pixiv 2017年10月17日 00:13 大学2回生の春だった。 「幽霊がでるホテルがあるらしいぞ」 京介さんからそう誘われたとき、なんとも言えない違和感があった。 「行ってみるか」 「はい」 違和感の正体なんかより、俺には京介さんから久しぶりにお誘いがあったことが、とにかく嬉しかった。 京介さんが怖い夢をみた日から、連絡が途絶えていたのだった。ネットのオカルトフォーラムにも姿を現さなくなっていた…
pixiv 2017年9月14日 23:27 6月28日、日曜日の朝だった。 夜明け前に目を覚ました僕は、隣の師匠の部屋につっかえ棒が下りたままなのを確認してから、足音を忍ばせて階段を下りた。1階では、女将がもう朝の食事の支度をしていた。 「あら、今日はお早いですね」 「ちょっと、散歩でもしてこようかと」 「まだ暗いですよ」 「ええ」 玄関を開けてもらって、外に出た。闇はほのかに白かった。息を吸い込むと、…
pixiv 2017年8月16日 23:00 3 <6月27日> 月本実 6月27日、土曜日の朝だった。 僕は師匠に頭を踏まれて目を覚ました。 あれ? 寝過ごした? 慌てて起き上がると、部屋の時計は7時を指していた。 「まだ7時じゃないですか」 「おまえの昼夜逆転クソ大学生活と一緒にするな。世間では朝飯を食う時間だ」 そういえば、朝ごはんは7時半に、って言ってたな。 しかたなく僕は起き上がり、のびをし…
pixiv 2017年8月15日 00:02 2 <6月26日> 双子を忌む村 6月26日は金曜日だった。その日の朝、僕は師匠の運転するボロ軽四で、北へ向かう旅路にあった。県北の笹川町に向かっているのだ。僕らの住むO市は、瀬戸内海に近い南側にあったから、県北の町までは結構な距離がある。 「晴れて良かったなぁ」 窓から吹き込んでくる風を気持ち良さそうに顔に受けて、師匠がそう言った。 そんな爽やかな朝に、ステ…
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