大阪の下町を舞台に男女4人が繰り広げる青春ミステリー小説。3つの時代を異なった3つの視点で描く
大阪の下町を舞台に男女4人が繰り広げる青春ミステリー小説。3つの時代を異なった3つの視点で書いてます。
陽菜から送られてきたアグラとジャイサルメールの絵葉書2枚を見ながら二本のビールを飲み干しベッドに入った。 目を閉じながら陽菜の事を考える。熱帯夜かどうかなど関係なく眠れない。眠れそうにないので起き上がり、冷蔵庫を開けて3本目のビールを手に
自宅の暗室で戦利品を現像する。アングルはバッチリ。僕の計算通りの完璧すぎる角度。 青と白のストライプのデルタ三角地帯からすらっと伸びた太もも、膝の下には清純娘の必須アイテム、紺色のハイソックスが映りこんでいる。 横西陽菜本人が見れば
前回、カメラを仕掛けようとして失敗してからすでに半年も経った。これだけ根気よくチャンスを待てる者だけが性交を、いや成功を収める事が出来る。天才と凡人の違いだ。そして千載一遇のチャンスが訪れた。 小生意気な月足智華がインフルエンザで休んでいる。今
疼き震える足を誤魔化しながら生田中学校の周りを一周する。 放課後という事もあり、グラウンドではラグビー部と、野球部がクラブ活動をしている。 陽菜と智華はグラウンドの塀から背伸びをしながら遠慮がちに覗いている。 そして、僕はそんな2人のス
勝山通りのJR環状線の高架を潜り抜け空を見上げる。雨が上がり、澄んだ空には皮肉な事に平和の象徴のハトが集団で飛んでいた。平和とは正反対の場所に行くのに。横西陽菜と月足智華はウキウキした足取りだ。 「中学校の周りを1周するだけだからな」「分かって
6月下旬の梅雨真っ盛りのある水曜日。午前中の授業を終えた名声中学校の理科教師、長田頼政(おさだよりまさ)が左足を引きずりながら昼食を取るために理科室に入った。「あぁ、足が痛い。雨の日はダメだ、、、」 誰もいない理科室で呟いた。雨の日は足が痛む、
生田中学 史上最凶最悪の3年生が卒業し、俺達は2年生になり平和で退屈な毎日を過ごしていた。 陽菜と智華に会えるんじゃないかと天王寺動物園に出かけては行くものの、出くわすのは毎回、あのヤンキー2人。あいつら毎日何をしてるんだろう? 夏休みに入
入学前に起こった生田中学校の生徒による教師襲撃事件は新聞やテレビでも大きく報道された。 化学教師が生徒から襲撃を受け最後はバイクに引かれて大怪我をし、事件を起こしたリーダー格の生徒は少年院に入った。 その生田中学史上最凶最悪の学年は俺たち
「ラ〜リポップ♪ラ~リポップ♪」 あの日、人也がうちのクラスにやって来て裕江ちゃんの近くでスタンドバイミーの歌を口ずさんでいた。 裕江ちゃんはとても迷惑そうだった。人也は裕江ちゃんの机の中の赤いリボンの付いた小さな箱が気になっている様子で、休み
俺たちの地域の中学校は漫画に出てくるような不良たちがたくさん通う学校だった。 泣く子も黙る生田中学校。 両親からは兄の暁が通う私立の名門「名声学園中学校」に行くように言われている。特に母親は事あるごとにこう言った。「昴くん、あなたに相応し
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