「どうしてイタリアなんだろう」 と、時折不思議に思う。基本パスタ・ピザ・パンを 食べない暮らしを選ぶなら 日本に居を構える方が楽。ほぼ毎日米を土鍋で炊いて 味噌汁を作って食べる。 普段のおかずは野菜の塩漬け。常食のメニューを考えたら イタリア暮らしじゃない方が あきらかにハードルが低くなる。だけど。日本でずっと暮らしていたら 味噌や餃子の皮を自分で作ろうと 思わなかったかもしれない。「いつもある」「いつまでもある」 と思っていたものが 忽然となくなったときに そのありがたみや不必要さを 体感として気づく。どうしても渇望したら なんとか工夫するようになる。いらない物事だったら サクッと手放してい…

「あたりまえ」とされていることを 斜め上からながめることを 図書館の本から教わった。 小学生の頃だった。本のタイトルも筆者も覚えていない。数字だけで足し算すると「1+1=2」 だけど米1リットルと水1リットルを ひとつの容器に入れると 2リットルにはならない。だよね！そうだよね！興奮気味に家族や友達に その「真実」を語った覚えがある。 まわりの反応の薄さも かすかに記憶に残っている。理屈と現実の誤差である 「すきま」があるから 生身の人間や物質の世界は 計り知れなくておもしろい。その頃も今も 「あたりまえ」をそのまま 鵜呑みにしない観察眼を いつも使いながら暮らしている。イタリアにも同調圧力は…

細かいことに言い訳を 添えたがるクセがあった。 時折いまでもその習性が ひょいと顔を出すことがある。あ、過去のアタシが出てきた。 自覚があるからなだめてあげる。大丈夫。 いちいち言い訳しなくても。 他の誰かにどう思われても 関係ないよ。ホントに必要な説明なら 言葉にした方がいいけど 些細なことならどうでもいい。「言い訳」はいらないけど 「言い分け」ることは大切。日本語がわからない同僚に 通じない言葉を使わないのと同様に 相手と共有していないことを 話題にする必要はない。「ことば」はトリッキーだ。その定義は個人的であったり 所属集団的であったりする。その絶妙な配分の感覚を 自覚している人とならば…

こんな感じに描きたい！ というイメージどおりに描く喜びは 発想・準備・仕上げ すべての行程が楽しい。いいな！これ！ やってみよう！ できた！その繰り返しが日々を 軽やかに華やかに彩る。イメージどおりにできない場合 創意工夫を経て出来たときの 喜びもひとしお。近頃ハマっているのは鉛筆。 陰影や濃淡、線・点の変化で 無限の質感を生み出せる魅力が たまらなく好き。いろんなタイプの表現方法を 見て学び、実際に手を動かす。自分にしっくり来るかたちに 落とし込んで繰り返す。ほんの少し前の私が 表現したかったものが リアルに目の前に現れる。それが極上の快感。イメージが湧きあがり まずやってみる。 うまくいか…

ふと視線を向けると バラバラになったドラえもんがいた。 片付けると見つからないのよね と、いいながら鞄を探る彼女。家の掃除を手伝ったことがあるから 彼女の習性はよく知っている。ぱっと見た感じ 素敵な雰囲気に整えるのは とても上手なのだけれど バックヤードに放置された物は そのままの暮らし方をする。収納家具や引き出しの 中身はぎっちりびっしり。 物置や目立たない場所には 不動のよくわからないモノの山が いつの間にか出来上がる。私自身そういうタイプだったので どうしてそうなるか 心理状況とパターンが 手に取るようにわかる。忙しい。 後でやる。 もったいない。 なにかに使える。そうして「とりあえず丘…

いろいろなことが ものすごいスピードで動く社会。 流行りモノはどんどん変わるし 新しい商品が次々と並ぶ。最新の技術や情報に ついていこうと躍起になって 自分自分の暮らしの軸を あちこちにずらしてしまうと あっと言う間にバラバラになる。誰かの遠心分離機に入ったヒトは 心と身体と頭がばらばらになる。流されて生きていると ばらけて取り出された欠片を 社会実験に使われて人生が終わる。肉体を切り刻んだ人体実験は いちおう禁止されているけれど 表にでないように実行されている ホモ・サピエンス実験の 遠心分離機のスピードは どんどん加速している。どうすればいい？自分自身が軸になればいい。手足と身体を使って動…

語源は「飽く迄も」。 「飽きるまで徹底的にやっても」 ということ。あくまでも仮説 あくまでも個人的な意見 あくまでも他人からの視線という感じに使う。どれだけ検証しても結局は〇〇 という意味になる。音の響きから「悪魔でも」に 変換してみた。取り憑かれたように 酒・セックス・ギャンブル・買い物 などに依存すると 悪魔に支配されたような 暮らしや生き方になってしまう。飽きるまで徹底的にやって 飽きてしまえば悪魔が離れる。 そうなればいいのだけれど。依存を生み出すものは 飽きさせないどころか 人間の体内物質を刺激して 「もっと！もっと！」という 反応を引き出す。「あきる」に仏教的な「空」の 考え方を足…

靴を買いに行ったときに ふと目に入った派手なピンヒール。 こんな靴を履く人いるのかな？舞台や特殊な職業では 必要な小道具だと思うけど 日常使いではいらないよね。そう思った数日後 答えを教えてくれる人に会った。 会ったというより見かけた。サッカーの練習の付き添いで グラウンドに行った時 お祝い事の帰りかな？という感じの 女性と女の子がいた。当時私の息子は小学生。 チームメイトの母親と妹だと 元旦那が教えてくれた。ガタガタの砂利道もある練習場に ピンヒールと豪華な服で 来なくちゃいけないのは さぞかし不便だろうなと思った。ところが。 それが普段の姿らしい。なるほど。 彼女みたいな人には 舞台で使う…

久ぶりに魔法を使った。普段はあまり意識せずに 日々のミラクルを楽しんでいる。職場へ向かう途中に 念を言葉にして飛ばす。 そんな感じでたまに 意識的に魔法を使ってみる。昨日は「りぼん」という呪文を 運転しながら声に出した。 しばらく「りぼん」を 職場で作っていなかったから。魔力は健在。職場に着いて2時間後に 「りぼん作りを手伝って」と 経営者から声がかかった。よっしゃ！ 心のなかでちいさな ガッツポーズをする。「りぼん婦人」というあだ名で 自宅作業をしていた縁がつながり 今の職場で手仕事をやっている。たくさんのりぼんを作っていた。 家の作業机やベビーシッター先の キッチンテーブルの上で。イタリア…

ここ数ヶ月の間 なるべくデジタルの世界よりも リアルなアナログ生活を 優先して暮らしてみた。気が向けばスマホで 写真や動画を撮影して デジタル世界にアップもした。 時々ブログも書いた。だけど。発信のための写真撮影よりも できたての料理を味わうことや その場にいる人とのおしゃべりを どまっすぐに楽しんでみた。不特定多数の顔のわからない どこかのだれかに向ける発信より 自分の周りにいる人や 手元にある物に集中した。軽快で心地よい時間が ぐんと増えた。やっぱり本物のリア充の 大部分の人々はデジタル界隈を うろついていないんだろう。 そんな気がする。インターネットに溢れる 雑多な情報はほとんど必要ない…

近未来物語の冒頭に クッキーの描写が登場する。 いやしくもクッキーと名をつけるなら と、括弧書きで強調して。どの時代でも場所でも 家庭で作られる料理や菓子は とてもシンプルだった。多少複雑な工程があったとしても 発酵や成熟を待つとしても それ相応の手間暇をかけて 過程そのものを味わっていた。簡単に手軽に手に入る 仕組みと引き換えに ヒトは様々な材料を加えて あらゆる作業を簡易にした。同じものを大量に作る。 手軽に運べる形にする。 とにかくたくさん売る。 外見を整えてイメージ洗脳する。それがあたりまえになった。 それをビジネスと呼び たくさんお金が動くならば それは「いいこと」だと 大衆に植えつ…

ただいま久ぶりの日本を満喫中。 イベント準備をしながら 家族や友達とのひとときを 楽しんでからお風呂に入って寝る。それだけで幸せ。今この瞬間の自分の感覚と 周りにいる人との交流を 全身で味わって楽しむ。家族・友達のあれこれに 必要以上に介入しないけど たくさん話を聞いて たくさん話をして 会話を楽しむ。たいてい日本に住んでいる人は 親切で丁寧だから どこで何をしても 心地よく過ごせる。極まれに不可解な態度や反応を 示すヒトは現れる。どうでもいい、と思う。私の人生に直接関係ない人に なにをどう言われてもスルー。物事がうまくまわってない そんな時期には誰だって イラついたり嫉妬したり そんな瞬間が…

ざわざわやもやもやを感じたら ん？なぜ？どうしてかな？ と、自分に聞く。アトリエに山程ある素材を減らして 作業しやすくなるように 使ってくれそうな友達や団体に 譲って受け取ってもらった。ウイルス騒動の前に 3人の友達が我が家にきた。 それぞれ欲しい物を選んで 持ち帰ってもらった。その中のひとりが 糸をすべてまとめて引き取って 叔母にあげると言った。創作に使う時もたまにあるから 私が使う分だけ選んで 日を改めて彼女が取りに来る という話になり その日のやりとりは終了。けれども糸引き取りの申し出が なんとなく引っかかり 違和感を感じた。その後ロックダウンなどがあり 移動に規制がかかった。日常生活が…

母や伯母と一緒に 美術館を訪れる機会が 小学生の頃に何度かあった。幼い頃にいろいろな 表現方法を直接眼でみることは 私にとってはとても貴重な そして大きな財産となった。歴史背景や技法のうんちく 美術界隈の光と闇などを 知識として知らない状態で 作品をただ眺めるという経験は 後に「物事をそのまま観察する」 という大切な視点にスライドした。「人の肩書や名声」 「作品の背景や価格」そういったうわべに左右されない ものの見方を養う経験になった。時は流れ、私の結婚式のために 彫刻家の伯母がイタリアに来たとき 一緒にフィレンツェを周った。名作がたくさん並ぶ ウフィツィ美術館に入ったが 彼女はそれほど魅入る…

お近くの方はぜひ遊びに来てください🎶 Instagram ノスタルジックイラストエッセイ https://www.instagram.com/simplelife.in.italia スケッチ・ポートレート・創作作品 https://www.instagram.com/yluna_creations 食べ物と暮らしのイラスト https://www.instagram.com/yluna_illustrationsX(Twitter) 【Simple Life in Italia】https://x.com/YaegashiLuna 【IV illustration】https://x.com…

お近くの方はぜひ遊びに来てください。 Instagram ノスタルジックイラストエッセイ https://www.instagram.com/simplelife.in.italia スケッチ・ポートレート・創作作品 https://www.instagram.com/yluna_creations 食べ物と暮らしのイラスト https://www.instagram.com/yluna_illustrationsX(Twitter) 【Simple Life in Italia】https://x.com/YaegashiLuna 【IV illustration】https://x.com…

ミュージカル・バレエ コンサート・イベント それぞれの舞台にふさわしい 衣装やアクセサリーがある。日常生活でも然り。それぞれの仕事に適した装い 私生活の行動にぴったりの服 くつろぐための部屋着華やかで派手でなくても それぞれのシナリオで 私達は生きている。 それに合った舞台衣装がある。外見だけを気にして やたらと武装していた頃は 戦っていたんだな、と思う。 だけどそれも楽しかった。服装のバランスを整えて 靴・鞄・アクセサリーを コーディネートするのは 大好きだし得意技のひとつ。ピアス・ブレスレット・ネックレスを その日の装いにあわせて選ぶ。 おまもりっぽいなあ、と思いながら。色と形のバランスを…

何かを表現したいという意欲は 人間が生きるための大切な 栄養源のひとつ。生来とても器用に色々なことを さらりとこなす身体能力を 両親から授かった。器用貧乏というやつに なりかねない資質を そこそこうまく乗りこなして 生きてきたと思う。実際に行動してきて確信したのは 大衆が見逃しがちな物の中にある 隠れた可能性を最大限に引き出す 心眼と手先の器用さは 天下一品だということ。端切れや残り素材など 廃棄物としてあっさり処分される 物達の声が聞こえるし クリアにヴィジョンが見える。これをこう仕立てたら こんな感じに素敵な物が出来上がる。 という一連の流れが ぶわっとなだれ込んでくる。そしてそれを完成さ…

というコメントを3回目にした。 YouTubeの動画コメント欄に そういう書き込みがあった。もし本当に誰も助けてくれないなら YouTubeだって見られないし コメント欄に書き込みすらできない。どこかで誰かがインターネットの システムをサポートして コメント欄に書き込みを できるようにしてくれている。スマホかパソコンを考えて作って 売ってくれる人がいるから それを使って自己表現したり 楽しんだりできる。そもそも生きているなら 食べるし寝るし排泄する。 最低限でも何かをやる。食事を作ってくれる人がいなくても その食べ物を作る人がいて 店に並べる人がいて レジで会計をしてくれる人がいる。家を作る材…

23年間の相棒だった かわいい緑の車と 満月の朝にさよならした。イタリア暮らしの思い出に 寄り添っていた愛車なので かすかな切なさが たまらなく心地よい。受け取ってくれる人が せっかちタイプで 約束の時間より 1時間前に電話が来て あっという間に手続き完了。同日、その事務所で 新しい車の名義変換を 同じ女性が担当してくれた。てきぱきと機敏な手腕で またしても10分程度で 変更作業が完了。予め連絡していた 車両保険の手続きも サクッと終わって ひとり乗りUFOみたいな車が これからの私の相棒になった。普段は午前中に針仕事をする。 だけどその日だけピンポイントで とある事情で重役出勤をしてくれ、と…