chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
佐藤です、小説書いてます。 https://ameblo.jp/kiyoharu-satou/

高校の文芸部を舞台に、夏目漱石の『三四郎』を読み解きつつ進んでいく恋愛小説、全力連載中!!

佐藤清春
フォロー
住所
文京区
出身
未設定
ブログ村参加

2016/05/23

arrow_drop_down
  • 失踪する猫 第17章 - 3

       ぎこちなく笑いながらカンナも紙を見た。前と違って、記号の下に名前がつけ足されている。こんな感じだ。   HF80Y 0110U4500AD  …

  • 失踪する猫 第17章 - 2

      「それで、警察はそれをどう見てんだ?」  「いや、あまり問題になってないんだよ。隣の爺さん――寺尾っていうんだがな、その爺さんは呆けはじめててな、話がくど…

  • 失踪する猫 第17章 - 1

      第17章   蓮實淳は首を伸ばしてる。しかし、戸が開いた瞬間に肩をすくめた。  「なんだよ、その顔は」  「なんだって言われてもな。いつもの苦み走ったいい…

  • 冬の空

    冬になって、空もそれらしく見える日がすこしずつ増えてきてるように思えますね。晴れても太陽の傾きは鋭角で、眩しくありつつも全体的に薄ぼんやりしてる――そんな感じ…

  • 礼は庶人に下らず、刑は大夫に上らず ~木下元都議の件について

    ついこの間からけっこうな騒ぎになってる元・都議についてですが、まあ、ありゃ「ない」ですよね。 無免許運転で事故も起こしてる時点で「ない」のに、その後の言動も「…

  • 失踪する猫 第16章 - 15

      「どうしてそんなに柏木さんのことを訊くんです?」  「必要だからです。ゆかりさん、いいですか? この近くにはまだ悪霊が潜んでます」  「――悪霊、ですか」…

  • 失踪する猫 第16章 - 14

      「お加減が悪いんですか?」  「いえ、そんなにではないんですけどね。でも、ずっと離れに籠もって、寝たり起きたりしてるようなんです」  「それはいつぐらいか…

  • 失踪する猫 第16章 - 13

       日の暮れかかった中を彼は足早に歩いた。頭の中は混濁し、渦を巻いている。――そうだ。『あくりょう』だ。あの爺さんは自らそう名乗っていた。  「ええ。あの男…

  • 失踪する猫 第16章 - 12

       ハーブティに口をつけ、彼はまたガラス戸を見つめた。  「蛭子の家には悪霊がいた。二体の悪霊だ。あれは奇妙な偶然だった。同じ言葉で姑と嫁さんが繋がってたん…

  • 失踪する猫 第16章 - 11

       刑事たちが帰ると、ほどなくして千春も出ていった。蓮實淳はソファにもたれかかり、鈍く光るガラスを見つめてる。  「ねえ、」  「ん?」   声をかけたもの…

  • 失踪する猫 第16章 - 10

      「それでだな、」   ひとしきり笑うとカンナは二杯目のコーヒーをつくりに立った。千春も奥へ行き、なにかしてる。  「さっきの話じゃ、これはイニシャルってこ…

  • 失踪する猫 第16章 - 9

      「さっきから、『若造、若造』ってうるさいんだよ。俺には谷村って名前がある」  「ああ、そうだったな。――ん? ってことは、この『TM30W』ってのはお前の…

  • 失踪する猫 第16章 - 8

      「おっ、」  「なんかわかったか?」  「これ、俺の誕生日だ。『0120』ってのが二つ並んでる」   山本刑事はつんのめるようになった。唇は歪んでる。  …

  • 失踪する猫 第16章 - 7

      「こりゃ、いったいなんなんだ?」  「あの爺さんの持ち物だよ。古びた手帳に書いてあったんだ。でも、最近のものみたいだな。インクでわかるんだとよ。もちろん、…

  • 失踪する猫 第16章 - 6

       刑事は暗澹たる表情を浮かべてる。しかし、深く頭を下げた。  「そんなふうには思っちゃいないが、まあ、詫びさせてくれよ。そうじゃないと話が進められない。ほ…

  • 失踪する猫 第16章 - 5

       ソファに座ると刑事は顎を突き出してきた。額には汗が滲んでる。  「さっきのはどういうことだ?」  「さっきのってのは?」  「ほれ、北条に訊いてたろ? …

  • 失踪する猫 第16章 - 4

      「あの、北条さん、法明寺にいた子のこと憶えてます?」  「はい、憶えてますよ」  「あの子のことで相談っていうか、聴いていただきたいことがあるんです」  …

  • 失踪する猫 第16章 - 3

      「さ、食べて。《群林堂》の鹿の子よ。あそこは大福って印象が強いけど、これもすごく美味しいんだから」   テーブルには照りのある黒い物体とハーブティが並んで…

  • 失踪する猫 第16章 - 2

      「ん? ありゃ、あの警官か? 制服じゃないとわからないな。でも、ちょうどいいときにちょうどいいのが来たってわけだ」   その言い様はさらにムカつかせたけど…

  • 失踪する猫 第16章 - 1

      第16章   柏木伊久男の事件は捜査の膠着とともに世間から忘れられつつあった。事件なんて常に起きてるし、進展のない話題を取り上げたがるマスコミの人間はいな…

  • 失踪する猫 第15章 - 14

      「山もっちゃん、こっからは友人同士のおしゃべりだ」  「俺は友達になんてなってねえぜ」  「いいから聴けよ。これはあんただから話すことだ。他の誰にも言うな…

  • 失踪する猫 第15章 - 13

      「もうひとつ訊きたい。あの爺さんの金回りはどうだった?」  「金回り? ――ちょっと待て。あの爺さんが脅迫してたとでも言いたいのか?」  「察しがいいな。…

  • 失踪する猫 第15章 - 12

      「言いたくないってか。じゃ、違うことを訊くよ。あの爺さんのパソコンには沢山の写真があったんじゃないか?」  「なんでそんなこと知ってる?」  「俺はなんで…

  • 失踪する猫 第15章 - 11

       一時きっかりに刑事はあらわれた。皺くちゃなシャツは汗に濡れ、髪も萎れきっていた。  「いや、まだ暑いな。歩いてきたからこの通りだ」   彼は目を細めてる…

  • 失踪する猫 第15章 - 10

       朝が来ると彼は濃いコーヒーをつくり、パジャマのまま電話をかけた。  「刑事の山本さんを出して欲しいんですけど」  「山本ですか? どの山本です?」  「…

  • 失踪する猫 第15章 - 9

       カンナが帰った後にキティとゴンザレスがやってきた。あの日に周辺人物がなにをしてたか伝えに来たのだ。大和田義雄は会社にいて、紀子は出かけていた。鴫沼徹は車…

  • 失踪する猫 第15章 - 8

       同じ時間にカンナはこう訊いていた。  「ね、あのおじさんの親友って誰? 毛むくじゃらで茶色いって言ってたけど」   蓮實淳はぼうっとしてる。倦怠感に覆わ…

  • 失踪する猫 第15章 - 7

       二人の刑事は西陽のあたる中を歩いていた。柔らかい毛髪をそよがしてる方は疲れ果てている。湧き起こった感情をどのように処理すればいいかわからなかったのだ。そ…

  • 失踪する猫 第15章 - 6

      「余計なお世話だよ」   掠れた声は部屋に響いた。それを合図としたかのように彼は指先を向けた。  「余計なお世話ついでに言っておく。暗い話だけってんじゃ、…

  • 失踪する猫 第15章 - 5

      「じゃ、やるか。山もっちゃん、肩の力を抜け。――そうだ、いいぞ。心を開けっぴろげにするんだ。俺が嫌いでも、この瞬間だけは信じようとしろ」   山本刑事は憮…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、佐藤清春さんをフォローしませんか?

ハンドル名
佐藤清春さん
ブログタイトル
佐藤です、小説書いてます。
フォロー
佐藤です、小説書いてます。

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用