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佐藤です、小説書いてます。 https://ameblo.jp/kiyoharu-satou/

高校の文芸部を舞台に、夏目漱石の『三四郎』を読み解きつつ進んでいく恋愛小説、全力連載中!!

佐藤清春
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2016/05/23

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  • 見える人 『力の解放/手のような痣』- 6

       それからも何店かまわり、似たようなことをした。当然のことに紙袋は増えていき、僕は幾つかを持ってやった。どうしたってそうせざるを得ないだろう。  「あっ、…

  • 見える人 『力の解放/手のような痣』- 5

      「あら! まあ! よくお似合いで!」  「え、ええと、そ、そ、そうでしょうか?」  「はい、お似合いですよ! 背が高くていらっしゃるからでしょうね。まるで…

  • 見える人 『力の解放/手のような痣』- 4

       改札に近づくと居所はすぐにわかった。目印になりやすい背の高さをしているとこうなるものだ。  「き、き、来て、く、くださったんですね」  「まあね」   …

  • 見える人 『力の解放/手のような痣』- 3

       営業先を出たのは六時過ぎだった。人混みをすり抜けるようにしてると雨が落ちてきた。間隔もまばらな弱い雨だ。しかし、周りの者はさも大事が起こったとばかりに動…

  • 見える人 『力の解放/手のような痣』- 2

      「ほっ、ほっ、本当ですか? うっ、うっ、嬉しいです。で、で、では、い、い、一緒に、デ、デ、デパートに、い、行ってください」  「デパート? なんでだ?」 …

  • 見える人 『力の解放/手のような痣』- 1

       翌る日も篠崎カミラは待ちかまえていた。背筋を伸ばし、若干は自然に見えなくもない笑顔を浮かべてる。  「おっ、おはよう、ごっ、ごっ、ございます」  「ああ…

  • 見える人 『あらぬ噂/《monkey's paw》にて』- 9

      「あっ、あっ、あの、」  「なんだよ」  「い、いえ、す、すこしは、お、お役に、た、たちましたか? わ、私だけでは、ちょっ、ちょっと、ふ、不安だったので、…

  • 見える人 『あらぬ噂/《monkey's paw》にて』- 8

       スマホを押しあてたまま僕は待った。もういいから部屋に戻って寝ちゃおうかな。そう考えてもみた。なんでもないことを騒ぎ立ててるだけに思えたのだ。しかし、怖れ…

  • 見える人 『あらぬ噂/《monkey's paw》にて』- 7

       コンビニでビールを買い、僕はマンションの前に座りこんだ。とはいってもどうしよう? もう一時近くだし、突然電話するのも変だよな。――はあ、こんなに思い悩む…

  • 見える人 『あらぬ噂/《monkey's paw》にて』- 6

       駅に着いたのは十二時過ぎだった。   僕は疲れ果てていた。二日酔い一歩手前まできていたところに強い酒を重ね、なおかつ葉巻まで喫ったものだからくらくらする…

  • 見える人 『あらぬ噂/《monkey's paw》にて』- 5

       「そこまで女っぽくなってないよ。厚化粧して、背筋伸ばしてるだけだ」  「そうなのか? ほんとにそれだけ?」  「そうだよ。見ればわかる。どうせ見てないん…

  • 見える人 『あらぬ噂/《monkey's paw》にて』- 4

       僕たちは席を移動した。葉巻を頼むとバーテンダーが穴開け機みたいので吸い口をつくってくれた。二人でそれを咥えてる絵はなかなかのものだった。まるで千万単位の…

  • 見える人 『あらぬ噂/《monkey's paw》にて』- 3

       その日は僕が先に着いた。店は空いていて、糊のきいたシャツに蝶タイ姿のバーテンダーが無表情に若干の笑みをつけ足したような顔をして立っていた。背後には縦に四…

  • 見える人 『あらぬ噂/《monkey's paw》にて』- 2

       そして、その通りになった。小林からラインが来たのだ。  『大事件が起こったようだな。詳しく聴かせろよ。いつもの店で待ってるぜ』  『これといって事件なん…

  • 見える人 『あらぬ噂/《monkey's paw》にて』- 1

      あらぬ噂/《monkey's paw》にて   その翌朝にはさらにうんざりさせられた。篠崎カミラがふたたび待ちかまえていたのだ。  「あっ、あっ、あの、」…

  • 見える人 『悲しい作業/永劫につづく罰』- 11

      「わかった。わかったから。――いや、何度も言って悪いけど全面的に信じてるわけじゃない。ただ、心配してくれてるのはわかった。で、つまりはこの後も悪いことが起…

  • 見える人 『悲しい作業/永劫につづく罰』- 10

      「ただ、もし本当に君がそういったのを見たってなら、他になにかないのか? 僕のまわりで起こったことで他に見えたものは?」   口は半月状にゆるんだ。僕はその…

  • 見える人 『悲しい作業/永劫につづく罰』- 9

      「悪いけど、そんなに暇じゃないんだ。用事があるならすっと言ってくれないか?」  「すっ、すっ、すみません! あっ、あっ、あの、わ、私、」  「で、なに? …

  • 見える人 『悲しい作業/永劫につづく罰』- 8

       そんな感じにゆっくりではあるけれど僕の生活はかつてのペースを取り戻しつつあった。無駄な残業はせず、鷺沢萌子と出会う前とほぼ変わらないルーチンを組めるよう…

  • 見える人 『悲しい作業/永劫につづく罰』- 7

       部屋はだいぶ片づいてきた。  大きなものは然るべき場所に収まったし、小物はキッチンボウルにまとめておいた。あとは必要なものを揃えればいい。ただ、買いに行…

  • 見える人 『悲しい作業/永劫につづく罰』- 6

       それからもぐだぐだと下らない話がつづいた。すべて愚痴や陰口みたいなものだ。上司どもは「あのデブ」だの「ハゲ野郎」と呼ばれ、それでも誰について言ってるかす…

  • 見える人 『悲しい作業/永劫につづく罰』- 5

      「ん?」  「お前の部署に新しい女の子が入ってないか? 背がえらく高くて、やけに地味な子だよ」  「ああ、あの子な。ふた月ばかり前に来たんだよ。よくは知ら…

  • 見える人 『悲しい作業/永劫につづく罰』- 4

      「もうヤバいぞ。今度のはほんとにヤバい。マジで全員がお前好みなんだぜ。完全にストライクゾーンだ。どこ振っても当たるようにできてる。ま、こりゃいわば接待だな…

  • 見える人 『悲しい作業/永劫につづく罰』- 3

      「あっ、あっ、あの、」  「篠崎さん?」   僕は思いっきり首を上げた。彼女は「そうです、私は篠崎カミラです」とでもいうように激しくうなずいてる。  「あ…

  • 見える人 『悲しい作業/永劫につづく罰』- 2

       カフェは混んでいた。カウンター席に座り、僕は本を開いた。『ワインズバーグ・オハイオ』だった。学生の頃に一度読んだだけの、まだ持ってるとも思ってなかった本…

  • 見える人 『悲しい作業/永劫につづく罰』- 1

      悲しい作業/永劫につづく罰   僕は部屋の片づけをはじめた。   それは被害状況を克明にしていく作業でもあった。あのジッポライターも盗られたんだな――など…

  • 見える人 『新たな誘い/左肩を見つめる女』- 8

       僕は腕を組んだ。これはどういう話なんだ? 全体的になにかがおかしいのだ。突然消える街灯、なぜか見つめてくる犬、それに奇妙な女まで出てきた。しかもその女は…

  • 見える人 『新たな誘い/左肩を見つめる女』- 7

       けっきょく僕たちは中華料理屋に入った。怒号のように中国語の応酬が聞こえてくる店内は混みあっていた。小林は〈青椒肉絲定食〉にし、僕は〈牛肉の八角炒め定食〉…

  • 見える人 『新たな誘い/左肩を見つめる女』- 6

       翌日は朝から営業先に直行だった。小林も同じだったので僕はラインにメッセージを入れておいた。訊きたいこと――というか、話したいことがあったのだ。  「なに…

  • 見える人 『新たな誘い/左肩を見つめる女』- 5

      「あの、失礼かもしれませんが、お名前は?」  「あっ、い、いえ、すっ、すみません。な、な、名乗りも、し、しないで、こ、こんなこと、い、い、言うなんて。そ、…

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