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  • 夏目漱石の『草枕』を読む。10

    第十章鏡が池の場面である。画工は鏡が池に来る。画工の興味深い「自然論」が語られる。余は草を茵に太平の尻をそろりと卸した。ここならば、五六日こうしたなり動かないでも、誰も苦情を持ち出す気遣はない。自然のありがたいところはここにある。いざとなると容赦も未練もない代りには、人に因って取り扱をかえるような軽薄な態度はすこしも見せない。岩崎や三井を眼中に置かぬものは、いくらでもいる。冷然として古今帝王の権威を風馬牛し得るものは自然のみであろう。自然の徳は高く塵界を超越して、絶対の平等観を無辺際に樹立している。天下の羣小を麾いで、いたずらにタイモンの憤りを招くよりは、蘭を九畹に滋き、蕙を百畦に樹えて、独りその裏に起臥する方が遥かに得策である。世は公平と云い無私と云う。さほど大事なものならば、日に千人の小賊を戮して、満...夏目漱石の『草枕』を読む。10

  • ホワイトハラスメント?

    ネット記事を見ていたら「ホワイトハラスメント」という言葉が出て来た。またか。なんでも「ハラスメント」という言葉をつけてしまえばいい風潮はうんざりだ。ホワイトハラスメントというのは、「過小な要求」型だそうである。例えば、他の社員の仕事とは違う軽作業を別室でするよう命じられたような事例、学校の先生の場合は、担任から外され掃除しかさせてもらえないといった事例などがあるという。常識的に考えてほしい。「他の社員の仕事とは違う軽作業を別室でする」というのは、ホワイトハラスメントではない。あきらかなパワーハラスメントである。「担任から外され掃除しかさせてもらえない」という先生がいるはずがない。「担任から外された」のは何らかの事情があるからであろうし、もし「掃除しかさせてもらいない」人が教員であるはずがない。この記事を書...ホワイトハラスメント?

  • 映画『悪は存在しない』を見ました。

    映画『悪は存在しない』を見ました。衝撃的なラストが、重層性を生みだす見事な作品です。「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督が、ベネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞を果たした作品です。舞台となるのは東京にわりと近いのですが、自然豊かな高原に位置にある町です。そこにグランピング場ができる計画が持ち上がります。その計画も地元民の感覚からすれば杜撰であり、反対する者が多くいます。その中で冷静に話し合いをすすめようとする一人の男がいます。主人公のタクミです。タクミについては多くは説明されません。まだ小学生の女の子と一緒に暮らしていますが母親はいません。写真には写っているので、もしかしたら死んだのかもしれません。背景が語られないのです。グランピング場の説明会では杜撰な説明がなされます。本来は芸能事務所だったのにコロナの...映画『悪は存在しない』を見ました。

  • 官房機密費も裏金に?

    「中国新聞デジタル」が、2013年7月の参院選で、安倍氏が東日本の選挙区で争う同党公認候補に現金100万円を渡していた疑いがあると報じた。同紙は、複数の元政権幹部の見方として、使途が公表されない内閣官房報償費(機密費)が使われた可能性を指摘している。官房機密費については、かねてから使い道が不透明であり、疑惑があった。しかしすべてが秘密であったために、証拠がなかった。もしこれが事実だとすれば、大スキャンダルである。自民党の政策活動費でさえ、これほど大きな問題になっているのである。政策活動費の原資は政党助成金や政治献金パーティー券収入などであり、裏金にしたことは大問題だが、政策活動費自体は「合法的」であった。(もちろん「合法的」であったこと自体が問題であったのではあるが。)しかし官房機密費を自民党のために使っ...官房機密費も裏金に?

  • 映画『ノスタルジア』を見ました

    タルコフスキー監督がソ連を亡命してイタリアに渡って作った映画『ノスタルジア』を見ました。難解な映画ですが、心を写す映像の迫力がすごく、圧倒させられる映画です。40年ほど前、タルコフスキーブームがあり、新宿のシアターアプルという劇場でタルコフスキー特集が組まれました。わたしはそこで主だったタルコフスキーの映画を見ました。難解な映画もあり、しかも長い映画もあったのですが、どの映画も不思議な迫力があり、強く印象に残っています。映画の芸術性を強く感じました。今回映画館で再び見ることができ、その映像のすばらしさと、メッセージ性の高さに再度触れることができました。タルコフスキー映画の大きな特徴は、水です。常に水が流れている印象があります。普通なら水がないような場所にも水が流れ込みます。そしてそこに過去の時間が流れ込み...映画『ノスタルジア』を見ました

  • 夏目漱石の『草枕』を読む。9

    第九章画工が部屋で本を読んでいる。那美が来て雑談を始める。画工は開いたところをいい加減に読むという。那美は理解できない。画工は筋なんかなくても面白いのだという。非人情に読むのだという。逆に筋を読むというのは探偵になるということであるという。漱石にとって探偵は忌み嫌う存在である。探偵は無理に筋をつける。しかし筋のないところに人間の真実がある。筋はあとからつけるものであり、無理な筋は人間の心を捻じ曲げるものなのだということかもしれない。人間は自分たちの行動に意味をもたせようとする。生きることに意味を持たせることによって何とか毎日を乗り切っているとも言えよう。しかしそれは「意味」に取り込まれるということになろう。社会にとっての「意味」とは「社会」にとっての都合によって作り上げられた虚像にすぎない。食事をとるのは...夏目漱石の『草枕』を読む。9

  • 消滅する自治体

    民間の有識者グループ「人口戦略会議」は全体の4割にあたる744の自治体が「最終的には消滅する可能性がある」とした分析を公表したという報道がなされていた。この「人口戦略会議」は何を言いたいのだろう。基本的に少子化が進み、人口は減少傾向にあるのは今更言うまでもない。そして若者はどんどん都市に移り住み、地方の過疎化が深刻になっていることは、この方たちに言われなくても分かっている。しかしどうしようもない現状なのであり、地方に住んでいる者は、日々その苦しみと戦っているのである。「人口戦略会議」の人たちはその地方住民の心の傷に塩を塗り付けただけだ。そもそも少子化がどうして始まったのか。そしてそれに対しての対策がどうして打てなかったのかをしっかりと分析していただかなければ話は進まない。そしてその分析をもとに、どう対応す...消滅する自治体

  • 映画『リトル・エッラ』を見ました。

    映画『リトル・エッラ』を見ました。不器用な女の子のほほえましい成長物語でした。エッラはサッカー好きな女の子です。エッラはおじさんのトミーが大好きです。トミーを独占したくてたまりません。両親が旅行にでかけるので、トミーと一緒に過ごそうとします。ところが、トミーの恋人スティーブがやってきます。エッラにとってスティーブは邪魔な存在です。そこでスティーブがとんでもないいたずらをしかけます。そのいたずらがひどすぎます。ネズミをカバンの中に入れたり、最後にはスティーブの髪の毛にバリカンをいれてしまいます。絵本が原作のようなので、絵本のなかではお遊び的で許されるようないたずらなのかもしれませんが、映画でそれをやるとちょっといただけません。そしてそれをやさしく対応する大人もさすがにスウェーデンという感じなのですが、私には...映画『リトル・エッラ』を見ました。

  • 岸田総理は解散を選ぶべきだ

    自民党が3補選で不戦敗も含めて全負した。予想通りなので、慌てたそぶりを見せずに平気な顔で、政治資金規正法の改革案も適当に出そうとしている。そしてそれ以上に田崎史郎氏をはじめとする自民党応援団は、自民党内の権力闘争をあおり、党内の政局に注目させようとしている。違うだろう。政治資金規正法の改正案をしっかりと論議して、今出ている多くの問題を解決できるような改正案を作るように促すのが政治評論家の務めであるはずだ。逮捕されなければ何をやってもいいという状態を終わらせるような改正案が必要なのである。そしてその改正案が成立した時に、岸田総理は解散すべきだ。今の政治不信は、統一教会問題、裏金問題、安倍晋三氏の関わったモリカケサクラ問題など、権力者が好き勝手にやって選挙の結果をゆがめるようなことにまでなっているという民主主...岸田総理は解散を選ぶべきだ

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