本日の表題『かのとうしからみずのえとらへ』は『辛丑から壬寅へ』ということですね。ま、新たに得た知識をひけらかしてるわけです。で、この辛丑〈かのとうし〉は辛〈か…
まあ、馬鹿だからなんでしょうがけっこうな年になっても「へえ、そういうことだったんだ」と思うことが多々あります。ついこの間も本を読んでいて「はあ、そうなの。へえ…
Scapegoat Jizou Son ~『失踪する猫』の舞台③
ここは名前が出てくるくらいなので『失踪する猫』の舞台とはいえないかもしれませんが僕はこの護国寺の比較的近くに住んでるんですね(千春とカンナの住むマンション…
というわけで、『失踪する猫』の舞台を巡る旅、その②ですね。今日は本文中に『滲んだ目には法明寺の門が映った。――そうだ。お参りしてこよう。とくにお願いすることも…
年末から年始にかけて小説を載せてるってのもどうなのかなと思いまして、とりあえず連載中の『失踪する猫』に登場する場所を紹介しておこうと思った次第です。というわけ…
本当のところ猫ってそんなに難しいことなんて考えてないのでしょうけどこういう顔を見てしまうと、なにかしら考えてそうにも思えちゃいますよね。たとえば、「唯物論のみ…
規制線の向こうは静かだった。人の出入りは多いものの、みな黙々と作業してる。二人は同じ場所でずっと前を見つめていた。 「ね、」 「ん?」 「大人にな…
箒とちりとりを持って彼は外に出た。欅の葉は至るところに落ちている。枯れた枝も散らばっていた。それらを集めてはビニール袋に入れ、あるいは纏めて紐で縛った。…
シャワーを浴び、髭を剃ると彼は電話をかけた。都電の踏切はカンカンと鳴っている。濃いコーヒーを淹れ、フライパンでトーストをつくってるところに折り返しがあっ…
同じ時間、彼はベッドで考えていた。雨は激しく、窓にさす街灯の明かりも滲んでる。思考は行きつ戻りつしていた。辺縁部をたどるだけで中心に至らないのだ。 …
ただ、それで終わりではなかった。寝る間際になっても千春は旅行の顛末を捲したてていた。 「でね、私は何度もその辺で終わりにしときなさいって言ったの。だけ…
「どうした?」 「え? ちょっと気になっちゃって。ほら、ペロ吉んとこの子。あの子はどうなったんだろうって」 「ああ。でも、児相がどうのとか言ってたろ。…
風はさらに強まった。雨も降り出したようだ。ただ、奥からは鼻歌が聞こえてる。――ふむ。柏木伊久男は『悪霊』というグループのメンバーだった。しかし、地元の友…
「ふうん。じゃ、そいつを教えてくれないか? 前にも言ったが俺はこっちのヤマで忙しいんだ。だいぶ前にどこぞのボンボンがやったことなんか興味がない。知りたいの…
彼は腕を組んだ。ペロ吉はどうしてるんだろう? それに、どうなるんだ? そう考えてるところに階段をあがってくる音が聞こえてきた。 「ほれ、たくさん買って…
「ああ、早いな。徹が帰ってきたみたいだ」 気怠げに彼は首をあげた。しかし、聞こえてきたのは違う声だ。 「おーい、いないのか? ――いないみたいだな。…
足音が途絶えると風だけが気になった。カンナは半開きのドアを見つめてる。 「ほんと、どうしようもない人の割りには気が利くっていうか、ちゃんとしたとこもあ…
第18章 気づいたときにはベッドにいた。熱はだいぶ治まり、ペンダントヘッドも元に戻ってる。ただ、全身が怠く、顔をあげるのも億劫だった。 「おっ、気が…
「ほんとになんでもお見通しなんだな。ああ、聴いたことあるよ。若い頃にそういうグループっていうのかな、ええと、そう、『愚連隊』とか言ってたっけ。そういうの…
「訊いたことにこたえろよ。お前は脅迫されてた。それだけでも動機になるんだ。まさか殺しちゃいないよな?」 「そんなことするわけないだろ。それに、あんなの脅…
「悪い。待たせたな」 「いや、大丈夫だ。でも、どうしたんだよ。突然会いたいなんて、なにかあったのか?」 「ん、ちょっと訊きたいことができてな」 …
「田沼は部屋に入ってったよ。ま、コソ泥なんだ、そういう習性なんだろ」 「はあ? 小林んとこに入ったっていうのか?」 「そうだ。この家の鍵はよくなくなっ…
翌日も風が強かった。欅は波うつように揺れている。鬼子母神の脇道を下り、彼は妙見堂の前で折れた。路地を曲がると、生け垣沿いに小柄な背中が見える。 「おい…
ポケットから封筒を取り出し、刑事はテーブルに放った。 「何枚か現像してきた。見たいだろうと思ってな」 中には十枚の写真があった。いずれも古く、色褪…
「ああ、そういうことか」 深くうなずき、山本刑事も頬をゆるめた。 「確かにな。これだけ違ってる。ずっと同じとこを撮ってるし、ブレもない。こりゃ、三脚…
蓮實淳はまたもやキティを見た。つられて視線を動かしてもそこには猫がいるだけだ。 「わからないよ。いつも自転車で来てっから、どこに住んでるかもわからない…
「あの馬鹿、こんなことしてたのか」 「それなにしてるかわかるの? 私はまったくだけど」 「ここは西口公園だろ? 外国人風の男がいる。そこに近づく鴫沼。…
「この本間康明ってのは?」 「ああ、そいつか」 悩ましげな顔は微妙にゆるんだ。口許も歪んでいる。 「こいつはなにしてたかわかってんだ。ただな、それ…
煙草を喫いたかったのだろう、刑事は外へ出た。彼はコーヒーをつくりながらキティに話しかけている。 「他の二人、山田久枝ってのと本間康明ってのは知ってるか…
「つまり、パソコンじゃなく別の場所にあったわけだ。この『D』だの『F』ってのがメモリーカードの番号ってことか?」 「そういうこった。メモリーカードもうん…
「なるほど、そうか。北条に相談したってのはそれなのか?」 「そうだ。だから、リストに名前があって驚いたんだよ。しかし、こりゃなにしてるとこだ?」 「こ…
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