温まっているチート状態の時に 腕を伸ばした状態で上下左右と動かしているだけだ。 初日は自分の腕を上げるだけでもかなり重たく感じて 守ってあげたい乙女状態だったのだが 3日目にはかなり楽に動かせるようになってきた。 筋肉と言うのは不思議なもので ちょっと使わないだけでビックリするほど弱くなるが ちょっと使うだけですぐに調子をあげてくれる。 日に日に出来ない事が出来るようになるのは楽しい。…

  • EPISODE-20 雨

    退院後 初の雨だった。 幸い 通勤の時間はそれほどの雨量ではなかったので 特別濡れたりする事なく済んだのだが 片手でカバンと傘を持つのはなかなか難しい。 それより 11月に入り恐らく初の雨。 天気が良く過ごしやすい日が続いている。 EVなどで役員レベルの人と一緒になると 天気の話をする事が多い。 これは 話すことがない状態なのである。 それにしてもそこまで寒くもないし 過ごしやすい日が続いている。

  • EPISODE-19 リハビリ1-2

    今日は退院後初の診察と2回目のリハビリだった。 診察では1週間傷口に貼り続けていた 防水フィルムを取っていただいた。 貼られるまでその存在すら知らなかったのだが この防水フィルムがかなりの優れ物で アグレッシブに体を洗っても 全く剥がれる事なく1週間私を水から守ってくれた。 ありがとう防水フィルム。 君を忘れない。 リハビリは変わらず てもみん状態。 固くなった右肩周りの筋肉をほぐしてもらうだけの ただの気持ちいい時間だ。 気になるのが右腕をずっと使っていない為 筋肉が固まっており さらには筋力が赤子レベルに弱まっていて 腕が上がらなくなっている事だ。 今 輩に絡まれたら秒速でボコボコにされる…

  • EPISODE-18 リハビリ1-1

    退院後初のリハビリだった。 リハビリと言ってもまだ固定期間なので 自ら動かして負荷をかけたりするような内容ではなく 基本的には理学療法士様に動かしてもらうだけで イメージとしてはマッサージに近いものだった。 ちなみに リハビリの担当は自ら選べるわけではなく 手術後に病院側の判断によって決められていた。 つまり 自分の知らないうちに 理学療法士ガチャが行われていたわけだ。 ガチャの結果 私の担当は Cランク 容姿:真面目 人柄:温厚 経験:並 話術:並 のノーマルモブタイプとなった。 SSランクの小悪魔S気質ギャルや 経験レベル竜の身体の全てを知る老師 を引く事は出来なかったが とりあえずハズレ…

  • EPISODE-17 術後1週間経過

    肩がこる。 肩がこるのだ。 左首辺りを支点とする三角巾生活が始まり 1週間が経とうとしている。 不自由な部分はあるが 想像していたよりはヨロシクやれている。 取り急ぎの悩みは肩こりだ。 通常時は肩こりとは無縁な人間だったので もしかしたら大したレベルではないのかも知れないが 慣れておらず辛い。 と言う訳で買ってみた。 ピップ マグネループEX ブラック 50cm 磁気治療器 肩こり 首こり 磁気ネックレス ピップマグネループ Amazon ピップマグネループEXだ。 何故か範馬刃牙がパッケージの ピップマグネループMAXと言う激強ver.もあったが 逆に怖かったのでEXにした。 頼りにしたと言…

  • EPISODE-16 出勤

    退院翌日。 貧しい私に休んでいる余裕などある訳もなく 早速出勤であった。 前日にストップウォッチを使い 朝の準備に何分かかるか入念なゲネプロを行い 準備は万全だった。 ちなみに通常時と比べて一番時間がかかる事は コンタクトレンズを装着する事だった。 入念な準備の甲斐あって 無事遅刻する事なく会社にたどり着いた出来る私。 着くや否や同僚達からの 可愛い看護婦はいたのか サボりじゃないのか等の セクハラ&パワハラの波状攻撃を華麗に捌きつつ 久しぶりのデスクへと着席した。 そしてご迷惑おかけしましたと言う意味を込めて お菓子を配った。 近所で申し訳程度に適当に選んだお菓子だったのだが これが引くほど…

  • EPISODE-15 退院

    11月1日。 V6が解散する日。 Very best アーティスト:V6,20th Century,Coming Century,Marsa Sakamoto エイベックストラックス Amazon とある病室のメンバーも解散を迎えていた。 「元気でな!」 「淋しくなるなー」 「もう帰ってくるなよー!」 なんて会話は1mmもなかった。 コロナ禍だからなのかは分からないが 病室メンバー達との関わりは一切なく 朝晩おならで挨拶するだけのドライな関係だった。 「くそお世話になりました」 心の中で告げた私は 振り返る事なく静かに病室を出た。 そして受付でお金をむしり取られた後 4日振りに世界へと飛び出し…

  • EPISODE-14 山の音楽家

    わたしゃおんがくか やまのこりす~ と言う曲を知っているだろうか? 山の音楽家山野さと子チルドレン・ミュージック¥255provided courtesy of iTunes 山の音楽家 と言うタイトルのこの曲。 恐らく幼き頃に習ったのだと思うが 私にとっては聞き馴染みのある曲だ。 今回入院している病院では どこかでナースコールが押されると この山の音楽家のメロディが鳴る仕組となっている。 朝 昼 夜中 院内に絶え間無く鳴り響く山の音楽家。 私が暮らしている4人部屋の同居人にも1人 ナースコールを使いこなす入院レベル虎の患者がいる。 わたしゃおんがくかやまのこりす~ 「どうしました?」 「…帰…

  • EPISODE-13 入院4日目

    カテチンが解除され 点滴が解除され 無課金ノーマル状態へと近づいていく私。 残すは腕付近の血管から繋がれている 血抜きドレーンと呼ばれる物のみだった。 4日目の朝。 朝食を終え もう一眠りしようとした時だった。 ゴゴゴゴ… カーテン越しに感じるただならぬ戦闘力。 シャーッ 後光ピカーッ 「どうも ニコッ」 やはり 院長だった。 実は私の担当医は院長であり 手術を薦めてくれたのも他ならぬ院長だった。 院長自らが血抜きドレーンを抜きに来て下さったのだ。 「痛かったら遠慮なく叫んで下さいね ニコッ」 また痛いのか… 「では…フンッ!」 ッッ! 「おや?声が出ませんねぇ ガッカリ」 フフフ…

  • EPISODE-12 中忍試験

    忍者とは忍び耐える者の事なんだよ- 漫画NARUTOの台詞である。 たぶん。 NARUTO―ナルト― モノクロ版【期間限定無料】 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:岸本斉史 集英社 Amazon 無限尿道カテーテル編に突入してからと言うもの オチンメンは完全に忍び耐えていた。 ご飯→戦→お茶→戦→おやつ→戦→お茶→戦→… 度重なる排尿戦争により幾多の細胞が星になった。 そして カテーテルを抜いてから24時間を過ぎた夜 ようやく痛みが鎮まった。 激しい戦いを乗り越えたオチンメンを眺め よく頑張ったなと微笑む私。 オチンメン「いいってばよ」 入院前は下忍だったオチンメンは 立派な中忍…

  • EPISODE-11 入院3日目

    丑三つ時に手術した腕の麻酔が切れ ドクドクと脈打つような痛みが出てきた。 手術当日の夜はかなり痛むと噂で聞いていた。 確かに痛い。 しかしそれよりもチンロンの痛みの方が深刻だった。 結局ろくに眠れず3日目の朝を迎えた。 朝ごはんが運ばれる。 写真はセピア色に加工しているわけではない。 元からシックな装いなのだ。 通常であればガッカリしそうな見た目なのだが 私はヨダレだらだら状態であった。 それもそのはず 普段 1日3,000キロカロリーくらい接種している私が 手術前日から絶食を強いられており これが36時間振りのご飯なのである。 慣れない左手を使い獣のように食らう。 うまっ! おかかのフリカケ…

  • EPISODE-10 カテチン

    全身麻酔下で手術の時間が2時間を越える場合 導尿カテーテルと言う尿をコントロールする管が オチンロンに挿入されたりするらしい。 風の噂でそのような話も聞いてはいたが まさか目が覚めても挿入中だとは思わなかった。 カテーテルを装備したカテチン状態は 青春を思わせるツンとした痛みと ロマンスグレーを思わせる残尿感をmixした 非常に気持ち悪いものだったので ナースに頼んで予定より早めに抜いてもらう事にした。 「痛いですよー」 ゴクリ… 「抜きますよー」 プギャァァァァァァ… 湘南に響く私の断末魔。 間違いなくここ数年で一番痛かった。 そのまま うずくまって寝てしまいたかったのだが まだ変な尿…

  • EPISODE-9 入院2日目

    「そろそろ行きましょうか」 コクリ 世界がおやつを楽しむ15時過ぎ 私は手術室に移動した。 ドラマや映画で見るような手術室そのままだ。 筋肉質な上半身をさらけ出しベッドに横たわる。 … あれ? … この感情は…? … き、恐怖? … パワー系 強キャラな見た目とは裏腹に 心は気弱な子羊モードへと陥っていた。 手術室に入った瞬間 急に色々想像して怖くなる。 手術あるあるなのだろうか。 恐怖に怯えているのも束の間 準備は着々と進み 酸素マスクを装着させられる。 「それではだんだん眠くなりますよー」 先生の手品師のような台詞と共に 私の恐怖はより加速する! 麻酔が効かなかったらどうしよう!! 途中で…

  • EPISODE-8 入院初日

    とある病院のとある病室。 4人部屋 窓側のベッド。 私は今 咽び泣きながらそこにいる。 手術を控えた私は 前日より入院するよう指示を受け 手術前日14時過ぎにチェックインした。 病室を案内され 色々説明を受けた後に 「おタバコ吸われます?」 コクリ 「当病院は禁煙です」 コクリ 「外に出て吸うのも禁止です」 !? 「もしタバコ吸ったら強制退去ですから!」 ギャァァァ というやり取りがあり 想定外の禁煙生活がはじまった。 外に出れば喫煙出来ると思っていた私。 入院開始30分で心が折れそうだった。 そんな私の事など気にも止めず シャーッとカーテンが開かれ別のナースが現れた。 SF映画レベルに飛沫…

  • EPISODE-7 ラストクライミング

    手術を決めた事により しばらくクライミングから離れる事になった。 復帰までなんとなく半年くらいを想像しているが 手術が終わってみないと何とも分からない。 というわけで 私はさよならクライミングの儀式を行うべく 手術前最後となるクライミングジムに行った。 … 本来であれば今回は クライミングへの溢れる想いを綴り 涙なくしては読めない神回となる予定だったのだが 残念ながらジムの後に10数年振りに行った 居酒屋一休の記憶しかない。 本当に○○かった。 最後の方は何を食べたいのかではなく 何なら○○くないのかで注文をしていた。 さすがに大丈夫だろうと思って頼んだピザですら ○○かった。 生地がほぼ紙粘…

  • EPISODE-6 ラジエーションハウス

    手術を決めた事によって 手術が可能か確認する為の検査がはじまった。 血液検査や肺機能の検査等を終え 向かったのは人生初のMRIだった。 寝てれば終わるくらいのイメージだったのだが 現実は違った。 右腕を中心とした不可解なポーズを取らされた後 クッションやら何やらで体が動かないよう固定された。 そして 音がうるさいとの理由でヘッドフォンを装着された。 … なぜかうっすらエンヤが流れていた。 エンヤ~オールタイム・ベスト アーティスト:エンヤ ワーナーミュージックジャパン Amazon 幻聴かとも思ったが やはりうっすらエンヤが流れている。 MRIがある部屋の天井は青空模様が描かれており エンヤを…

  • EPISODE-5 シンプル

    受傷から12日目。 仕事が忙しかったが半日休暇なら取れそうだったので 半休を取り紹介先の病院へ。 正直自分の心は 9割くらい手術しない方向で決まっていた。 このままポパイとしてホウレン草ロードを歩む事への 最後の確信を得るつもりで病院に向かった。 「手術しなくても8割程度力は戻るので大丈夫ですよ」 「プロでもない限り手術しませんよ」 「えぇ!?手術!? 大袈裟だねー!クスクス」 そんな言葉を想像していたのだが 受診を終え 先生が言った言葉は 「手術を推奨します キリッ」 であった。 「手術すれば以前のように二頭筋を使えるようになる」 「逆にやらない理由は何かあります?」 手術しないでもそれなり…

  • EPISODE-4 再びクライミングジムへ

    断裂から1週間が経った。 日常生活においては全く支障はなく クライミングをしていなければ 手術するかどうか悩む事はないように思えた。 ただ手術しなければForeverポパイなので ボディービルダーになりたい! と急に思う時が来たら 美的観点から 手術しとけば良かったと後悔しそうなくらいである。 また懲りずにジムに行きクライミングをしてみたが 基本的には前回と変わらない感じだった。 inuinc.hatenablog.com ただ恐怖心が減ってきたのと 筋肉の異様な張りにも慣れてきたので 少しだけ難しい課題も登れたりした。 Google先生で調べた所 力が80%程度に低下すると言う記事をいくつか…

  • EPISODE-3 セカンドオピニオン

    貴重な有給を使い近所の大きい病院へ。手術するかそのままにするか ジャッジを下すべく私の戦闘力は高まっていた。腕を見せ前回のエコー検査による結果を伝える。inuinc.hatenablog.com 「なるほど…ふむふむ」 「ふむっ」 「ふむー」 「ち…ちょっと分からないですね…」 !?「ちょっと文献を読んだのですけどゴニョゴニョ」 !? 何と言う事でしょう!こちらの先生 長頭腱断裂ヴァージンであった! 私がGoogleで調べた事と全く同じ事を仰る! 結局何一つ進展はしなかったのだが 近所の評判の良い病院を教えてもらい 紹介状を書いていただいた。 有給をほぼ無駄にした悔しさで泣きながら紹介状を握り…

  • EPISODE-2 クライミングジムへ

    整形外科受診から2日後 私はクライミングジムにいた。 驚くほど痛みがないので軽くクライミングしてみて 様子を見たかったのである。 まだ安静にしてろと思うかも知れないが 痛くないのだからしょうがない。 簡単なコースから徐々に色々さわってみた所 基本的には問題なくクライミング出来るのだが 特定の形になった時に筋肉の異様な張りを感じた。 特定の形とは 腕が伸びきるわけでもなく曲がりきるわけでもない 中途半端な曲がり方になる時だった。 クライミングはまずホールドを掴み 掴んだ手で体を引き上げて次のホールドを掴む動作が基本となる。 知らないけど。 つまり全ての動作で腕が伸びた状態から曲げる事になるので中…

  • EPISODE-1 日曜日の整形外科

    男子、食べて寝れば治る- 週刊少年ジャンプからそう教えられた私であったが 友人が病院での受診を推奨してきたので最寄りの整形外科へ行く事にした。 受傷したのが土曜日の夜であったため 予約なし状態で日曜日に営業している整形外科へ。 貴重な休日をなるべく病院に使いたくなかった為 受付開始30分前の朝8時に整形外科に到着。 出来る大人は違う… 自画自賛しながら朝の爽やかな空気を楽しむ私。 いざ 院内へ。 !! 何と言う事でしょう! 爺! 婆! 爺爺!婆! 婆婆婆婆爺婆婆! 幼き頃 来るぞ来るぞと言われていた 高齢化社会の現実がそこには広がっていた。 結局4時間ほど死んだように待ち運命の診察へ。 一通り…

  • EPISODE-0 ポパイと呼ばれた男

    ブチッ!…っと音がするでもなく 生まれてから30と数年 苦楽を共にしたベストフレンド 私の上腕二頭筋長頭腱は断裂した。 秋の訪れを感じる柔らかい風が吹いていた のかも知れないとある土曜日。趣味でやっているボルダリング中の出来事だった。 飛び付いてアンダー向きのホールドを止めた瞬間 右肩付近に違和感を感じ落下した。 「何か今変な感じがしたわー」 笑いながら友人に近寄る私。 そんな私を見た友人は膝から崩れ落ちた。「え?」 歯をガクガク言わせ怯えた表情で私を見る。 「何?どうしたの?」 「ポ…ポパイ…」 私は恐る恐る自身の右腕に目を向けた。 ギャァァァァァァ 私の右腕は 腕立てを1日100回休む事…

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