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ittiのBL創作小部屋 http://itti57.blog.fc2.com/

R18有。切ないけど楽しい物語。同級生、リーマン、日常系のお話です。

オリジナル小説・イラスト・漫画など 何でも思うまま創作中

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2016/01/12

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  • ほどける指先 162

    「おまっ、、、そういう事は自分で云うから」 岸は黒田に掴まれた肩をぐるんと回して跳ね除けると云った。そして千晶の顔を見ると「ごめん、時々変な事いうんだ、コイツ」と云って照れくさそうに笑う。「.....ぁ、いえ、.....」と、言葉に詰まるが、千晶は靴を履いてしまうと「あの、ホントに一人で帰れますから」と云って、一礼して玄関のドアを開けて外に出た。岸は付いて来ようとしたが、千晶が階段を駆け下りて行ったので立ち...

  • ほどける指先 161

    岸と黒田の視線が自分に注がれているのを感じて、千晶はなんと言おうかと戸惑った。口にしてはいけない事実。正美の為にも、ふたりの関係は言えない。「正美はいいアニキですよ。ちょっと俺の事を子供扱いするけど、まあ、いいアニキです。弟として俺の事を好きなんだと思います」 ちゃんと自然に言えただろうか。言い終ると千晶はホットケーキを口に運んでゆっくりと嚙みしめた。その間にも心臓はドクンと脈打つが、コーラで喉...

  • ほどける指先 160

    キッチンからいい匂いが立ちこめてくると、暫くして皿を持った黒田が千晶と岸の前にやって来た。「おっ、これはホットケーキじゃん。黒田の作るの美味いんだよなー」 岸は目の前に置かれたホットケーキを見つめると云った。それから千晶の顔を見ると「遠慮しないで食べなよ」と微笑む。「お前が云うな。作ったのはオレだし、藤城の弟にはオレが云う」と、黒田は岸の頭を小突いた。「あ、いただきます」と、黒田に云うと、千晶は...

  • ほどける指先 159

    繁華街からほど近い所にある、スナックの様な店の前で止まった岸は、入口を指さすと「ここに入ろう」と云った。「え?ここって.....」 千晶は店の看板を見上げると、少し戸惑う。どう見ても大人の人が入る店の様な気がして、自分が入ってもいいのだろうかと、岸の顔を見た。「あ、ここって友達の母親がやってる店なんだ。今はまだ開店前だから、大丈夫だよ。それに、この上が住まいになってて、ちょっと飲み物と何か食べさせて...

  • ほどける指先 158

    食事が終わると、ふたりはゲームセンターに向かった。店内は思った通り学生が多くて、自分たちと同じぐらいの中高生が目立つ。中には親と一緒に来ている小学生も居たが、人気のゲームの前には高校生らしい男子がたむろっていた。「結構混んでますね。なんか、順番待ちしなきゃいけないみたい」「そうだね、あの辺はオレと同じ高校生だな。知った顔のヤツも居るから.....」「あ、そうなんですか?.....どうしよう、奥の方に行きま...

  • ほどける指先 157

    * * * 正美が怪我をしてから2週間、千晶は甲斐甲斐しく世話を焼きながら、自分も塾と宿題を片付けるのに忙しい日々を送っていた。ある日の事、携帯に一通のメールが届いた。画面を見て、千晶は「あっ」と声を出すと一瞬悩む。メールは岸からのもので、明日、遊ばないかという内容だった。 明日は塾の無い日で、正美も部活に行くというので一日暇ではあった。が、岸の事をあまり良く思っていない正美には相談出来ない。自...

  • ほどける指先 156

    朝になると、千晶は正美を起こさない様にベッドからそっと降りる。寝返りが打てないせいか、夜中に何度も目が覚める正美は、朝方になると漸く寝つけるみたいで、千晶が起きる頃にはぐっすりと寝息をたてていた。 ちょっと前までは、正美に起こされていたのに、と思うと、自分でも成長したなと思う。料理も少しなら作れるようになったし、少しづつ正美に近付いている様な気もする。 鼻歌交じりに一階に降りて行くと、京子が出掛...

  • ほどける指先 155

    多恵子が帰って行くと、千晶はリビングでテレビを観る正美の横に腰を下ろした。「ばあちゃん、意外と元気そうで安心したな」と云うと、「そうだな」と正美も微笑む。昨年の事もあって、身体の心配はしていたが、自分の時間が作れるようになって、祖母も楽しんでいるのが分かる。「そうだ、.......父さんは結局遅くなるって、さっきメールが来てた。設計の方でゴタゴタしてるらしいよ。オレには分かんないけどさ、お母さんに悪い...

  • ほどける指先 154

    久しぶりに祖母の多恵子を交えての夕食。千晶は嬉しかった。昨年、多恵子が倒れて入院するまでは、正美がこの家に来てからずっと三人で食卓を囲んでいた。両親との繋がりよりも、こうして祖母と正美が居てくれる事が何よりの安心感を与えてくれる。「おばあちゃんの唐揚げ、やっぱり最高に美味しい。前に千晶と作った時は、味がイマイチ薄くて」 正美はフォークで唐揚げを持ち上げながら話す。「唐揚げはね、先に味付けしてから...

  • ほどける指先 153

    バスが最寄りの停留所に着く頃には、黒田に対する緊張感も無くなっていた千晶。ゆっくりと家まで歩いていると、前方からやって来る松下の姿が見えた。「あ、アジー久しぶり。どこ行ってたの?」 松下は口角を上げると、早足で千晶の前にくる。日焼けした顔は満面の笑みで、夏休みに入って初めて顔を合わせたので喜んだ様だ。「オッス、久しぶり。俺は塾の帰り、お前はどっか行くの?」「えへへー、実は彼女と映画観に行くんだ。一...

  • ほどける指先 152

    塾の時間をみながら仕度をした千晶は、リビングのソファーに寝転んでいる正美の所にやって来ると、声を掛けた。「じゃあ、俺は塾に行くから、帰ってきたら夕食の準備をするね」 なんとなく正美を一人にするのは可哀そうだと思うが、塾を休む訳にもいかない。ソファーで寝転んだまま、顔だけをあげて千晶を見る正美は、渋々笑顔を向けてくれる。「いってら。........あんまり無理して早く帰らなくてもいいよ。しっかり勉強頑張っ...

  • ほどける指先 151

    少し窮屈な格好で寝たせいか、目覚めた正美はベッドから起き上がると首をゴキゴキと鳴らす。「あ、正美、......よく眠れた?」と、千晶は伸びをすると訊ねた。「ん~、やっぱり寝返りを打つ度に気になって、なんか寝た気がしない」「暫くは仕方ないよ。家に居るんだし、眠くなったらソファーで寝ててもいいからさ、身体を休めなきゃ」 そう云って起き上がる千晶。正美の腕を心配そうに眺めるが、正美は「ボール触れないのも辛い...

  • ほどける指先 150

    ベッドの縁に腰掛けた正美は、乾いた髪を左の指で確かめると、満足そうに目の前の千晶に微笑んだ。「人にやってもらうのって楽だな」「腕が治るまでは毎日俺が乾かしてやるよ。あと、風呂も」 そう云うと、フフフッと含み笑いをした千晶。ドライヤーのコードを巻き付けると、所定の場所に仕舞う。「俺は自分のベッドで寝るから。正美はゆっくりして」 正美の頭に手を置くと、そう云って離れようとしたが、手を掴まれて引き戻さ...

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