2014年に脳梗塞で失語症に罹った時の入院ログや、今の持病、心筋症とペースメーカー(CRT-D)との付き合い方、ライフスタイルを考えるブログ。
病室を出ると、病棟の長い廊下の先にエレベーターホールがあり、その窓から下を見ると中庭が見える。ベンチ等はなく、そこでくつろぐ患者や、また、行き交う人も少ないようだ。どちらかというと寂れている場所という印象を受ける。エレベーターに乗って、病棟の最上階に行き、その階の廊下の窓から外を見ると、日によって、天気がいい時は、街の遠くに山々が見える。普段の生活から離れ、何ヶ月かリハビリ病院で治療を受けると、いつの間にか、仕事や人間関係のストレスが薄らいでいく。目の前にある窓の風景も病気である心をリフレッシュしてくれるようだ。その窓の場所には、患者たちが多く立ち止まる。病院での癒やしのポイントでもあるようだ…
年が開けて、病院で暮らす日々、病院のリハビリがもう当たり前の日常となっていた。入院生活が快適とは云い難いが、外の寒さも忘れるほど、院内では空調が効いている。一見、社会と離れたこの病院の空間を、空調は常春のような、暖かく、落ち着いた雰囲気で包んでいるようだった。言語療法室で、リハビリを受けている時、療法士から言葉の調子が良くなったのではと声を掛けられた。確かに、言葉を考える時、リハビリ入院初期の頃よりも、頭に負荷がかからなくなってきたように感じている。言葉を話すことも、発言に引っ掛かりはあるが、病院内の人に、ある程度伝わるようになってきたなと思う。脳梗塞を発病した初期は、携帯でメールを打つのにも…
主治医が、今後の治療について面談したいという。その方針の話を聞くと、本人のためにも入院を持続させてリハビリ治療を続けた方がよいと進められた。失語症は回復するのかと聞きたい気持ちがあったが、それはいわゆるリハビリの効果次第という、病院の立場を頭ではわかっていた。しかし、退院はまだであるという意識が、なんとも心を揺らしていた。入院してリハビリ治療を継続させれば、回復の兆しが少しでもあるような気がして、病院に見放されるわけではないと思い直した。春まで入院し、とらえどころない言葉のリハビリで、頭脳を鍛錬するしかないようだ。会社の同僚が何人か面会に来た。入院のことについて状況を会社に報告するようだ。脳梗…
大晦日をまたぎ、2015年元旦、病棟のデイルームの卓上で朝食を食べていた。元旦もリハビリを行い、病院で過ごすのかと思ったが、主治医から、2日の夜まで外泊許可がでた。家族が迎えに来た後、家に戻る予定だ。療法士から出るリハビリの課題が、その患者にとってリハビリに適正な量なのか、その多さは感じるが、リハビリの為と思って、それをこなすことが自分にとって最良の選択だ、との思いを馳せる。特に言葉の訓練は、頭の中の言葉を使う時がリハビリそのもので、リハビリの課題以外も、頭に負荷が掛かってくる。気を抜いて休憩を入れるにも、何かを考えると、正しい言葉を使わねばと意識が働く。言葉のリハビリの課題、普段思う、回復の…
作業療法の時間で、こんなリハビリがあった。新聞の記事を読み、何が書いてあったのか、その内容を療法士に伝えるリハビリだ。だいたい1000字程度の記事を読み、その内容を覚えている限り、療法士に伝える。記憶の中の記事の内容が、幾つものポイントを頭の中で整理できず、時間か経つと、うろ覚えの記事内容が、どこかに行ってしまう。私自身の失語症は、発言することに困難さもあり、それも症状の一つだ。新聞の記事内容を人に伝えるリハビリは、思うように発言できない苦しさが伴う。記憶の中の記事内容を修飾することなく、そのまま記事の要旨をまとめ上げ、それを口頭で伝達するのは、難儀なことであった。新聞記事の内容を要約し、文章…
リハビリ病院に入院してからの一日の流れは、こんな感じだ。起床6時。朝食が始まる時間までに、毎朝、7時前に病院の周辺を散歩し、病室で7時からのラジオのニュースを聴き、話の内容をノートにメモを取る。朝食は7時半。午前中のリハビリが終わると12時から昼食。午後のリハビリ。時間割が空いた時は、言語聴覚療法、作業療法、運動療法(理学療法)からでる課題を病室で行う。夕食は18時。病室でリハビリの課題や宿題を行い、就寝は21時。病室は消灯されるので、リハビリの課題が残っていれば、ベッドの脇のライトをつけて、それに取り組む。入院というと退屈な時間が過ぎていくイメージではあるが、リハビリ治療は割となすべき課題が…
会議やミーティングなどでノートにメモを取ること。仕事をする上で全く意識せずできたことも、脳梗塞を発症した後は、そのメモを取るという行為が非常に難しくなっていた。失語症という病気は、人が言う話を聞き取りにくくしてしまう症状がでるようだ。言語聴覚療法の中で、療法士があるテキスト(新聞のコラムであろうか...)を口頭で読み上げ、その内容をノートに書き込むリハビリが行われた。話の内容の理解が、頭の中で時間がかかり、それをメモする事が非常に難しい。漢字を思い出せなかったり、ひらがな、カタカナがぱっと頭に浮かばない。文字だけではなく、数字も聞き取りにくい。年代、日付、時分、金額の数字。頭の中で瞬時に記憶で…
2014年、脳梗塞を発症し失語症に陥った。リハビリ病院に入院してその年、もうクリスマスに差し掛かろうとしていた。師走という月は、普段なら予定が立て込み、矢継ぎ早に仕事をこなしていかねばならない時期である。病気で入院という状況で、リハビリに打ち込まなければ仕事に復帰できない危機感と、自分の病気の状態をチェックしたときの失望感が入り混じる。ナースステーションの前の飾ってあるクリスマスツリーを眺めると、ふと家族の団欒がオーバーラップしてきた。デイルームで食事をするテーブルの席も、自分が入院した頃と比べると、そこには同席する患者は退院して、新しく来た患者と入れ替わっていた。退院した患者の中には、私と同…
失語症を発症して、かなの五十音をそらで言えなくなった。毎日病室で、五十音表を見て文字を読み上げる。同室の患者に迷惑にならないよう小さい声を出す。私の頭の中の入っている文字の記憶は何処へいったのだろう。すべて忘れているわけではないが、記憶の中のかな文字を取り出すことができない。五十音を暗唱すること自体、幼年時、それを行ったかどうか全く記憶にない。日常使っている言葉を意識せず使っていたこと、つまり当たり前の言葉の記憶を引き出せないのだ。五十音を暗唱するという、まるで母国語が母国語でないような感覚にみまわれるが、それでも一から覚え直す事がリハビリとして必要であった。言語聴覚療法で、単語内の文字の並び…
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