ブログみるアプリ
日本中の好きなブログをすばやく見られます
無料ダウンロード
ブログ村とはIDが異なります
メインカテゴリーを選択しなおす
フォロー
見える人 『《monkey's paw》にて/ありのままを見ること』- 3
駅に着いたのは十二時過ぎだった。 小雨が降り出したけど僕は傘を持ってなかった。風も吹き、雨粒はまっすぐ落ちてこない。右往左往してるように流され、スー…
2022/05/31 00:00
見える人 『《monkey's paw》にて/ありのままを見ること』- 2
「ただ、そういうことがあったってんなら、その通りなんだろ。話としちゃ信じられる部分は微塵もないが、俺はお前を信用してる。なにしろ大親友だもんな」 「あり…
2022/05/30 00:00
見える人 『《monkey's paw》にて/ありのままを見ること』- 1
営業先を出ると僕はカフェへ入った。窓の外は人で溢れてる。それを眺めつつ、スマホを取りだした。 『八時にいつもの店で待ってる。話があるんだ』 送った…
2022/05/29 00:00
見える人 『大きな変化/見えるもの、見えないもの』- 12
「カミラ! ちょっとは落ち着きなさい。――あなた! あなたもよ!」 背後をうろつきまわる音が聞こえてきた。僕たちはその間ずっと見つめあっていた。そうし…
2022/05/28 00:00
見える人 『大きな変化/見えるもの、見えないもの』- 11
僕はそれまでに起きたことを違う視点から見ようと試みた。ありのままを見ようとしたのだ。それはひどくつらいことだった。怖ろしくもあった。そのものというのはな…
2022/05/27 00:00
見える人 『大きな変化/見えるもの、見えないもの』- 10
頬は歪んでいった。そのままの表情で長椅子を指している。 「これは何色?」 「緑ですね」 「そう、緑と呼ばれる色に見えるわね。でも、あなたはどうして…
2022/05/26 00:00
見える人 『大きな変化/見えるもの、見えないもの』- 9
「もし、それが本当だったとして、彼女はどうして僕のことを思いつづけてるんですか?」 「その人はあなたと別れてからひどい病気に罹ったの。もう四年も入院して…
2022/05/25 00:00
見える人 『大きな変化/見えるもの、見えないもの』- 8
「僕は反対だな! やっぱりどうしても反対だ!」 「あなたは黙ってなさい!」 「いや、黙ってるなんてできないよ! 僕は反対だ! こんな男じゃカミラちゃ…
2022/05/24 00:00
見える人 『大きな変化/見えるもの、見えないもの』- 7
僕はそっと左肩を見た。曲げきることはできなかった。彼女の顔は浮かんでいた。忘れるわけもない。しかし、待てよ――と思った。 「信じられない。だって、向こ…
2022/05/23 00:00
見える人 『大きな変化/見えるもの、見えないもの』- 6
「――うむ、そうだったのね。――いえ、あなたじゃないわ。嘘はおよしなさい。私にはわかってるのよ。――そう、わかるわ。――ん? いや、そういうことなの?」 …
2022/05/22 00:00
見える人 『大きな変化/見えるもの、見えないもの』- 5
通されたのは応接室とでもいうようなところだった。厚めの絨毯が敷いてあり、背の低いテーブルを挟むように古びたグリーンの長椅子と一人掛けソファが二脚置いてあ…
2022/05/21 00:00
見える人 『大きな変化/見えるもの、見えないもの』- 4
「で、佐々木くんの出身はどこ?」 「出身ですか? 埼玉ですけど」 「ご兄弟はいるの?」 「ええ、弟が一人」 「ということは長男? そうかぁ、長男な…
2022/05/20 00:00
見える人 『大きな変化/見えるもの、見えないもの』- 3
しかし、迎えにきていたのを見つけたときはわからないように舌打ちした。彼女より隣に立ってる人物が問題だった。腹のでっぷり突き出た初老の男――どう見ても父親…
2022/05/19 00:00
見える人 『大きな変化/見えるもの、見えないもの』- 2
夜になって電話がかかってきた。つぎの土曜であれば大丈夫とのことだった。 「土曜か。別に問題ないけど、そこまで保つんだろうな? その前に最悪の事態ってこ…
2022/05/18 00:00
見える人 『大きな変化/見えるもの、見えないもの』- 1
その瞬間から僕は大きく変化した。起こってる現象からすると適当な表現でないけど『憑きものが落ちた』のだ。もちろん、それでも理解しがたいことに取り囲まれたま…
2022/05/17 00:00
見える人 『説明のつかないこと/守ってくれるもの』- 9
「で?」 「ん?」 鏡には仏頂面が映りこんでいる。僕は毛先を整えていた。 「なんだよ」 「いや、っていうか、その格好はなんなんだ? なんで変な感…
2022/05/16 00:00
見える人 『説明のつかないこと/守ってくれるもの』- 8
翌日の朝はそれまでよりも激しくうんざりさせられた。背筋を伸ばした篠崎カミラの横には小林が立っている。二人して待ってたわけだ。 「な、こういうのって高校…
2022/05/15 00:00
見える人 『説明のつかないこと/守ってくれるもの』- 7
「とにかく、そのいろんな色にみえる宝石みたいのがなんだっていうんだ」 「そっ、そっ、それを、さ、探して、く、ください。きっ、きっ、きっと、さ、佐々木さん…
2022/05/14 00:00
見える人 『説明のつかないこと/守ってくれるもの』- 6
「なんでこんなことになった? 僕がなにしたっていうんだ? 悪いとこがあるなら改めるよ。どんなことだってする。だから、こういうのはやめてくれないか」 「だ…
2022/05/13 00:00
見える人 『説明のつかないこと/守ってくれるもの』- 5
ただ、その直後に説明のつかないことが起こった。マンションに着いた途端に入り口の電球が消えたのだ。眉をひそめながら僕はテレビのボリュームをあげた。それから…
2022/05/12 00:00
見える人 『説明のつかないこと/守ってくれるもの』- 4
部屋の片づけは最終段階にさしかかっていた。小物のあらかたは元の場所に収まり、認識のあやふやな物だけがキッチンボウルに残ってる。あとはその処分を考えるだけ…
2022/05/11 00:00
見える人 『説明のつかないこと/守ってくれるもの』- 3
「いやぁ、あの子、面白いな」 エレベーターを降りると小林は肩を小突いてきた。 「からかうにはだろ?」 「まあ、そうだけど面白いことに変わりない。そ…
2022/05/10 00:00
見える人 『説明のつかないこと/守ってくれるもの』- 2
「なんなんだよ、『んあっ!』ってのは。朝から聞くのにはそぐわねえ声だな。まるで後ろから刺されたみてえだぞ」 「ん、いや、その、なんだ」 「なんだよ、歯…
2022/05/09 00:00
見える人 『説明のつかないこと/守ってくれるもの』- 1
次の日も篠崎カミラは待ちかまえていた。僕たちは「おはよう」、「おっ、おはよう、ごっ、ございます」と言いあい、足早に会社へ向かった。 「み、見ましたか?…
2022/05/08 00:00
見える人 『力の解放/手のような痣』- 13
会計を済ませ(レアなカードの再登場というわけだ)、僕たちは地上まで降りた。雨はまだやんでいない。 「あっ、あっ、あの、に、荷物が、お、多いので、わ、私…
2022/05/07 00:00
見える人 『力の解放/手のような痣』- 12
「は、母の話と、い、いうだけですが、そ、その、は、母も、わ、私と変わらないくらいの、と、年のときに、ち、父に出会ったんです。だ、誰でも、い、いいのかは、わ…
2022/05/06 00:00
見える人 『力の解放/手のような痣』- 11
当然のことに妙な雰囲気になった。彼女はうつむきつづけ、僕は意味もなくうなずいていた。きちんと理解できていないものの要約するとこういうことになるのだろう。…
2022/05/05 00:00
見える人 『力の解放/手のような痣』- 10
「は、母は、あ、あなたにも、そ、そ、そのときが、き、きたのねと、い、言ってました。わ、私の、ち、力が、か、完全なものに、な、な、なるときが――という、い、…
2022/05/04 00:00
見える人 『力の解放/手のような痣』- 9
「あの、よくわからないんだけどさ、君のお母さんも『見える人』なのか? でも、君には『先生』ってのもいるよな? 昨日、僕としゃべった人だよ。そっちは『先生』…
2022/05/03 00:00
見える人 『力の解放/手のような痣』- 8
「あっ、あっ、あの、うっ、うっ、嬉しいです。そ、そんなふうに、お、お、仰って、く、くださるなんて」 「あ?」 僕も口をあけていた。それを見つめながら…
2022/05/02 00:00
見える人 『力の解放/手のような痣』- 7
僕たちはイタリア料理店に入った。時計を見ると八時半になるところだ。デパートの飲食店なんて十時には閉店だろう。そう思いながらメニューをひらいた。あまり楽し…
2022/05/01 00:00
2022年5月 (1件〜100件)
「ブログリーダー」を活用して、佐藤清春さんをフォローしませんか?