森の案内人:森林インストラクター田所清のブログです。自然観察日記を書いてブログ歴10年目です。
森閑とした空気に包まれる森の中は神秘の宝庫。そこに息づく植物や虫・きのこなどを観ながら造形の不思議を想い自然の奥深さに感嘆しています。そして、それを感ずる自分がうれしい。だから伝えたい。
2023年11月
グリーンシーズンを終え師走になる区切りで長く続けてきたつたないブログをお休みします。ブログ開設から6500日近くになってしましました。gooのブログに引っ越す以前にも少し期間があるのですが約18年という月日が経ちました。ほぼ毎日の更新で、同じ内容のものも多々あったようです。このブログは誰かのための情報発信ということより自分の眼力を落とさないために続けてきた面があります。自然観察を行いそれを元に不明のものは資料で調べて確信が持てるものだけアップしてきたつもりですが、誤っていたものも多くあったかもしれません。歳を重ねることで出かけることも減ってきましたし、ある意味仕事のような意識で取り組んできたことにも疲れを感じています。また春になると気紛れに書きたくなることもあるかもしれませんが、一旦筆をおきたいと思います...ブログの更新をお休みします。長い間ありがとうございました。
この秋山野を散策して印象的なものの一つがカメムシタケに出会えたことです。冬虫夏草に出会えることはなかなかできませんが、その中でこのカメムシタケの出会いは初めてでした。海抜1000m位のブナ林の中でした。冬虫夏草カメムシタケ
この菌の胞子のうは黄色い細長いものです。長さ2㎝くらい。カメムシタケの胞子のう
偶然黄色い胞子のうが目に留まったので冬虫夏草かな?と思いそっと基部の枯葉を取り除いてみるとカメムシが出てきました。この時にこの冬虫夏草はカメムシタケだと確信した次第です。冬虫夏草の生態は不思議です。生きているカメムシにどうしてとりつくことができるのでしょうか?自然の奥深さにただただ感心するばかりです。カメムシタケの基部
越後丘陵公園のボランティアで里山の利用の一環として食イベントなどで利用するためにシイタケの栽培しています。この榾木に変わったものが発生して話題になりました。シイタケのほだぎに発生した見慣れないもの
これは変形菌といわれる一群の生物の中のムラサキホコリカビという種です。変形菌は変わった生活史をとる生物で移動する時期と固着する時期があます。異動期はアメーバ状の細胞で木などの表面の細菌などを食べながら成長しやがて集合し固着期に入り胞子を作る体になっていきます。この絵の茶色の細長い部分が固着期の胞子を作るところです。その下に白くなっているところが異動期のアメーバー状の細胞が移動していた痕跡です。ムラサキホコリカビ
細長いところをよく見ると下の方が少し膨らんでいます。ここで胞子を作り空中に飛散させます。ムラサキホコリカビの胞子のう
先日知人からクーシンサイの苗をいただきました。スーパーにも売られている野菜なのだということを知らなかった私は庭に植えてみました。成長は旺盛であっという間に2m四方を覆うくらいにまでなりました。新芽を食べるのだということで折ってみると茎は空洞でここから「空芯菜」という名がついたことを理解しました。クーシンサイ
栽培して1月くらいすると開花していることに気づきました。花はアサガオです。そこでよくよく観察するとこの種の性質はサツマイモとよく似ていることがわかりました。根茎こそ肥大しませんが荒れ地にも適応できそうな顔をしています。クウシンサイの花
葉芽や花芽の付き方はまるで西洋アサガオとよく似ています。クウシンサイの葉
志賀高原の駐車場の脇に鮮やかな青色の花が咲いていました。ツルフジバカマの花でした。全国の山野に生える野草で特に高所に生育するような種ではありません。人の働きで種子が運ばれここに根付いているものと思われます。ツルフジバカマ
秋が進んで気温が下がってきているせいか青い色が一層深くなってきているように感じました。花数は多く20個以上はあると思われます。マメ科ソラマメ属に分類されます。ツルフジバカマの花
小葉は4~7対くらいでよく似たクサフジよりは少ない葉数です。ツルフジバカマの葉
ブナ林の中に可愛いキノコの集団を見つけました。大きさは2㎝くらいの球状をしています。頂部が赤く染まっているためクチベニタケといわれます。クチベニタケ
ホコリタケに近い仲間で成熟すると頂部が裂けて中から胞子が出てきます。赤い文様の真ん中のところのが線状に裂けていくようです。これは裂け始めた状態です。食用には適さないそうです。クチベニタケの拡大
これもホコリタケに近い仲間ですが頂部に穴が開き胞子を放出するようなことを行わないキノコです。熟すと表皮が剥がれて胞子がむき出しになる性質のキノコです。よい出汁が出るとかで利用する人もいるようです。ノウタケ
ユニークなキノコです。まるで卵から芽を出してにょきにょきと伸びてきます。大きさは20㎝弱くらいにはなりでしょうか。柄のところを食用にすることができるそうです。スッポンタケ
傘と言っていいのかまよいますが、この表面にグレバという胞子を含んだ悪臭のする液体を作ります。この臭いでハエなどを呼び寄せるのでしょう。胞子の散布に一役買ってもらいます。スッポンタケの傘
幼菌は弾力のある卵状の球体です。これが割れて本体が発芽してくるのですが、中はゼリー状の物質に包まれています。これはあまり臭いはありません。スッポンタケの基部
何とも言えない美しいキノコです。この個体は縁が反っていてまるでスカートか防止のようです。まさに見て楽しむキノコです。ヒメベニテングタケの傘
日当たりのよい散策路脇にエゾリンドウがまだ花をつけていました。花の少ない秋の貴重な花です。1輪の花でもとても癒されます。エゾリンドウ
気温が上がると花冠が思い切り開きます。それでも裂片は平たく開くことはありません。エゾリンドウの花
里山に見られるリンドウは茎がしっかりしないので少々だらしない姿になりますが、高原に咲くエゾリンドウは茎はしっかりしていて起立しています。エゾリンドウの葉
志賀高原の木戸池の手前に田ノ浦湿原があります。海抜は約1600mで8haほどの面積があるそうです。その縁にあるシラカバの林が目に留まりました。この地域はダケカンバと混在していることが多いのですが、人の手が入った場所にはシラカバの林ができやすいと思いますので過去に刈り払われた場所のようです。湿原は草紅葉が盛りでした。田ノ浦湿原の縁のシラカバ林
湿原は草紅葉の景色ですが、よく見るといろいろな植物が秋の姿をしています。イワショウブはまだ生活のエネルギーを感じます。イワショウブの秋姿
木道から離れたところには枯れ行く直前の輝きを放った株がありました。種子が完成し次世代に命を伝えたと誇らしげにたたずんでいます。イワショウブの果実
志賀高原を散策した時のシラタマノキです。亜高山帯の日当たりのよい草地などに見られるツツジ科の低木です。散策路のの裏面にほかの低木やササ類と混ざってたくさん見られまし。果実の時期でしたから白い実がたわわに実っていました。シラタマノキ
1cmほどの白い果実、おいしそうに見えますがサリチル酸メチルの味がしてとても無理です。アカモノに対してシロモノともいわれます。シラタマノキの果実
2cmほどの葉には光沢があり厚みがあります。周囲には小さな鋸歯があります。シラタマノキの葉
きれいなイグチ科のキノコです。カラマツベニハナイグチとよく似ているのですが、こちらは茎が中空です。「ウツロ」という名はこの中空の茎に由来するのでしょう。ウツロベニハナイグチ
2023年11月
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