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sadafusaさんのプロフィール

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富山市
出身
上京区

ヨーロッパ、歴史、絵画、華麗なファッションが好きな方!耽美的な非日常空間へ、いざ!

ブログタイトル
sadafusaの創作のお部屋
ブログURL
https://sadafusa-novels.blog.ss-blog.jp/
ブログ紹介文
「フランツ、僕ほど君のことを愛している人間はいない―!」禁断のラブロマンス『月蝕』掲載中!!
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sadafusaさんの新着記事

1件〜30件

  • 境界の旅人35

    第九章 悪夢 3  次の日、由利は常磐井と京都市中央図書館の前で、九時半の開館に間に合うように待ち合わせした。 「今日はバイクじゃないの?」  常磐井はいつもながらに多少ダサ目のTシャツの上にチェックのシャツを羽織っていた。昨日のように黒一色でまとめた精悍な常磐井の姿に惚れ直していた由利は、ちょっとがっかりしたように言った。 「バイクだと一緒に移動できないじゃん? 今日はバス」  由利の気持ちなどまったく気がついた様子のない常磐井は、あっさりと否定した。 「えー。なんだぁ。常磐井君の乗ってるバイクって二人乗りできないの?」 「オレのバイクは四百でタンデムはできるけど、免許取得後一年間は、二人乗りはできないんだわ。高速に乗るのも、取得後三年経ってからなんだよな」 「なんかつまんない。後ろに乗っけてもらえるかと思ってたのに」 「い..

  • 境界の旅人 34

    みなさま、こんにちは~! 寒くなってきましたね。本格的な冬の到来ですね~。 今回は本来のボリュームの二回分を一挙に掲載することにしました。 というのも、事件はクリスマスを境に起きるからです。 やはり読んでいるほうも季節にリンクしながらよんだほうがいいかなと思いました。 結構長いけど、頑張って読んでください! 第九章 悪夢 1  ただの風邪だと診断されたわりには辰造の症状は一進一退をくりかえし、いつまでもぐずぐずと治らなかった。  その日も由利が学校から帰ってきてから一緒にとった晩御飯にも達造はほとんど手を付けず、時間が経つごとにだんだんと具合が悪くなり、ついに十時ごろには熱も上がり始めた。体温計で熱を測ると三十八度を越していた。 「うわ、すごい熱だよね。どうしよう? 病院へ行こうか、おじいちゃん?」 「まぁ、..

  • 境界の旅人 33

    第八章 父娘 4   その日もいつものように茶道部の連中は、新部長である鈴木千晶の厳しい指導のもとに集い、散会した。小山の代わりにとなった千晶は母親が茶の湯の師範でその関係上、五歳のころより茶の湯の稽古を始めた。実にその道十年以上のベテランである。ブリリアントさでは遠く及ばないものの、多少エキセントリックな言動が多かった小山とは違い、千秋は逆に手堅いお点前をすることで定評があった。  いつもなら一緒に帰るはずの美月は、めずらしく用事ができたからといって先に帰って行った。だいたいいつも六時を過ぎたころに校門を後にするのだが、その日に限って早い時間に稽古が終わった。時計を見ると、まだ五時半を過ぎたところだった。 「そうだ・・・。そういえばここんところ、ずっと彼とは話していない」  船岡山で喧嘩別れして以来、由利は常磐井とメールもしていなければ、まともに口を利いてさ..

  • 境界の旅人 32

    第八章 父娘 3 「おじいちゃん、大丈夫? タクシー乗り場まで歩ける?」  由利は心配そうに祖父に訊ねた。 「申し訳ありません。弁護士さん。えろうご迷惑をかけてしもて。由利、大丈夫や。明日になったら病院へ行くさかい。今、救急へ行ってもやな、大学出たての半人前の当直医しかおらんやろうし」  佐々木と由利が辰造の両端に立って身体を支えながら、ゆっくりとした足取りで一階までエレベーターを使って降りてから車回しまで行って、タクシーに乗り込んだ。 「由利さん、ひとりで大丈夫ですか?」 佐々木は心なしか心配そうに言った。自分にも由利と同じような年ごろの娘でもいるのだろう。 「あ、はい。とりあえず家で様子を見てみます。何かあれば家の近くには京都第二日赤病院の救急センターもありますから。でもたぶん、そんな大ごとにはならないと思います。佐々木さん、本当にお..

  • 境界の旅人 31

    第八章 父娘 2 「ただいまー」  玄関の戸を開けると、中から湯気に包まれた温かい空気が由利を包んだ。 「おう、由利か」  祖父の辰造が夕餉の用意をしていたようだ。 「あ、おじいちゃん。ゴメンね。遅くなって。あたしも手伝うよ」 「ああ、もうじきに出来上がるから、ええで。そこに座っとき」  達造が味噌汁の鍋をおたまでかき回しながら、思い出したように言った。 「ああ、由利。そういえば、ようわからんけど、どこかの法律事務所から書留を由利宛に送ってきおったんや。ちゃぶ台の上にあるさかい、見てみい」 「法律事務所? へぇ、何だろ?」  たしかにちゃぶ台には一通の封書が置いてあった。宛名はたしかに祖父の言った通り、由利宛だ。 「どこの法律事務所・・・? 佐々木俊哉法律事務所・・・?」  由利は頭を傾げながら後ろの所書きを..

  • ベル・エポックのパリへようこそ!

    みなさま、こんにちは。 さて、わたくし、先日、『響けユーフォニアム』ファンの聖地、出町は桝形商店街にある出町座へと行ってまいりました。 出町とは、京都は上京区の鴨川の端にある町のことです。 昔の京都の境界とはここまでで、鴨川を渡ると、もはやそこは京都ではなかったのです。ここはまぁ、鯖街道の拠点でもあり、まぁ、旅の出発点でもあったので、町を出る、つまり、出町となったのではないかと予想されます。 もとい、この出町座はですねぇ、ちょっと面白い映画館でして、京都にもアート系の映画館は二、三ありますが、出町座はそれの二番館みたいな役割をしています。京都の京都シネマで1週間しかやらなくて見そびれた映画などがこの出町座で上映されていたりします。 さて、わたくしがこれから紹介しようと思います、『ディリリとパリの時間旅行』っていうのもその類なのですね。 ..

  • 境界の旅人 30

    第八章 父娘 1 「最近、ずいぶんと日が暮れるのが早くなったよねぇ」  薄く日の名残りの残る窓の外を見て、美月がため息をついた。 「うーん。そりゃあ、ま、『秋の日はつるべ落とし』って昔から言うくらいだしね。でもさ、あたしは京都の夏の暑さがこたえていたから、むしろ涼しくなってくれてほっとしてる」  お茶室の傍に設けられた水屋で、稽古で使った黒い楽茶碗を拭きながら由利は答えた。 「こないだ、炉開きもされたもんね。そっかぁ、もう十一月だもんね」 「うん」  由利はことば少なに答えた。 「ね、あれからフランスのほうからは何か連絡があった?」 「ううん。何の音沙汰もなし」 「えっと、あの手紙を出したのはいつだっけ?」 「八月のお盆の頃かな。だから二か月半は丸々経ってる」  顔色にこそ出していないが、由利ほどその手紙の返事が来るのを待ち望ん..

  • 境界の旅人 29

    第七章 前世 4  たとえ相手から見て大して魅力的とは思えない文面だったとしても、少なくとも他のダイレクトメールよりは多少なりとも目立って、係員の手にとって開封され読んでもらえる努力はできると思う。  由利はそう思って、寺町通にある和紙の店『紙司 柿本』へ行って、何かフランス人から見て「美しい」と思える便箋封筒はないかと探していた。 「あ、これ」  由利が手に取ったのは、黒谷和紙で『草』と銘打ってある洋封筒と揃いの便箋だった。黒谷という名からして、左京区にある新選組で有名な『金戒光明寺』の付近なのかと思えば、どうもそうではないらしい。説明を聞くと綾部市黒谷町で作られた手漉きの紙とのこと。  柔らかな薄緑の色が非常に美しい。  本来なら一番格式のあるのは白だと思うのだが、それだとインパクトに欠ける。かといってあまりインパクトにこだわって柄が入って..

  • 境界の旅人 28

    第七章 前世 3  気が付けば由利は常磐井の身体にもたれながら、タクシーに乗っていた。 「ん・・・、ここは?」 「あ、まだ眠っていていいよ。今はタクシーの中。もうすぐ家に着くから安心して」  肩に回されていた手が小さな子どもをなだめるように、ぽんぽんと二回軽く打った。由利は体中が重たくて抗う力もなく、言われた通りに再び目を閉じた。 やがて車は家に到着したらしく、うっすらと目を開けると辰造が外で待っているのが見える。 「こんばんは。ぼくは由利さんのクラスメイトで常磐井悠季といいます」 「ああ、あんたが常磐井君か、名前だけは由利からうかごうてます。なんや合宿に連れて行ってもらって、えらいお世話になってしまって」 「いえ、そんな。とんでもないことですよ。ところでぼく、夕方に出町柳で偶然由利さんと出会ったんですが、由利さんはちょっと具合が悪そうだったんです..

  • 境界の旅人 27

    第七章 前世 2 「お放しください、中将どの。あなたさまは宮中をお守りする武人ではございませんか! 今ご自分がなさっていることが、どういうことかお分かりですか? このようなけしからぬことをなさるなどと・・・。 人を呼びますよ!」 「いいえ、放しません。わたしがどんなにあなたに想い焦がれていたか、このたぎるような思いを知っていただくまでは・・・」  中将は女性の黒髪をつかむという乱暴なことをやめ、今度は姫の細い肩を抱き寄せると、姫の細い身体をすっぽりと両腕に包んで抱きしめた。 「初めてお見掛けしたときから、あなたに憧れ続けてきたのです。このようなむくつけき大男がまた、なにをかいわんやと思召されているのでしょう? でもあなたさまを忘れることができないのです! たとえあなたが主上のものであったとしても!」  恐怖を感じるその一方で、中将のたくましい腕の中で身をも焦..

  • 境界の旅人 26

    第七章 前世 1  四時を過ぎても八月の太陽は衰えることもなく地表をじりじりと焦がしている。油を溶かし入れたような川面はそんな強烈な日差しを浴びて、ギラギラと強烈な光を反射していた。対岸に植えられた並木はその照り返しを受けて琥珀色に燃え立っていた。 「ありがとう、小野さん」  小山は頬に涙の跡をつけたままで、そう言った。 「あは、恥ずかしいな。ボクときたら人前で泣いていたんだね」  小山は手の甲で顔を拭った。 「そんな・・・。ちっとも恥ずかしくなんかないですよ」 「そう言えば、小野さん。ほら、ボクが『革命』を弾いていたとき、キミが音楽室に来ただろう?」 「ああ、はい」 「実はあのとき、かなり悩んでいたんだ。先生に今の自分のピアノのアプローチは古すぎて、一般受けしないって。でもいくら先生に言われたからって、唯々諾々と自分が納得で..

  • 境界の旅人 25

    第六章 告白 4  気が付けばふたりが美術館を辞したのは、天目茶碗を見てからたっぷり一時間以上は経っていた。その間ずっと由利と小山はこの茶碗を見続けていたことになる。  ふたりはしばらく土佐堀川の岸辺をぶらぶらと散歩した。 「ボクはね、何か気持ちが落ち着かなくなるとき、無性にこの茶碗を見たくなるんだ。あの茶碗には南宋時代の『士大夫』の心意気が詰まっているように思える」 「それってどういうことですか? たしか士大夫って宋時代以降の科挙官僚と地主と文人の三者を兼ね合わせた人のことを言うんじゃなかったでしたっけ? 要するにイギリスで言えば、ジェントリ階級の人かと?」 「あはは、そうだね。ジェントリとは言い得て妙だよね。士大夫は特権階級である貴族とは自ら一線を引いた存在でね。何者でもない人間が厳しい科挙を潜り抜けて、実力のみで権力をつかんだんだから。ボクはね、彼らの気骨ある..

  • 境界の旅人 24

    第六章 告白 3  由利は小山と日曜日の十一時に始発である出町柳の改札で、待ち合わせをすることにした。  普段はほとんど身なりには無頓着な由利は、いつになくおしゃれをしてこの日に備えた。  日ごろの練習時のお茶の道具の取合せでさえ神経質なほどうるさい小山のことだ、今日も絶対に完璧に決めて来るに違いない。おそらく小山の頭の中には、『センスがない=頭の回転がよろしくない』という図式が成り立っているはずだ。由利は小山に軽蔑されたくなかった。  どんなコーディネートなら、小山とマッチできるか。それにはまず小山がどんな格好をしているかを予想しなければならない。  小山は芸術家タイプなので、あまりトラディショナルすぎる恰好はしないと思う。おそらくコンサヴァ路線かもしれないが、それを程よく着崩したものではないかと考えられた。  由利はこの前上京したときに、母親の玲子にねだって買..

  • 境界の旅人 23

    第六章 告白 2  由利は一生懸命電子辞書とグーグル翻訳を駆使しながら、フランス国立研究所に宛てて、英文の手紙を書いた。  本当は手書きのほうが、より親密さが伝わって好感度が増すのかもしれない。だがやはりここは何よりも読みやすさを優先に考えると、英文はワープロ書きにして最後の署名だけを自筆にするのが最良だという結論に至った。  その翌日、唯は小山部長へ謝りに音楽室へと向かった。階段の途中からピアノの音が響いて来る。  聞き覚えのある曲だ。 「ショパンの革命のエチュード?」  虹色に輝く真珠を思わせる、粒のそろった柔らかな音色の連なり。  小山がこんなピアノを弾くとは知らなった。唯は音楽室のドアの傍に立って、じっと耳を澄ませていた。  小山は弾き終わるとドアの陰に潜む気配を感じ取り、誰何するために椅子から立ち上がった。 「ああ、小野さん。来てくれた..

  • 境界の旅人 22

    第六章 告白 1  由利は合宿の間はスマホを開かないことに決めていた。 祖父の辰造は、スマホはおろかガラケーですら使ったことがなく、未だに黒い固定電話一本切りでしのいでいた。  だからもし緊急の用事があれば、一週間滞在する民宿のほうに連絡をくれるように、電話番号の控えを紙に書いて渡していた。母親の玲子にも合宿する建前の理由を話して、よほどのことがない限り連絡は控えてくれと頼んでいた。  だいたいリアルな世界で交わるべき人がたくさんいる場面で、目の前にいる人たちとのやり取りをないがしろにしてまでSNSを優先してしまうのは本末転倒だと思うのだ。それに由利はこれ見よがしに自分の今の状況をいちいちSNSにさらすことも、どこかゆがんだ自己顕示欲が垣間見えているような気がして、好きではなかった。  合宿から家に戻ると由利は落としてあった電源を入れて、スマホを再起..

  • 境界の旅人 21

    第五章 捜索 4  すさまじい地獄のような聖滝からの合宿を終えて戻ると、京の街はアスファルトから陽炎が立つほど熱く、今度は灼熱地獄にいるような気がする。 「あ、暑い・・・」  たったの一週間しか留守にしていないのに、妙に家が懐かしかった。 「おじいちゃん! ただいま帰りましたぁ」  玄関で孫娘の声が聞こえると、 辰造は機を織る手を止めて、走り庭の方まで顔を出した。 「由利か、おかえり」 「おじいちゃん、ただいま」 由利は冷蔵庫から麦茶を出して、ごくごくと喉を鳴らして一気に飲み干した。 「どうやった、合宿は?」 「うん、やっぱり体育会系っていうか、武道家たちの集まりだけあって、結構ハードだった」 「そうか。まぁ、ほんなら夕飯まで自分の部屋でほっこりしとき。晩御飯はわしが用意するから」  由利は申し訳ないと思いながら、..

  • 境界の旅人 20

     こうやってどうにか滝行の一日が終わった。門下生の男子たちは腹筋で腹は割れ、首にも肩にも腕にも筋肉が付き、まるで全員が金剛力士のようだった。こんな男たちにとってもはや夏の滝行などはただの水遊びにすぎないらしい。由利のように騒ぎ立てる人間は誰一人としておらず、みな涼しい顔をしてシャワーでも浴びるかのように滝に打たれていた。あまつさえ滝行だけでは鍛え足りないのか、待っている間はたいていの人間は腹筋運動や腕立て伏せをして時間をつぶしていた。 「この人たち、同じ人間なの? 信じられない」  自分と彼らの間に横たわる限りない基礎体力の差を思い知り、由利は密かにため息をついた。  次の朝、起きてみるとしほりに言われた通り、体中が打撲したような痛みがあった。足の裏が何となくヒリヒリすると思って確かめると、踏ん張りすぎたせいなのか、ところどころ赤くなって水膨れができていた。 「ひぇ~、..

  • 境界の旅人19

    みなさま、こんにちは。 いつも『境界の旅人』をお読みいただきましてありがとうございます。 今回はちょっと訳がありまして、noteのほうからお読みください。 https://note.mu/sadafusa_neo/n/n8de664b45367

  • 境界の旅人18

    五章 捜索 1  東京から京都へ戻って翌日学校へ行ってみると、美月が手ぐすねを引いて待ち構えていた。補講が終わる昼休みになると、わざわざふたりきりになれるように、日ごろは使われていない茶道部の顧問室に入り、中から鍵を掛けた。 「ね、ね、由利! どうだった?」  美月は興奮にわくわくした調子で尋ねた。 「うん。お母さんの出張中に家探ししてみた」 「それで? なんかヒントになるものは出てきたの?」 「うん。確証はないんだけど、お母さんが当時勤務していた研究所の職員名簿が出て来てね、お母さんの恋人らしい人が載っていた」  由利はそういいながら、スマホに収めた写真を見せた。美月はそれを見ると少し顔を曇らせた。 「あら・・・ん、いやあねぇ。白黒で小さいし、それにこれ、えらく不鮮明な写真じゃん。由利、こんなのしかなかったの?」 「うん、だけどまぁ、ラディ..

  • 境界の旅人17

    第四章 秘密 4  由利は持っていた合鍵で、春まで自分が住んでいたマンションの一室のドアを解錠した。  一階に常駐している管理人は、十二時から十二時半までの三十分間、全館見回りのため、入り口にある管理人室の席をはずす。万が一にも玲子の帰宅よりも前に管理人に出くわして、由利が家に入って行くところを不用意に見られたくない。管理人がいなくなったのを見計らって、由利は入口を無事通過した。   「はぁ、見つからずに済んだ。よかったぁ」  また誰かに見咎められるのが嫌で、一応が外出せずに済むように、駅の近くのコンビニでおにぎりとジュースは買っておいた。  玄関で靴を脱ぐ前に、由利は自分の長い髪を真ん中で二つに分けてツインテールにすると、そこからさらに三つ編みにして最後にゴムで留めた。 「まだ帰ってきてもいないのに、廊下や部屋にあたしの長い髪が落ちていたら、やっぱりそれは..

  • 境界の旅人16

    3 「あー、よく食べた。何食べたっけ? スープでしょ、前菜でしょ、サラダでしょ、それから当然スパゲティも食べたし・・・。それからビステッカを食べて、そうそう鯛のアクアパッツァも食べたんだっけ? 締めのドルチェはティラミスをふたつ食べたんだった~。あ~おいしかったぁ、幸せぇ・・・!」  由利は芙蓉子に長らく自分が悩んできた出生にまつわる話を聞かせられた。どんな悲惨な真実が隠されているのかと思いきや、案外話は玲子の一途な純愛を証明するような内容だった。由利は安堵するあまり湧き出る食欲を抑えられず、バカ食いをしてしまったのだ。でも芙蓉子は「由利ちゃん、よかったわね」とニコニコして食べるのを見守ってくれていた。  一気に解放されて気が緩んだせいか、どっと疲れを感じた。由利は家に帰ったなり、なおざりに蒲団を敷いてそのまま倒れこむように眠ってしまった。  目が覚めて窓を開けると、まだ外..

  • 境界の旅人15

    2   ひとりきりで由利が校門から外へ出ると、プップーと車のクラクションが鳴った。音はマスタード色のゴルフから出されたものだった。 「由利ちゃん!」  美月の母親の芙蓉子(ふゆこ)がドアのガラスを引き下げて由利の名前を呼んだ。 「芙蓉子さん!」  由利は驚きながらも、芙蓉子の車のほうへ駆けよった。 「由利ちゃん、お昼まだでしょ? これから一緒に食べない?」  にっこり笑って芙蓉子が誘った。 「ええ? いいんですか?」 「もちろん」  美月が自分との約束をきちんと守ってくれたと、このとき由利はようやく悟った。   芙蓉子が立寄った先は、鴨川が一望できるしゃれたイタリアンの店だった。 川に臨む窓は大きなガラス張りになっていて、店内は明るい光で満たされていた。ふたりは案内された窓際の席に着いた。 「しばらくは雨ばかりだったけど、..

  • 境界の旅人14

    第四章 秘密 1  期末試験も残すところあと一日になった。三時間目で今日の試験が終わって、家に帰るとLineに未読のメッセージが入っていた。玲子からだ。 「今日は十時ごろには手が空くので、必ず電話してね」 ユーモアのセンスに乏しい玲子が選んだにしては可愛いスタンプが、メッセージの下に一緒に付けてあった。  風呂に入ってから、軽く浴室を冷水で掃除したあと、時計を見れば十時を過ぎていた。由利は玲子に電話をあわてて電話をかけた。 「もしもし、ママ?」 「ああ、由利、元気にしてる?」 「うん」  嬉しそうな玲子声が聞こえる。最後に電話してから二週間以上、間が空いていた。 「由利、学校はいつから休み?」 「えっと、今月の半ばぐらいかな」 「じゃあ、学校が終わったら、一旦、顔を見せに東京へ戻っていらっしゃい。久しぶりに親子水入らずでお..

  • 「コミュ障なんです」と自分から言うな!

    最近、話もしないうちから 「あたし、コミュ障なんです」と言ってくる人が多い。 BBAは世間のことに疎いから、 はっ? 『コミュ障』とはなんぞや?って思うわけですよ。 皆さまもご存じの通り、『コミュ障』とは『コミュニケーション障害』の略です。 ついBBAは意地が悪いので、 「ということは、アナタどこかで、『コミュニケーション障害』と診断を下されたのですか?」 って訊いてみたくなります。 たぶん、そうではないでしょう。 自分で『コミュ障』であると宣言しているのですよ。 そこで私は、ちょっとムカっと来るんですわw だってさ、こういう人ってたぶん、 自分と話が合いそうもない人に『コミュ障』ですっていって 線引きしてるんだよね。つまり「あんたとはしゃべれませんですわ」って、 言ってるんだよね。 本当にド失礼だと思います。 そういう場合、 「あ..

  • 境界の旅人13

    4    その晩、由利は試験勉強に余念がなかった。だいたいどの科目も四十五分単位で切り上げて次に移ることに決めている。そんなふうに時間配分をしたほうが自分にとって効率的だと思っていたからだ。  そのとき由利は、ジャスティン・ビーバーの『パーパス』を聞きながら、ボールペンを使って新聞の広告の裏に英単語のスペルの練習をしていた。漢字とか英語のスペルというのは、実際自分の手を使って覚えたほうが確実にものになる。 「あれっ?」  今、『acquaintance(知り合い)』という単語を書いていた。こういうcとqがくっついている単語はとかく間違いやすいので、結構念入りに書いて、身体に染み込ませるように覚えなければならない。だが途中で書いている文字が徐々にかすれていき、とうとうインクが出なくなった。  ボールペンを持ち上げ、ペン軸を見るとほとんどインクがない。 「ああ、なんで..

  • 境界の旅人12

    第三章 異変 3 「ああ、あと二週間足らずで期末試験だねぇ。もう七月か」  しみじみと美月が言った。 「ホントに早いねぇ、この間入学式をしたような気がするのに」 「なんだかんだで、あれからもう三か月が経っちゃったんだよ」  ふたりは靴を履き替えると、自転車置き場のほうへ向かった。京都の街はバスなどの交通機関を使うよりも自転車のほうが、時間の融通も利いて便利だった。 「ねぇ、今から今宮神社の茅野輪(ちのわ)をくぐりに行かない?」 「え、いいけど。茅野輪って何?」  由利はこの手の習俗習慣については何も知らない。ふたりの間には、すでに「教える」「教わる」という一定のパターンが定着しつつあった。 「茅野輪っていうのは、文字通り、茅(ちがや)っていう植物で編まれた大きな輪のことを言うのよ。今どこの神社へ行っても、たいてい入口に茅野輪が置いてあるは..

  • 無縁のふたり 『どろろ』

    みなさま、こんにちは。 今日もじっとりしています。 さて、私、二日にかけて新作アニメ『どろろ』を視聴いたしました。 私ね、昔、昔、テレビで放映されていた白黒アニメの『どろろ』ってリアルタイムで見ていたんですよ。まだ幼児の頃でした。 もう、白黒の画面が凄惨な陰影がある感じでねぇ、実際、妖怪が出てくる場面も怖いは怖いんですが、一番印象に残って眠れなかったのが、どろろの母親が寺で貧民を救済するために、炊き出しのお粥をふるまっているのに出会うシーンがあるんですよ。どろろの母親は粥を受け取る椀さえ持っていなかったので、素手で熱い熱いお粥を受け取るんです。 もう、何ていったらいいのかわかんないけど、可哀そうとかそういう甘っちょろい言葉で表現できないですね。もう本当にこの世の際を見てしまったっていう感じ。 この作品は五十年以上も前に執筆..

  • 境界の旅人 11

    第三章 異変 2  いつもはおとなしい由利が、人が変わったように、いきなり激昂したのを見て、常磐井を含め、まわりの人間は虚をつかれ、ぽかんとしていた。  由利はとっさに立ち上がって、口を押えながら一目散に洗面所のほうへと走って行った。急に吐き気がしてトイレでゲーゲーと戻した。お昼食べたものはほとんど消化されていたので、ほとんど胃液しか出て来なかった。  真っ青な顔をして女子トイレから出て来ると、出口付近で美月が心配そうな顔をして待っていた。 「由利・・・。大丈夫なの?」 「うん・・・。どうしちゃったのかな、あたし」 「もしかして、アレじゃないよね?」 「まさか! 違うよ、美月。そんなはずないでしょ。変な冗談言わないでよ!」  美月の見当はずれな質問に、由利は少なからず気を悪くした。 「由利、今ね、うちのお母さんに車出してもらうように頼んだから」 「..

  • 境界の旅人 10

    第三章 異変 1 「じゃあ、オレたちは稽古があるから。これで」  男子弓道部員は、弓道場の入口まで由利と美月を連れてくると、そこに待機していた女子弓道部員に引き渡した。  ふたりは女子弓道部員に誘導されて、二回にある見学席へと向かった。 「えっと、入部希望ですか?」  二階の階段を一緒に昇りながら、女子部員が少し怪訝な顔をして尋ねた。 「え、は、はい。少し興味があったので」  本当は違う、と答えても良かった。だがそれでは、弓道部そのものを貶めているような気がしたので、一応ふたりはこの場では気のあるそぶりをした。 「あらぁ、変ねぇ。どうして男子ったらこんなに気が利かないのかしら?」  女子部員はボソッとぼやいた。 「どうかされたんですか?」  美月はすかさず訊いた。 「ええ。もう女子の練習は終わってしまったんですよ。こ..

  • 境界の旅人 9

    第二章 疑問 4  ほかにも、地学部、生物部と理科系もあり、ブラスバンド部、そして京都ならではの箏曲部もあった。ふたりはさすがに食傷気味になってぐったりしていた。 「ほんとにこの学校、よくもっていうほど、いっぱいクラブがあるね」 「ほかにもダンス部やアフレコ部もあるのよ」 「クッキング部もある。ワンダーフォーゲル部も!」 「いやぁ。もうこれ以上はムリっ! 目が見ることを拒絶してるよ~。もう感動する心の喫水線を超えたよ、完全に!」 「たしかにね・・・。なんかアクション映画を続けて五本ぐらい見ましたってカンジ・・・」  ふたりが校庭に面したベンチに座りながら、それでも上級生にもらったチラシにチェックを入れていると、向こうから鎧兜の衣裳をつけた一軍に出くわした。 「美月、あれ、何? なにかのお祭り?」 「シッ! 違うわよ!」  美月は黙れといったふう..

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