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佐藤です、小説書いてます。 https://ameblo.jp/kiyoharu-satou/

高校の文芸部を舞台に、夏目漱石の『三四郎』を読み解きつつ進んでいく恋愛小説、全力連載中!!

佐藤清春
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2016/05/23

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  • 失踪する猫 第21章 - 12

      「おい! 大声でなに言ってんだよ! それに、あまり使えないってのはどういうことだ!」  「いや、悪かったな。でも、山もっちゃんってんじゃ他にもいそうだろ?…

  • 失踪する猫 第21章 - 11

       騒がしい中に紛れ込むと三人はハゲ頭を目指してうろちょろした。人が多く、擦りあわせるようにしないと進めない。  「おい、兄ちゃん、こっちだ。こっちだよ」 …

  • 失踪する猫 第21章 - 10

       仕事帰りにやって来た千春は戸をあけるなり眉をひそめた。カンナは既に諦めた表情をしている。  「どうしたのよ、それ。――って、もしかして私のもあるの?」 …

  • 失踪する猫 第21章 - 9

       彼はまた天井を見上げた。微かな息遣いだけがしてる。カンナは雑誌を手に取った。――ほんとにもうすぐ終わるんだろうな。私はとにかく用心して心配かけないように…

  • 失踪する猫 第21章 - 8

       翌る日も暇だった。人はいるけど誰も入ってこない。店にはショーソンの『詩曲』が流れてる。  「ね、ほんとに法被なんか着るの?」  「ん?」   彼はぼうっ…

  • 失踪する猫 第21章 - 7

      「あら、すごく格好いいお巡りさんじゃない」   北条は頭を下げた。その後ろにも小太りなのが一人いる。  「ああ、あなたはあのときの。そうですよね?」  「…

  • 失踪する猫 第21章 - 6

       ふたたび外に出ると騒がしい空間は馴染みにくいものになっていた。カンナはペロ吉を抱きながら人混みを見つめてる。トコトントコトンと音がして、「そりゃさっさぁ…

  • 失踪する猫 第21章 - 5

      「だから、私も危ないかもしれないっていうの?」  「ああ、そういうことだ」   カンナは顔を突き出した。――なるほど。この前から気になってた表情は心配のあ…

  • 失踪する猫 第21章 - 4

      「これは想像でしかないけど、もしペロ吉を見つけたらどうするかって考えたんだ。あんな雨の日だったんだ、こいつはぐしょ濡れだったはずだろ? 俺だったら様子を見…

  • 失踪する猫 第21章 - 3

       それからはいつものようになった。猫たちは「ニャ」だの「ナア」と鳴き、彼は頻りにうなずいてる。カンナは肩をすくめていた。  「あの、ちょっと訊いていい? …

  • 失踪する猫 第21章 - 2

       ごった返す参道を抜けると二人は溜息をついた。  「焼きそば持って帰るだけで一大事業だな。ほんとすごい人だ」  「まったく。いったいどこから湧き出てきたん…

  • 失踪する猫 第21章 - 1

       二人はいつもの格好で御会式に出た。蓮實淳はグレーのスーツ、カンナは『F・U・C・K』と刺繍のあるスカジャンにデニムのスカート。ハゲのオッサンはそれを見て…

  • 眠り猫

    僕たち夫婦は性懲りも無く週末ごとに猫探しをしてるのですが、この時期はさすがに寒いのかなかなか見つけられないんですよね。よぉく目を凝らし、また、これまでの経験か…

  • おきつねさま

    どうしてなのかは自分にもよくわからないのですが、僕はお狐様が好きなんですね。いえ、好き――とまではいかなくてもなんだか気になっちゃうんですよ。というわけで、な…

  • 失踪する猫 第20章 - 24

      「そしたら、その相手にやってることを否定された。守ろうとしてたのにもうやめてくれとでも言われたってのか?」  「わからないが、そういうことだと思う。それく…

  • 失踪する猫 第20章 - 23

      「そうだ。そこでも繋がってんだよ。長谷川の息子はウサギが殺された現場の写真でわざと脅されてたんだ。俺はお前のせいで自殺した人間の子供なんだってわからせるた…

  • 失踪する猫 第20章 - 22

       彼は指先を向けている。刑事は薄目をあけた。  「かもしれないが、それだって想像だよ。にわかには信じられんね」  「いいだろう。じゃあ、それでどうなったか…

  • 失踪する猫 第20章 - 21

      「まったく否定しないのはあんたの方にも思い当たることがあるってことだな。そうなんだろ?」  「いいからつづけろよ。まだすべての前提は崩れてないぜ」  「わ…

  • 失踪する猫 第20章 - 20

      「さて、どうしたもんかな?」   ガラス戸の先を法被姿が通り過ぎていく。彼は戸口に立ったままだ。――どうやって話せばいいんだろ? 山もっちゃんにもだけど、…

  • 失踪する猫 第20章 - 19

       黒い身体が走り出すと彼はこめかみに指をあてた。血が出てる。それをしばらく見てから電話をかけた。だいたいは繋がりつつある。後は確認するだけだ。  「ああ、…

  • 失踪する猫 第20章 - 18

       薄暗い上がり框で振り向くと、嘉江も襖の方を見た。  「ああ、すみません。袋が置いてあるんですが。その、ビニール袋が」  「取ってまいりましょうか?」  …

  • 失踪する猫 第20章 - 17

       嘉江はうなずいただけだった。彼は指を突き出している。  「奥さん、いま言ったことが最近起こった事件の原因になってるはずなんです。そこでもう一度確認なんで…

  • 失踪する猫 第20章 - 16

       呆けた顔は天井を仰いだ。首の皺は薄く伸びている。  「いえ、とくには。ただ、あの人のことですから、そういう相談をされれば一肌脱ごうってことになるでしょう…

  • 失踪する猫 第20章 - 15

      「十二年前になにがあったかですか?」   お茶を注ぎ足すと嘉江は頬に手を添えた。彼はうなずいてる。  「そうです。ふたたび線路向こうに住みはじめた柏木伊久…

  • 失踪する猫 第20章 - 14

       二匹の猫はずっとうつむいたままだった。体毛は風に靡いてる。  「なあ、さっき先生が言ってたの、どういうことかわかるか?」  「ま、ここの婆さんかおばはん…

  • 失踪する猫 第20章 - 13

      「あの子はお金をせびってくるんですよ。――その、言いたくもありませんが、私がどういうときにどんな顔してたとか、耳にしたくないことばかり並べて。そういうのを…

  • 失踪する猫 第20章 - 12

      「柏木伊久男は『悪霊』というグループに入っていた。ご主人に諭されて抜けはしたが、古川祐次を脅す為その名前を出した。もしかしたら当時の仲間を連れて行ったこと…

  • 失踪する猫 第20章 - 11

       ペンダントヘッドを押さえると溢れるように映像があらわれた。――ふむ。前と違ってだいたいがくっきり見える。――ああ、柏木伊久男だ。こいつは本当にこの人を愛…

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