前回の投稿から暫く離れてしまいました最近ではボーイズラブのドラマも人気の様で、アイドルの様な美麗な男性が主役をされていますね人気俳優への登龍門的な要素もあるのでしょうか (仮面ライダーに継ぐ?)ドラマはコミックが原作のものが多く、私も読ませて頂いていますのでドラマもたまに観ますコンプライアンスがあるので公共電波では表現が狭められてしまいますよね個人的にはもっと攻め込んでほしいものですが・・・・中...
R18有。切ないけど楽しい物語。同級生、リーマン、日常系のお話です。
オリジナル小説・イラスト・漫画など 何でも思うまま創作中
正美の咥内は温かく、うねる舌が肉壁の様に千晶の硬芯を締め付けると、声が出そうになるのを必死で抑えた。飛びそうになる意識の中で、ふいに松下の事が頭を過ぎって、こういうの、アイツも経験したんだろうか、なんて思ってしまった。両手で口を塞ぎながらも、中心に集まる快感の嵐を抑える事は出来ない。「んんっ、.......ぁ、...............んふっ...............ゔっ..............」 自分から発する吐息交じりの声が頭の...
背中に回された腕が解かれると、千晶の頬にフッと唇が当たる。正美の指先は首筋を撫で、反対の頬を軽く支えると口づけをした。甘いくちづけをされると、身体は宙に浮いてしまう程心地よくて、千晶は先程までの不安や怯えも飛んでしまいそう。何度もくちびるを食む様に、キスの雨が降って来る。その度に身体が熱くなるのを感じると、自然とへその下あたりがムズムズしてきて、足の置き場に困った。「硬くなっちゃったね、ここ」 ...
急に胸の奥が痛くなった。千晶は自分の手の中にあると思っていた。それが、こんな事を云いだすだなんて............「カノジョ、ってなに?........どうしてそんな事云うの?」 正美は千晶の肩をギュッと掴むと訊いた。多分、今までで一番低いトーンの声だったと思う。自分で云ってちょっと驚くが、千晶は目を伏せたまま答えなかった。「オレが部活ばっかで、千晶との時間が少ないのは悪いと思ってる。ご飯も手伝えなかったし。...
食事が終わると、正美は先に風呂へ入ると千晶に云ってキッチンから出た。様子がおかしいと思いつつも、それ以上は訊けない。いったいどうしたっていうんだ?二階の自室に向かいながら頭を捻るが、正美には分からなかった。 相変わらず部活の練習はキツクて、正直今はそれについて行くのがやっとで。部活と学校の勉強、それが正美の中では一番こなさなければいけない問題だった。もちろん千晶の事が大事だ。でも、それはこの先も...
どの位時間がたったのか..... ガチャっという音がして、テーブルから顔を上げると時計を見てビックリする千晶。もう7時はとうに過ぎ、8時前になっていた。キッチンのドアが開くと、「ただいまー」という声と共に正美が入って来る。が、千晶の様子を見て一瞬で変だと悟った。制服のまま、鞄も床に置いて椅子に腰かけている。正美の方を向いた顔がギョッとした表情で、声も出ないといった感じで。「どうかした?具合でも悪いの...
千晶は、人気のないキッチンの椅子に腰掛けると、ぼんやり正美の顔を思い出す。最近は疲れてる顔しか見ていない気がした。部活の練習は本当にキツイのだろう。でも、一緒に寝る事で癒されると言われ嬉しかった。 もし、自分が正美の彼女だったら、松下の様に嬉しそうな顔をして友達に話せるのだろうか。義理とはいえ弟の、同性とエッチな事をしているだなんて、口が裂けても言えないだろう。自分だって誰にも言えない。 段々と自分...
ぼんやりしながら家までの道を歩くが、隣にいる松下の言葉は入って来ない。童貞を卒業って.......その相手ってもちろん彼女だよな、と思いながら、頭の中は色々な妄想が巡っていた。とはいえ、女子の身体なんてなんとなくでしか見た事がないし、想像しようにも自分と正美の行為しか知らないので頭の中はぐちゃぐちゃ。「おい、......アジー、........聞いてる?」「........ぁ、ごめん、なに?」 千晶は気を取り直して松下の方...
部活の間中も、ずっと江本の云った言葉が脳裏に残って離れない。千晶は、一向に進まない筆をぼんやり眺めると、首に残る絆創膏に触れた。今朝、正美が貼ってくれたので、その時の仕草を思い出しては一人悦に浸る。正美も江本の様に思っているのだろうか。どうして自分を選んでくれたのだろう、と考えてしまう。「今日は一緒に帰れるからさ」 そう云ったのは松下で。画材道具を棚に仕舞うと、千晶と江本の元にやって来た。「カノ...
移動教室に向かう生徒を見送って、最後まで教室に残った千晶と江本。他に人がいないのを確認すると、千晶は鞄から本の入った袋を取り出して江本に渡した。「なんだか悪いブツでも取引してるような感じだね」 袋を受け取った江本が笑いながら云う。確かに、人目を忍んでコソコソと渡すなんて、人が見たらなんの取引かと思われそう。「悪い物じゃないけど、漫画自体学校に持って来ちゃいけないんだからさ。それも、内容がこんな.....
江本から借りた本をこっそりと仕舞い、通学鞄をドキドキしながら抱えると教室に入って行く千晶。春の暖かい風のせいなのか、それとも緊張からか、うっすらと額に汗をかいていた。「おはよう」と、教室の生徒に挨拶をしながら席に着いたが、視線は江本を探した。でも、まだ登校していなくて、鞄を開けるのを待つことにする。江本の顔を見たら、速攻で本を返そうと思っていたからだ。 近くに座った生徒と、他愛のない話をしながら...
本を閉じると、千晶は天井を見上げる。心を落ち着かせようとしているのだが、目眩がしてベッドの上なのに手で身体を支えた。同時に、本は床にトサッと落ち、表紙の絵だけが華やかに見えた。女性のグラビア写真は目にする事もあるが、この、男同士の性描写は初めて見るし、自分と正美がしている事もあったが、その先にもっと凄い事があるなんて知らなかった。「どうしよ、なんか、.............正美には見せられないな」 おもわ...
キッチンでオムライスを作っている間も、千晶は机にしまった本の事が気になっていた。表紙しか見ていないが、江本の云っていた男同士の恋愛漫画って、どんな内容なんだろう。女の子が好きそうな作品は、映画化されたりして、コマーシャルだけど観た事がある。同じような感じなんだろうかと、思いを馳せた。 自分と二人分の夕食を用意すると、両親の分は味噌汁だけ取っておいた。おかずは冷蔵庫に作り置きの物があり、オムライス...
本屋に入ると、新作の小説が並べられていて、そういえば最近本を読むことがなかったな、と千晶は思った。江本が先に進んでいくので、仕方なく付いて行くと参考書でも見に行くのだろうと思っていたが、コミックのコーナーの方に向かっている。あれ?と思いながらも、漫画は嫌いではないし、紙の本は最近買う事もなかったので新鮮だった。目新しいコミックを手に取ると、江本が「藤城、ちょっと来て」と呼ぶ。棚の反対側にいるのか...
部活を終えて帰路についた千晶。途中までは松下と江本も一緒に帰るが、松下はカノジョと会う約束があるとかで、途中で別れた。江本に冷やかされて照れながら走っていく松下を遠い眼で見ていると、江本が「藤城も見た感じ彼女が居そうなのにな。結構女子に人気あるの知ってる?」と訊いてくる。「前は自覚あったけど、アレ、俺のアニキのお蔭だった」 千晶は足元の小石を蹴ると、つまらなさそうに云った。「いっこ上の?前に見た...
白い画用紙に向かっている時間は好きだった。運動はそこまで好きじゃないし、美術部は案外緩くて部活を休んでも文句を云われることはない。コンクールの時だけちゃんと作品を仕上げれば、後は好きなイラストや漫画を描いている生徒もいる。千晶はデザインが好きで、作品を仕上げるよりはデザインの本を読んでいる時間の方が長かった。それでも、コンクールではいい成績を残す事もある。表彰もされたが、それ自体はあまり関心がな...
千晶が制服を着替えていると、正美はすかさず絆創膏を手にやって来て、首のキスマーク痕に貼ってやった。「もう、ヤダなぁー。絶対友達につっこまれる。そうでなくても、松下なんか彼女とキスしたいとかわめいてるのにさ」 千晶は口を尖らせると正美を睨んだ。中学3年にもなると、男子の興味はそんな事ばかり。受験は別枠の様だ。付き合っている相手がいるなら尚更興味を持つ。「悪かったよ。これからは見えるとこにはつけない...
疲れもあってか、正美の方が先に果ててしまうと、ぐったりと千晶の横に倒れ込んでしまう。正美は上下する胸に手を当てて呼吸を整えようとするが、身体がだるくて動けそうになかった。横に顔を向けて千晶の表情を窺うのがやっとで。 すると、千晶は正美の上に乗っかって、自身のものを擦りつけながら小さく喘ぎ声を漏らすと、自分で高みに昇りつめていった。はっ、はっ、.............あぁぁ.............んあっ、.................
寝る準備をした千晶だったが、なんとなく母親との事でモヤモヤしたままで、正美の傍に居たくて部屋を訪ねてしまった。ノックをすると、いつもなら入っていいよ、という声が聞こえるのに、今夜は返事がない。気になって部屋のドアをそっと開けてみると、既に布団に入っている正美が見える。部屋の電気は点いているので、まだ寝るつもりはなかったのだろう。「まさみ、.......まさみ、電気消していいの?」と云って近くに顔を寄せ...
京子が風呂から出て来てキッチンに来ると、千晶が食器を洗っているところだった。後ろ姿を見て、随分と大きくなった事を実感すると、胸の奥が少しだけ傷んだ。可愛い盛りの3歳ごろから母の多恵子に預けっぱなしで、自分は千晶と向き合ってこなかったなと思う。反省する事ばかりで、心の中では申し訳ないと思いつつも仕事が優先順位を占めてしまう。背中を見つめながら、「千晶、身長伸びたでしょ?」と訊いた。「え?なに突然。....
キッチンに立つ千晶の元に絆創膏を持って来た正美。「これで隠せるから」と、それを剥すと首のキスマークの痕に貼ってやる。「ったくもう、明日ひやかされたら嫌だなぁ」 千晶は絆創膏を指で押さえると口を尖らせた。 食事をとりながら学校の話をしていると、暫くして京子が帰って来た。「ただいまー」と云いながらキッチンに顔を出すと、書類の入っている大きな黒のカバンを床に置き「ふう~」と疲れた顔をして吐息を漏らした...
「ブログリーダー」を活用して、itti(イッチ)さんをフォローしませんか?
前回の投稿から暫く離れてしまいました最近ではボーイズラブのドラマも人気の様で、アイドルの様な美麗な男性が主役をされていますね人気俳優への登龍門的な要素もあるのでしょうか (仮面ライダーに継ぐ?)ドラマはコミックが原作のものが多く、私も読ませて頂いていますのでドラマもたまに観ますコンプライアンスがあるので公共電波では表現が狭められてしまいますよね個人的にはもっと攻め込んでほしいものですが・・・・中...
「聡くん、東京に行っちゃうのねぇ、寂しくなるわね」 店の準備のために部屋を出るところで母のアケミがポツリと云う。 リビングのテーブルで昼食を食べていた黒田は、そんな言葉に振り向くと「岸だけじゃないよ、俺の仲良かった奴らは殆ど地元から離れて行く」と、箸を持ったまま呟いた。分かっている事でも、こうやって口に出してみると、心の中にぽっかりと穴が空く様だった。 「康介が此処に居てくれて、母さんは嬉しいけど...
卒業式当日。まだ少し肌寒い朝、着慣れた制服に袖を通すと、少しだけ感慨深い。この制服を着るのも今日で終わりだ。 卒業式を行う体育館に集まると、クラス別に椅子に座って前を向く。壇上では校長が卒業生に向けての言葉を手向けているが、黒田はそれを聞きながら特進科に居る岸の姿を探した。朝はクラスの連中と話していて、岸とは挨拶を交わしただけ。 ふたつ離れた列の少し前に居た岸の後ろ姿に、遠くから視線を送ると、ふ...
-----------------3月 予定通り、岸と西岡の合格発表があり、4人は互いの合格を祝い、そして明日の卒業式を迎える前にパーティーをしようと集まった。 場所は良く通ったカラオケボックス。それぞれに飲み物や料理を注文すると、沢口がひとりマイクを持って立ち上がった。「えーっと、ひとまずみんなお疲れ様!みんな進学出来て良かった!!って事で、カンパイしようぜ」 沢口に促されて、それぞれが椅子から...
怒涛の年末年始が過ぎると、すぐに岸や黒田たちは受験を迎えた。 結局、あの日以来黒田と岸が二人きりになる事はなく、互いを気に掛けつつも高校の3年間を終える日は迫っていた。既に進学が決まった者や就職の決まった生徒は、残った時間を楽しもうと旅行の計画を立てる者もいる。 黒田も専門学校への入学が決まり、バイトは少し日数を減らす様にしていた。「みんなバラバラになっちゃうの寂しいなぁ」 授業が終わりいつも...
3人掛けのソファーの上、いつしか黒田が岸の上に乗る形で抱き合うとキスを交わす。張りのある岸のすべすべの頬を愛しそうに撫でる黒田。こんな風に岸の肌に触れるのは初めての様な気がする。多分。いや、プールでふざけ合って触れてしまった事はあったか。 そんな事を考えながらも、黒田の手は頬を撫でたり首筋を這ったり。唇はゆっくりと感触を確かめるように重ね合わせた。 向きを変えようと、黒田が身体を捻った時に太腿が...
静かな空間で対峙するふたり。岸は少し泣きそうに眉根を下げている。「............なんでそういう事云うんだよ。オレの家が裕福だから自由だって云いたいのか?」「少なくとも、俺よりは。俺はバイトが無きゃ進学も出来ないし、遊びに付き合うのも金のかかる遊びは出来ない。今までは母さんが不自由のない様にと無理してくれてただけだ」 そう云うと、黒田は下を向いた。こんな話をするのは多分初めてだ。岸たちと遊ぶのは、バ...
突然の岸の言葉に、黒田は首を傾げる。「報告って?」「オレさ、東京に行くって決めて住む所とか検索してんだけど、なんか、そしたら急に黒田のいない生活が怖くなっちゃってさ」 そう云った岸の表情が、今まで見た事のない不安そうなもので。黒田は一瞬相槌をためらった。「なあ、黒田も東京の専門学校を受けない?受かったら一緒に住もうよ」 唐突な話に黒田の思考は停止する。「..............は?何云ってんだ?」「オレに...
久しぶりに岸と西岡、沢口が黒田のバイト先にやって来た。世間はクリスマスイベントに浮かれ、大学受験を控えた者たちは浮かれている場合ではない。が、息抜きの為か、沢口が岸と西岡を誘ったらしい。「学校で顔合わせてたのに、なんかすっごく久々に顔見た感じ」 沢口はテーブル席に腰を下ろし、黒田に向かうと云った。続いて西岡が、「黒田は岸とは会ってたんじゃないの?」と訊ねたが、岸も黒田も互いに首を振ると「休みに入...
* * * 木枯らしが吹き荒ぶ季節。冬休みに入ると、いよいよ岸も受験を間近に控えて遊んではいられなくなった。 黒田は年末年始に向けてバイトも忙しくなり、前ほど岸たちとつるむ時間はない。ひたすら自分の時間はバイトに費やしていた。「黒田くん、大晦日もバイトに入れるかな?出来たらお願いしたいんだけど...」 申し訳なさそうに、店長がスタッフルームに入って来た黒田の顔を見る。「予定はないので、別に構わないで...
翌日、黒田と岸が登校すると、3年生の昇降口に正美の姿が見えて、一瞬岸の足が止まった。「......藤城?」と、黒田が岸に聞こえる声で云ったが、また歩き出した岸は真っすぐに正美の正面に進んで行った。「おはようございます」と、岸の顔を見て云った正美。何処か強張った表情ではあったが、眼差しは真剣だった。「おはよう」と答える岸に、正美が頭を深く下げると「昨日は殴ってすみませんでした」と謝る。素直に謝罪の言葉を...
翌朝、黒田は早めに起きると、岸の為に朝食を用意してやった。まだ鼻の辺りが痛そうで、あまり咀嚼しなくても良いものをと考えて、コーンスープとスクランブルエッグに小さめのパンケーキを焼く。 作りながら、昨夜の言葉を思い出していた。おもわず岸の事を好きだと言ってしまったが、その感情が普通なのかどうか、自分ではよく分からない。ただ、岸と離ればなれになるのが怖い様な気がした。異父兄弟で親友で、誰よりも岸を理...
ベッドの中で、岸は眠れずに携帯画面を眺めていた。色々な動画を目にすると、時間は知らず知らずのうちに流れていく。「痛むのか?」と、背中合わせになった黒田に訊かれ「少しだけ」と答える。 痛みは随分と引いた様に思うが、表情を変えると鈍い痛みが走る。ずっと冷やしていたから腫れは大分よくなったが、鏡を見るのがちょっと怖い岸だった。「どうして、わざわざ藤城に弟との事話したんだ?別に黙ってればよかったんじゃな...
鼻を押さえる岸は、バスの中で目立っていた。高校生が多く乗り込むバスの中で、チラチラと岸の方を見る視線が痛いのか、吊革につかまっている岸が黒田の背中に顔を隠す。 暫くして停留所に着くと、急いでバスを降りた。漸くホッとしたのか、岸は押さえていたタオルを離すと「タクシーで帰ればよかった」とふて腐れた様に呟く。 黒田の部屋に辿り着くと、早速着ていた制服とジャージを脱ぎ捨てて、前に自分が寝泊まりする時の為...
鼻を押さえながら、保健室に向かう岸と黒田。 正美は教師に連れられて職員室の方に向かって歩く。その姿を振り向きながら見る黒田は、隣の岸に「お前、藤城に話したのか?弟の事」と小声で訊ねた。「........うん、千晶くんの事ごめんねって云った。そんで、やっぱり女の子とは違うから、最後まではしてないよって云おうとしたんだけど、途端に殴られた」「...........そりゃあ、殴られるわ。.........藤城の顔見ただろ?鬼の形...
なんとなく浮かない顔のまま、翌日黒田は岸のクラスを訊ねた。特進科の生徒はいかにも勉強熱心な顔をした者ばかり。その中で、見た目派手な岸の姿は浮いていた。だからなのか、教室を覗けばすぐに岸の姿は見つけられる。「岸、帰ろうか」 黒田が教室に入って行けば、周りの生徒がチラチラと黒田に視線を向ける。岸とのバランスが悪いのは昔から。対照的な風貌のふたりが親友同士だとは思われないだろう。それでも、この3年目に...
夏休みも終わり、いよいよ大学受験を控えている岸や西岡たちは、勉強のために塾へ通う頻度が増えてきた。 黒田の部屋に集まってバカ騒ぎしたり、ナンパしてきた女の子と遊ぶ事も減って平和な毎日を過ごしていた黒田だったが、相変わらずバイトは続けていた。岸たちと遊ぶ時間が減れば、自ずと散財もしなくなる訳で、正直このままいけば学費の足しにはなると思っていた。 この日、黒田はいつもの様にバイトを終えて家に向かう途...
岸が「千晶くん」と呼んだので、西岡たちも千晶の方に顔を向けた。 千晶に駈け寄って行った岸が、何やら話しているが、黒田から見るとあまり気乗りしていない様子で、岸が無理強いしているのでは、と思う。案の定、岸は千晶の肩に手を置くと、黒田たちに向かって「オレ、千晶くんと一緒に行くからー」と嬉しそうに声をあげた。 野次を飛ばす沢口や西岡たちを無視するように、千晶と連れだって神社に向かって歩く岸を黒田は少し...
ある日、沢口からメールを受け取った黒田。 暫く顔を見せていなかったので、てっきり彼女と上手くやっているのかと思えば、早々に別れたらしい。「なあ、黒田の家の近くに神社があるだろ?あそこで祭りをやってるらしいんだけどさ、遊びに行かないか?岸と西岡も誘ってさ」 メールの後に電話を貰うと、沢口は云った。いつもの様に軽い物言いで、またナンパ目的なのだろうとは思う。「俺のバイトが終わってからならいいけど」「...
なんとなく、ぎこちないままゲームを続けていると、西岡がリビングのドアを少しだけ開けて顔を出した。 ドアが開いたのでそちらに視線をやった黒田に、「悪ぃけど、ゴムある?」と小声で訊く西岡。岸もおもわず視線をやったが、黒田は平然とした顔で「ベッド横の引き出しの一番下」と云う。「悪ぃな。サンキュー、あと30分ガンバル」 西岡はニッコリと笑って扉を閉めた。 岸はゲームの手を止めると「黒田もゴムなんか用意して...
千晶の異変に気付いたのは、夏休みが終わり二学期が始まってすぐの事。正美の部屋にも時々来る事はあり、正美はあの夜の事がトラウマの様になっていて、千晶に触れる時は細心の注意を払っていた。でないと、容易に壊してしまいそうで怖かった。 その晩も、千晶は正美のベッドに潜り込んでくると、性急に身体を求めて来た。そして、いつもの様に優しく触れる正美に対して、急に上体を起こすと「正美は俺の事負担に思ってるんだ...
夏休みも終わりに近づくと、課題を仕上げる為に午前中は自室に籠っている千晶。父の言葉を聞いた次の日に、それとなく謝る様なメッセージをもらい、かえって煩わせてしまったと思う千晶だった。あれから夕飯は自分と正美の分しか作らなくなった。母の京子に至っては、父とのやり取りを知る術もなく、相変わらず仕事に没頭する毎日で、子供としては両親の仲が心配になる。「ねえ、最近お父さんと母さん、ちゃんと会話してるのかな...
どうしても、父拓真の云った言葉が気に入らない正美は、部屋のドアをノックすると「入るよ」と云ってドアを開けた。「どうかしたか?」と、風呂の準備をしていた拓真が、着替えを手にして正美を見たが、その表情はあからさまに不機嫌そうで、すぐに今しがた自分が云った言葉のせいだと分かる。「父さんさぁ、千晶がせっかく料理を頑張ってるのに、あんな言い方は酷いよ。二人が遅くなるのは承知で、ちゃんと保存できるようにして...
ご飯を食べな がらの会話はいつもと変わらない。千晶は勉強で難しいところを正美に訊くし、正美はバスケで練習試合をした事やポジションが変わった事を話す。変わり映えしない話でも、食べながらのものはそれだけで楽しいと思えるし、食も進んだ。「洗い物はオレがするから、千晶はリビングでゆっくりしな」 立ち上がると、正美がそういうので、ありがとう、と云って千晶は自分の皿を渡すとキッチンから出た。 本当は正美の方...
今夜の夕飯は、簡単に冷やし中華を作って食べる事にする。キュウリやトマト、ハムに玉子を刻んで用意しておくと、後は麺を茹でるだけ。冷蔵庫にしまって、正美が帰ってきたら準備すればいい。 取り敢えず、先にシャワーを浴びる為に浴室に向かう。身体を洗いながら、最近正美に触れられていないせいで、性欲が溜まりつつあるが、それを自分で処理する気にもなれなかった。 簡単に済ませると、浴室から出て髪も乾かさないままキ...
あの夜から一週間、正美が千晶に触れる事はなかった。部活が始まると、疲れを理由にひとりで眠りたいといい、正美は千晶を遠ざけた。二人の間には、なんとなく共通して戸惑いがある。一線を越えて、繋がりたいという気持ちと同じくらい、どうなってしまうんだろうかと、不安もあった。それを払拭できないまま、取り敢えず夜は離れて眠る事にした訳だ。 千晶は、塾の帰りにバス停で岸に出会うのではないかと、気まずさも抱えなが...
ベッドの淵に腰を掛けて、見下ろした先に千晶の揺れる頭部が見える。そして時折見え隠れする自分の硬芯が、千晶のくちびるに飲み込まれると、腰のあたりが疼いてしまい力が入った。「ぁあっっ、..........」と、低く呻いてしまえば、チラッと正美を見上げる千晶の眼差しが、胸を射貫くように熱い。正美が感じているのかを確かめるように、何度も見上げられて、遂に正美の手は千晶の頭を押さえつけた。 吸い付かれて、その度に力...
必死に抱きついてくる千晶が可愛くて。 正美は、指先を丁寧に蠢かせ、出来るだけ痛くない様に孔を刺激する。本当は、自分の滾ったものをそこに捻じ込みたくて、でも、傷付けてしまうのが怖くて、勢いに任せてし始めた事を少し後悔した。前を扱きながら孔に入った指を少しづつ奥に進めると、急に千晶の身体がビクンと跳ねた。同時に、ひぁぁっ、と変な声が耳元で聞こえて、驚いた。「ど、どうした?」と、千晶の顔を覗き込むと、...
正美にキスをされて、そのまま後ろを弄られて、前に自分で慣らそうとした時には、指一本の先っぽがせいぜい。それも異物感がハンパなくて、諦めてしまった。なのに、今はキスをされているせいか、興奮状態だからなのか、あまり不快感は感じなかった。むしろ、ちょっと気持ち良かったりして、頭の奥がぼんやりしてくる。「ぁ、.......まさみ、ぃ...............」 息継ぎをした時に、思わず声が漏れてしまい、それが正美を奮い立...
ベッドに横たわりながら、正美は帰りに出会った岸の姿を思い出していた。あの表情を思い出すと、胸のあたりが苦しくなり、益々千晶を閉じ込めておかなくては、と思ってしまった。閉じ込めるなんて出来る訳がないのに.....。 千晶に、岸と会うなと云うのは、底意地が悪いと思われてしまうかも。でも、云わなければ千晶は簡単に岸の手にかかってしまいそうで。それだけは回避したかった。 沸々と思いを巡らせていると、ドアが開...
その夜、両親の帰りはいつも通り遅くて、千晶は正美の後にシャワーを浴びようと、リビングで待っていた。 テレビの音声を聞きながら、視線は携帯の画面に向けられている。祭りで久々に出会った吉村からメールが来ていて、それに返信をするが、内容は今日紹介された年上のカレシの惚気に対してのもの。ボーイズラブの漫画を借りてから、何度か行き来はあった。その頃は、まだカレと出会っていなくて、何なら千晶に好意を寄せてい...
人通りの少なくなった道で、腕を掴まれたままじっと黙っていると、そのうち家の方に向かって歩き出す正美に引っ張られる千晶。 肘の上あたりをグッと掴まれて、段々痛くなってきた。なのに、一向に掴んだ手を離さないので、千晶はとうとう声をあげると、離してよ、と云った。 フッと千晶に振り返り、漸く正美が手を離す。「痛いんだよ、力任せに掴んでさぁ。折れるかと思った」 そう云うと、腕を擦って見せる。「.....ごめん...
正美と岸の間に不穏な空気が漂い、千晶はおろおろとするばかり。 自分たちが血の繋がった兄弟でない事を岸が知っている。その事で、正美は千晶の顔を見ると、「お前が話したの?」と訊いた。「あ、......ごめ、......でも、別に隠す事じゃないし」 千晶は、正美に鋭い視線を向けられて、うわずった声で云った。別に、小学生の時からの友達や同級生には知られている事だ。頑なに隠す必要はないと思っていた。 岸は、尚も正美に...
正美の言葉に傷ついた千晶は、頬を膨らませたままどんどん先を歩いて行く。「ちょっと、千晶、、、、」と云いながら困り顔の正美。千晶の後を付いて行くが、その内諦めてゆっくり歩き出した。 千晶を弟と云ってしまった事で気を悪くしたのは分かっている。だが、事実だし、自分としては弟の千晶を好きになってしまったので、それは分かって欲しいと思う。 千晶の背中がどんどん遠ざかって、振り返りもせずに歩き続ける姿を見る...
雑踏へ戻って、飲み物の屋台を探す。プラスチックの容器に入った色とりどりのジュースが、南国を思わせるイラストの台の上に並んでいて、千晶はじっと物色しながら歩いた。可愛い形をしたストローが刺さっているのは、値段も高くてちょっと買うのをためらう。 少し歩いて他の屋台を探すが、ほとんど似たようなものばかり。かといって、自販機も近くには無い。仕方なく、戻りながら最初の店のジュースを買おうと、店の前に並んだ...
夏休み中、千晶たちの両親は何故か仕事に追い立てられている様で、相変わらず子供たちだけでの時間を過ごす事となった。 正美は、父と母が言い合いをしているのを聞いてしまって、それを千晶に云えないままいる事で、気持ちはとても複雑だった。「まあ、毎年こんな感じだよな」と、諦めた様な言い方の千晶に、正美も「そうだな」と同意するしかない。「おばあちゃんの家に行ってみる?」 正美がそう云ったが、千晶は祖母から旅...
塾の帰りに岸と出会う事が多かったせいで、千晶はバス停に着くと辺りを見回した。前回来た方向には見当たらなくて、少しだけ安堵する。 岸の事は別段嫌いではないし、センパイとして優しく接してくれるので、そこは有難いと思う。が、付き合うという事とは別だ。岸が、同性との付き合いを良しとする人種なのが分かって親近感を覚えたが、自分に矛先が向けられると曖昧な返事は出来ないと思う。それに、自分は正美以外の男を大事...
朝も早いというのに、セミの鳴く声で目覚めた千晶は、隣でうつ伏せのまま眠る正美の肩を揺する。「正美、起きなよ、部活行くんだろ?」 声だけ掛けると、自分は正美の身体を跨いでベッドから降りた。脱いで床に落ちたままのTシャツを被ると、ハーフパンツを穿いてもう一度正美の顔を見る。「おい、俺下に行くから、ちゃんと起きなよね」「.......う~ん、分かったぁ」 寝惚け眼を擦りながら、そう云って枕に突っ伏した正美。 ...
父の事が心配なのに、ふたりでベッドに入ってしまえば、火が付いた様に抱き合う千晶と正美。 互いにヌき合うと、大きく深呼吸をして正美は立ち上がった。「喉渇いたから水取って来る」 そう云って、Tシャツを着て、部屋から出て行く正美の背中を見送りながら、千晶は頭の片隅にしまった岸の言葉を思い出す。 階下に降りて行った正美は、リビングから両親の声が聞こえたので、声を掛けようと近寄って行ったが、なんだか声の調...
正美の体温を背中に感じて、いつもなら跳ね除けるところだが、今夜はなんだか安心して身を任せられた。一応は両親の帰って来ない事が大前提だが、回された腕が千晶の身体を弄って、腹や胸の辺りに伸びてくると少しだけ期待してしまう。案の定、正美の指先は千晶の胸の敏感な先っぽを捉えるとキュッと摘む。おもわず変な声が漏れそうになって、慌てて身体をグッと反らせると、後頭部が正美の顎に当たった。「イテッ、、、」と怯ん...